技術者交流フォーラム事業(第33回)in 釧路 「シンポジウム 根釧地域の農業のあゆみと未来にむけて」を開催しました 寒地技術推進室 道東支所 研究所ニュース 1.はじめに 技術者交流フォーラム事業は、地域において求めら れる技術開発や北海道総合開発計画の推進に資する技 術開発等に関する情報交換、産官学の技術者交流及び 連携を図ることを目的とし、平成20年度から北海道各 地で開催しており、今回が33回目となります。 今回は、大規模酪農地帯となった根釧地域の開拓か ら現在までのあゆみを振り返り、地域の食や観光を含 めた未来に向けた取り組みを紹介、地域の将来に向け た未来像を求めることをテーマとし、平成30年12月13 日(木)、ANAクラウンプラザホテル釧路にて、国 土交通省北海道開発局釧路開発建設部との共同で開催 し、当日は139名の参加者がありました。 講演に先立ち、釧路開発建設部の伊藤晃部長より開 会の挨拶、シンポジウムの位置付け、テーマの概要及 び講師の紹介が行われ、シンポジウムが始まりました。 施設構成、メタン発酵には絶対嫌気と発酵温度が重要 であること、活用のメリットとしては、エネルギーと して利用でき、処理中に発生するアンモニアガスなど が密閉状態のため外部に漏れず、処理後の消化液は液 肥として活用でき、臭気も低減されること、乳牛3頭 で一般家庭1軒分の電気を賄えることなどを述べられ ました。バイオガスのプラントは北海道内で既に120 基が稼働又は建設中であり、近年、個別型に加え集中 型の発電量が伸びてきており、別海町には国内最大規 模のプラントが稼働していることもご説明を頂きまし た。嫌気性のメタン発酵のメリットとしては、肥料効 果の向上、土壌の団粒化、悪臭の減少、雑草種子及び 有害細菌の死滅、病害抑制効果などがあることについ て説明がありました。今後の対応として、家畜排泄物 のみならず食品残渣や下水汚泥などとの混合発酵を促 進させる、停電時にも活用できるよう施設を改修し、 将来的には、電力、ガス自由化による地産地消エネル ギーとして活用する、バイオガスの活用で先行する欧 州のように、安定的でベース電源となり得るバイオマ スガス発電の買い取り価格を引き上げるべきである、 などの提案がありました。 写真-1 シンポジウム会場の様子 写真-2 帯広畜産大学 梅津教授 2.講演概要 基調講演では、帯広畜産大学環境農学研究部門の梅 津一孝教授より、「根釧地域の農業のあゆみと未来に むけて」と題して、大規模酪農地帯となった根釧地域 の課題である、家畜排泄物の適切な管理及び利用、促 進に向けた、バイオマスエネルギーの活用についての 講演をいただきました。講演ではバイオマスエネルギ ーの種類、バイオマス燃料利用は、CO 2 の循環により カーボンニュートラルであり、バイオガスプラントの 釧路開発建設部の田澤裕之次長の講演は、「根釧地 域の開拓から現在、釧路港における国際バルク戦略港 湾形成にむけた整備」と題し、釧路・根室管内では、 全国の約18%に及ぶ生乳を生産しており、国道を通し て釧路港へ運び関東に移出し、国内の牛乳乳製品の安 定的な供給に寄与していることについて紹介がありま した。 88 寒地土木研究所月報 №790 2019年3月