Top Banner
▼発症一致率 一卵性双生児 二卵性双生児 同胞 ▼連鎖解析 Chromosome 1,,3,4,5,6,,10,11,12,13, 15,16,17,18,19,20,22、X ▼候補遺伝子 脳の発達に関連する遺伝子 セロトニンの関連遺伝子 インプリンティング遺伝子 ▼自閉的傾向をもつ単一遺伝子病 Fragile X 症候群 Rett 症候群 結節性硬化症 etc… 73~95% 0~24% 1~6% 自閉症の遺伝的背景 FOXP2, WNT2, RELN, NLGN34, HOXA1 etc… 5-HTT gene, HTR2A UBE3A etc… FMR1 MECP2 TSC1, TSC2
72

自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

Jan 10, 2020

Download

Documents

dariahiddleston
Welcome message from author
This document is posted to help you gain knowledge. Please leave a comment to let me know what you think about it! Share it to your friends and learn new things together.
Transcript
Page 1: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

▼発症一致率 一卵性双生児

二卵性双生児同胞

▼連鎖解析 Chromosome 1,2,3,4,5,6,7,10,11,12,13,

15,16,17,18,19,20,22、X

▼候補遺伝子 脳の発達に関連する遺伝子

セロトニンの関連遺伝子

インプリンティング遺伝子

▼自閉的傾向をもつ単一遺伝子病Fragile X 症候群Rett 症候群結節性硬化症etc…

:73~95%:0~24%:1~6%

自閉症の遺伝的背景自閉症の遺伝的背景

: FOXP2, WNT2, RELN, NLGN3・4, HOXA1 etc…

: 5-HTT gene, HTR2A:UBE3A etc…

: FMR1: MECP2: TSC1, TSC2

Page 2: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

自閉症の遺伝子を探る

佐々木司

東京大学保健センター

Page 3: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

自閉症の特徴自閉症の特徴

3歳以下で発症

500~2500人にひとり男性 : 女性 = 4 : 1

対人関係・コミュニケーションの障害興味や活動の限定や反復

常同的行動パターン

脳の機能障害によっておこる発達障害“こころの病気”ではない

Page 4: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

自閉症の関連遺伝子探索:我が国の現状

• 我が国では、自閉症をはじめとする小児精神疾患の研究はきわめて遅れている。「単一遺伝子疾患」を除けば遺伝子解明の研究は皆無に近かった。

• これは我が国における児童精神科医の圧倒的不足とともに、「母親の責任」、「心因論」など誤った原因論、「遺伝・遺伝子」という言葉へのアレルギー、生物学的研究への偏見が残っていることが影響しているかもしれない。

Page 5: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

自閉症の関連遺伝子探索:我が国の現状

• 我が国では、自閉症をはじめとする小児精神疾患の研究はきわめて遅れている。「単一遺伝子疾患」を除けば遺伝子解明の研究は皆無に近かった。

• これは児童精神科医の圧倒的不足とともに、

– 「母親の責任」、「心因論」など誤った原因論

– 「遺伝・遺伝子」という言葉へのアレルギー

– 生物学的研究への偏見(医師も含めて)が残っていることが影響しているかもしれない。

Page 6: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

自閉症の関連遺伝子探索:我が国の現状

• 我々は3年前から、我が国で初めて、東大・東海大・鳥取大の3大学がチームを組み愛知、三重、

横浜の各施設と協力して、自閉症の関連遺伝子探索のための組織的研究活動を開始

• 今日は、1)このような研究を進める根拠と意味についてご説明し、2)これまで得られた結果についてもご紹介したいと思います。

Page 7: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

自閉症の関連遺伝子探索:我が国の現状

• 我々は3年前から、我が国で初めて、東大・東海大・鳥取大の3大学がチームを組み愛知、三重、

横浜の各施設と協力して、自閉症の関連遺伝子探索のための組織的研究活動を開始

• 今日はこのような研究を進める、1)根拠と意味についてご説明し、2)これまで得られた結果についてもご紹介したいと思います。

Page 8: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

今日のお話ー章立て

• 自閉症における遺伝的要因の関与

• 複数遺伝子の関与について:複雑疾患と単一遺伝子病との違いの理解

• 自閉症関連遺伝子の探索:その意義と研究の流れについて

• これまでの研究結果について

Page 9: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

自閉症における遺伝的要因の関与

Page 10: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

一般に病気をもたらす要因は:

• 遺伝的要因(遺伝子の関与)と環境的要因)に分けられる。

• 原因を探る研究ではどちらがどれくらい関与しているかをまず考える。

Page 11: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

その手がかり=双生児研究と家系研究:

• 一卵性と二卵性双生児の

発病一致率比較

• 発症した人の同胞(=兄弟姉妹)の

発病危険率

• 一般人口における発病危険率

Page 12: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

双生児の発病一致率:一卵性と二卵性の比較の意味は?

• 一卵性双生児=遺伝子が100%一致

• 二卵性双生児=50%の遺伝子が一致=遺伝的には同胞同士と同じ関係=環境(母胎内を含めた発育環境)の共有率は、同胞より高く、 一卵

性双生児と余り違わない

Page 13: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

双生児の発病一致率:一卵性と二卵性の比較の意味

• 一卵性双生児の発病一致率が、二卵性双生児のよりずっと高ければ、それは遺伝子一致率の違い

(100% vs. 50%)による、すなわち「遺伝的要因が発

病に関与している」と考えられる。

• 二卵性双生児の発病一致率と患者同胞の発病率に余り違いがなければ、発育環境の共有は発病

に余り影響しない、すなわち「環境的要因の関与は比較的小さい」と考えられる。

Page 14: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

双生児の発病一致率と同胞の発病危険率:=自閉症の場合

• 一卵性双生児の発病一致率:7-9割

• 二卵性の発病一致率:0-2割(5-10%程度)

• 患者同胞の発病危険率:5%程度

• →自閉症の発病には遺伝的要因が強く関与している

• 環境的要因の関与はそれに比べると大分弱そう

Page 15: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

複数遺伝子の関与について:複雑疾患と単一遺伝子病との違いの理解

Page 16: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

遺伝的要因の関与する疾患

• 単一遺伝子疾患

• 多因子疾患(複雑疾患)

Page 17: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

遺伝的要因の関与する疾患

• 単一遺伝子疾患 (メンデル型遺伝病)

– ある1つの遺伝子の異常が、発病に決定的な役割を果たす疾患

– どの疾患も罹患家族数は比較的少ない。

– これまで「遺伝子の解明された疾患」はすべてこれ

Page 18: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

遺伝的要因の関与する疾患

• 単一遺伝子疾患 (メンデル型遺伝病)の遺伝様式

– 優性遺伝:家族内で複数の世代で多発

– 劣性遺伝:血縁結婚を続けなければ次の世代では発病は見られない、 より稀な疾患。

Page 19: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

遺伝的要因の関与する疾患

• 多因子疾患(複雑疾患)

– 複数の遺伝子が発病に関与

– 個々の遺伝子の影響は比較的小さい

– 世の中の病気の多くは複雑疾患である(例えば、糖尿病、高血圧、うつ病...…)

– 同胞や子供の発病率は一般人口より多いが、決定的レベルではない(発病しない人の方が多い)

Page 20: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

自閉症はどちら?

