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Hitachi Sustainability Report 2019 サステナビリティ・マネジメント 2021 中期経営計画」と サステナビリティ 方針 創業以来、日立は「優れた自主技術・製品の開発を通じて社会に貢献する」という企業理念 を一貫して事業の中心に置き、社会が直面する課題に応えるとともに、人々のQuality of Life の向上と持続可能な社会の実現に貢献すべく、社会イノベーション事業を推進してきました。 サステナビリティを事業戦略の中核に組み入れた「サステナブル経営」を実践する日立は、 2019 5 月に発表した2021 年度を最終年度とする「 2021 中期経営計画」において、社会 イノベーション事業のグローバルリーダーとして持続可能な世界を実現することを目標に 掲げました 。「 社会価値」 「環境価値」 「 経済価値 」という3 つの価値を同時に向上させ、人々の Quality of Life の向上、顧客企業の価値の向上を図ります。 日立は、「 2021 中期経営計画」で新たなステージへ踏み出し、社会・環境・経済の 3 つの 価 値を同 時に向 上さ せ ることが で きる分 野として「 モビリティ」「 ライフ」「 インダストリー 」 「エネルギー」「 IT 」の5 つの事業領域を定めました。これらの3 つの価値を向上させるため、 日立はサイバーフィジカルシステムとしてデジタルイノベーションを加速するソリューション Lumadaを提供し、デジタルとリアルの空間を連携させ、世界中のパートナーとの協創のもと 社会イノベーション事業を拡大していきます。 日立は 、こうした考えの もと「2021 中期経営計画」に取り組み 、サステナビリティと事業の 融合をさらに進めていくことで、 Society 5.0 SDGs に示された社会課題の解決に貢献 していきます。 社会イノベーション事業 2021 中期経営計画 5 つのソリューションによる3 つの価値向上 13 Management Introduction Governance Data Environment Social Contents
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サステナビリティ・マネジメント - HitachiHitachi Sstainability Report 2019 サステナビリティ戦略推進体制 体制・制度 日立製作所は、2017...

Sep 23, 2020

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Hitachi Sustainability Report 2019

サステナビリティ・マネジメント

「2021中期経営計画」と サステナビリティ 方針

創業以来、日立は「優れた自主技術・製品の開発を通じて社会に貢献する」という企業理念を一貫して事業の中心に置き、社会が直面する課題に応えるとともに、人々のQuality of Life

の向上と持続可能な社会の実現に貢献すべく、社会イノベーション事業を推進してきました。サステナビリティを事業戦略の中核に組み入れた「サステナブル経営」を実践する日立は、2019年5月に発表した2021年度を最終年度とする「2021中期経営計画」において、社会イノベーション事業のグローバルリーダーとして持続可能な世界を実現することを目標に掲げました。「社会価値」「環境価値」「経済価値」という3つの価値を同時に向上させ、人々のQuality of Lifeの向上、顧客企業の価値の向上を図ります。日立は、「2021中期経営計画」で新たなステージへ踏み出し、社会・環境・経済の3つの価値を同時に向上させることができる分野として「モビリティ」「ライフ」「インダストリー」「エネルギー」「 IT」の5つの事業領域を定めました。これらの3つの価値を向上させるため、日立はサイバーフィジカルシステムとしてデジタルイノベーションを加速するソリューションLumadaを提供し、デジタルとリアルの空間を連携させ、世界中のパートナーとの協創のもと社会イノベーション事業を拡大していきます。日立は、こうした考えのもと「2021中期経営計画」に取り組み、サステナビリティと事業の融合をさらに進めていくことで、Society 5.0やSDGsに示された社会課題の解決に貢献していきます。

社会イノベーション事業

2021中期経営計画

https://social-innovation.hitachi/ja-jp/

http://www.hitachi.co.jp/IR/corporate/strategy/index.html

5つのソリューションによる3つの価値向上

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Page 2: サステナビリティ・マネジメント - HitachiHitachi Sstainability Report 2019 サステナビリティ戦略推進体制 体制・制度 日立製作所は、2017 年から日立のサステナビリティ戦略を経営・事業責任レベルで議論・

