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新潟港海岸(西海岸地区)突堤(第5)及び西側端部潜突堤 調査課 1.概要 新潟港海岸(西海岸地区)は、昭和 61 年度より面的防護工法による侵食対策事業を 実施しており、平成 20 年度までに第 2 期潜堤が完成、突堤(第 4)は平成 22 年度に完 成した。さらに、平成 20 年度に区域拡張として直轄事業化が認められた、いわゆる「協 定海岸(寄居浜地区)」についても、平成 21 年度から現区域と同様に潜堤、突堤、護 岸(養浜)を組み合わせた面的防護工法による整備が開始された。 当該地区の潜堤については、区域の静穏域を確保するため、要求性能及び標準部の 構造断面を決定し、潜堤の開口部及び端部を含め、突堤(第5)、第5潜突堤、西側端 部潜突堤の配置については、水理模型実験の結果を基に決定した。 本報告は、寄居浜地区の施設配置に含まれる、突堤(第5)及び西側端部潜突堤の 構造について設計を行ったものである。設計対象位置を図-1に示す。 図-1 設計対象位置図 2.設計条件(突堤(第5)) 構造については、一般開放される事、及び突堤(第1~4)までと同等の親水性、景観 とすることから、堤体幅、天端高等突堤(第4)と同等の条件を設定し、構造の比較検討 を行った。 図-2 突堤(第5)区間平面図 19
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新潟港海岸(西海岸地区)突堤(第5)及び西側端 …新潟港海岸(西海岸地区)突堤(第5)及び西側端部潜突堤 調査課 1.概要...

Aug 13, 2020

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Page 1: 新潟港海岸(西海岸地区)突堤(第5)及び西側端 …新潟港海岸(西海岸地区)突堤(第5)及び西側端部潜突堤 調査課 1.概要 新潟港海岸(西海岸地区)は、昭和61年度より面的防護工法による侵食対策事業を

新潟港海岸(西海岸地区)突堤(第5)及び西側端部潜突堤

調査課

1.概要

新潟港海岸(西海岸地区)は、昭和 61 年度より面的防護工法による侵食対策事業を

実施しており、平成 20 年度までに第 2 期潜堤が完成、突堤(第 4)は平成 22 年度に完

成した。さらに、平成 20 年度に区域拡張として直轄事業化が認められた、いわゆる「協

定海岸(寄居浜地区)」についても、平成 21 年度から現区域と同様に潜堤、突堤、護

岸(養浜)を組み合わせた面的防護工法による整備が開始された。

当該地区の潜堤については、区域の静穏域を確保するため、要求性能及び標準部の

構造断面を決定し、潜堤の開口部及び端部を含め、突堤(第5)、第5潜突堤、西側端

部潜突堤の配置については、水理模型実験の結果を基に決定した。

本報告は、寄居浜地区の施設配置に含まれる、突堤(第5)及び西側端部潜突堤の

構造について設計を行ったものである。設計対象位置を図-1に示す。

図-1 設計対象位置図

2.設計条件(突堤(第5))

構造については、一般開放される事、及び突堤(第1~4)までと同等の親水性、景観

とすることから、堤体幅、天端高等突堤(第4)と同等の条件を設定し、構造の比較検討

を行った。

図-2 突堤(第5)区間平面図

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表-1 設計条件のまとめ(突堤(第5))

設計区間 堤頭部 標準部

A 区間 B 区間 C 区間

設計波高 H1/3 (m) 3.06 3.38 3.11 2.97

最大波高 Hmax (m) 5.51 5.68 5.6 5.35

設計周期 T1/3 (sec) 14.3 13.5 13.5 13.5

入射角 (°) 0 47 47 47

設計水深 (m) -12 -8 -10 -12

海底勾配 1/130 1/130 1/130 1/130

設計潮位 (m) +0.5 +0.5 +0.5 +0.5

マウンド天端高 (m) -6.5 -4.5 -5.5 -6.5

土質条件

海底地

盤 -9.46m

砂地盤 φ= 35 °

γ’= 10 KN/m3

-18.06m

砂地盤 φ= 35.3 °

γ’= 10 KN/m3

-29.91m

3.基本設計(突堤(第5))

3-1.設計方針

(1) 構造は、標準部および堤頭部ともに養浜砂投入後における砂の安定を考慮し、不透

過構造とする。

(2)堤頭部については、突堤(第 1~第 4)の条件に準じ、円形とする。

(3)構造形式・景観については、施工済みの突堤と同等とし、以下のとおり設定する。

1)標準部の堤体幅は、突堤(第 1~第 4)の条件に準じ、散策の通路幅確保を目的に、

親子連れ(大人 1 人、子供 2 人)と 2 人連れ(大人 2 人)がすれ違える幅を確保す

る。堤頭部の堤体幅についても同様に突堤(第 1~第 4)の条件に準じた。

2)天端高は、突堤(第 1~第 4)までの条件に準じ、親水性・利用面から決定された高

さとする。天端高は、利用頻度の高い夏季に毎日利用できる高さ(しぶき限界高さ)

と、海浜へのアクセスを考慮し、突堤延長 180mにわたり全区間 D.L.+1.5m とする。

3)堤頭部の根固方塊および被覆ブロックの高さについては、親水性を考慮し、利用者

の安全上の観点(落水時の安全確保)から D.L.-1.0m とする

(4)堤体不等沈下からの景観・利用面において支障が生ずることから、沈下を極力減らす

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ため、先行基礎マウンド方式が可能で、かつ、暫定断面(上部コンクリートなし)でも安

定する構造とする。

(5)検討断面では、下記の施工条件のもと行った。

1)ブロック製作

ブロックの製作ヤードは、第3区画における作業ヤードを使用することとし、運搬

にあたってトレーラが使用出来る重量とする。また、据付時に使用する在港起重機船

(150t吊)能力を考慮して W=50t/個未満とする。

2)RC ケーソン製作

RC ケーソンの製作については、第3区画における陸上製作について検討を行った。

3-2.構造断面の検討

(1)本体工

標準部本体の安定性照査は、根固方塊、被覆ブロックの基礎形状を決めた上で波圧

算定を行い検討した。また、堤頭部については、本体工背後に裏込石を投入する構造

となっているため、地震時に土圧が作用した場合の安定性照査を行った。

(2)基礎工

基礎マウンド高は、現地盤から基礎捨石の最小厚 1.5mを確保できる高さとした。

(3)根固工

方塊に作用する揚圧力の減少、耐波安定性を大きく向上させるため有孔型とし、所

要質量は,「港湾基準」に記載されている算定式より各区間毎の所要厚を算定した。

(4)被覆工

被覆ブロックの所要質量は,被覆石及びブロックの所要質量の基準に従い,ブロッ

クの安定数Ns値を求め,ブレブナー・ドネリー式により各区間毎に算定した。

3-3.施工上の留意点

(1)景観・利用上の支障とならないように、先行マウンド、本体、上部コンクリートの

各施工の間に十分時間を取って不等沈下の影響を減らすこと。

(2)基礎マウンド及びグラベルマットの厚さは、現地盤水深にあわせ最低 1.5m を確保

すること。

(3)堤頭部の根固・被覆ブロックは、利用者の安全上より水深を-1.0mとし、被覆

ブロックの種類は平型とする。

3-4.提案断面

3-1及び3-2の事項を満足しつつ、これまでの実績を考慮し、機能的・経済性・

施工性の面から検討を行った結果、提案断面を次項の図-3、図―4、図―5、図―

6に示す。

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【A 区間断面図】RC ケーソン式

図-3 A 区間断面図(突堤(第5))

【B 区間断面図】RC ケーソン式

図-4 B 区間断面図(突堤(第5))

帆 布 

-3.50

(2.5B×3.0L×1.0H)

捨石(50~500kg/個)

摩擦増大用マット(μ=0.75以上) 1 : 1

1 : 1

グラベルマット(30~200kg/個)

-7.0~-8.0

5.002.00

1:2

被覆ブロック T-6t型

L.W.L. ±0.00

H.W.L. +0.50

12.3B×12.4L×5.0Hケーソン

+0.50

-4.50

関 屋 側 西 港 側

中詰砂 中詰砂根固方塊(有孔式)

突堤(第5)法線

2.50 4.16

1.50

2.05

蓋コンクリート蓋コンクリート

上部コンクリート

12.30

+1.50

0.03 0.03

中詰砂

蓋コンクリート

0.30 0.20 0.20 0.303.80 3.70 3.80

-0.50

-3.50

(2.5B×3.0L×1.0H)

1 : 1

1 : 1

グラベルマット(30~200kg/個)

7.0~-8.0

5.00 2.00

1:2

被覆ブロック T-6t型

根固方塊(有孔式)

2.504.16

1.50

2.05

0.030.03

-5.50

0.10 0.80 10.50

1.00

0.100.80

1.00

帆 布 

-4.50

(2.5B×3.0L×1.0H)

捨石(50~500kg/個)

摩擦増大用マット(μ=0.75以上) 1 : 1

1 : 1

グラベルマット(30~200kg/個)

-8.0~-10.0

1:2

L.W.L. ±0.00

H.W.L. +0.50

9.6B×12.4L×6.5Hケーソン

-5.50

5.00

被覆ブロック T-3型

2.00

関 屋 側 西 港 側

中詰砂 中詰砂

根固方塊(有孔式)

突堤(第5)法線

1.60

1.5

02.50 3.26

蓋コンクリート 蓋コンクリート

+0.50

+1.50

0.20 0.304.45-4.50

(2.5B×3.0L×1.0H)

