Top Banner
間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集 間接蛍光抗体法による抗核抗体検査は、Friou ら (1957) の報告以来今日に至るまで、自己免疫疾患の診断や治療に際して重 要な役割を果たしてきました。抗核抗体を包括的に捉えるとともに、その染色像から存在する抗体のカテゴリーを推定できる ことは本法のもつ優れた特性といえます。抗核抗体の対応抗原は数多く、染色像のみからすべてを特定することは不可能ですが、 主要な抗核抗体の染色像を知ることは自己抗体を理解する上で有用です。 ※本写真集に掲載している細胞染色の写真は、フルオロ HEPANA テスト (code No. 4210, 4220) を用いたものです。特異 染色がある部分は蛍光染色 (緑色) で検出されます。赤色はエバンスブルー色素によるもので、特異染色がない部分となります。 場合によって両者が重なり、黄色に見えることがあります。 PCNA Ribosome Lysosome Golgi complex Mitochondria
39

間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集 - MBL · 2019-08-02 · 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集. 間接蛍光抗体法による抗核抗体検査は、Friouら

Feb 28, 2020

Download

Documents

dariahiddleston
Welcome message from author
This document is posted to help you gain knowledge. Please leave a comment to let me know what you think about it! Share it to your friends and learn new things together.
Transcript
Page 1: 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集 - MBL · 2019-08-02 · 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集. 間接蛍光抗体法による抗核抗体検査は、Friouら

間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集

間接蛍光抗体法による抗核抗体検査は、Friou ら (1957) の報告以来今日に至るまで、自己免疫疾患の診断や治療に際して重

要な役割を果たしてきました。抗核抗体を包括的に捉えるとともに、その染色像から存在する抗体のカテゴリーを推定できる

ことは本法のもつ優れた特性といえます。抗核抗体の対応抗原は数多く、染色像のみからすべてを特定することは不可能ですが、

主要な抗核抗体の染色像を知ることは自己抗体を理解する上で有用です。

※本写真集に掲載している細胞染色の写真は、フルオロ HEPANA テスト (code No. 4210, 4220) を用いたものです。特異

染色がある部分は蛍光染色 ( 緑色 ) で検出されます。赤色はエバンスブルー色素によるもので、特異染色がない部分となります。

場合によって両者が重なり、黄色に見えることがあります。

   PCNA

   Ribosome

   Lysosome

   Golgi complex  Mitochondria

Page 2: 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集 - MBL · 2019-08-02 · 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集. 間接蛍光抗体法による抗核抗体検査は、Friouら

間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集

2

Copyright © 2015 MEDICAL & BIOLOGICAL LABORATORIES CO., LTD. All Rights Reserved.

細胞の構造と細胞周期

蛍光抗体法による抗核抗体検出の利点は、その染色像から対応抗原の局在を知ることができることにあります。染色像から対

応抗原の局在を知るためには、細胞の構造と、細胞周期に伴う抗原の発現および局在の変化について理解しておく必要があり

ます。

■ 細胞の構造真核細胞 ( 動物 ) の構造は、図 1 のようなものであり、それぞれの核分画には表 1 に示すような抗原が存在しています。また、

細胞全体は細胞膜で覆われ、核は核膜で細胞質と隔てられています。

中心体

小胞体

細胞骨格

細胞膜

細胞質

核小体核

リボソーム

核膜

ミトコンドリア

ゴルジ体

ライソソーム

図1 HEp-2細胞

クロマチン分画

クロマチンを構成する DNA、ヒストン、セントロメア構成タンパク質、ポリ ADP リボースおよび DNA の複製に関する酵素

(Scl-70= トポイソメラーゼ I) 等が存在します。

核質

DNA や RNA の合成に関与するタンパク質 (PCNA=DNA ポリメラーゼδ補助因子、SS-B/La) や、mRNA の成熟に関与するタ

ンパク質 (U1RNP、Sm) 等が存在します。

核小体

核小体はリボソームの合成工場としての役割を果たしており、リボソームを構成する RNA や、これらを合成する酵素 (RNA ポ

リメラーゼ I)、リボソームの組み立てを触媒するリボ核タンパク質 (U3RNP) 等が存在します。

核小体には数本の染色体から DNA の大きなループがのびだしてリボソーム RNA 遺伝子が転写されており、このリボソーム

RNA 遺伝子のクラスターは核小体形成領域 (Nucleolus organizer region=NOR) と呼ばれています。

細胞質

タンパク質の合成工場としてのリボソームや、タンパク質合成に関与する酵素、エネルギー生産工場としてのミトコンドリア、

タンパク質の糖鎖修飾や小胞輸送に関与するゴルジ体、細胞分裂に関与する中心体、細胞の形態を維持する細胞骨格等が存在

します。ミトコンドリアは細胞内の微小管に沿って存在しており、蛍光抗体法では、細胞質内に線維に沿ったように細かな顆

粒状の蛍光として観察されます。

Page 3: 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集 - MBL · 2019-08-02 · 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集. 間接蛍光抗体法による抗核抗体検査は、Friouら

間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集

3

Copyright © 2015 MEDICAL & BIOLOGICAL LABORATORIES CO., LTD. All Rights Reserved.

表 1 各種自己抗体の対応抗原と関連疾患

抗核抗体 局在 対応抗原 関連疾患

抗 ssDNA 抗体

抗 dsDNA 抗体

抗ポリ ADP リボース抗体

抗 Scl-70 抗体

抗セントロメア抗体

抗ヒストン抗体

クロマチン 1 本鎖 DNA (ssDNA)

2 本鎖 DNA (dsDNA)

ポリ ADP リボース

DNA トポイソメラーゼ I

セントロメア

ヒストン

SLE 等

SLE

SLE

SSc

CREST 症候群

薬剤誘発ループス

抗 U1RNP 抗体

抗 Sm 抗体

抗 U2RNP 抗体

抗 SS-A/Ro 抗体

抗 SS-B/La 抗体

抗 PCNA 抗体

抗 Ku 抗体

核質 U1RNP

U1, U2, U4/U6, U5 RNP

U2RNP

hY1 〜 hY5 RNP

RNA ポリメラーゼ III 転写終結因子

DNA ポリメラーゼδ補助因子

DNA 依存性タンパク質キナーゼ補助因子

MCTD

SLE

Overlap 症候群

SS 等

SS

SLE

Overlap 症候群

抗 U3RNP 抗体

抗 7-2(Th)RNP 抗体

抗 RNA ポリメラーゼ I 抗体

抗 PM-Scl 抗体

抗 NOR-90 抗体

核小体 U3RNP (Fibrillarin)

RNaseP, RNaseMRP

RNA ポリメラーゼ I

11 種タンパク質複合体 (20-110kD)

核小体 NOR (hUBF)*

SSc

SSc

SSc

Overlap 症候群

SSc

抗細胞質抗体 局在 対応抗原 関連疾患

抗 Jo-1 抗体

抗リボソーム抗体

抗ミトコンドリア抗体

抗 SS-A/Ro 抗体

その他 ( 抗アクチン抗体等 )

細胞質 ヒスチジル tRNA 合成酵素

60S リボソームサブユニット

ミトコンドリア

hY1 〜 hY5 RNP

PM/DM

SLE

PBC

SS 等

*human Upstream Binding Factor

SLE: 全身性エリテマトーデス , SSc: 全身性強皮症 , MCTD: 混合性結合組織病 , SS: シェーグレン症候群 , PM/DM: 多発性筋炎 / 皮膚筋炎 , RA: 関節リウマチ , PBC: 原発性胆汁性肝硬変 , AIH: 自己免疫性肝炎

細胞周期

分裂、増殖している細胞を観察すると、まず核内の成分が凝縮して染色体となり、この染色体が核の両側に移動して核が 2 つに分裂した後、細胞質が分裂して 2 つの細胞となります。分裂したそれぞれの細胞はしばらく時間をおき、再び分裂を繰り返します。この核の分裂と細胞質の分裂の時期を細胞分裂期 (M 期 ; Mitosis phase) といい、それ以外の時期を間期 (interphase) といいます。間期はさらに、G1 期 (Gap 1 phase)、S 期 (Synthesis phase)、G2 期 (Gap 2 phase) に分けられています。また G1 期の途中から休止期 G0 期 (Gap 0 phase) に入る細胞もあります。

※次ページ図は細胞周期の模式図と MBL の「フルオロ HEPANA テスト (Code No. 4210, 4220)」を抗セントロメア抗体で染色した写真をあわせたものです。

Page 4: 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集 - MBL · 2019-08-02 · 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集. 間接蛍光抗体法による抗核抗体検査は、Friouら

間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集

4

Copyright © 2015 MEDICAL & BIOLOGICAL LABORATORIES CO., LTD. All Rights Reserved.

細胞分裂期(M期)

間期

2)前中期(Prometaphase)

3)中期(Metaphase)

1)前期(Prophase)

中心体は分離して

紡錘体極となる。

中心体

核膜

核小体

細胞質

細胞膜

5)終期(Telophase)

4)後期(Anaphase)

細胞骨格の一部をなしていた細胞質微小管が崩

壊し、紡錘体の形成が始まる。培養細胞では細胞

の形態が変化し、M期の間、細胞は丸くなって接

着性が減少する。また、間期に分散していたクロマ

チンは凝縮して染色体を形成し始める。G2期に

小さくなった核小体は前期~前中期にかけて消失

する。

HEp-2細胞のような接着性の細胞は、細胞

質を延ばし、容器やスライドグラスの表面に

張り付いている。G1期はDNA合成の準備

時期で、ヒストンの合成も始まる。S期に入

るとDNAはDNAポリメラーゼによって複

製される。G2期で、分裂の前にDNA複製

が完全に行われたかチェックされる。間期に

はクロマチンは解きほぐされて核全体に広

がっている。

核膜は崩壊して断片となり、核質と細胞質

は混ざり合う。セントロメアの両側に動原

体と呼ばれるタンパク質複合体が形成さ

れ、そこに紡錘体微小管の一部(動原体微

小管)が付着する。染色体は動原体微小管

に引っ張られ活発に動く。

M期の中では安定した時期であり、染色体

は両極の中間で一つの平面状に並ぶ。

各染色体で対をなしていた動原体が分離

し、娘染色体は紡錘体極に向かって引か

れて行く。

娘染色体が両極に到達し、動原体微小管は消失する。染

色体の周囲に再び核膜が形成され、細胞質と核質が分け

られる。また、染色体は脱凝縮し、クロマチンは分散する。

核小体は複数の点として観察されるようになり、G1期に

は融合して1つとなる。

アクチンフィラメントを主成分とする収縮環

の収縮によって細胞は2つに分かれる。分

裂の最後には分裂溝の細胞質がくびれて中

央体(midbody)となり、2つの娘細胞のつ

なぎとしてしばらく残っている。

6)細胞質分裂(Cytokinesis)

細胞周期

M

G1

G0

G2

S

間期

分裂期

核膜

核小体

細胞質

細胞膜

紡錘体極 紡錘体極

動原体

動原体微小管

動原体微小管が

短くなる。

中央体

(微小管が重なりあった部分)

中心体を核として間期の微小管配列が形成される。

核膜の断片

Page 5: 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集 - MBL · 2019-08-02 · 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集. 間接蛍光抗体法による抗核抗体検査は、Friouら

間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集

5

Copyright © 2015 MEDICAL & BIOLOGICAL LABORATORIES CO., LTD. All Rights Reserved.

