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熱力学東京大学大学院理学系研究科物理学専攻
福山 寛
ver5
第1部 熱力学第一法則を中心として第2部 熱力学第二法則を中心として第3部 熱力学関数・相平衡・相転移、分子運動論
教科書 阿部龍蔵 著「熱統計力学」(裳華房)の1~2章および3章の一部
1
参考書 阿部龍蔵 著 基礎演習シリーズ「熱統計力学」(裳華房)久保亮五 編「大学演習 熱学・統計力学」(裳華房): 物理学科進学希望者向き
成績評価 期末試験、途中2回の中間試験又はレポート、出席点
平成30年度駒場講義 基礎科目 物質科学
1.熱力学第一法則§1.1 温度と熱
2018.4.9
2
温度: 寒暖の間隔を定量的に表すもの (正確には熱力学第二法則にて定義) 熱力学温度ともいう
絶対温度 (T) セ氏温度(t = T - 273.15) DT= 1 KとDt =1℃は等価
絶対零度の存在 反対に温度 (T > 0)に上限はない
熱: 物体の温度を変える原因となるもの
熱量 (Q): 熱を定量的に表したもの 1カロリー(cal):1 gの水の温度を1 Kだけ上げるに要する熱量
熱伝導: 高温の物体から低温の物体へ熱が移動する現象
熱(Q)と仕事(W)の等価性: ジュールの実験
熱の仕事等量: J = 4.19 J/cal W = JQ
熱容量 (C): ある物体の温度を1 Kだけ上げるに要する熱量 (cal/K, J/K)
比熱 (c): 1 gあたりの熱容量 (cal/gK, J/gK) 実際には比熱は温度の関数であるが、多くの場合、一定と見なして議論する。 e.g. 水の定圧比熱 (≈ 1cal/gK)の温度変化は0.1% (0 ≤ T ≤ 100℃)
モル比熱 (C): 1モルの物質がもつ熱容量 (cal/mol K, J/mol K)
融解熱: 融点にある固体を同じ温度の液体にするに要する熱量 1 gの氷の融解熱は80 cal (0℃, 1気圧)
気化熱: 融点にある固体を同じ温度の液体にするに要する熱量 1 gの水の融解熱は539 cal (0℃, 1気圧)
1.熱力学第一法則
§1.2 状態量と状態方程式
2018.4.9
3
熱平衡: 2つの物体を接触させ、十分時間が経って熱の移動がなくなった状態 (両者の温度は等しい)
熱浴 (熱源) 外界(他の物質) と熱の授受があっても温度が不変の熱の供給・吸収源
A~B, B~C → A~C (熱力学第0法則)
状態量: 熱平衡にある一様(均質)な物体の巨視的な状態を表す物理量
示強性状態量: 熱平衡にある一様な物体を分割・倍加しても変わらない状態量 T, p, µ (化学ポテンシャル), ...
示量性状態量: 熱平衡にある一様な物体を分割・倍加すると、分量に比例して変化する状態量 V, U (内部エネルギー), C (熱容量), S (エントロピー), ...
圧力の単位: 単位面積当たりの力 (N/m2)1 N/m2 = 1 Pa (= 10-5 bar) 1 hPa = 100 Pa 1 atm = 101325 Pa
状態方程式: 一様な物体の3つの状態量p, V, Tの間の関係式 (独立な量はそのうち2つ)
e.g. 理想気体の状態方程式: p = RT/V気体定数:R = 8.31 J/mol K = 1.98 cal/mol K
1.熱力学第一法則 §1.2 状態量と状態方程式 2018.4.16
4
ファン・デル・ワールスの状態方程式:
偏微分:
(1.14)
a > 0 (分子間引力), b > 0 (排除体積、分子間斥力)
OR (1 molあたり)
分子間相互作用する実在気体の最も単純なモデルだが、理想気体と違い気液相転移を再現できる。
多変数の状態量 (例えばp (T, V)) の微小変化は以下のテーラー展開で表せる。
添字は微分の際、固定する変数V一定 (定積過程)のときはdV = 0として、
系内部の力学的エネルギーを表す状態量 (系全体としての運動エネルギーは含まない)
A
B
DE
C
V
p
0
F
臨界点
気体液体
気液共存
等温線
