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株式会社サンテック 統計解析室室長
足立 堅一 先生
第30回: EBM実践のための統計学(その17)― 統計学的側面から観て受理される医学論文を作成するために ―
~~~~~~ CONTENTS ~~~~~~
印刷される場合には、こちら (PDF版)をご利用下さい。 PDFファイルをご覧になるには「推奨動作環境」をご覧ください。
4.各論 ― 医学臨床論文がrejectされないためへのstep
4.6研究のためのprotocol作成から投稿・受理を達成するまで
4.6.1医学関連分野における研究の概観と留意点
4.6.2研究のためのprotocol作成から投稿・受理を達成するまでの留意
点
4.6.2.1そのflowの概観
― 研究の立案から投稿までのflowとbias侵入経路と防止法
4.6.2.2protocol作成編
― protocolの仕上がりが研究の質を決定する
4.6.2.3統計解析手法編
4.6.2.4研究実施編
4.6.2.5投稿前編
4.6.2.6投稿後編
設問
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研究して論文を書きそれを投稿して「受理」されることが、研究の最終目的であることには誰も異論はない。しかも、研究した全ての論文が受理されることにはならないこと、つまり「受理」達成は、そんなに容易なことではないことも経験者は先刻承知であろう。今回は、この「受理」達成のために概括的な観点から、要点を解説する。
4. 各論 ― 医学臨床論文がrejectされないためへのstep
4.6 研究のためのprotocol作成から投稿・受理を達成するまで 4.6.1 医学関連分野における研究の概観と留意点
先ず、最初に、医学関連分野の研究を概観し、概略的に分類して、それらにおける問題点や
留意点などについてまとめておこう(表1)。最高に厳格である、申請を意図したclinical trial(治験)から、RCT(Randomized Clinical Trial)、一般的臨床研究やepidemiological study(疫学的研究)までを概観した。更には、clinical trialにおいても、医薬品と医療機器との間で存在する差異についても言及しておこう。そのとき、焦点のボケない、的確・効果的な研
究達成のための急所を、たとえ前例がなくても、pick-upして解説する。
表1 医学関連分野における各種研究の外観と問題点・留意点
1.clinical trial(治験)からepidemiological studyを含む、clinical study一般まで
1) clinical trial (1) 医薬品:理想的
対照群設置可能性大
blind化の可能性大
因果推論的にも一般的に単純明快
(2) 医療機器(medical device):困難
対照群設置の困難さ
設置しても、blind化の困難さ
2) clinical study一般
(1) RCT
(2) epidemiological study一般
2. 研究の全過程を通して保持すべき視点
主に、bias(偏り)侵入可能経路の点検・注視とその防止対策常備との視点
3. 留意点
以下のことを意識化することの奨め
・ clinical studyは、下記必須
・ RCTは、下記ほぼ必須化
・ 疫学的研究は、可能な条項は、可及的に達成を志向。不可能な条項にはそのことの把握
・ その他
具体例が提示できない理由:守秘義務
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4.6.2 研究のためのprotocol作成から投稿・受理を達成するまでの留意点
4.6.2.1 そのflowの概観
― 研究の立案から投稿までのflowとbias侵入経路と防止法
次に、最終目的である受理までのmilestoneとでも比喩できる過程を概観しておこう(表2)。
これら5つの項目の中で、最初のmilestoneとしての第1項目「1.protocol作成編」が、解説全体の8割程度を占めること・それにはそれに相当する理由があることに注意を喚起したい。
表2 研究のためのprotocol作成から投稿・受理を達成するまでの留意点
1.protocol作成編
2.統計解析手法編
3.研究実施編
4.投稿前編
5.投稿後編
以下、表2の項目毎に、順を追って、かつ各項目を細分化して、解説する。
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4.6.2.2 protocol作成編-protocolの仕上がりが研究の質を決定する
群を抜いて、最も多くを占めるprotocol作成編は、以下の亜項目に分類するのが適切であろ
う。なお、表中の「選択・除外基準(⇔indication)」は、取り分け、治験においては、「選択・除
外基準」は、認可後の「適応(indication)」に連結することの意味である。
表2.1 protocol作成編
1) studyの目的とは? 何のために研究をするのか?
