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長期リース不動産ガイド 機関投資家に適した長期的 かつ安定したインカム源
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長期リース不動産ガイド 機関投資家に適した長期 …...長期リース不動産ガイド 機関投資家に適した長期的 かつ安定したインカム源 ようこそ

Jul 13, 2020

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Page 1: 長期リース不動産ガイド 機関投資家に適した長期 …...長期リース不動産ガイド 機関投資家に適した長期的 かつ安定したインカム源 ようこそ

長期リース不動産ガイド

機関投資家に適した長期的かつ安定したインカム源

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ようこそ

ベン・ジョーンズ

リアル・エステート・インカム

部門ヘッド

M&Gインベストメンツ

低金利と変動が大きい市場環境において、多くの長期

投資を志向する機関投資家にとって、予測可能なインカ

ムを生む資産が従来以上に貴重となっています。

特に、年金基金の間では、長期負債をヘッジし、年金 受給者への責務を果たすために役立つ、安定して長期の キャッシュフローを求める需要が高まっています。

こうしたニーズを満たすリターン特性を備えた投資は少

なく、往々にして割高です。長期リース不動産は、不動産

の所有者兼占有者が所有権を売却した上で、数十年に

わたる長期のリース契約を締結し、その不動産を使用す

るというものです。

セール・アンド・リースバック取引は長い歴史があります

が、この二十年間、インフレに連動した魅力的なリター

ンを生み、生命保険会社や年金基金などの機関投資家

に適したものであるとして、注目されてきました。

長期リース不動産の中で最も一般的なタイプは、おそら

くセール・アンド・リースバックですが、その各種変形も

存在します。

インカム・ストリップとグラウンド・レント(地代)も同様

に、不動産の所有権と長期リースを組み合わせること

で、不動産の買い手に、長期的かつ安定したインフレヘ

ッジ機能のあるインカムを提供します。しかし、これら3タイプの間には重要な違いがあり、それぞれ異なる運用

目標を持つ投資家に適した投資対象です。

本ガイドでは、これら各種の長期リース不動産の特性・

特徴について考察し、取引の特性を機関投資家の観点

から比較し、その発展の動向に注目します。

投資価値は変動し、投資から得られる利益は上昇する

こともあれば、下落することもあり、投資元本を下回る

可能性もあります。

長期リース不動産ガイド2

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はじめに 4

セール・アンド・リースバック 9

インカム・ストリップ 12

グラウンド・レント 14

機関投資家のための長期リース不動産の活用法 16

用語解説 18

目次

長期リース不動産ガイド 3

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はじめに

2015年から2016年にかけて、欧州のヘルス・アンド・ラケットクラブ 大手、デビッド・ロイド・レジャー(「DLL」)が5億3,000万ポンド超の新規資金を調達しました。ただし、同社の資金調達は、銀行からの借入ではなく、 機関投資家の代理人を務めるM&Gに不動産を売却する と同時に、その不動産をリースバックするという方法で

行われました。

DLLは、46クラブの不動産を売却し、それと引き換えに、それらの資産を30年超のリースで賃借しました。クラブが従来どおり運営する一方で、投資家が資産の所有者

となり、インフレに連動して毎年上昇する賃料を受け取

ることになったのです。

このような仕組みの投資により、年金基金や保険会社

その他の機関は、契約に基づく確実な、かつ大抵の 場合、インフレに連動するインカムを確保することができ ます。これは、伝統的な投資のリターンが低い、または 低下している時期において貴重な特徴です。対象 不動産からキャピタルゲインを得られる可能性もあり

ます。

これらの投資には、セール・アンド・リースバック、イン

カム・ストリップ、またはグラウンド・リース(グラウンド・

レントとも呼ばれます)という複数の形態があり、当社

ではこれらすべてが長期リース不動産というユニバース

に属すると考えています。

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長い歴史

これらのタイプの取引が始まったのは、1920年代~ 1930年代まで遡ります。当時、多くの英国リテール業者が、保有不動産から資金を調達するために、店舗を売

却した上で長期リース契約を締結して店舗を使用する という方法を取り始めました。長期リースの手法は 急速に米国に達し、米国では1936年にスーパーマーケッ ト・チェーンのセーフウェイ・ストアズが同じ手法を導入

しました。

その後、この手法は不動産の所有者兼占有者と投資家

の双方に支持され、拡大を続けました。1980年代後半から1990年代前半には、医薬品リテール業者であるブーツなど、英国のリテールチェーンの間で、大規模な不

動産ポートフォリオから資金を調達するために、長期リ

ース取引の利用が広がりました。この手法はその後、 政府省庁や銀行等でも採用されています。

M&Gの親会社であるプルデンシャルなどの保険ポート フォリオのマネージャーを含め、機関投資家による 投資が、1990年代後半以降目立つようになりました。その ニーズは、保険契約者への支払いのために、株式、クレ

