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Title MATERIAL DESIGN OF BIODEGRADABLE CELL SCAFFOLDS FOR CONTROLLED RELEASE OF BONE MORPHOGENETIC PROTEIN-2 AND THE BONE REGENERATION POTENTIAL( Abstract_要旨 ) Author(s) Takahashi, Yoshitake Citation Kyoto University (京都大学) Issue Date 2007-07-23 URL https://doi.org/10.14989/doctor.r12103 Right Type Thesis or Dissertation Textversion author Kyoto University
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MATERIAL DESIGN OF BIODEGRADABLE CELL Title ...repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/...Title MATERIAL DESIGN OF BIODEGRADABLE CELL SCAFFOLDS FOR CONTROLLED RELEASE

Aug 25, 2020

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Title

MATERIAL DESIGN OF BIODEGRADABLE CELLSCAFFOLDS FOR CONTROLLED RELEASE OF BONEMORPHOGENETIC PROTEIN-2 AND THE BONEREGENERATION POTENTIAL( Abstract_要旨 )

Author(s) Takahashi, Yoshitake

Citation Kyoto University (京都大学)

Issue Date 2007-07-23

URL https://doi.org/10.14989/doctor.r12103

Right

Type Thesis or Dissertation

Textversion author

Kyoto University

Page 2: MATERIAL DESIGN OF BIODEGRADABLE CELL Title ...repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/...Title MATERIAL DESIGN OF BIODEGRADABLE CELL SCAFFOLDS FOR CONTROLLED RELEASE

―1989―

【837】

氏     名たか

橋はし

佳よし

丈たけ

学位(専攻分野) 博  士 (工  学)

学 位 記 番 号 論 工 博 第 3968 号

学位授与の日付 平 成 19 年 7 月 23 日

学位授与の要件 学 位 規 則 第 4 条 第 2 項 該 当

学位論文題目 MATERIAL DESIGN OF BIODEGRADABLE CELL SCAFFOLDSFOR CONTROLLED RELEASE OF BONE MORPHOGENETICPROTEIN-2 AND THE BONE REGENERATION POTENTIAL(骨形成因子の徐放化のための生体吸収性細胞足場の材料設計とその骨再生能)