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サステナビリティ戦略推進体制 体制・制度

日立製作所は、2017年から日立のサステナビリティ戦略を経営・事業責任レベルで議論・決定することを目的とした「サステナビリティ戦略会議」を発足させました。この会議は、執行役社長兼CEO東原敏昭をはじめとする、経営会議のメンバーに加え、各ビジネスユニット(BU)のCEOをメンバーとしています。さらに、同会議のもと、各BUのサステナビリティ戦略推進担当者からなる「サステナビリ

ティ推進委員会」を設置し、企業が社会に与える影響に責任をもち、ステークホルダーからの要請に応えるという、従来のCSRに加え、事業活動の中でESG(環境・社会・ガバナンス)を重視し長期的な企業戦略を策定して持続可能な社会の実現をめざしていくために、SDGsの目標達成への貢献も含めたサステナビリティに関して具体的に施策を推進する体制も強化しました。

CSR施策の検討・審議については、本社のコーポレート関連部門をメンバーとする「CSR

コーポレート会議」やBUやグループ会社のCSR・社会貢献担当者をメンバーとする「CSR

責任者会議」を定期的に開催しています。また日本国外の地域統括会社のCSR担当者とは、グローバルCSRミーティングや海外地域別CSR連絡会を定期的に開催して、方向性を共有し、互いにフィードバックをしながらサステナビリティを推進しています。環境長期目標達成の具体的施策の審議・実行については、上述のサステナビリティ推進委員会と各BUやグループ会社の環境推進担当者をメンバーとする「エコマネジメント委員会」で連携して推進しています。日本国外の地域統括会社の環境施策担当者とは、グローバル環境ミーティングや海外地域別環境連絡会を定期的に開催して方向性を共有しながら環境施策を推進しています。また、日立全体のCSRマネジメント・活動において司令塔の役割を担ってきた日立製作所

CSR・環境戦略本部は、経営や事業におけるサステナビリティの広がりや重要性の増大に伴い、2018年4月にサステナビリティ推進本部へと体制を強化しました。

サステナビリティ推進本部は、日本国外の地域統括会社とも協力し、地域ごとにステークホルダーとのダイアログを定期的に実施しています。これらのダイアログを通じて、世界の社会課題をより早く広く深く把握し、経営課題として取り入れるとともに、日立がグローバル社会の中で社会的責任を果たせているかを確認し、継続的な改善を通じて、サステナブルな経営と社会の実現に努めています。

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サステナビリティ・マネジメント

Page 3: サステナビリティ・マネジメント - HitachiHitachi Sstainability Report 2019 サステナビリティ戦略推進体制 体制・制度 日立製作所は、2017 年から日立のサステナビリティ戦略を経営・事業責任レベルで議論・

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サステナビリティ戦略推進体制

サステナビリティ戦略会議議長 執行役社長兼CEO

メンバー 経営会議メンバー、ビジネスユニットのCEO、本社部門長内容 経営・事業責任レベルでサステナビリティ戦略を議論・決定

サステナビリティ推進委員会メンバー BU・主要グループ会社の事業推進部門長クラス内容 サステナビリティ戦略の具体的施策の審議・実行

エコマネジメント委員会メンバー BU・主要グループ会社の環境推進部門長クラス内容 サステナビリティ戦略における、環境長期目標達成の具体的施策の審議・実行

CSRコーポレート会議メンバー:経営企画、人財、法務、調達、品質他コーポレート部門の部長クラス内容:コーポレート部門CSR議論

環境責任者連絡会メンバー:BU、グループ会社の環境戦略責任者内容:環境方針の徹底と環境情報・活動の展開

CSR責任者会議メンバー:BU、グループ会社のCSR担当責任者内容:サステナビリティ戦略と活動報告・議論、BU、グループ会社のサステナビリティ活動紹介

海外地域別環境連絡会メンバー:海外サイトの環境業務従事者内容:環境方針および施策の展開、各地域の環境規制情報共有、相互情報共有

海外地域別CSR連絡会メンバー:海外グループ会社のCSR担当者内容:サステナビリティ戦略と活動報告、地域のCSR施策議論・情報共有

グローバルCSRミーティングメンバー:地域統括会社、日立製作所海外事務所のCSR担当責任者内容:本社サステナビリティ戦略と活動報告・審議、海外地域統括会社のCSR活動報告・審議

