令和元年度 全国がん登録届出票作成講習会 宮城県立がんセンター 宮城県がん登録室 講義・演習 2,3 スライド資料 ③ 届出票作成講習会 1.診断施設、治療施設など 2.がん概論、進展度 3.原発部位、側性、病理診断 4.初回治療、総合演習 2 講義2 はこちら! 済 3 がんの詳しい情報 がんの初回治療 がんの拡がり 午後の講義・演習 届出票では… がんの拡がり ⑯進展度・治療前 ⑰進展度・術後病理学的 がんの詳しい情報 がんの初回治療 4
令和元年度
全国がん登録届出票作成講習会
宮城県立がんセンター 宮城県がん登録室
講義・演習 2,3
スライド資料 ③
届出票作成講習会
1.診断施設、治療施設など
2.がん概論、進展度
3.原発部位、側性、病理診断
4.初回治療、総合演習
2
講義2 はこちら!
済
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がんの詳しい情報
がんの初回治療
がんの拡がり
午後の講義・演習届出票では…
がんの拡がり⑯進展度・治療前⑰進展度・術後病理学的
がんの詳しい情報
がんの初回治療
4
「がん」 とは
• 悪性新生物の総称を「がん」 英語で「Cancer」• 「悪性腫瘍」ともいう
• 遺伝子異常の蓄積による細胞の異常な増殖
• 自分たちで勝手に増殖を始め、コントロールできない(自律性増殖)
• 周囲に浸み込むように広がる(浸潤する)
• 離れたところに飛んでいく(転移する)
• 何らかの方法で取り除かない限り、もとに戻ることはない
5
キャンサー
しんじゅん
参考: 全国がん登録 都道府県実務者研修(初級)より
6
「がん」 の種類
① 癌(carcinoma)・・・上皮組織から発生するもの例 胃癌、肺癌、乳癌、皮膚癌 など 悪性腫瘍の9割を占める
② 肉腫(Sarcoma) ・・・ 骨、軟骨、筋肉、脂肪などに由来するもの
例 骨肉腫、軟骨肉腫、脂肪肉腫など
③ その他・・・血液(血球)やリンパ球をつくる細胞に由来するものなど
例 白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫など
これを理解すると、診断名や病名
(届出項目 ⑨原発部位、⑩病理診断)の理解に役立つ
カルチノーマ
ザルコーマ
体の表面や、管腔臓器の粘膜を構成するものなどの空気や液体の通り道
良性腫瘍とは
• 増殖のスピードはゆっくり
• 周囲を圧迫するように広がるが、浸み込む
ような広がり方はしない(浸潤しない)
• 離れたところに飛んでいくことはない
(転移しない)
7参考: 全国がん登録 都道府県実務者研修(初級)より
がんの拡がり(病期)をあらわす分類
• 癌取扱い規約分類のTNM分類• FIGO分類(婦人科領域)
• Ann Arbor分類(悪性リンパ腫)
- 各臓器がんの関連学会などが定めた規約- 臨床分野で広く採用されている(医師が使う)
• UICC TNM分類- 国際的な分類- 院内がん登録で採用
• 進展度- 国際的な分類に基づいている- 取扱いが簡単で国・地域の比較に使われる- 全国がん登録は、この分類を採用
8
主なもの
必ずしも一致しない
TNM分類 について
• T分類(Tumor) :原発腫瘍の拡がり(深さや大きさ)
• N分類(LymphNodes) :領域リンパ節転移の有無と拡がり
• M分類(Metastasis):遠隔転移の有無
• Stage(病期) :T、N、Mの3つの要素を元に決定
9
※ 臨床分類(clinical) ➡ cTNM、 cStage (治療前の情報)
病理学的分類(pathological) ➡ pTNM、 pStage (手術の病理情報)
クリニカル
パソロジカル
10
T分類 (Tumor)
原発腫瘍の拡がり(深さや大きさ)
• T0 原発腫瘍を認めない
• Tis 上皮内癌
• T1~4 原発腫瘍の拡がりの程度で区分
