Top Banner
大和証券キャピタル・マーケッツ アジア・リサーチ このレポートは、投資の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を意図するものではありません。投資の決定はご自身の判断と責任でなされますようお願い申し上げます。 ご利用に際しては、末尾の開示事項の記載もご覧ください。 ディビッド・ラム、CFA 大和証券キャピタル・マーケッツ シンガポール Investment case 大和証券 CM(以下、大和)では、レ ーティング「1」、10 年間の配当割引 モデル(DDM)による向こう 6 ヵ月間 の目標投資口価格 1.06 シンガポー ル・ドル(以下、S ドル)でアコーデ ィア・ゴルフ・トラスト(AGT)のカ バレッジを開始する。 魅力的な利回り:一口当たり分配金 (DPU)大和予想に基づく平準化 DPU 利回りは、2015 年 3 月期が 7.4% (2014 年 8 月 1 日から 2015 年 3 月 31 日までの 8 ヵ月間の DPU 大和予想の年 換算値)、2016 年 3 月期が 8.0%、 2017 年 3 月期が 9.1%に相当する。 AGT の DPU 利回りは、全 J-REIT 銘柄 のそれを大きく上回っている。また、 大和がカバーするほぼ全ての S-REIT 銘柄の DPU 利回りを上回っているほか、 シンガポールに上場するビジネス・ト ラストの平均 DPU 利回り(ブルームバ ーグ予想に基づく)を上回っている。 堅実な事業経営:AGT の DPU 利回りは 日本の業界大手のゴルフ場運営事業に 支えられている。AGT は、アコーディ ア・ブランドで運営される日本の 89 のゴルフ場を組入資産とする。AGT の スポンサーであるアコーディア・ゴル フは日本最大のゴルフ場運営会社であ り、ゴルフ場の所有数での市場シェア は 5.5%。AGT のポートフォリオが 75%強の稼働率を享受しているのは、 3 大都市圏にゴルフ場が集中している こと(AGT の組入資産の 70%が 3 大都 市圏にあるのに対し、業界平均は 50%)、アフォーダブルな料金で提供 し、入場者数或いは稼働率を重視した ビジネスモデルを採用していること、 が主因である(2014 年 3 月期の入場者 1 人当たりのプレー料金は週末が 7,961 円、平日が 4,814 円)。 ゴルフ場取得が 2016-2017 年 3 月期の 成長をけん引:大和では、AGT が LTV (有利子負債/評価額)を IPO 後の 30%から 2017 年 3 月末までに 46%に 引き上げ、ゴルフ場の取得を進めると 想定し、年間分配金の前年比伸び率を 2016 年 3 月期に 8.5%(年換算値)、 2017 年 3 月期に 13.5%と予想。最短 で取得機会が期待できるのは、スポン サーが売却を予定する 26 のアコーデ ィア・ブランドのゴルフ場である。 Catalysts 月次事業動向が安定しており、AGT に 対する市場のディスカウントは時の経 過と共になくなる見込みである。想定 より早い段階での、分配金の大幅な上 昇につながるゴルフ場取得の発表もこ れを支えよう。 Valuation 大和では、向こう 6 ヵ月間の目標投資 口価格を算出するに当たり、配当割引 モデル(DDM)を採用し、資本コスト (ディスカウント・レート)の前提を 7.5%に設定した。 Risks 高利回りかつ収支が円建てである AGT は、円/S ドルの為替レートや金利の 変動に敏感である一方、事業は天候の 影響を受けやすく、また景気サイクル との相関関係がある。 ホテル・レストラン・レジャー / 日本 2014 年 11 月 7 日 アコーディア・ゴルフ・トラスト 目標投資口価格(SGD): 1.060 乖離率(上方): 25.4% 投資口価格(14/10/28、SGD):0.845 AGT SP (Accordia Golf Trust) カバレッジ開始:全く新しいゲーム レーティング「1」、配当割引モデル(DDM)による向こう 6 ヵ月間 の目標投資口価格 1.06S ドルでカバレッジを開始する AGT の DPU 利回り(10 月 28 日終値)は 2015-2017 年 3 月期大和予 想 DPU で 7.4-9.1%に相当。デット・ファイナンスによるゴルフ場 取得が 2016-2017 年 3 月期の成長をけん引しよう AGT の分配金は、ゴルフ場資産の 70%が日本の都市圏にある、業界 最大(89 のゴルフ場)のポートフォリオに支えられる Buy (initiation) Outperform Hold Underperform Sell 1 2 3 4 5 How do we justify our view? How do we justify our view? 90 95 100 105 110 0.76 0.81 0.86 0.90 0.95 Aug-14 Share price performance Accordia G (LHS) Relative to FSSTI (RHS) (SGD) (%) 12-month range 0.770-0.920 Market cap (USDbn) 0.73 3m avg daily turnover (USDm) 4.28 Shares outstanding (m) 1,099 Major shareholder Accordia Golf (28.9%) 注:時価総額と平均売買代金は 1S ドル=0.787 米ドルで換算 出所:FactSet、大和証券 CM 予想 注:2015 年 3 月期は 2014 年 8 月 1 日から 2015 年 3 月 31 日の 8 ヵ月間の予想値、16E EPS change、15E PER、15E Dividend yield、15E EV/EBITDA は年換算値を基に、1S ドル=89 円の想 定レートで換算 Financial summary (JPY) Year to 31 Mar 15E 16E 17E Revenue (m) 35,670 56,460 63,517 Operating profit (m) 6,178 9,991 11,285 Net profit (m) 3,952 6,378 7,076 Core EPS (fully-diluted) 3.596 5.803 6.438 EPS change (%) n.a. 7.6 10.9 Daiwa vs Cons. EPS (%) n.a. n.a. n.a. PER (x) 13.9 13.0 11.7 Dividend yield (%) 7.4 8.0 9.1 DPS 3.699 6.018 6.831 PBR (x) 1.0 1.0 1.0 EV/EBITDA (x) 9.0 9.5 9.8 ROE (%) 7.9 8.9 n.a
26

AGT20141107 initiation report finalaccordiagolftrust-jp.listedcompany.com/misc/AGT_Report...アコーディア・ゴルフ・トラスト AGT SP 2014年11月7日 - 4 - 財務諸表

Aug 18, 2020

Download

Documents

dariahiddleston
Welcome message from author
This document is posted to help you gain knowledge. Please leave a comment to let me know what you think about it! Share it to your friends and learn new things together.
Transcript
Page 1: AGT20141107 initiation report finalaccordiagolftrust-jp.listedcompany.com/misc/AGT_Report...アコーディア・ゴルフ・トラスト AGT SP 2014年11月7日 - 4 - 財務諸表

大和証券キャピタル・マーケッツ アジア・リサーチ このレポートは、投資の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を意図するものではありません。投資の決定はご自身の判断と責任でなされますようお願い申し上げます。

ご利用に際しては、末尾の開示事項の記載もご覧ください。

ディビッド・ラム、CFA 大和証券キャピタル・マーケッツ シンガポール

Investment case 大和証券 CM(以下、大和)では、レ

ーティング「1」、10 年間の配当割引

モデル(DDM)による向こう 6 ヵ月間

の目標投資口価格 1.06 シンガポー

ル・ドル(以下、S ドル)でアコーデ

ィア・ゴルフ・トラスト(AGT)のカ

バレッジを開始する。

魅力的な利回り:一口当たり分配金

(DPU)大和予想に基づく平準化 DPU

利回りは、2015 年 3 月期が 7.4%

(2014 年 8 月 1 日から 2015 年 3 月 31

日までの 8 ヵ月間の DPU 大和予想の年

換算値)、2016 年 3 月期が 8.0%、

2017 年 3 月期が 9.1%に相当する。

AGT の DPU 利回りは、全 J-REIT 銘柄

のそれを大きく上回っている。また、

大和がカバーするほぼ全ての S-REIT

銘柄の DPU 利回りを上回っているほか、

シンガポールに上場するビジネス・ト

ラストの平均 DPU 利回り(ブルームバ

ーグ予想に基づく)を上回っている。

堅実な事業経営:AGT の DPU 利回りは

日本の業界大手のゴルフ場運営事業に

支えられている。AGT は、アコーディ

ア・ブランドで運営される日本の 89

のゴルフ場を組入資産とする。AGT の

スポンサーであるアコーディア・ゴル

フは日本最大のゴルフ場運営会社であ

り、ゴルフ場の所有数での市場シェア

は 5.5%。AGT のポートフォリオが

75%強の稼働率を享受しているのは、

3 大都市圏にゴルフ場が集中している

こと(AGT の組入資産の 70%が 3 大都

市圏にあるのに対し、業界平均は

50%)、アフォーダブルな料金で提供

し、入場者数或いは稼働率を重視した

ビジネスモデルを採用していること、

が主因である(2014 年 3 月期の入場者

1 人当たりのプレー料金は週末が

7,961 円、平日が 4,814 円)。

ゴルフ場取得が 2016-2017 年 3 月期の

成長をけん引:大和では、AGT が LTV

(有利子負債/評価額)を IPO 後の

30%から 2017 年 3 月末までに 46%に

引き上げ、ゴルフ場の取得を進めると

想定し、年間分配金の前年比伸び率を

2016 年 3 月期に 8.5%(年換算値)、

2017 年 3 月期に 13.5%と予想。最短

で取得機会が期待できるのは、スポン

サーが売却を予定する 26 のアコーデ

ィア・ブランドのゴルフ場である。 Catalysts 月次事業動向が安定しており、AGT に

対する市場のディスカウントは時の経

過と共になくなる見込みである。想定

より早い段階での、分配金の大幅な上

昇につながるゴルフ場取得の発表もこ

れを支えよう。 Valuation 大和では、向こう 6 ヵ月間の目標投資

口価格を算出するに当たり、配当割引

モデル(DDM)を採用し、資本コスト

(ディスカウント・レート)の前提を

7.5%に設定した。 Risks 高利回りかつ収支が円建てである AGT

は、円/S ドルの為替レートや金利の

変動に敏感である一方、事業は天候の

影響を受けやすく、また景気サイクル

との相関関係がある。

ホテル・レストラン・レジャー / 日本

2014 年 11 月 7日

アコーディア・ゴルフ・トラスト 目標投資口価格(SGD): 1.060 乖離率(上方): 25.4% 投資口価格(14/10/28、SGD):0.845

AGT SP (Accordia Golf Trust)

カバレッジ開始:全く新しいゲーム

レーティング「1」、配当割引モデル(DDM)による向こう 6ヵ月間の目標投資口価格 1.06S ドルでカバレッジを開始する

AGT の DPU 利回り(10 月 28 日終値)は 2015-2017 年 3 月期大和予想 DPU で 7.4-9.1%に相当。デット・ファイナンスによるゴルフ場

取得が 2016-2017 年 3 月期の成長をけん引しよう

AGT の分配金は、ゴルフ場資産の 70%が日本の都市圏にある、業界最大(89 のゴルフ場)のポートフォリオに支えられる

Buy (initiation)

OutperformHoldUnderperformSell

1

2

3

4

5

How do we justify our view?How do we justify our view?

90

95

100

105

110

0.76

0.81

0.86

0.90

0.95

Aug-14

Share price performance

Accordia G (LHS) Relative to FSSTI (RHS)

(SGD) (%)

12-month range 0.770-0.920Market cap (USDbn) 0.733m avg daily turnover (USDm) 4.28Shares outstanding (m) 1,099Major shareholder Accordia Golf (28.9%)

注:時価総額と平均売買代金は 1S ドル=0.787 米ドルで換算

出所:FactSet、大和証券 CM 予想

注:2015 年 3 月期は 2014 年 8 月 1 日から 2015 年 3 月 31 日の

8ヵ月間の予想値、16E EPS change、15E PER、15E Dividend

yield、15E EV/EBITDA は年換算値を基に、1S ドル=89 円の想

定レートで換算

Financial summary (JPY)Year to 31 Mar 15E 16E 17ERevenue (m) 35,670 56,460 63,517Operating profit (m) 6,178 9,991 11,285Net profit (m) 3,952 6,378 7,076Core EPS (fully-diluted) 3.596 5.803 6.438EPS change (%) n.a. 7.6 10.9Daiwa vs Cons. EPS (%) n.a. n.a. n.a.PER (x) 13.9 13.0 11.7Dividend yield (%) 7.4 8.0 9.1DPS 3.699 6.018 6.831PBR (x) 1.0 1.0 1.0EV/EBITDA (x) 9.0 9.5 9.8ROE (%) 7.9 8.9n.a

Page 2: AGT20141107 initiation report finalaccordiagolftrust-jp.listedcompany.com/misc/AGT_Report...アコーディア・ゴルフ・トラスト AGT SP 2014年11月7日 - 4 - 財務諸表

アコーディア・ゴルフ・トラスト

AGT SP 2014 年 11 月 7日

- 2 -

目次

全く新しいゲーム .................................................................. 6

為替の前提と非経常的項目 ......................................................... 6

DPU 利回りは魅力的 ............................................................... 6

シンガポールの銘柄と比べても魅力的 ............................................... 7

シンガポールで上場する理由 ....................................................... 7

堅実な事業経営 ................................................................... 7

説得力あるゴルフ場取得戦略 ...................................................... 13

大和の DDM バリュエーション ...................................................... 16

財務諸表予想 .................................................................... 19

リスク .......................................................................... 21

Appendix A ....................................................................... 22

AGT の経営陣 .................................................................... 22

Appendix B ....................................................................... 23

Page 3: AGT20141107 initiation report finalaccordiagolftrust-jp.listedcompany.com/misc/AGT_Report...アコーディア・ゴルフ・トラスト AGT SP 2014年11月7日 - 4 - 財務諸表

アコーディア・ゴルフ・トラスト

AGT SP 2014 年 11 月 7日

- 3 -

成長見通し スポンサーの入場者 1人当たりの収入(円)

AGT 上場以降、スポンサーであるアコーディア・ゴルフの

入場者 1 人当たりの収入トレンドは冴えず、より長期で

見た場合でも、1980 年代以降、日本のゴルフ場運営業界

全体で減少している。しかしながら、ゴルフ活動は、GDP

との相関関係が高く、過去 20 年間日本経済が停滞したこ

とを勘案すれば、妥当と言えよう。成長戦略を打ち出し

たアベノミクス政策によって真のシクリカルな景気回復

がもたらされるようであれば、同業界の大幅な回復も視

野に入ってこよう。さらに、近年の物価下落率(デフ

レ)はほぼゼロであり、2015 年 3 月期に消費税が引き上

げられたこともあり、物価が上昇に転じる可能性もあ

る。

出所:AGT のスポンサー(アコーディア・ゴルフ)

バリュエーション AGT:競合企業/主要指標との利回りの比較

絶対値で AGT の DPU 利回りは、最も自然なベンチマーク

となる J-REIT や S-REIT、シンガポールのビジネス・トラ

ストと比べ、魅力的なようである。ほぼ間違いなく最適

な比較対象と言えるのは、高利回りかつ収支が円建ての

J-REIT であり、J-REIT と比較した DPU 利回りの乖離は最

も大きくなっている。

S-REIT やシンガポール・ビジネス・トラストの利回りを

比べた場合でも、AGT の DPU 利回りは依然として平均を上

回っている。

DPU利回り DPU利回り

2015E 2016E AGT 7.4% 8.0% J-REIT加重平均 3.48% J-REIT 単純平均 3.75% S-REIT 加重平均 6.1% 6.3% S-REIT単純平均 6.5% 6.8% SG ビジネストラスト加重平均 7.4% 7.5% SG ビジネストラスト単純平均 6.9% 7.1%

