ANCHANG シグネイチャー・エフェクターが 発売!! …WeROCK的楽器試奏会、引き続きセックス・マシンガンズのANCHANG...

Post on 26-Jul-2020

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まず、ANDORA'S BOX 制作のキッカケから教えてください。ANCHANG:じつは、今回のANDORA'S BOXの話の前に、個人的に趣味で僕にエフェクターを作ってくれた人がいたんですね。で、こういうのもおもしろいなと思って、ESPに“こういうカスタム・エフェクターって作れないかな?”って聞いたのが最初ですね。ANCHANGと言えば、長い間、ボスの SD-1をブースター的に使っていましたよね?ANCHANG:そうですね。SD-1をブースター的に使って、サウンドに広がりも出ていたんですけど、その個人的に作ってもらったエフェクターを試してみたら、自分がプロデュースして、本当に自分が出したい音を出せるエフェクターを作れないものかなと思って。そうしたらESPも“ぜひ、やろう”と言ってくれたんです。具体的には、ESPにはどういうリクエストを出したんですか?ANCHANG:偉そうな言い方ですけど、完全プロ仕様ということですね。これはエフェクター批判に聞こえてしまうと嫌なんですけど、世の中にはホントにたくさんエフェクターがあるし、実際に、僕もギターを始めた頃からいろいろ試してきたし、今のギタリストもそうだ

WeROCK的楽器試奏会、 引き続きセックス・マシンガンズのANCHANGのシグネイチャー・ペダルを取り上げよう。ANDORA'S BOXと名付けられたこの歪み系ペダルは、ANCHANGの理想を100%実現したものだ。ANCHANGのインタヴューと試奏記事で、このモデルの魅力をお伝えしよう。

的楽器試奏会

 ここでは、約10年にわたって、ANCHANGのギター・サウンドを支えてきたESPの萬成氏が語ってくれた、“ANDORA'S BOX”の開発秘話を紹介しよう。 「ANCHANGも話しているように、最初はANCHANG の友達が作ってきたエフェクターがあって、“こういうことってESP でできないの?”って聞かれたことがスタートですね。ただ、ESPはギター・メーカーだし電気部門もあるんですけど、スタッフの数に限りがあるんですね。だから、ANCHANGに1台を作ることはできても、市販するということを考えたら、アフター・ケアなどもあって量産は難しいと。そこで、ESP が販売しているブート・レッグに製作を依頼することになったんです。 実際の製作にあたっては、僕自身が12 年間ぐらいセックス・マシンガンズのライヴやリハーサル、レ

コーディングなどを支えてきて、ANCHANG の理想の音はわかっているから、特に難しいことはなかったですね。ポイントとしては、ANCHANG用に改造を施して、長い間、使っていたボスの SD-1や、他にもボスのOD-1、あるいはチューブ・スクリーマーなどを軸に、“このエフェクターのここを採り入れて、でも、ここは不要だ ”的なことをブート・レッグに伝えて、あとは各ツマミの可変域を広くしてくれということぐらいでした。 最初に3台試作品が上がってきて、春ぐらいからリハーサルやツアーで試してきた中で、ベストの1台が決まり、そのまんまの仕様で市販することになりました。配線の取り回しからパーツ選びまで、信号のロスがないように、職人が1個1個ハンドメイドで仕上げています。ANCHANGが言っていましたが、15w 程度のアンプにつないでも、ANDORA'S

BOXの真価は発揮しづらいかもしれません。それに、セールス・トーク的には、“このエフェクターを使えば、ANCHANGと同じサウンドが出せる!”と言えばいいんでしょうけど、けしてそれだけじゃないし、むしろ最初に手にした時には、使いづらいなぁと思われるかもしれない。でも、すぐにダメだなと思わずにツマミをいろいろ試してほしいです。ホントにブースター的な役目もディストーションとしてのサウンドもOKですし、シングルコイルのギターとマッチレスのようなアンプと組み合わせてもいいと思います。  たかが 1台の歪み系エフェクターなんですけど、無限の可能性が秘められていると思います。ストラトにマッチレスというようなメタルじゃない使い方もおもしろいと思います。ANCHANG のファン以外にも試してほしいですね。ホントに自信がありますから」。