2) 研究design
3) 選択・除外基準(⇔indication)と症例登録・割り付け
4) 評価項目
5) 例数設計
6) 統計解析
次に、これらの各項目毎に要点を表に示そう。先ずは、何のために研究するのか?という当然、最大の標的であることが、曖昧・漠然としたまま実施されることを、しばしば目撃している。
そのことが解説の動機となっている。この点を意識化するには、「因果関係」や「信号 vs. 雑音」という視点の確立を推奨する。「因果関係」の検証には、「偶然に発生・観測された現象」ではないことの検証法として「統計学」が枢要な位置付けにあることの認識の推奨である。
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表2.1.1 studyの目的とは?-何のために研究をするのか?
(1) targetは何か?それを考えるときの筆者流視点の奨め
「因果関係causality relationshipの推論」と言う視点を持つことの有用性
「信号と雑音」という視点;物ごとを観る視点
【解説】 この項では「因果推論」の解説だけにして、 の視点についてはdesignの項で解説する
「因果推論的視点を持つこと」は、取り分け、自然科学分野(⇔ 人文科学:心理学、社会
科学、経済学)の研究のためには有用。しかも、大半の研究者がそれを意識化していないのが現状。 ※これは多変量解析でも同じ(別途解説する) ・・・薬は別として希薄/漠然と考え過ぎていないか?
薬剤=原因 ⇒ 反応(効果)=結果 という構図
・intervention有無如何は不問
・What causes it? ・A influences B. A has an effect upon/on B. ・effect of A upon/on B.
生理学 刺激stimulus ⇒ 反応
薬理学 dose/drug ⇒ 反応(効果・作用)
病理学 病原菌 ⇒ 病気
栄養学 栄養素 ⇒ 健康・病気
natural history time(temporal factor) ⇒ 現象(反応)
ecology mass circumstance(spacial factor) ⇒ 現象(反応)
「相関」の言及だけで十分か。(例:仲良し関係 相関関係>因果関係)
つまり、因果推論を考慮しない/しなくてもよい多変量解析
しかし、自然科学では、相関までだけで言及を留めるのでは不十分。 因果関係(因果推論)まで追及すべし
新規現象の発見・確認・検証 ⇒ 因果関係・因果推論の検証の1つ前段階として位置付ける
以下を分類
□現象は、医学では「疾患・症状」もこれに該当 (例:糖尿病・てんかん・アルツハイマー・花粉症)
□新規であることの検証: 類似既存疾患との弁別のための検証 (例:花粉症)
□ 自分の経験例
(2) 統計学(統計学的仮説検定・推定)の役割りとは何か?
【解説】
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最終目標は、再現性の確保*、予測 = 未来の制御(例:地球温暖化) *偶然に発生した「現象」ではない = 必然性・再現性を有することの検証(方法)
現象の発見 現象の必然性
『証拠』
→ 原因の追究
『(理)論』
検証的接近法 帰納的推論
「論より証拠」型
仮説と論理展開
『(理)論』 →
(未知・新規)現象の予言・予測
『証拠』
理論的接近法 演繹的推論
「証拠より理論」型
理論が先か、証拠が先か(論より証拠型?) (例:高木兼寛 vs. 森鴎外・・・what causes 脚気?)
この「studyの目的」と次の「研究design」とは、当然ながら密接に関係している。更に、掘り
下げてみる。この場合の急所は、先行する「studyの目的」から特定された「信号」を如何に正
確に(accurately)に、「雑音」に撹乱されることなく「検出」する仕掛け/操作を工夫することであると比喩できよう。
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表2.1.2 研究design
-「標的」とそれを効率的(with high cost-performance=precision)&正確
に(with accuracy=bias-free)、検出するための「仕掛け・工夫」
targetと整合しているか?
それこそ、「的=標的」外れではないか? □ そうであれば、これは「広義のbias」=しかも、致命的!
sample vs. population;選択基準/除外基準 indication □ 選択基準=target;除外基準=非target, noise□ sampleは、targetted onesであるか?
□ indication=target
仮説
among many existing factors, which ones affect the result?
(1)「信号と雑音」という視点;物ごとを観る視点
「的=標的」外れを回避するためのknow-how? how to know what is the target (例:circadian rhythum vs. 降圧薬の効果)
□ 今日の信号は明日の雑音、今日の雑音は明日の信号
□ 「彼」の信号は、「我」の雑音、「我」の信号は、「彼」の雑音
(2)「雑音」を統計学用語に翻訳すると?