基本的な染色型

染色型

■ 基本的な染色型 基本的な染色型は対応抗原の詳細が不明であった 1960 年代に動物臓器凍結切片の細胞核の染色様態により分類されたもの

です。ヒト培養細胞 HEp-2 を核材とする現在では、初期に記載された 4 種の染色型以外にも多くの染色型を観察することが

できます。またひとりの患者が複数の自己抗体をもっている場合は、それぞれの自己抗体に対応する染色型が混在して観察さ

れます。

染色型判定は間期核の染色様態をベースに分裂期細胞の染色様態を考慮して行います。

陰性

細胞核に特異染色が認められない場合は、抗核抗体は陰性である。

蛍光顕微鏡の性能に依存して健常者でもわずかな染色が認められ

る。染色型判定の困難な程度の微弱な蛍光は陽性としない *。

* 使用する蛍光顕微鏡の感度を把握しておくことが重要である。

陽性の場合は染色型を判定する。

Homogeneous 型

間期核に均質な染色を示す。分裂期クロマチンも均質に染色され

る。

抗 DNA 抗体や抗 DNA- ヒストン複合体抗体などのクロマチン関連

タンパク質に対する自己抗体による染色型である。

photo 1

photo 2

HEPASERA-I**

** HEPASERA-1 は MBL の抗核抗体管理血清 (Homogeneous 型、Speckled 型、Discrete-speckled 型、Nucleolar 型 ) です。(Code No. 4200)

Page 6: 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集 - MBL · 2019-08-02 · 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集. 間接蛍光抗体法による抗核抗体検査は、Friouら

間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集

6

Copyright © 2015 MEDICAL & BIOLOGICAL LABORATORIES CO., LTD. All Rights Reserved.

基本的な染色型

Peripheral 型

抗 DNA 抗体による染色型で Homogeneous 型と同様に間期核

は均質に染色されるが、核周辺部がより強く染色される。分裂

期クロマチンも均質に染色され、ときに周辺部がより強く染色

される。この染色型を示す血清は殆どの場合、希釈していくと

Homogeneous 型に変化する。

Speckled 型

間期核は全体に顆粒状のざらついた染色を示し、核小体が染色さ

れないことが多い。数多くの対応抗原があり、粗い顆粒や細かな

顆粒が認められる。分裂期クロマチンに染色を認めない。

抗 ENA 抗体の多くがこの染色型を示す。

Centromere (Discrete speckled) 型

間期核は 40 〜 80 個の微細な顆粒状に染色される。分裂期クロマ

チン部分にも整列した顆粒状の染色を認める。

抗セントロメア抗体による染色型である。

photo 4

HEPASERA-I**

photo 5

HEPASERA-I**

photo 3

Page 7: 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集 - MBL · 2019-08-02 · 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集. 間接蛍光抗体法による抗核抗体検査は、Friouら

間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集

7

Copyright © 2015 MEDICAL & BIOLOGICAL LABORATORIES CO., LTD. All Rights Reserved.

基本的な染色型

Nucleolar 型

核小体抗原に対する自己抗体による染色型で、間期核の核小体が

染色される。核小体の染色は均質な場合や顆粒状に染色される場

合がある。分裂期クロマチンの染色は一定でない。

多くは上記の 5 種類に分類されますが、あてはまらない例が存在します。

細胞周期関連型 細胞周期関連タンパク質 (PCNA など ) に対する自己抗体

ドット型 微小な核抗原 (p80 coilin、Sp100 など ) に対する自己抗体

核膜型 核膜構成タンパク質 ( ラミン、核膜孔複合体タンパク質など ) に対する自己抗体

  

他に細胞質抗原に対する自己抗体による染色も観察されます。

細胞質小器官の抗原に対する自己抗体 ミトコンドリア、リボソームなど

分裂装置の抗原に対する自己抗体 紡錘体、中心体など

細胞骨格を構成する抗原に対する自己抗体 アクチンフィラメント、中間径フィラメントなど

photo 6

HEPASERA-I**

** HEPASERA-1 は MBL の抗核抗体管理血清 (Homogeneous 型、Speckled 型、Discrete-speckled 型、Nucleolar 型 ) です。(Code No. 4200)

Page 8: 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集 - MBL · 2019-08-02 · 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集. 間接蛍光抗体法による抗核抗体検査は、Friouら

間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集

8

Copyright © 2015 MEDICAL & BIOLOGICAL LABORATORIES CO., LTD. All Rights Reserved.

染色型の混在

■ 染色型の混在 ひとりの患者が複数の自己抗体をもっている場合、それぞれの自己抗体に対応する染色型が混在して観察されます。一方の

染色型に他の染色型がおおわれ、観察できないことがありますが、定量試験を行うことで混在する染色型の判定が容易になる

場合があります。これは、抗体価の低い染色型が消失して、より抗体価の高い染色型が明瞭に観察されるためです。また分裂

期細胞の染色を観察することも有用です。

 しかし、すべての染色型を決定することは容易ではなく、判定に迷う場合は判別可能な(存在する確率の高い)染色型から

優先して記載します。

Speckled 型に染色される自己抗体と Homogeneous 型に染色される自己抗体を同時にもつ場合

Speckled型に染色される血清 (photo 7) とHomogeneous型に染色される血清 (photo 8) を等量混合して染色した例 (photo

9) を示す。間期核は Speckled 型に染色されているが、分裂期クロマチンが染色されていることでクロマチン関連タンパク質

に対する自己抗体が共存していることがわかる。この場合 Speckled 型と Homogeneous 型の混在と判定する。

photo 7

Speckled 型

photo 9 

Speckled 型と Homogeneous 型の混在

photo 8 

Homogeneous 型

Page 9: 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集 - MBL · 2019-08-02 · 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集. 間接蛍光抗体法による抗核抗体検査は、Friouら

間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集

9

Copyright © 2015 MEDICAL & BIOLOGICAL LABORATORIES CO., LTD. All Rights Reserved.

染色型の混在

抗核抗体 ( 抗セントロメア抗体 ) と抗細胞質抗体 ( 抗ミトコンドリア抗体 ) を同時にもつ場合

抗セントロメア抗体 (photo 10) と抗ミトコンドリア抗体 (photo 11) の両者を持つ血清は、核と細胞質にそれぞれの抗体に

よる染色を示す (photo 12)。

photo 12

核と細胞質にそれぞれの抗体による染色を示す

photo 11

抗ミトコンドリア抗体

photo 10

抗セントロメア抗体

Page 10: 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集 - MBL · 2019-08-02 · 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集. 間接蛍光抗体法による抗核抗体検査は、Friouら

間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集

10

Copyright © 2015 MEDICAL & BIOLOGICAL LABORATORIES CO., LTD. All Rights Reserved.

クロマチン関連抗原を認識する自己抗体

抗核抗体の染色像

■ クロマチン関連抗原を認識する自己抗体

クロマチンの主成分は、dsDNA とタンパク質 ( ヒストンおよび非ヒストン DNA 結合タンパク質 ) です。ヒストンコア ( 2分

子ずつのヒストン H2A、H2B、H3、H4 からなる 8 量体 ) に 146 塩基対の DNA が巻きついたヌクレオソームが、ヒストン

H1 の結合した DNA のリンカー部分を介して多数連なってクロマチンを形成しています。クロマチンは間期には核内に分散し

ていますが、分裂期には高度に折り畳まれて光学顕微鏡で観察される染色体 ( クロモソーム ) となります。

抗 dsDNA 抗体

クロマチンの単位粒子であるヌクレオソームはヒストンとDNAが結合してできている。

ヒストン8量体(H2A,H2B,H3,H4 を2分子ずつ含む)

クロマチン線維

染色体 “糸に通したビーズ”形のクロマチン

DNA

DNA

photo13

Peripheral 型

photo14                 AF/CDC-1*

Homogeneous 型

Page 11: 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集 - MBL · 2019-08-02 · 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集. 間接蛍光抗体法による抗核抗体検査は、Friouら

間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集

11

Copyright © 2015 MEDICAL & BIOLOGICAL LABORATORIES CO., LTD. All Rights Reserved.