• 単一遺伝子疾患

• 多因子疾患(複雑疾患)

Page 21: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

遺伝的要因の関与する疾患

• 単一遺伝子疾患 (メンデル型遺伝病)の罹患者同胞での発病率

– 優性遺伝: 50%弱

– 劣性遺伝: 25%弱

Page 22: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

遺伝的要因の関与する疾患

• 多因子疾患(複雑疾患)の家族内発病率は一般に

– 同胞での発病率:かなり低い

– 一卵性と二卵性双生児の発病一致率の差が大きい(関与する遺伝子が多いほど差は大きくなる)

Page 23: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

双生児の発病一致率と同胞の発病危険率:

=自閉症の場合

• 一卵性双生児の発病一致率:7-9割

• 二卵性の発病一致率:0-2割(5-10%程度)

• 患者同胞の発病危険率:5%程度

• →自閉症の発病には遺伝的要因が強く関与している

• 環境的要因の関与はそれに比べると大分弱そう

Page 24: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

• 自閉症は基本的に複雑疾患(=多因子疾患)である

Page 25: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

▼発症一致率 一卵性双生児

二卵性双生児同胞

▼連鎖解析 Chromosome 1,2,3,4,5,6,7,10,11,12,13,

15,16,17,18,19,20,22、X

▼候補遺伝子 脳の発達に関連する遺伝子

セロトニンの関連遺伝子

インプリンティング遺伝子

▼自閉的傾向をもつ単一遺伝子病Fragile X 症候群Rett 症候群結節性硬化症etc…

:73~95%:0~24%:1~6%

自閉症の遺伝的背景自閉症の遺伝的背景

: FOXP2, WNT2, RELN, NLGN3・4, HOXA1 etc…

: 5-HTT gene, HTR2A:UBE3A etc…

: FMR1: MECP2: TSC1, TSC2

Page 26: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

ここまでのまとめ

• 自閉症の発病には遺伝的要因が強く関与する。

• ただし基本的に、1つの遺伝子の変化によって発病が決定するメンデル型遺伝病(単一遺伝子疾患)ではなく、

• 大部分は、複数の遺伝子の変化が偶然重なって起こる複雑疾患(多因子疾患)である。

Page 27: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

自閉症関連遺伝子の探索:その意義と研究の流れについて

Page 28: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

ここまでのまとめ

• 自閉症の発病には遺伝的要因が強く関与する。

• ただし基本的に、1つの遺伝子の変化によって発病が決定するメンデル型遺伝病(単一遺伝子疾患)ではなく、

• 大部分は、複数の遺伝子の変化が偶然重なって起こる複雑疾患(多因子疾患)である。

Page 29: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

• どれくらい複数か?