ジット、国債または伝統的な不動産だけではなく、より

多様な資産からインカムを確保することでした。十分

な利回り、低いボラティリティ、安全性の高いキャッシ

ュフロー、そして保険契約者への支払いの増加に対応

するべく、インフレとの連動などといった特徴を備えた

投資であることが必要でした。

“ 年金基金など、インフレに連動した安全

なキャッシュフローを

必要とする投資家に、

長期リース不動産は

貴重な機会を提供

します”

長期リース不動産ガイド 5

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様々な取引形態

この種の投資は、債券と不動産の特徴を組み合わせる

ことで債券やインフレ連動債のような安全なインカム

を長期的に得ることができ、かつ不動産による裏付け

も備えた投資を組成可能であることに、資産運用各社

が気付きました。これらの投資は、組成の仕方次第で、

特徴に変化をもたせることが可能となります。

• セール・アンド・リースバック:所有者兼占有者が 不動産を投資家に売却し、その同じ投資家との間で 長期リース契約(多くの場合、20年超)を締結します。 賃料は毎年、大抵はインフレに連動して上昇するた

め、投資家は一定の資金を当初一括払いする見返り に、安全なインカムと、長期的な資産価値上昇の 可能性を得ることができます。

• インカム・ストリップ:やはり所有者兼占有者が資産を売却しますが、リース(通常30年超)終了時に一定の名目的な金額(通常1ポンド)で投資家から資産を買い戻す権利を保持します。投資家は安全なアモチ 型のインカムを得ることができ、リース満了時には 不動産エクスポージャーはゼロとなります。

• グラウンド・レント:物件所有者が不動産を投資家に売却し、投資家はテナントに超長期のリース(多く

の場合、100年超)を供与します。賃料はごく手頃な水準で、インフレに連動して上昇します。

出所:M&G、例示目的で表示

セール・ アンド・リース バック

インカム・スト リップ

グラウンド・ レント

比較対象とな る資産に対し 投資家が支払 った金額

リース 期間

最大200年20年以上

価格

学生寮

ホテル

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相対的価値

年金基金などの投資家は、インフレに連動して増加する安全なキャッシュフローを必要としま

す。こうした投資家にとって、様々な形態の長期リース不動産は非常に貴重であると考えられま

す。その利点は、投資の長期性だけではなく、成長性、インフレ連動性、キャッシュフローのヘッ

ジなど、従来利用されてきた他の投資に比べて魅力的なリターン特性にあります。

長期的に見て、長期リース不動産には、同水準の信用格付けが付与された社債やインフレ連動 国債を大きく上回るリターンのプレミアムが期待されます。プレミアムが付く理由は、投資の 流動性が低く、仕組みが比較的複雑であり、案件へのアクセスや実行に専門家のスキルと人脈が 必要であるなど、投資家の参入障壁が高いことにあります。

伝統的な不動産投資は大抵、リース期間がより短く、契約で定められた賃料上昇はありません。

これに対して、長期リース不動産は、リターンの変動性が低く抑えられています。このため、長期

リース不動産は、不動産市場サイクルの影響を受けにくい比較的ディフェンシブな投資であると

考えられます。

不動産の所有者兼占有者の側でも、資金調達の一形態として長期リース取引の利用が広がって

います。長期リースの手法を利用することで、大規模な不動産ポートフォリオを有する企業や公

共団体等は、長期間、その土地建物を使用し続けながら、資金を調達することができます。テナ

ントは、調達した資金をより生産的な用途に振り向けると同時に、賃借人の権利を長期間維持

することができ、賃料上昇は予測可能です。今日、リテール業者、事業会社、ホテル、大学等、多

くの不動産を有する組織であれば、リース満了時に所有権を保持する、または保持しない形で、

不動産を活用して資金を調達することが可能です。

英国インデックス連動型国債の実質利回りは2011年以降マイナス

出所:M&G、BofAメリルリンチ5-15年インフレ連動英国債インデックス、2018年8月31日現在

過去の実績は将来の運用成果を示唆するものではありません。

4

3

2

1

0

-1

-2

-3

06年1月 07年1月 08年1月 09年1月 10年1月 11年1月 12年1月 13年1月 14年1月 15年1月 16年1月 17年1月 18年7月

実質利回り(%)