クロマチン関連抗原を認識する自己抗体

染色型 Peripheral 型または Homogeneous 型

Peripheral 型 は × 20 〜 × 40 の 低 希 釈 で 観 察 さ れ る が、 希 釈 倍 率 が 高 く な る と ほ と ん ど

Homogeneous 型に変化する。また Homogeneous 型しか観察されない例も多くある。

HEp-2 を基質とした場合は血清希釈倍率が高いため、動物臓器切片や血球を基質とした場合より

Peripheral 型の出現頻度は低くなる。

対応抗原 dsDNA

抗 ssDNA 抗体では染色されない。

確認法 蛍光抗体法、ELISA 法、RIA 法、CLEIA 法

臨床的意義 SLE に高率かつ特異的に出現。SLE 診断基準 ( アメリカリウマチ協会 1997 年改訂 )、SLE の新分類

基準項目 (SLICC 2012) に含まれる。

文献 5、6

抗 DNA- ヒストン複合体抗体(抗 DNP 抗体・抗ヌクレオソーム抗体)

染色型 Homogeneous 型

間期核全体が均質に染色され、分裂期クロ

マチンも全体が染色される。

対応抗原 ヒストン -DNA 複合体

ヌクレオソームのヒストン -DNA 結合部位

がエピトープ

確認法 ELISA 法

臨床的意義 SLE、ループス腎炎との関連が報告されて

いる。

文献 7、8

* Centers for Disease Control のコントロール血清SLE: 全身性エリテマトーデス , SSc: 全身性強皮症 , MCTD: 混合性結合組織病 , SS: シェーグレン症候群 , PM/DM: 多発性筋炎 / 皮膚筋炎 , RA: 関節リウマチ , PBC: 原発性胆汁性肝硬変 , AIH: 自己免疫性肝炎

photo15

Clithidia luciliae の kinetoplast が染色される [ フルオロ

nDNA テスト (Code No. 4270, 4280)]

photo16

Page 12: 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集 - MBL · 2019-08-02 · 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集. 間接蛍光抗体法による抗核抗体検査は、Friouら

間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集

12

Copyright © 2015 MEDICAL & BIOLOGICAL LABORATORIES CO., LTD. All Rights Reserved.

クロマチン関連抗原を認識する自己抗体

抗ヒストン抗体

染色型 Homogeneous 型

抗 DNA ヒストン複合体抗体と同様

対応抗原 ヒストン H1、H2A、H2B、H3、H4、H2A-H2B 複合体、H3-H4 複合体

蛍光抗体法では主として H2A-H2B 複合体に対する抗体が検出される。

確認法 ELISA 法、WB 法

臨床的意義 SLE (H1 および H2A)、薬剤誘発ループス (H2A-H2B 複合体 )

文献 9

抗 Ku 抗体

染色型 Speckled 型

DNA 結 合 タ ン パ ク 質 抗 原 で あ る た め

Homogeneous 型とする記載があるが、核染

色はざらつきがあり分裂期クロマチンは染色

されない。70kD タンパク質と反応するモノ

クローナル抗体でも同様に染色された。

対応抗原 DNA 結 合 80kD/70kD 二 量 体 タ ン パ ク 質

(DNA 依存性プロテインキナーゼ活性化因子 )

各サブユニットを認識する抗体と複合体を認

識する抗体が報告されている。

確認法 DID 法、免疫沈降法

臨床的意義 全身性強皮症-多発性筋炎重複症候群 (日本)、

SLE、SSc ( アメリカ )

文献 1、4、10、11

抗 Scl-70 抗体 ( 抗トポイソメラーゼ I 抗体 )

染色型 Homogeneous 型

間期核は顆粒が密に染色され、Speckled 型と

Homogeneous 型の中間的な像を示す。核小

体もしばしば染色される。分裂期クロマチン

は染色される。

対応抗原 DNA トポイソメラーゼ I

確認法 DID 法、ELISA 法、WB 法、CLEIA 法

臨床的意義 SSc 認定基準、ACR/EULAR による新 SSc 分

類基準案 (2013) に含まれる。びまん皮膚硬

化型 SSc に特異的。手指潰瘍、間質性肺疾患

と相関がみられる。

文献 12

photo17

photo 18                 AF/CDC-9*

Page 13: 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集 - MBL · 2019-08-02 · 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集. 間接蛍光抗体法による抗核抗体検査は、Friouら

間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集

13

Copyright © 2015 MEDICAL & BIOLOGICAL LABORATORIES CO., LTD. All Rights Reserved.

クロマチン関連抗原を認識する自己抗体

抗セントロメア抗体

染色型 Centromere 型 /Discrete-speckled 型

間期核は 40 〜 80 個の微細な顆粒状の染色を認める。また分裂期クロマチン部に顆粒が配列するのが特徴。

染色体の低張塗抹標本を用いると、接合部に一対の蛍光として存在することが確認できる。

対応抗原 3 種のセントロメアタンパク質 CENP-B (80kD)、CENP-A (17kD)、CENP-C (140kD)

確認法 ELISA 法、WB 法、CLEIA 法

臨床的意義 SSc 認定基準、ACR/EULAR による新 SSc 分類基準案 (2013) に含まれる。限局皮膚硬化型 SSc で高率に

出現。無症候性 PBC で高率に検出される。

文献 13、14

対合領域

セントロメアヘテロクロマチンCENP-B 80kD

内層CENP-C 140kD

中層3F3/2抗原

外層CENP-F

繊維状コロナCENP-E,ダイニン

キネトコア

染色体の 2 本の相同染色体が接合する狭窄部分は動原体あるいはセントロメアとよばれており、この領域に特有なタンパク質

(CENP) が知られています。またキネトコアは染色体の分配の際に紡錘糸が結合する部分です。

* Centers for Disease Control のコントロール血清 SLE: 全身性エリテマトーデス , SSc: 全身性強皮症 , MCTD: 混合性結合組織病 , SS: シェーグレン症候群 , PM/DM: 多発性筋炎 / 皮膚筋炎 , RA: 関節リウマチ , PBC: 原発性胆汁性肝硬変 , AIH: 自己免疫性肝炎

photo 19                 AF/CDC-8* photo 20

分裂期染色体の低張塗抹スライドを用いると染色部位が明瞭

に判別できる。

Page 14: 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集 - MBL · 2019-08-02 · 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集. 間接蛍光抗体法による抗核抗体検査は、Friouら

間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集

14

Copyright © 2015 MEDICAL & BIOLOGICAL LABORATORIES CO., LTD. All Rights Reserved.

非クロマチン関連タンパク質を認識する自己抗体

■ 非クロマチン関連タンパク質を認識する自己抗体

DNA の遺伝情報は mRNA に転写されますが、RNA ポリメラーゼ II による最初の転写産物はイントロンを含んだ前駆体 mRNA

(heterogeneous nuclear RNA, hnRNA) です。U1RNA などの核内低分子 RNA (small nuclear RNA, snRNA) は、hnRNA か

らイントロンを除去しエクソンをつなぎあわせる過程 ( スプライシング ) に関与しています。

hnRNA や snRNA はタンパク質と複合体の形で存在しており、RNA に結合するタンパク質は RNP (ribonucleoprotein) と呼

ばれています。

抗 U1RNP 抗体

染色型 Speckled (Coarse) 型

やや大きめの顆粒の Speckled 型を示す。分裂期クロマチンは染色されない。

対応抗原 U1RNA 結合タンパク質

RNP-68kD、RNP-A (34kD)、RNP-C (23kD) がエピトープとなる。

確認法 DID 法、ELISA 法、WB 法、免疫沈降法、CLEIA 法

臨床的意義 MCTD の疾患標識抗体

厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業 混合性結合組織病に関する研究班 (2005 年改訂版 ) に

よる MCTD 診断基準の 1 項目に含まれる。SLE・SSc などにも出現する。

文献 15、16

DNA

RNAポリメラーゼ II

mRNA

mRNA前駆体

イントロン イントロン

スプライシング

スプライシング

(hnRNA)

U1RNP

U2RNP

U5RNPU4/U6RNP

RNP

SmA

CBB'DEFG

U1 RNA

photo21

Page 15: 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集 - MBL · 2019-08-02 · 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集. 間接蛍光抗体法による抗核抗体検査は、Friouら

間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集

15

Copyright © 2015 MEDICAL & BIOLOGICAL LABORATORIES CO., LTD. All Rights Reserved.

非クロマチン関連タンパク質を認識する自己抗体

抗 Sm 抗体

染色型 Speckled (Coarse) 型。抗 U1RNP 抗体と同様

対応抗原 U1、U2、U4-U6 RNA 結合タンパク質

B'/B (29kD/28kD)、D (16kD)、E (12kD)、

F (11kD)、G (10kD) がエピトープとなる。

B'/B と D が主要エピトープであるが、E-F-G

complex の優位なエピトープも報告されてい

る。

確認法 DID 法、ELISA 法、WB 法、 免 疫 沈 降 法、

CLEIA 法

臨床的意義 SLE の疾患標識抗体

SLE 診断基準 ( アメリカリウマチ協会 1997

年 改 訂 )、SLE の 新 分 類 基 準 項 目 (SLICC

2012) に含まれている。

文献 17

抗 U2RNP 抗体・抗 U1U2RNP 抗体

染色型 Speckled (Coarse) 型。抗 U1RNP 抗体と同

対応抗原 U2RNA 結合タンパク質

A' (32kD)、B" (28.5kD) がエピトープとな

る。B" は U1RNP の A と共通性を持つため

B" と反応する抗体は、U1RNP と U2RNP の

両者と反応する抗 U1U2RNP 抗体となる。

確認法 免疫沈降法

臨床的意義 全身性強皮症 - 多発性筋炎重複症候群

文献 3、15、16

photo 22                 AF/CDC-5*

photo 23

* Centers for Disease Control のコントロール血清 SLE: 全身性エリテマトーデス , SSc: 全身性強皮症 , MCTD: 混合性結合組織病 , SS: シェーグレン症候群 , PM/DM: 多発性筋炎 / 皮膚筋炎 , RA: 関節リウマチ , PBC: 原発性胆汁性肝硬変 , AIH: 自己免疫性肝炎

Page 16: 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集 - MBL · 2019-08-02 · 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集. 間接蛍光抗体法による抗核抗体検査は、Friouら

間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集

16

Copyright © 2015 MEDICAL & BIOLOGICAL LABORATORIES CO., LTD. All Rights Reserved.