• TX 評価が不可能
図: 全国がん登録 都道府県実務者研修(初級)より
T分類 (Tumor)原発腫瘍の拡がり(深さや大きさ)
11
M
SS
SM
MP
SE
粘膜(mucosa)
粘膜下層(submucosa)
固有筋層(musculalris propria)
漿膜下層(subserosa)
漿膜(serosa)
隣接臓器
Tis T1 T2T4
T3
例 大腸
S I
壁深達度
※ 壁深達度・・・がんが壁に食い込んでいる程度をしめす。
内側
外側
内側
外側
・・・評価が不可能
大腸は深さで分類
TX
M癌
SM癌
へき しんたつど
T4a T4b
12
• リンパ節とは病原菌による感染や異物と闘うための
小さな豆状の器官。
体中にあり、リンパ管でつながっている。
• 領域リンパ節とは各部位と直結したリンパの流れをもつ
リンパ節の集団。
リンパ節とは?(Lymph Nodes)
※リンパ節はそれぞれに名称、番号がある例 ♯202 ・・・202番のリンパ節(回結腸リンパ節)
図: フリーメディカルイラスト図鑑より
届出マニュアル 用語の変更あり
所属リンパ節 → 領域リンパ節
定義の詳細は変わりません。
13
2018.10.9 改訂
14
N分類 (Lymph Nodes)領域リンパ節転移の有無と拡がり
• N0 領域リンパ節転移なし
• N1~3 領域リンパ節転移あり
(大きさ、数、転移リンパ節部位、
側性等を考慮して、N1~3を区別)
• NX 評価が不可能
図: 和歌山県立医科大学附属病院 紀北分院 ホームページより
15
転移の種類• 血行性転移
血管を通じて全身の他の臓器へ転移例 大腸癌が肝臓に転移する、肺癌が脳に転移する
• 播種性転移
胸腔・腹腔や脳脊髄腔に種を播いたように広がる例 肺癌の胸腔内への播種、胃癌の腹腔内への播種
• リンパ行性転移
リンパ管を通じてリンパ節へ転移例 大腸癌が大腸の近傍のリンパ節へ転移する
胃癌が左鎖骨近くのリンパ節に転移する領域リンパ節転移
遠隔転移
遠隔転移
遠隔転移
※注意 原発巣の部位により、領域リンパ節や遠隔臓器の定義は変わる
はしゅ せい
こうせい
(元のがん)16
M分類 (Metastasis)
遠隔臓器(領域外リンパ節を含む)への転移
• M0 遠隔転移なし
• M1 遠隔転移あり
• MX 評価が不可能
図: 全国がん登録 都道府県実務者研修(初級)より
17
Stage(病期)
T、N、Mの3つの要素を元に決定
例 膵臓のStage(病期)
0 期 Tis N0 M0
ⅠA期 T1 N0 M0
ⅠB期 T2 N0 M0
ⅡA期 T3 N0 M0
ⅡB期 T1、T2、T3 N1 M0
Ⅲ期 T1、T2、T3 N2 M0
T4 Nに関係なく M0
Ⅳ期 T、Nに関係なく M1
※ A、B など亜分類をつけてさらに細かく分類される部分もある
T1N0M0 ➡ StageⅠA期
よ
り
進
行
進展度について
18
• 全国がん登録では、がんが原発巣(元のがん)からどこまで拡がっているかを「進展度」で分類。
• 5つだけの分類で取扱いが簡便。• 癌取扱い規約やUICC TNM分類などは頻繁に改訂するので
年によって比較が難しくなるが、進展度はほとんど変わらないため、経年変化をみることができる。
マニュアル 19~21ページ
①上皮内 ②限局 ③領域リンパ節転移
④隣接臓器浸潤
⑤遠隔転移
よ り 進 行
例 大腸がん
図: 大腸癌研究会 患者さんのための大腸がん治療ガイドライン2014年版より
• 進展度はほとんどの臨床医は使っていない。
• カルテに記載されるがんの拡がりは、癌取扱い規約
分類のTNM分類やUICC TNM分類などに基づくもの。
• これらの情報をカルテから読み取り、
「進展度」にあてはめて届け出なければならない。
19
進展度について
ただし・・・
進展度はどの情報から読み取るか?