 ESPの担当スタッフが明かす、ANDORA'S BOXの開発秘話“ANCHANGと同じサウンド”だけじゃない、無限の可能性を秘めています

と思うんですね。でも、本気で音楽をやろうとすると使えないものがあるんですよ。例えば、ヘヴィ・メタル系の名前が付いている歪み系のエフェクターもよくあるし、そういうものは確かに歪むし、中学生とか高校生が家で弾くにはいいと思うんですよ。歪み系エフェクターをつなぐと、弾けていないのに、弾けたように聴こえますしね(笑)。僕自身がそうでしたから(笑)。プロ仕様と言っても、かなり幅広いですよね?ANCHANG:ええ。だから、僕の出したい音というところで、まずはブースター的な要素は入れたいと。そして、もっと言えば、ちゃんとしたアンプ……例えば、僕が使っているヒュース&ケトナーやマーシャル、メサ/ブギーなどの 50wとか100wのアンプの足りないところを補えるエフェクターであるということですね。そういうのが、今までの僕にとってはボスの SD-1だったんですよ。ただ、SD-1は使いやすかったし、音もよかったけど、10 年間ぐらい使ってきて、僕の中で完成してしまったというか、さらに求めるものが出てきたんです。さらに求めていたものとは?ANCHANG:チューブ・スクリーマー系のちょっとつぶれたような音ですね。僕がチューブ・スクリーマー系でいいなと思う部分は、オーバードライブとして使うの

■問い合わせ:㈱ ESP(http://www.espguitars.co.jp)

 まず、率直でわかりやすい感想を言うと、かなりグッドな感触が得られたエフェクターだった。とくに、オーバードライブともディストーションとも括りをしていないモデルだが、ブースター~オーバードライブまでを守備範囲とする歪みを持っている。 試奏は、“おそらく、こういう使用がベスト”と思われる、アンプで歪ませて、ブースター的に使う方法から始めてみた。まず、気になるオフ時の音色だが、他のエフェクターと比べても、接続した時の音色の劣化は、ほとんど感じられない。同じ系統のオーバードライブと弾き比べてみたのだが、他のモデルがローとハイの部分がまろやかに感じたのに対し、このモデルはオフ時でもローがしっかりと出てくれるので、“オンにしてる?”と錯覚してしまうほどだった。 続いて、エフェクトをオンにして、DRIVEゼロ、LEVEL12 時付近、TONE11時付近で試奏。もともとアンプで歪ませていたサウンドが、かなりブライトになってくれる。倍音成分も豊かで、ローの出方は秀逸。チューブ・スクリーマーを意識したとのことだが、チューブ・スクリーマーが中域寄りに特徴があるのに対して、このモデルはギターやアンプを原音のまま、トーンをブライトにして、ローの音圧を増してくれている。コンプ感は少ない方向で、他の歪み系エフェクターに比べると、ほとんどないように感じられ、ピッキングのニュアンスがそのままに再現される。逆に言えば、エフェクターをオンにしてコンプ感が得たいギタリストには、ニュアンスがそのまま出てしまうため、ごまかしが効かないエフェクターともいえる。 特にいい部分は、ローの出方と音圧の増し方だ。これまでも、この方向を追求した歪み系エフェクターは多くあったが、そっちを追求すると倍音が出にくかったり、低音が出すぎたりしてしまっていた。しかし、このモデルは、倍音もしっかりと増してくれ、嫌みがなく低音も音圧も増し

てくれる。音のツブ立ちも、かなりいい。 好みの問題もあると思うが、中域の膨らみとコンプ感の弾きやすさを求めるならチューブ・スクリーマー、原音に忠実でダイレクトな弾き心地とローの押し出し感を得たいなら、断然ANRORA’S BOXだろう。 ブースター使用で、かなり満足な結果が得られたが、続いてANRORA'S BOX単体の歪みを試してみた。アンプをクリーンにして、DRIVEをフルにすると、軽いクランチ程度の歪みが得られる。ディストーションほどの歪みではない。いっぽう、アンプをクランチ気味にして試すと、DRIVEをゼロでTONEの効き幅が体感できる。TONEがゼロだとミッドが強調され、フルだとプレゼンス的な高音のギラギラした部分が出てくれる。DRIVEをフルにすると、ヘヴィな歪みになってくれるので、オフで “アンプのみの軽いディストーション・サウンド ”、オンで “ソロもOKなヘヴィ・サウンド ”というセッティングができる。 ここまで、かなり高評価ばかり書いてきたが、難点も挙げておこう。まず、スイッチのオン/オフ時の音が大きい。アンプを歪ませての使用というのもあるが、大音量で弾くと、かなり“バチッ”と出てしまう。ただ、これはバンド内でプレイしていたり、弾き続けている際に切り替える時は、ほとんど気にならないだろう。また、これも、どうしようもないのだが、アンプで歪ませてDRIVEをゼロにしても、ブースター的に使う際、大音量だとどうしてもハウリングしやすい。 これは、LEVELを調整すれば解消するのだが、ANRORA'S BOXは LEVELを上げていくと、いい感じで音圧が増してくれるので、どうしても上げたくなる。12時から2時ぐらいの位置なら、ハウリングも出にくいので、使用する際は、そのあたりを試しつつベストのセッティングを探してほしい。

原音に忠実なローの出方と音圧の増し方を求めるギタリストに断然オススメ!