– これまでの予測では、

– 全部で10-20は関わる遺伝子がありそう(=実際に解明してみないと正確にはわからな

いが・・)、このうちの数個が重なると発病につながるのかも知れない・・

Page 30: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

関連遺伝子探索研究の流れ

• 1.対象リクルート

• 2.得られた試料(DNA)と臨床データ解析

Page 31: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

関連遺伝子探索研究の流れ

• 1.対象リクルート

– 罹患されている方、そのご家族、その他の方(対照者)から血液試料、臨床心理データを集める

Page 32: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

関連遺伝子探索研究の流れ

• 1.対象リクルート

– 罹患されている方、そのご家族、その他の方(対照者)から血液試料、臨床心理データを集める

– 対象数:数百~千家族

– 組み合わせ:罹患された方のみでなくご家族(特に両親 &可能なら同胞)の試料がそろっている方が高精度の解析が可能

– 正確かつ詳細な臨床心理データ

Page 33: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

関連遺伝子探索研究の流れ

• 1.対象リクルート

– 罹患されている方、そのご家族、その他の対照者の方から血液試料、臨床心理データを集める

– 対象数:数百~千家族

– 組み合わせ:罹患された方のみでなくご家族(特に両親 &可能なら同胞)の試料がそろっている方が高精度の解析が可能

– 正確かつ詳細な臨床心理データ

Page 34: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

関連遺伝子探索研究の流れ

• 1.対象リクルート

– 罹患されている方、そのご家族、その他の対照者の方から血液試料、臨床心理データを集める

– 対象数:数百~千家族

– 組み合わせ:罹患された方のみでなくご家族(特に両親 &可能なら同胞)の試料がそろっている方が高精度の解析が可能

– 正確かつ詳細な臨床心理データ

Page 35: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

関連遺伝子探索研究の流れ

• 2.得られた試料(DNA)と臨床データ解析

– すなわち研究室での遺伝子解析=「関連遺伝子探し」

Page 36: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

関連遺伝子探索研究の流れ

• 2.得られた試料(DNA)と臨床データ解析

– すなわち研究室での遺伝子解析=「関連遺伝子探し」

– 1)連鎖解析

– 2)関連解析

Page 37: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

ヒトの遺伝子

• ヒトの遺伝子は3万弱

• これらが46本の染色体(=22対の常染色体と2本(または1対)の性染色体)に散ら

ばって分布

Page 38: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

• ヒトの遺伝子は3万弱

• これらが46本の染色体(=22対の常染色体と2本(または1対)の性染色体)に散ら

ばって分布

• この3万弱から自閉症に関連する10-20個(またはそれ以上)の遺伝子を見つけ出すことが我々の目的

ヒトの遺伝子

Page 39: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

これはエライ作業です…

• 地図の中から何かを探す作業に例えると…– 「学校の地図記号(「文」)だけをたよりに

日本地図の中から「トーダイヤスダコードー」を見つけなさい」と日本地理に知識のな

い外国人に指示するようなもの

Page 40: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

– せめて、「トーダイ」の大まかな住所=「47都道

府県のうち、東京都の文京区」くらいわからないと不可能に近い

Page 41: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

– せめて、「トーダイ」の大まかな住所=「 47都

道府県のうち、東京都の文京区」くらいわからないと不可能に近い

– 「トーダイ」が東京「大学」であるとわかれば、「大学」記号の中から探すことも可(日本では現在700大学あるそうですが・・)

Page 42: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

これを、関連遺伝子探索研究(連鎖解析と関連解析)に戻してあてはめると;

– 大まかな住所(トーダイでは東京都文京区)=46本

ある染色体のどのあたりにありそうか、を調べる

のが 連鎖解析– さらに詳しく、1)東京都文京区のどの学校(「文」)が

トーダイか?=その染色体部分にある遺伝子のうちどれが?、あるいは 2)日本に700ある「大学」の

どれが=数百以上ある神経発達関連遺伝子の

うちどれが?、自閉症関連遺伝子かを調べるのが

関連解析

Page 43: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

これを、関連遺伝子探索研究(連鎖解析と関連解析)に戻してあてはめると;

– 大まかな住所(トーダイでは東京都文京区)=46本

ある染色体のどのあたりにありそうか、を調べる

のが 連鎖解析– さらに詳しく、1)東京都文京区のどの学校(「文」)が

トーダイか?=ある染色体領域内のどの遺伝子が自閉症に関わっているか?あるいは 2)日本に700

ある「大学」のうちどれが=数百以上ある神経発達関連遺伝子のうちどれがそうか?を調べるのが

関連解析

Page 44: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

連鎖解析と関連解析:実施するうえでの違い

• 関連解析:罹患されている方とそのご両親からの試料(または罹患されている方と、全く血縁に

ない罹患されていない方との組み合わせ)を用いる

• 連鎖解析:たまたま2人以上罹患している同

胞(とそのご両親)からの試料を用いる

• ただし、いずれもできるだけ多数の方(=数百単位)からの試料を用いることが望まれる。

Page 45: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

自閉症の関連遺伝子探索の現状は?

• 欧米では、連鎖研究・関連研究ともに盛んに進められている

• しかし諸研究間で結果が十分に一致せず、実際の関連遺伝子同定はこれからの課題として残されている

• ただし、複数の連鎖研究で一致して示唆されている染色体領域(=「おおまかな住所」)があり、有益な手がかりとなっている。

Page 46: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

自閉症の関連遺伝子探索の現状は?

• 欧米では、連鎖研究・関連研究ともに盛んに進められている

• しかし諸研究間で結果が十分に一致せず、実際の関連遺伝子同定はこれからの課題として残されている

• ただし、複数の連鎖研究で一致して示唆されている染色体領域(=「おおまかな住所」)があり、有益な手がかりとなっている。

Page 47: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

自閉症の関連遺伝子探索の現状は?

