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All Rights Reserved by 仮想マイコン応用推進協議会/vECU-MBD WG オートモティブ・ソフトウェア・フロンティア 2017 クラウド活用による車載電子システムの モデルベース開発 2017年3月9日 仮想マイコン応用推進協議会/vECU-MBD WG 日産自動車株式会社 渡邉 晃 公益財団法人九州先端科学技術研究所 吉松 則文 オートモティブ・ソフトウェア・フロンティア 2017
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クラウド活用による車載電子システムの モデルベー …...• ISO/JIS*で定義されたウォータ・フォール型のSLCP** – 複数ECU・複数部署・複数サプライヤ

Jul 06, 2020

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クラウド活用による車載電子システムのモデルベース開発

2017年3月9日

仮想マイコン応用推進協議会/vECU-MBD WG

日産自動車株式会社

渡邉 晃

公益財団法人九州先端科学技術研究所

吉松 則文

オートモティブ・ソフトウェア・フロンティア 2017

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本日の概要

• 高機能化・ネットワーク化する車載電子システムの開発効率と開発品質を確保するため、これまでの日産自動車での取り組み紹介

• 今後の更なる車載システムの高機能化に向け、マイコンシミュレータを用いたサプライヤとの連携強化に期待

• その課題解決も期待されるvECU-MBD WGでのMBD×Cloudによる事例紹介

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vECU‐MBDワーキンググループ~ 概要 ~

目的: 仮想ECUを用いたモデルベース開発(MBD)の活用の推進 特徴: クルマの電子制御システムの開発に関わる自動車関連業界による、

「業界縦断型のコラボレーション」 活動開始: 2010年4月より ホームページURL: http://www.vecu‐mbd.org

自動車メーカ

サプライヤ 半導体メーカ

ツールメーカ 研究機関

W/Gのメンバ( 31機関、’17年2月)アイシン精機株式会社、イータス株式会社、株式会社インターバディ、株式会社ヴィッツ、Australian Semiconductor Technology Company株式会社、オムロンオートモーティブエレクトロニクス株式会社、ガイオ・テクノロジー株式会社、カルソニックカンセイ株式会社、公益財団法人九州先端科学技術研究所、クオリアーク・テクノロジー・ソリューションズ株式会社、サイプレス・イノベイツ株式会社、住友電装株式会社、株式会社ゼロソフト・アシストテクノロジー、dSPACE Japan株式会社、株式会社デンソー、株式会社東芝、

トヨタテクニカルディベロップメント株式会社、日産自動車株式会社、日本ケイデンス・デザインシステムズ社、日本シノプシス合同会社、一般財団法人日本自動車研究所、日立オートモティブシステムズ株式会社、株式会社日立産業制御ソリューションズ、株式会社日立製作所、富士通テン株式会社、ボッシュ株式会社、株式会社本田技術研究所、株式会社ボード・プランニング、マツダ株式会社、三菱電機株式会社、ルネサス エレクトロニクス株式会社

(順不同)

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vECU-MBDワーキンググループ

福岡開催ミーティングにて(2017年1月)

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vECU-MBDワーキンググループ~ これまでの主な活動の成果 ~

「仮想ECU活用のためのユーザ向け導入検討支援ガイド」作成の公開 仮想ECUの導入・活用の検討において、ユーザに役立つ情報のガイド

MBDで利用するCANバスモデルの仕様作成と公開 複数のECUを連成したシミュレーションを容易化するためのCANモデルの仕様

MBDのユースケースを想定した実証モデルの開発 モデル構築や故障を想定。パワーウインドウを事例として実証検証

ホームページURL: http://www.vecu‐mbd.org

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vECU-MBDワーキンググループ~ 活動ロードマップ ~

フェーズ12011年度~

フェーズ22013年度~

フェーズ32016年度~

仮想ECU基礎技術の構築 MBDの環境構築 大規模化、業界連携対応

活動は、重要度や難易度を考慮し、3つのフェーズに分け実施

• 実証検証用ECUモデル開発

• 開発プロセスやモデル運用ビジネスプロセスの定義

• フォールト注入• 複数ECU間インターフェース

モデル、複数ECU連動シミュレーション

• クラウド内での協調シミュレーション

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WG取組課題:ネットワークを介した複合システムテスト

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HILSB-CAN

F-CAN

実車テスト

車一台分の大規模HILSテスト

アプリソフト+プラットフォームソフト(基盤ソフト)+ネットワークのテストは実ユニット完成後となり問題抽出が後工程となる!