実質利回りがマイナスに転落:投資家は、投資期間にわたるインフレ後の損失を受容

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条件交渉

長期リース不動産市場の成熟度が高まる中、スペシャリスト人材を擁するアセット・マネー

ジャーにとって、売主主導の組成済み案件に参加するのではなく、自ら投資を発掘し組成 する機会が生まれています。マネージャーは取引を自ら形作ることで、投資家に有利な 条件を交渉することができます。

投資機会を創出する段階で、テナントにとって資金的に持続可能な内容であると同時に、 投資家のリスクも適切に緩和されるよう、投資家とテナントが様々な条件を調整することが 可能です。その条件としては、リースの長さ、当初の賃料水準、賃料改定の頻度、インフレ 指標の選択が挙げられます。

当事者間で交渉された条件は資産の価格に反映されます。例えば、賃料改定が3年ごとではなく毎年の場合、価値がより高く評価されることがあります。

インフレ・カラーなど、その他の特性を用いて、保護を高めることも可能です。インフレ・カ

ラーを利用すれば、賃料の引き上げ幅が上限を超えることはなく(テナントの保護)、下限

を下回ることもありません(投資家の保護)。例えば、0%~5%というカラーを設定した 場合、賃料は常に上方改定され、上昇幅は5%までに限定されます。

英国と、多くの場合、欧州大陸でも、リース契約は通常、修繕・保険全負担ベースで締結さ

れ、リース期間中の保守費と保険料はすべてテナント負担となります。

長期リース不動産は、信用分析、不動産や取引の組成に多大な経営資源が必要となるた

め、積極的に案件に取り組むことができるマネージャーは少数ですが、様々な内容の魅力

的な収益機会を開拓することが可能です。

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セール・アンド・リース バック

長期リース不動産取引の中でおそらく最もよく知られた形態であるセール・アンド・リースバッ

クは、過去数十年にわたり、不動産の所有者兼占有者が不動産価格の上昇を生かして資金を

調達する方法として、英国企業の間でよく利用されてきました。セール・アンド・リースバック

は、欧州大陸でもますます普及しています。

投資家は、一定の金額で不動産の所有権を売主から購入し、それと同時に、売主(売主がテナン

トになります)との間で、その不動産の使用に関する長期リース契約を締結します。リース契約 により、定期的(通常は年1回)な賃料の上昇が定められます。賃料上昇はRPIやCPIといったインフレ指標に連動する場合もあれば、長期的にインフレの代用となる固定率の場合もあり ます。

セール・アンド・リースバックでは、リース期間は通常、約20年超と、他のタイプの長期リース 不動産の場合より短く、賃料は大抵、類似のグラウンド・レントより高いものとなります。

賃料の支払いが長期のインカムとなり、賃料は多くの場合、インフレに連動して上昇するよう

契約で定められます。これは債券に似た要素であり、債券やローンと同様、約定どおり予測 可能なキャッシュフローが見込まれます。その一方、インフレ連動性を有するため、インデックス 連動債券と共通する部分もあります。これらの予想キャッシュフローの現在価値が、個別資産

の価値の大部分(通常、少なくとも75%)を占めています。

長期リースを選ぶ理由:投資家と所有者兼占有者双方のメリット

投資家

確実かつ長期のインカム:不動産所有権に支えられた賃料収入

定期的なインカム:四半期ごとのキャッシュフロー

インフレ連動性:契約で定められた賃料上昇によるインカムの増加(利回りが横ばいの環境では、資産価値 上昇につながる)

不動産市場へのエクスポージャー:不動産の所有がもたらす長期的な値上がり益の可能性

低い景気循環性:長期リースにより、不動産サイクルとテナント空室リスクの影響を軽減する

日常的管理の必要性が少ない:修繕費・保険料全負担ベースのリース契約による不動産管理費用の回避

不動産所有者

不動産価値の実現:事業運営で価値を生かし切れるとは限らない

資本コストの最適化:高コストのデット・ファイナンスを、売却による資金化で効果的に代替

リファイナンス・リスクの除去:リース契約により長期的な財務構成を確定

賃料改定リスクの回避:長期的に持続可能かつ予測可能な賃料水準を確定

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物理的な不動産自体が、価値の残りを占めます。よっ

て、投資家は、リースによるインカムと、不動産の資産

価値上昇による潜在的なキャピタルゲインを合わせた

トータルリターンを得ることになります。

下のグラフは、不動産価格に関する各種想定が、当社

の英国長期リース不動産戦略の予想リターンに及ぼす

影響を示したものです。

グラフに示すように、リターンは、リース料の支払いに

よる予想インカム(青い部分)と不動産価格(オレンジ

と緑の部分)の合計です。二番目のシナリオ(「不動産 価格は変化しない」)は、リース終了時の不動産価 格が現在のバリュエーションと同じと想定しているた め、長期的なキャピタルゲインはゼロです(これは、 債券満期時の額面償還に相当します)。不動産価格が