1 : 1

1 : 1

グラベルマット(30~200kg/個)

-8.0~-10.0

1:2

5.00

被覆ブロック T-3型

2.00

根固方塊(有孔式)

1.60

1.5

0 2.503.26

0.30 4.450.03 0.030.030.03

9.70

-0.50

上部コンクリート

0.10 0.80 7.90

1.00

0.100.80

1.00

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【C 区間断面図】RC ケーソン式

図-5 C 区間断面図(突堤(第5))

【堤頭部断面図】RC ケーソン式

図-6 堤頭部断面図(突堤(第5))

帆 布 

-5.50

(2.5B×3.0L×1.0H)

捨石(50~500kg/個)

摩擦増大用マット(μ=0.75以上) 1 : 1

1 : 1

グラベルマット(30~200kg/個)

-9.0~-

1:2

L.W.L. ±0.00

H.W.L. +0.50

8.6B×12.4L×7.0Hケーソン

-6.50

5.00

被覆ブロック T-3型

2.00

関 屋 側 西 港 側

中詰砂 中詰砂

根固方塊(有孔式)

突堤(第5)法線

1.60

1.50

2.50 3.26

蓋コンクリート 蓋コンクリート

+0.50

+1.50~+1.60

0.20 0.303.900.03 0.03

-5.50

(2.5B×3.0L×1.0H)

1 : 1

1 : 1

グラベルマット(30~200kg/個)

12.0

1:2

5.00

被覆ブロック T-3型

2.00

根固方塊(有孔式)

1.60

1.50

2.503.26

0.030.03

8.60

3.900.30

上部コンクリート

0.10 0.80 6.80

1.00

0.100.80

1.00

5.8B×14.08(9.50)L×6.0(8.0)H

0.30 5.20 0.30

0.40

0.30 5.20 0.30

0.40

24.20

35.80

5.805.80

0.300.60

[email protected]=3.60 1.00

0.30

[email protected]

=1.50

0.300.60

[email protected]=3.601.00

0.30

[email protected]

=1.50

1.851.85

-10.5

2.00 3.76

1.85 1.85-0.50-1.00-1.00

蓋コンクリート-0.6

+1.5

-1.6

-6.5

-12.0

-10.5

帆 布

捨石(50~500kg/個)

捨石(50~500kg/個)中詰砂中詰砂

蓋コンクリート 蓋コンクリート

グラベルマット(30~200kg/個)

グラベルマット(30~200kg/個)

被覆ブロック(T-4.5t型)整積

根固ブロック B2.0×H1.5

上部コンクリート

RCケーソン

2.003.76

L.W.L. ±0.00H.W.L. +0.50

+1.50

-0.50

帆布+路盤紙帆布+路盤紙

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4.設計条件(西側端部潜突堤)

4-1.条件

過去の水理模型実験より、波の入射方向に対し潜堤幅40mと設定されており、今

回の設計においてはその条件に従って必要となる天端幅(20m)を設定し、断面を

検討した。

図-7 西側端部潜突堤 平面図

表-2 潜突堤の設計波高

A 区間(D.L.-10.0m) B 区間(D.L.-11.0m) C 区間(D.L.-11.5m)

H.W.L.(D.L.+0.50m) 6.6m 7.1m 7.4m

L.W.L.(D.L.±0.00m) 6.4m 6.9m 7.3m

4-2.土質条件

当該地の地層構成は、砂質土層(As1),粘性土層(Ac),砂質土層(As1(m))の 3

層に大別される。これらについて,ボーリング地点間で,分布深度や N 値および粒度

組成等で地層を 5 層に細分した。なお、砂質土の内部摩擦角については、N値から有

効土被り厚を考慮した算定式により求めた。

5.基本設計(西側端部潜突堤)

5-1.設計方針

(1)天端高

西側端部潜突堤の天端高さは、隣接する第3期潜堤(2列潜堤)と同様に利用上の

制約、及び過去の水理模型実験より、既設潜堤と同じ、-1.5m とする。

(2)天端幅

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西側端部潜突堤の天端幅については、過去の水理模型実験より、波の入射方向に対

し、1列潜堤と同様の40m幅を確保出来る幅とする。

5-2.構造断面の検討

(1)基礎工

消波ブロックの下面は、“斜堤の被覆材下の捨石及びブロックの必要質量”よ

り、消波ブロックの質量の 1/10~1/15 程度以上とされている。このことから、後

述のとおり消波ブロックは32t型(28.75t)であるため所要質量は 1.91tとなる。

隣接する現在施工されている2列潜堤は、消波ブロック(32t型)の下層は、

基礎捨石 500~1,000kg/個が投入されている。また、西港側の潜堤についても同

様の基礎捨石が投入されているが、これにより潜堤が被災したという報告はない

ことから、同等の基礎捨石(500~1000kg/個)を投入する。

(2)消波工

1)所要質量の算定

消波ブロック(テトラポッドの場合)の所要質量は,ブロックの安定数Ns値を

求め,ブレブナー・ドネリー式により算定する.なお、安定数 Ns は半沢ら(1996)

による潜堤のブロック所要質量の算定手法を用いた。

2)経済比較

消波ブロックの質量については、上位規格との経済比較を行った。

5-3.施工上の留意点

(1)基礎マウンド及びグラベルマットの厚さは、現地盤水深にあわせ最低 1.5m を確保

すること。

(2)消波ブロックは、基礎マウンド最低厚さの 1.5m を確保できる2層厚さのものを使

用すること。

(3)毎年の深浅測量の結果、設計水深より深い箇所が発生した場合は、その都度設計断

面に影響ないか確認すること。

5-4.提案断面

提案断面を事項の図-8、図―9、図―10に示す。

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図-8 A 区間断面図(西側端部潜突堤)

図-9 B 区間断面図(西側端部潜突堤)

図-10 C 区間断面図(西側端部潜突堤)

-1.5

L.W.L. ±0.00 H.W.L. +0.50

消波ブロック32t型

2層厚

捨石(500~1,000kg/個)

-1.5

1:1

-10.0

捨石(30~200kg/個)

沖側 岸側

1:11:1

-10.0

-11.5

-6.3

消波ブロック32t型

2層厚

-1.5

-6.3

1 : 1

1 : 1-8.5

捨石(30~200kg/個)

沖側 岸側

1:1 1:1

-8.5

-10.0-10.0

L.W.L. ±0.00H.W.L. +0.50

A区間

L.W.L. ±0.00H.W.L. +0.50

消波ブロック32t型

2層厚

捨石(500~1,000kg/個)

-1.5

-6.3

1:1

捨石(30~200kg/個)

沖側 岸側

1:11:1

-9.5

-11.0-11.0

-9.5

【A区間断面図】

【B区間断面図】

【C区間断面図】

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新潟空港滑走路地盤改良詳細設計(東側)

技術開発課

1.概要

「地震に強い空港のあり方」(平成19年4月国土交通省航空局)によると、空港には

地震災害時に緊急物資及び人員等輸送基地としての役割が求められている。特に航空輸送

上重要な空港として、国内の主要13空港には①航空ネットワークの維持、②背後圏経済

活動の継続性の確保が求められており、新潟空港もその1つに位置づけられた。そのため

地震発生時の輸送基地としての機能を確保するため、地盤改良の詳細設計を行った。

新潟空港における地盤

改良の基本方針は、新潟空

港技術検討委員会を設置し

検討している。これまでに、

滑走路の標準部の詳細設計

が完了していることから、

東側の未改良部分との取付

部について詳細設計を行っ

た。

2.検討条件

2-1.要求性能・照査基準

(1)要求性能(耐震性能)

滑走路については、大規模災害時(レベル2地震動)に、「緊急物資・人員等輸送

受け入れ機能に基づき必要となる施設」として、発災後3日以内に使用可能となるこ

とを要求性能としている。

(2)照査基準に対する評価

①レベル1地震動

変形解析により推定される地震時の沈下を5cm程度以下とする。

②レベル2地震動

地盤が液状化する場合の地盤変形について、対策後地盤の変形解析により、勾配

が大きく逸脱しないこととする。

2-2.設計地震動

入力地震動は、国土技術政策総合研究所より公表されている「新潟港 整理番号93

16」をレベル1地震動の設計地震動として用いる(図-2)。レベル2地震動は、法

線直角方向の地震動に

方向補正したものを用

い、主要部分の140秒

までを解析に用いる(図

-3)。 図-2 入力地震動(レベル1地震動)

図-1 設計対象区間

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3.液状化判定

3-1.液状化判定方法

(1)等価 N 値と等価加速度による予測・判定

新潟空港では、液状化判定はレベル1地震動に対して実施するものとし、レベル2

地震動については変形照査に基づき検討を行っている。

液状化予測・判定は、等価 N 値と波形補正を行った等価加速度より行った。

(2)液状化判定境界

液状化境界は、新潟空港技術検討委員会の方針に準拠し、レベル1地震動に対して、

ⅢとⅣの境界で「液状化する」「液状化しない」の判定を行う。一方、レベル2地震

動に対しては、改良の目標(みなし規定)としてⅡとⅢの境界により判定する。

3-2.液状化判定

液状化判定地点として、図-1に示す4地点を選定した。判定結果を図-5に示す。

新潟空港技術検討委員会での検討結果を踏まえ、TP-10m 以浅を液状化判定対象とし、液

状化すると判定される地層は、Asd1 層、Asd2 層に分布している。

L1 L2NS L2EW L2強軸 L1 L2NS L2EW L2強軸 L1 L2NS L2EW L2強軸 L1 L2NS L2EW L2強軸

0.71 54 0.17 Asd - -3.02 7 3.68 -

0.32 - -0.30 3 Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ -3.33 6.5 2.68 -