(主 査)論文調査委員 教 授 田 畑 泰 彦  教 授 岩 田 博 夫  教 授 木 村 俊 作

論   文   内   容   の   要   旨

外傷や腫瘍切除などにより大きな骨欠損を生じた場合に,人工材料による骨組織再建に代わる新しい治療方法として骨再

生医療が盛んに行われている。骨組織の再生のためには,足場材料,細胞増殖因子,細胞をうまく組み合わせて利用するこ

とが必要である。しかしながら,骨再生の臨床上では,細胞増殖因子の徐放化が可能な材料が少なく,細胞増殖因子の高濃

度投与を行っているのが現状であり,細胞増殖因子の徐放化が必要とされている。また,細胞を利用した骨再生においては,

細胞の浸入,高密度かつ均一な細胞播種が可能な,空孔構造を有する足場材料の設計が必要とされている。本論文は,骨再

生のための細胞増殖因子の徐放化ならびに細胞播種に適した生体吸収性足場の設計に関して研究したものであり,緒言,本

論2編8章,および総括から構成されている。

緒言では,骨再建および骨再生に関する現状,ならびに骨再生の必須要素について概説し,本研究の目的とその背景,お

よび本論文の概要が述べられている。

第1編では,骨再生のため,架橋度の異なるゼラチンハイドロゲルおよびゼラチンとリン酸三カルシウム複合スポンジ

(ゼラチン-β-TCPスポンジ)を作製し,骨形成因子(BMP-2)の徐放化担体としての性質,および骨組織再生に関して研

究した結果をまとめている。

第1章では,架橋度の異なるゼラチンハイドロゲルを作製し,ゼラチンハイドロゲルからのBMP-2の徐放化,およびマ

ウス背部皮下での異所性骨形成について検討を行っている。その結果,BMP-2の徐放化はハイドロゲルの分解性に大きく

影響され,異所性骨形成に関してもBMP-2徐放化により,BMP-2水溶液投与に比較して,高い骨再生活性を示すことを見

出している。

第2章では,ウサギの尺骨欠損部において,BMP-2徐放化による同所性骨形成に関して検討している。その結果,異所

性骨形成時と同様に同所性骨形成においても,BMP-2徐放化プロフィールに大きく影響され,ある適当なBMP-2徐放化パ

ターンをもつハイドロゲルにおいて高い骨再生誘導を示すことを明らかにしている。

第3章では,霊長類の頭蓋骨欠損部において,BMP-2徐放化による骨再生能を検討している。その結果,骨形成は

BMP-2徐放化プロフィールに大きく影響され,含水率97.8%のゼラチンハイドロゲルにおいて最も高い骨形成能を示すこ

とを明らかにしている。さらに5μg/siteという低いBMP-2濃度において骨再生誘導に成功している。

第4章では,ゼラチン水溶液を発泡化させることで,BMP-2の徐放化かつ細胞の播種が可能な足場の作製を試みている。

また,ゼラチンスポンジの圧縮弾性率の向上を目的に,β-TCPを複合したゼラチン-β-TCPスポンジの作製も行っている。

その結果,いずれのゼラチン/β-TCP比率においても平均180-200μmの孔径をもつスポンジが得られ,これらのスポンジ

を用いてBMP-2の徐放試験を行ったところ,BMP-2が徐放化されることを明らかにしている。

第2編では,種々の3次元足場中での間葉系幹細胞(MSC)の骨分化能の評価を通じて,骨再生に与える足場の影響に

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―1990―

ついて考察している。

第5章では,細胞の3次元培養にて骨再生を促進することを目的に,足場中にMSCを均一かつ高密度に播種するため,

ポリエチレンテレフタレート(PET)不織布中での細胞播種方法の最適化について検討を行っている。動的な振とう培養

を行った結果,静置培養に比較して細胞接着数が増加し,不織布中に均一に細胞が分布できることを見出している。

第6章では,繊維径の異なるPET不織布を用いて,MSCの骨分化培養を行うことにより,MSCの増殖および骨分化に

対するPET不織布の繊維径の影響を考察している。その結果,MSCの増殖,骨分化は不織布の繊維径および密度に大きく

影響され,骨組織再生には足場材料物性の設計が重要であることを論じている。

第7章では,第4章で作製したゼラチン-β-TCPスポンジ中でMSCの骨分化培養を行い,骨分化能に対する足場の影響

を検討している。その結果,骨分化能はスポンジ中のβ-TCP含量が50wt%で最大になることを見出し,スポンジ中の骨分

化の度合いはスポンジと細胞の親和性,ならびにスポンジの細胞密度が関与しており,両者のバランスが重要であると考察

している。

第8章では,骨腫瘍切除後の放射線照射治療において,骨再生能が抑制された骨欠損部を再生することを想定して,ゼラ

チン-β-TCPスポンジ,BMP-2,自己骨髄細胞を併用して骨再生を検討している。その結果,ゼラチン-β-TCPスポンジ

は骨再生能力の乏しい骨欠損部においても骨再生を誘導できる骨再生材料であることを明らかにしている。

論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

本論文は,骨組織再生のために重要な細胞増殖因子の徐放化ならびに細胞播種可能な足場材料の設計を行い,その足場材

料を用いて in vitroおよび in vivoにおける骨再生に関する研究成果をまとめたものであり,得られた主な成果は次の通り

である。

1.ゼラチンの架橋度を変化させることにより,吸収速度の異なるハイドロゲルの作製に成功した。ハイドロゲルからの

骨形成因子の徐放試験を行った結果,骨形成因子はハイドロゲルの分解にともなって徐放することを明らかにした。

2.生体内の骨欠損部に骨形成因子を含浸したゼラチンハイドロゲルを埋入したところ,骨再生度合いは,骨形成因子の

徐放速度に依存しており,マウスのみならず,霊長類においても骨再生を誘導できることを明らかにした。

3.ゼラチン水溶液を発泡化することで,骨形成因子の徐放化に加えて,細胞播種が可能なスポンジ構造を有する足場材

料の設計に成功した。また,リン酸三カルシウムを混合することによって足場材料の圧縮抵抗性が上昇することを示

した。

4.動的な細胞播種方法を最適化することにより,足場内に高密度かつ均一な細胞播種できることを見いだした。さらに,

旋回培養を行うことで静置培養に比較して,足場材料中での細胞増殖および骨分化が促進されることを示した。

5.足場材料に骨形成因子の徐放化ならびに自家骨髄細胞を組み合わせることにより,放射線照射した自己再生能力の低

い骨欠損部においても骨再生誘導できることを明らかにした。

以上,本論文は,骨組織再生に用いるため,細胞増殖因子の徐放化ならびに細胞播種に適した生体吸収性足場材料に関し

て重要な知見を得たものであり,学術上,実際上寄与するところが少なくない。よって,本論文は博士(工学)の学位論文

として価値あるものと認める。また,平成19年6月28日,論文内容とそれに関連した事項について試問を行った結果,合格

と認めた。