• 欧米では、連鎖研究・関連研究ともに盛んに進められている

• しかし諸研究間で結果が十分に一致せず、実際の関連遺伝子同定はこれからの課題として残されている

• ただし、複数の連鎖研究で一致して示唆されている染色体領域(=「おおまかな住所」)があり、有益な手がかりとなっている。

Page 48: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

• 複数の連鎖研究で示唆され、有益な手がかり(=大まかな住所)となっている染色体領域;具体的には

– 2番染色体の一部

– 7番染色体の一部

– 15番染色体の一部 など(ほかにも多数)

Page 49: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

• 「あの染色体も、この染色体も」、という結果はあてになるのか?

» Yes!

Page 50: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

• 自閉症の発病には遺伝的要因が強く関与する。

• ただし基本的に、1つの遺伝子の変化によって発病が決定するメンデル型遺伝病ではなく、

• 複数の遺伝子の変化が偶然重なって起こるものである。

Page 51: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

• どれくらいの複数か?

– 10-20はありそう(=実際に解明してみないと

正確にはわからないが・・)

Page 52: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

• 他の精神疾患・中枢神経疾患でも、同じような連鎖解析の結果から、少しずつ関連遺伝子同定が実際に進んでいる– 例えば、統合失調症のdysbindin遺伝子など・・

Page 53: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

自閉症の関連遺伝子探索:我が国の現状は?

• 我が国では、自閉症をはじめとする小児精神疾患の研究はきわめて遅れている。「単一遺伝子疾患」を除けば遺伝子解明の研究は皆無に近かった。

• これは児童精神科医の圧倒的不足とともに、

– 「母親の責任」、「心因論」など誤った原因論

– 「遺伝・遺伝子」という言葉へのアレルギー

– 生物学的研究への偏見(医師も含めて)が残っていることが影響しているかもしれない。

Page 54: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

自閉症の関連遺伝子探索:我が国の現状は?

• 我々は3年前から、我が国で初めて、我々東大・東海大・鳥取大の3大学がチームを組み愛知、三

重、横浜の各施設と協力して、自閉症の関連遺伝子探索のための組織的研究活動を開始しました。

Page 55: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

自閉症の関連遺伝子探索:我が国の現状

• 欧米のみでなく、我が国で遺伝子探索を行う意義は?

– 沢山ある関連遺伝子のうち、一部の遺伝子は人種・民族によって異なる可能性もある=欧米の結果が日本人にすべて当てはまる保障はない

– 欧米のように人種・民族ごちゃ混ぜのpopulationでの

研究よりも、人種・民族の均質性が高い日本人での研究の方が、遺伝子を見つけやすい可能性がある。

Page 56: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

共同研究チームの活動

• 研究に協力していただく方のリクルート

– 東大精神科、東海大精神科、あすなろ学園(三重県)、あいち小児医療保健総合センターにおいて、ユーザーの皆さんの協力のもと、研究に協力いただける方のリクルート、臨床心理検査、採血などを継続して進め、対象の拡大・充実を図っている。

Page 57: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

共同研究チームの活動:集めた試料をもとに…

• 関連解析による遺伝子解析を開始– 海外の複数の連鎖解析等で示唆された2番、7番、15

番染色体領域の中枢神経形成・発達遺伝子の解析

– 自閉症における高頻度合併疾患(脆弱X症候群、神

経線維症腫など)の遺伝子の解析

– 方法:遺伝子内に沢山存在するDNA多型(SNPなど)の罹患者と非罹患者での分布の比較などにより関連解析を開始している

Page 58: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

共同研究チームの活動

• ただし連鎖解析は…– 本共同研究チームを含めて、我が国では全く行えて

いない

– 2人以上の同胞が罹患した家族のリクルートが、現段

階では圧倒的に不足しているため、関連解析に踏み出すことだできない状況にある。

Page 59: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

共同研究チームの活動

• 現在までに行った関連解析の一部を紹介します

Page 60: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

• 高頻度合併疾患の責任遺伝子の解析

Page 61: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

Normal(6-50)