出所:ブルームバーグ、大和証券 CM

注:2014 年 10 月 28 日終値

業績予想変更 AGT:平準化 DPU利回りと DPU成長率

AGT は相対的に DPU 利回りが高いという点でのみ際立って

いるのではなく、中期的な DPU 成長も魅力的である。

2014 年 9 月 15 日に直近のビジネス・アップデートが開示

され、2017 年 3 月末までのゴルフ場取得目標を 500 億

円、LTV の快適なレンジを 40-50%、とする概要が示され

た。大和では、2016 年 3 月期に 150 億円強、2017 年 3 月

期に 250 億円強のゴルフ場取得を想定する。こうしたゴ

ルフ場取得の想定が、2016 年、2017 年 3 月期の年間 DPU

成長を主にけん引しよう。大和では平準化 DPU 前年比成

長率を 2016 年 3 月期に 8.5%(年換算値)、2017 年 3 月

期に 13.5%と予想する。

8.5%

13.5%

7.4% 8.0%9.1%

2%

4%

6%

8%

10%

12%

14%

16%

FY15E FY16E FY17E

DPU growth (YoY) Recurrent annual DPU yield

出所:大和証券 CM 予想

注: 2016 年 3 月期の DPU 前年比伸び率は 2015 年 3 月期(8ヵ月間)の DPU 大和予想の年換

算値との比較に基づく

(To be updated by DTP) Buy (initiation)

OutperformHoldUnderperformSell

1

2

3

4

5

投資判断の根拠

成長見通し

バリュエーション

業績予想変更

Page 4: AGT20141107 initiation report finalaccordiagolftrust-jp.listedcompany.com/misc/AGT_Report...アコーディア・ゴルフ・トラスト AGT SP 2014年11月7日 - 4 - 財務諸表

アコーディア・ゴルフ・トラスト

AGT SP 2014 年 11 月 7日

- 4 -

主たる前提

Year to 31 Mar 2010 2011 2012 2013 2014 2015E 2016E 2017EOperating days per golf course n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 352.7 353.7 354.4Utilisation rate (%) n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 76.6 76.8 77.0Annual visitors per (18-hole) course n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 53,886 54,330 54,581Playing fees per visitor (JPY) n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 5,896 5,908 5,917Restaurant bill per visitor (JPY) n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 2,289 2,291 2,294Loan to appraised value (%) n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 29.3 36.5 46.1Value of new acquisitions (JPYm) n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 0 15,123 25,710

損益計算書 (JPYm)

Year to 31 Mar 2010 2011 2012 2013 2014 2015E 2016E 2017EGolf course revenue n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 23,634 37,488 42,224Restaurant revenue n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 8,427 13,356 15,039Other Revenue n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 3,609 5,616 6,254Total Revenue n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 35,670 56,460 63,517Other income n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 0 0 0COGS n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. (11,540) (18,039) (20,218)SG&A n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. (4,191) (6,816) (7,771)Other op.expenses n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. (13,761) (21,615) (24,243)Operating profit n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 6,178 9,991 11,285Net-interest inc./(exp.) n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. (1,133) (1,850) (2,255)Assoc/forex/extraord./others n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 0 0 0Pre-tax profit n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 5,045 8,140 9,029Tax n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. (1,085) (1,750) (1,941)Min. int./pref. div./others n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. (8) (12) (12)Net profit (reported) n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 3,952 6,378 7,076Net profit (adjusted) n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 3,952 6,378 7,076EPS (reported)(JPY) n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 3.596 5.803 6.438EPS (adjusted)(JPY) n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 3.596 5.803 6.438EPS (adjusted fully-diluted)(JPY) n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 3.596 5.803 6.438DPS (JPY) n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 3.699 6.018 6.831EBIT n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 6,178 9,991 11,285EBITDA n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 8,605 13,802 15,560

キャッシュフロー計算書(JPYm) Year to 31 Mar 2010 2011 2012 2013 2014 2015E 2016E 2017EProfit before tax n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 5,045 8,140 9,029Depreciation and amortisation n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 2,427 3,812 4,275Tax paid n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. (1,133) (1,750) (1,941)Change in working capital n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 0 0 0Other operational CF items n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 477 1,871 2,669Cash flow from operations n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 6,815 12,073 14,032Capex n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. (1,173) (2,823) (3,176)Net (acquisitions)/disposals n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. (76,301) (15,006) (25,509)Other investing CF items n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 0 0 0Cash flow from investing n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. (77,474) (17,829) (28,685)Change in debt n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 1,934 15,006 25,509Net share issues/(repurchases) n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 89,187 0 0Dividends paid n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 0 (8,593) (7,062)Other financing CF items n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. (10,251) 516 879Cash flow from financing n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 80,870 6,929 19,327Forex effect/others n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 0 0 0Change in cash n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 10,211 1,174 4,673Free cash flow n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 5,642 9,250 10,856 出所:FactSet、大和証券 CM 予想

注:2015 年 3 月期は 2014 年 8 月 1 日から 2015 年 3 月 31 日までの 8ヵ月間の予想値

財務諸表

Page 5: AGT20141107 initiation report finalaccordiagolftrust-jp.listedcompany.com/misc/AGT_Report...アコーディア・ゴルフ・トラスト AGT SP 2014年11月7日 - 4 - 財務諸表

アコーディア・ゴルフ・トラスト

AGT SP 2014 年 11 月 7日

- 5 -

貸借対照表(JPYm)

前年比伸び率、財務指標など (%) Year to 31 Mar 2010 2011 2012 2013 2014 2015E 2016E 2017ESales (YoY) n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 58.3 12.5EBITDA (YoY) n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 60.4 12.7Operating profit (YoY) n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 61.7 13.0Net profit (YoY) n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 61.4 10.9Core EPS (fully-diluted) (YoY) n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 61.4 10.9Gross-profit margin n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 67.6 68.1 68.2EBITDA margin n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 24.1 24.4 24.5Operating-profit margin n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 17.3 17.7 17.8Net profit margin n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 11.1 11.3 11.1ROAE n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 7.9 8.9ROAA n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 3.5 3.5ROCE n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 7.4 7.3ROIC n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 6.3 6.2Net debt to equity n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 45.9 65.6 93.1Effective tax rate n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 21.5 21.5 21.5Accounts receivable (days) n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 14.1 14.1Current ratio (x) n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 0.7 0.8 0.9Net interest cover (x) n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 5.5 5.4 5.0Net dividend payout n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 102.9 103.7 106.1Free cash flow yield n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. n.m. n.m. n.m. 出所:FactSet、大和証券 CM 予想

注:2016E の前年比伸び率は 2015 年 3 月期(8ヵ月間)と 2016 年 3 月期(12 ヵ月間)の比較

企業概要

2014 年 8 月にシンガポールで上場したアコーディア・ゴルフ・トラスト(AGT)は、アコーディア・ブランドの日本の 89 のゴ

ルフ場のみを組入資産とするビジネス・トラストである。上場時点で日本の 3大都市圏(東京エリア、名古屋エリア、大阪エ

リア)のゴルフ場の組入比率が約 70%と高い(ポートフォリオ全体の評価額の 86.4%)。

財務諸表(続き)

As at 31 Mar 2010 2011 2012 2013 2014 2015E 2016E 2017ECash & short-term investment n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 8,845 10,018 14,692Inventory n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 0 0 0Accounts receivable n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 2,090 2,287 2,622Other current assets n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 1,329 1,454 1,668Total current assets n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 12,264 13,760 18,982Fixed assets n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 149,702 162,949 186,051Goodwill & intangibles n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 9,400 10,325 11,898Other non-current assets n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 700 700 700Total assets n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 172,066 187,735 217,631Short-term debt n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 862 879 897Accounts payable n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 1,980 2,163 2,474Other current liabilities n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 13,553 14,832 17,005Total current liabilities n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 16,395 17,874 20,376Long-term debt n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 45,546 61,271 87,495Other non-current liabilities n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 28,330 29,160 30,570Total liabilities n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 90,271 108,304 138,441Share capital n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 0 0 0Reserves/R.E./others n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 81,791 79,427 79,186Shareholders' equity n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 81,791 79,427 79,186Minority interests n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 4 4 4Total equity & liabilities n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 172,066 187,735 217,631EV n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 116,419 130,987 152,556 Net debt/(cash) n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 37,563 52,131 73,700BVPS (JPY) n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 74.415 72.264 72.045

Page 6: AGT20141107 initiation report finalaccordiagolftrust-jp.listedcompany.com/misc/AGT_Report...アコーディア・ゴルフ・トラスト AGT SP 2014年11月7日 - 4 - 財務諸表

アコーディア・ゴルフ・トラスト

AGT SP 2014 年 11 月 7日

- 6 -

全く新しいゲーム

利回り、堅実な事業経営、DPU 成長

為替の前提と非経常的項目

円/Sドル為替レートの前提

本稿を通じ、大和では 2015 年 3 月期以降の全予想期間の

円/S ドル為替レートの前提を 89 円に設定した。これは、

2014 年 7 月 21 日付けの AGT の目論見書に用いられた同為

替レート前提(81.16 円)や、シンガポール金融管理局

(MAS)の 2014 年 10 月 28 日終値(84.6 円)を大きく上

回る。

89 円とする大和の円/Sドル為替レートは、2014 年 10 月

24 日付大和レポート「Daiwa’s Yen 4Sight」で示した、114 円とする 2Q15 の円/米ドルのスポットレート予想か

ら算出した。

AGT の事業は日本に特化しており、収支が円建てで計上さ

れる。実質的に収支が円建ての銘柄であり、円/S ドルの

為替感応度は 100%である。

AGT は未だ為替ヘッジ策を発表していないため、大和では

上場日の 2014 年 8 月 1 日から 2015 年 3 月 31 日(2015 年

3 月期)までの期間の初の分配金が、89 円/S ドルの為替

レートの前提で、2015 年 5 月末に一括で支払われると想

定する。

それ以降の AGT の分配金は、半年に 1 度支払われること

になろう。大和では、11 月末(上期の分配金)と 5 月末

(下期の分配金)の支払いを想定する。

非経常的項目

AGT の初の分配金には、年換算で 18.29 億円の非経常的キ

ャッシュインフローが含まれる。同分配金は、日本での

特別目的会社(SPC)の設立に伴う、事業再編による節減

分に関連するものである。2014 年 8 月 1 日から 2015 年 3

月末までの 8 ヵ月間の非経常的キャッシュインフローは、

大和推定で 12.19 億円(大和の前提為替レートを用いた

DPU は 0.0125S ドル)。

要約すると、AGT の大和推定 2015 年 3 月期 DPU(中間分

配金)は 0.0540S ドルであり、この内、平準化 DPU が

0.0416S ドル、非経常的キャッシュインフローが 0.0125S

ドルである。 AGT:DPU利回りの内訳

8ヵ月*

(3月期) 2015E 2016E 2017E 非経常的キャッシュインフロー(百万円) 1,219 0 0 平準化分配金(百万円) 4,066 6,615 7,509 分配金総額(百万円) 5,285 6,615 7,509 非経常的キャッシュインフロー(百万 Sドル) 13.7 0 0 平準化分配金(百万 Sドル) 45.7 74.3 84.4 分配金総額(百万 Sドル) 59.4 74.3 84.4 非経常的 DPU(Sドル) 0.0125 0 0 平準化 DPU(Sドル) 0.0416 0.0676 0.0768 DPU合計(Sドル) 0.0540 0.0676 0.0768

年換算平準化 DPU利回り(%) 7.4 8.0 9.1 年換算合計 DPU利回り(%) 9.6 8.0 9.1 出所:大和証券 CM 予想 注*:2014 年 8 月 1 日から 2015 年 3 月 31 日の期間

DPU 利回りは魅力的

AGT は、日本の底堅いゴルフ場運営事業への投資機会を提

供する。日本の資本市場環境は現在安定し且つ良好であ

り、日本の 10 年物国債利回りが 2014 年 10 月 28 日時点

で 0.47%であるのに対し、米国は 2.28%、シンガポール

は 2.27%である(ブルームバーグ・データによる)。

組入資産を日本のゴルフ場に特化

基本的に AGT の資産と事業拠点は日本のみであり、AGT の

営業収益、費用、資金調達費用は全て円建てで計上され

る。AGT はオフショアやクロスボーダー・ファイナンスは

行っておらず、半年毎に現金で支払われる分配金が、円

/S ドルの実勢為替レートでシンガポール・ドルに単純に

換算されるのみである。

国内事業、国内指標

事業拠点が日本に特化されているため、日本の資本市場

環境が AGT の最も妥当なバリュエーションのベンチマー

クになると大和は考える。例えば、AGT のイールド・スプ

レッド(DPU 利回りと 10 年物ソブリン債の利回りの差と

して定義される)を決定するリスク・フリーのベンチマ

ークは、10 年物日本国債利回りであろう。

J-REIT セクターの利回りは低い

次表の J-REIT のバリュエーション・サマリーは、2014 年

10 月 28 日終値と、J-REIT 46 銘柄の年換算分配金大和予

想(向こう 6 ヵ月間の分配金予想を年換算した値)に基

づく。同 J-REIT セクターの DPU 利回りの平均値は 3.75%、

標準偏差は 0.56pp、最高 DPU 利回りは 5.59%となる。ま

た、J-REIT セクターの負債比率(有利子負債/総資産)

は平均 45%と、AGT に比べレバレッジが高いようである。

Page 7: AGT20141107 initiation report finalaccordiagolftrust-jp.listedcompany.com/misc/AGT_Report...アコーディア・ゴルフ・トラスト AGT SP 2014年11月7日 - 4 - 財務諸表

アコーディア・ゴルフ・トラスト

AGT SP 2014 年 11 月 7日

- 7 -

J-REIT:バリュエーション・サマリー(2014年 10月 28日)

平均 DPU 平均 平均 NOI

サンプル数 利回り P/NAV 利回り

J-REITセグメント

(%) (倍) (%) 大型オフィス REIT 2 2.79 1.34 4.2

中規模複合型オフィス REIT 22 3.84 1.20 4.6

商業施設特化型 REIT 5 3.74 1.21 5.6

住宅特化型 REIT 9 4.06 1.18 5.4

物流施設特化型 REIT 6 3.44 1.37 5.8

ホテル特化型 REIT 2 3.17 1.50 7.5

合計/平均 46 3.75 1.24 5.1

出所:大和証券 CM

注:NOI=純営業収益

シンガポールの銘柄と比べても魅力的

ビジネス・トラストである AGT の DPU 利回りを J-REIT の

それと比較するのが完全に適切だと言い切れないのは、

AGT のゴルフ場運営事業が、日本の天候や景気動向による

影響を受けやすく、恐らくどの年でも業績変動がより大

きくなると考えられるためである。さらに、日本以外の

一部の海外投資家は、円の為替リスクを懸念する可能性

があり、日本国内の投資家と同一価格で同ゴルフ場運営

事業に投資する意欲がわかない可能性もある。

J-REIT 以外では、他のシンガポール上場銘柄、とりわけ

S-REIT やビジネス・トラストと AGT の利回りを比較する

ことも可能である(18 頁参照)。こうした比較は、AGT

の事業形態が特殊であり、日本での事業比率が高い比較

対象銘柄が、Saizen REIT と Croesus Retail Trust の 2

銘柄に限定されるため、さほど正確ではない。とはいえ、

S-REIT とシンガポール上場ビジネス・トラストのサンプ

ルは、シンガポールを拠点とする投資家(或いはシンガ

ポール株式市場に投資できる投資家)が投資可能な、DPU

利回りと資産クラスが限定的であることを示している。

こうした比較基準を用いた場合でも、AGT の DPU 利回りは、

シンガポール市場の平均(単純平均と時価総額加重平均

のいずれも)を上回っている。

AGT: 競合企業/指標との DPU利回り比較

DPU利回り DPU利回り

2015E 2016E AGT 7.4% 8.0% J-REIT 加重平均 3.48% J-REIT 単純平均 3.75% S-REIT加重平均 6.1% 6.3% S-REIT単純平均 6.5% 6.8% SG ビジネス・トラスト加重平均 7.4% 7.5% SG ビジネス・トラスト単純平均 6.9% 7.1%