臨界点(Tc, Pc, Vc)では !"!# $
= 0 と !'"!#' $
= 0 が成り立つ。
𝑉) = 3𝑏, 𝑝) =𝑎
27𝑏1 , 𝑇) =8𝑎27𝑏𝑅
ただし、添字が共通なら、通常の微分と同じ:
内部エネルギー (U):
マクスウェルの規則: DAEの面積 = EBFの面積
アボガドロ数: NA = 6.022 × 1023 mol-1
※理想気体の内部エネルギーは温度だけの関数で、体積に依らない
一般に:
𝜕𝑝𝜕𝑉 $
(1.15)
dV
!"!# $
dV !"!$ "
dT
A
B
アルゴンのvan der Waals状態方程式
V / Vc
p / p
c偏微分の考え方
5
A点からB点へ状態が微小変化するとき (TやVの微少変化量はdT, dV) 、pの微少変化量dpは
で与えられる。このとき !"!# $などを偏微分 (dpを全微分)と呼ぶ
• 偏微分 !"!# $は、T を固定したときのp (V, T)
のV 方向の接線の傾き
• 偏微分 !"!$ #は、V を固定したときのp (V, T)
のT 方向の接線の傾き
状態量ではない熱や仕事の微少量dQ, dWは、(1.15)式のようにはテーラー展開できない。
※関数 p (V, T) はV-T-p 空間での曲面を表す
2018.4.161.熱力学第一法則
6
§1.4 熱力学第一法則1.熱力学第一法則
熱力学第一法則: 物体に仕事W、熱量Qを加えて、状態AからBに変化させたときの内部エネルギーの変化DUは
(1.21)∆𝑈 = 𝑈9 − 𝑈; = 𝑊 + 𝑄 WやQは物体に加える向きを正とする。
(1.22)𝑑𝑈 = 𝑑@𝑊 + 𝑑@𝑄 WやQは状態量ではないので、厳密には微分で表せず、その微小変化を「d’」で表現する。
微小変化に対しては
気体を例にして、d’Wの実態を考えると、第一法則は以下のように書ける。𝑑𝑈 = −𝑝𝑑𝑉 + 𝑑′𝑄 (1.24)
断面積Sのピストンが摩擦なく動けるシリンダー内に気体を密閉する。いま、シリンダーの内外の気体の圧力がpで等しいとし、気体が膨張してピストンをAからBまで微少距離dl ゆっくりと動かしたとする。このとき気体に加えられた仕事d’Wは−pSdlに等しい(気体が外界にした仕事はpSdl)。
l dl
A B 断面積S
§1.5 第一法則の応用内部エネルギーは状態量なので、T, Vの関数と見なせば
これに(1.24)式を代入すれば
(1.26)
(1.27)
定積熱容量: (1.28)
定圧熱容量: (1.32)
2018.4.23
(1.27)式の両辺をdTで割り、p一定のときを考えると
(1.27)式の両辺をdTで割り、V一定のときを考えると
7
1.熱力学第一法則
マイヤーの関係: (1.34)
2018.4.23
理想気体の場合は内部エネルギーは温度にしか依存しないので、(1.32)式で 𝜕𝑈 𝜕𝑉⁄ $ = 0と𝑝𝑉 = 𝑅𝑇を代入すると、
6
を得る。1モルの理想気体のモル比熱に対して、
次に、内部エネルギーをT, pの関数と見なした場合を考えてみる: U (T, V)とU (T, p)は関数形が異なることに注意
を第一法則(1.24)式に代入して
を得る。 (1.36)
これから定圧熱容量(dp = 0)を求めると
と(1.32)式とは一見異なる表式が得られる。 (1.38)
しかし、次に示すように、(1.32)式と (1.38)式は同じであることが分かる。
両辺をdTで割り、p一定(dp = 0)のときを考えると
これを(1.38)式に代入すると、(1.32)式が得られる。
8
§1.6 断熱変化1.熱力学第一法則
断熱変化: 外部と熱の出入りがない状態変化 (d’Q = 0)
2018.4.23
このとき、第一法則(1.27)式は と書ける。 (1.39)
理想気体の場合、UがTにしか依存しないことと状態方程式を上式に代入して両辺をTで割ると、1モルのとき
を得る。マイヤーの関係(1.34)式を使い、圧縮比: を定義すると、 (1.42)
を得る。両辺を積分すると、理想気体の断熱変化では、 𝑇𝑉CDE = const.
あるいは理想気体の状態方程式を代入して、 𝑝𝑉C = const.