-0.30 13 Ⅳ Ⅳ Ⅲ Ⅲ -1.35 8 Ⅲ Ⅰ Ⅰ Ⅰ -4.02 6 Ⅱ Ⅰ Ⅰ Ⅰ 1.68 -

-1.35 3 Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ -2.30 6 Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ -5.02 4 Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ 0.84 -

-2.30 5 Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ -3.30 15 Ⅳ Ⅲ Ⅱ Ⅱ -6.02 11 Ⅳ Ⅱ Ⅱ Ⅰ 0.68 20 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ

-3.30 7 Ⅱ Ⅰ Ⅰ Ⅰ -4.30 13 Ⅲ Ⅱ Ⅱ Ⅱ -7.02 12 Ⅳ Ⅱ Ⅱ Ⅱ -0.32 9 Ⅳ Ⅱ Ⅱ Ⅱ

-4.30 6 Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ -5.30 16 Ⅳ Ⅲ Ⅱ Ⅱ -8.02 14 Ⅳ Ⅱ Ⅱ Ⅱ -1.32 6 Ⅱ Ⅰ Ⅰ Ⅰ

-5.30 17 Ⅳ Ⅲ Ⅲ Ⅲ -6.30 32 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ -9.02 14 Ⅳ Ⅱ Ⅱ Ⅱ -2.32 25 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ

-6.30 9 Ⅱ Ⅰ Ⅰ Ⅰ -7.30 20 Ⅳ Ⅲ Ⅲ Ⅲ -10.02 22 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ -3.32 9 Ⅱ Ⅰ Ⅰ Ⅰ

-7.30 11 Ⅲ Ⅰ Ⅰ Ⅰ -8.30 21 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ -11.02 18 Ⅳ Ⅲ Ⅲ Ⅲ -4.32 18 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅲ

-8.30 11 Ⅲ Ⅰ Ⅰ Ⅰ -9.30 18 Ⅳ Ⅲ Ⅲ Ⅲ -12.02 15 Ⅳ Ⅱ Ⅱ Ⅱ -5.32 22 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ

-9.30 7 Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ -10.30 13 Ⅲ Ⅰ Ⅰ Ⅰ -13.02 23 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ -6.32 34 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ

-10.30 17 Ⅳ Ⅲ Ⅲ Ⅲ -11.30 7 Ⅱ Ⅰ Ⅰ Ⅰ -14.02 25 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ -7.32 22 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ

-11.30 14 Ⅳ Ⅱ Ⅱ Ⅰ -12.30 9 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ -15.02 28 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ -8.32 17 Ⅳ Ⅲ Ⅲ Ⅲ

-12.30 9 Ⅳ Ⅰ Ⅰ Ⅰ -13.30 17 Ⅳ Ⅱ Ⅱ Ⅱ -16.02 17 Ⅳ Ⅲ Ⅱ Ⅱ -9.32 23 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ

-13.30 19 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ -14.30 23 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅲ -17.02 17 Ⅳ Ⅱ Ⅱ Ⅱ -10.32 17 Ⅳ Ⅲ Ⅲ Ⅲ

-14.30 24 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ -15.30 8 Ⅲ Ⅲ Ⅲ Ⅲ -18.02 16 Ⅳ Ⅱ Ⅱ Ⅱ -11.32 15 Ⅳ Ⅲ Ⅲ Ⅱ

-15.30 14 Ⅳ Ⅲ Ⅲ Ⅱ -16.30 15 Ⅳ Ⅲ Ⅲ Ⅲ -19.02 -12.32 23 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ

-16.30 17 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ -17.30 19 Ⅳ Ⅲ Ⅲ Ⅲ -20.02 -13.32 31 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ

-17.30 19 Ⅳ Ⅲ Ⅲ Ⅲ -18.30 20 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ -14.32 17 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ

-18.30 21 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ -19.30 23 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ -15.32 27 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ

-19.30 20 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ -20.30 18 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ

-20.30 27 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ

Bor.H24-1 Bor.H24-2 Bor.H22.1-1 Bor.H22.1-1-1

Asd1

Asd2

Asd1

Asd2

判定結果

Asd

Asd2

標高(m)

地層名平均N値

Asd3Asd3

標高(m)

地層名平均N値

判定結果

Asd

判定結果

As1

Asd3

Asd2

As1

標高(m)

地層名平均N値

判定結果平均N値

地層名標高(m)

Asd1

Asd

図-5 現況地盤における液状化判定結果

L1 の目標 N値

L2 の目標 N値

図-4 等価 N 値と等価加速度

表-1 液状化の予測・判定

図-3 入力地震動(レベル2地震動)(上:横断方向、下:縦断方向)

28

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4.動的詳細解析

4-1.動的詳細解析の検討方法

地震時の変形照査には、2次元有効応力解析プログラム「FLIPver.7.1.9-6-2」、

地震時の間隙水圧消散過程の挙動に対して「FLIPDISver.1.7.0.6」を用いた。

縦断方向(滑走路中央)と横断方向(誘導路中央)の2断面で検討を行った。

4-2.現況地盤における動的詳細解析

レベル1地震動に対する解析結果は、過剰間隙水圧が Asd1 層及び Asd2 層で高い値を

示し、浅部で液状化する傾向が確認でき、沈下量5cmを超える箇所も発生している。

レベル2地震動に対する解析結果は、耐震整備範囲境界部の沈下が大きく30~38

cm程度の沈下がみられ、縦断勾配は、部分勾配を逸脱している。

よって、レベル1地震動及びレベル2地震動に対して耐震性能を満足しない結果とな

り、耐震改良が必要である。

4-3.改良範囲・改良率の設定

改良範囲は、レベル1地震動に対して沈下5cm以下となる範囲、レベル2地震動に

対して勾配逸脱しない範囲までの対策が必要と判断される。また、レベル2地震動に対

しては、対策境界部の沈下差を軽減するための緩衝区間として、すり付けを行う必要が

ある。すり付け先は、地震後の勾配変化を抑えるため、変形照査結果より変位のピーク

位置とし、非液状化層に定着させる下側すり付けとする。改良工法は、前回詳細設計と

同じ CPG 工法とし、改良率は、Asd1 層:改良率8%、Asd2 層:改良率6%とする。

4-4.改良後地盤における動的詳細解析

図-6 改良後地盤における動的詳細解析結果

29

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レベル1地震動に対する解析結果は、沈下量5cm以下となっている。

レベル2地震動に対する解析結果は、現況地盤に比べ最大沈下量が小さく、未改良区

間に比較的滑らかな沈下形状となり、縦断勾配及び横断勾配(部分勾配)は許容値を逸

脱しない結果となった。

よって、レベル1地震動及びレベル2地震動に対して耐震性能を満足する結果となっ

た。

5.改良断面

5-1.改良断面・施工ブロックの検討

改良後地盤の動的詳細解析結果を踏まえ、改良断面は擦り付け勾配を満足すること

を前提に、施工ブロックに応じ改良厚を階段状に変化させるものとした。

CPGの改良率の適用範囲は、ボーリング調査位置の1/2の距離を基本に設定した。

改良断面を図-7に示す。

5-2.隆起予測

(1)隆起予測手法

隆起予測手法としては、水平方向の応力の増加に、地盤条件による締固め効果(地

盤の圧縮)の違いを考慮し、地表面隆起予測量を算出した。

また、隆起による地盤変位の影響範囲は、既往委員会の設定値より13mとする。

(2)隆起予測の算定結果

新潟空港における CPG 施工時の管理目標値を、1本当りの隆起量及び滑走路の縦断

勾配は逸脱しない結果となった。しかし、横断方向は逸脱する結果となったため、CPG

施工後に舗装の勾配補修等が必要になるものと考えられる。

図-7 滑走路地盤改良(液状化対策:CPG 工法)の検討結果

(上:縦断図、下左:平面図、下右:横断図)

30

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伏木富山港(富山地区)岸壁(-10m)(2号)(耐震改良)

設計室

1.概要

伏木富山港富山地区は、神通川河口に発した古い港として、日本海沿岸の内貿コン

テナや外貿貨物を取り扱っている。対象の岸壁(-10m)(2 号)は、昭和 44 年に供用を開

始しているが、現在は老朽化が激しいため使用を休止している状況である。

全国的に公共施設の老朽化が課題となっている中、当該施設においても適切な予防

保全を行うことを目的に大規模修繕を図るものである。

また、平成 23 年度には伏木富山港が日本海側総合的拠点港に選定され、当該施設は

国際 RORO 船の拠点として期待されており、併せて東日本大震災以降は防災リスク低減

の観点から、平成 24 年 1 月に港湾計画の一部変更により、耐震強化岸壁に位置づけら

れた。

本設計は、岸壁(-10m)(2 号)(改良)にかかる標準部の設計である。

図-1設計対象位置図

2.設計条件

2-1.構造(形状)条件及び性能規定値

本岸壁は、耐震強化施設(特定;緊急物資輸送対応)として位置づけされているこ

とから、レベル2地震動に関する偶発状態に対して、地震後に必要な機能(緊急物

資、避難者、建設機械等の海上輸送のための船舶の利用)が可能となる使用性を踏

まえた耐震性能を確保した。

設計条件及び性能規定値を表-1及び表-2に示す。

岸壁(-10m)(3号)

岸壁(-10m)(1号)

岸壁(-10m)(1号)

岸岸壁壁((--1100mm))((22号号))((改改良良))

設設計計対対象象区区間間

岸壁(-10m)(3号)

31

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表-1 設計条件一覧表

種 別 項 目 設 計 値 備 考

形状条件 区間延長

計画水深

天端高

エプロン幅

エプロン勾配

185.0m

-10.0m

+1.8m

20.0m

1/100

順勾配

外力条件 対象船舶

取扱貨物

上載荷重

荷役機械

設計震度

貨物船;12,000D.W.T

船長;139m

船幅;21.8m

吃水;8.6m(満載時)

完成自動車、緊急物資

常 時;q=30kN/m2

地震時;q=15kN/m2

なし

照査用震度

(1 次元地震応答解析より設定)

偶発状態

(2 次元地震応答解析により照査)

レベル 1 地震動を対象

レベル 2 地震動を対象

海象条件 H.W.L.