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www.nissan-global.comAll Rights Reserved, Copyright © NISSAN Motor Co., Ltd.

Nissan Motor Co., Ltd.

OEMの複数ECU開発への取り組み事例と課題

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9All Rights Reserved, Copyright © NISSAN Motor Co., Ltd.

本活動の問題領域

• 車載ネットワークに接続されたECU

• 市場品質ではなく開発品質

一定の市場品質の確保ために、如何に効率的に開発するか?

ソフト関連の手戻りの分類

38% 62%

ECU連携単独

電子電装関連手戻り分類

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10All Rights Reserved, Copyright © NISSAN Motor Co., Ltd.

短期化する車両開発

• 車両開発プロセスの短期化への対応

V-3Pプロセス: 期間短縮10.5ヶ月、試作ロット削減

従来

スタイリング

開始量産

V-3P

スタイリング

凍結

試作ロット

設計期間

10 ヶ月Fukushi Keigo:IT Utilization for Monozukuri in the Automotive Industry,Review of Automotive Engineering(2006)

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11All Rights Reserved, Copyright © NISSAN Motor Co., Ltd.

EPS

M4WD ABS

AT

エンジンACC

A/SUS VDC

BCM

USM

I-KEYDIAG

METERAFSPSB

ADP

CAN

複雑化する車載電子システム

• 車載ネットワークに接続されたECUが増加

• ECU内のソフト量が増加

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12All Rights Reserved, Copyright © NISSAN Motor Co., Ltd.

ネットワーク化による生産性の低下• ソフト量が同じでも・・・

SEC 出展 室 修治氏「組込みソフトウェア開発におけるプロジェクトマネジメントのポイント」組込みソフトウェアフォーラムin 福岡 発表資料 P5

Wire harness

ECM

ATCU(CVTCU) Other ECUs

ABS

Meter

Other ECUs

CAN or Signal Network

ECM

ATCU(CVTCU)

BCM

USM

Other ECUs

VDC(ABS/TCS)

Meter

Other ECUs

ネットワーク化

ブルックスの法則「人月の神話」

生産

開発規模・開発人員

イメージ図

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従来の車載電子開発プロセス

• ISO/JIS*で定義されたウォータ・フォール型のSLCP**– 複数ECU・複数部署・複数サプライヤ

モジュール詳細設計 モジュール詳細設計

Requirement

Analysis

System Design

SW/HW

Implementation

Architecture

Testing

System Testing

Qualification testing

With Validation

Architecture

Design

Plural Module

Designs

Plural Module

Testing*)JIS X 0160(ISO/IEC 12207)**) SoftwareLife Cycle Process

OEM

Supplier

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車載電子システム開発の課題(検証)

• 実験車を仕立ててからの複数ECUに跨る機能の手戻りは・・・

設計部署●

P

C

B

I

試作部署・工場

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従来の開発プロセスの問題

• 手戻りサイクルが大きい

開発の時間が掛かる、コストが掛かる

◆ 複数ECUに跨るシステム設計検証が未定義で実機検証のみ 複数ECU(部署・サプライヤ)への標準のSLCP活用

単なるウォーターフォール型

検証は、車両レベル・ベンチや実験車 EIPF (Electronic Integration PlatForm)

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16All Rights Reserved, Copyright © NISSAN Motor Co., Ltd.