病理診断内視鏡所見
手術所見 画像所見 サマリ 紹介状
上皮内 ○ ○ ー ー ○ ○
限局 ○ ○ ○ ○ ○ ○
領域リンパ節転移
○ ー ○ ○ ○ ○
隣接臓器浸潤
○ ー ○ ○ ○ ○
遠隔転移 ○ ー ○ ○ ○ ○
20
進展度対応表
21
• カルテにTNM分類などの情報があった場合に、進展度にあてはめることが可能
• 臓器別に表を掲載
UICC
本日の配布資料
例 乳房の場合
22
■UICC TNM分類以外が掲載されている部位- 消化器系の部位:取扱い規約- 婦人科系の部位:FIGO進行期- 脳及び脳髄膜:SEER- 悪性リンパ腫:Ann Arbor分類
例 胃の場合
UICC
進展度対応表 本日の配布資料
• 届出は ⑯進展度・治療前
⑰進展度・術後病理学的 の2項目
• 進展度を選ぶ際には、がん登録特有のルールがある
• このルールに沿って項目を選択しないと、
内容の矛盾 → 当室のシステム上登録ができない
→ 届出の施設へ問い合わせとなり皆様への負担増
23
届出項目の進展度 マニュアル19~21、38、39ページ
400. 上皮内
410. 限局
420. 領域リンパ節転移
430. 隣接臓器浸潤
440. 遠隔転移
777. 該当せず ・白血病、多発性骨髄腫(局在コードがC42.0又はC42.1)の場合に
必ず選択!
499. 不明 ・進展度についての情報がない場合
・⑫治療施設が 「4.他施設で初回治療終了後に自施設受診」
の場合
・原発巣が不明(局在コードがC80.9)の場合24
⑯進展度・治療前がんの治療前に得られた検査結果に基づき決定
ポイント
ポイント
マニュアル19~21、38ページ
※ マニュアルに記載は無いが国立がん研究センターに確認済のルール
・複数の区分に該当する情報がある場合、より進んでいる方を選ぶ
・「どちらか」疑いがある場合確実な方を選ぶ
例 隣接臓器へ浸潤している癌。
遠隔転移も疑われる。 → 隣接臓器浸潤 を選ぶ
400. 上皮内
410. 限局
420. 領域リンパ節転移
430. 隣接臓器浸潤
440. 遠隔転移
499. 不明
660. 手術なし又は ・自施設で 手術をしていない ときに選択!
術前治療後 ・手術の前に、初回の治療が開始された場合例 化学療法をした後、がんの切除をした
777. 該当せず ・白血病、多発性骨髄腫(局在コードがC42.0 又はC42.1)の
場合に必ず選択!25
⑰進展度・術後病理学的進展度・治療前の情報に、手術結果(病理診断)により得られた知見を補足、修正したもの
・自施設で
手術をした ときに選択!
ポイント
ポイント
手術の結果、400~440に当てはまらない場合や手術の結果、原発巣が不明な場合
マニュアル19~21、39ページ
・複数の区分に該当する情報がある場合、より進んでいる方を選ぶ
・「どちらか」疑いがある場合確実な方を選ぶ
ここで問題をやってみましょう!
<症例> 当院のCT検査にて肺癌(T3N3M0、StageⅢC)の診断。
手術の適応はなく、化学療法を施行した。
■⑯進展度・治療前 ・・・
■⑰進展度・術後病理学的 ・・・
26
より進行
440.遠隔転移
660.手術なし又は術前治療後
⑯進展度・治療前複数の区分に該当する情報がある場合、より進んでいる方を選ぶ
★演習問題を解いてみましょう!