出所:ブルームバーグ、大和証券 CM

シンガポールで上場する理由

理想を言えば、AGT は(最も高い市場のバリュエーション

を得るためにも)、恐らく日本で上場すべきだったが、

J-REIT の上場には、全ての土地所有者からの承認が必要

となる。しかしながら、AGT の場合、承認を得ることにな

る土地所有者が個人を含め数多く存在し、個人所有者の

場合、土地や借地権の登記を含む、全ての承認手続きを

進めるのに通常躊躇することから、J-REIT の上場に掛か

るこうした努力や必要となるだろうリソースを考えた場

合、日本での上場は実行可能な選択肢ではなかった。

堅実な事業経営

AGT の営業収益基盤:ゴルフ・プレー料金とレストラ

ン収入が中心

AGT のポートフォリオは、ゴルフ場運営収入(グリーン代、

カート代、キャディ代、宿泊代、ドライビング・レンジ

代、ゴルフ用具レンタル代、で構成)及びレストラン収

入が営業収益全体の 9 割近くを占める。2014 年 3 月期の

ゴルフ施設入場者 1 人当たりが支払う金額(ゴルフ 1 ラ

ウンド当たりの料金)は、プレー料金が平均 6,028 円、

レストランでの食事代が 2,363 円と、手頃な価格水準と

なっているようである。大都市圏の同等の食事代に比べ、

AGT のゴルフ場の食事価格には割安感はないが、プレー中

に必ず 1 時間の休憩を取るゴルファーにとり、他の代替

可能な休憩所が殆どない、専属市場であることを念頭に

置く必要があろう。

アコーディアのゴルフ場併設レストラン(平日)

出所:大和証券 CM

Page 8: AGT20141107 initiation report finalaccordiagolftrust-jp.listedcompany.com/misc/AGT_Report...アコーディア・ゴルフ・トラスト AGT SP 2014年11月7日 - 4 - 財務諸表

アコーディア・ゴルフ・トラスト

AGT SP 2014 年 11 月 7日

- 8 -

プレー料金は極めて変動幅が大きい

ゴルフのプレー料金は、立地やゴルフ場の人気度、排他

性、プレー時間、曜日、季節(4 月初旬の AGT の大厚木カ

ントリークラブ桜コース等)によって、大きく変動する

ことは周知の事実である。立地条件の良い一部のゴル

フ・コースは、週末のプレー料金が軽く 2 万円を超える

こともあるが、スポンサーのゴルフ場(AGT の当初ポート

フォリオを含む)の 2014 年 3 月期の平均料金は妥当な印

象を受ける。

スポンサーのゴルフ場入場者 1人当たりの収入(2014年 3月期、円)

4,814

7,961 6,028

2,300

2,462

2,363

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

Weekday Weekends Overall

Playing fee Caddy fee Food & beverage Others

出所: AGT のスポンサー、大和証券 CM

大厚木カントリークラブ桜コース

出所:大和証券 CM(4 月下旬に撮影)

次の表では、日本の 3 大都市圏とその他の地域に立地す

るゴルフ場の入場者数と稼働率の違いを示した。

AGTポートフォリオ: 1コース(18ホール)当たりの年間入場者数(人) 3月期 2011 2012 2013

東京エリア 53,327 52,638 55,068 大阪エリア 57,275 57,275 57,933 名古屋エリア 51,734 54,927 55,988 その他の地域 43,839 44,130 45,262 平均 51,278 51,435 53,007

出所:AGT、大和証券 CM

AGTポートフォリオ:稼働率(%) 3月期 2011 2012 2013

東京エリア 75.3% 73.7% 77.5% 大阪エリア 80.2% 79.0% 80.4% 名古屋エリア 73.6% 77.5% 78.5% その他の地域 66.8% 37.2% 68.9% 平均 73.8% 73.5% 75.9%

出所:AGT、大和証券 CM

AGT とスポンサーのアコーディア・ゴルフは稼働率を、18

ホール当たりの総入場者総数/(合計営業日数×200

[人])と定義している。稼働率の計算では、慣例的に

200 人を、年間を通じた 1 日の 18 ホール当たりの標準的

な入場者収容能力として用いる(1 組当たりのプレーヤー

数を 4 人とし、1 日当たり 50 組を想定)。スポンサーと

AGT は同稼働率の定義を大まかな営業指標の 1 つとして用

いている。

もっとも、ゴルフ場運営会社は、前後の組とのプレー間

隔の短縮や、夜間ゴルフの提供等によるプレー時間の延

長措置を採ることが可能であり、一部のゴルフ場の稼働

率は例外的な繁忙期には 100%を越えることも有り得るた

め、1 日当たり 200 人という定義は実際の上限を示すもの

ではない。

資本価値は業績動向を反映

下表に示すように、AGT のポートフォリオは、年間入場者

数が多く稼働率の高い都市圏の資本価値がより高くなっ

ていることが分かる。

AGTのポートフォリオ:資本価値の内訳 (百万円) 資本価値 18ホール当たり

東京エリア 74,097 1,708 大阪エリア 37,673 1,838 名古屋エリア 18,616 1,489 その他の地域 20,522 696 合計/平均 150,908 1,425

出所:AGT、大和証券 CM

注:2013 年 9 月 30 日時点の評価額に基づく

AGT の主な強み

AGT のポートフォリオは、日本 3 大都市圏(東京エリア、

大阪エリア、名古屋エリア)に立地するゴルフ場に集中

しており、2013 年 9 月 30 日時点の AGT のポートフォリオ

全体の評価額の 86.4%を占める。人口が密集する主要都

Page 9: AGT20141107 initiation report finalaccordiagolftrust-jp.listedcompany.com/misc/AGT_Report...アコーディア・ゴルフ・トラスト AGT SP 2014年11月7日 - 4 - 財務諸表

アコーディア・ゴルフ・トラスト

AGT SP 2014 年 11 月 7日

- 9 -

市に近接するゴルフ場の戦略的立地が同社の強みの 1 つ

であり、これがより多くの入場者数に直結しており、都

市圏から遠く離れた場所にあるゴルフ場に比べ、より多

くの収入とより高い資本価値を生み出す要因になってい

る。

ゴルフ場のコース数で見た、AGT の日本 3 大都市圏のゴル

フ場組入比率は現在およそ 70%に上るのに対し、日本の

ゴルフ市場全体に占める 3 大都市圏のゴルフ場の割合は

52%である(2012 年時点)。

スポンサーのゴルフ場はより多くの入場者数を獲得

AGT のポートフォリオを構成する 89 のゴルフ場の入場者

数と稼働率は、日本のゴルフ業界の年間平均入場者数

35,000-37,000 人(2005-2012 年)を大きく上回っており、

訪問者数と利用率を維持するスポンサーの能力を表して

いると言えよう。

日本:ゴルフ場当たりの年間入場者数(人)

56,040

60,012 59,250 59,573 61,298

58,684 59,074 61,142

35,178 36,132 36,454 37,177 37,481 36,209 34,947 36,069

30,000

35,000

40,000

45,000

50,000

55,000

60,000

65,000

2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

(No. of visitors)

Sponsor average Nationwide average

出所:AGT のスポンサー、NGK、CBRE、大和証券 CM 調査

AGT のスポンサーが運営するゴルフ場の集客力が高いのは、

スポンサーの持つ「アコーディア」の高いブランド力、

値ごろ感のあるプレー料金の他、ポイント・カード・シ

ステム(ゴルフのプレーやドライビング・レンジの利用、

プロショップでの買い物により貯まったポイントを使っ

て、将来これらを利用する際に割引を受けることができ

る)や、ドライビング・レンジ利用顧客のゴルフ場への

誘導措置、積極的な売上管理戦略、といったスポンサー

のイニシアチブに支えられてきた可能性がある。

突き詰めれば立地条件が決定要因

ただし、アコーディアのブランド力や AGT のスポンサー

による運営イニシアチブを軽視するわけではないが、こ

れらの要因が全体の入場者数に及ぼす影響力は小さく、

ゴルフ場に入場者を呼び込むスポンサーの卓越した強み

を十分に説明することはできない。突き詰めれば、やは

りゴルフ場の立地と人口集中地域への近接性に行き着く

と大和は考える。

日本の大都市圏に隣接するゴルフ場には幾つかのメリッ

トがある。人口が集中する大都市圏に近接していれば、

ゴルフ場へより多くの入場者を呼び込み、より高いプレ

ー料金を課すことが可能である。こうしたゴルフ場はよ

り発達し、よく整備された交通インフラへの接続性によ

る恩恵を享受している。また、大都市圏ではインフラが

より発達しており、降雪等の天候不順によるゴルフ場の

休場期間が短いため、より多くの稼動日数を確保するこ

とが可能である。

ゴルファーは立地と利便性を重視

ゴルファーはゴルフ場までの距離を重視するようである。

2007 年に Golf in Japan が行った調査によると、ゴルフ

場へ行くまでの所要時間が約 1.5 時間のプレーヤーは全

体の約 62%に上った一方、1 時間未満のプレーヤーは

11%であった。同サンプル調査で 2 時間以上の所要時間

を厭わないプレーヤーは 2%に過ぎなかった。2013 年 8

月に Let’s Golf Society Office が行った別の調査では、ゴルフ場を選ぶ際の主な検討材料は、重要度の高い順に、

スケジュール(利用可能なタイム・スロット)、利便性、

ゴルフ場の質、料金、が挙げられた。

人口減少が徐々に進行する見通しにおいても、日本の 3

大都市圏に集中するポートフォリオの高い競争力に支え

られ、AGT は予見できる将来、底堅い業績を確保しよう。

日本はゴルフ・コース当たりのゴルファー数と人口が

最多

日本のゴルフ市場の際立った特徴の 1 つは、ゴルフ・コ

ース当たりのゴルファー数と人口の集中度であり、2012

年の CBRE のデータに基づくと、主要なゴルフ先進国の中

では最も高くなっている。

主要ゴルフ先進国でのゴルフ・コース当たりのプレーヤー数と人口(2012年)

3,285

1,645 1,516

2,609

716

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

70,000

80,000

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

Japan US UK Canada Australia

(people)(people)

Golf players per course (LHS) Population per golf course (RHS)

出所:CBRE

足元の需要は堅調

ゴルフ・コース当たりのプレーヤー数と人口が最多であ

ることは、足元のゴルフ場需要が堅調であることを示唆

していると言えよう。将来人口が減少するとしても、こ

Page 10: AGT20141107 initiation report finalaccordiagolftrust-jp.listedcompany.com/misc/AGT_Report...アコーディア・ゴルフ・トラスト AGT SP 2014年11月7日 - 4 - 財務諸表

アコーディア・ゴルフ・トラスト

AGT SP 2014 年 11 月 7日

- 10 -

うしたゴルフ・コース当たりのプレーヤー数と人口とい

った指標から、日本は依然として世界の主要先進国をリ

ードするゴルフ大国になると考えられる。

ゴルフ・コース当たりの日本全体の人口或いはプレーヤ

ー数が世界で最多であれば、同国の人口(或いはゴル

フ・プレーヤー数)が徐々に減少したとしても、稼働率

が高く立地条件の良いゴルフ場は引き続き好調を維持し

よう。

AGT の優れたポートフォリオは引き続き成功しよう

さらに、日本のゴルフ業界の平均を上回る入場者数を享

受する AGT のポートフォリオは今後、業界内で最も抵抗

力があり、且つ最も優れた運用パフォーマンスを示すと

考えられる。

新規にゴルフ場が供給される公算は小さい

供給面で、日本のゴルフ場の数が増える公算は小さく、

むしろ徐々に減少していく可能性すらあると大和は考え

る。日本のゴルフ場の合計供給数は、ピークとなった

2002 年の 2,460 コースから 2012 年には 2,405 コースに

徐々に減少している。建設費だけで(2013 年の CBRE バリ

ュエーション部門によると 50-60 億円に上る)、ゴルフ

場の市場価値を軽く上回るため、予見される将来、新た

にゴルフ場が建設される公算は小さいと言えよう。

ピーク時からのゴルフ場総数の減少の度合いはさほど大

きくない。バブル景気に伴う投機的な過剰建設がゴルフ

場数の減少につながった可能性はあるが、日本は主要先

進国の中で既に人口一人当たりのゴルフ場の数が最も少

ないため、ゴルフ場総数がより急激に減少していないこ

とは意外ではない。

所有権や登記を巡る土地関連問題

AGT のポートフォリオの特定の土地や建物は、次の問題に

より、法律上の不確実性を抱えている。

・ 一部のゴルフ場では少なくとも一区画が農地であり、

農地から農地以外への目的で利用する書面による証

明書に基づく転用許可の存在が確認できていない。

・ AGT ポートフォリオのゴルフ場内の一部の建物は、建

築証明書がなく、現行の建築基準法を遵守していな

い可能性がある。

・ 新設された特別目的会社(新 SPC、トラスティ・マネ

ジャーに代わって日本のゴルフ場不動産を保有)は

当初ポートフォリオを運用するに当たり、一部の土

地所有権、或いは借地権を保有していない。

・ 新 SPC は当初ポートフォリオに組入れた一部のゴル

フ場の土地所有権を登記しておらず、また当初ポー

トフォリオ内の賃借地のほとんどで借地権の登記を

行っていない。

・ 当初ポートフォリオに含まれるゴルフ場の土地境界

線が全て明確になっている訳ではない。

・ 一部の借地の土地所有者が特定できない、若しくは

連絡が取れていない。

・ 当初ポートフォリオに組み入れられる借地の一部で

書面での契約が結ばれていない、若しくは契約がな

い(口頭での合意となっていた)。

スポンサーは現在、上述の問題の解決に向けて最大限努

力してはいるが、問題を全て解消するには数年を要す可

能性がある。

一方でスポンサーは、新 SPC とトラスティ・マネジャー

に対し、新 SPC 設立から 10 年間、上述の不動産に関連し

た問題が生じ、新 SPC が管理運営する事業に悪影響が及

んだ場合に生じ得る、いかなる損失や損害、費用を補償

する、損失補償契約に同意している。

さらに、次の問題によって、新 SPC がゴルフ場の運営継

続が不可能或いは大幅に困難な状況に陥った場合の「補

償レター」にもスポンサーは同意している。

・ 書面での農地の転用許可証の存在が確定できず、ゴ

ルフ場の「主要エリア内」に位置する土地が農地に

当たる場合

・ ゴルフ場の「主要エリア内」に位置する土地の所有

権がない場合

スポンサーは新 SPC からゴルフ場を直近の入手可能な鑑

定評価書に基づく評価額での買戻しが義務付けられる。

こうしたスポンサーによる買戻し義務は無期限の拘束力

を持つ。

当初ポートフォリオに関連する土地・建物の問題の概要

問題有り

のコース 総面積に占め

る割合 NOI全体に占める割合

スポンサー支援

問題点:

転用許可が確認でき

ていない農地 5 0.6% 5.6%*

10年補償、 買戻し

検査済証が確認でき

ていない建物 4 n.a 5.9% 10年補償

無権原の第 3者所有地 5 0.1% 4.4%

10年補償、 買戻し

未登記の所有地 8 0.04% 15.1% 10年補償

未登記の借地 75 24.6% 89.6% 10年補償

境界未確定の土地 n.a n.a n.a 10年補償

所有者不明の借地 2 0.01% 2.6% 10年補償

書面による当初賃貸

借契約がない借地 6 0.10% 7.4% 10年補償

書面による賃貸借更

新契約がない借地 31 2.2% 41.9% 10年補償

出所:AGT、大和証券 CM の調査

注:*NOI(=純営業収益)に対する最大の影響の推定値

Page 11: AGT20141107 initiation report finalaccordiagolftrust-jp.listedcompany.com/misc/AGT_Report...アコーディア・ゴルフ・トラスト AGT SP 2014年11月7日 - 4 - 財務諸表

アコーディア・ゴルフ・トラスト

AGT SP 2014 年 11 月 7日

- 11 -

営業収益の成長見通し

AGT のポートフォリオのゴルフ場は、人口が集中する日本

の大都市圏における戦略的立地を活かし、長期的な日本

の人口減少に直面する中でも、引き続き底堅い運営成績

を収めよう。

5 年以下のより短い時間的枠組みの中で、AGT の収入成長

は、より直接的な要因によって左右されると見られるが、

こうした変動要因の大半は、2011 年の東日本大震災以降

のゴルフ場入場者数の着実な回復や、より明るい経済成

長見通しを背景とした消費者マインドの改善、アベノミ

クス効果による物価上昇見通しの改善など、良好なもの

となっている。

また、日本の GDP 成長率とゴルフ入場者数の間には、

75%の高い正の相関関係がある(CBRE の Japan Golf

Market Report より引用)。ゴルフ業界全体の近年のゴル

フ場入場者数やゴルフ場運営収入の低迷は、世界金融危

機に陥った 2009 年、東日本大震災が発生した 2011 年に

日本の景気が停滞したことに起因すると考えられる。

AGTのスポンサー:入場者 1人当たりの収入(円)

出所:AGT のスポンサー

AGT 上場後のスポンサーの入場者 1 人当たりの収入トレン

ドは有望視できず、より長期的なスパンで見た場合、日

本のゴルフ場運営業界は 1980 年代以降減少している。し

かしながら、ゴルフ活動は GDP との相関関係が高く、日

本経済が過去 20 年間停滞したこともあり、成長戦略を打

ち出すアベノミクス政策によって、真のシクリカルな景

気回復がもたらされるようであれば、同業界の大幅な回

復が視野に入ってくると想定するのは妥当と言えよう。

スポンサーの入場者数 1 人当たりの収入の減少率(デフ

レ)が近年ほぼゼロに縮小している。消費税率の引き上

げが実施されたこともあり、2015 年 3 月期には同収入が

プラス成長に転じる可能性もある。

AGTのスポンサー:入場者 1人当たりの収入(前年比、%)

出所:AGT のスポンサー、大和証券 CM

経済見通し:明るいが薔薇色ではない

大和では現在、日本の実質 GDP 成長率を 2014 年度(2014

年 4 月-2015 年 3 月)に前年比+0.3%、2015 年度に同

+1.4%と予想する(2014 年 10 月 21 日付レポート「日本

経済見通し:日本経済のリスク要因を検証する」参照)。

消費者物価指数(CPI)上昇率については、2014 年度に前

年比+3.2%、2015 年度に同+1.8%と予想する。

これらの GDP 成長率予想は、ほぼゼロ成長となった過去

20 年間の日本の平均 GDP 成長率を大きく上回るが、安倍

政権が進める政策が日本の経済成長を構造的に上向かせ

ることができるか懐疑的な一部の見方も反映させている。

2015-2017 年 3 月期の AGT の大和業績予想は、入場者 1人

当たりのプレー料金や総収入がほとんど変動せず、AGT の

当初ポートフォリオが引き続き安定することを前提とす

る。アベノミクスが成功を収めるようであれば、AGT の営

業収益や分配金に対する大和予想の上振れ余地は大きい

と言えよう。

天候と自然災害

ゴルフ場の主な運営リスクは、天候と自然災害である。

雨季の長期の大雨や冬季の大雪が毎年運営に影響を及ぼ

す可能性がある(この場合、営業日数が減少し、前年比

で減収となる)。ゴルフ場運営事業の業績はまた、地震

や津波、台風、ハリケーン、火事、洪水、といった自然

災害の影響も受け得る。他の上場ビジネス・トラストや

REIT に比べ、AGT はこうした天候要因によって分配金レ

ベルで前年比の変動幅が増す可能性がある。

AGT の幾つかのゴルフ場を取材訪問した際、ゴルフ場のマ

ネージャーは例外なく最大の懸念要因として天候を挙げ

ていた。

平均値から 1標準偏差低下する毎に営業日数が約 5.7

日減少

大和では、AGT の 2015 年及び 2016 年 3 月期の業績を予想

する際、ゴルフ場の稼動日数の前提を、2006-2013 年 3 月

Page 12: AGT20141107 initiation report finalaccordiagolftrust-jp.listedcompany.com/misc/AGT_Report...アコーディア・ゴルフ・トラスト AGT SP 2014年11月7日 - 4 - 財務諸表

アコーディア・ゴルフ・トラスト

AGT SP 2014 年 11 月 7日

- 12 -

期の期間の年間営業日数のおおよその中央値に当たる、

353 日、354 日にそれぞれ設定した。2016 年 3 月期の実際

の営業日数がこの 8 年間の標本平均値を 1 標準偏差下回

った場合、営業日数が約 5.7 日失われることになる(354

日とする 2016 年 3 月期の大和の営業日数の前提の 1.6%

に相当)。さらに、週末や他の繁忙期に予期せぬ休場を

余儀なくされた場合、営業収益へのマイナスの影響がよ

り強まることになろう。

業界の流れを変え得る存在:訪日外国人ゴルファーと

女性ゴルファーの増加

外国人と女性の現在のゴルフ参加率は非常に低く、両ゴ

ルファー層の構造的な増加が日本ゴルフ業界の長期営業

収益成長見通しを大きく改善し得るものの、現時点でそ

の見通しは依然として極めて不透明である。

日本政府観光局(JNTO)による訪日外国人旅行者消費動

向調査(2013 年)では、日本でゴルフをした訪日外国人

は全体の約 1.3%に過ぎなかった。AGT のゴルフ場マネー

ジャー数人への取材では、外国人ゴルファーの割合は、

直近の数ヵ月間でさらに低下しているようである。アベ

ノミクスの実施に伴う円安効果から、日本で割安な料金

でプレーできるようにはなったが、言葉の壁などが引き

続き問題となっているようである。

女性ゴルファーが、AGT のゴルフ場ポートフォリオの入場

者総数全体に占める割合は、2011-2013 年 3 月期の過去 3

年間で 11.8-12.1%となっている。スポンサーのポートフ

ォリオでの女性の参加率は 2007 年 3 月期の 11.7%から

2013 年 3 月期には 12.2%に上昇している。スポンサーは、

女性向けのゴルフ・レッスンやコンペ、イベント、オフ

ァーを特集したウェッブサイトを利用したイニシアチブ

を通じ、女性ゴルファー層への販促を展開している。

AGT に関する大和予想では、性別や国籍別、年齢別での

AGT のゴルフ場入場者構成の構造的変化は想定していない。

日本の人口減少トレンド

大和の業界調査では、日本がどのような人口減少段階に

あるかに注目した。人口が減少トレンドにあることは、

同国のゴルフ場経営にとってマイナスなだけではなく、

他のほぼ全ての経済活動にとってもマイナスの影響を及

ぼすためである。

ゴルファーの年齢層別トレンド

日本のゴルフ業界が直面する課題と見なされる 1 つの指標

として、年間出生総数に関するデータから検証される世代

別ゴルフ人口推移が挙げられよう。大和では、ゴルファー

の年齢層を、16-35 歳のジュニア層、36-60 歳のピーク層、

61-75 歳のシニア層、に 3 区分した。ジュニア層とピーク

層のゴルフ人口については、予見可能な将来(2040 年まで

の大和予想に基づく)、年を追って着実な減少傾向を辿ろ

う。1940 年代半ばから 1950 年代初め生まれのベビー・ブ

ーム世代に当たる、シニア層に関しては、大和の調査では

2012 年が既にピークであったことを示しており、同セグメ

ントのゴルファー層は、ジェネレーション X(これらシニ

ア層であるベビー・ブーム世代の子供達)が退職年齢に達

する 2029 年ごろまで年々減少が続く見込みである。

日本:年齢層別人口(百万人)

15

20

25

30

35

40

45

50

2005

E

2007

E

2009

E

2011

E

2013

E

2015

E

2017

E

2019

E

2021

E

2023

E

2025

E

2027

E

2029

E

2031

E

2033

E

2035

E

2037

E

2039

E

(m people)

Seniors Peak players Juniors

出所:国連データ、大和証券 CM 推定及び予想

2040 年までのゴルファーの年間減少率は 0.7-0.9%

これら 3 区分したゴルファー層(潜在的なゴルフ・プレー

ヤー層の市場規模の 1 指標になると大和は考える)を合計

した時系列での推移を見ると、2006~2040 年の期間、毎

年減少が続く(長期の前年比平均伸び率は-0.9%)、悲観

的な減少トレンドが明らかになる。単純にピークのプレー

ヤー層がジュニア層の 2 倍、シニア層がピーク層の 2 倍多

いプレー回数を想定し、各セグメントのプレー頻度の前提

を調整した場合でも、ゴルフ人口の同期間の前年比平均伸

び率は-0.7%と若干の改善にとどまる。

日本:ゴルフ人口総数の前年比伸び率とプレー頻度を調整した場合のゴルフ人口総数の前年比伸び率

-2.5%

-2.0%

-1.5%

-1.0%

-0.5%

0.0%

0.5%

2006

2008

2010

2012

2014

2016

2018

2020

2022

2024

2026

2028

2030

2032

2034

2036

2038

2040

(YoY chg.)

Total Adjusted total

出所:大和証券 CM 推定及び予想

シニア層の需要は恐らく持続不可能

長期的な持続可能性は低いが、現在の日本のゴルフ・プ

レー活動を支えている 1 つのポジティブな要因は、退職

年齢に入り、したがってより高い頻度でプレーが可能に

Page 13: AGT20141107 initiation report finalaccordiagolftrust-jp.listedcompany.com/misc/AGT_Report...アコーディア・ゴルフ・トラスト AGT SP 2014年11月7日 - 4 - 財務諸表

アコーディア・ゴルフ・トラスト

AGT SP 2014 年 11 月 7日

- 13 -

なる、ベビー・ブーム世代の最近の台頭である。過去の

出生数のデータだけで見ると、大和の試算では、シニア

世代の人口が 2012 年にピーク入りしたことになる。しか

し、恐らくもう数年間はベビー・ブーマーのピーク期を

伸ばし得る幾つかの要因がある。第 2 次世界大戦以降に

生まれたこれらのベビー・ブーマーの多くは、ゴルフ人

気が高まった 1970 年代から 1980 年代にゴルフを始めて

いる公算が大きく、また歳を重ねてもより健康であると

見られることから、退職後のゴルフ・プレー期間が延び

ると考えられる。現在ピークを迎えているベビー・ブー

ム世代の数が落ち着いた後、日本のシニア層のゴルフ人

口は、ジェネレーション X が退職年齢に入る前の 20 年間

は減少が続くと大和は予想する。

人口は 1要因に過ぎず

しかしながら、日本の急速な人口減少は、日本のゴルフ

場及び AGT の長期的見通しを決定する 1 要因に過ぎない

(最重要要因ですらない可能性もある)と大和は考える。

ゴルフ・ブームの収束は人口要因にあらず

日本にゴルフ・ブームが起こり、日本のゴルフ場入場者

数がピークに達した 1990 年代初め以降(1992 年には入場

者数が 1 億人超に達した)、入場者数を持続できなかっ

たのは、日本のバブル経済の形成、その後の崩壊の流れ

に概ね一致する形となっており、人口伸び率とは殆ど関

連していない。

昨日よりも今日

20 年に亘る景気低迷を経て、日本のゴルフ場への投資家

にとっての今日の最重要問題は、1980 年代終わりや 1990

年代初めに比べ大幅に落ち込んだマクロ環境下でのゴル

フ事業の競争力と経済的継続性、である。

こうした観点から、ゴルフ場運営事業はポジティブで持

続可能な業績成長が期待できる極めて底堅いビジネスだ

と言えよう。

AGT の営業収益と NOI 利回りは妥当な印象

2013 年 9 月 30 日時点の AGT のゴルフ場ポートフォリオの

バリュエーション(CBRE と谷澤総合鑑定所による評価額

に基づく)に対する営業収益と NOI(純営業収益)の利回

りは、大都市圏から離れたゴルフ場ほど高くなっており、

妥当と言えよう(下表参照)。

AGTポートフォリオ:営業収益と営業収益利回り 3月期 2011 2012 2013

営業収益(百万円)

東京エリア 24,782 23,771 23,932 大阪エリア 13,239 12,919 12,609 名古屋エリア 7,119 7,188 7,211 その他の地域 11,357 10,999 11,021 調整 (544) (947) (1,179) 合計 55,953 53,930 53,594 営業収益利回り*

東京エリア 33.4% 32.1% 32.3% 大阪エリア 35.1% 34.3% 33.5% 名古屋エリア 38.2% 38.6% 38.7% その他の地域 55.3% 53.6% 53.7% 平均 37.1% 35.7% 35.5%

出所:AGT、大和証券 CM

注:*2013 年 9 月 30 日時点の評価額に対する営業収益利回り

AGTポートフォリオ: NOIと NOI利回り 3月期 2011 2012 2013

NOI (百万円)

東京エリア 8,986 8,731 8,846 大阪エリア 4,817 4,703 4,490 名古屋エリア 2,060 2,268 2,401 その他の地域 3,047 3,015 3,172 調整 (932) (322) (563) 合計 17,978 18,395 18,346 NOI 利回り*

東京エリア 12.1% 11.8% 11.9% 大阪エリア 12.8% 12.5% 11.9% 名古屋エリア 11.1% 12.2% 12.9% その他の地域 14.8% 14.7% 15.5% 平均 11.9% 12.2% 12.2%

出所:AGT、大和証券 CM

注:*2013 年 9 月 30 日時点の評価額に対する NOI 利回り、NOI=営業収益から商品及び材料

費、人件費、その他営業費用を控除した額(スポンサーに支払われるゴルフ場運営手数料

控除前)