ほぼインフレに連動して上昇、またはインフレ率以上

に上昇した場合が三番目、四番目のシナリオであり、 その場合、予想リターンはさらに上昇します。したがっ

て、インカムの質と物件の質の両方を分析することが

極めて重要です。

不動産長期リースの予想リターン比較、2016年~2065年*

出所:M&G、2016年6月30日現在。長期RPI = 3.35%。*予想値は将来のパフォーマンスを示す信頼できる指標ではありません。リターンの計算には手数

料が含まれています。

長期リース不動産と信用リスク

当社は、テナントの信用リスクを評価することは、個別

案件の重要要素として不可欠な作業と考えています。

その際、最も重要なことは、テナントがリース期間にわ

たり支払いを履行し続けることができるかを見極める

ことです。

キャッシュフローの現在価値が、長期リース資産の価値 の大部分を占めているため、当社はテナントの信用 状況を調査し、当社が提供する他の民間長期ローンの 場合と同様に厳格な信用力評価を行います。投資 適格水準の債券発行体と同程度の強固な信用力を有す るテナントであれば、リース期間中のデフォルト・リス

クは低下します。

不動産所有権担保

また、長期リース不動産の投資家が所有することにな

る不動産の価値は、長期的に上昇(または下落)する

可能性があります。

テナントのリース料不払いなどネガティブな状況が 発生した場合も、資産価値が重要となります。テナント 退去という最悪シナリオにおけるリスクを軽減するた

めには、無占有状態価値、すなわちテナントとリース

が不在の場合の本質的価値が問題ないものである

必要があります。これは、物件の質と立地次第であり、

次のテナント確保の容易さと費用に影響します。

例えば、人気エリアに立地するプライム物件は、空室

でも高い価値が期待されます。それは、比較的高い 賃料で次のテナントを見つけやすい、または住宅など他 用途に転用しやすいためです。したがって、長期リース 不動産においては、高い無占有状態価値は、テナント

の信用力の弱さを補う材料となります。一方、不動産

の質が低いまたは代替用途が限られている場合には、

テナントの信用力がより重要となります。

10

9

8

7

6

5

4

3

2

1

0不動産価格ゼロ

予想リターン(%)

不動産価格は変化なし

不動産価値がRPIのペースで

上昇

不動産価格がRPI+2%のペースで上昇

予想インカム 予想不動産価格 予想キャピタルゲイン

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当初に資金を得られ、低コスト: 不動産の売主にもメリット

所有者兼占有者の視点から見ると、セール・アンド・リ

ースバックにより、不動産をサンクコスト(埋没費用)

から資金化可能な資産に転換することができます。 調達した資金をより生産的な用途に振り向けることがで きると同時に、リース契約を締結し、対象不動産を 長期にわたり使用し続けることができます。

セール・アンド・リースバックの取引においては、テナン

トの財務状況や収益性を考慮して当初の賃料水準を

慎重に設定することにより、テナントの占有コストを

低く抑えることが可能です。長期的に無理のない賃料 であることは重要なことです。リース期間の長さを 調整し、当初から適切な賃料水準を設定することで、

必要な安全性が確保されます。

“ キャッシュフローは、長期リース資産の価値の大部分を占めているため、当社はテナント

の信用力を厳格に評価します”

ソナエ・ポートフォリオ:ソナエが保有する5つのスーパーマーケットに対するセール・アン ド・リースバック案件

M&Gは、2016年に、ポルトガルの食品販売大手ソナエMCより、ポルトガルのスーパーマーケット12軒を取得しました。

セール・アンド・リースバック取引の一環として、ソナエは、賃料がインフレ(CPI)に連動して毎年上昇する20年のリース契約に署名しました。リース形態がトリプル・ネット・リースであることから、ソナエは諸費用、保守、修繕一切を含む管理業務に責任を持ちます。この結果、投資家は、インフレに連動した長期のキャッシュフローを確保することができます。利回りは通常債券より高く、質の高い資産のポートフォリオによって裏付けられています。

過去数年間にわたりスーパーマーケットが安定的に取引 されて来た実績により、テナントおよび保証人に対する 社内投資適格格付が支えられています。さらに、食品リ テール業はディフェンシブなセクターであり、M&Gの不動産 調査チームはポルトガルのリテール倉庫セクターの見 通しに対しポジティブな見方を持っており、長期的にアウトパフォームすると予想しています。