改善した車載電子開発プロセス

• 複数ECUに跨るシステム検証フェーズを追加

D-EIPF EIPF

Requirement Analysis

System Design

IntegratedDesign Verification

SW/HW Implementation

Architecture Testing

System Testing

Validation

Architecture Design

ECU Designs

ECU TestingDetail ECU Designs

•Body•P/T•Chassis•IT/ITS

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改善した開発プロセスの方策

③サプライヤ試作

電子制御ロジックのモデル化単独ロジック解析シミュレーション

電子制御ロジックの車両レベルシミュレーション

車両レベル機能の実機評価

OK確認、性能適合

仕様のモデル化

①日産設計

④サプライヤテスト

⑤日産総合テスト

②サプライヤ設計

D-EIPF

車両レベル電子電装ベンチ装置“EIPF”EIPF (Electric Integrated PlatForm)

EIPF

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D-EIPF(Design EIPF)• 車両レベル電子電装シミュレータ“D-EIPF”

On board network

Vehicle dynamic model

GUIcockpit

Body systems

EtherNet(Monitoring, Stimulating, Controlling)

Infotainment systems

Com.layer

Apl.

Com.layer

Apl.

Com.layer

Apl.

Com.layer

Apl.

Com.layer

Apl.

Power train systems

Chassis systems

Others

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様々なシミュレーションツールと連携

各ツールは、各社の商標

D-EIPF

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D-EIPFの物理的な構成

• Microsoft社のCOMを拡張してネットワーク上でCo-Simを実現– (DCOM)を利用

• クロックサーバーから送出するクロックで、各モデルは同期

DCOM: Distributed Component Object Model

Windows

Model

Type-A

Memory SharingWrapper

Windows

D-EIPF I/F

ClockServer

Synchronizing

Ethernet

D-EIPF I/F

Windows

D-EIPF I/F

Wrapper Wrapper Wrapper

Model

Type-B

Model

Type-C

Model

Type-D

Memory Sharing

Synchronizing

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21All Rights Reserved, Copyright © NISSAN Motor Co., Ltd.

改善プロセスの適用結果

SOP

EIPF

Styling Freeze

SOP

0

D-EIPF

Conventional

V-3P

V-3P

Dev

elop

men

t ite

ms t

o be

don

e

従来

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ECU実装の開発手戻りは無視できない

③サプライヤ試作

電子制御ロジックのモデル化単独ロジック解析シミュレーション

電子制御ロジックの車両レベルシミュレーション

車両レベル機能の実機評価

OK確認、性能適合

仕様のモデル化

①日産設計

④サプライヤテスト

⑤日産総合テスト

②サプライヤ設計

D-EIPF

車両レベル電子電装ベンチ装置“EIPF”EIPF (Electric Integrated PlatForm)

EIPF

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更なるプロセス改善のための実証検証を実施

• OEM(要求仕様フェーズ)と、サプライヤ(詳細設計フェーズ)の関係強化

– サプライヤのECUソフトウェアが実行可能なマイコンシミュレータ(ISS)の活用

モジュール詳細設計

Integrated DesignVerification

SW/HW Implementation

ArchitectureDesign

Plural ECU Designs

モジュール詳細設計Detail ECU Designs

OEM

Supplier仮想ECU:

ECUソフトのバイナリがそのまま動作

車両レベル電子電装シミュレータ

“D-EIPF”

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利用したGAIO製No.1システムシミュレータとは?• ECUソフトのバイナリがそのまま動作する

– 「No.1システムシミュレータ」には、実際のMPUが持つメモリモデルと割り込み動作等を再現するISS(Instruction Set Simulator)を使用している。実際のハードウェアがマッピングされたメモリアドレスをそのままシミュレートするため、組込みソフトウェアそのままを動作検証する事が可能である。

システム・コンポーネント・シンセサイザー

GUIエディタ

マイコンシミュレータ(ISS)