非クロマチン関連タンパク質を認識する自己抗体

抗 hnRNP 抗体

染色型 Speckled (Large) 型

核質の大きめの粒子が染色されるが、抗

U1RNP 抗体や抗 Sm 抗体と共存し Speckled

(Coarse) 型と混在する例が多い。分裂期クロ

マチンは染色されない。

対応抗原 hnRNA 結合タンパク質 -A/B、A1、A2、C、I

確認法 ELISA 法、WB 法

臨床的意義 MCTD 患者で最初に報告されたが、SLE (A/

B)、RA (A1、A2) でも出現する。

抗 hnRNP-I 抗体 (SSc に特異的で核全体が弱

く染色される ) および抗 hnRNP-C 抗体 (SSc

患者で出現し核が Speckled 型に染色される )

も報告されている。

文献 18、19、20、21

抗 SS-A/Ro 抗体

染色型 Speckled (Fine) 型

アセトン固定された間期核では細かい顆粒状の染色を示すが、アルコール固定された核では染色されない。分

裂期クロマチンは染色されない。

対応抗原 Y1-Y5RNA 結合タンパク質 (52kD、60kD)

確認法 DID 法、ELISA 法、WB 法、免疫沈降法、CLEIA 法

臨床的意義 SS に高率に出現する。SLE・SSc・RA など他の膠原病でも出現する。1999 年の厚生省特定疾患免疫疾患調

査研究班による SS の改訂診断基準の 1 項目に含まれる。

抗 SS-A 抗体陽性妊婦から生まれた新生児のループス症状や心ブロックとの関係が注目されている。

文献 22

SS-B/LaRo 60 kD

Ro 52 kDLa

Y-RNA

SS-A/Ro

photo 24

photo 25                 AF/CDC-7*

Page 17: 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集 - MBL · 2019-08-02 · 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集. 間接蛍光抗体法による抗核抗体検査は、Friouら

間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集

17

Copyright © 2015 MEDICAL & BIOLOGICAL LABORATORIES CO., LTD. All Rights Reserved.

非クロマチン関連タンパク質を認識する自己抗体

抗 SS-B/La 抗体

染色型 Speckled (Fine) 型

細かい顆粒が密集した染色。分裂期クロマチ

ンは染色されない。

対応抗原 RNA ポリメラーゼ III 転写 RNA 結合タンパク

質 (50kD、RNA ポリメラーゼ III の転写終結

因子の機能を持つ )

確認法 DID 法、ELISA 法、WB 法、 免 疫 沈 降 法、

CLEIA 法

臨床的意義 抗 SS-A 抗体と同様に SS・SLE・SSc・RA

などで出現する。1999 年の厚生省特定疾患

免疫疾患調査研究班による改訂診断基準の 1

項目に含まれる。

新生児ループスや心ブロックとの関係が注目

されている。再発性環状紅斑で抗 SS-B 抗体

が高率に陽性であることが報告されている。

文献 23

抗 p80 coilin 抗体

染色型 Granular 型あるいは Few nuclear dots 型 **

染色の特徴 0 〜 6 個 ( 平均 2 個 ) の点状蛍光を示す。S

期〜 G2 期には明るい大きな点状に見え、分

裂期には認められない。

対応抗原 p80 coilin (80kD、核質の coiled body を構

成する )

確認法 WB 法

臨床的意義 SS の一部、PBC の一部に認められる。

文献 24、25

photo 26     AF/CDC-2*

photo 27

* Centers for Disease Control のコントロール血清 SLE: 全身性エリテマトーデス , SSc: 全身性強皮症 , MCTD: 混合性結合組織病 , SS: シェーグレン症候群 , PM/DM: 多発性筋炎 / 皮膚筋炎 , RA: 関節リウマチ , PBC: 原発性胆汁性肝硬変 , AIH: 自己免疫性肝炎

Page 18: 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集 - MBL · 2019-08-02 · 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集. 間接蛍光抗体法による抗核抗体検査は、Friouら

間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集

18

Copyright © 2015 MEDICAL & BIOLOGICAL LABORATORIES CO., LTD. All Rights Reserved.

非クロマチン関連タンパク質を認識する自己抗体

抗 Sp100 抗体

染色型 Granular 型あるいは Multiple nuclear dots

型 **

染色の特徴 多数 (1 〜 24 個 ) の点状蛍光

対応抗原 Sp100 タンパク質

PML タンパク質、NDP53 (Sp100 も含め

て PML*** oncogenic domain に結合するタ

ンパク質 ) に対する抗体によっても Multiple

nuclear dots に染色される。

確認法 WB 法

臨床的意義 PBC の一部に認められる。

文献 26、27、28

** Few nuclear dots 型と Multiple nuclear dots 型で染色される点の数は重なっているため、区別が困難な場合がある。両者

を含めて Granular 型あるいは Nuclear dots 型と呼ぶこともある。

*** PML:前骨髄球性白血病

photo 28

Page 19: 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集 - MBL · 2019-08-02 · 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集. 間接蛍光抗体法による抗核抗体検査は、Friouら

間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集

19

Copyright © 2015 MEDICAL & BIOLOGICAL LABORATORIES CO., LTD. All Rights Reserved.

核小体関連タンパク質を認識する自己抗体

■ 核小体関連タンパク質を認識する自己抗体

線維状部分

線維中心(核小体形成部位, NOR)

顆粒状部分リボソーム RNA が成熟し、核外に運ばれてリボゾームの構成成分となる。PM-SclB23NO55

リボソームRNAの最初のプロセッシングが行われる。Fibrillarin

細胞分裂後の核小体形成の中心となる。リボソーム RNA 遺伝子が存在しており、遺伝子からリボゾームRNA の前駆体が転写生成される。RNA ポリメラーゼ I~IIINOR-90

mRNA

細胞質

小胞体

核膜

リボゾーム

リボ核タンパク質粒子

リボゾームRNA前駆体

リボゾームRNA遺伝子を含むクロマチン

核小体

核小体

核小体はリボソーム RNA の前駆体 RNA とタンパク質からなっており、構造的には中心の線維状部分と周辺の顆粒状部分に分

かれています。線維状部分には核小体形成域 (Nucleolus Organizer Region) とよばれる領域があり、細胞分裂後の核小体の再

構成に関っています。

抗 U3RNP 抗体 ( 抗 Fibrillarin 抗体 )

染色型 Nucleolar (Clumpy) 型

核小体が大きめの塊状に染色される。分裂期

クロマチンも染色される。

対応抗原 U3RNA 結合タンパク質

フィブリラリン (34kD)

確認法 免疫沈降法

臨床的意義 SSc ( 関節炎や肺線維症のないびまん性皮膚

硬化型の例が多い )、肝癌

文献 29、30

photo 29

SLE: 全身性エリテマトーデス , SSc: 全身性強皮症 , MCTD: 混合性結合組織病 , SS: シェーグレン症候群 , PM/DM: 多発性筋炎 / 皮膚筋炎 , RA: 関節リウマチ , PBC: 原発性胆汁性肝硬変 , AIH: 自己免疫性肝炎

Page 20: 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集 - MBL · 2019-08-02 · 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集. 間接蛍光抗体法による抗核抗体検査は、Friouら

間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集

20

Copyright © 2015 MEDICAL & BIOLOGICAL LABORATORIES CO., LTD. All Rights Reserved.

核小体関連タンパク質を認識する自己抗体

抗 RNA ポリメラーゼ I 抗体

染色型 Nucleolar (Punctate) 型

核小体が小顆粒状に染色される。分裂期クロ

マチンは染色されない。

対応抗原 RNA ポリメラーゼ I、II、III 構成タンパク質

(12.5 〜 210kD の 10 種以上 )

RNA ポリメラーゼ II または III および I 〜 III

の複数と反応する自己抗体も報告されている。

確認法 免疫沈降法

臨床的意義 SSc ( 肺や腎などの内蔵に重篤な病変を伴い

予後不良例が多い )

文献 4、12、29

抗 7-2RNP 抗体 ( 抗 Th 抗体 )

染色型 Nucleolar (Dotty) 型

対応抗原 RNaseP および RNaseMRP

確認法 免疫沈降法

臨床的意義 SSc ( 皮膚硬化の軽度な例が多い )

文献 29

抗 PM-Scl 抗体

染色型 Nucleolar (Homogeneous) 型

核小体が均質に染色される。分裂期クロマチ

ンは染色されない。

対応抗原 75kD、100kD を含む 10 種以上の核小体タ

ンパク質の複合体

確認法 DID 法、免疫沈降法

臨床的意義 多発性筋炎 - 全身性強皮症重複症候群 ( 欧

米 )、日本での報告例はない。

文献 29

photo 30

photo 31

photo 32

Page 21: 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集 - MBL · 2019-08-02 · 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集. 間接蛍光抗体法による抗核抗体検査は、Friouら

間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集

21

Copyright © 2015 MEDICAL & BIOLOGICAL LABORATORIES CO., LTD. All Rights Reserved.

核小体関連タンパク質を認識する自己抗体

抗 NOR-90 抗体

染色型 Nucleolar (Coarse speckled) 型

核小体は顆粒状に染色される。分裂期クロマ

チン部に数個の強い点状の染色を認める。

対応抗原 核 小 体 形 成 部 位 (Nucleolus Organizer

Region) の 90kD/92kD タンパク質

臨床的意義 SSc ( レイノー現象を伴う例が多い )、肝癌、

SS ( 日本 )

文献 30、31

抗 RNA helicase 抗体

染色型 Nucleolar 型

核小体が密な顆粒状に染色される。分裂期ク

ロマチンは染色されない。

対応抗原 100kD nucleolar RNA helicase protein

確認法 免疫沈降法

臨床的意義 SSc、SLE、 結 合 織 疾 患、 消 化 管 出 血

(Watermelon stomach disease)

文献 32、33

上記以外の核小体抗原に対する自己抗体として、肝癌で出現し Nucleolar (Homogeneous) 型に染色される抗 B23/

nucleophosmin 抗体【文献 30、34】、間質性膀胱炎患者に出現し Nucleolar (Homogeneous) 型に染色される抗 No55 抗体【文

献 35】があります。

photo 33

photo 34

SLE: 全身性エリテマトーデス , SSc: 全身性強皮症 , MCTD: 混合性結合組織病 , SS: シェーグレン症候群 , PM/DM: 多発性筋炎 / 皮膚筋炎 , RA: 関節リウマチ , PBC: 原発性胆汁性肝硬変 , AIH: 自己免疫性肝炎

Page 22: 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集 - MBL · 2019-08-02 · 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集. 間接蛍光抗体法による抗核抗体検査は、Friouら

間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集

22

Copyright © 2015 MEDICAL & BIOLOGICAL LABORATORIES CO., LTD. All Rights Reserved.