(1.43)
(1.44)ポアッソンの式
が成り立つ。
マイヤーの関係から常に g > 1なので、理想気体を断熱圧縮すると必ず温度が上がり、断熱膨張させると必ず温度が下がる。
分子の自由度(n) CV Cp g (≡ Cp/CV)
単原子分子 3 (3/2)R (5/2)R 5/3
2原子分子 5 (= 3 + 2) (5/2)R (7/2)R 7/5
多原子分子 6 (= 3 + 3) 3R 4R 4/3
CV への寄与は1自由度当たり(1/2)R ←統計力学より
理想気体のモル比熱
V
p
0
等温線
断熱線
断熱線の法が等温線より傾きが大きい
9
§1.7 カルノーサイクル1.熱力学第一法則
(熱)サイクル: ある状態から出発して、再びその状態に戻る一周りの状態変化
2018.5.7
このとき、系が外界からなされる仕事の総量をW、受け取る熱量の総量をQとすると、第一法則から−𝑊 = 𝑄が成り立つ。すなわち、系が外界にした仕事は外界から受け取った熱量に等しい。 (1.45)
それと逆向きに一周りする状態変化: 逆サイクル
熱機関: 熱を仕事に変換する装置 作業物質: 熱機関で利用される物質
カルノーサイクル: 理想気体を作業物質とする理想的な熱機関で、図のサイクルをもつ。
逆カルノーサイクルは、系に仕事をして低温熱源から熱を運び出せるので、冷凍機として働く。
V
p
0
1
2
34
1→2: 等温過程 (T = T1)2→3: 断熱過程3→4: 等温過程 (T = T2 < T1)4→1: 断熱過程
nモルの理想気体の場合:
1→2の等温過程で、T1の熱浴から系が受け取る熱量Q1は (吸熱過程)、
3→4の等温過程で、系からT2の熱浴へ放出される熱量Q2は (放熱過程)、
(1.46)
(1.48)
1サイクルの間に系が外部にした仕事 -Wは、第一法則から −𝑊 = 𝑄E + 𝑄1と与えられるから、高温熱源から受け取った熱と低温熱源へ排出した熱の差分に等しい。
(1.49)
その値は、(1.46),(1.48)式より、 1, 2, 3, 4における体積をそれぞれV1, V2, V3, V4 とする。
10
1.熱力学第一法則 2018.5.7カルノーサイクルのつづき
一般の熱機関で、高温熱源から受け取った熱量のうち仕事として取り出せた割合を、その熱機関の効率hと呼ぶ。
(1.50)
カルノーサイクルの場合、クラウジウスの式(1.52)を使って
(1.51)
(1.46), (1.47), (1.48)式より、
,・・・クラウジウスの式 (1.52)
カルノーサイクルの2→3と4→1の断熱過程では、ポアッソンの式が成り立つので、
(1.47)
,
これらから、
,
,
熱機関 効率 (h)
蒸気機関 10~20%
ガソリンエンジン 20~30%
蒸気タービン 20~40%
ディーゼルエンジン 30~40%
※(1.48)式から、T2 = 0でない限り|Q2| ≠ 0 なので、効率は必ず1より小さい。
※カルノーサイクルの効率は、二つの熱源の温度の比のみで決まる。
※実際の熱機関の効率は、Q1とQ2だけで決まる理想的な場合の効率よりもさらに低い。
「演 習 問 題」
11
5. 内部エネルギーU、圧力p、体積VからH = U + pV
により定義される関数H をエンタルピーという。エンタルピーに関する次の各問に答えよ。(1)エンタルピーの微分dH に対する式を書け。(2)定圧の条件下における体系の熱容量Cpをエンタルピーで表す関係式を求めよ。
6. 1モルの理想気体に対し、図のようにV ‒ p 面で2本の等温線(T’ > T )を考える。図のように状態A、B、Cを取り、定積モル比熱をCV、定圧モル比熱をCpとして以下の設問に答えよ。
(1)A→Bの変化による内部エネルギーの増加分UB ‒ UAはいくらか。(2)A→Cの変化による内部エネルギーの増加分UC ‒ UAはいくらか。(3)UB = UCであることに注意し、マイヤーの関係を導け。
7. 一定量の理想気体を考え、断熱線に沿っての 𝜕𝑝 𝜕𝑉⁄ FGと等温線に沿っての 𝜕𝑝 𝜕𝑉⁄ $を計算し、前者は後者のg 倍であることを示せ。
8. 状態1(体積V1、圧力p1、温度T1)にあるn モルの理想気体を状態2(体積V2、圧力p2、温度T2)へ断熱変化させた。この間に気体のした仕事W12を求めよ。
1.熱力学第一法則 2018.5.7
12