L.W.L.

R.W.L

+0.50m

±0.00m

+0.20m

消 波 対 象

波浪諸元

入射波高

入射波周期

設定反射率

入射角θ

1.0m

8.0s

0.4

68°~74°

法線直角方向との為す角度

付帯工

係船曲柱

係船直柱

防衝工

未定

未定

接岸速度;V=0.1m/sec

その他

耐用年数 50 年

要求性能 特定(緊急物資輸送対応)

32

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表-2 性能規定値(標準部)

2-2.対象地震動

(1)レベル1地震動

国土技術政策総合研究所 HP から公開されているレベル1地震動を工学的基盤に

入力し、1次元地震応答解析(FLIP)を用いて、地表面での加速度波形を算出

し、構造物の固有周期を考慮して、照査用震度を算出した。

(2)レベル2地震動

伏木富山港(富山地区)のレベル2地震動としては、呉羽山断層帯と M6.5 直下地

震が想定されているが、角度補正後の加速度が大きい呉羽山断層帯地震動を入力地

震動として設定した。

2-3.土質条件

図-2に設計対象区間の土層モデル図を示す。また工区分割については、区間内で

土層構成及び土性は同じであり各土層の層厚も大きく変わらないことから、設計対

象区間を1つの工区として土層モデルを設定した。

33

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図-2 土層モデル図

3.基本設計

3-1.設計の基本的な考え方

(1)背後には民家や観光地が隣接しているため、振動、騒音対策を考慮した。

(2)波浪の進入しやすい形状により港内擾乱が発生し、荷役作業に支障を来して

いることから、隣接岸壁同様、低反射型の構造とした。

(3)発生土の有効活用を検討する。

(4)伏木地区 防波堤(東)のケーソン(3 函)の当該岸壁への転用可否について

検討した。なお、当該転用予定ケーソン(3 函)は「縦スリット式」であり、

本岸壁における消波対策施設としての性能規定(反射率 0.4)を満足するには

「横スリット式」とすることや、遊水幅が 7.50m 必要であることから、転用

ケーソン据付区間は、斜め入射波に対しては同様の消波効果が見込めないた

め、新設ケーソンと転用ケーソンの割付(据付位置)について、検討した。

(5)現地盤の土層は、レベル1地震動では液状化しないと判定できるため、レベ

ル1地震動による液状化対策の必要はない。

しかし、掘削土砂を背後裏埋土として流用した場合の粒度と N 値を想定して

34

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再度液状化について検討した。

3-2.構造検討

本岸壁の構造形式として、①スリットケーソン式、②直立消波ブロック式、③

スリット付き桟橋式の3構造から、消波機能が確保され、施工性、経済性にも優れ

るスリットケーソン式を選定し、2次元 FLIP 解析により、残留変形量が 1.00m 以下

(規定値)となる断面を検討した。

残留変形量を規定値以内に抑えるため、基礎捨石断面については、レベル 2 地震

時の基礎捨石下部の過剰間隙水圧の上昇を抑制する断面とし、標準部は「フーチン

グ設置」、転用部は「ケーソン背後上部コンクリート打設+摩擦増大マット」とした。

4.決定断面

標準部及び転用部の決定断面を図-3~4に示す。

図-3 標準部

35

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図-4 転用部

36

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伏木富山港(伏木地区)岸壁(-14m)(耐震改良)

設計室

1.概要

本施設は、国際物流ターミナル整備事業の中心的施設であり、平成 18 年度には水深

12mで暫定供用を開始しているが、防災リスク低減の観点から本施設は平成 24 年 3

月に港湾計画の一部変更により、耐震強化岸壁に位置づけられた。

本設計は、岸壁(-14m)「標準部 280m」、「取付部 30m」、「西側端部」の耐震改良設計

を行うものである。

設計対象位置図および施設平面図を図-1、2に示す。各区間の断面図を図-3、

4、5、6に示す。

図-1 設計対象位置図

図-2 施設平面図

37

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図-3 標準部断面図

図-4 取り付け部断面図

38

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図-5 西側端部断面図(法線直角方向)

図-6 西側端部断面図(法線平行方向 セルラー式)

1:2

4.15 0.40 3.05 0.403.05

▽ H.W.L. +0.50▽ L.W.L. +0.00

-12.00

-9.50

-6.00

-2.50

-14.50

+1.00

+2.70

-9.00

-15.80

1:2

土留め護岸法線

▽ R.W.L. +0.20

1.00

0.60 5.80

基礎捨石 30~200kg/個

被覆石 500㎏/個

裏込石 10~30kg/個

(岸壁(-14m))

基礎捨石 30~200kg/個

6.40

-2.83

裏込石10~30kg/個

0.85

7.10

基礎捨石(クレーン基礎)

+1.00

39

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2.設計条件

2-1 既往設計条件

平成 12 年度に設計された既設岸壁の設計条件を表-1に示す。

表-1 既往設計条件(平成 12 年度)

2-2 性能規程

本施設は「特定(緊急物資輸送対応)」の機能が求められている。耐震強化施設の

分類を表-2に示す。

表-2 耐震強化施設の分類

40

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2-3 対象地震動

(1)レベル1地震動

対象地震動は、伏木富山港(伏木・新湊港区)におけるレベル 1 地震動とする

波形は、国土技術政策総合研究所ホームページにて公開されている図-7のデ

ータを用いた。

対象波形 : 9317 伏木富山港(伏木・新湊港区)

補正方法 : 「松」

最大加速度: 117.39 gal

地震計 : TOYAMA-G

図-7 レベル1地震動 波形

(2)レベル2地震動

レベル 2 地震動は伏木・新湊地区のレベル 2 地震動として設定している「砺波

平野断層帯西部(03)」、「M6.5 直下地震」を用いる。以下に対象地震動を示す。

図-8 砺波平野断層帯西部(03)

-100

-50

0

50

100

150

0 20 40 60 80 100 120 140 160

加速

度(c

m/s

2 )

時間(s)

工学的基盤面の加速度時刻歴(9317 伏木富山港(伏木・新湊港区))

最大値:117.39gal

-600

-400

-200

0

200

400

600

0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200

加速

度(g

al)

time(s)

343gal

‐404gal

-600

-400

-200

0

200

400

600

0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200

加速

度(g

al)

time(s)

266gal

‐266gal

砺波平野断層帯西部(03)(伏木・新湊地区)NS方向

41

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図-9 M6.6 直下地震

2-4 設計条件まとめ

(1)設計条件および性能規定値

設計条件および性能規定値を表-2に示す。

表-2 設計条件および性能規定値

-600

-400

-200

0

200

400

600

0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200

加速

度(g

al)

time(s)

300gal

‐365gal

M6.5直下地震(伏木・新湊地区)EW方向

-600

-400

-200

0

200

400

600

0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200

加速

度(g

al)

time(s)

268gal

‐272gal

M6.5直下地震(伏木・新湊地区)NS方向

適用基準

区間延長

計画水深

天 端 高

耐用年数 取扱貨物

 朔望平均満潮位 H.W.L C.D.L. +0.50m

 朔望平均干潮位 L.W.L C.D.L. ±0.00m

 【重力式】 R.W.L

水平変位量

堤体傾斜角

エプロン勾配

前後レールの高低差

港湾の施設の技術上の基準・同解説(2007年7月)

対象船舶

船  型:55,000 D.W.T(貨物船)

船  長: L = 218 m

船  幅: B = 32.3 m

満載喫水:dmax= 12.9 m

280.0m

C.D.L. -14.00m

チップ、その他金属、他

潮位 エプロン幅員:20.0 m

勾配:1/100(海側へ片勾配)

性能規定値

 0.30m

= L.W.L + 1/3 ×(H.W.L-L.W.L)

= +0.1666 ≒ C.D.L. +0.20m

C.D.L. +2.50m

残留水位 上載荷重

50 年

常 時:30 kN/m2  地震時:15 kN/m2

※クレーン荷重を載荷した場合は、上記の値の1/2とする。

付帯工

係船曲柱:1,000 kN

係船直柱:1,500 kN

防 衝 工:接岸速度 V = 0.1 m/sec

荷役機械【多目的クレーン】

 「砺波平野断層帯西部(03)」

エプロン段差 エプロン上の段差:0.05m

 エプロンと背後地の段差:0.30m ~ 0.70m

 1.00m以下

 3°以下

 「特定(緊急物資輸送対応)」

 要求性能:【使用性】震災直後に、概ね船長100m以下の巡視船が接岸可能とする。

耐震強化施設分類

 「M6.5直下地震」

設計条件

海底勾配 1/200

荷 役 能 力 : 500 t/h

総重量    : 約365 t/基レールスパン: 16.0 m

車  輪  数 : 4 輪/脚

走 行 速 度 : 20 m/min

 3~5%(純勾配)