Carrier(50-200)

Fragile X syndrome(>200)

脆弱X症候群のFMR1 gene脆弱X症候群のFMR1 gene

Page 62: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

300bp↓

28

27

31

21

▼ ALFred sequencer :

Marker

Male

Female

Female

Male

Marker: ALF express sizer 50-500

結果

Page 63: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

0

10

20

30

40

50

8 10 12 14 16 18 20 22 24 26 28 30 32 34 36 38 40 42 44 46 48 50

CGG repeat

allele数

0

20

40

60

80

100

120

140

8 10 12 14 16 18 20 22 24 26 28 30 32 34 36 38 40 42 44 46 48 50

CGG repeat

allele数

検体数 アレル数

男 102 102

女 7 14

計 109 116

検体数 アレル数

母 105 210

父 106 106

計 211 316

Autism(child)

Autism(parents)

Page 64: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

• 7番染色体領域の神経形成・発達関連遺

伝子の解析

Page 65: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

HOXA1 geneHOXA1 gene

HOXA1

RELN

WNT2FOXP2

22

21

15.315.1

14

1312

11.111.1

11.22

11.23

21.121.221.3

2231.131.2

31.3

32333435

36

Exon1(652bp) Exon2(356bp)

HomeoboxHomeoboxHomeobox

▼機能 ・ 転写因子をコードしている

・ 神経の分化や発達に重要

Chromosome 7

Intron(465bp)

His His His His His His His His His His

His repeatsHis repeatsHis repeats

▼Ingram et al. Teratology 2000.Discovery of allelic variants of HOXA1 and HOXB1:genetic susceptibility to autism spectrum disorders.

SNP

His His His His His His His

Page 66: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

mRNA

203bp

Genome

653bp 465bp 355bp

Histidine repeat

Exon 2IntronExon 1

mRNA variant

HOX gene

Page 67: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

Type 検体数 検体数(リピート数) (Child) (Parent)

10/10 105 2007/10 2 4

10/11 3 610/12 0 1

Total 110 211

328bp

325bp

331bp

結果:機能異常につながる新しい多型の発見

ALFred Sequencer

Page 68: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

GFP + PI = merge

10-His HOX gene

7-His HOX gene

Transient expression of HOXA1-GFP in

COS cells

Page 69: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

Reelin遺伝子の13個のSNP'sと自閉症との関連:case-controlおよびTDTの結果case-control

locus db SNP ID alleleA alleleB alleleA alleleB χ2乗値 p_value オッズ比 上側 下側 χ2乗値 p_valueSNP's 1 rs961206 59 277 71 357 0.125617 0.72302 1.070982 0.732936 1.564943 0.086957 0.768083SNP's 2 rs2299401 136 202 148 272 1.997256 0.157584 1.237356 0.920751 1.662827 0.12 0.729034SNP's 3 rs264373 148 190 198 222 0.850107 0.356522 0.873365 0.654886 1.164732 2.723404 0.098887SNP's 4 rs2299383 203 133 258 162 0.080328 0.776853 0.958384 0.714291 1.285892 0.695652 0.404248SNP's 5 rs1355354 237 99 305 119 0.179156 0.6721 0.934029 0.680925 1.281213 0.690141 0.406116SNP's 6 rs2229859 43 293 57 369 0.055935 0.813041 0.950063 0.621391 1.45258 2.380952 0.122823SNP's 7 rs1006817 92 246 108 316 0.296602 0.58602 1.094249 0.791264 1.51325 0.055556 0.813664SNP's 8 rs362691 42 294 30 394 6.43164 0.01121 1.87619 1.146789 3.069518 2.777778 0.095581SNP's 9 rs123714 235 103 286 138 0.374038 0.540812 1.100889 0.808995 1.498103 2.139241 0.143573SNP's 10 rs144525 74 260 91 327 0.016097 0.899041 1.022739 0.722624 1.447495 0.275862 0.599426SNP's 11 rs2237625 110 226 133 295 0.240098 0.624135 1.079579 0.794738 1.466511 0.5 0.4795SNP's 12 rs2528876 130 206 163 259 0.000332 0.98546 1.00274 0.74711 1.345835 7.333333 0.00677SNP's 13 rs2965087 205 131 258 166 0.002088 0.963553 1.006864 0.750826 1.350214 7.333333 0.00677