加えて、投資家にとっては、各店舗の立地が圧倒的に 有利で、かつ強固な商圏を持つことから、長期的な不動産値上がり益も見込まれます。

この取引は、長期リース不動産への投資がいかに年金基金などの機関投資家の投資ニーズに合致するかを示しています。

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不動産の所有者兼占有者のすべてが、不動産を恒久的

に売却して資金を調達できる立場にあるわけではあり

ません。大学や地方自治体といった組織は、特定の 場所や施設(例えば学生寮や市民会館)を維持しなけ

ればならず、その所有権の確実性を重視する例が多く

見られます。

こうした状況では、長期リース投資をインカム・ストリッ

プとして組成することができます。その名前が示すとお

り、この取引は、リース契約によるキャッシュフローを

不動産から「剥ぎ取り(strip)」、すなわち分離して、インカムが投資価値の100%に相当するようにします。

所有権を投資家に恒久的に移転するセール・アンド・リ

ースバックとは対照的に、インカム・ストリップでは、テ

ナントはリース終了時に一定の名目的な金額(通常1ポンド)で対象不動産を買い戻す選択権を保持します。

投資家はリース期間を通して不動産の所有者となりま

すが、テナントの賃料支払不履行が発生しない限り、

元の所有者はリース終了時に対象不動産を取り戻すこ

とができます。よって、インカム・ストリップでは、不動産

の使用者は、保有不動産を利用して資金を調達すると

同時に、すべてのリース料の支払いが履行される限り、

リース終了時に不動産の所有権を確保することができ

ます。

機関投資家の観点からは、インカム・ストリップのメリッ

トは、債券と同様のキャッシュフローだけを切り離し、

インフレから保護された予測可能なインカムを得られ

ることです。インカム・ストリップはアモチ型の債券や 元利返済型モーゲージと共通する特性があり、資産 価値は時間の経過とともに減少し、契約終了時にゼロ

になります。このようにして、リース終了時の不動産価格

の不透明さという要素が除去されることで、アクチュア

リーにとって、年金基金の負債ヘッジのために行うモデ

リングが格段に容易になります。

投資家は不動産の恒久的な権利を取得するわけでは

ないため、テナントに支払う金額は、比較可能なセー

ル・アンド・リースバックの場合より少ないことが普通

です。インカム・ストリップは、リース期間も、通常30年超と、より長いものになることが一般的です(セール・

アンド・リースバックでは20年以上)。

.

インカム・ストリップ

0年 5年 10年 15年 20年 25年 30年 35年 40年

バリュー/インカム

バリュエーション特性* インカム特性

減少する資産価値特性

インカムにお

ける期待リタ

ーン

インカム・ストリップの特性:残存価値下落のない長期リース不動産

出所:M&G、例示目的のみで表示。*IRRが一定している前提での評価

長期リース不動産ガイド12

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インカム・ストリップにより、バンガー 大学の新学生寮を建設する資金を調達 2015年、バンガー大学はセントメアリーでカフェバー、店舗、コインランドリー、スポーツ・フィットネ

ス施設を完備した、収容数602名の新学生寮の開発を完了しました。その資金調達は、M&Gからのフォワード・ファンディングによって行われました。

当社は2014年7月に、同大学から開発用地の長期不動産所有権を取得し、実際上の開発完了時にイ ンカム・ストリップの仕組みを導入しました。これ は、大学がリース終了時に1ポンドで買い戻す選択権を有するというものです。40年リース契約を、 修繕費・保険料全負担ベースでバンガー大学と 直接締結しました。賃料は英国のRPIに連動して毎年 上昇し、その上昇幅の下限は0%、上限は5%としま した。

