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アメリカの長編アニメーションの 色とライティング 講師 伊藤頼子
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Gcm#4 アメリカの長編アニメーションの 色とライティング

Jan 06, 2017

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アメリカの長編アニメーションの 色とライティング

講師 伊藤頼子

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講師 伊藤頼子(いとうよりこ) 自己紹介: アニメーション業界での長い経験 :2D、3D、ストップモーションアニメーション、ゲーム Dreamworks社にて2Dアニメーションの背景画として始める。バックグラウンドペインター・5年間の経験後、3Dアニメーションのビジュアルデベロップメントアーティスト・7年間) CinderBiterにてHenry Selick(ヘンリーセィック)のもとでストップモーションアニメーションのビジュアルデベロップメントアーティスト ゲーム会社にてアートディレクター、 母校美大Academy of Art Universityで講師4 年目 VRオキュラス ”ヘンリー”のビジュアルデベロップメントアート Dreamworks animationとPDI- Dreamworks13年 Imagi USA, CinderBiter( HenrySelick: Stopmoton animation)Freelance work: Arc Studios, Nickelodeon interactive, Occulus(Facebook), PDI-Dreamworks, Illumination studio, Activision, Google Pubished children’s books (絵本出版)など

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日本とアメリカのアニメーションの違いは? • スタイル(絵柄)

• 予算

現代のアメリカの長編アニメーションは1980年代以降のディズニー映画の成功に

より多くのスタジオがその手法やスタイルに沿って作り出した。またディスニーの経

験者が他のスタジオに移り、似たような制作方法になる。

Don Bluth, Dreamworks, Pixar, Warne Bro, Blue Sky, Paramount, Sony, Foxなど

ディスニー映画のスタイル・手法とは?

2Dアニメーションの技法は3Dにも生かされている。

• 綿密な計画と、細分化されたパイプライン

• コミッティーによる映画のストーリー制作

アートの違いは?

• 日本は2D アートの長い歴史、浮世絵の世界

• 西洋のアートは光と影を使った絵画

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Creating Visual development art for Animation Film 8

アニメーション映画のためのアート製作

Q.ビジュアルデベロップメントアーティストは何をするの?

ビジュアルでのストーリーテリング

映画のルックスを決める重要な仕事

• 映画のビジュアル(デザイン、カラーライティング)を決める

• 監督にビジュアルや設定などで感化させ、手助けする。

– 言葉の説明なしでそのシーンがだいたい何かが理解できる。

– 選ばれたコンテンツで明瞭に描く

– 見ている人をワクワクさせる絵が描ける。創造性豊か

• テクニカルな部分のビジュアル解説

• プロップ、エフェクト、テクスチャー、建設的な絵 •

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ビジュアルデベロップメントのアートの種類

⒈ 初期のビジュアルデベロップメントのアート

”LOOK OF ART” (その映画のスタイル)の探求

初期の目的

• スタイルの追求

• スタジオのクルーへの喚起や興味を沸かせる

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マダガスカル 1 初期のコンセプト by Yoriko Ito

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マダガスカル 1 初期のコンセプト by Yoriko Ito

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2.カラースクリプト 映画全体のカラーを節目ごとに大まかに決める

カラースクリプトの目的

映画全体の感情と雰囲気をカラーでシークエンスごとに構成し表現する。その話

の内容と感情のアップダウン(起承転結を使い分ける、キーカラーを使い分ける

時もある)

色、コントラストでストーリーを盛り上げる。

色と感情の関係

明るい色、暗い色、パステルカラー、リミテッドカラー

コントラストと感情の関係

ローコントラスト、ハイコントラスト

シークエンスごとにメリハリをつけること

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3.カラーキー シークエンスごとにショットの色構成

カラーキーの目的

ライターへの細かな指示 • 色と雰囲気が大切、ストーリー性がある

• ストーリーボードをシークエンスごとに分けて担当。その場面を表す角度によってキーを作成

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4.ロケーションデザイン

各ロケーションを全体的にデザイン、または部分的な

デザイン

• その場面全体を表す:Establish shot (広角レンズの

ショットが多い)

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⒌ モメンタムショット 話の場面から:

Momentum shot

話の一部であり、感情を表す場面

モメンタムショットの目的

• 大きなピッチで用いる

• 大まかな映画のスタイル内容を見てわかる(スタジ

オのクルー用)

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アクション場面:Action shot ( キャラクター中心が多い)

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6.スタイルガイド:Style guide

目的

• 各部署(エフェクト、モデラー、ライター、など)への

アートディレクションの説明

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8.ドリームシークエンス

(特別なデザインを必要とする)

目的

• セリフがないことが多く、ビジュアルの見せ所であり、

デザイン性が高く想像的なことが多い。

• ストーリーボードより細やかにビジュアルで話の説明が

できること

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9.ストーリーピッチアート

(ストーリーピッチを手助けする)

目的

• ストーリーボードより詳細でもっと映画のイ

メージが想像出来る

• 各コマごとには描かずに要所を選んで描く。

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10.キャラクターデザイン 8

専門職であり、そのデザイナーのスタイルで決まる。

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仕事の流れ

1.

脚本の内容を監督やプロダクションデザイナーと 話し合

う。監督とPDの映画観、意見を聞き、理解する。そこで自

分の意見やアイデアをどんどん出す。ビジュアルで話を盛

り上げたりロケーションなども具体的に提案したりすること。

そこから自分なりにその映画をビジュアライズする。

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3. アサインメント(アサインされた仕事)の手順

スケッチ> サムネイル> レイアウト> トーナルスタディー> トーナルレイアウト >

カラーキー> ファイナルペインティング

*ポイント その場面の状況を考える

• その話の内容に沿った場所背景設定のリサーチ(ネットを使ったり、それに関係した映画

を見たりや本などを読む)

• キャラクターからの視点:感情・恐怖、幸福、感激、悲観、暖かいか寂しいかなどその場

面の季節、時間帯(早朝、午前中、午後、夕方、夕日、夜、深夜)気候(晴天、雨、嵐、霧

、雪など)

• 決まってなければその場面に会った時間帯を選ぶ。場面の感情や状況から選ぶ。(例:

ロマンティック=夕日、ドラマテックな出来事=嵐、雷、雨、 憂鬱な出来事=霧、曇りな

ど)

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レイアウトデザイン

あなたがシネマトグラファー

• 場面(ストーリー)にあったレイアウトのデザインを構成する。

• ストーリーボード(基本的な情報のみが多い。簡単なパースとキャラク

ターだけ、また3Dストーリーボードもカメラの動き追ったもの)を見てダイ

ナミックな監督を感化させる絵描くこと。

• レイアウトの技法で場面の感情やストーリーテリングを助ける

デザインが一番大切

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レイアウトデザインの技法

1. 見ている人の視点の選択 Point of View (choice of POV) 2. 遠近法、パースペクティブ(目線の位置、1、2、3消終点eye level) 3. 三分の一の規則 Rule of Thirds 4. 左右対称と非対称:非対称の方が面白い、左右対称は安定的(例外

はあるが、避けることがおおい) Symmetric and Asymetrix composition

5. 広角レンズ(アクションに良い)とテレ画角(安定的)、その場面によって使い分ける。 Wide angle and Telephoto angle

6. オーバーラッピング (これによってレイアウトに距離感が出せる)Overlapping (foreground / mid ground/ far ground)

7. グルーピング=グループとしてまとめること Grouping (繰り返し、グルーピング、孤立したもの、ヒーロー的なもの)repeating, grouping, isolate object/hero object)

8. 視点を躍らす(リズム、流れ、方向性、これらはレイアウトを面白くさせるのに重要)Eye Moving (rhythm, flow, directions, pointing)

9. 遠近感とサイズ (類似の形の反復や平行なラインを避ける。使い分けることによって、絵の中に距離感が生まれる))

10. 常にネガティブの部分の形を意識する。Good use of Negative shape

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ライティングデザイン

ライティングを使って感情表現とストーリーテリングする

• コントラストの多いものは?

• ローコントラストは?

