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1 第 5 回日中韓国際会議:参加者の声 公共政策研究科は、中国の北京大学(政府管理学院)及び韓国の延世大学(政経大学院) との間で学術交流協定(MOU)を締結しています。日中韓国際会議は、この協定に基づい て毎年秋に開催されており、5年目を迎えた今年は、9月7(木)〜8日(金)に中国の北 京大学で実施されました。研究科からは、4名の院生が参加しました。ここでは、参加者の 皆さんからの声をご紹介いたします。 日本語教育に従事し、外国人政策における「ボ ランティアが活動する地域日本語教育の可能性」 をテーマに東京都江戸川区の地域日本語教室で フィールドワークを重ねる私にとって、日中韓 国際会議は参加国それぞれが抱える、在留外国 人に対する語学教育のあり方を比較考察する貴 重な機会となりました。使用言語は英語と毎年 交代する開催ホスト国の言語です。日頃の研究 成果を英語で報告することは、語学のスキルア ップにも大いに役立ちます。会議前夜のレセプ ションから、参加者が取り組んでいる日中韓における公共政策の現状と課題についてシェ アする機会に恵まれ、参加者同士の交流を育むことが出来ました。会議当日は、各大学の教 員による記念シンポジウムと、参加者によるラウンドテーブルによって構成されています。 東アジアの視座から見た、私の研究に対する質問やコメント、アドバイスから、国際会議な らではの新たな気付きを得ることが出来ました。 今回の日中韓国際会議は私にとっては初めて の国際学会で、とても楽しみにしていました。 一方で、私は日本語での研究発表も数えるほど しか経験したことがなく、ましてや英語での発 表などは一度もしたことがない。最初は発表ま でに間に合うのか、準備したものがうまく発表 できるのか等、不安ばかりが募っていました。 発表当日には、朝からみんなが大丈夫だと励ま してくれました。私は緊張しながらも下手なり に、参加者に自分の研究成果を伝えたいという 気持ちを全面に出して一生懸命発表しました。しかし、発表が終わり気の抜けていた私は、 参加者の質問にほとんど答えることができませんでした。会議に参加させてもらったこと で私は自分の力のなさを痛感し、研究者として自分に足りないものを実感したのです。発表 後は、各国の先生や学生と交流し、非常に貴重なご意見をたくさん得ることができました。 今回の国際会議を通して、参加者たちが努力を惜しまず、著しく研究を進展させているこ とに刺激を受けました。また、自分の関心に近い研究をされている方々と出会え、連絡先も 冒茜茜さん 公共政策学専攻博士後期課程2年 西村菜穂子さん 公共政策学専攻博士後期課程1年
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第5回日中韓国際会議:参加者の声ppsg.ws.hosei.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2017/12/1709... · 2017-12-10 · 1 第5回日中韓国際会議:参加者の声...

Jul 30, 2020

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第 5 回日中韓国際会議:参加者の声

公共政策研究科は、中国の北京大学(政府管理学院)及び韓国の延世大学(政経大学院)