L1地震動

 対象波形 : 9317『伏木富山港(伏木・新湊港区)』

 最大加速度: 117.39 gal

 照査用震度 Kh=0.13

L2地震動

42

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(2)土質条件

地盤定数のまとめを表-3に示す。

表-3 地盤定数まとめ

地層区分

湿潤単位体積重量

γt[kN/m3]

飽和単位体積重量

γt[kN/m3]

N値粘着力

C[kN/m2]

せん断抵抗角

φ[°]

基準せん断波速度

Vsma[m/s]

Bs 17.2 17.8 5.4 - 37.6 214

As 19.2 19.9 22.3 - 35.9 297

Dc1-1 19.2 19.2 5.0 71 - 247

Dc1-2 21.8 21.8 20.0 28 - 252

Dc1-3 19.4 19.4 11.6 102 - 181

Ds1-1※ 18.0 20.0 50.0 - 44 -

Ds1-2※ 18.0 20.0 39.0 - 43 -

Ds1-3※ 18.0 20.0 45.1 - 44 -

Dg1 18.0 20.0 48.7 - 44 436

Dc2 19.5 19.7 32.8 108 - 227

Ds2 21.6 22.3 45.3 - 42 333

Dg2※ 18.0 20.0 50.0 - - 420※試験結果の無いγは液状化ハンドブックの一般値、φはMeyerhofの式よりN値から設定した

:一般値 :他のパラメータから換算式により算出

43

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3.基本設計

3-1 基本方針

本岸壁は、耐震強化岸壁「特定(緊急物資輸送対応)」として位置付けされている

ことから偶発状態における現況断面の地震応答解析(FLIP)を実施し、現況の変位

特性を把握したうえで、耐震改良を検討した。

3-2 液状化の検討

液状化の予測・判定方法は、「港湾基準」に準拠して「粒度とN値による液状化

の予測・判定手法」による検討の後、等価 N 値と等価加速度による液状化判定を実

施した。液状化判定における地盤の地震応答解析は、等価線形化手法である「SHAKE」

を用いた。

液状化判定(レベル 1 地震動) 液状化判定(レベル 2 地震動:砺波)

図-10 液状化判定結果

B区間 C区間

No.24-4 No.24-1 No.24-3 No.24-2

0 ~ 1 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ :Bs

1 ~ 2 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ

2 ~ 3 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ :As

3 ~ 4 Ⅳ Ⅰ Ⅲ Ⅱ

4 ~ 5 Ⅰ Ⅱ Ⅳ Ⅱ :Dg1

5 ~ 6 Ⅰ Ⅱ Ⅳ Ⅲ

6 ~ 7 Ⅰ Ⅱ Ⅳ Ⅰ :Dc1-1

7 ~ 8 Ⅳ Ⅱ Ⅳ Ⅳ

8 ~ 9 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅰ :Dc1-2

9 ~ 10 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅰ

10 ~ 11 Ⅲ Ⅲ Ⅳ Ⅰ :Dc1-3

11 ~ 12 Ⅳ Ⅱ Ⅳ Ⅳ

12 ~ 13 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ :Dc2

13 ~ 14 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ

14 ~ 15 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ :Ds2

15 ~ 16 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ

16 ~ 17 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ

17 ~ 18 - Ⅳ Ⅳ Ⅳ

18 ~ 19 - Ⅳ Ⅳ Ⅳ

19 ~ 20 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ

20 ~ 21 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ

21 ~ 22 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ

22 ~ 23 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ

23 ~ 24 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ

24 ~ 25 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ

25 ~ 26 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ

26 ~ 27 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ

27 ~ 28 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ

28 ~ 29 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ

29 ~ 30 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ

30 ~ 31 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ

31 ~ 32 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ

32 ~ 33 Ⅳ Ⅳ Ⅳ

33 ~ 34 Ⅳ Ⅳ Ⅳ

34 ~ 35 Ⅳ Ⅳ Ⅳ

35 ~ 36 Ⅳ Ⅳ

36 ~ 37 Ⅳ Ⅳ

37 ~ 38 Ⅳ

深度GL-[m]

液状化判定結果

A区間 B区間 C区間

No.24-4 No.24-1 No.24-3 No.24-2

0 ~ 1 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ :Bs

1 ~ 2 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ

2 ~ 3 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ :As

3 ~ 4 Ⅱ Ⅰ Ⅱ Ⅰ

4 ~ 5 Ⅰ Ⅰ Ⅲ Ⅰ :Dg1

5 ~ 6 Ⅰ Ⅰ Ⅳ Ⅰ

6 ~ 7 Ⅰ Ⅰ Ⅳ Ⅰ :Dc1-1

7 ~ 8 Ⅲ Ⅰ Ⅳ Ⅲ

8 ~ 9 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅰ :Dc1-2

9 ~ 10 Ⅱ Ⅱ Ⅳ Ⅰ

10 ~ 11 Ⅰ Ⅰ Ⅳ Ⅰ :Dc1-3

11 ~ 12 Ⅳ Ⅰ Ⅳ Ⅳ

12 ~ 13 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ :Dc2

13 ~ 14 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ

14 ~ 15 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ :Ds2

15 ~ 16 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ

16 ~ 17 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ

17 ~ 18 - Ⅳ Ⅳ Ⅰ

18 ~ 19 - Ⅳ Ⅳ Ⅳ

19 ~ 20 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ

20 ~ 21 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ

21 ~ 22 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ

22 ~ 23 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ

23 ~ 24 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ

24 ~ 25 Ⅱ Ⅳ Ⅲ Ⅳ

25 ~ 26 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ

26 ~ 27 Ⅳ Ⅳ Ⅲ Ⅳ

27 ~ 28 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ

28 ~ 29 Ⅳ Ⅳ Ⅲ Ⅳ

29 ~ 30 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ

30 ~ 31 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ

31 ~ 32 Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ

32 ~ 33 Ⅳ Ⅳ Ⅳ

33 ~ 34 Ⅳ Ⅳ Ⅳ

34 ~ 35 Ⅳ Ⅳ Ⅳ

35 ~ 36 Ⅳ Ⅳ

36 ~ 37 Ⅳ Ⅳ

37 ~ 38 Ⅳ

深度GL-[m]

液状化判定結果

A区間

Ⅰ:液状化するⅡ:液状化する可能性が大きいⅢ:液状化しない可能性が大きいⅣ:液状化しない

判定凡例

44

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3-3 地震応答解析の条件設定

地震応答解析に用いた地盤定数の設定方法及び設定一覧を表-4、5、6に示す。

表-4 地盤定数の設定方針 表-5 FLIP で用いる地層区分名一覧

表-6 地盤定数一覧

材料名密度ρ

[g/cm3]

間隙率n

Vsma

基準初期せん断

弾性係数Gma

[kN/m2]

基準体積弾性係数

Kma[kN/m2]

基準有効拘束圧σ'ma

[kN/m2]

ポアソン比ν

最大減衰定数hmax

粘着力c'

[kN/m2]

せん断抵抗角φ'[°]

Bs-U 1.75 0.51 214 80100 208900 98 0.33 0.25 0 39

Bs 1.82 0.51 214 83300 217200 98 0.33 0.25 0 39

As 1.87 0.49 297 165000 430300 98 0.33 0.22 0 38

Dc1-1 1.68 0.60 247 102500 267300 98 0.33 0.20 79 0

Dc1-2 1.78 0.54 252 113000 294700 98 0.33 0.18 32 0

Dc1-3 1.80 0.53 181 59000 153900 98 0.33 0.23 113 0

Ds1-1 2.04 0.45 237700 619900 98 0.33 0.24 0 44

Ds1-2 2.04 0.45 167500 436800 98 0.33 0.24 0 43

Ds1-3 2.04 0.45 197100 514000 98 0.33 0.24 0 44

Dg1 2.04 0.45 436 388000 1011800 98 0.33 0.24 0 44

Dc2 1.86 0.48 227 95800 249800 98 0.33 0.18 127 0

Ds2 1.95 0.43 333 216200 563800 98 0.33 0.20 0 42

・液状化パラメータ

材料名 φp S1 W1 P1 P2 C1

Bs 28 0.005 5.2 0.5 1.4 2.0 :一般値

45

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3-4 現況断面における地震応答解析

現況断面における地震応答解析を行った。粘性土層区間、砂質土層区間ともに性

能規定値を満足しないため、耐震改良が必要となった。結果を表-7に示す。

表-7 解析結果

3-5 対策工法の抽出

(1)変位特性

標準部の現況断面解析より変形の発生要因を整理した。変形メカニズム模式図

を図-11に示す。

図-11 変形メカニズム模式図

8.10

▽ -1.50

係船曲柱 1000kN

▽ +2.50

▽ +1.00

▽ L.W.L. +0.00

防砂シート

1:2

計画水深 -14.00

▽ -18.00

基礎捨石 30~200kg/個

裏込石

10~30kg/個

防砂目地板

1.00 0.301.00 1.00

0.50

0.40

▽ -14.50

岸壁法線

事前混合処理土

2.00 14.50 2.00

18.50

▽ -12.10

0.1012.50 5.40 3.00

1:1.5

4.50

防砂シート

2.80 3.00 12.80

18.00

エプロン舗装

▽ +1.00

0.30防舷材

▽ -12.10

【変位③】

堤体の水平移動に伴う

背後地の沈下

【変位⑥】

ケーソン傾斜に伴い、

ケーソン端部において

エプロンの段差

【変位①】

堤体が前面方向に移動

【変位⑤】

ケーソンが前方へ

傾斜

【変位④】

堤体の水平移動に伴う

前面捨石の盛り上がり

【変位②】

堤体下粘性土層の変形による堤体移動

項目 解析結果

(粘性土層)