仮想ハードウェアビューア

モデリング系 検証系

MPUに組み込むソフトウェアの検証

信号線、メモリ読み書き等の検証確認

操作モデルの表現 入出力の反映

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D-EIPF+ISS(Body系ECU)トライアル

• 検証内容– 構築環境

• 想定システム :ボディー系(BCMユニット)

• ソースコード :カルソニックカンセイ(株)製

• ターゲットマイコン :V850/FG2

– テスト実行• テストシナリオから以下機能を抽出し手動で検証

– フラッシャー機能、ヘッドランプのオートライト機能

– フラッシャー1灯断線検知機能、コンビSW

• 結果– これまでD-EIPFで実行出来ている機能評価

が同等に実行可能

– OEMでは内部回路のモデル化が困難な機能の実行も可能

PANELモデル(LabVIEW)

クロックサーバ

(D‐EIPFシステム)

Eモデル(Statemate)

Dモデル(Simulink)

Mモデル(Simulink)

Lモデル(Simulink)

Fモデル(Simulink)

Cモデル(Simulink)

Bモデル(Simulink)

Nモデル(Statemate)

Iモデル(Simulink)

Gモデル(Statemate)

Kモデル(Simulink)

BCM要求仕様モデ

ル(Statemate)

CANモデル(CANoe)

Hモデル(Simulink)

Jモデル(Statemate)

Aモデル(Simulink)

置き換え

置き換え

CANcardXL

D‐EIPFシステムライン

シミュレーションCANライン

CANメッセージ

BCMモデル(ISS)

V850 MPUモデル

BCM周

辺回路モデル

ISS

カードドライバ

OBJコード

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ECU内部のモデリングはOEM単独では事実上実行不可能

モデル(マイコンモデル、ECUモデルなど)の同定

マルチドメイン・シミュレーションインターフェースの標準化 クラウド上での異ユーザ協調シミュ

レーションの試行

ユーザガイドの策定と公開(ユースケースに応じたモデル精度の

考え方などを提唱)

モデル調達/構築ガイドの策定と公開(調達/構築の手順紹介)

複数ECU間インタフェースとして、仮想CANバスの仕様提唱と実証

実務適用課題 vECU MBD WGでの対応

今回紹介

実証検証からの実務適用課題とWGの取り組み

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MBDを用いた車載電子システム開発~ MBDに必要なモデルをどのようにして揃えるか~

MBDを用いた車載電子システムの開発では、モデルを揃えることが必須。

モデルは、自動車メーカ、サプライヤ、半導体メーカ等の異なる多くの企業が提供。

課題:

企業ノウハウの塊であるモデルをどう提供しするか?

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モデルの提供方法~ 3つの提供方法 ~

モデルの提供方法

モデルの所在は?

モデル内部を開示するか否か?

モデルをそのまま渡す

モデル利用者側 内部開示

モデルを秘匿して渡す

モデル利用者側内部非開示

(秘匿)

モデルの実行結果を渡す

モデル提供者側内部非開示

(秘匿)

サプライヤ 半導体メーカ

マイコンモデル

半導体メーカ

部品メーカ

M

自動車メーカ

ECUモデル 半導体モデル

MBDにより開発する車載電子システム

M

モータモデル 機構モデル

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モデルの提供方法~ モデルをそのまま渡す ~

モデルの提供方法

モデルの所在は?

モデル内部を開示するか否か?

モデルをそのまま渡す

モデル利用者側 内部開示

モデルを秘匿して渡す

モデル利用者側内部非開示

(秘匿)

モデルの実行結果を渡す

モデル提供者側内部非開示

(秘匿)

サプライヤ 半導体メーカ

マイコンモデル

半導体メーカ

部品メーカ

M

自動車メーカ

ECUモデル 半導体モデル

MBDにより開発する車載電子システム

M

モータモデル 機構モデル

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モデルの提供方法~ モデルを秘匿して渡す ~

モデルの提供方法

モデルの所在は?

モデル内部を開示するか否か?