細胞周期関連抗原を認識する自己抗体

■ 細胞周期関連抗原を認識する自己抗体細胞により核染色の有無または染色強度に著しい差を認める場合、細胞周期依存的に量や局在あるいは分子構造が変化する抗

原に対する自己抗体による染色であると考えられます。染色様態から複数の自己抗体が存在すると推測されますが、その詳細

は明らかでないものが多くあります。

抗 PCNA 抗体

PCNA: Proliferating Cell Nuclear Antigen

染色型 主に S 期の核が染色されるが、染色像は細胞周期の進展にともない変化するのが特徴である。G1 期後半で

はまばらな顆粒状、S 期には核全体が密に、S 期後半にはざらついた染色に変わり核小体が染色されなくなる。

分裂期クロマチンは染色されない。

他の抗核抗体と共存する場合は判りにくいので、血清の希釈試験を行って特異的な染色像を確認する必要が

ある。

対応抗原 DNA ポリメラーゼδ補助タンパク質 (34kD)

PCNA 抗原は Ki 抗原などと高分子複合体を形成していることが報告されている。

確認法 DID 法、WB 法

臨床的意義 SLE

文献 36、37、38

photo 35

Page 23: 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集 - MBL · 2019-08-02 · 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集. 間接蛍光抗体法による抗核抗体検査は、Friouら

間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集

23

Copyright © 2015 MEDICAL & BIOLOGICAL LABORATORIES CO., LTD. All Rights Reserved.

細胞周期関連抗原を認識する自己抗体

抗 Na 抗体

染色型 主に G2 期の核が Speckled 型に染色されるが、抗 PCNA 抗体のような染色像の多様性は認められない。分

裂期クロマチンに抗セントロメア抗体様の顆粒状染色を認めるが、間期核ではセントロメアに相当する染色

を認めない。さらに分裂終期の分裂溝 (Cleavage furrow) および分裂後の細胞間部分 (Midbody) が染色さ

れる。

対応抗原 ミオシン類似抗原

臨床的意義 報告例は SLE

文献 39、40

抗 Na 抗体と類似の染色を示す自己抗体として、肺癌などの胸部悪性腫瘍に出現しセントロメアタンパク質 (CENP-F 367kD)

を認識する抗 CENP-F (MAS-3) 抗体が報告されています。抗 CENP-F (MAS-3) 抗体は一部の間期核が Speckled 型に染色さ

れますが、分裂終期の分裂溝などの染色を認めません。【文献 44、73】

抗 Midbody (MAS-2) 抗体は SSc に出現し、抗 Na 抗体に類似していますが間期細胞の染色はごく弱いか染まらないとされて

います。【文献 43、44】

抗 MAS-3 抗体は一部の間期核が Speckled 型に染色されますが、分裂終期の分裂溝などの染色を認めません。この抗体は呼吸

器系の癌に関連して出現するとされています。【文献 44】

また肝癌に出現する抗 DNA トポイソメラーゼ II 抗体も報告されています。【文献 30】

photo 36 photo 37

SLE: 全身性エリテマトーデス , SSc: 全身性強皮症 , MCTD: 混合性結合組織病 , SS: シェーグレン症候群 , PM/DM: 多発性筋炎 / 皮膚筋炎 , RA: 関節リウマチ , PBC: 原発性胆汁性肝硬変 , AIH: 自己免疫性肝炎

Page 24: 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集 - MBL · 2019-08-02 · 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集. 間接蛍光抗体法による抗核抗体検査は、Friouら

間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集

24

Copyright © 2015 MEDICAL & BIOLOGICAL LABORATORIES CO., LTD. All Rights Reserved.

細胞周期関連抗原を認識する自己抗体

細胞周期関連その他

対応抗原や臨床的意義は明らかではありませんが、MBL で経験した細胞周期関連抗原によると思われる染色像のいくつかを

photo に示します。

細胞増殖に関連する多くのタンパク質が見いだされており、細胞周期依存的な挙動を示す抗核抗体はそのいずれかを認識して

いるかもしれません。患者血清中に出現する自己抗体が自己抗原の構造や機能の解析のための有用なツールとなる可能性があ

ります。【文献 45】

photo 38

一部の細胞核が均質に染色される。分裂期クロマチンがより

強く染まっている。

photo 40

一部の核小体が染色される。

photo 39

一部の細胞核が弱く染色される。細胞質にも染色が認められ

る。

photo 41

間期核は染色されず、分裂期クロマチンのみが強く染色され

る。

Page 25: 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集 - MBL · 2019-08-02 · 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集. 間接蛍光抗体法による抗核抗体検査は、Friouら

間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集

25

Copyright © 2015 MEDICAL & BIOLOGICAL LABORATORIES CO., LTD. All Rights Reserved.

核膜抗原を認識する自己抗体

■ 核膜関連抗原を認識する自己抗体

細胞質

核膜外膜核膜内膜

リボソーム

小胞体

核膜ルーメン

核膜孔

核ラミナLAP1 LAP2

ラミンAラミンBラミンC

核膜gp210

核膜は脂質二重膜で形成され、内膜は核ラミナで裏打ちされています。また外膜にはリボソームや小胞体が結合しています。

ところどころに核膜孔があり核と細胞質間の物質の輸送 * が行われています。

* 核タンパク質は細胞質のリボソームで合成されたのち核に輸送されます。またタンパク質合成のための遺伝情報 (mRNA) は核内で転写されたのち細胞質に輸送されます。

抗核膜ラミン抗体

染色型 核膜 (linear) 型

核周囲に輪郭状の染色を認め、周辺部以外は

均質に染色される。Peripheral 型と似ている

が、分裂期クロマチンは染色されない。

対応抗原 ラミン [ 核内膜を裏打ちする中間径フィラメ

ン ト で lamin A (74kD)、lamin B (68kD)、

lamin C (60kD) がある。]

核ラミナ結合タンパク質 (LAP 1A、LAP 2)

など

臨床的意義 PBC、AIH、慢性疲労症候群、D 型肝炎

文献 46、47、48、49、50photo 42

SLE: 全身性エリテマトーデス , SSc: 全身性強皮症 , MCTD: 混合性結合組織病 , SS: シェーグレン症候群 , PM/DM: 多発性筋炎 / 皮膚筋炎 , RA: 関節リウマチ , PBC: 原発性胆汁性肝硬変 , AIH: 自己免疫性肝炎

Page 26: 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集 - MBL · 2019-08-02 · 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集. 間接蛍光抗体法による抗核抗体検査は、Friouら

間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集

26

Copyright © 2015 MEDICAL & BIOLOGICAL LABORATORIES CO., LTD. All Rights Reserved.

核膜抗原を認識する自己抗体

抗核膜孔コンプレックス抗体

染色型 核膜 (pores) 型

核周囲に輪郭状の染色を認め、周辺部以外はざらついた染色となる。

対応抗原 gp210 ( 核膜孔を形成する 210kD の糖タンパク質 )

抗原エピトープは細胞質側に面した C 末端側にある。また、核膜ルーメン側の糖鎖や N 末端ドメインのエ

ピトープも報告されている。

臨床的意義 PBC

文献 46、51、52

photo 43

Page 27: 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集 - MBL · 2019-08-02 · 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集. 間接蛍光抗体法による抗核抗体検査は、Friouら

間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集

27

Copyright © 2015 MEDICAL & BIOLOGICAL LABORATORIES CO., LTD. All Rights Reserved.

細胞小器官の抗原を認識する自己抗体

抗細胞質抗体の染色像

細胞質には細胞活動のエネルギーを供給するミトコンドリアや、タンパク質合成の場となるリボソーム、分泌顆粒をつくるゴ

ルジ体、細胞の消化機能をもったライソソームなどの小器官があります。また紡錘体と中心体は細胞分裂の制御に重要な役割

を果たしています。さらに細胞骨格は細胞質内にネットワークを形成し、細胞の形態を維持するとともに、細胞運動にかかわっ

ています。

これらを構成するタンパク質や、細胞内酵素などと反応するさまざまな自己抗体が見いだされており、抗細胞質抗体と呼ばれ

ています。

■ 細胞小器官の抗原を認識する自己抗体

抗ミトコンドリア抗体

染色型 細胞質全体に顆粒が網状にひろがって染色される。

対応抗原 ミトコンドリア M2 … 内膜のピルビン酸脱水素酵素 (PDH-E2) など

他に M1、M3 〜 M9 の亜型があるが、本項に示したものは M2 による像である。

確認法 蛍光抗体法、ELISA 法、WB 法、CLEIA 法

臨床的意義 PBC で特異的かつ高率 (90% 以上 ) に出現する。AMA の中で、抗ミトコンドリア M2 抗体は最も PBC に

特異的で高率に出現する。PBC の診断基準に含まれている。

文献 53、54

photo 44 photo 45

ラット腎・胃切片の像。腎では尿細管 ( 遠位管が強く染まる )

の細胞質が染色され、胃では壁細胞が強く染色される [ フル

オロ AID-1 テスト (Code No. 4250)]

SLE: 全身性エリテマトーデス , SSc: 全身性強皮症 , MCTD: 混合性結合組織病 , SS: シェーグレン症候群 , PM/DM: 多発性筋炎 / 皮膚筋炎 , RA: 関節リウマチ , PBC: 原発性胆汁性肝硬変 , AIH: 自己免疫性肝炎

Page 28: 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集 - MBL · 2019-08-02 · 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集. 間接蛍光抗体法による抗核抗体検査は、Friouら

間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集

28

Copyright © 2015 MEDICAL & BIOLOGICAL LABORATORIES CO., LTD. All Rights Reserved.