とはいえ、リースの継続期間中、不動産のバリュエーシ

ョン変動が、投資家に影響しないわけではありませ

ん。毎月または毎四半期、独立した立場の価値評価に

より「値洗い(marked to market)」されることが一般的であるからです。しかし、リース終了が近づき、資産の

残存価値がゼロに低下するにつれ、このエクスポージ

ャーは低下します。

インカム・ストリップの仕組みの利点は、リース継続 期間にわたり、テナントは実質的に債務の返済を進め

ていくことになるため、買い戻しの選択権を維持する

ために残りの賃料の支払いを継続するインセンティブ

が高まることです。

また、リース終了が近づくにつれ、テナントにとって、デ

フォルトの機会コストがはるかに高いものとなるため、

残りの支払い負担が軽くなり、支払いすべてが予定ど

おり完了する可能性が高まります。したがって、リース

期間が進むにつれ、投資家の安全性は高まり、デフォ

ルト・リスクも減少します。

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グラウンド・レント

グラウンド・レントは、セール・アンド・リースバック取引

の中で最も長期の形態です。リース期間は一般的に99年から999年まで、賃料は他の長期リース取引よりはるかに低い水準となります。

従来、グラウンド・レントは住宅に用いられ、大地主が

最終的な所有権を保持しながら、所有地の開発資金を

調達する方法として利用されてきました。

不動産開発会社は非常に低い年額賃料で土地の

超長期リース権を不動産所有者から取得します。そし

て、その土地に家屋やマンションを建設した後、リース

権をテナントに売却します。不動産所有者には通常、リ

ース継続期間中、「わずかな(peppercorn)」賃料しか支払われませんでしたが、不動産所有者の相続人が最終的

に当初の資本コストなしに開発済みの土地の完全な 所有権を得ることができます。このため、グラウンド・レ

ントの仕組みは、19世紀の英国都市開発を大きく牽引しました。

今日、グラウンド・レントは機関投資家にとって魅力的

な対象となっています。インフレに連動して増加する キャッシュフローという利点に加え、テナントのリース

料負担が軽いため、デフォルト・リスクが極めて低いも

のとなっています。

商業グラウンド・レント

商業用不動産のグラウンド・レントは実質的に常に 個別交渉され、テナントと投資家の個別的な条件に合

わせて決定されます。賃料は極めて持続可能な水準に

設定されます。典型的なグラウンド・レント案件の企業

テナントが支払う賃料は通常、営業利益の10%~20%であるのに対し、一般的な25年のセール・アンド・リースバック取引では大体、50%~70%です。

セール・アンド・リースバックと同様、商業地のグラウン

ド・レントへの投資家は、不動産を所有します。しかし、

グラウンド・レントは投資期間が極めて長いため、リー

ス料が資産価値の大部分を占めていますが、賃料水準

が極めて低いため、投資家は長期のキャッシュフロー

について高い確実性を見込むことができます。

グラウンド・レントは、将来の予想キャッシュフローの

割引価値に基づいて価値評価されるため、実際のとこ

ろ、不動産の残存価値が資産価値に占める割合はかな

り小さいものとなります。グラウンド・レントの価値は

ほぼすべて予想キャッシュフローに基づくものです。

“賃料が極めて低い水準にあるため、グラウ

ンド・レントは信用力が比較的低いテナント

にとって魅力的な資金調達手段となります”

長期リース不動産ガイド14

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所有者兼占有者からテナントへの道程 所有者兼占有者と投資家は、セール・アンド・リースバックの形態と規模をどのように決定すればよいでしょう

か。その決定は、所有者の信用力、リース期間終了時に所有権を維持したいか、どれだけの資金を調達したい

かなど、複数の要因によって異なったものとなります。

テナントの賃料が低いことと、リース期間が極めて長い

ことが相まって、投資家が商業地のグラウンド・レント

資産に対して支払う価格は、空室状態の再販価格に比

較して低いものとなることが一般的です。よって、例え

ば、投資マネージャーは、グラウンド・レントの価格が、

不動産の無占有状態価値の50%相当となるよう交渉することができます。こうすれば、投資家は資産カバレッ

ジと非常に手頃な水準の賃料(賃料カバレッジ)を 確保することができます。

テナントも、他のタイプの長期リース取引よりも、 グラウンド・レントの長期かつ低水準のリース料を

選好することがあります。賃料が極めて低い水準に あるため、グラウンド・レントは信用力が比較的低い テナントにとって魅力的な資金調達手段となる一方、

その土地建物を極めて長い期間、使用し続けることが

できます。

この種の投資は安全性が高いため、商業グラウンド・

レントに関心を示す機関投資家が増加しています。た

だし、資産の供給は限定的であり、対象資産の発掘に

は強力な人脈等のネットワークが不可欠です。M&Gのような経験豊富な投資マネージャーは、積極的にテナ

ントと協力し、個別にグラウンド・レント投資の案件を

組成・創出する機会を追求しています。

出所:M&G、例示目的のみで表示

所有者

キャピ タル・ リリース

取引形態

信用力

リース満了時に 所有権を維持

する

はい

いいえ

高い

低い

 グラウンド・ レント

インカム・ ストリップ

セール & リースバック

強い

弱い

長期リース不動産ガイド 15

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機関投資家のための長期 リース不動産の活用法

長期リース不動産は、年金基金や保険会社、寄贈基金

といった長期志向の機関投資家にとって極めて有用な

魅力的な特性をいくつも備えています。

その一つはインカムです。年金基金がキャッシュフロー

の増加を必要としている中、長期リース不動産からの

インカムが、契約に基づく予測可能なものであり、多く

の場合インフレに連動することは、大きな魅力です。長

期リース不動産が生み出すキャッシュフローは安定的

かつ増加するため、将来の年金支払いを支える貴重な

インカムとなると同時に、資産に当面の流動性を求め

る必要性も低下します。この点は、インフレに連動して

増加する資産とキャッシュフローを必要とする寄贈 基金や生命保険会社にとっても魅力的です。

もう一つは分散効果です。これらの資産は、株式や 債券とは異なるリスク・リターン特性は有するため、 機関投資家のポートフォリオの分散を高める効果を 発揮するものと期待されます。契約に基づき成長性の