• 【演習問題2】 11~12ページ
• 当てはまる選択肢に○をつけてください。
• 講義スライドは21~26ページ
• 届出マニュアルは19~21、38~39ページ
• 7)、8)は、配布資料「進展度,UICC TNM分類対応表」も使用
します。27
届出票作成講習会
1.診断施設、治療施設など
2.がん概論、進展度
3.原発部位、側性、病理診断
4.初回治療、総合演習
28
講義3 はこちら!
済
済
がんの初回治療
がんの詳しい情報⑧側性⑨原発部位⑩病理診断
がんの拡がり済
29 30
⑨ 原発部位原発(元のがん)の部位をできるだけ詳しく届出
診断名 (カルテ記載例) ⑨原発部位(例) 備考
食道癌 胸部食道 できるだけ詳しい原発部位をカルテからひろう大腸癌 盲腸
転移性肺癌(大腸癌からの肺転移)
横行結腸転移部位ではなく、原発部位を登録する転移性肺癌
(原発部位不明)原発不明
悪性リンパ腫 胃体部リンパ節以外(節外性)では原発の臓器
悪性リンパ腫 頸部リンパ節リンパ節(節性)では原発のリンパ節
慢性骨髄性白血病 骨髄ICD‐O‐3では、白血病の原発部位はすべて「骨髄」
骨肉腫 大腿骨 診断名に原発部位が含まれない場合は、カルテから詳しい原発部位をひろう悪性中皮腫 胸膜
マニュアル 30ページ
⑧側性
31
マニュアル 29ページ
1.右 2.左 3.両側 7.側性なし 9.不明
• 側性のある臓器・ない臓器のルールに従う
• カルテに左右の記載があっても、選択できる部位・
できない部位があるため注意!
詳細は、マニュアル または 本日の配布資料
全国がん登録 届出情報作成時の注意事項について
資料2 【臓器の側性コードについて】を参照
ポイント
32
資料2
1.右側 2.左側9.不明を選択できるのは
この臓器のみ
上記の臓器以外は
7.側性なし
3.両側 を
選択できるのはこの3つの場合のみ
・両側卵巣に発生した同じ組織形態の卵巣腫瘍
・両側腎臓に発生した腎芽腫(ウィルムス腫瘍)
・両側網膜に発生した網膜芽細胞腫
33
「がん」 の種類
① 癌(carcinoma)・・・上皮組織から発生するもの例 胃癌、肺癌、乳癌、皮膚癌 など 悪性腫瘍の9割を占める
② 肉腫(Sarcoma) ・・・ 骨、軟骨、筋肉、脂肪などに由来するもの
例 骨肉腫、軟骨肉腫、脂肪肉腫など
③ その他・・・血液(血球)やリンパ球をつくる細胞に由来するものなど
例 白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫など
これを理解すると、診断名や病名
(届出項目 ⑨原発部位、⑩病理診断)の理解に役立つ
カルチノーマ
ザルコーマ
体の表面や、管腔臓器の粘膜を構成するものなどの空気や液体の通り道
34
「がん」 の病理診断名
癌には色々な種類があるが臓器によって一定の傾向がある。(ただし、例外も多い)
皮膚、口腔・喉頭・食道、子宮頸部など(扁平上皮を有する)
胃・小腸・大腸、膵臓、乳腺、前立腺、子宮頸部・体部など(腺上皮を有する)
膀胱、尿管、腎盂など(尿路上皮を有する)
肝臓(肝細胞からなる)
扁平上皮癌 が多い
尿路上皮癌 が多い
肝細胞癌 が多い