細胞小器官の抗原を認識する自己抗体

抗リボソーム抗体

染色型 細胞質が均質に染色される。核小体も同時に染色される。

対応抗原 リボソーム 60 S粒子の 3 種のリン酸化タンパク質 P0 (38kD)、P1 (19kD)、P2 (17kD)、28S リボソー

ム RNA、L12 タンパク質など

確認法 蛍光抗体法、DID 法、WB 法、免疫沈降法

臨床的意義 SLE-CNS ループスに高率に出現する。

文献 55、56、57

抗 Jo-1 抗体

染色型 細胞質の細かな顆粒状の染色が特徴とされる

が、強く染まる例は少ない。

AF/CDC-10 のコントロール血清も通常の希

釈倍率ではほとんど染まらない。Jo-1 抗原が

細胞質と核の両方に存在するという報告もあ

る。

対応抗原 ヒスチジル -tRNA 合成酵素 (tRNA の 3'-OH

基にヒスチジンを結合させる反応を触媒 )

確認法 DID 法、ELISA 法、免疫沈降法、CLEIA 法

臨床的意義 PM/DM に特異的で、本抗体陽性例は肺線維

症と多発関節炎を合併する頻度が高い。抗ア

ミノアシル tRNA 合成酵素抗体(抗 Jo-1 抗体

を含む)陽性が、厚労省自己免疫疾患に関す

る調査研究班(2015 年)で改定された PM/

DM の認定基準項目のひとつになっている。

文献 2、58

photo 46

photo 48                AF/CDC-10*

photo 47 ラット腎・胃切片の像

腎の尿細管がびまん性に染色されるが、胃では主細胞が染色

される ( 抗ミトコンドリア抗体では壁細胞が染色される ) [ フ

ルオロ AID-1 テスト (Code. No. 4250)]

Page 29: 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集 - MBL · 2019-08-02 · 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集. 間接蛍光抗体法による抗核抗体検査は、Friouら

間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集

29

Copyright © 2015 MEDICAL & BIOLOGICAL LABORATORIES CO., LTD. All Rights Reserved.

細胞小器官の抗原を認識する自己抗体

抗 Jo-1 抗体 ( ヒスチジル -tRNA 合成酵素 ) 以外にも PM/DM で出現するアミノアシル tRNA 合成酵素に対する自己抗体 ( 抗

ARS 抗体 ) が知られている。【文献 59,74, 75】

抗 PL-7 抗体 … スレオニル -tRNA 合成酵素

抗 PL-12 抗体 … アラニル -tRNA 合成酵素

抗 OJ 抗体 … イソロイシル -tRNA 合成酵素

抗 EJ 抗体 … グリシル -tRNA 合成酵素

抗 KS 抗体…アスパラギニル tRNA 合成酵素

なお抗 SRP 抗体によっても細胞質が細かく密な顆粒状に染色される。粗面小胞体とリボソームに結合するシグナル認識粒子

(Signal Recognition Particle) の 54kD タンパク質に対する自己抗体で、PM/DM に特異性が高い。本抗体陽性の場合、治療

に抵抗し再燃を繰り返す例が多い。【文献 60】

抗ライソソーム抗体

染色型 細胞質全体に点在する大きめの顆粒が染色さ

れる。

対応抗原 ライソソームのタンパク質。ライソソーム

内酵素のカテプシンや LAMPs (Lysosome-

associated membrane protein) などの可能

性があるが、明確ではない。

臨床的意義 SLE での出現例があるが明確な臨床的意義は

ない。

文献 1、2

抗ゴルジ体抗体

染色型 細胞質内で核に沿った断続的な染色を認め

る。

対応抗原 ゴルジ体の 230kD タンパク質など。

97kD タンパク質 (golgin-97) や 200kD タ

ンパク質 ( 非筋細胞ミオシン ) が報告されて

いる。

臨床的意義 SLE・SS などにまれに出現する。golgin-97

は 2 次性 SS に特異的とされる。

文献 61、62

photo 49

photo 50

* Centers for Disease Control のコントロール血清 SLE: 全身性エリテマトーデス , SSc: 全身性強皮症 , MCTD: 混合性結合組織病 , SS: シェーグレン症候群 , PM/DM: 多発性筋炎 / 皮膚筋炎 , RA: 関節リウマチ , PBC: 原発性胆汁性肝硬変 , AIH: 自己免疫性肝炎

Page 30: 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集 - MBL · 2019-08-02 · 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集. 間接蛍光抗体法による抗核抗体検査は、Friouら

間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集

30

Copyright © 2015 MEDICAL & BIOLOGICAL LABORATORIES CO., LTD. All Rights Reserved.

細胞小器官の抗原を認識する自己抗体

細胞小器官関連その他

以下のような細胞質の密〜粗な染色も対応抗原の特定はできませんが、様々な細胞質内小器官を構成するタンパク質、小胞内

の酵素、あるいは小胞に取り込まれた分泌物や分解物質に対する自己抗体の存在を示しています。photo 54 は細胞周期と関連

すると思われます。

photo 51

細胞質全体に密な染色

photo 53

ミトコンドリア抗体類似だが顆粒が異なる

photo 52

よりやや粗い染色

photo 54

一部の細胞の細胞質が染色される

Page 31: 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集 - MBL · 2019-08-02 · 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集. 間接蛍光抗体法による抗核抗体検査は、Friouら

間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集

31

Copyright © 2015 MEDICAL & BIOLOGICAL LABORATORIES CO., LTD. All Rights Reserved.

分裂装置関連抗原を認識する自己抗体

■ 分裂装置関連抗原を認識する自己抗体紡錘体や中心体などの分裂装置は、分裂期において染色体の分配に重要な役割を果たしています。中心体は S 期に複製され、

分裂期に紡錘体の両極となります。紡錘体は微小管の線維 (紡錘糸) から成り、染色体がモータータンパク質により紡錘糸に沿っ

て両極に移動します。

微小管の主要構成タンパク質はチューブリンですが、微小管にはキネシンやダイニンなどのモータータンパク質が結合してい

ます。抗 NuMA 抗体など、これまでに報告された抗紡錘体抗体は、微小管の構成タンパク質あるいは結合タンパク質を認識し

ていると考えられます。

抗紡錘体抗体

染色型 分裂期細胞で両極間の紡錘糸が染色される。

対応抗原 チューブリンなど

臨床的意義 抗チューブリン抗体は寄生虫感染やギラン・

バレー症候群での報告がある。

文献 63、64

抗 NuMA (Nuclear Mitotic Apparatus)-1 抗体

染色型 分裂期細胞の紡錘体極が染色される。紡錘

糸は極の近傍のみが染色される。間期核も

Speckled 型に染色される。

対応抗原 HeLa S3 に含まれる 210kD のタンパク質

確認法 WB 法

臨床的意義 SS など自己免疫疾患

文献 65

photo 55

photo 56

SLE: 全身性エリテマトーデス , SSc: 全身性強皮症 , MCTD: 混合性結合組織病 , SS: シェーグレン症候群 , PM/DM: 多発性筋炎 / 皮膚筋炎 , RA: 関節リウマチ , PBC: 原発性胆汁性肝硬変 , AIH: 自己免疫性肝炎

Page 32: 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集 - MBL · 2019-08-02 · 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集. 間接蛍光抗体法による抗核抗体検査は、Friouら

間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集

32

Copyright © 2015 MEDICAL & BIOLOGICAL LABORATORIES CO., LTD. All Rights Reserved.

分裂装置関連抗原を認識する自己抗体

抗 NuMA (Nuclear Mitotic Apparatus)-2 抗体

染色型 分裂中期細胞の紡錘体極と紡錘糸が染色され

る。分裂後期には娘細胞間の接合部位が染色

される。間期核は染色されない。

対応抗原 kinesin-like protein HsEg5 (130kD)

確認法 免疫沈降法

臨床的意義 SLE など自己免疫疾患

文献 65、66

抗中心体抗体

染色型 分裂期細胞の中心体が染色される。間期細胞

の細胞質も 1 〜 2 個の点が染色される。

対応抗原 48kD 熱ショックタンパク質 ( エノラーゼ )

臨床的意義 レイノー病、SSc などにまれに出現する。

文献 67、68

photo 57

photo 58

Page 33: 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集 - MBL · 2019-08-02 · 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集. 間接蛍光抗体法による抗核抗体検査は、Friouら

間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集

33

Copyright © 2015 MEDICAL & BIOLOGICAL LABORATORIES CO., LTD. All Rights Reserved.

細胞骨格関連抗原を認識する自己抗体

■ 細胞骨格関連抗原を認識する自己抗体細胞骨格はアクチンフィラメント (5 〜 6 nm 径 )、中間径フィラメント ( 約 10 nm 径 )、微小管 ( 約 25 nm 径 ) の3種のタ

ンパク質線維からなります。アクチンフィラメントはアクチンと様々な結合タンパク質から構成されます。中間径フィラメン

トは細胞特異性があり、上皮細胞である HEp-2 細胞にはサイトケラチンとビメンチンが存在します。チューブリンからなる微

小管は分裂装置を構成しています。

抗アクチン抗体

染色型 細胞質全域にわたるアクチンフィラメントが染色される。

対応抗原 アクチン (34kD)

確認法 蛍光抗体法、ELISA 法

臨床的意義 AIH

文献 69、70

アクチン結合タンパク質であるトロポミオシンやビンキュリンに対する自己抗体によっても、 抗アクチン抗体様の染色がみら

れる。【文献 1】

SLE: 全身性エリテマトーデス , SSc: 全身性強皮症 , MCTD: 混合性結合組織病 , SS: シェーグレン症候群 , PM/DM: 多発性筋炎 / 皮膚筋炎 , RA: 関節リウマチ , PBC: 原発性胆汁性肝硬変 , AIH: 自己免疫性肝炎

photo 59 photo 60

ラット腎・胃切片の像。腎の血管壁と尿管の基底膜が染色さ

れる。また胃の平滑筋層および粘膜筋板が染色される [ フル

オロ AID-1 テスト (Code. No. 4250)]

Page 34: 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集 - MBL · 2019-08-02 · 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集. 間接蛍光抗体法による抗核抗体検査は、Friouら

間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集

34

Copyright © 2015 MEDICAL & BIOLOGICAL LABORATORIES CO., LTD. All Rights Reserved.

細胞骨格関連抗原を認識する自己抗体

抗サイトケラチン抗体

染色型 細胞質が網目状に染色される ( 細胞により染

色の強弱がある )。また分裂期細胞には顆粒

状の染色をみとめる。

対応抗原 サイトケラチン (40 〜 52kD の中間径フィ

ラメント )

確認法 WB 法

臨床的意義 RA で比較的高率に出現するが、他の疾患で

も認められる。RF 陰性の初期 RA に検出され

たという報告がある。

文献 71

抗ビメンチン抗体

染色型 細胞質がクモの巣状に染色される。核周辺部がより密集して染色される。

対応抗原 ビメンチン (53kD の中間径フィラメント )

確認法 WB 法

臨床的意義 RA、肝疾患など。慢性疲労症候群での出現報告あり。

文献 48、72

photo 61

photo 62 photo 63

ラット腎・胃切片の像

腎の血管壁と胃粘膜が染色されるが、抗アクチン抗体の像

とは異なっている [ フルオロ AID-1 テスト (Code. No.