「偶然誤差」と「系統誤差(bias)」 (例:circadian rhythum vs. 降圧薬の効果)
(3)「雑音」取り分け、biasの視点から観た「試験design概論」
preliminary/pilot study vs. pivotal study prospective vs. retro-spective (cost-performance)
clinical trialでなくて、むしろ、疫学的研究、臨床研究=医師主導型研究
第11回をbias回避のための仕掛け・工夫との観点から復習
EBMやmeta-analysisの実践・実施方法との関連
secondary data(source)を用いる点で特殊な研究
選択基準の問題
次の「選択・除外基準と症例登録・割り付け」などは、広義には「design」に包含されるが、こ
こでは、典型的なstudy protocolの記載方式に従い、別項立てとする。やはり、ここでの急所
も、「信号」を組み入れ(選択し)、撹乱因子としての雑音を除去するための基準との視点が本
質の理解を容易にする。なお、治験においては、これは、認可後の「適用(indication)」にも連動するであろう。
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表2.1.3 選択・除外基準と症例登録・割り付け ⇔ indication
observational studyでは、EBMやmeta-analysis方式 □ 一部は既述
□ 「症例登録」は、換言すれば、allocation(割り付け)であり、それに関連する問題発生に留意を!
□ 主たるものは、selection bias
IC(Informed Consent)が公平に採取不可能! □ central entry system
(1)割り付け表の保管法や割り付け方法の開示法での留意点
selection bias, 評価へとlinkするときにinformation bias
(例: 封筒法で、割り付け表が手元にあるときに、「当たるまで引く」ことによる
selection bias。割り付け方法の詳細(例えばblock sizeが4)を治験担当医
師に明示(protcolに明記)することによるinformation bias(続けて2例無効
であったので、残り2例は実薬だろうと推測するなど))
designの中での急所となるのが、何を「信号」とするのか、何が「信号」として妥当なのかとい
うことであり、これがまさに、換言すれば、目的(end)・標的である。別の視点からすれば、本
当・本命としての「信号」(true /genuine signal)の測定・検出が困難な場合もあり、その場
合には、止む無く、surrogate signalとしてのsurrogate endpointを設定することになる。
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表2.1.4 評価項目-What is your signal?
(1) endpointの種類や複数endpointが誘発する問題点
多重性の問題とそれへの対応
単一のendpointでも経時的測定・層別化では問題発生
比喩的に言えば、「なんでも見てやろう!」の問題点 □ 偶然誤差評価に関するbias□ やはり確率論的に解決可能
□ 好ましい評価項目の条件 true endpoint vs. surrogate endpoint objective endpoint vs. subjective endpoint
各種ある対処法
検定(推定)を1回ポッキリとすること
主用評価項目&副次評価項目 □ 具体例 検定(推定)を反復するもの 多重性を考慮した/多重性に対処した/多重性を回避する手法の適用
□ Holm法(事後的で原則OK)vs. 完全closed testing procedures(事前宣言)
中間解析
(2) endpointの種類や複数endpointが誘発する問題点
多重性の問題対応の分野別要求度
PI、PII、PIII(以上、医薬品)、device、CONSORT
CONSORTなどで、例数設計が確実に要求されていることは、既に述べた。しかし、それが何故必要であるのかの理由は、途中からの読者には必ずしも理解できていないかも知れない。これまた比喩的に、効果的に解説するのであれば、必要例数は、「信号」と「雑音」との相対
的大きさで決まるのである。つまり、信号/雑音(まさに、SN比)の大きさは、統計学の分野で
は「effect size」と呼ばれるものそのものであり、SN比が大きい程、必要な例数は少なくて済む。
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表2.1.5 例数設計
何故必要なのか?
□ Sとなるはずのもの/すべきものが、そうならない。「身から出た錆」であり、その点で
はno problem!だが。
・・・ 「NS=同等」論の絶滅の訳 ⇒ NS=同等論でのbias ← power
精度の確保
powerの問題との関連を理解する。点達を線で結ぶ
・・・ 「S=臨床的(当該専門分野的)にも意味ある差」論的誤解
上記克服も可能にする!、特に「臨床的に意味ある差」という概念を習慣化することが今後要求されるであろう。
「統計解析」については、「治験」では、以下のような内容が必須とされる。その他の一般的研究では、それに准ずる。
表2.1.6 統計解析
事前に基準設定 ideal
protocolやSAP(Statistical Analysis Plan)を参照せよ!
