“冬”へ緩やかに向かって ―アイドル 80年代中盤 メディアとコンテンツ⑪ 森尾由美のデビュー曲 『お・ね・が・い♥』(詞・ 曲:槇村侑,83/05/05)。 俳優に適性がある人, 適性がわからないけど 見た目が良い人など誰 にも「レコードデビュー」 を強要し,結果として, アイドル価値がインフレ
“冬”へ緩やかに向かって―アイドル 80年代中盤
メディアとコンテンツ⑪
森尾由美のデビュー曲『お・ね・が・い♥』(詞・曲:槇村侑,83/05/05)。俳優に適性がある人,適性がわからないけど見た目が良い人など誰にも「レコードデビュー」を強要し,結果として,アイドル価値がインフレ
イモ欽トリオ『ハイスクールララバイ』
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80年代後半のアイドル• テレビを核としたメディアミックスにより,
多くのアイドルが活躍した黄金時代で,多額の投資で一攫千金を狙う「アイドル投機」も
• 中盤からは「玉石混淆」を覚悟のグループアイドルが「アイドル孵化装置」の役割を果たす。おたく向け「Momokoクラブ」と,ヤンキー/シティ層向け「おニャン子クラブ」。グループを巣立ち(基盤に)ソロやユニットで活躍する
• 89年以降の「アイドル冬の時代」への予兆
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主演映画『ザ・オーディション』製作込みで,売出経費は約40億円という
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(参考)ビューティー・ペア『かけめぐる青春』全日本女子プロレスのジャッ
キー佐藤とマキ上田が七六年二月に結成したタッ
グチームで、一一月二五日に曲もリリース。試合後
などに歌唱。詞:
石原信一/
曲:
あかのたちお。
「Momoco」
学研が83年11月に創刊の女性アイドルグラビア誌「Momoco」。自薦・他薦で応募してきたアイドル候補を編集部が選定した「モモコクラブ」で人気投票。「桃組出席番号」という通し番号「スター誕生」に代わる“オーディション”で,アイドルマニア自らがアイドルを誕生させるテレビ番組やセルビデオもあり,「見た目が9割」というように,マニア好みの容姿重視で,〈歌〉は完全に添え物(イベントグッズ)に。
菊池桃子『青春のいじわる』
創刊号の表紙も菊池桃子!
詞:
秋元康/曲:
林哲司。八四年四月
二一日。一四・三万枚
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『パンツの穴』は「Momoco」と同じ学研の雑誌
「BOMB」の読者投稿コーナー。悲喜こもごもな男性の「下半身体験」をネタに,ストーリー化。
菊池桃子(84)・志村香(85)の後,1990年に中野理絵(ツッパリ版)・西野妙子(オムニバス)が製作された。同様のコンセプトで,篠崎愛が主演で2011年にリメイク版が製作された。
恋はいつでもゲンキなよい子詞:森浩美/曲:
ボブ佐久間。八六年一〇月から始
まった『モモコクラブ』テレビ版(
TBS)
。畠田理恵・杉
浦幸・島田奈美・伊藤美紀・酒井法子ら。モモコから
おニャン子に移るアイドルも。
酒井法子『夢冒険』(4th)
詞:
森浩美/曲:
西木栄二。八七年一
一月一五日。六・九万枚。『アニメ三
銃士』主題歌。ミス・モモコクラブ第二
代グランプリ。サンミュージックでは
「ポスト聖子」の扱い
桃組出席番号1482番
オールナイトフジ
83年4月2日(~91年3月)に開始した土曜深夜のバラエティ番組。素人の現役女子大生を多数起用し,〈女子大生ブーム〉を牽引したアダルトビデオ紹介コー
ナーや性風俗店探訪といった性風俗を扱ったコーナーを女子大生が原稿を読むという〈倒錯〉がウリ
放送終了時間未定 二代目の司会は松本伊代,麻生祐未。とんねるず,片岡鶴太郎がレギュラー
『夕やけニャンニャン』85年4月1日~87年8月31日。平日17時から55分間のバラエティ番組(公開放送)「ザ・スカウト アイドルを探せ」というコーナー名の公開オーディションに合格した女子高生を「おニャン子クラブ」に組織(会員番号12番以降)。毎週5人出場して5日間を審査アイドル志望の女子高生にとっては,最も「緩い」オーディションだが,次第に難易度は上がる。応募総数2万で合格者は52人賞レースや「紅白」とは最初から無縁音楽出版権はフジ系出版社が握る
会員番号の歌(初期)
一九
八六
年三
月
『あまちゃん』の「純喫茶アイドル」のマスター・甲斐さんのおニャン子評。「6番(樹原亜紀)とか9番(名越美香),微妙だろ? 歌だって4番(新田恵利)より春ちゃんのほうがうまいしさ。
まぁ,そこそこかわいんだけどね」
甲斐さん 天野春子
おニャン子の特徴• テレビ番組主導。企画はフジテレビで
秋元康は構成作家・作詞家として関わっていたにすぎない
• 史上最も素人くさい(or素人そのもの)• 通過点。解散後は“一般人”に戻った人
も多いが,芸能界で活躍する人も• レコードをイベント化。ソロやユニッ
トでは初週1位→次週圏外。サイン会などのイベントを実施