• ハイキーとローキー

バリュースタディー(トーナル)

レイアウトに明暗をつけたもの。まず最初に グラフィックな形で明暗をつける。サムネイルのようにして幾つかライティングアイデ

アを出す。その中から最も適したものを選び、それを大きくしてもっと細かく明暗をつけたものをトーナルレイアウトと言う。

ライティングは非常に大切。デザインの大きな一部。

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ライティングをするときの要点

1. 全体を見て影を使ってデザインをする。

2. キアロスクーロ=明暗 Chiaroscuro 明確な明暗でムードを作る

3. フォーカルポイントを作る (コントラスト・対比で対照的な部分、

一番明るいところ、一番暗いところ)

1. ムードを作る(ダイナミックな光、ドラマティックな光、柔らかい光、逆光)

2. 劇場ライト(人工的な光、スポットライト、逆光)

3. 自然光を使う(時間帯、朝、昼間、夕日、月光)

4. セコンドライトを使う (サイドライト)

5. 影(キャストシャドウ)をうまく使い、デザインする。

6. ローカルバリュー(その物体の持つ明暗)を考える。

7. アトモスフィアー(遠近感、スペース、距離を表す環境 空気の表現)

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カラー・色

• メジャースタジオでは主に印象派的な色使いが多い

• 光を表す色使いとライティング(明暗)

• 色とライティングでの感情、時間、季節の表現

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色使いのポイント

• フルカラー VS 限定色(リミテッドカラー)

• 冷たい色 VS 暖かい色 光の当たっているところ=暖かい色

影の部分=冷たいい色 午前中=クールライトが当たっているため全体的にと影はクールになる

午後=ワームライトが当たっているため全体的にと影は暖かかくなる

• キーカラーを使ってストーリーテリング フォーカルポイントを作る(孤立色、彩度が高い)

• ムード作り(パステル調の色、彩度の高い色、モノトーン)

• 劇場ライト (人工的な光、スポットライト、逆光)

• 自然光を使う(時間帯、朝、昼間、夕日、月光)

• 複雑なライトソースを駆使する (メインライトソース・トップライト・反射ライト・外から来るバウンスライト、2番

目のライトソース)ローカルカラー(その物体の持つ色)を考える。

• ハイライトには白を沢山使わない。(例外を除いて)

• アトモスフィア (雰囲気、遠近感、スペース、距離を表す環境,空気の表現)

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Plein Air Painting 外でのペインティング

外でペイントすることで自然光での違った時間帯や天

候状態での複雑な色とライティングを勉強する。

• 写真からではわからないことがたくさん学ぶことができる。

• ペイントが早くなる。

• 見て目で実際に描いて覚える。

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ボックススタディー

• 自然光の設定で、色の箱をペイントさせる。4−5つの色の箱の中に必ず

白と黒を入れる。

• ローカルカラーとバリュー(明暗)を光を当てた中で見る。

• 光があったているところと影の部分を冷たいと暖かい色で分ける

• 色々な光の入り方を(トップライト、レフレクティブライト、バウンスライト)を

見る。

• アドヴァンスではこれの人工的な光と月明かりで、そして部屋の中での状

況の箱を描く。

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VR、バーチャルリアリティーのコンテンンツと違い character design by Willy: Guillermo

Wi

Oculus ”Henry”の制作

• デヴェロップメントは同じ

• 制作手順はほぼ同じ

• VR映画は短編アニメとしての要素、なんら変わり無い

• 一つの部屋での出来事=ロケーションが一つ

のためシンプルである

*違いについて

• ライティングがグローバルライティングが多い

• 映画のようにシーンがコンポーズできない

• 視聴者がどこを見るかわからない。(音やキャラクタの動きでストーリー視線を追わせる)

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これからの映像業界は

• アニメーションの世界もグローバル化 。

• スタジオは何処へ?

インターネットの普及によりどこでも観れるなんでも観れる

• 仕事のグローバル化 = 仕事が色々な国へと流れている

• ワーキングスタイルの多様化

• オンラインデマンド、ソフトさえあればどこででも観れる。

• VR やMR の開発普及によってより自由に違った世界へ

• コンテンツを作るデベロッパーが増える

• 世界のどの国、人種にでも受け入れられるコンテンツ作り

• 映像供給者プロバイダーが増えスタジオの役目担う。Google, Amazon, Netflix, VRのコンテンツ会

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ありがとうございました。