説得力あるゴルフ場取得戦略

ゴルフ場取得を通じた 2016-2017 年 3 月期の成長ビーク

ルとしての AGT への投資メリットには説得力があると言

えよう。

スポンサーがアセット・ライト戦略を採用

AGT のスポンサーであるアコーディア・ゴルフは、より効

率的に資本をリサイクルし(同社はこれを「循環型ビジ

ネス・モデル」と呼称)、ROE の改善につなげるために、

運営が安定したゴルフ場やその他不動産の売却を含む、

アセット・ライト事業戦略を追求すると発表している。

AGT の当初ポートフォリオの組成

AGT の当初のゴルフ場ポートフォリオの組成と、アセッ

ト・ライト事業戦略の一環として、スポンサーはアコー

ディア・ブランドの 89 のゴルフ場を AGT に売却した。

Page 14: AGT20141107 initiation report finalaccordiagolftrust-jp.listedcompany.com/misc/AGT_Report...アコーディア・ゴルフ・トラスト AGT SP 2014年11月7日 - 4 - 財務諸表

アコーディア・ゴルフ・トラスト

AGT SP 2014 年 11 月 7日

- 14 -

この過程で、スポンサーは合同会社(初期の特定目的会

社、SPC)の設立に関与し、当初ポートフォリオの組成に

選出したゴルフ場子会社の保有株式を匿名組合出資で譲

渡した。ゴルフ場子会社が合併契約を結び、SPC 内で統合

された後に、新たに SPC(新 SPC)を設立した。2014 年 8

月 1 日の上場日に、AGT のトラスティ・マネジャーは、新

SPC(匿名組合出資で合併したゴルフ場子会社を保有)に

対するスポンサーの利権を取得した。

Appendix A に AGT の上級経営陣の経歴を、Appendix B に

は AGT の当初ポートフォリオに組入れるゴルフ場リスト

を掲載した。

AGT に組み入れる 89 のゴルフ場は、資本価値に関連する

収益創出能力の観点から、スポンサーが手掛ける最良の

ゴルフ運営事業と考えられる。

大厚木カントリークラブ本コース

出所:大和証券 CM

注:同コースはフェアウェイが広く、難易度の高いコース距離で有名

アコーディア・ブランドのゴルフ場

AGT のスポンサーによれば、アコーディア・ブランドは幅

広い年齢層のゴルファー向けに、気軽なレクリエーショ

ンとしてのゴルフ体験を提供している。アコーディアで

は、整備が行き届き、コース・コンディションが良好な

ゴルフを、妥当なプレー料金、食事代で楽しむことがで

きる。日本では女性やジュニア層のプレーヤーは依然と

して稀有な存在ではあるが、アコーディア・ブランドは

ファミリー層を主体としたゴルフ・コースの提供も可能

と考えられる。市場調査会社マクロミルが 2013 年 9 月に

実施した、ゴルファー2,000 人を対象としたインターネッ

ト調査では、アコーディアが実際にプレーしたゴルフ場

で一番人気となっている。

アコーディアのクラブハウスの受付

出所:大和証券 CM

26 のゴルフ場取得を予定

残るゴルフ場の内、スポンサーは AGT に売却する可能性

のあるアコーディア・ブランドの 26 のゴルフ場(売却予

定のゴルフ場)をリストアップしている。これらの 26 の

ゴルフ場は、営業収益が安定したと言える適正水準に達

していないか(「収益が安定化していない」と説明)、

それ以外のゴルフ場固有の問題により、当初ポートフォ

リオに組入れられなかったゴルフ場で構成される。

Page 15: AGT20141107 initiation report finalaccordiagolftrust-jp.listedcompany.com/misc/AGT_Report...アコーディア・ゴルフ・トラスト AGT SP 2014年11月7日 - 4 - 財務諸表

アコーディア・ゴルフ・トラスト

AGT SP 2014 年 11 月 7日

- 15 -

AGT:スポンサーから取得予定のゴルフ場 東京エリア 所在地

1 さいたまゴルフクラブ 埼玉県入間郡 2 取手桜が丘ゴルフクラブ 茨城県取手市 3 南市原ゴルフ倶楽部 千葉県市原市 4 房州カントリークラブ 千葉県館山市 5 関東国際カントリークラブ 栃木県芳賀郡 6 水府ゴルフクラブ 茨城県常陸太田市 7 かずさカントリークラブ 千葉県市原市 8 霞台カントリークラブ 茨城県稲敷市

大阪エリア 9 山の原ゴルフクラブ 兵庫県川西市 10 やしろ東条ゴルフクラブ 兵庫県加東市 11 堺カントリークラブ 大阪府堺市 12 猪名川国際カントリークラブ 兵庫県川辺郡 13 猪名川グリーンカントリークラブ 兵庫県川辺郡 14 ラビーム白浜ゴルフクラブ 和歌山県西牟婁郡

名古屋エリア 15 鈴鹿の森ゴルフクラブ 三重県鈴鹿市

その他の地域 16 広島安佐ゴルフクラブ 広島県広島市 17 かほゴルフクラブ 福岡県飯塚市 18 フクイカントリークラブ 福井県坂井市 19 越前カントリークラブ 福井県あわら市 20 大月ガーデンゴルフクラブ 山梨県都留市 21 千歳カントリークラブ 北海道千歳市 22 リベラルヒルズゴルフクラブ 福島県双葉郡 23 パームヒルズゴルフリゾートクラブ 沖縄県糸満市 24 小名浜オーシャンホテル&ゴルフクラブ 福島県いわき市 25 宮城野ゴルフクラブ 宮城県亘理郡 26 石川ゴルフ倶楽部 石川県河北郡 出所:AGT

スポンサーの施策

スポンサーは AGT のトラスティ・マネジャーに対し、ス

ポンサーが取得或いは売却予定のいかなるゴルフ事業

(ゴルフ・コース或いはドライビングレンジ)でも先買

権(ROFR)を与えている他、スポンサーからのゴルフ場

の取得案に関し、協議を開始する権利を与えている。

スポンサーはまた、スポンサーが取得したゴルフ場を取

得後 5 年以内に AGT のトラスティ・マネジャーに対して

買収提案を行う義務を負う。AGT のトラスティ・マネジャ

ーがスポンサーによるゴルフ事業の買収提案の受け入れ

を拒否した場合(トラスティ・マネジャーが AGT の既存

のゴルフ場にマイナスの影響が及び得るとみなした場

合)、スポンサーは該当するゴルフ場を第三者に売却、

或いはスポンサーからゴルフ事業を取得するコール・オ

プションを行使する場合がある。

こうした契約条件は、スポンサーのアコーディア・ブラ

ンド以外のゴルフ場には適用されない。

手堅い新規ゴルフ場取得のインセンティブ

AGT のスポンサーは、アセット・ライト戦略を進めていな

かったこれまでに比べ、より積極的に新規ゴルフ場の調

達及び取得を進めていくと見られる。こうした取得が、

AGT にとっての追加取得予定のゴルフ場資産になると言え

よう。

日本のゴルフ場運営業界

2013年 3月末時点 コース数 ホール数 市場シェア

アコーディア・ゴルフ 133 2,797 5.5% PGM グループ 122 2,664 5.1% オリックス・ゴルフ・マネジメント 40 837 1.7% 市川造船土木グループ 34 675 1.4% 西武グループ 28 675 1.2% 東急グループ 26 522 1.1% チェリーゴルフグループ 23 423 1.0% ユニマット・グループ 19 351 0.8% 太平洋クラブ 17 333 0.7% シャトレーゼ 14 288 0.6% リゾートトラスト 13 288 0.5% 加森観光 12 252 0.5% リゾートソリューション 12 252 0.5% 東京建物(ジェイゴルフ) 12 243 0.5% GCEグループ 11 234 0.5% ホテルモントレグループ 11 198 0.5% 明智ゴルフ倶楽部&房総カントリークラブ 10 297 0.4% JGMゴルフグループ 10 216 0.4% デイリー社グループ 10 216 0.4% 大和ハウス 10 189 0.4% 新日本観光 9 243 0.4% 安達建設グループ 9 207 0.4% OGIグループ 9 171 0.4% 鹿島建設 7 138 0.3% その他 1,804 74.8% 合計 2,405 100.0%

出所:ゴルフ特信、Golf Course Group Series(1Q13)、CBRE

大手ゴルフ運営会社が手掛ける日本のゴルフ場の数は、

日本全体の 2,405 コースのゴルフ場の内、295 コースのみ

であり、全体の 12.3%に過ぎない。その中で最大手であ

る AGT のスポンサーの市場シェアは 2013 年 3 月時点で

5.5%である。スポンサーは過去 7 年間で 59 のゴルフ場

を取得している。

AGTのスポンサーによるゴルフ場取得数

12

22

57

4 45

0

5

10

15

20

25

FY07 FY08 FY09 FY10 FY11 FY12 FY13

(No. of courses)

出所:AGT のスポンサー、大和証券 CM

Page 16: AGT20141107 initiation report finalaccordiagolftrust-jp.listedcompany.com/misc/AGT_Report...アコーディア・ゴルフ・トラスト AGT SP 2014年11月7日 - 4 - 財務諸表

アコーディア・ゴルフ・トラスト

AGT SP 2014 年 11 月 7日

- 16 -

ゴルフ場取得に焦点を絞る

2014 年 9 月 15 日に AGT は経営計画のアップデートを発表

した。特に強調された新たな措置の一つは、AGT が 500 億

円のゴルフ場関連資産の取得を進め(AGT の現在の資産価

値は約 1,600 億円)、2017 年 3 月末までに 2,100 億円と

する運用資産(AUM)目標の達成を掲げたことである。

IPO 後の現在の LTV(ポートフォリオの評価額に対する有

利子負債の割合)は約 30%だが、AGT は中期的目標とし

て 40-50%の LTV レシオが妥当との見解を示した。また、

LTV レシオが 50%に達するまでには、合計 597 億円の借

入余地があると述べた。

今回の発表を踏まえ、大和では AGT が 2016 年 3 月期以降

ゴルフ場の取得を開始すると想定し、2016 年 3 月期に

150 億円強、2017 年 3 月期に 250 億円強の取得額を想定

する。この場合、LTV レシオは 2017 年 3 月末までに 46%

を若干上回る水準に上昇することになる。

ゴルフ場取得総額に関する大和の想定(400 億円強)が

AGT の目標額を下回っているのは、1)目標 LTV レンジの

上限までのギアリング引き上げを経営陣が望んでいるか

疑問であること、2)一部のゴルフ場は、依然として取得

準備が整っていない可能性があり、2017 年 3 月期までに

スポンサーが保有する全てのゴルフ場を取得するのは望

ましくないと考えられること(運用利回りが低いことや、

その他の経営問題や法律問題が原因)、が理由である。

コース(18 ホール)当たりの資産価値を 15.12 億円と大

和は想定する(AGT のポートフォリオの 18 ホールごとの

バリュエーションの比例配分に応じたのれん代を含む)。

AGT が取得するゴルフ場の NOI 利回り(評価額とのれん代

の合計額を分母とする)の前提は、当初ポートフォリオの

それに一致する、8.3%とする。大和では、2016-2017 年

3 月期に AGT が取得するゴルフ場は全てスポンサーからの

ものと想定し、また AGT の IPO と同様の取得条件になる

と考える。

大和では、AGT がデット・ファイナンスを利用し、2016、

2017 年 3 月期にゴルフ場の取得を進めると想定し、こう

した取得は DPU の大幅な上昇につながると考える(NOI 利

回りと借入コストのスプレッドが大きいため)。

最後に、大和ではまた LTV レシオが 2017 年 3 月末までに

46%強に達した後、全ての取得活動を中止すると想定す

る。投資口価格が IPO 価格を下回っている限り、エクイ

ティ・ファイナンスによる取得活動が DPU の増大をもた

らすとは考えにくいためである。

大和の DDM バリュエーション

大和では、AGT の価値を算出する上で、10 年間の配当割

引モデル(DDM)を用いた。つまり、2015-2024 年 3 月期

の期間に大和予想分配金を割り戻し、2025 年 3 月期の分

配金については、それ以降の全分配金の現在価値を表す

残存価値(ターミナル・バリュー)として合計分配金を求

めた。

不動産取引で観察されるキャップレートから不動産市場

のインプライド・ディスカウント・レートが求められる

ため、大和の DDM ディスカウント・レートの前提もほぼ

同じ手法で求めた。

caprate=r-g

ここでは、「r」はディスカウント・レート、「g」は長

期成長率を意味する。

DDM の大きな差異は、レバレッジを加味していることであ

る。このため、キャッシュフローをディスカウントする

上で、レバレッジを想定していないキャップレートや AGT

のゴルフ場の NOI 利回りを単純に用いることはできない。

大和の推定ディスカウント・レートを求めるには、AGT の

ゴルフ場の適正 NOI 利回りの前提を 8.3%とすることから

始める。ゴルフ場運営事業の NOI は、総収入から推定さ

れるマネジメント・フィーを含む営業費用(アセット・

マネジメント及びトラスティ・マネジメント・フィー控

除前)を差し引いたものである。AGT の経営陣は、新規取

得ゴルフ場を評価する際に NOI 利回り 8.3%をベンチマー

クとして用いており、大和では流通市場の現行レートと

みなしている。NOI 利回り 8.3%はまた、AGT が IPO によ

る調達資金でスポンサーから取得し、当初ポートフォリ

オに組み込んだ 89 のゴルフ場の利回りにもたまたま一致

する。このため、同取引が、日本のゴルフ場の主なバリ

ュエーションのベンチマークになると言えよう。

大和がサンプリングした 46 の J-REIT の単純平均 NOI 利

回り(減価償却費控除前)は、5.1%である一方、下位サ

ンプルとなる時価総額が 500-1,000 億円に上る 12 の J-

REIT の同平均 NOI 利回りは 4.8%に過ぎない。全体の NOI

利回りは 3.34%から 8.15%のレンジとなり、NOI 平均利

回りが高いセグメントは、商業施設(5.6%)、物流施設

(5.8%)、ホテル(7.5%)のセグメントである(ホテ

ル・セグメントのサンプルは 2つのトラストのみ)。

大和が想定するゴルフ場の NOI 利回りに比べ、観察され

る J-REIT の NOI 利回りが低いのは、ゴルフ場運営事業に

比べ、賃料収入を生み出す不動産で認識されるリスクが

低いことと一致している。ゴルフ場運営事業の年間の収

Page 17: AGT20141107 initiation report finalaccordiagolftrust-jp.listedcompany.com/misc/AGT_Report...アコーディア・ゴルフ・トラスト AGT SP 2014年11月7日 - 4 - 財務諸表

アコーディア・ゴルフ・トラスト

AGT SP 2014 年 11 月 7日

- 17 -

益は、天候や景気動向の影響を受けやすいため、よりボ

ラタイルな傾向がある。ゴルフ場の NOI 利回りがより高

い点は、賃料収入を生む不動産に比べ、より資本集約型

であり、NOI や EBITDA マージンが低いことから、妥当と

考えられる。

また、AGT のゴルフ場運営事業の大和の推定 NOI 利回り

(8.3%)は、どの J-REIT の NOI 利回りよりも高く、ホ

テル J-REIT(ホスピタリティ事業も客室営業収益を全客

室数で割った 1 室当たりの平均単価である、1 日当たりの

RevPAV のボラティリティが大きい)の NOI 平均利回り

7.5%を若干上回っている点からも、妥当と考えられる。

NOI 利回り 8.3%から、アセット・マネジメント、トラス

ト・マネジメント、金利、税金、平準化した資本支出を

含む、(経常的な)現金費用の支出を除いた場合、全体

の正味 NOI 利回りは 4.1%と算出される。

大和ではこの時点での、持続可能な長期ギアリング・レ

シオ(総資産負債比率)を 45%と想定し、レバレッジ効

果の調整分も加味した。この結果、正味 NOI 利回りを

55%(資本の寄与分)で除して推定ディスカウント・レ

ートを 7.5%と算定した。

AGTの大和推定ディスカウント・レート(資本コスト)