モデルをそのまま渡す

モデル利用者側 内部開示

モデルを秘匿して渡す

モデル利用者側内部非開示

(秘匿)

モデルの実行結果を渡す

モデル提供者側内部非開示

(秘匿)

サプライヤ 半導体メーカ

マイコンモデル

半導体メーカ

部品メーカ

M

自動車メーカ

ECUモデル 半導体モデル

MBDにより開発する車載電子システム

M

モータモデル 機構モデル

M

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モデルの提供方法~ モデルの実行結果を渡す ~

モデルの提供方法

モデルの所在は?

モデル内部を開示するか否か?

モデルをそのまま渡す

モデル利用者側 内部開示

モデルを秘匿して渡す

モデル利用者側内部非開示

(秘匿)

モデルの実行結果を渡す

モデル提供者側内部非開示

(秘匿)

サプライヤ 半導体メーカ

マイコンモデル

半導体メーカ

部品メーカ

M

自動車メーカ

ECUモデル 半導体モデル

MBDにより開発する車載電子システム

M

モータモデル 機構モデル

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MaaSによるモデルの提供/利用の実証

モデルの提供方法

モデルの所在は?

モデル内部を開示するか否か?

モデルをそのまま渡す

モデル利用者側 内部開示

モデルを秘匿して渡す

モデル利用者側内部非開示

(秘匿)

モデルの実行結果を渡す

モデル提供者側内部非開示

(秘匿)

サプライヤ 半導体メーカ

マイコンモデル

半導体メーカ

部品メーカ

M

自動車メーカ

ECUモデル 半導体モデル

MBDにより開発する車載電子システム

M

モータモデル 機構モデル

モデルの実行結果を渡す、Model as a Serivice(MaaS)による

モデルの提供/利用を実証

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クラウドの活用

計算機リソースの利用

必要な時に、必要な計算機リソースを獲得し利用が可能

• モデルとツールを含む仮想マシンイメージから、必要に応じて仮想マシンを利用

クラウドの中でのMaaSによるモデルの提供/利用

モデルの提供者:モデルを実行し実行結果を返す仮想マシンを提供

モデルの利用者:起動中の仮想マシンからモデルの実行結果を利用

クラウド

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クラウド内でMaaSによるモデルの提供/利用

サプライヤのモデルの実行

自動車メーカのモデルの実行自動車メーカの開発者

モデルの実行結果を利用

自動車メーカの開発者は、サプライヤのモデルを利用しながら自身の開発に必要なシミュレーションを行う

サプライヤは、モデルを実行する仮想マシンを提供

仮想マシン

仮想マシン

クラウド

例えば自動車メーカの開発者が、MaaSによりサプライヤのモデルを利用するケース

34

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クラウド活用による車載電子システムのモデルベース開発~ パワーウインドウを事例とした実証 ~

サプライヤ側

自動車メーカ側

自動車メーカの開発者が、MaaSによりサプライヤが提供するECUモデルを利用してパワーウインドウの開発を行うことを想定したシミュレーションを行った。

サプライヤのモデルは、実行結果のみを利用

自動車メーカの開発者

モータ、マイコンを含むECUのモデル

窓機構部のモデル

自動車メーカの開発者が、窓機構部の開発を行うためのシミュレーションを行う

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窓機構部のモデル

モータ、マイコンを含むECU

パワーウインドウを事例とした実証~ モデルの概要~

入力回路モデル

マイコンモデル

出力回路モデル

モータモデル

メカモデル

サプライヤ提供のモデル

自動車メーカのモデル

マイコンシミュレータにより、ソフトウエアのオブジェクトコードを実行回転数 モータトルク

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パワーウインドウを事例とした実証~ モデルの実装 ~

モータ、マイコンを含むECU部、および、窓機構部の実装 Simulink、および、マイコンシミュレータを用いて実装

自動車メーカ側モデルとサプライヤ側モデルの異なる仮想マシン間の連成 D‐EIPFを用いて連成

• 自動車メーカ側とサプライヤ側間のシミュレーション上の同期周期:1ミリ秒。

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自動車メーカ側:窓機構部のモデル サプライヤ側:モータ、マイコンを含むECUのモデル