解析結果

(砂質土層)

残留水平変位 [m] 1.80 > 1.00 1.36 > 1.00

堤体傾斜角 [°] 2.8 < 3.0 1.8 < 3.0

エプロン上の段差 [m] 1.20 > 0.05 1.03 > 0.05

エプロンと背後地の段差 [m] 0.91 > 0.3~0.7 0.80 > 0.3~0.7

エプロン勾配 [%] 4.2 < 3~5 3.0 < 3~5

クレーン基礎の相対変位量 [m] 0.86 > 0.30 0.77 > 0.30

前後レールの高低差 [m] 0.79 > 0.30 0.75 > 0.30

46

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(2)改良方針(改良工法1次選定)

変位特性より、変位①を抑制する対策工を選定し、堤体変位の抑制を図るもの

とする。表-8に 1 次選定表を示す。

表-8 1次選定表

手法 考え方 工法 施工時の

施設利用

効果

経済性 工期 選定慣性力

低減

滑動

抵抗増

土圧

低減

背後土圧

低減

作用の

低減 置換工法 △ △ - ○ △ △ ○

液状化

対策

作用の

低減

深層混合

処理工法 ○ △ - ○ ○ ○ ○

堤体の

重量化

抵抗力

増加

中詰重量化

工法 △ × ○ - △ △ ×

堤体の

軽量化

作用の

低減

中詰軽量化

工法 △ ○ × - △ △ ×

構造物の

新設

抵抗力

増加

控え杭工法 △ - ○ - × × ×

グラウンド

アンカー工法 ○ - ○ - △ ○ ○

根固め

矢板工法 △ - ○ - × △ ×

(3)工法選定(改良効果の確認)

採用候補となる「置換工法」「グラウンドアンカー工」「堤体背後の地盤改良工」

について、レベル2地震動に対する改良効果を確認するため、地震応答解析の試

計算を行った。結果を表-9に示す。

表-9 対策工法試計算結果

項目 単

性能

規定値

置換工法 グラウンド

アンカー工法

深層混合

処理工法

解析

結果 判定

解析

結果 判定

解析

結果 判定

残留水平変位 m 1.0 0.99 ○ 0.54 ○ 1.73 ×

堤体傾斜角 ° 3.0 1.4 ○ 0 ○ 2.7 ○

エプロン上の段差 m 0.05 0.43 △ 0.17 △ 1.38 ×

エプロンと背後地の段差 m 0.3~0.7 0.15 ○ 0.15 ○ 0.84 ×

エプロンの勾配 % 3~5 2.2 ○ 1.6 ○ 8.1 ×

クレーン基礎の相対変位

量 m 0.3 0.09 ○ 0.23 ○ 1.3 ×

前後レールの高低差 m 0.3 0.09 ○ 0.23 ○ 1.16 ×

47

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「置換工法」「グラウンドアンカー工法」にて詳細な比較を行い、「グラウンド

アンカー工法」を選定した。比較結果を表-10に示す。

表-10 比較結果

項目 置換工法 評

グラウンド

アンカー工法

施工性 舗装撤去必要(面積:大)

荷役クレーン基礎撤去必要 △

舗装撤去必要(面積:小)

荷役クレーン基礎撤去不要 ○

施工時の

供用性

工事範囲の荷役クレーン移動不可

17 ヶ月程度の岸壁の部分的な使用

制限が発生

×

工事範囲も荷役クレーン移動可能

14 ヶ月程度の岸壁の部分的な使用制

限が発生

経済性

代替の荷役クレーン必要

工事費用+荷役クレーン費用はグラウ

ンドアンカー工法と同程度

メンテナンスは不要

代替の荷役クレーン不要

置換工法とコストは同程度

アンカーの緊張力などの定期的な点

検が必要

総合評価 岸壁の供用、荷役への影響大 × 岸壁の供用、荷役への影響小 ○

3-6 断面設計

(1)区間設定

標準部の土層性状は、「①ケーソン直下に粘性土が分布する区間」と「②それ以

外の区間(ケーソン直下が砂質土系材料の区間)」の2区間に大別されることから、

①を「第1工区」、②を「第2工区」とする。

(2)地震応答解析結果

表-11に施設全体の変位量について、表-12にアンカーについての性能照

査結果を示す。

全体変位量については、エプロン上の段差を除き、全ての項目で性能規定値を

満足する結果となった。また、その際のアンカー諸元についても、所要のアンカ

ー強度(降伏点荷重)および引き抜き強度(必要定着長)を満足しているため、

これを改良諸元として採用した。

表-11 変位量照査結果

項目 性能

規定値

第 1 工区

(F270TA)

第 2 工区

(F230TA)

解析結果 評価 解析結果 評価

残留水平変位 [m] 1 0.64 OK 0.54 OK

堤体傾斜角 [°] 3 0.3 OK 0.5 OK

エプロン上の段差 [m] 0.05 0.30 NG 0.33 NG

エプロンと背後地の段差 [m] 0.3~0.7 0.26 OK 0.26 OK

エプロン勾配 [%] 3~5 1.9 OK 1.3 OK

クレーン基礎の相対変位量 [m] 0.3 0.29 OK 0.27 OK

前後レールの高低差 [m] 0.3 0.29 OK 0.27 OK

48

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表-12 アンカーの照査結果

区間 アンカー

規格

アンカー

発生張力

[kN/本]

降伏点

荷重

[kN/本]

評価掘削径

[mm]

極限摩擦

抵抗値τ

[N/mm2]

必要

定着長

[m]

定着長

[m] 評価

第 1 工区 F270TA 2,239 2,242 OK 165 0.45 9.6 10 OK

第 2 工区 F230TA 1,933 1,938 OK 165 0.45 8.3 10 OK

(3)永続・変動状態の照査

偶発状態(レベル 2 地震時)の照査により設定した改良諸元に対して、永続状

態および変動状態(レベル 1 地震時)の安定性の照査を行う。なお、アンカー工

法では部分係数や構造解析係数が設定されていないため安全率法による照査と

した。表-13および表-14に各区間の照査結果を示す。

表-13 第1工区

表-14 第2工区

種 別

滑 動 m ≧ ≧ ≧ ≧

転 倒 m ≧ ≧ ≧ ≧

支持力 P₁ (kN/m²)

P₂ (kN/m²)

b (m)

偏心傾斜荷重 ≧ ≧ ≧ ≧

円形すべり ≧ ≧

1.200 1.285

永続状態 変動状態

クレーン荷重無し クレーン荷重有り クレーン荷重無し クレーン荷重有り

-14.500 3.537 1.200 3.862 1.000 1.356 1.000

-14.500 6.808 1.200 6.702 1.200 2.500 1.100 2.415 1.100

238.898 270.404 409.990 470.787

14.500 14.500 14.500 13.728

160.413 150.560 2.618 0.000

1.634 1.200 1.060 1.000 1.037 1.000

1.298 1.100 1.173 1.100 - -

1.679 1.200

種 別

滑 動 m ≧ ≧ ≧ ≧

転 倒 m ≧ ≧ ≧ ≧

支持力 P₁ (kN/m²)

P₂ (kN/m²)

b (m)

偏心傾斜荷重 ≧ ≧ ≧ ≧

円形すべり ≧ ≧

1.200 1.348

永続状態 変動状態

クレーン荷重無し クレーン荷重有り クレーン荷重無し クレーン荷重有り

-14.500 3.537 1.200 3.862 1.000 1.433 1.000

-14.500 6.808 1.200 6.702 1.200 2.619 1.100 2.535 1.100

238.898 270.404 396.983 455.139

14.500 14.500 14.500 14.500

160.413 150.560 14.443 14.148

2.986 1.200 1.381 1.000 1.375 1.000

2.111 1.100 1.903 1.100 - -

3.056 1.200

49

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4.決定断面

第1工区、第2工区の決定断面を、図-12、図-13に示す。

図-12 第1工区 決定断面

図-13 第2工区 決定断面

50

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金沢港(大野地区)岸壁(-13m)

設計室

1.概要

金沢港(大野地区)国際物流ターミナルは、背後圏の基幹産業である建設・産業機械

製造業等の国際競争力強化を目的として計画され、平成 20 年度に供用開始されたが、

取り扱い能力に不足が生じていることから、緊急的に既設バース(L=260m)の延伸整

備(L=140m)を実施するものである。

本設計は、延伸部における設計条件の設定及び構造形式の検討を行うものである。

図-1設計対象位置図

51

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2.設計条件

表-1に設計条件を示す。

当該施設の地盤条件と既設土留護岸の形状の違いを反映し、1工区(L=約 85m)及び

2工区(L=約 55m)の2区間に分割した。

1工区及び2工区の土層モデルを、図-3~4に示す。

表-1 設計条件一覧表

種別 項目 設計条件 利用条件 計画水深 D.L.-13.0m

設計水深 洗掘対策用被覆材の天端は計画水深から 10cm 下が

りとする。仮想海底面の最深部と同等。 天端高 D.L.+2.5m

対象船舶 貨物船 40,000D.W.T.