腺癌 が多い
この癌の種類を、届出項目⑩病理診断で選択する。
⑩ 病理診断• 病理診断・形態コード、
病理診断・組織型テキストの2種類からなる。
• 病理診断・形態コードとは、ICD-O-3という国際的なルールに基づき、扁平上皮癌や腺癌などの癌組織を6桁の数字で表現したもの。
35
マニュアル31~32ページ
4桁の数字で特定された組織型
814039組織/細胞型 性状 異型度/分化度/
免疫表現型
例 腺癌
0 良性1 良性・悪性の別不詳2 上皮内癌3 悪性(浸潤癌)
1 異型度Ⅰ、高分化2 異型度Ⅱ、中分化3 異型度Ⅲ、低分化4 異型度Ⅳ、未分化、退形成5 T細胞6 B細胞7 ヌル細胞8 NK細胞9 異型度、分化度、細胞型が
未定、未記載、もしくは適応外
ICD‐O‐3
※届出票やHos-CanR Lite(入力ソフト)を利用した場合、「病理診断」を選択すると、コードは自動的に入力されます
届出票 病理診断の例
36
右のプルダウンメニューを押下し、病理診断を選択する。
病理診断を選択すると、コードが自動的に入力される。
→ これが ⑩病理診断の病理診断・組織型コード
⑩ 病理診断
• 細胞診、組織診、手術の摘出標本の病理診断
の結果を入力
- 病理学的診断結果の情報の詳しさを優先する。
手術の摘出標本 > 生検(Biopsy) > 細胞診(Cytology)
- 手術前に手術以外の治療が行われたときは、その
影響を受けるので、治療前の結果を入力
37
マニュアル31~32ページ
38
ここまでの情報で届出情報を作成
画像検査でがんの診断 組織診で腺癌の診断。手術施行
自施設 A病院
精査目的
他施設で実施した病理診断の結果でも,選択して良い。(ただし、他施設へ紹介後の情報は入れない)
補足1
組織診で腺癌の診断・化学療法施行
A病院 自施設
経過観察目的
画像検査で経過観察
腺 癌で届出
腺 癌で届出
悪性腫瘍で届出
×
○(1)
(2) ○
届出票に入力する時は、合致する または最も近いと思われる病理診断名を選び、備考欄に実際の病理診断の結果を入力する。
~合致するものが無い場合の例~
診 断 名:胃悪性リンパ腫病理診断:びまん性大細胞性B細胞リンパ腫(diffuse large Bcell lymphoma)
39
補足2
※Hos-CanR Liteは、プルダウンで合致する病理診断名が無い場合、検索マーク をクリック。それでも合致するものが無い場合は上記と同じ対応。
胃の2部位以上広範又は詳細部位不明
悪性リンパ腫
病理診断 : びまん性大細胞性B細胞リンパ腫
C16.9
9590/3
最も近いと思われるもの
実際の病理診断結果。
英語でもOK。
• 病理診断の情報が無い場合は、
「悪性腫瘍」 、「肉腫」 など大まかなものを選ぶ。
ただし、マニュアル32ページ
診断根拠が顕微鏡的(病理学的)診断でない時に
用いてよい形態コード
に掲載されているものは、病理診断の情報が無くても
選ぶことができる。
40
マニュアル31~32ページ
補足3
41
マニュアル 32ページ
⑬診断根拠 が
4.部位特異的腫瘍マーカー
5.臨床検査
6.臨床診断
9.不明
の場合でも選ぶことができる!