NOI 利回り 8.3% アセット・マネジメント、トラスト・マネジメント、その他費用 -0.3% EBITDA利回り 8.0% 金利 -1.1% 税金 -1.1% 経常的な設備投資 -1.7% 合計正味利回り 4.1% レバレッジ調整. 3.4% ディスカウント・レート (r) 7.5%

出所:大和証券 CM 推定

大和が前提とするディスカウント・レート 7.5%は、実効

キャップレート 8%に相当する。日本が人口減に直面して

いることを勘案し、長期の年間成長率を-0.5%に設定し

た。

effectivecaprate(8.0%)

=discountrate(7.5%)-long‐termgrowthrate(‐0.5%)

大和が示した 2015-2024 年 3 月期までの 10 年間の分配金

予想は、AGT のスポンサーからの 2016、2017 年 3 月期に

取得するゴルフ場(外部成長)のみを前提に含める。AGT

の投資口価格が、IPO 価格の 0.97S ドルに近い、もしくは

それを上回る水準に回復しない限り、投資口発行による

ゴルフ場取得資金の調達(或いは部分調達)は、DPU の希

薄化を招くと考えられるため、エクイティ・ファイナン

スは利用できないと大和は想定している。

大和の予想する残存価値(2025 年 3 月期予)は、分配金

が年率 0.5%減少(大和の長期成長率の前提に一致)して

いくことを前提としている。

7.5%とする大和のディスカウント・レートが現実的かを

確認するには、市場を観察することである。2015 年 3 月

期の平準化 DPU 利回りは 7.4%(大和予想に基づく)であ

り、ビジネス・トラスト・セクターの時価総額を加重平

均した予想 DPU 利回りもまた、約 7.4%である。観察され

る DPU 利回りを用いるのは、ディスカウント・レートを

決定するのに最も信頼できる手法ではないと認識してい

るが、7.5%とするディスカウント・レートの前提は恐ら

く妥当であろう。

AGT:大和の DDMバリュエーション

資本コスト 7.5% 長期成長率 -0.5% 実効キャップレート 8.0% 10年間の DPU予想の現在価値(Sドル) 0.554 残存価値の現在価値(Sドル) 0.502 DDMバリュエーション(Sドル) 1.06

出所:大和証券 CM 推定

下表では、ディスカウント・レート(r)と長期成長率

(g)の異なる前提を用いて、AGT の DDM 価値の感応度を

示したものである。

AGT:大和の DDMバリュエーション感応度分析(Sドル) ディスカウント・レート(r) 長期成長率(g)

-1.00% -0.75% -0.50% -0.25% 0.00% 5.5% 1.36 1.39 1.42 1.45 1.49 6.0% 1.26 1.28 1.31 1.34 1.37 6.5% 1.17 1.19 1.21 1.23 1.26 7.0% 1.09 1.11 1.13 1.15 1.17 7.5% 1.03 1.04 1.06 1.07 1.09 8.0% 0.97 0.98 0.99 1.01 1.02 8.5% 0.91 0.92 0.94 0.95 0.96 9.0% 0.87 0.88 0.89 0.90 0.91 9.5% 0.82 0.83 0.84 0.85 0.86

出所:大和証券 CM 推定

Page 18: AGT20141107 initiation report finalaccordiagolftrust-jp.listedcompany.com/misc/AGT_Report...アコーディア・ゴルフ・トラスト AGT SP 2014年11月7日 - 4 - 財務諸表

アコーディア・ゴルフ・トラスト

AGT SP 2014 年 11 月 7日

- 18 -

シンガポール上場ビジネストラストと S-REITのバリュエーション比較

Bloomberg GICS Market

cap Listing Unit price

as at DPS

(SGD) DPS

(SGD) DPU Yield

DPU Yield

BPS (SGD)

BPS (SGD) PBR PBR Gearing*

Business trusts ticker Sub industry (USDbn) currency 28-Oct-14 FY1 FY2 FY1 FY2 FY1 FY2 FY1 FY2 FY0 ACCORDIA GOLF TRUST AGT SP Investment companies 0.7 SGD 0.845 0.062 0.068 7.4% 8.0% 0.84 0.81 1.0x 1.0x 25.5% ASCENDAS HOSPITALITY TRUST ASCHT SP Hotel & Resort REITs 0.6 SGD 0.705 0.056 0.058 7.9% 8.2% 0.78 0.76 0.9x 0.9x 35.6% ASCENDAS INDIA TRUST AIT SP Real Estate Operating Companie 0.6 SGD 0.79 0.049 0.053 6.2% 6.7% 0.58 0.64 1.4x 1.2x 22.1% ASIAN PAY TELEVISION TRUST APTT SP Cable & Satellite 1.0 SGD 0.86 0.082 0.082 9.5% 9.5% 0.89 0.87 1.0x 1.0x 37.9% CITYSPRING INFRASTRUCTURE TR CITY SP Gas Utilities 0.6 SGD 0.505 NA NA NA NA NA NA NA NA 67.4% CROESUS RETAIL TRUST CRT SP Real Estate Operating Companie 0.4 SGD 0.94 0.079 0.081 8.4% 8.6% 0.86 0.86 1.1x 1.1x 51.7% FAR EAST HOSPITALITY TRUST FEHT SP Hotel & Resort REITs 1.1 SGD 0.815 0.052 0.055 6.4% 6.7% 0.99 0.98 0.8x 0.8x 30.8% FIRST SHIP LEASE TRUST FSLT SP Specialized Finance 0.0 SGD 0.097 NA NA NA NA NA NA NA NA 57.4% FORTERRA TRUST FORT SP Real Estate Operating Companie 0.3 SGD 1.42 0.000 0.025 0.0% 1.8% NA NA NA NA 29.4% FRASERS HOSPITALITY TRUST FHT SP Hotel & Resort REITs 0.8 SGD 0.885 0.045 0.064 5.1% 7.2% 0.84 0.84 1.1x 1.1x 41.1% HUTCHISON PORT HOLDINGS TR-U HPHT SP Marine Ports & Services 5.9 USD 0.675 0.053 0.052 7.8% 7.8% 0.94 0.91 0.7x 0.7x 24.6% INDIABULLS PROPERTIES INVEST IPIT SP Real Estate Operating Companie 0.4 SGD 0.124 NA NA NA NA NA NA NA NA 20.6% KEPPEL INFRASTRUCTURE TRUST KIT SP Environmental & Facilities Ser 0.5 SGD 1.04 NA NA NA NA NA NA NA NA 0.0% OUE HOSPITALITY TRUST OUEHT SP Hotel & Resort REITs 0.9 SGD 0.9 0.067 0.069 7.4% 7.7% 0.92 0.92 1.0x 1.0x 32.9% PERENNIAL CHINA RETAIL TRUST PCRT SP Diversified Real Estate Activi 0.5 SGD 0.52 0.038 0.013 7.3% 2.5% 0.77 0.77 0.7x 0.7x 26.2% RELIGARE HEALTH TRUST RHT SP Health Care Facilities 0.6 SGD 0.99 0.077 0.081 7.8% 8.2% 0.88 0.85 1.1x 1.2x 6.7% RICKMERS MARITIME RMT SP Marine Ports & Services 0.2 SGD 0.3 NA NA NA NA NA NA NA NA 47.0% VIVA INDUSTRIAL TRUST VIT SP Office REITs 0.4 SGD 0.805 0.071 0.075 8.8% 9.3% 0.76 0.77 1.1x 1.0x 38.1% Simple average 0.9 6.9% 7.1% 1.0x 1.0x 33.1% Market-cap weighted average 7.4% 7.5% 0.9x 0.9x 29.2%

Bloomberg GICS Market

cap Listing Unit price

as at DPS

(SGD) DPS

(SGD) DPU yield

DPU yield

BPS (SGD)

BPS (SGD) PBR PBR Gearing*

S-REITs ticker Sub industry (USDbn) currency 28-Oct-14 FY1 FY2 FY1 FY2 FY1 FY2 FY1 FY2 FY0 AIMS AMP CAPITAL INDUSTRIAL AAREIT SP Industrial REITs 0.7 SGD 1.455 0.110 0.113 7.6% 7.8% 1.40 1.40 1.0x 1.0x 31.5% ASCENDAS REAL ESTATE INV TRT AREIT SP Industrial REITs 4.4 SGD 2.31 0.149 0.154 6.5% 6.7% 2.05 2.05 1.1x 1.1x 29.6% ASCOTT RESIDENCE TRUST ART SP Residential REITs 1.5 SGD 1.235 0.080 0.086 6.5% 7.0% 1.40 1.38 0.9x 0.9x 33.6% CACHE LOGISTICS TRUST CACHE SP Industrial REITs 0.7 SGD 1.185 0.088 0.090 7.4% 7.6% 0.97 0.97 1.2x 1.2x 28.8% CAMBRIDGE INDUSTRIAL TRUST CREIT SP Industrial REITs 0.7 SGD 0.71 0.051 0.055 7.2% 7.7% 0.69 0.69 1.0x 1.0x 28.1% CAPITACOMMERCIAL TRUST CCT SP Office REITs 3.8 SGD 1.65 0.083 0.088 5.0% 5.3% 1.71 1.72 1.0x 1.0x 29.4% CAPITAMALL TRUST CT SP Retail REITs 5.3 SGD 1.945 0.110 0.113 5.7% 5.8% 1.78 1.79 1.1x 1.1x 35.5% CAPITARETAIL CHINA TRUST CRCT SP Retail REITs 1.0 SGD 1.61 0.105 0.112 6.5% 7.0% 1.52 1.54 1.1x 1.0x 32.6% CDL HOSPITALITY TRUSTS CDREIT SP Hotel & Resort REITs 1.3 SGD 1.68 0.110 0.116 6.5% 6.9% 1.64 1.66 1.0x 1.0x 29.6% FIRST REAL ESTATE INVT TRUST FIRT SP Health Care REITs 0.7 SGD 1.22 0.081 0.084 6.6% 6.9% 0.95 0.94 1.3x 1.3x 31.9% FRASERS CENTREPOINT TRUST FCT SP Retail REITs 1.4 SGD 1.98 0.117 0.120 5.9% 6.1% 1.80 1.82 1.1x 1.1x 29.3% FRASERS COMMERCIAL TRUST FCOT SP Office REITs 0.7 SGD 1.385 0.098 0.100 7.1% 7.2% 1.61 1.61 0.9x 0.9x 36.8% IREIT GLOBAL IREIT SP Office REITs 0.3 SGD 0.89 NA 0.068 NA 7.6% NA NA NA NA 32.7% KEPPEL REIT KREIT SP Office REITs 2.8 SGD 1.2 0.077 0.072 6.4% 6.0% 1.39 1.38 0.9x 0.9x 39.6% LIPPO MALLS INDONESIA RETAIL LMRT SP Retail REITs 0.7 SGD 0.375 0.029 0.030 7.7% 8.0% 0.43 0.44 0.9x 0.9x 34.0% MAPLETREE COMMERCIAL TRUST MCT SP Retail REITs 2.4 SGD 1.44 0.079 0.080 5.5% 5.6% 1.19 1.22 1.2x 1.2x 38.6% MAPLETREE GREATER CHINA COMM MAGIC SP Diversified REITs 2.0 SGD 0.955 0.062 0.067 6.5% 7.0% 1.08 1.12 0.9x 0.9x 38.0% MAPLETREE INDUSTRIAL TRUST MINT SP Industrial REITs 1.9 SGD 1.435 0.099 0.101 6.9% 7.0% 1.20 1.24 1.2x 1.2x 34.4% MAPLETREE LOGISTICS TRUST MLT SP Industrial REITs 2.3 SGD 1.18 0.076 0.078 6.4% 6.6% 1.01 1.03 1.2x 1.1x 33.1% OUE COMMERCIAL REAL ESTATE I OUECT SP Office REITs 0.5 SGD 0.79 NA 0.054 NA 6.8% NA 1.08 NA 0.7x 41.9% PARKWAYLIFE REAL ESTATE PREIT SP Health Care REITs 1.1 SGD 2.32 0.120 0.120 5.2% 5.2% 1.63 1.63 1.4x 1.4x 32.8% SABANA SHARIAH COMP IND REIT SSREIT SP Industrial REITs 0.5 SGD 0.995 0.076 0.078 7.6% 7.8% NA NA NA NA 36.2% SAIZEN REIT SZREIT SP Residential REITs 0.2 SGD 0.91 0.064 0.064 7.0% 7.0% NA NA NA NA 38.0% SOILBUILD BUSINESS SPACE REI SBREIT SP Diversified REITs 0.5 SGD 0.78 0.061 0.065 7.8% 8.3% 0.80 0.80 1.0x 1.0x 28.8% SPH REIT SPHREIT SP Retail REITs 2.1 SGD 1.05 0.054 0.055 5.1% 5.2% 0.92 0.92 1.1x 1.1x 25.8% STARHILL GLOBAL REIT SGREIT SP Retail REITs 1.4 SGD 0.805 0.051 0.051 6.3% 6.3% 0.94 0.94 0.9x 0.9x 28.7% SUNTEC REIT SUN SP Diversified REITs 3.5 SGD 1.76 0.092 0.102 5.2% 5.8% 2.08 2.09 0.8x 0.8x 38.0% Simple average 1.6 6.5% 6.8% 1.0x 1.0x 33.2% Market-cap weighted average 6.1% 6.3% 1.0x 1.0x 33.4%

出所:ブルームバーグ、大和証券 CM

注:ギアリングは総資産に対する総負債の割合と定義、AGT の 1 株当たりの数値(DPU、BPS)は 1S ドル=89 円の想定レートで換算、FY1 については上場後日数に基づき年換算値を表示

Page 19: AGT20141107 initiation report finalaccordiagolftrust-jp.listedcompany.com/misc/AGT_Report...アコーディア・ゴルフ・トラスト AGT SP 2014年11月7日 - 4 - 財務諸表

アコーディア・ゴルフ・トラスト

AGT SP 2014 年 11 月 7日

- 19 -

財務諸表予想

前提

AGT の上場日であり、また当初ゴルフ場ポートフォリオの

全資産と全負債を取得した日である 2014 年 8 月 1 日以降

の業績を大和は予想する。したがって、2015 年 3 月期は

実質的に 8ヵ月間の予想期間となる。

2015 年 3 月期を 353 日とする大和のゴルフ場当たり年間

営業日数の前提は、2006-2013 年 3 月期の対象期間の年間

平均営業日数(352 日)にほぼ一致する日数を採用してい

る。

入場者 1 人当たりのプレー料金については、FY16-17 に前

年比 0.1-0.2%上昇し、それ以降はほぼ横ばいが続くと想

定。営業費用は前年比ほぼ横ばいで安定推移し、消費者

物価指数(CPI)関連の物価上昇分は、営業関連費用の削

減(キャディーの削減やオートメーション化の推進)に

よって相殺されると想定する。

総じて、大和では安定した AGT の業績(既存ゴルフ場に

基づく)を想定するが、前年比でほぼ横ばいの成長を予

想する。とりわけ、入場者 1 人当たりの年間プレー料金

や全体の収入での大幅な増加を想定していない。

これまでのところ順調

入場者数や稼働率に関する月次事業動向を適時に発表す

る AGT の姿勢を評価したい。上場以来、AGT は 2014 年 8

月と 9 月に事業動向を公表しており、両月共に前年同月

比で改善し、なかでも 9 月は天候に恵まれ、ゴルフ需要

の拡大による恩恵を受けた。

AGT:月次動向

入場者数 前年同月比 稼働率 前年同月比(ppt)