ある長期キャッシュフローを得るために、従来、社債や

インデックス連動債券などの資産に依拠してきた 投資家は、その補完または代替として長期リース資産

を利用することができます。

長期リース不動産はまた、伝統的な不動産よりも低リ

スク・低ボラティリティの代替資産でもあり、多くの 場合、長期的な保有不動産の値上がり益の可能性も

見込めます。伝統的不動産では一般的に、一定期間毎

で市場を通した賃料見直しが入ることから、投資家は

予想不可能な賃料水準の変動に晒されますが、長期リ

ース不動産はインフレに連動して年次で賃料が上昇す

るため、そのような不確実性に晒されることがありませ

ん。リース期間が長く、テナントの継続性が高いため、

投資家は不動産サイクルの影響や、不動産管理やテナ

ント募集にかかる費用を回避することができます。 長期リース不動産は伝統的な不動産に比べてディフェ

ンシブな資産であるため、既存不動産ポートフォリオ

の補完ともなり得ます。

当社は、長期リース不動産は不動産と債券のハイブリッ

ドと考えています。つまり、長期リース不動産は典型的

な資産クラス「区分」におさまるものではありません。

例えば、長期リース不動産は成長性と負債ヘッジ性を

両立可能であるからです。不動産市場へのエクスポー

ジャーを有するため、長期的なキャピタルゲインが期

待されると同時に、契約に基づく予測可能なキャッシ

ュフローによるヘッジ特性もあります。

リスク軽減の重要性

長期リース不動産への投資においては、投資家はイン

フレを上回る利回りプレミアムを得る見返りに、テナン

トの信用リスクや、不動産保有に伴うリスク、資産の流

動性の低さなど、多くの投資リスクを受け入れることに

なります。当社には、これらのリスクを軽減する手段が

いくつもあります。

おそらく最も重要なのは、厳格な信用分析です。テナ

ントが将来まで賃料を支払うことができるかを見極

め、リース契約に基づく義務の不履行につながり得る

リスク要因が事業運営や資本構成に存在しないかを

確認します。

賃料によるインカムが資産価値の大部分を占めている

ため、当社は、信用調査が投資プロセスの不可欠な一

部であると考えています。当社のセクター・スペシャリ

ストは非公開企業や一般的ではないビジネスモデルを

審査する能力を備えており、他のアセット・マネージャ

ーには扱うことができないテナントとの取引機会にも

対応可能です。

当社は長期リース資産の組成においても専門性を有

し、スペシャリストが、リスクを軽減できるように、テナ

ントと協力してリース契約の条件を調整します。例え

ば、テナントが対象物件から得る利益の一定比率とさ

れる賃料を低い水準に抑えるとともに、リースの長さを

延長してセール・アンド・リースバックではなくグラウン

ド・レントとすれば、比較的信用力が低いテナントや、

キャッシュフロー創出力が低いテナントにも取り組む

ことが可能です。

当社はまた、当社不動産チームの経験を活用し、対象

物件のファンダメンタルズの完全な理解に努めます。個

々の不動産の質を慎重に評価し、数十年にわたるリー

ス終了時の潜在的な残存価値や、テナントのリース 債務不履行時の転売や代替用途の見通しについて 分析します。

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例えば、テナントの信用力は比較的低くても、所有して

いる不動産が好立地で、同等以上の賃貸条件で次のテ ナントをすぐに獲得できそうなケースが考えられます。

逆に、投資適格水準の信用力を有するテナントが、他

用途に転用しにくい物件に入居している場合、高い 信用力により、対象不動産の比較的低い無占有状態価値 が相殺されるケースもあるでしょう。

対象資産がテナントの事業に不可欠なもの、例えばホ

テルやスーパーマーケット、病院である場合、テナント にとってこれらの重要な営業用資産の維持は優先 事項になるでしょう。賃料を支払わなければ、収入の

手段である資産を使用できなくなるということは、テナ

ントにとって賃料支払いの大きなインセンティブになり

ます。リースは事実上、無担保債券などの他の債務 より優先されるものであり、これは投資家にとって 追加的な安心材料です。

キャッシュ フローを保全 する手法

資産のクオリティ• ロケーション

• 事業運営の鍵となる資産• 高い代替使用価値/テナント需要

テナントのクオリティ• 投資適格水準の信用格付け

• 投資目的ごとに求められる信用水準

ストラクチャー• 賃料カバレッジ╱グラウンド・レント

• 無占有状態価値• 優先度

• 賃料特約

出所:M&G、例示目的で表示

以上のことから、投資家の投資パフォーマンスが長期

的に予想どおりのものとなる安全性が高まります。その

ため、当社が個別資産の価値を正確に評価することも

可能となっています。

各種の長期リース不動産を発掘し、組成するために

は、専門知識と、幅広く高度な経営資源と分析が必要

ですが、長期リース不動産は機関投資家にとって貴重

