第6間目(特別授業) プラスチックの基礎知識から マテリアルリサイクルを考えてみよう 1
グレードとは• 樹脂の種類という意味で一般的に使われるが、同一の樹脂で密度や溶融指数などが異なる程度の小範囲の種類別のときによくつかわれる。分子量の違い(流れ性や衝撃に対する強さ等)により決められています。
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• 住友化学の低密度ポリエチレン「スミカセン」を例にとると、F101-1、L705、G401といったグレードと呼ばれるものがあります。
• 次ページは、グレード表(物性表)の例です。
グレードの選択
• ジュース、牛乳、お酒の液体カートン(紙パック)用のグレードはスミカセンであればL718-Hなどが選択されます。
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• 分子量(流れ性)、剛性、衝撃強度及びその他の要求物性(例えば、透明性、耐候性、離型性等)を加味してグレード選択をします。
• 例えていうならば、身長175cm胸囲98cm胴囲88cmの人はAB体の6号のスーツを選ぶようなものです。
• これらカタログに掲載されている「グレード」は
代表的なもので、お客様のニーズに合わせたたくさんのグレードがあります
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(<参考>日本の市場では多様化するニーズに応え、海外のグレードの10~20倍もの数があるケースがあります)
グレード製造にあたって
• 高密度ポリエチレンの物性を支配する要因には、
MFR、密度、分子量、分子量分布、結晶化度、
二重結合、分岐種などがあります。
• 物性を決定する基本物性(要因)は、
「分子量」「分子量分布」「密度」です。
• これらの物性を調節することによって各銘柄(グレード)を製造しています。
12プライムポリマーHP「技術情報」より引用
ポリプロピレンの多様性(技術開発の歴史と製品普及の歩み)
出典:日本ポリプロ㈱ 第1材料技術センター 藤田祐二氏 「ポリプロピレンの開発現場―The Future and Then―より抜粋引用鮮明化したもの
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プラスチックの「流れ性」について
• プラスチックの「流れ性」という言葉を使いましたが、MFR(Melt Flow Rate)といい、一定量の樹脂量を決まった温度等の条件下で10分間にどれ位の量が押し出されるかを測定したものです。
• 単位はg/10minで表されます。
• 180ccのコップに水を入れると仮定して、勢いよく
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• 180ccのコップに水を入れると仮定して、勢いよく蛇口をひねる(MFRの高いグレードを選択)とうまくすりきり一杯にはなりませんが、チョロチョロと出すとうまくいきます。外観(前者では「ヒケ」と称される月面クレータの様なものができる)生産に要する時間(後者のように生産性が低くなる)を勘案しグレードは選択されます。
分子量が同じでも「流れ性」や「耐衝撃性」が違う?
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• 教室に12人の子供が片方は3人づつしっかりと手をつないでいるグループが4つ、もう一方の教室には6人で2グループ。(分子量は同じ)
• 入り口から走って出るスピードは?何かがぶつかってきたとき、3人のグループと6人のグループではどちらが耐えますか?