2014年 4月 496,000 3.1% 79.0% 2.0 2014年 5月 573,000 1.9% 87.4% 1.7 2014年 6月 495,000 -2.1% 78.1% (1.6) 2014年 7月 501,000 -1.5% 76.9% (0.7) 2014年 8月 495,000 0.5% 76.0% 0.8 2014年 9月 523,000 5.5% 83.7% 4.4

出所:AGT

AGT の当初ポートフォリオのデット・ファシリティは、3

つのタームローン(変動金利、150 億円の等額となる)で

構成され、その内 350 億円は固定金利への金利スワップ

契約が結ばれている。融資枠全体の合計借入費用を年率

2.15%、将来の新規借入れ及びリファイナンス費用も同

率に想定する。

AGT の債務返済義務には、スポンサーからの 5 億円の借入

金も含まれる。大和では同融資の借入コストを年率 3.5%

と想定する。

AGT:当初のデット・ファシリティ

期間 スプレッド* 百万円

タームローン A 3年 1.25% 15,000

タームローン B 4年 1.50% 15,000

タームローン C 5年 1.75% 15,000

出所:AGT、大和証券 CM 推定

注:*6 ヵ月物の TIBOR に対するスプレッド

ゴルフ場運営委託契約の下でスポンサーに支払う年間マ

ネジメント・フィーは、次に示す 5 項目の合計額となる。

1. コーポレート・フィー:ゴルフ場(18 ホール)当たり月額 275 万円

2. ベース・フィー:純売上高の 3%(年間)に相当する金額(調整される可能性がある)

3. インセンティブ・フィー:償却前営業利益(ただし、コーポレート・フィー及び基本料金控除後)の年率

5%に相当

4. 使用料:ゴルフ場当たり月額 15,000 円 5. 新規会員手数料:新規会員の入会金の 60%に相当す

る金額

アセット・マネジャー・フィーは、新 SPC(日本に所在)

が取得する最新の鑑定評価書に基づく、新 SPC が保有す

る資産評価額全体の年率 0.066%に相当する。アセット・

マネジャーは、大和証券キャピタル・マーケッツ・シン

ガポールの親会社である大和証券グループの完全子会社。

トラスティ・マネジャー・フィーは、AGT の連結総資産の

年率 0.11%に相当するベース・フィーと、調整後正味営

業収益(総収入から商品及び材料費、人件費、その他営

業費用を差し引く)の年率 0.25%とする運用報酬費から

構成される。トラスティ・マネジャーへの出資比率は、

大和が 51%、スポンサーが 49%。

アセット・マネジャー・フィーとトラスティ・マネジャ

ー・フィーにはいずれも、取得した資産の評価額に対し

それぞれ 0.75%、0.60%の取得時報酬が含まれる。加え

て、同手数料には売却額の 0.15%に相当する売却時報酬

が双方に含まれる。

構造上、AGT には、新 SPC から AGT に支払われる分配金に

対し 20.42%の日本の源泉徴収税が適用される。新 SPC に

はまた、留保利益に対し日本の法人税(実効税率は

37.11%)が適用される。

AGT は 2015 年 3 月期の分配可能利益の 100%、それ以降

は最低でも年間分配可能利益の 90%を分配金に回す方針

を示している。しかし、AGT の分配可能利益の定義では、

Page 20: AGT20141107 initiation report finalaccordiagolftrust-jp.listedcompany.com/misc/AGT_Report...アコーディア・ゴルフ・トラスト AGT SP 2014年11月7日 - 4 - 財務諸表

アコーディア・ゴルフ・トラスト

AGT SP 2014 年 11 月 7日

- 20 -

既に予算に計上した設備投資額を差し引いているため、

大和では予想期間の配当性向を 100%と想定する。

2015 年 3 月期平準化分配金予想

2015 年 3 月期財務諸表の大和予想では、特別項目を想定

していない。したがって、大和の 2015 年 3 月期の分配金

予想(実質 8ヵ月間)は平準化分配金予想を指す。

また、分配金総額には非経常的キャッシュインフローが

含まれる可能性もある。大和では 2015 年 3 月期に属する

非経常的キャッシュインフローは 2016 年 3 月期に支払わ

れると想定する。

AGT: 損益計算書と分配金計算書 Profit and loss (JPYm) Year to 31 Mar 2011 2012 2013 2015E 2016E 2017E Golf course revenue 37,299 35,501 35,341 23,634 37,488 42,224 Restaurant revenue 12,300 12,205 12,462 8,427 13,356 15,039 Membership revenue 6,354 6,224 5,791 3,525 5,485 6,106 Other income 462 368 626 84 132 148 Total revenue 56,415 54,298 54,220 35,670 56,460 63,517

Merchandise and material expense (3,519) (3,644) (3,745) (2,494) (3,953) (4,452) Labour cost (15,536) (13,957) (13,828) (9,046) (14,086) (15,767) Management fee expense (5,891) (5,836) (5,843) (3,887) (6,146) (6,907) Asset manager's fee (100) (100) (100) (67) (211) (299) Depreciation and amortisation (3,578) (3,361) (3,269) (2,427) (3,812) (4,275) Trustee-manager's fee (245) (246) (245) (160) (337) (428) Other trust expenses (116) (116) (116) (77) (121) (136) Other operating expenses (18,920) (17,934) (17,675) (11,334) (17,803) (19,968) Total expenses (47,905) (45,194) (44,821) (29,492) (46,470) (52,232)

Operating profit 8,510 9,104 9,399 6,178 9,991 11,285 Interest and other finance costs (1,702) (1,706) (1,716) (1,133) (1,850) (2,255) Profit before income tax 6,808 7,398 7,683 5,045 8,140 9,029 Income tax expense (1,498) (1,623) (1,682) (1,085) (1,750) (1,941) Profit after tax 5,310 5,775 6,001 3,960 6,390 7,088 Non-controlling interests (53) (58) (60) (8) (12) (12) Net profit to unitholders 5,257 5,717 5,941 3,952 6,378 7,076

EBITDA 12,088 12,465 12,668 8,605 13,802 15,560 EBITDA margin (%) 21.4 23.0 23.4 24.1 24.4 24.5

Sponsor's EBITDA 20,664 20,392 21,328 Sponsor's EBITDA margin (%) 23.8 23.5 23.5

Distribution statement (JPYm) Year to 31 Mar 2015E 2016E 2017E Profit after tax 3,960 6,390 7,088 Adjustments for: Depreciation and amortisation 2,427 3,812 4,275 Interest expense and financing costs 1,133 1,850 2,255 Income tax expense 1,085 1,750 1,941 EBITDA 8,605 13,802 15,560 Interest paid (657) (1,135) (1,540) Income tax paid (1,133) (1,750) (1,941) Subtotal 6,815 10,917 12,078 Other items (1,576) (1,479) (1,394) Funds from operations 5,239 9,438 10,684 Capex (1,173) (2,823) (3,176) Available for distribution 4,066 6,615 7,509 Amount retained 0 0 0 Distribution 4,066 6,615 7,509 Payout ratio (%) 100.0 100.0 100.0 Distribution (SGDm) 45.7 74.3 84.4 Distribution per unit (SGD) 0.0416 0.0676 0.0768 % chg YoY (annualised) 8.5 13.5 Annualised DPU yield 7.4% 8.0% 9.1%

出所: AGT、大和証券 CM 予想

注:2011-13 年 3 月期はプロフォーマ損益計算書、2015 年 3 月期予想は 2014 年 8 月 1 日から 2015 年 3 月 31 日までの 8ヵ月間における予想値を示す、DPU 利回りは 2014 年 10 月 28 日の終値

Page 21: AGT20141107 initiation report finalaccordiagolftrust-jp.listedcompany.com/misc/AGT_Report...アコーディア・ゴルフ・トラスト AGT SP 2014年11月7日 - 4 - 財務諸表

アコーディア・ゴルフ・トラスト

AGT SP 2014 年 11 月 7日

- 21 -

リスク

金利リスク

シンガポール上場ビジネス・トラスト・セクターの魅力

の 1 つは、同トラストの DPU 利回りが、より広義の他の

投資先に比べ、相対的に高いことである。もともと、利

回り重視の商品の魅力は、ソブリン債等のリスク・フリ

ー商品との相対的な利回りのスプレッドに左右されるた

め、世界的に金利や国債利回りが、特に想定外に急上昇

した場合、AGT を含むイールド商品には価格の下振れリス

クが生じる可能性がある。

天候リスク

天候は、ゴルフ場運営事業の年間の業績に影響を及ぼす

(とりわけゴルフ場が休場となった場合、営業日数に影

響が出る)。悪天候により年間営業日数が過去 8 年間の

平均日数の 1 標準偏差分下回った場合、大和が想定する

年間営業日数(2015 年 3 月期が 353 日、2016 年 3 月期が

354 日)が 5.7 日失われることになる。逆に言えば、好天

の時期が長期間続いた場合、業績が大和予想を上回る可

能性もある。

日本経済と円のリスク

AGT は日本国内事業への直接的な投資ビークルとなるため、

分配金と NAV は円/S ドルの為替レートの動向や日本の景

気動向の影響を直接受けることになる。

関連企業リスク 最後に、大和では AGT が大半のゴルフ場をスポンサーか

ら取得すると想定しており、AGT がスポンサーから不利な

条件やバリュエーションでゴルフ場を取得することがリ

スクの1つとして挙げられる。この場合、AGT の長期 DPU

成長にマイナスの影響が出ることになる。関連企業との

取引については、DPU の増大につながるか、また AGT の全

体のポートフォリオの強化につながるか、を精査する必

要があろう。さらに関連企業との取引が AGT にとってメ

リットが乏しいと投資家が認識した場合も投資口価格の

パフォーマンスにマイナスの影響をもたらす可能性があ

る。

Page 22: AGT20141107 initiation report finalaccordiagolftrust-jp.listedcompany.com/misc/AGT_Report...アコーディア・ゴルフ・トラスト AGT SP 2014年11月7日 - 4 - 財務諸表

アコーディア・ゴルフ・トラスト

AGT SP 2014 年 11 月 7日

- 22 -

Appendix A

AGT の経営陣

CEO(最高経営責任者)

AGT の CEO である町田芳彦氏は、10 年近くスポンサーに

勤務。2009 年以降、執行役員と総務人事本部の本部長を

兼任、スポンサーの事業一般に関する監視、監督の役割

を果たし、スポンサーの社長に対して直接報告を行った。

1982 年から 1984 年、1984 年から 2003 年の期間、町田氏

はスポンサーの前ゴルフ場運営会社であった日東興業株

式会社と Nitto America Co., Ltd に籍を置き、同社のゴ

ルフ場経営管理業務の監督において大きな役割を果たし、

また同社のゴルフ場事業の戦略的計画の策定にも携わっ

た。

1982 年に青山学院大学で経営学士を取得し卒業した。

CFO(最高財務責任者)

AGT の CFO である根本俊一氏は、日本の公認会計士であり、

財務や会計分野の業務経験が豊富で、日本の会計基準

(J-GAAP)や国際会計基準(IFRS)にも造詣が深い。

根本氏は 2006 年に個人の会計事務所を立ち上げ、翌年に

は税理士登録を行った。2006 年から現在に至るまで、連

結財務諸表の作成や、J-SOX(日本版 SOX 法)のコンプラ

イアンス、内部監査について、複数企業のコンサルティ

ングに携わっている。会計や税務以外に、根本氏は 2010

年にアイオーエムパートナーズを設立し、2010 年から

2011 年の間に IFRS の適用に関連するさまざまなアドバイ

ザリー業務を請け負った。

2004-2007 年は、監査法人トーマツで現場責任者(主査)

として、金融商品取引法及び日本の会社法に基づいた法

定監査を担当した。同期間に、M&A のコンサルティングや

内部統制制度の構築に携わった。

2000-2003 年に根本氏は BDO 三優監査法人で、主に上場企

業の財務諸表の監査を行っていた。また、財務コンサル

ティング(デューデリジェンスやバリュエーション)や

IPO コンサルティングの経験を積んだ。

2000 年 3 月に東京大学で工学学位を取得し卒業した。

CIO(最高投資責任者)

AGT の最高投資及び資産管理責任者である黒沢隆浩氏は、

財務や投資、資産管理で豊富な経験を持つ。2011 年以降

スポンサーに勤務し、2013 年 4 月に経営企画本部経営戦

略部のエグゼクティブ・シニア・マネジャーに指名され

た。同氏は概ね、ポートフォリオの入れ替えに関連し、

スポンサーのためにゴルフ場の売買で大きな役割を果た

した。スポンサーに勤務する以前は 2000 年以降ゴールド

マン・サックス・リアルティ・ジャパン・エルティディ

ーに勤務し、ゴールドマン・サックス・グループによる

ゴルフ場の取得に際して、主導的な役割を果たし、これ

により、シニア・アセット・マネジャーに昇進。1987 年

4 月から 2000 年 3 月は日本モーゲージ株式会社に勤務、

13 年に亘りプロパティ・ファイナンスに従事し、事業管

理と不動産ローン担保の処分を担当した。

1987 年に国学院大学で法学位を得て卒業した。

インベスター・リレーションズ(IR)ヘッド

AGT のインベスーター・リレーションズ・ヘッドである長

野拓也氏は、大和証券グループで 20 年以上にわたり投資

銀行業務に携わってきた。2014 年 1 月付けで大和リアル

エステートに異動。2011 年 4 月から 2014 年 1 月まで大和

証券キャピタル・マーケッツ・シンガポール・リミテッ

ドにて副部長および東南アジア投資銀行部門のヘッドを

務め、日本企業のシンガポール証券取引所上場に関する

助言を含む、IPO、株式・債券引受業務、M&A 関連業務に

従事した。2008 年 10 月から 2011 年 4 月までファイナン

シャル・スポンサー部門の次長として、グローバルな政

府系ファンドや日本のプライベート・エクイティ・ファ

ンドのカバレッジ・バンカーを務めた。2006 年から 2008

年まで、クロスボーダーM&A 案件や、POWL(日本での上場

を伴わない公募を含む海外株式公開)などのクロスボー

ダー案件に従事。2000 年から 2006 年にはコーポレート・

ファイナンス部門の課長代理として日本の上場企業に助

言した。1992 年に大和証券株式会社に入社し、入社後 2

年間は個人向け営業部門に勤め、その後株式引受部門及

び株式シンジケート・グループに勤務した。

2000 年にニューヨーク州ロチェスター大学で財務会計学

の経営学修士(MBA)を、1992 年に東北大学で応用科学の

工学士の学位を取得。日本証券アナリスト協会の認定会

員である。

Page 23: AGT20141107 initiation report finalaccordiagolftrust-jp.listedcompany.com/misc/AGT_Report...アコーディア・ゴルフ・トラスト AGT SP 2014年11月7日 - 4 - 財務諸表