との間で学術交流協定(MOU)を締結しています。日中韓国際会議は、この協定に基づい

て毎年秋に開催されており、5年目を迎えた今年は、9月7(木)〜8日(金)に中国の北

京大学で実施されました。研究科からは、4名の院生が参加しました。ここでは、参加者の

皆さんからの声をご紹介いたします。

日本語教育に従事し、外国人政策における「ボ

ランティアが活動する地域日本語教育の可能性」

をテーマに東京都江戸川区の地域日本語教室で

フィールドワークを重ねる私にとって、日中韓

国際会議は参加国それぞれが抱える、在留外国

人に対する語学教育のあり方を比較考察する貴

重な機会となりました。使用言語は英語と毎年

交代する開催ホスト国の言語です。 日頃の研究

成果を英語で報告することは、語学のスキルア

ップにも大いに役立ちます。会議前夜のレセプ

ションから、参加者が取り組んでいる日中韓における公共政策の現状と課題についてシェ

アする機会に恵まれ、参加者同士の交流を育むことが出来ました。会議当日は、各大学の教

員による記念シンポジウムと、参加者によるラウンドテーブルによって構成されています。

東アジアの視座から見た、私の研究に対する質問やコメント、アドバイスから、国際会議な

らではの新たな気付きを得ることが出来ました。

今回の日中韓国際会議は私にとっては初めて

の国際学会で、とても楽しみにしていました。

一方で、私は日本語での研究発表も数えるほど

しか経験したことがなく、ましてや英語での発

表などは一度もしたことがない。最初は発表ま

でに間に合うのか、準備したものがうまく発表

できるのか等、不安ばかりが募っていました。

発表当日には、朝からみんなが大丈夫だと励ま

してくれました。私は緊張しながらも下手なり

に、参加者に自分の研究成果を伝えたいという

気持ちを全面に出して一生懸命発表しました。しかし、発表が終わり気の抜けていた私は、

参加者の質問にほとんど答えることができませんでした。会議に参加させてもらったこと

で私は自分の力のなさを痛感し、研究者として自分に足りないものを実感したのです。発表

後は、各国の先生や学生と交流し、非常に貴重なご意見をたくさん得ることができました。

今回の国際会議を通して、参加者たちが努力を惜しまず、著しく研究を進展させているこ

とに刺激を受けました。また、自分の関心に近い研究をされている方々と出会え、連絡先も

冒茜茜さん

公共政策学専攻博士後期課程2年

西村菜穂子さん

公共政策学専攻博士後期課程1年

Page 2: 第5回日中韓国際会議:参加者の声ppsg.ws.hosei.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2017/12/1709... · 2017-12-10 · 1 第5回日中韓国際会議:参加者の声 公共政策研究科は、中国の北京大学(政府管理学院)及び韓国の延世大学(政経大学院)

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交換できました。今後はこれらの研究者と連絡を取り合い、お互いに情報をシェアし、研究

を効率的にしたいと考えております。そして、各国の研究者と同じように努力して、さらに

優れた業績を出せるようにしたいと思っております。この有意義な国際会議は私の今後の

研究人生の大きな糧となると確信しています。

北京大学は中国一の大学として学術的雰囲気

が濃厚な大学だと言われています。その北京大

学での報告は夢にも思わなかったことでした。

法政大学大学院に入学してから、まだ半年しか

経っておらず、学会に出席した経験もない私に

は心配や不安がいっぱいでした。しかし、悩み

ながらも、指導教授とチューターの先輩より

色々なアドバイスをいただいて、報告の準備も

どんどん進んでいきました。本当に助かりまし

た。

学術研究とは何だろうか?これまで私は自分に問いながら常に戸惑っていましたが、研

究に臨む度に抱いていた疑問が少しずつ薄れていきました。特に今回の会議のおかげで、難

しいと思えた研究が、先生方や先輩方から受けた説明を通して、分かりやすくなりました。

まだ修士 1 年の私は博士の先輩達と議論をするのが大変でしたが、自分なりに努力して、

できるだけその雰囲気に溶け込みたいと思っていました。そして、同じ研究分野の先輩達と

知り会うこともできました。この経験を通して、自分の研究に何が足りないのか、何を踏ま

えなければならないのかが分かるようになりました。これからも研究を丁寧に進めて、頑張

っていきたいと思います。

初めて訪問した北京大学は各門を警備員がガ

ードしており、入構検査がありました。法政大

学の学友は招待状を見せて無事通過したそうで

すが、私は年齢が少し上なので「先生ですね?」

と中国語で聞かれ、だまって頷くとそのまま通

過できました。大学構内は、驚くほど広大で「大

陸」を感じました。国際会議ということで緊張

して臨みましたが、英語を母国語としない日中

韓の学生どうし、互いに気負うことなく共通語

としての英語で議論することができたのは、と

ても良い機会でした。参加者の発表は公共政策全般にわたり、貧困対策、保険政策、土地政

策、自転車のシェアリング、遊牧民の生活向上など幅広いテーマについての発表を聞くこと

で新しい知識を得ることができました。私は日中韓三カ国の気候変動政策の比較がテーマ

でしたが、韓国の学生からも日中韓の原子力政策をテーマにした発表があり、互いに学び合

うことができました。国は違っても、学術発表の基本である仮設の設定、方法論、データ分

析と結論というプレゼン手法は一貫しており、学問の共通性を感じました。会議終了後の食

事会は、みんなリラックスして本格中華料理と茅台酒を堪能させていただきました。このよ

李珂さん

公共政策学専攻修士課程1年

塚本直也さん

サステイナビリティ学専攻博士後期課程1年

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うな貴重な会議に参加させていただき、ありがとうございました。