42
参考 ⑬ 診断根拠 マニュアル 35ページ
区分 説明 備考
1 原発巣の組織診陽性
病理組織診によるがんの診断 顕微鏡学的(病理学的)診断=直接がん細胞を確認
できるもの2 転移巣の
組織診陽性病理組織診によるがんの診断
3 細胞診陽性病理組織診ではがんの診断が無く、細胞診によるがんの診断
4部位特異的腫瘍マーカー
・ 肝細胞癌でのAFP高値
・ 絨毛癌でのHCG高値・ 神経芽細胞腫でのVMA高値・ ワルデンストレームマクログロブリン血症での
免疫グロブリン高値
顕微鏡学的(病理学的)診断ではない=直接がん細胞を確認
できないもの
5 臨床検査上記以外の腫瘍マーカー、画像診断(CT、MRI、エコー、X線、PET)、内視鏡・手術の所見等
6 臨床診断 1~5以外の検査(視診や触診での診断)
9 不明 がんと診断された検査が不明な場合
4つ限定
43
⑩病理診断-自施設診断の場合-
• CT(臨床検査)で肝細胞癌の診断
• CT(臨床検査)で腎細胞癌と診断
顕微鏡的診断が行われていない場合、マニュアル32ページの一覧表に掲載があるかを確認
マニュアル31~32ページ
ポイント
→ 悪性腫瘍 ○→ 肝細胞癌 ◎ マニュアル32ページの一覧表に あり
→ 悪性腫瘍 ○→ 腎細胞癌 ✕ マニュアル32ページの一覧表に なし
44
⑩病理診断-他施設診断の場合-
• 前医の紹介状に、がんの病名はあるが病理診断の
情報は不明
• 前医の紹介状に「腺癌」と記載はあるが、何の検査で
診断されたのか詳細は不明
• 病理診断の情報が無い場合、病名が「○○がん(癌)」ならば、悪性腫瘍を選ぶ
• 根拠がはっきりしない病名を、病理診断名として選択しない!(選択するとエラー → 当室から問い合わせ)
ポイント
→ 悪性腫瘍 ○
→ 悪性腫瘍 ○
→ 腺 癌 ✕
マニュアル31~32ページ
参考資料
病理診断報告書 (例1)症例:胃体部癌に対して噴門側胃切除術を施行
【病理診断】Poorly differentiated adenocarcinoma(por >> tub2) 、StomachAdenocarcinoma metastasis、 Lymph node
【病理所見】
胃体部前壁に潰瘍性病変を認め、病変に一致して、低分化腺癌を主として漿膜下層に浸潤しています。リンパ節は転移を認めます。切除断端は陰性ですが、漿膜下のリンパ管、静脈への高度な侵襲を認めます。
type 3、 40×35mm、 por >> tub2、 pT3(SS)、 int、 INFc、 ly3、 v2、pN2(6/29 #1: 2/3、 #2: 1/2、 #3: 0/4、 #4sa: 2/6、 #4d: 0/2、 #5: 0/3、 #6: 0/4、 #7: 1/2、 #8a: 0/0、 #9: 0/3)、 PM0、 DM0
⑩病理診断 : por>>tub2 (電子届出票では「腺癌」を選択し、備考欄にpor>>tub2 と入力)
⑰進展度・術後病理学的 : 420.領域リンパ節転移⑱外科的治療 : 1.自施設で施行㉑外科的・鏡視下・内視鏡的治療の範囲 : 1.腫瘍遺残なし
病理診断 (がんの組織像、組織型)
進展度(がんの拡がり)
治療の範囲(断端)詳細は部位別テキスト確認
※病理学的分類
➡ pTNM、 pStage
部位別テキスト (胃 抜粋) 病理診断報告書 (例2)
症例:S状結腸癌に対してESD(内視鏡的粘膜剥離術)施行
【病理診断】well differentiated tubular adenocarcinoma(tub1) 、sigmoid colon
【病理所見】50×40mmの側方拡大性腫瘍で、結節集簇性を示していま
す。組織学的所見では、高分化型管状腺癌で、水平断端に癌浸潤があり陽性です。
Tub1、 SM1、 INFα、 med、 ly0、 v0、 pHM1、 pVM0
病理診断 (がんの組織像、組織型)
進展度(がんの拡がり)
治療の範囲(断端)詳細は部位別テキスト確認(入手先はスライド48、 49)
⑩病理診断: tub1(電子届出票では「管状腺癌」を選択し、備考欄にtub1と入力)
⑰進展度・術後病理学的 : 410.限局⑳内視鏡的治療 : 1.自施設で施行㉑外科的・鏡視下・内視鏡的治療の範囲 : 4.腫瘍遺残あり