アコーディア・ゴルフ・トラスト

AGT SP 2014 年 11 月 7日

- 23 -

Appendix B

AGTの当初ポートフォリオのゴルフ場 評価額 面積 ホール数 開業年 スポンサーによる

東京エリア (百万円) (平方メートル) 取得年

1 大厚木カントリークラブ本コース 8,430 1,258,046 27 1970 2005 2 大厚木カントリークラブ桜コース 6,650 813,283 18 1981 2005 3 ノーザンカントリークラブ錦が原ゴルフ場 4,020 1,328,762 43 1963 2005 4 東京湾カントリークラブ 3,830 856,861 27 1979 2005 5 土浦カントリー倶楽部 3,830 814,039 27 1962 2005 6 藤岡ゴルフ倶楽部 3,030 1,216,014 36 1968 2008 7 小田原ゴルフ倶楽部松田コース 2,930 609,524 18 1973 2007 8 アクアラインゴルフクラブ 2,810 812,297 18 1997 2006 9 セントラルゴルフクラブ *** 2,760 1,908,836 36 1974 2005 10 寄居カントリークラブ 2,410 781,816 18 1978 2006 11 成田東カントリークラブ 2,320 772,311 18 1982 2005 12 千葉桜の里ゴルフクラブ 2,260 948,171 18 1984 2005 13 関越ハイランドゴルフクラブ 2,250 1,047,405 27 1972 2008 14 水戸ゴルフクラブ 2,190 1,453,942 36 1966 2005 15 佐原カントリークラブ 2,120 759,508 18 1990 2005 16 皆川城カントリークラブ 2,120 569,047 18 1973 2005 17 大平台カントリークラブ 1,970 797,090 27 1974 2005 18 甘楽カントリークラブ 1,710 1,156,822 18 1975 2007 19 妙義カントリークラブ *** 1,500 803,549 18 1986 2005 20 玉川カントリークラブ 1,410 1,054,979 18 1994 2005 21 彩の森カントリークラブ *** 1,410 1,243,143 18 1989 2005 22 セントラルゴルフクラブNEWコース *** 1,390 1,030,232 18 1979 2005 23 こだま神川カントリークラブ 1,290 1,088,693 18 1988 2005 24 ワイルドダックカントリークラブ 1,240 836,671 18 1991 2008 25 ツインレイクスカントリー倶楽部 1,130 1,280,567 18 1988 2005 26 緑野カントリークラブ 1,110 1,668,200 18 1990 2005 27 広陵カントリークラブ 1,100 984,175 27 1975 2007 28 石岡ゴルフ倶楽部ウエストコース 1,010 1,262,015 18 1990 2005 29 花生カントリークラブ 998 1,242,026 18 1992 2005 30 鴨川カントリークラブ*** 688 889,599 18 1970 2005 31 秩父国際カントリークラブ 671 784,338 18 1975 2006 32 ノーザンカントリークラブ赤城ゴルフ場*** 603 1,516,533 27 1976 2005 33 喜連川カントリー倶楽部 *** 413 1,084,069 27 1987 2008 34 ノーザンカントリークラブ上毛ゴルフ場 264 908,267 18 1978 2005 35 ウ゛ィレッジ東軽井沢ゴルフクラブ *** 230 748,362 18 1978 2008

東京エリア 小計 74,097 36,329,192 781

大阪エリア

1 大津カントリークラブ 7,040 2,051,043 45 1969 2009 2 泉佐野カントリークラブ 4,640 1,343,189 27 1972 2005 3 きさいちカントリークラブ 4,430 575,504 27 1968 2005 4 加茂カントリークラブ 4,120 1,206,331 36 1974 2005 5 愛宕原ゴルフ倶楽部 2,900 615,164 27 1960 2005 6 レイクフォレストリゾート*** 2,530 1,031,318 45 1993 2005 7 播磨カントリークラブ 2,030 743,267 18 1965 2005 8 亀岡ゴルフクラブ 1,940 694,053 18 1998 2005 9 奈良の杜ゴルフ・クラブ 1,930 1,326,963 18 1988 2005 10 双鈴ゴルフクラブ土山コース 1,430 746,061 18 1996 2005 11 協和ゴルフクラブ 1,410 1,145,952 18 1974 2005 12 岬カントリークラブ 1,120 206,026 18 1970 2005 13 大和高原カントリークラブ 809 1,486,731 18 2001 2007 14 加西カントリークラブ 735 1,169,572 18 1987 2005 15 白鷺ゴルフクラブ 609 1,024,084 18 1996 2005

大阪エリア 小計 37,673 15,365,258 369

Page 24: AGT20141107 initiation report finalaccordiagolftrust-jp.listedcompany.com/misc/AGT_Report...アコーディア・ゴルフ・トラスト AGT SP 2014年11月7日 - 4 - 財務諸表

アコーディア・ゴルフ・トラスト

AGT SP 2014 年 11 月 7日

- 24 -

AGTの当初ポートフォリオのゴルフ場(続き) 評価額 面積 ホール数 開業年 スポンサーによる

名古屋エリア (百万円) (平方メートル) 取得年

1 四日市の里ゴルフクラブ 2,420 661,573 18 1988 2009 2 藤原ゴルフクラブ 2,160 1,278,719 27 1993 2005 3 新陽カントリー倶楽部 2,090 1,495,987 18 1990 2005 4 キャッスルヒルカントリークラブ 1,960 1,635,889 18 1993 2009 5 フォレストみずなみカントリークラブ*** 1,600 1,079,483 18 1987 2008 6 霞ゴルフクラブ 1,440 869,786 18 1992 2009 7 フォレスト芸濃ゴルフクラブ 1,400 592,471 18 1991 2009 8 双鈴ゴルフクラブ関コース 1,380 704,063 18 1996 2005 9 サンクラシックゴルフクラブ 1,180 1,058,367 18 1992 2008 10 つくでゴルフクラブ 1,180 435,805 18 1994 2009 11 ルート25ゴルフクラブ 945 961,379 18 1995 2007 12 名松・ゴルフクラブ 861 1,345,960 18 1984 2005 名古屋エリア 小計 18,616 12,119,482 225 その他の地域

1 三島カントリークラブ 3,050 1,069,886 18 1988 2005 2 愛鷹シックスハンドレッドクラブ*** 2,120 873,030 18 1969 2005 3 十里木カントリークラブ 1,710 722,429 18 1973 2008 4 二丈カントリークラブ 1,340 952,335 18 1974 2007 5 山陽国際ゴルフクラブ 1,230 1,863,554 36 1980 2005 6 湯の浦カントリー倶楽部 968 1,454,590 18 1989 2005 7 本郷カントリー倶楽部 961 1,168,476 18 1977 2008 8 大新潟カントリークラブ出雲崎コース 846 489,212 18 1974 2005 9 佐世保国際カントリー倶楽部 811 363,153 18 1976 2007 10 別府の森ゴルフ倶楽部 791 1,292,070 27 1974 2005 11 セントラル福岡ゴルフ倶楽部 764 661,225 18 1975 2007 12 竹原カントリークラブ 620 1,116,606 18 1994 2005 13 おおさとゴルフ倶楽部 597 1,377,510 18 1998 2006 14 伊豆国際カントリークラブ 548 596,199 18 1961 2005 15 青島ゴルフ倶楽部 464 816,506 18 1991 2005 16 大新潟カントリークラブ三条コース 448 675,500 18 1976 2005 17 福岡フェザントカントリークラブ 425 1,072,749 18 1976 2005 18 菊池カントリークラブ 403 1,573,608 18 1979 2005 19 長崎パークカントリークラブ 390 1,016,537 18 1994 2005 20 天瀬温泉カントリークラブ 365 677,450 18 1967 2005 21 大沼レイクゴルフクラブ 361 1,236,330 27 1975 2005 22 樽前カントリークラブ 324 2,131,128 27 1963 2008 23 レインボースポーツランドゴルフクラブ 289 682,127 18 1992 2007 24 花の杜ゴルフクラブ 276 1,211,083 18 1992 2005 25 山形南カントリークラブ 262 885,800 18 1985 2005 26 ハウステンボスカントリークラブ 110 994,455 18 1991 2007 27 金沢セントラルカントリー倶楽部 49 1,311,095 18 1993 2007 その他の地域 小計 20,522 28,284,643 531

89 合計 150,908 92,098,575 1,906

出所:AGT、大和証券 CM

注:***ホテル施設併設ゴルフ場

(英文作成日:2014 年 10 月 29 日)

・大和証券(「当社」)のグループ関係会社である大和PIパートナーズ株式会社が、株式会社アコーディア・ゴルフに対して、新株予約権付

ローンによる資金提供を行っております。

・同じく当社のグループ関係会社である大和リアル・エステート・アセット・マネジメント株式会社(「大和RE」)が、株式会社アコー

ディア・ゴルフからゴルフ場保有子会社の株式を取得することを目的として設立された合同会社(SPC)に対して助言等を行うアセッ

ト・マネジメント契約を締結しております。また、大和REは、当該SPCに匿名組合出資を行うアコーディア・ゴルフ・トラスト

(「AGトラスト」)に対して運用指図を行うトラスティ・マネジャーの株式を 51%保有しています。(株式会社アコーディア・ゴルフ

が トラスティ・マネジャー株式の 49%を保有しています)。

・大和証券グループは、AGトラストのシンガポール証券取引所への上場に際し、国内外において、AGトラストの発行するユニットの引

受・販売を実施しました(当社は日本における販売を担当しました)。また、当社のグループ関係会社である大和証券キャピタル・マーケ

ッツ・シンガポール・リミテッドが、ジョイント・グローバル・コーディネーターとして、AGトラストにかかるストラクチャー組成等

全般的なアドバイスを実施しました。

・当社はAGトラストの株式を 5%超保有しています(平成 26 年 10 月 27 日時点)

Page 25: AGT20141107 initiation report finalaccordiagolftrust-jp.listedcompany.com/misc/AGT_Report...アコーディア・ゴルフ・トラスト AGT SP 2014年11月7日 - 4 - 財務諸表

アコーディア・ゴルフ・トラスト

AGT SP 2014 年 11 月 7日

- 25 -

開示事項

【株式レーティング記号について】

株式レーティング記号は、今後 6 ヶ月程度のパフォーマンスがベンチマークとする株価指数の騰落率と比べ、以下の通り判断した事を示しま

す。

1(買い)=15%以上上回る

2(アウトパフォーム)=5%~15%上回る

3(中立)=±5%未満

4(アンダーパフォーム)=5%~15%下回る

5(売り)=15%以上下回る

各国におけるベンチマークは以下の通りです。

日本:TOPIX、米国:S&P 500、欧州:STOXX Europe 600、香港:ハンセン指数、シンガポール:ストレイト・タイムズ指数、韓国:韓国総合

指数、台湾:加権指数、オーストラリア:S&P ASX200 指数

【利益相反関係の可能性について】

㈱大和証券グループ本社の現地法人等(*)は、このレポートに記載された会社に対し、投資銀行業務に係るサービスの提供、その他の取引

等を行っている、または行う場合があります。そのような場合には、㈱大和証券グループ本社の現地法人等(*)に利益相反が生じる可能性

があります。

【当社及び大和証券グループについて】

大和証券は、㈱大和証券グループ本社の子会社です。

【保有株式等について】

㈱大和証券グループ本社の現地法人等(*)は、このレポートに記載された会社が発行する株券等を保有し、売買し、または今後売買すること

があります。㈱大和証券グループ本社の現地法人等(*)が、株式等を合計 5%超保有している会社は以下の通りです。(平成 26 年 10 月末現

在)

該当なし

【主幹事を担当した会社について】

㈱大和証券グループ本社の現地法人等(*)は、平成 25 年 11 月以降下記の銘柄に関する募集・売出し(普通社債を除く)にあたり主幹事会社

を担当しています。

Modern Land (China) Co. Ltd (1107 HK); China Everbright Bank Company Limited (6818 HK); econtext Asia Ltd (1390 HK); Lotte Shopping Co (023530 KS); Rexlot Holdings Ltd (555 HK); Neo Solar Power Corp (3576 TT); Accordia Golf Trust (AGT SP); Hua Hong Semiconductor Ltd (1347 HK).

【その他の留意事項】

このレポートは、投資の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を意図するものではありません。投資の決定はご自身の判断と責

任でなされますようお願い申し上げます。レポートに記載された内容等は作成時点のものであり、正確性、完全性を保証するものではなく、

今後予告なく修正、変更されることがあります。内容に関する一切の権利は大和証券および㈱大和証券グループ本社の現地法人等(*)にあ

ります。事前の了承なく複製または転送等を行わないようお願いします。

* ここでの現地法人等とは以下の 1つまたは複数を指します。

• 大和証券キャピタル・マーケッツ香港リミテッド

• 大和証券キャピタル・マーケッツ・シンガポール・リミテッド

• 大和証券キャピタル・マーケッツ・オーストラリア・リミテッド

• 大和証券キャピタル・マーケッツ・インディア・プライベート・リミテッド

• 大和キャセイ・キャピタル・マーケッツ・カンパニー・リミテッド

• 大和証券キャピタル・マーケッツ韓国リミテッド

Page 26: AGT20141107 initiation report finalaccordiagolftrust-jp.listedcompany.com/misc/AGT_Report...アコーディア・ゴルフ・トラスト AGT SP 2014年11月7日 - 4 - 財務諸表

アコーディア・ゴルフ・トラスト

AGT SP 2014 年 11 月 7日

- 26 -

お取引にあたっての手数料等およびリスクについて

手数料等およびリスクについて

● 株式等の売買等にあたっては、「ダイワ・コンサルティング」コースの店舗(支店担当者)経由で国内委託取引を行う場合、約定代金に対して最大 1.24200%(但し、最低 2,700 円)の委託手数料(税込)

が必要となります。また、外国株式等の外国取引にあたっては、現地諸費用等を別途いただくことが

あります。

● 株式等の売買等にあたっては、価格等の変動による損失が生じるおそれがあります。また、外国株式等の売買等にあたっては価格変動のほかに為替相場の変動等による損失が生じるおそれがあります。

● 信用取引を行うにあたっては、売買代金の 30%以上で、かつ 30 万円以上の委託保証金が事前に必要です。信用取引は、少額の委託保証金で多額の取引を行うことができることから、損失の額が差し入れ

た委託保証金の額を上回るおそれがあります。

● 債券を募集・売出し等により、又は当社との相対取引により売買する場合は、その対価(購入対価・売却対価)のみを受払いいただきます。円貨建て債券は、金利水準の変動等により価格が上下し、損

失を生じるおそれがあります。外貨建て債券は、金利水準の変動に加え、為替相場の変動等により損

失が生じるおそれがあります。また、債券の発行者または元利金の支払いを保証する者の財務状況等

の変化、およびそれらに関する外部評価の変化等により、損失を生じるおそれがあります。

● 投資信託をお取引していただく際に、銘柄ごとに設定された販売手数料および信託報酬等の諸経費、等をご負担いただきます。また、各商品等には価格の変動等による損失を生じるおそれがあります。

ご投資にあたっての留意点

● 取引コースや商品毎に手数料等およびリスクは異なりますので、上場有価証券等書面、契約締結前交付書面、目論見書、等をよくお読みください。

● 外国株式、外国債券の銘柄には、我が国の金融商品取引法に基づく企業内容の開示が行われていないものもあります。

商号等 :大和証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 108 号

加入協会:日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、 一般社団法人第二種金融商品取引業協会