RORO 船 22,600D.W.T. LOLO 船 30,000D.W.T.→接岸反力最大条件 セメント船 30,000D.W.T. 旅客船 137,000G.T.及び 154,000G.T.

上載荷重 永続状態 30kN/m2、変動状態 15kN/m2

荷役機械 タイヤマウントクレーン:450t 型 サムソントレーラ:180t 貨物用 マフィントレーラ:積載物 100t

取扱貨物 産業機械等 エプロン エプロン幅 20m、勾配 1.0% 付帯施設 係船柱(曲柱・直柱)、防舷材 設計供用年数 50 年

自然条件 潮位 H.W.L.= +0.50m L.W.L.= +0.00m M.S.L.= +0.25m R.W.L.= 0.167→+0.20m(重力式)

地震動 レベル 1 地震動(国土技術政策総合研究所公開資料) 材料条件 ケーソン中詰材(既設) 中詰砂 20kN/m3

鉄筋コンクリート (受梁、連結部、間詰)

f ’ck=30N/mm2 γ=24.0kN/m3 W/C≦50% 鉄筋 SD345

プレストレストコンク

リート(PC 主桁) f ’ck=50N/mm2 γ=24.5kN/m3 W/C≦50% PC 鋼材 SWPR7BL(7 本より)

無筋コンクリート f ’ck=18N/mm2 γ=22.6kN/m3 W/C≦65%

52

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図-2 工区分割

図-3 1工区の土層モデル横断図

H 型ケーソン I 型ケーソン

53

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図-4 2工区の土層モデル横断図

3.基本設計

3-1 設計の基本的な考え方

本岸壁延伸部における基本的な設計の考え方を以下に示す。

(1)既設バースと一体とした早期供用開始を目標とし、現地における施工工程

が短縮できる構造とした。

(2)既設バースの延伸部であり、完成時には連続して供用されることに不具合

を及ぼさないよう整合性の確保に留意した。施工期間中の既設岸壁の供用に

不具合を及ぼさない点に留意した。

(3)既設バースの構造形式である PC 桟橋構造を基本とし、より合理的となる杭

の打設ピッチや新材料の採用、構造諸元(PC 桁の配置方向)について比較検討

した。

(4)既設バース背後に、精密機械の製造を行う工場が近接しているため、特に

杭の打設工事で振動・騒音の影響を極力及ぼさない工法とした。また、岸壁

上で荷役作業を行うタイヤマウント式クレーンの反力などに対し安定した支

持力を得られる杭打設工法とした。

(5)当該地点の地盤はレベル1地震動の作用により液状化しないと判定できる

ため、特段の液状化対策の必要はないが、長期的な吸出し防止対策を勘案し

54

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た。

(6)防波堤として整備され、約 40 年経過した RC ケーソン式構造を土留護岸と

して転用するため、係留施設の一部としての機能を満足するか安定性、部材

耐力を確認した。

3-2 構造断面

桟橋構造部については、当該地点における施工実績、施工性、構造安定性及び経

済性を総合的に判断した結果、既設岸壁と同様に「PC 桟橋構造」が最適と判断した。

また、PC 桟橋構造の中でも、さらなるコスト縮減や施工上の合理性を追求するた

め、PC ホロー桁を岸壁法線平行方向に配置する場合、直角方向に配置する場合及び

下部工鋼管杭に新材料である高強度鋼管杭を用いる場合を比較した。

総合的な比較検討の結果、杭の1列目及び5列目にセメントジェット併用バイブ

ロハンマ工法(CJV 工法)を採用した、「PC 桁岸壁法線平行方向配置・CJV 工法断面」

を最適断面とした。

4.決定断面

前述の考え方に基づき、図-5~6の断面が採用された。

図-5 1工区断面

55

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図-6 2工区断面

捨石除却箇所

裏埋吸出対策

56

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敦賀港(鞠山北地区)防波堤(I・J区間)(見直し)

設計室

1.概要

本防波堤は、鞠山地区水域の静穏度の向上を図るため昭和56年度より着手され、

平成25年度末において1,130mが完成している。

本設計は、被災波を含む近年の波浪観測データを踏まえ、被災箇所を含む現整備中

のプロジェクト区間であるI・J区間について、既設構造断面の見直しを実施するも

のである。

位置図及び平面図を図-1、2に示す。

図-1 設計対象位置図

図-2 防波堤設計区間 平面図

設計対象区間

57

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2.設計条件

見直した設計条件を表-1に示す。

表-1 設計条件のまとめ

3.基本設計

3-1 基本方針

本設計は、見直し設計条件に対する「防波堤の安定性確保」および「防波堤港内

側の環境付加」について、工法・経済性を踏まえた断面とする。

3-2 既設防波堤の構造確認

(1)必要天端高の確認

見直した設計条件に対し、既設防波堤の天端高を確認し、嵩上げ等が必要ない

か検討したところ、設計有義波に対する天端高およびスリット上端高さについて

は現況において問題ない。

表-2 防波堤の必要天端高

区間

見直し後

有義波高

H1/3(m)

必要天端高

D.L.(m)

現況天端高

D.L.(m)

現況

スリット上端高

D.L.(m)

I 2.83 2.20 3.1…O.K. 2.1>1.5…O.K.

J 2.86 2.22 3.0…O.K. 2.0>1.5…O.K.

※スリット上端高は、防波堤天端高から上床版厚 0.4m 及び上部梁 0.6m を控除した値

58

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3-3 既設防波堤の安定性照査

既設防波堤の安定性照査の結果を表-3に示す。I区間、J区間ともに安定性が

不足する結果となった。

表-3 既設防波堤の安定性照査結果

※滑動に対する安定性照査に使用する部分係数は、「北陸版部分係数」を使用

3-4 防波堤の安定対策工法の抽出

既設防波堤を対象とした堤体の安定性確保のための対策としては、以下の2つが

考えられる。

①堤体重量の増加(滑動抵抗力の増加を含む)

②波力の低減

抽出した対策工を表-4に示す。安定性が確保されない区間に対して、性能規定

等に基づいた改良構造を抽出し、現地への適用性の高い「背面捨石マウンド設置」

を選定した。

表-4 対策工の抽出

対策工法 港内側捨石補強 堤体拡幅(港内側の腹付け)

対策

イメージ

対策工法 中詰め高比重化 港外側消波工設置

対策

イメージ

I 3.1 0.71 < 1.0 N.G. 0.99 < 1.0 N.G.

J 3.0 0.84 < 1.0 N.G. 1.20 ≧ 1.0 O.K.部分係数法

区間防波堤天端高

D.L.(m)照査手法 滑  動 転  倒

港内側補強

腹付工

中詰高比重化 消波工設置

59

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3-5 港内側の捨石補強

(1)捨石補強高さ

補強体の直立部の高さ a は、壁高 16m の 1/3 を確保するものとし、5.4m に設定

した。

この場合、I 区間は、補強体天端高が-7.5m となり、ケーソン中詰天端高-7.9m

を 0.4m 程度超過することとなる。

ケーソンに中詰がない部分に石材による土圧が作用した場合、ケーソン側壁に

設計で考慮していない外力が作用する可能性が高いことから、I 区間の補強体天

端高については、ケーソン中詰天端高を限界として改良断面を設定した。

なお、この場合においても表-5に示すように a/H(壁高率)31.3%であり 33.3%

(1/3)と同程度は確保されている。

表-5 補強体の壁高

(2)捨石補強体の幅

裏込工の上幅 b は各区間の補強体壁高 a と同等の幅に設定し、壁体として荷重

に加算される「フーチング先端」から確保した(図-3参照)。

図-3 裏込工の幅

区間防波堤天端高

(D.L.m)基礎マウンド天端高(D.L.m)

壁高H(m)

中詰天端(D.L. m)

補強体天端高(D.L. m)

補強体壁高a(m)

a/H

I 3.1 -12.9 16.0 -7.9 -7.9 5.0 31.3%

J 3.0 -13.0 16.0 -5.5 -7.6 5.4 33.8%

h=5.4m

b=5.4m 2.0

60

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3-6 堤体の安定性照査

滑動安定計算のモデルを図-4に示す。裏込め補強体工法においては、技術基準

p.839 のとおり、部分係数 1.0(旧安全率法)を用いて、安定性照査を行った。ここで、

旧安全率に相当する「構造解析係数」について、滑動抵抗を考慮しない場合で、波

によるロッキングを防ぐために構造解析係数 1.0、滑動抵抗を考慮して 1.2 がそれ

ぞれ規定されている。耐力作用比としては、構造解析係数を踏まえ 1.0 を確保する

必要がある。

○滑動抵抗力なし ○滑動抵抗力(基礎捨石φ=40゜)

図-4 滑動安定計算のモデル

堤体の安定性照査結果を表-6に示す。堤体のフーチング上に石材が載ることに

より壁体として重量が加算され、滑動抵抗を考慮する場合としない場合ともに耐力

作用比 1.0 が確保された。

なお、転倒、基礎支持力、円弧すべりは、通常の部分係数法で算出した。

表-6 堤体の安定性照査結果

表-7 円弧すべりに対する照査結果

裏込め補強式 1.43 ≧ 1.0 O.K. 1.74 ≧ 1.0 O.K.

裏込め補強式 1.55 ≧ 1.0 O.K. 1.76 ≧ 1.0 O.K.

区間 対策案円弧すべり

港 外 側 港 内 側

J

L.W.L +0.00-

-12.00

+3.00

-4.00

9.60

港内側港内側

-5.501.00

ズリ 石

2.00 2.00 2.00

2.003.00

1:2-14.00

B9.