解析対象集団 FAS(Full Analysis Set) vs. PPS(Per Protcol Set)
症例の取り扱い TVでの実験や民間PR実験の問題点
dataの取り扱い
欠測値・変換・定量限界値
検証法の種類と使い分け
解析手法
α・多重性への対応
中間解析
以上が、今回の解説の大半を占める。以下は、読者の想像に反するかも知れないが、研究の成否をさほど左右する要因にはならない。また、解説も以上と異なり細分化をした解説とはしない。
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4.6.2.3 統計解析手法編
これについての最大の留意点は、「統計学的手法は、『偶然誤差』への対処法として考案されたものでしかないとのこと、換言すれば、読者の大半が誤解しているであろう、あるいは漠然と期待しているであろう、『系統誤差』への対処法ということには決してならないということである。
比喩すれば、魚の立場で言えば、「疑似餌」(悪質な雑音)と「本物の餌」との弁別さえも、統計学的手法が、p値の計算により自動的に対応してくれることには決してならないことである。
表2.2 統計解析手法編
研究者と統計家との間に存在する最大のgap/mismatch
早目に考慮・検討するにこしたことはないが、研究のtemporal flowからすると、bias侵入を全てのstepで留意すべきであり、特にearly stepでの配慮・対応・未然防止ほど有効であり、その中で、この問題は大きな比重は占めていない!
佐久間 昭 教授流の比喩では、「いかれた野菜」に「salad dressing」 ・・・結局は、健康を損ねる!
収集する/したdataの性格に応じて、適切なappropriate手法の選択
拙著「らくらく生物統計学」や「実践統計学入門」でほぼ足る!
逆に、biasにすら統計学的手法が対処可能と信じている統計解析手法の盲信者・なんとかできる方法がないかと藁にもすがる者 ・・・検定手法の誤用。当該dataの性質や取り方から観たとき、不適切な手法の適用
初歩的で、innocentなもの。p値の妥当性がない(過大評価か過小評価かのどちらか
は別にして、真のp値からの乖離=bias)。原理的には適切な検定法に交換すれば、
済む(真のp値が求まる)。解析よりも前段階でのbiasの侵入がない限り、意外と傷は深くない場合が多い。
実例:申請資料であれば問題だろうが、一般臨床医学論文であれば、不適切な手法を用いていて、そのことの指摘を受けてから対処してもOKであろう。 そのときの留意点は、S ⇒ S ○ NS ⇒ S ○ S ⇒ NS ×であろう。
・生存時間解析;別途章立て解説
・多変量解析 vs. 単変量解析;別途章立て解説
意味:単変量解析の限界が分かるか? 前例主義からの脱却を!
多変量解析において因果推論的観点を持つことの奨め(第20回でも既述だが)
多変量解析の種類 ・・・混合効果模型の流行の裏側:biasへの万能の欠測値対応武器になれるか?
MAR(Missing At Random)指摘の例 ⇒ 生存時間解析へ
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4.6.2.4 研究実施編
表2.3 研究実施編
実施者(investigator):労力・時間が一番かかるが・・・。
支援者(sponsor & monitor)の守備範囲
科学的視点からのsutdyの質の確保
selection biasの回避: 封筒法とselection bias(既述)
drop-out 回避の努力
loss of follow-up 回避の努力
missing data回避の努力: 発生しても最低限MAR(既述)であること
着実・確実にprotocolを実施
測定の仕方・結果の記入の仕方などへのinstructionの不徹底の回避
CRF(Case Report/Record Form)設計上の欠陥・問題点の回避
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4.6.2.5 投稿前編
表2.4 投稿前編
投稿規程の再点検
統計手法・統計用語・表現の再点検
筆者流:editorへのe-mailでの直接的照会
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4.6.2.6 投稿後編
表2.5 投稿後編
(1) 極論を言えば、何もない
手の打ち様がない例
・・・ MARであるevidenceは?
薬物血中濃度推移の研究で、第2期のpeakも問題となるにもかかわらず、再度上昇期に入るも追跡観測せず!
・・・ この段階に至って、統計家への出動要請依頼があるのが未だ世間一般的か?