な特性を備えています。特に、質の高い一定のキャッシ

ュフローを生み出す能力とリース契約のインフレ連動

性は注目すべき特性です。長期志向の投資家には、イン

カム、成長性、株式エクスポージャーの分散化、代替的

なヘッジ手段など様々な投資目標がありますが、長期

リース不動産はこうした目標に適したものであると考え

られます。

オリジネーションを通じた価値の創出

多くの場合、優良な長期リース不動産にアクセス

する最も効果的な方法は、市場に出た案件のみを

対象に選択するのではなく、売主と直接交渉し、

両当事者に固有の要件に合わせて投資を組成す

ることです。

このように直接、投資対象資産をオリジネートす るためには、信用調査や、不動産、案件組成の 経験に加え、新規投資機会の発見経路となる人的ネ ットワーク、そして多大な労力が必要です。

このような取引を行うためには、アセット・マネー ジャーは経営資源と全分野の専門知識を備えて いなければなりません。しかし、多大な努力や 複雑な作業も、より高いリターンと、テナントと 投資家双方にとってのより高い柔軟性を実現し、より 的を絞ったリスク緩和策を取ることができること によって報われます。当社は10年以上にわたり、この手法で成果を上げています。

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用語解説

資産カバレッジ(asset cover):テナントの資産で債務がどの程度カバーされているかを示す指標です。

信用分析(credit analysis):不動産物件のテナントなど、契約相手に関連する機会とリスクを評価するプロセスです。

フリーホールド(Freehold):土地の占有権がリース契約相手に売却されても、土地や建物の法的所有権は売主に帰属します。

グラウンド・レント(ground rent)/グラウンド・リース(ground lease):通常100年以上と極めて期間が長いリースホールドであり、賃料は比較的低いものとなります。

インカム・ストリップ(income strip):テナントがリース終了時に名目的な 金額を支払うことで不動産を買い戻す選択権を有する長期のリース契約で す。開発資金の調達によく利用されます。

インフレ・カラー(inflation collar):定期的な賃料改定時のインフレ調整 幅を、契約に基づき、予め定めた一定範囲に制限することです。これにより、 デフレ発生時に賃料が減少するリスクが緩和されるとともに、高インフレ 時の上昇幅に上限が設けられます。

インフレ連動(inflation-linkage):通常、各国特定の消費者物価指数などを定期的に参照し、インフレに連動して賃料が上昇します。

リースホールド(Leasehold):定期的な賃料を支払うことによって、一定の期間、土地や建物の賃借権を得ることを指します。

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リース満了(lease expiry):リース期間が終了する時点です。

賃料カバレッジ(rent cover)/賃料ギアリング(rent gearing):企業テナントの賃料支払義務の履行能力を測定する指標であり、テナントの営業EBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前・その他償却前利益)に対する比率とし

て定義されます。

残存価値(residual value):リース満了時における不動産物件の市場価値です。

RPI/CPI:商品とサービスの代表的なバスケットの価格変動に基づいて測定されたインフレ率の公式な指標です。

セール・アンド・リースバック(sale and leaseback):物件の売主が、新所有者からその物件をリースする契約を締結する取引です。売主は物件の使用

を続けながら、資金を調達することができます。

テナント(tenant):物件を占有し、賃借する者を指します。

トリプルネット(Triple net)/修繕費・保険料全負担(fully repairing and insuring):テナントが物件の付保および保守に責任を負う契約上の義務です。これにより、貸主の費用負担は最小限に抑制されます。

無占有状態価値(vacant possession value):賃貸契約がないという前提における物件の価値です。

売主(vendor):物件を売却する者を指します。

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資顧問契約の代理・媒介を行います。

MAGIM・MAGAIMは日本で金融商品取引業者として登録をしていないため、当該契約をご締結いただけるのは、日本の登録投資運用業者の方に限られます。

機関投資家向け資料

当資料は、現在の市場動向におけるM&Gの見解を述べたものです。今後、事前に通知することなく変更する可能性があり、実証しかねる推測を含む場合があります。過去

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