(13.

6.90

ケー

捨石30~200kg/個-7.60

7.40

1:2

12.80

L.W.L +0.00-

-12.00

+3.00

-4.00

9.60

港内側港内側

-5.501.00

ズリ 石

2.00 2.00 2.00

2.003.00

1:2-14.00

B9.

(13.

6.90

ケー

捨石30~200kg/個-7.60

7.40

1:2

12.80

滑動抵抗力なし 1.0 1.00 ≧ 1.0 O.K.

滑動抵抗力(基礎捨石) 1.2 1.20 ≧ 1.0 O.K.

部分係数法 - 1.00 ≧ 1.0 O.K. 1.08 ≧ 1.0 O.K.

滑動抵抗力なし 1.0 1.20 ≧ 1.0 O.K.

滑動抵抗力(基礎捨石) 1.2 1.57 ≧ 1.0 O.K.

部分係数法 - 1.22 ≧ 1.0 O.K. 1.33 ≧ 1.0 O.K.

※「滑動抵抗力なし」は、フーチング上の石材重量を考慮、部分係数1.0、構造解析係数1.0 「滑動抵抗力考慮」は、石材重量+滑動抵抗力考慮、部分係数1.0、構造解析係数1.2

3.1

J 3.0

I

滑動構造解析係数

基礎の支持力(Bishop法)

滑  動 転  倒区間防波堤天端高D.L.(m)

照査手法

- -

- -

壁体重量 壁体重量

滑動抵抗力

61

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3-7 決定断面

I 区間、J 区間の決定断面を図-5、図-6に示す。

図-5 I 区間決定断面

図-6 J 区間決定断面

62

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敦賀港(鞠山北地区)防波堤(K’区間)(堤頭部)(見直し)

設計室

1.概要

本防波堤は、鞠山地区水域の静穏度向上を図るため昭和56年度より着手され、K′

区間堤頭部については、平成 24 年度に設計を行った。

決定断面は、堤頭部-15.5m 以浅において、被覆石の規格を 1,000kg/個としたが、基

礎工のズリ石は、砕石状の石材であることから吸い出しの懸念が生じた。

本設計は基礎捨石マウンド(ズリ石)の吸い出し対策を検討し、堤頭部断面につい

て見直しを行うものである。

図-1 設計対象位置図

図-2 設計対象区間 平面図

63

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2.原設計断面

原設計の断面を図-3に示す。

図-3 原設計断面

3.見直し断面における考え方

堤頭部-15.5m 以浅において、被覆石の規格を 1,000kg/個に決定したが、基礎工のズ

リ石は、実質無規格の砕石状の石材であることから、吸い出しの懸念が生じた。

3-1 問題点

ズリ石の吸い出しによる消波ブロックの沈下(衝撃砕波の発生)が問題となる。

また、ズリ石の吸い出しは、長期的に堤体の安定性に影響する可能性もある。

3-2 見直し方針

基礎・被覆材の規格を変更せず、「ズリ石」よりも粗く「被覆石 1,000kg/個」よ

りも細かい細粒石を中間層として敷設する。

4.中間層の設定

原設計のマウンド形状で安定性が確保されていることを踏まえ、中間層の規格、

厚さを設定した。

①基礎工の範囲内に、中間層を設ける。

②中間層の規格は、被覆石質量の 1/20 以上の質量(50kg/個)程度で、調達が

容易な「30~200kg/個」とする。

③層厚は、堤幹部の同規格(30~200kg/個)の実績を踏まえ、1.5mを確保する。

64

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5.決定断面

原設計のマウンド形状で安定性が確保されていることを踏まえ、中間層の規格、厚

さを設定した。

見直し断面を図-4に示す。

図-4 決定断面

6.安定性の確認

原設計における、安定性照査結果を表-1に示す。

見直し断面では、ズリ石の一部を中間層として 30~200kg/個に置き換えている。

「30~200kg/個」は、ズリ石よりもせん断強度が大きく、単位体積重量が変わらな

いため安定計算の条件が安全側となり、安定性の問題はない。

表-1 安定性照査結果(原設計)

検討項目 作用方向 H.W.L. L.W.L. 備考

滑 動 合成

0.912 < 1.0 NG 0.974 < 1.0 NG 裏込抵抗未考慮

1.905 > 1.0 OK 2.014 > 1.0 OK 裏込抵抗考慮

転 倒

港外→港内 1.019 > 1.0 OK 1.112 > 1.0 OK

堤頭→堤幹 7.034 > 1.0 OK 7.666 > 1.0 OK

偏心傾斜

荷重 港外→港内 1.062 > 1.0 OK 1.098 > 1.0 OK

円弧

すべり

港外←港内 ----- 1.209 > 1.0 OK

港外→港内 ----- 1.076 > 1.0 OK

堤頭側 ----- 1.009 > 1.0 OK マウンドの余裕 2m を見込まない

※フーチング無しで照査

1:2

-27.00

港外側港内側 L.W.L.±0.00m

H.W.L.+0.50m

1:2.51:2

1:4/3

-6.00

-7.50

4.70

K区間中心線

4.70

9.40

-14.00

+1.60+3.00

中詰コンクリート

消波

ブロック

捨石マウンド(ズリ)

1000kg/個

余盛り範囲

余盛り範囲 余盛り範囲

-15.5(先行マウンド)1:2

2.00 2.00

1:2

200~500

kg/個

200~500kg/個

1000kg

/個

30~200kg/個

(4t型)

捨石マウンド(ズリ)

13.70 13.70

1:2.5

1.50

1.50

1.50

1.50

凡例中間層

65

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参考図 平面図・縦断図

港外側

港内側

1:4/

3

1

-6.00

-6.00

+3.00

+3.00

1:4/3

1

2

2

スリット

-6.00

-6.00

10.60

捨石マウンド(1000kg/個)

捨石マウンド(30~500kg/個)

捨石マウンド(1000kg/個)

1:2

1:2

.5

捨石マウンド

1:4/3

1:2

1:2.

5

1:4/3

ケーソン1函分

消波ブロック

捨石マウンド(30~500kg/個)

捨石マウンド(ズリ)

18.

4018.40

36.8

0

6.40

3.00

15.4

015.

403.0

0

1:2.5

→堤幹部堤頭部←

ケーソン1函分

消波ブロック

捨石マウンド(30~500kg/個)

捨石マウンド(ズリ)

捨石マウンド(1000kg/個)

捨石マウンド(30~500kg/個)

捨石マウンド(1000kg/個)

1:2

1:2

.5

捨石マウンド

1:4/3

捨石マウンド(200~500kg/個)

(1000kg/個)捨石マウンド(200~500kg/個)

捨石マウンド(200~500kg/個)

1:2

1:2.5

1:2

.5

港外側

港内側

1:4/

3

1

-6.00

-6.00

+3.00

+3.00

1:4/3

1

2

2

スリット

-6.00

-6.00

10.60

18.

4018.40

36.8

0

6.40

3.00

15.4

015.

403.0

0

1:2.5

1:2

1:2.

5

1:4/3

捨石マウンド(200~500kg/個)

(1000kg/個)捨石マウンド(200~500kg/個)

捨石マウンド(200~500kg/個)

1:2

1:2.5

1:2

.5

ケーソン1函分

消波ブロック

捨石マウンド(30~500kg/個)

捨石マウンド(ズリ)

捨石マウンド(1000kg/個)

捨石マウンド(30~500kg/個)

捨石マウンド(1000kg/個)

1:2

1:2

.5

捨石マウンド

1:4/3

港外側

港内側

1:4/

3

1

-6.00

-6.00

+3.00

+3.00

1:4/3

1

2

2

スリット

-6.00

-6.00

10.60

18.

4018.40

36.8

0

6.40

3.00

15.4

015.

403.0

0

1:2.5

1:2

1:2.

5

1:4/3

捨石マウンド(200~500kg/個)

(1000kg/個)捨石マウンド(200~500kg/個)

捨石マウンド(200~500kg/個)

1:2

1:2.5

1:2

.5

+1.60

中詰工中詰工中詰工

-14.00

14.80

+3.00

-6.00

+3.00

0.10 0.10

15.00

1:2.5

15.00

14.80

+3.00

-6.00

+3.00

0.10 0.10

15.00

1:2.5

15.00

中詰工

2.00

+1.60

中詰工中詰工中詰工

-14.00

1000kg

/個

200~500

kg/個

-27.00

30~200kg/個

消波ブロック

捨石マウンド(ズリ)

ケーソン

1:2 -15.5

2.00 2.00

-15.0(K区間先行マウンド天端高)

余盛り範囲

1:2

1000kg

/個

200~500

kg/個

-27.00

30~200kg/個

港外側

消波ブロック

捨石マウンド(ズリ)1:2.5

1:2.5

1:2.5

中詰工

2.00

ケーソン

1:2 -15.5

2.00 2.00

-15.0(K区間先行マウンド天端高)

余盛り範囲

1:2

港外側

消波ブロック

捨石マウンド(ズリ)

ケーソン

1:2 -15.5

2.00 2.00

-15.0(K区間先行マウンド天端高)

余盛り範囲

1:2

14.80

+3.00

-6.00

+3.00

0.10 0.10

15.00

1:2.5

15.00

中詰工

2.00

+1.60

中詰工中詰工中詰工

-14.00

港外側

1000kg

/個

200~500

kg/個

-27.00

30~200kg/個

1.50

1.50

凡例中間層

凡例中間層

66