グローバル環境ミーティングメンバー:地域統括会社、日立製作所海外事務所の環境担当責任者内容:本社環境戦略と活動報告・審議、海外地域統括会社の環境活動報告・審議

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サステナビリティ・マネジメント

Page 4: サステナビリティ・マネジメント - HitachiHitachi Sstainability Report 2019 サステナビリティ戦略推進体制 体制・制度 日立製作所は、2017 年から日立のサステナビリティ戦略を経営・事業責任レベルで議論・

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サステナビリティ戦略会議の開催2018年度は、6月と12月にサステナビリティ戦略会議を開催しました。6月の会議では、

気候変動への日立の対応や2021年に向けた中期経営計画へのサステナビリティ戦略の統合について審議しました。具体的には、各BU・主要グループ会社の主要な事業とSDGsのかかわりについて、事業機会と事業リスク、さらにリスクへの対応までを明らかにするとともに、気候変動に対する社会からの要請に日立はどう向き合い対応すべきかを議論しました。また、「2021中期経営計画」に組み込むべきESGやSDGsといったサステナビリティ視点についても審議しました。12月の会議では、気候変動対策について、環境長期目標(CO2削減)達成のための具体的施策として、脱炭素ビジネスの拡大や日立インターナルカーボンプライシング(HICP)制度の導入について審議したほか、経営基盤となる人権、グリーン調達、人財育成などのコーポレート施策、サステナビリティに関するステークホルダーエンゲージメントや具体的な情報開示などについても審議しました。

SDGsへの貢献 方針

SDGsと社会イノベーション事業

SDGsはグローバルな社会・環境課題を解決することで持続可能な社会を実現し、人々のQuality of Lifeの向上をめざすものです。日立がこれまで推進してきた社会イノベーション事業は、まさにSDGsの達成に貢献するものであり、日立の持続的成長の源泉であると考えています。このため、日立は社会イノベーション事業における革新的なソリューションや製品の提供を通じて、新たな社会・環境・経済価値を創出することを経営戦略に据えるとともに、日立の事業が社会・環境にもたらすネガティブインパクトを低減し、社会・環境の変化による事業へのリスクを把握し、それに対する強靭性の向上に努めます。

日立は責任ある企業活動と社会イノベーション事業を通じて、 社会が直面する課題に率先して応え、SDGsの達成に貢献します。

日立はSDGsのすべての目標の達成に対して

直接的もしくは間接的に貢献

企業活動全体で貢献する目標

事業戦略で貢献する目標

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サステナビリティ・マネジメント

Page 5: サステナビリティ・マネジメント - HitachiHitachi Sstainability Report 2019 サステナビリティ戦略推進体制 体制・制度 日立製作所は、2017 年から日立のサステナビリティ戦略を経営・事業責任レベルで議論・

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日立が貢献するSDGsの特定

2017年度、執行役社長兼CEO 東原敏昭を議長とする「サステナビリティ戦略会議」において、SDGsの17目標とそれぞれにかかわる事業が及ぼすリスクと機会について検討し、日立がSDGsの達成に特に貢献できる目標として11目標を特定しました。そのうち、日立の主要な事業戦略を通じてSDGsの達成に大きく貢献できる目標として

5つを、企業活動全体を通じて貢献すべき目標として6つの目標を特定しました。後者の企業活動全体で貢献すべき6つの目標は日立のすべての事業・経営戦略に関係しており、企業としてのサステナビリティに影響を与えるものであると考えます。しかしながら、多岐にわたる事業分野をもつ日立は、上記に特定した11の目標以外にも、