しかし、この期に及んで、未だ対処可能な余地があるとしたら何が考えられるだろうか?結論的には、最早何もない/殆どない
[比喩] 火事 ⇒家の外からは見えないが、内部には炎が充満してしまい、
外気が入ると一気に爆発、つまり、この段階になってからの消火隊の出動では打つ手がない。
(2) 例外的に投稿後でも打つ手が残っている部分
・・・ 検定法を適切なものに変更して、受理された例を結構経験している 偶然誤差への不適切な検定での対応を是正
(例:血中濃度の同等性試験での検定がt検定であったためにreviewerから
お咎めがあり、同等性試験に対応する分散分析に訂正)
biasへではない
(留意点:この の対応、つまり、検定法の訂正で回避できるのは、偶然誤差評価に、より適合した検定法を選択しただけであること。換言すれ
ば、検定法を交換しても、研究実施段階で潜入したbias/系統誤差には対処不能!)
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設問
最後に、今回の論点・要点を具体的にimageできるように設問を出しておく。つまり、「解答」は掲載しないので、各自考えられたい。また、解答は1つだけとは限らない。
設問1
TV番組で、「血液型と性格との関連性」について、或る信奉者が、「血液型と性格とは、関係があることが統計学的に証明されているのです。」と、いかにも科学者的な
発言をしていた。その根拠として、「何万例というdataを用いて証明されているのです」との趣旨の発言もあった。
dataの多さを根拠とする妥当性とそれでも残る/注意すべき問題点とは何か? この問題点は、統計学的用語を用いれば、どういう用語になるか?
設問2
「血液型と性格との関連性の有無」を検証するstudy designを考えること。その場合に最大に注意すべき点は何だと思うか?
実験・試験を実際に実施する機会がなくても、我々は、protocolは作成できる! 是非とも挑戦されたい!
設問3
やはり、TV番組で、健康食品などの効用を「実験」して証明/検証する試験がある。 こうした場合には、しばしば、1群当たり5例前後で実施されている。この点を、統計学的視点から、留意して・冷静に観るときに、何に批判的であるべきか?
設問4
「霊の存在」の証拠として、雑音を発生する装置を作成した。雑音の大きさは、一定
のlevel、つまり±2SD(σ)のに抑えられている。この装置を携行して、様々な場所で「霊からの応答」を調査した。その結果、場所によっては、その水準を越えてしまう、異
常なspotが20箇所に1箇所程度存在しており、「霊の存在」を示唆した。
この主張についてどう考えるか? その根拠は何か?
設問5
吉村昭、「白い航跡」、講談社文庫を読んで、「高木兼寛 vs. 森鴎外」の脚気の原
因論争の問題点を整理すること。森鴎外の高木兼寛の試験に対する「批判」(例:同
時対照群を設定していないこと)の妥当性と問題点を考察すること。森鴎外に重大な問題点があるとしたら、それは何だと考えるか?
なお、今後、以下のような話題を予定しているので、ご期待されたい。
第31回 予後因子均衡化法として特筆すべき割り付け法
- 「誤解される」最小化法とその本質的魅力(問題解決能) - 意識されていないものの、研究は、全て所詮は多変量(因子)実験
第32回 解析法が難解で誤解されるstudy design
-
cross-over design ・・・ それこそbias(偏見)を持って見られがち
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- 多変量(因子)実験が、世間的には、この方法で初めて紹介されることは妥当か?
第33回 臨床研究に多用されるが、本質的理解不足の統計解析手法
1. 期待される、経時的測定dataの解析法の素顔
- 要約指標を用いる方法を中心に
2. 生存時間解析の急所
- 何故、t検定で駄目なのか?何故χ2乗検定で駄目なのか?
3. 評価項目として指標ROC 曲線手法とそれが最近急激に注目されだした理由
- 「長い間理解されなかった」ROC 曲線の再生
-
感度&特異度の欠点とは? ・・・ 網羅的解説をしない理由 紙面 不要 本命に対して、世間的・一般的に解説が不十分と考える
第34回 多変量解析の急所
- 何故、単変量解析で駄目なのか?
-
意識されていないものの、研究は、全て所詮は多変量(因子)実験 ・・・ 網羅的解説をしない理由 紙面 不要 本命に対して、世間的・一般的に解説が不十分と考える
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