TDTAutism Control 95%信頼区間

Page 70: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

NRCAM遺伝子の16個のSNP'sと自閉症との関連:case-control およびTDTの結果case-control

locus db SNP ID alleleA alleleB alleleA alleleB χ2乗値 p_value オッズ比 上側 下側 χ2乗値 p_valueSNP's 1 rs1859767 217 117 230 194 8.881578 0.00288 1.5644 1.164711 2.101248 1.942529 0.163394SNP's 2 rs1034825 195 143 202 222 7.61299 0.00579 1.49865 1.123741 1.998638 1.086957 0.297147SNP's 3 rs2300045 109 229 187 233 11.85673 0.00057 0.593069 0.440054 0.79929 0 1SNP's 4 rs2300043 189 149 197 231 7.388118 0.00657 1.487378 1.116547 1.98137 0.375 0.540291SNP's 5 rs2300039 92 246 99 327 1.591799 0.207069 1.23528 0.889388 1.715692 0.235294 0.627626SNP's 6 rs2216259 109 229 132 290 0.081361 0.775461 1.045719 0.769133 1.421768 0.205128 0.650613SNP's 7 rs2300012 199 133 280 142 3.296087 0.069445 0.758808 0.563115 1.022508 0.010309 0.919126SNP's 8 rs1269655 72 266 60 366 6.868696 0.00877 1.651128 1.132248 2.407798 0.266667 0.605577SNP's 9 rs1269642 77 261 64 360 7.369017 0.00664 1.659483 1.148741 2.397305 0.068966 0.792849SNP's 10 rs1269627 44 294 54 364 0.001626 0.967831 1.008818 0.658417 1.5457 1.684211 0.194366SNP's 11 rs1269621 249 89 342 84 4.705327 0.03007 0.687167 0.489135 0.965375 1.051948 0.305059SNP's 12 rs3833341 44 294 51 369 0.13077 0.717635 1.082833 0.703402 1.666937 0.257143 0.61209SNP's 13 ss4943743 42 294 48 374 0.226498 0.634133 1.113095 0.715867 1.730741 1.324324 0.249817SNP's 14 rs6958498 296 42 367 53 0.006365 0.936414 1.017776 0.660161 1.569115 2.189189 0.138982SNP's 15 rs449514 259 75 321 97 0.059301 0.807604 1.043531 0.740555 1.47046 3.764706 0.052345SNP's 16 rs409969 75 263 93 331 0.007137 0.932672 1.014964 0.719113 1.43253 4.764706 0.02905

TDTAutism Control 95%信頼区間

Page 71: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

関連遺伝子探索の意義

• 将来の役に立たない研究なら、しない方が良い…

– 利用者・家族にとっても、研究者にとっても、意義のない研究のために苦労するのは時間と労力の無駄・・(キリギリスの方がまし)

Page 72: 自閉症の遺伝的背景 発症一致率 73~95% 二卵性双 …kokoro.umin.jp/pdf/sasaki_sl.pdf自閉症の特徴 3歳以下で発症 500~2500人にひとり 男性:女性=

関連遺伝子の探索の意義

• 関連遺伝子群がわかると、自閉症の背景になっている中枢神経の特徴的発達のメカニズムを解明できる。

• その情報を創薬に役立てられる。

• 関連遺伝子群と相互作用する環境的要因が

わかれば、そこを通じて予防や症状軽減を図れる。