12 変形性膝関節症(膝 OA)は,筋力低下,加齢,肥満などのきっかけにより,膝関節の機能が低 下し,関節軟骨の変性・摩耗・破壊が生じ,痛みを主訴とする疾患である.40 歳以上の有病者数は 2,530 万人で,有症状者有病者数は約 800 万人という報告もあり,関節疾患のなかで最も頻繁にみら れる疾患の一つである.しかし,種々の機能性食品素材の評価に対して,症状の改善を指標とする適 切なモデル動物の標準化とその評価方法が確立されていない.そこで本研究では,自然発症型膝 OA モデル動物である STR/Ort マウスに対する機能性素材(ハス胚芽抽出物および甘草抽出物)投与に よる膝 OA 症状の改善効果を明らかにした.両素材投与により,Mankin スコアの改善および血中の COMP 濃度の低下を認めた.また,加齢した STR/Ort マウスの歩行分析により,病態モデル動物と しての評価を行った.その結果,OA 発症群である雄マウスの swing time index(STI)(遊脚相時 間の左右比)では評価できなかったが,STI の標準偏差をとることで,歩行のバラツキを数値化し, OA の発症を非侵襲的に評価できる可能性が示唆された. グルコサミン研究 10:12-19,2014 keywords 変形性膝関節症,STR/Ort マウス,ハス胚芽抽出物,甘 草抽出物,歩行解析 要旨 自然発症型変形性膝関節症モデル STR/Ort マウスの病態評価 Development of Evaluation Method of Osteoarthritis State in STR/Ort Mice 中島正博 1) ,松田研史郎 2) ,田中あかね 3) ,松田浩珍 3) 大野裕和 4) ,山本正次 4) ,渡部睦人 1) ,野村義宏 1)* Masahiro NAKASHIMA 1) ,Kenshirou MATSUDA 2) ,Akane TANAKA 3) Hiroshi MATSUDA 3) ,Hirokazu OHNO 4) ,Masatsugu YAMAMOTO 4) Mutsuto WATANABE 1) ,Yoshihiro NOMURA 1)