4250)]

Page 35: 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集 - MBL · 2019-08-02 · 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集. 間接蛍光抗体法による抗核抗体検査は、Friouら

間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集

35

Copyright © 2015 MEDICAL & BIOLOGICAL LABORATORIES CO., LTD. All Rights Reserved.

HEPANA における“rods and rings (RR)”染色に関する考察

その他の染色像

■ HEPANA における“rods and rings (RR)”染色に関する考察

HEPANA の検体検索において、細胞質に「棒状」や「リング状」

の特異蛍光を認めるパターンがあります。

これは論文などで発表されている、細胞質の「棒および輪」

“cytoplasmic rods and rings (RR)”と呼ばれるもので、最近

の知見において、慢性の C 型肝炎患者血清に特異的に見られ

る染色であることが明らかとなりました。

中でも C 型肝炎患者にペグインターフェロン(pegylated

Interferon/PEG-IFN)とリバビリン(ribavirin/RBV)の併用

治療を行っている C 型肝炎患者群に高率に見出されます(逆

に治療を受けていない患者で確認されたという報告はまだあり

ません)。

RR を構成するタンパク質は細胞骨格系のものとは全く異なり、DNA,RNA 合成において CTP や GTP の合成経路で働く

CTPS1, IMPDH2 といったタンパク質により形成されていることがわかっています。この構造物は CTP もしくは GTP 合成経

路が阻害されることで出現することが知られており、HEp-2 細胞でも CTPS1 の阻害剤や IMPDH2 の阻害剤で RR の形成を誘

導できることが報告されています。

C 型肝炎患者の治療で使用されるリバビリンは実は IMPDH2 の阻害薬であり、治療を受けた C 型肝炎患者においても RR を形

成した細胞が存在している可能性があります。RR がなんらかの形で暴露されることで、体内で RR に対する自己抗体が産生さ

れてきているものと想定されます。

一方、HEPANA の HEp ‐ 2 細胞に RR が形成されてくる機序ですが、RR の形成は CTP, GTP 合成経路の阻害の他、栄養飢餓

状態(グルコースの不足)やアザイドの添加、ある種のキナーゼ阻害剤でも誘導されることが報告されています。HEPANA の

HEp-2 細胞については、細胞培養に使用するウシ血清のロット差で RR の形成の有無が分かれることから、栄養状態が原因で

RR の形成が誘導されているものと考えられます。血清の差により栄養状態や増殖スピードは異なりますので、細胞が飢餓にな

りやすい血清で培養された場合には RR の形成が促進されるものと推察されます。【文献 76-80】

Page 36: 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集 - MBL · 2019-08-02 · 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集. 間接蛍光抗体法による抗核抗体検査は、Friouら

間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集

36

Copyright © 2015 MEDICAL & BIOLOGICAL LABORATORIES CO., LTD. All Rights Reserved.

参考文献

参考文献

■ 総説1. Bradwell AR, Stokes RP, Johnson GD. Atlas of HEp-2 patterns.THE BINDING SITE, 1995

2. Krapf AR, et al. Atlas of Immunofluorescent Autoantibodies. Urban & Schwarzenberg, 1996

3. 三森経世 . 抗核抗体研究の進歩-自己抗体が認識する核および細胞質蛋白の構造と機能-.リウマチ 32(4) : 366-78,

1992

4. 三森経世 . 新しい自己抗体とその対応抗原.最新内科学体系プログレス 4 , p146-57. 中山書店 , 東京 , 1997

■ 各自己抗体5. 宮脇昌二 , 浅沼浩子 . 間接蛍光抗体法による抗核抗体染色型の再検討 . 辺縁型 (peripheral pattern) に関する問題点.リ

ウマチ 36(4) : 644-50, 1996

6. Herrera-Diosdado R, Avalos-Diaz E, Herrera-Esparza R. Cross-reactivity of anti-nDNA antibodies with nuclear

envelope proteins. Isolation of a cDNA encoding the 70 kDa annular protein recognized by autoantibodies from

patients with systemic lupus erythematosus. Rev Rhum Engl Ed 64, 82-8, 1997 [PMID:9085441]

7. 大西勝憲 , 小池隆夫 . SLE における抗ヌクレオソーム抗体の臨床的意義--ループス腎炎との関連.医学のあゆみ

170(2): 156-7, 1994

8. 水島昇 他 . 抗ヒストン ‐ DNA 複合体抗体陽性,IgG 抗 dsDNA 抗体陰性のループス腎炎の 2 例.臨床病理 44(6) : 585-

9, 1996

9. 杉本正毅 . 各種膠原病患者における亜分画別抗ヒストン抗体.日本臨床免疫学会会誌 16(5) : 347-54, 1993

10. 三森経世 , 諏訪昭 . Ku 抗原.炎症と免疫 5(3) : 291-8, 1997

11. Wang J, et al. Human autoantibodies stabilize the quaternary structure of Ku antigen. Arthritis Rheum. 40, 1344-

53, 1997 [PMID:9214436]

12. 鏑木淳一 . 強皮症と自己抗体.MBL 自己免疫レポート No.18, p1-13, MBL, 名古屋 , 1997

13. 諸井泰興 . 抗セントロメア抗体の検出法と臨床的意義.MBL 自己免疫レポート No.7,p1-8, MBL, 名古屋 , 1990

14. 岡崎恒子 . セントロメアの構造 . 蛋白質核酸酵素 41(15) : 2230-9, 1996

15. 東條毅 他 . 低分子核内 U-RNP 抗体群.日本臨床 46(4) : 784-9, 1988

16. Van Venrooij WJ, Sillekens PT. Small nuclear RNA associated proteins: autoantigens in connective tissue diseases.

Clin Exp Rheum. 7, 635-45, 1989 [PMID:2692895]

17. Brahms H, et al. A major, novel systemic lupus erythematosus autoantibody class recognizes the E, F, and G

Sm snRNP proteins as an E-F-G complex but not in their denatured states. Arthritis Rheum. 40, 672-82, 1997

[PMID:9125249]

18. Fritzler MJ, Ali R, Tan EM. Antibodies from patients with mixed connective tissue disease react with heterogeneous

nuclear ribonucleoprotein or ribonucleic acid (hnRNP/RNA) of the nuclear matrix. J Immunol. 132, 1216-22,

1984 [PMID:6198384]

19. Steiner G, Skriner K, Smolen JS. Autoantibodies to the A/B proteins of the heterogeneous nuclear ribonucleoprotein

complex: novel tools for the diagnosis of rheumatic diseases. Int Arch Allergy Immunol. 111, 314-9, 1996

[PMID:8957102]

20. Montecucco C, et al. Identification of autoantibodies to the I protein of the heterogeneous nuclear

ribonucleoprotein complex in patients with systemic sclerosis. Arthritis Rheum. 39, 1669-76, 1996

[PMID:8843857]

21. Stanek D, et al. Heterogenous nuclear RNP C1 and C2 core proteins are targets for an autoantibody found

in the serum of a patient with systemic sclerosis and psoriatic arthritis. Arthritis Rheum 40, 2172-7, 1997

[PMID:9416854]

22. 伊藤保彦 . 新生児ループスの発症機序と Ro52.リウマチ 36(4) : 884-90, 1996

23. 西川武二 他 . 免疫異常を伴う再発性紅斑:抗 SS-B 再発性紅斑.日本皮膚科学会雑誌 98(8) : 825-34, 1988

Page 37: 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集 - MBL · 2019-08-02 · 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集. 間接蛍光抗体法による抗核抗体検査は、Friouら

間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集

37

Copyright © 2015 MEDICAL & BIOLOGICAL LABORATORIES CO., LTD. All Rights Reserved.

参考文献

24. Andrade LE, et al. Human autoantibody to a novel protein of the nuclear coiled body: immunological

characterization and cDNA cloning of p80-coilin. J Exp Med. 173, 1407-19, 1991 [PMID:2033369]

25. Andrade LE, Tan EM, Chan EK. Immunocytochemical analysis of the coiled body in the cell cycle and during cell

proliferation. Proc Natl Acad Sci USA. 90, 1947-51, 1993 [PMID:8446613]

26. Szostecki C, et al. Autoimmune sera recognize a 100 kD nuclear protein antigen (sp-100). Clin exp Immunol 68,

108-16, 1987 [PMID:3308206]

27. Andre C, et al. The PML and PML/RAR alpha domains: from autoimmunity to molecular oncology and from retinoic

acid to arsenic. Exp Cell Res. 229, 253-60, 1996 [PMID:8986606]

28. Zuber M, Heyden TS, Lajous-Petter AM. A human autoantibody recognizing nuclear matrix-associated nuclear

protein localized in dot structures. Biol Cell. 85, 77-86, 1995 [PMID:8882521]

29. 桑名正隆 他 . 全身性強皮症で免疫沈降法により同定される抗核小体抗体の臨床的意義 . リウマチ 32 (1): 39-46, 1992

30. 今井明彦 . 肝疾患・肝癌と自己抗体.MBL 自己免疫レポート No.15, p1-16, MBL, 名古屋 , 1995

31. Fujii T, Mimori T, Akizuki M. Detection of autoantibodies to nucleolar transcription factor NOR90/hUBF in sera of

patients with rheumatic diseases, by recombinant autoantigen-based assays. Arthritis Rheum. 39, 1313-8, 1996

[PMID:8702439]

32. Arnett FC, Reveille JD, Valdez BC. Autoantibodies to a nucleolar RNA helicase protein in patients with connective

tissue diseases. Arthritis Rheum. 40, 1487-92, 1997 [PMID:9259430]

33. Valdez BC, et al. A nucleolar RNA helicase recognized by autoimmune antibodies from a patient with watermelon

stomach disease.Nucleic Acids Res. 24, 1220-4, 1996 [PMID:8614622]

34. Imai H, et al. Nucleolar antigens and autoantibodies in hepatocellular carcinoma and other malignancies. Am J

Pathol. 140, 859-70, 1992 [PMID:1314027]