プラスチックの劣化
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プラスチックは熱や紫外線によって劣化します
太陽で温められた部屋では、しっかりと手を握り合った子供たちも暑くて、手に汗をかき、手をはなしてしまうようなものです
耐衝撃性がなくなるのはこういったわけです。
PE/PP(容リプラ)混合物性データ
• 日本プラスチック工業連盟が実施した(平成20年度混合ポリオレフィンの性能総合評価)容器包装リサイクル法により集められた廃プラスチック(一般家庭ゴミ由来)から分離した、PE(期待純度 99%以上)および PP(期待純度 99%以上)を混合して、次および PP(期待純度 99%以上)を混合して、次の7種類の試料を調合しての試験結果
• PE/PP(wt%) = 100/0、 85/15、 75/25、50/50、 25/75、 15/85、 0/100
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MRで高品質な再資源化を目指すために「単一プラ」を集めると言うが
• 例えば「ポリエチレン」には、①高密度ポリエチレン(HDPE)、②低密度ポリエチレン(LDPE) 、③リニアローデンシティポリエチレン(LLDPE)がある、 それぞれにそれぞれにそれぞれにそれぞれに
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(LLDPE)がある、④他に超高密度ポリエチレンなどもある
「ポリプロピレン」には、①ホモポリマー②ランダムコポリマー③ブロックコポリマー などがある。
それぞれにそれぞれにそれぞれにそれぞれに多種多様多種多様多種多様多種多様ななななグレードがグレードがグレードがグレードが存在存在存在存在するするするする
マテリアルリサイクル(容リプラ)を例えて言うと
• 各家庭から生ごみと一緒に捨てられた「古着」を集集集集めめめめてきて、「スーツ」「タキシード」「シャツ」等に選別選別選別選別、攪拌力の強い洗濯機で洗い(プラの選別・混錬工程に相当) 、生地の傷みの少ないところを切切切切りりりり取取取取ってってってって、パッチワークするパッチワークするパッチワークするパッチワークするようなものではないでしょうか。
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• 「攪拌力の強い洗濯機で洗う」というのはプラと同様、化学的でなく物理的にという意味で、「傷の傷みが少ないところを切り取る」は歩留まりが50%程度、パッチワークは無理矢理スーツらしきものを手縫いで作るようなものです。
• 集集集集めめめめ、、、、選別選別選別選別、、、、洗洗洗洗いいいい、、、、切切切切りりりり取取取取りりりり、、、、パッチワークパッチワークパッチワークパッチワークの段階で、手間や人手(時間とコスト)がプラスアルファーでかかっています。
通常プラスチック製品ではクレームとなる不良現象
• 通常 プラスチック製品は、出荷時の厳しい品質検査等を行い、顧客との納入規格等に合格したモノが出荷されている
• マテリアルリサイクルの製品の市場の拡大は、一般的に市場クレームとなる事案を取り除くことによって可能となる(言い替えれば、市場は限定的となる)
• 市場で指摘される「不良現象」にはどのようなものがあるか事例を見てみる
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ライフサイクル全体からの眺めると
容容容容リリリリ対象品対象品対象品対象品をををを回収回収回収回収・・・・選別選別選別選別
原料樹脂原料樹脂原料樹脂原料樹脂のののの製造製造製造製造 容器包装容器包装容器包装容器包装のののの製造製造製造製造
商品商品商品商品のののの生産生産生産生産
廃棄廃棄廃棄廃棄・リサイクル・リサイクル・リサイクル・リサイクル
使用使用使用使用
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再商品化再商品化再商品化再商品化
フィルムの「不良現象」
• 一般的なフィルムにおいては、「異物混入」、「フィッシュアイ」は「不良現象」としてあげられる
⇒「異物混入」:虫、毛髪、紙粉くず、焦げかす、木くず、
金属片等々の混入⇒外観不良
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金属片等々の混入⇒外観不良
⇒「フィッシュアイ」:文字通り魚の目状の溶けずに残っ
た樹脂の粒(スクリーンメッシュを通過
してしまったもの⇒越前くらげが魚網
できられれて網の外に出てきたような
もの)
• 機械の性能や加工条件等によっても不具合は発生するが、樹脂に起因(出荷検査合格であっても)するものと複合要因(例えば成形条件との樹脂の相乗要因)がある
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• フィルムの厚みのバラツキ
• ブロッキング:袋状の製品が完全密着して
しまい開口できない
考えられる「不良現象」をあげていくと(1)
• 寸法安定性不良
• ピンホール
• すべり性不良
• インキがのらない
• デラミ(ラミネート不良による剥がれ)
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• デラミ(ラミネート不良による剥がれ)
• 残留溶剤
• ポリ臭
• カーリング
• 巻しわ
比較的許容範囲が広い成形分野でのクレーム(1)
• ショートモールド
• バリ
• ヒケ
• ボイド
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• ボイド
• シルバーストリーク
• 異物混入
• ピーリング
• ウエルドマーク
• ストレスクラッキング
プラスチックに関する誤解
• プラスチックは原油・ナフサを大量に使っているから資源・環境の面からみて好ましくない
• プラスチックは燃やすと有害物質(ダイオキシ• プラスチックは燃やすと有害物質(ダイオキシン等)が出る
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