SDGsの達成に幅広く貢献できると考えています。また、日立はSDGsのそれぞれの目標は相互にかかわっていると理解しており、SDGsの17の目標すべての達成に向けて、直接的、間接的に貢献していきます。

SDGs達成へのロードマップ

SDGsが示す持続可能な社会の実現は、日立の持続的成長にもつながります。日立は直接的なお客様である企業や消費者だけでなく、広くその先にある社会に対しても価値を提供していると考えています。それが、社会イノベーション事業の本質であり、日立が提供する製品もサービスもすべて社会のサステナビリティと密接にかかわっています。日立は、SDGs達成への取り組みを通じて、グローバルでBusiness to Society企業としての地位を確立していきます。日立は2017年度からSDGs達成に向けた戦略的取り組みを本格的に開始しました。

フェーズ1では、日立グループ内でのサステナビリティおよびSDGsに対する理解を深めるための取り組みとして、水、エネルギー、ヘルスケア、鉄道の4BUを対象にワークショップを開催しました。また、サステナビリティ・ニュースレターを発行し、SDGsへの取り組みに対する理解・浸透を図ってきました。フェーズ2では、サステナビリティ推進本部が各BU・主要

グループ会社の事業企画部門と連携し、「事業機会」「リスク」の両面から、主要事業のSDGs

達成への貢献内容やSDGsによって創出される事業機会を整理する取り組みを実施しました。2018年度以降は、フェーズ3として、SDGsを切り口とした社会課題を起点とする新たな

事業の可能性を追求する取り組みを始めています。具体的には、各BU・主要グループ会社において、今後の社会イノベーション事業とSDGsのかかわりを整理し、各事業が生み出す社会価値・環境価値をできるだけ定量化するなど、価値向上の見える化に努めました。

2019年度は、「2021中期経営計画」で掲げた目標の中でもSDGsとかかわりの深い社会価値・環境価値の創出をお客様や社会により具体的に訴求できるよう、事業による社会・環境インパクトを評価する仕組みづくりの検討を始めました。今後は、「2021中期経営計画」で示された主要事業を例に、インパクト評価の手法を開発し、日立全体で活用できる社会価値・環境価値のインパクト評価の仕組みを確立していきます。この評価手法を用いながら、日立の事業がもたらす正と負の社会・環境インパクトを把握し、よりサステナブルな事業をお客様に提案することを通じて、「2021中期経営計画」で示した3つの価値を具現化していきます。

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サステナビリティ・マネジメント

Page 6: サステナビリティ・マネジメント - HitachiHitachi Sstainability Report 2019 サステナビリティ戦略推進体制 体制・制度 日立製作所は、2017 年から日立のサステナビリティ戦略を経営・事業責任レベルで議論・

Hitachi Sustainability Report 2019

Phase1、2

サステナビリティ・SDGsの理解、主要事業とSDGsのかかわりを整理

Phase3

経営戦略へのサステナビリティ視点の反映

Phase3

社会課題起点での新たな事業の

可能性追求

各BU・主要グループ会社、コーポレート関連部署、グローバル各拠点(地域戦略)と連携しながら進める

経営者サステナビリティメッセージ、シンポジウム、ワークショップ、ニュースレターなどで理解を深める

主に各BU・主要グループ会社の事業企画部門と連携し「事業機会」「リスク」の両面でかかわりを整理

「持続可能な社会」の実現が「日立の持続的成長」を実現するものであり、SDGs・サステナビリティの実現(社会課題の解決)に、当社の次のビジネス・成長の源泉があるとの考えを「2021

中期経営計画」の事業戦略に反映

社会価値・環境価値・経済価値を重視した経営を推進

「2021中期経営計画」における重点領域5セクターの事業が創出する非財務価値のインパクトを定量評価するための仕組みを検討

2017年度 2018年度 2019年度~

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