35. Ochs RL, et al. cDNA cloning and characterization of a novel nucleolar protein. Mol Biol Cell. 7, 1015-24, 1996

[PMID:8862517]

36. 高崎芳成 . 抗 PCNA 抗体 . 臨床検査 41(5) : 529-34, 1997

37. 橋本博史 他 . 抗 Ki 抗体の PCNA 複合体に対する反応性の検討 . 厚生省自己免疫疾患調査研究班平成 7 年度研究報告書 ,

p113-5, 1996

38. Takeuchi K, et al. Autoantibodies recognizing proteins copurified with PCNA in patients with connective tissue

diseases. Mol Biol Rep. 23, 243-6, 1996 [PMID:9112235]

39. 岡野哲郎 , 三森経世 , 秋月正史 . 抗 Na 抗体:細胞周期関連抗原を認識する自己抗体 . 日本臨床免疫学会誌 14(3) : 258-

66, 1991

40. 岡野哲郎 , 三森経世 . 抗 Na 抗体-細胞周期関連抗原を認識する自己抗体- . 臨床病理 45(5) : 481-7, 1994

41. Liao H, et al. CENP-F is a protein of the nuclear matrix that assembles onto kinetochores at late G2 and is rapidly

degraded after mitosis. J Cell Biol. 130, 507-18, 1995 [PMID:7542657]

42. Rattner JB, et al. High frequency of neoplasia in patients with autoantibodies to centromere protein CENP-F. Clin

Invest Med. 20, 308-19, 1997 [PMID:9336656]

43. Fritzler MJ, et al. An antigen in metaphase chromatin and the midbody of mammalian cells bind to scleroderma

sera. J Rheumatol. 14, 291-4, 1987 [PMID:3598998]

44. Humbel RL. Detection of antinuclear antibodies by immunofluorescence. in Man Biol Mark A2: 1-16, Kluwer

Academic Pubs. Netherlands, 1994

45. 玉井克之 . DNA 複製装置と増殖関連抗原 . 病理と臨床 9(7) : 855-61, 1991

46. 相澤良夫 , 戸田剛大郎 . 原発性胆汁性肝硬変 (PBC) に出現する抗核抗体 (ANA) の多様性とその臨床的意義 . 医学のあゆみ

172(7) : 423-6, 1995

47. Konstantinov K, et al. Integral membrane proteins associated with the nuclear lamina are novel autoimmune

antigens of the nuclear envelope. Clin Immunol Immunopathol. 74, 89-99, 1995 [PMID:7527749]

48. von Mikecz A, et al. High frequency of autoantibodies to insoluble cellular antigens in patients with chronic fatigue

syndrome. Arthritis Rheum. 40, 295-305, 1997 [PMID:9041942]

Page 38: 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集 - MBL · 2019-08-02 · 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集. 間接蛍光抗体法による抗核抗体検査は、Friouら

間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集

38

Copyright © 2015 MEDICAL & BIOLOGICAL LABORATORIES CO., LTD. All Rights Reserved.

参考文献

49. Hill C, et al. Clinical associations of anti-lamin autoantibodies. Aust NZ J Med. 26, 162-6, 1996 [PMID:8744613]

50. Brito J, et al. Autoantibodies to human nuclear lamin B2 protein. Epitope specificity in different autoimmune

diseases. J Immunol. 153, 2268-77, 1994 [PMID:7519647]

51. Courvalin JC, Worman HJ. Nuclear envelope protein autoantibodies in primary biliary cirrhosis. Semin Liver Dis. 17,

79-90, 1997 [PMID:9089913]

52. Wesierska-Gadek J, et al. Autoantibodies from patients with primary biliary cirrhosis preferentially react with

the amino-terminal domain of nuclear pore complex glycoprotein gp210. J Exp Med. 182, 1159-62, 1995

[PMID:7561689]

53. 森藤隆夫 , 黒田聖仁 . 抗ミトコンドリア抗体 (2).MBL 自己免疫レポート No.9, p1-9, MBL, 名古屋 , 1990

54. Nishio A, et al. Comparative studies of antimitochondrial autoantibodies in sera and bile in primary biliary cirrhosis.

Hepatology. 25, 1085-9, 1997 [PMID:9141421]

55. Isshi K, Hirohata S. Association of anti-ribosomal P protein antibodies with neuropsychiatric systemic lupus

erythematosus. Arthritis Rheum. 39, 1483-90, 1996 [PMID:8814059]

56. Fujimoto M, et al. Anti-ribosomal P protein antibodies in a Japanese patient with systemic sclerosis. J Dermatol.

23, 33-6, 1996 [PMID:8720255]

57. 内海利男 . リボソーム自己抗原部位の構造と機能 . 自己抗体と自己免疫 '97 ( 第 4 回自己抗体と自己免疫シンポジウム講

演録集 ), p13-19, MBL, 名古屋 , 1997

58. Vazquez-Abad D, Carson JH, Rothfield N. Localization of histidyl-tRNA synthetase (Jo-1) in human laryngeal

epithelial carcinoma cell line (HEp-2 cells). Cell Tissue Res. 286, 487-91, 1996 [PMID:8929351]

59. Friedman AW, Targoff IN, Arnett FC. Interstitial lung disease with autoantibodies against aminoacyl-tRNA

synthetases in the absence of clinically apparent myositis. Semin Arthritis Rheum. 26, 459-67, 1996

[PMID:8870113]

60. Hirakata M, et al. Autoantibodies to small nuclear and cytoplasmic ribonucleoproteins in Japanese patients with

inflammatory muscle disease. Arthritis Rheum. 35, 449-56, 1992 [PMID:1567494]

61. Griffith KJ, et al. Molecular cloning of a novel 97-kd Golgi complex autoantigen associated with Sjogren's

syndrome. Arthritis Rheum. 40, 1693-702, 1997 [PMID:9324025]

62. Ikonen E, et al. Myosin II is associated with golgi membranes: identification of p200 as nonmuscle myosin II on

golgi-derived vesicles. J Cell Sci. 110, 2155-64, 1997 [PMID:9378765]

63. Howard MK, Gull K, Miles MA. Antibodies to tubulin in patients with parasitic infections. Clin Exp Immunol. 68, 78-

85, 1987 [PMID:3115642]

64. Connolly AM, Pestronk A. Anti-tubulin autoantibodies in acquired demyelinating polyneuropathies. J Infect Dis. 176

Suppl 2, S157-9, 1997 [PMID:9396702]

65. Andrade LE, et al. Two major autoantigen-antibody systems of the mitotic spindle apparatus. Arthritis Rheum. 39,

1643-53, 1996 [PMID:8843854]

66. Whitehead CM, et al. The spindle kinesin-like protein HsEg5 is an autoantigen in systemic lupus erythematosus.

Arthritis Rheum. 39, 1635-42, 1996 [PMID:8843853]

67. Rattner JB, et al. Autoantibodies to the centrosome (centriole) react with determinants present in the glycolytic

enzyme enolase. J Immunol. 46, 2341-4, 1991 [PMID:1706394]

68. Sato S, et al. Antibodies to centromere and centriole in scleroderma spectrum disorders. Dermatology. 189, 23-6,

1994 [PMID:8003781]

69. Fusconi M, et al. Anti-actin antibodies: a new test for an old problem. J Immunol Methods. 130, 1-8, 1990

[PMID:2193058]

70. Czaja AJ, et al. requency and significance of antibodies to actin in type 1 autoimmune hepatitis. Hepatology. 24,

1068-73, 1996 [PMID:8903377]

71. Cordonnier C, et al. Diagnostic value of anti-RA33 antibody, antikeratin antibody, antiperinuclear factor and

antinuclear antibody in early rheumatoid arthritis: comparison with rheumatoid factor. Br J Rheumatol. 35, 620-4,

Page 39: 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集 - MBL · 2019-08-02 · 間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集. 間接蛍光抗体法による抗核抗体検査は、Friouら

間接蛍光抗体法による抗核抗体写真集

39

Copyright © 2015 MEDICAL & BIOLOGICAL LABORATORIES CO., LTD. All Rights Reserved.

参考文献

1996 [PMID:8670593]

72. 近藤啓文 , 鈴木貴博 . 抗ビメンチン抗体の検出法と臨床的意義.MBL 自己免疫レポート No.5, p1-8, MBL, 名古屋 ,

1989

73. Wiik AS, et al. Antinuclear antibodies: a contemporary nomenclature using HEp-2 cells. J Autoimmun. 35, 276-

90, 2010 [PMID:20650611]

74. Nakashima R, et al. The multicenter study of a new assay for simultaneous detection of multiple anti-aminoacyl-

tRNA synthetases in myositis and interstitial pneumonia. PLoS One. 9, e85062, 2014 [PMID: 24454792]

75. Hozumi H, et al. Prognostic significance of anti-aminoacyl-tRNA synthetase antibodies in polymyositis/

dermatomyositis-associated interstitial lung disease: a retrospective case control study. PLoS One. 10,

e0120313, 2015 [PMID: 25789468]

76. Covini G, et al. Cytoplasmic rods and rings autoantibodies developed during pegylated interferon and ribavirin

therapy in patients with chronic hepatitis C. Antivir Ther. 17, 805-11, 2012 [PMID: 22293655]

77. Carcamo WC, et al. Induction of Cytoplasmic Rods and Rings Structures by Inhibition of the CTP and GTP

Synthetic Pathway in Mammalian Cells. PLoS One. 6, e29690, 2011 [PMID: 22220215]

78. Seelig HP, et al. Autoantibodies against Inosine-5’-Monophosphate Dehydrogenase2 – Characteristics and

Prevalence in Patients with HCV-Infection. Clin Lab. 57, 753-65, 2011 [PMID: 22029192]

79. Liu JL. The enigmatic cytoophidium: compartmentation of CTP synthase via filament formation. Bioessays. 33,

159-64, 2011 [PMID: 21254152]

80. Alessandra Dellavance, et al. Third Brazilian Consensus for autoantibodies screening in HEp-2 cells (ANA).

Recommendations for standardization of autoantibodies screening trial in HEp-2 cells,quality control and clinical

associations. Rev Bras Reumatol. 49, 89-109, 2009