9. 一定量の気体を考え、その状態変化をV ‒ p 面上の曲線で記述したとする。サイクルでは、ある状態から出発し再び同じ状態に戻るから、サイクルを表す曲線は図のような閉曲線となる。1サイクルの間に気体が外部にする仕事とこの閉曲線内の面積との関係について考察せよ。
(1)と(2)の答えと、B→Cが等温過程なので 𝑈H-𝑈9 = 0 を使えば良い。
断熱過程ではポアッソンの式を、等温過程では理想気体の状態方程式をそれぞれVで微分して !"!# FG
と!"!# $
を計算すれば良い。
回答5 (1) (2)
6 (1) (2)
(3)
7
8
9 気体が外界に対してする仕事は閉曲線内の面積に等しい。
1.熱力学第一法則 2018.5.7
13
2018 5 14300080
1
U, V,
p, T, CV, Cp d’Q
dU
!" = !$% − '!( (a) (g)
(a) U V p dU
(b) CV
(c) U p T
Cp
(d) V−p
)' )( *+
(1)
(e) (1) )" )' , CV
(f) (1) )" )( - + ' Cp
(g) V−p
)' )( / )' )( *+ )' )( /
g ≡ Cp/CV
V−p 1
1 2 3 4 1 (a) (c)
n R
(a) 1 2 T1 Q1 3 4
T2 Q2 1
W
(b) Q1/T1 + Q2/T2 = 0
Q1, Q2, W
(c) h ≡ − W/Q1 T1, T2
2
h
1
a b (2)
V−p p V
Tc
)' )( / > 0
(a) (b)
(a) T Tc , T = Tc , T < Tc 3 V−p
(b) Tc a , b
中間試験回答例
14
問1 (a)
(b) dV = 0のときの第一法則 𝑑𝑈 = 𝑑′𝑄を使って、
(c) でdp = 0として、 を得る。これを第一法則に代入すると、
∥
∥
∥
(1.1)
(d) d’Q = 0のときの第一法則 𝑑𝑈 = −𝑝𝑑𝑉を(1.1)式に代入して、
∴
(e) を変形すれば、
∥
∥
(f) を小問(c)の答えに代入すると
∥
を得る。
これを使えば、
(g) の関係を使った。∥ここで、
2018.5.14
中間試験回答例 つづき
15
問2(a)
(b)
(c)
∥
∥
∥
2018.5.14
𝑄E +𝑄1 +𝑊 = 0
1→2の等温過程:
3→4の等温過程:
2→3の断熱過程:
,
4→1の断熱過程:
∴∴ これを(2.3)式に代入すると
(2.2)
(2.3)
(2.2)式の両辺を(2.4)式で割れば、
(2.4)を得る。
∴∥
(2.1)
(2.1)式
(2.5)
(2.5)式
∥
(2.1), (2.2), (2.4)式より、 題意より、 𝑇1 − 𝑇E < 0、 𝑉1 𝑉E⁄ > 1だから𝑊 < 0∥
中間試験回答例 つづき
16
問4(a)(b)
∥
2018.5.14
臨界点は、p−V平面上で等温線が傾きゼロの変曲点をもつ点なので、
A
B
C
V
p
0
臨界点
T >> Tc
T = Tc
T < Tc
と が両方成り立つ。
両式にファン・デル・ワールスの状態方程式を代入すれば
を得る。
問3 2→3と4→1は定積過程なので、ここでの仕事の授受はなく、2→3で系が受け取る熱量Q3と4→1で系が受け取る熱量Q4は大きさが等しく符合が反対である。
1→2と3→4で系が受け取る熱量をそれぞれQ1とQ2とすれば、問2のカルノーサイクルと全く同様に考えて、
∥
𝑄L = 𝐶# 𝑇1 − 𝑇E < 0(放熱)、𝑄N = 𝐶# 𝑇E − 𝑇1 (吸熱)
−𝑊 = 𝑄E +𝑄1 = 𝑛𝑅 𝑇E − 𝑇1 𝑙𝑛 𝑉E 𝑉1⁄
一方、サイクル全体で系が受け取る熱量はQ1+Q4だから、
なお、理想的なスターリングエンジンでは「再生器」を通じて廃熱Q3をそのままQ4として系に戻すので(高温熱源と低温熱源の間の熱移動が完全に等温可逆的)、この場合は
となり、これも正解とする。
線型グラフと両対数グラフ
17
2018.5.21
𝑝𝑉C = const.
理想気体の等温変化: 𝑝𝑉 = 𝑛𝑅𝑇
理想気体の断熱変化:
g = 5/3 (= 1.67)= 7/5 (= 1.40)= 4/3 (= 1.33)
カルノーサイクルの両対数グラフ表示
➡V-p 両対数グラフでは、傾き−1の直線
➡V-p 両対数グラフでは、傾き−gの直線
12
34
カルノーサイクルの線型グラフ表示
1
2
34