ルのコントロールです。この出力の部分で、歪み全体が変わってしまう。アンプ+オーバードライブというよりも、アンプ+ブースターとして、ムダなローをカットする、おいしいところを出すために作ったエフェクターですから。だから、ドライブ・ツマミで歪みを作るのではなく、レベル・ツマミで作るというのが僕の使い方ですね。それこそ、ドライブ・ツマミは全体を10とするなら、1とか2で充分です。あと、マルチを使っているギタリストにも、一緒に使うとデジタルくささが消えると思うのでオススメです。ただね……ギタリストのタッチやニュアンス、音の輪郭がハッキリ出てくれるので……僕のヘタさがバレてしまう(笑)。だから、このANDORA'S BOXを使うために、ギターの練習をしましたからね(笑)。つまり、さっきも言いましたけど、他のダメな歪み系のエフェクターのように、けしてギタリストの腕をごまかすものじゃないんですよ。本気で使う人しか使わないでくださいということなんです。あえて偉そうな言い方をしますけど、ANDORA'S BOXを使えないなら、プロ・ギタリストを辞めたほうがいいよと。 でも、このモデルのよさはなかなかわかりづらいかもしれないですけど、ホントにいい感じで潰れて、いい感じで輪郭が出ます。ちゃんとした歪みが生まれるアンプにつないだ時に、真価が出るんです。ホントに試してほしいですね。

輪郭をハッキリと出してくれる、完全プロ仕様の歪みです(ANCHANG)

◎こちらは通常版の ANDORA'S BOX。LEVEL と TONE、DRIVEの各ツマミのデザインが異なる以外、中の回路は初回限定版とまったく同じ。

ウワサの歪み系ペダル、いよいよ登場

ではなく、余分なローをカットしたり、ブーストして音の輪郭をハッキリさせるというところなんですよ。でも、チューブ・スクリーマーそのままだと、やっぱりどこか音が古くなってしまう。実際に、すでにライヴなどで使ってきたそうですが、その感想は?ANCHANG:正直言うと、使いづらいと思います。というのは、さっきも言ったんですけど、ちゃんとしたアンプにつながないとこのエフェクターの良さは出ないんですよ。僕が欲しかったのは、ライヴで使える、そしてレコーディングで使えるエフェクターだった。逆に言うと、よくギターを始めたばかりの中学生や高校生が、好きなギタリストに憧れて同じエフェクターを買って、というのがありますが、そういう狙いで入手すると失敗します(笑)。音のキャラクターとしては、どうなんでしょうか? やはりメタル・モデルなんですか?ANCHANG:そこはもちろん自信があります。でも、ブースターとして優れているので、例えば、ストラトキャスターとジャズコーラスのようなトランジスタ・アンプという組み合わせでもまったく問題ないし、フェンダーのツイン・リバーブのようなアンプだと、それこそスティーヴィー・レイ・ヴォーンのようなサウンドが得られます。その他に、使ってみて感じた特徴は?ANCHANG:堅牢ということですね。ライヴで使うということを考えたら、そこもバカにできないですよ。あと、各ツマミの効き幅が広いですね。ドライブ・ツマミの効き幅はかなり広い。それこそ、オーバードライブ的なところからエグいファズみたいなサウンドまでOKですね。ANCHANGのオススメの使い方は?ANCHANG:僕はブースター的に使っているんですけど、ずっとオンにして、ドライブはあまり上げずに、ということですね。あと、シビアに考えているのは、レベ

 このANDORA'S BOXの発売を記念して、2010 年2月11日に、東京・秋葉原のイケベ楽器店の地下、クラブグッドマンでイヴェントが行なわれる。 詳細は未定だが、当日はANCHANG自身が音の魅力や使い方のコツなどを伝授してくれるかも? 最新情報は㈱ ESPのホームページ(http://www.espguitars.co.jp)で告知されるので、チェックしておこう!

発売記念イヴェントも開催される!

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編 集 部 歪 み 担 当 が 徹 底 試 奏ANCHANG(セックス・マシンガンズ)のシグネイチャー・エフェクターが12月24日に発売!!

●コントロール:レベル、トーン、ドライヴ ●入出力端子:イン、アウト、DCイン ●電源:006P(9v)/ACアダプター ●外形寸法:82(幅)×44(高さ)×110(奥行き)mm ●重量:350g ●初回限定69台は、ドクロ・ノブ仕様、ANCHANG直筆サイン入りの認定書付き ●12月24日発売

ESP:ANDORA'S BOX ADB-1.0

¥36,700(初回限定69台/写真左)/¥33,600(通常版)

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