D‐EIPF

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実証に用いたツール、クラウド

項目 内容

ツール

Matlab/Simulink Simulink 2014a*1

マイコン No1システムシミュレータ*2

ツール連携 D‐EIPF*3

クラウド IaaS Amazon Web Service

*1: マスワークス*2: ガイオ・テクノロジー株式会社*3: 日産自動車株式会社 提供

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実行中の画面

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サプライヤ側 デスクトップ画面自動車メーカ側 デスクトップ画面

シミュレーションの実行管理

自動車メーカ側simulinkモデル

サプライヤ側simulinkモデル

サプライヤ側マイコンモデル

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シミュレーション時間

• モデルを分割し、2台の仮想マシンで実行した場合でも、シミュレーション速度は遅くならなかった。

• 2台の仮想マシンのマシンリソースの利用によりシミュレーションは高速化。

10.89

0

0.5

1

1台の仮想マシン上で実行 2台の仮想マシンに分割し実行

規格化したシミュレーション時間

速度向上

CPU数 2 1 1

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1台の仮想マシン上で実行した場合と、今回のモデルを分割し2台の仮想マシンを用いて実行した場合のシミュレーション時間を比較

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パワーウインドウを事例とした実証~ まとめ ~

• クラウドを用いてMaaSによるモデルの提供/利用によるシミュレーションを試行。

‒ パワーウインドウを事例とした実証用モデルを開発し、シミュレーションを行った。

• 所望のシミュレーションの動作を確認。実行速度上の影響は見られなかった。

• 今後さらに実証を重ね、クラウド活用による車載電子システムのMBDにおいて、MaaSによるモデルの活用が期待される。

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おわりに

• 高機能化・ネットワーク化する車載電子システムの開発効率と開発品質を確保

するため、日産自動車での取り組み紹介

• 今後の更なる車載システムの高機能化に向け、vECU‐MBD WGでの

MBD×Cloudによる事例紹介

• 近い将来、MBD×Cloudによる

車載電子システム開発の

ブレークスルーを期待

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Reference• Akira Watanabe and Asuka Sotome, "Functional Development Methodology

for On-Board Distributed ECU Systems for Production Vehicle Application", SAE Int. J. Passeng. Cars - Electron. Electr. Syst. September 2012 5:492-500; doi:10.4271/2012-01-0929

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Appendix

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参考)No.1システムシミュレータ概要

• No.1システムシミュレータの機能概要を以下に示す。機能 概要

システム・コンポーネント・シンセサイザー

(SCS)

仮想ハードウェア部品をシート上にドラッグ&ドロップで配置し、I/Oアドレス、割り込み接続など各コンポーネント間の接続関係を定義し、仮想検証環境(仮想ハードウェア環境)を構築する。

GUIエディタ

プッシュボタンおよびトグルスイッチ等の操作部品、LEDやLCDなどの表示装置のGUIを持つコンポーネントを編集するためのエディタ。基板等に実装される操作ボタン、表示パネルを始め、デバッグのためのテストパラメータ設定パネル、デバッグ用のアニメーション動作など、自由にGUIを構成することが可能。

マイコンシミュレータ(ISS)

ターゲットプログラム(組み込みソフトウェア)のデバッグを行うデバッガ。デバッガ機能はソースコード表示・ステップ動作・ブレークポイント設置後の状態確認のほか、実行時間測定や割り込み動作などの組み込みシステムに必要不可欠なデバッグ機能を搭載。高精度エンジン(System-G)と高速度エンジン(Sonic⇒SX)の2種類のISSを用意(マイコンコアにより用意していない場合あり)。

仮想ハードウェアビューア

ハードウェアモデルの情報等(レジスタ、信号線、シミュレーション状態)を表示設定することができるビューア。