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87 7 はじめに なぜ今、連携なのか? 企業連携の種類 連携するきっかけ 成功する企業連携の流れ 戦略企画フェーズ 連携先調査・打診フェーズ 連携計画策定フェーズ 契約フェーズ 実施・モニタリングフェーズ 10 解消フェーズ 11 企業連携成功の勘所 12 国の支援策
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ビジネス連携 Vol6

Jan 22, 2017

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Page 1: ビジネス連携 Vol6

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7 はじめに

1 なぜ今、連携なのか?

2 企業連携の種類

3 連携するきっかけ

4 成功する企業連携の流れ

5 戦略企画フェーズ

6 連携先調査・打診フェーズ

7 連携計画策定フェーズ 8 契約フェーズ

9 実施・モニタリングフェーズ

10 解消フェーズ

11 企業連携成功の勘所

12 国の支援策

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(3)連携計画策定フェーズ 前ステップまでで、戦略レベルでパートナー企業との合意ができました。ここからは連携体の運営ルール構築にはじまり、具体的な“行動“計画に落とし込んでいきます。

ステップ⑨ 企業連携プロジェクトの環境整備

ステップ⑩ 詳細事項の検討・調整・交渉

ステップ⑪ 基本計画(実行計画)のまとめ

ステップ⑫ 計画のレビューと承認

連携計画策定フェーズの4つのステップ

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ステップ⑨ 企業連携プロジェクトの環境整備

環境整備とは、この後のいろいろな作業がスムーズにいくように必要な取り決めをしておきましょうということです。

それは、

重要メンバー固定

会議運営ルール

お互いの重要な制約条件の理解

の3つです。

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一つ目の重要メンバー固定について

企業連携プロジェクトの計画段階における基本的な体制は 以下の通りです。

企業連携の基本的な体制

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社長(担当役員) 最高意思決定者。重要な判断、問題解決を行い、リソースの調達、計画の変更等に責任を持つ。

プロジェクトマネージャー 企業連携プロジェクトの実行責任者。社内外の調整および各タスクの推進、会議の司会進行を行う。ドキュメントも作成することが多いため、連携の規模によっては、補佐担当を置いても良い。 また、検討初期、戦略構想から携わっているメンバーであることが多い。課長、部長クラスが望ましい。

事務局 プロジェクト全体の庶務を担当する。意思決定にかかわらない調整毎、管理を率先して行える能力があると良い。

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コンサルタント(外部支援者) 企業連携経験者。社内に営業、法務等の専門家が居ない場合はこれを兼任する形での参加となることもある。

営業担当 連携先との交渉およびマーケティング、販売準備を行う。交渉ごとはプロジェクトマネージャーと重複する部分でもあるが、プロジェクトマネージャーが販売準備活動を行う余裕が無い場合は、営業担当をアサインしたほうがよい。

法務担当 関連法律の調査、契約書作成、締結。中小企業の場合は社内に専門家が居ないケースが多い。

業務担当 関連する業務の責任者。プロジェクトには通常業務との兼任となる。各部門の調整権限を持つ役職が望ましい。

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これらのメンバーを早期に固定し、作成した戦略、ビジネスプラン、計画資料を説明し、理解させます。

プロジェクトの期間と、週・月・どの時期にどれだけの作業ボリュームが必要になるのかをあらかじめ提示し、ラインの責任者に理解を得る事が重要です。

通常、社内には、(隠れた)抵抗勢力がいるものです。

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二つ目の会議運営ルールについて

具体的な計画を策定していくためには、連携先企業との度重なる打ち合わせが必要になってきます。

ただし、ただ顔をあわせて話せばよいというものではなく、あらかじめ今日は何をどこまできめる、というやり方で進めなくてはなりません。

そのためには、以下を決めます。 会議体の整理

会議運営の役割

会議スケジュール

意思決定、合意形成の方法

議事録の扱い、承認の方法

場所、必要機器、情報共有のツール

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会議体の一例です。

企業連携をすすめるための会議体の例

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次に意思決定、合意形成の方法です。

基本は双方の意見が折り合い、理解と納得が得られる所に落ち着けば良いのですが、すべてがそうなるものではありません。

ひとつの方法として、代替案を出し、ある軸で評価して、双方の納得レベルが見えるようにするやり方をお勧めします。

企意思決定、合意形成の方法の例

対応難易度・・・3:困難だがなんとか頑張る、2:課題はあるが通常の努力の範囲、1:全然問題ない

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議事録の作成と承認方法については、一般的なビジネスルールになるので省略します。

特に、決定事項については、どのように合意されたか?キーになる部分を誰が発言したか?保留事項については、課題は何か?誰がいつまでに対応するか?

責任の所在がどこにあるのか?どういうプロセスで物事が決まってきたのか、後で見てわかるように書きましょう。

基本的には、コア企業の事務局が記載し、回欄の後、双方企業のプロジェクトマネージャーが承認する流れがよいでしょう。

決して、「若手の仕事」にしないでください。

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ステップ⑩ 詳細事項の検討・調整・交渉

これから進めていくべき事項について、抜け漏れの無いように、自社でじっくりと考えてリストアップしてみてください。 ビジネスモデル、業務プロセス、商品に関する連携事項

既存設備、施設利用

営業、広告宣伝、販売方法

契約内容、契約条項、制約条件

想定リスク、対応方法

費用負担、成果・利益配分

チェックポイント、事業撤退条件、連携解消条件

など、思いつくことはすべて何でもいいので文章、絵にします。

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続いて、連携先企業と突き合わせて、ひとつひとつ確認していきます。

このとき、初めて具体的な調整事項がでてくるかもしれませんが、いきなり対立モードにならないようにしてください。

相手は一緒にいいものをつくっていく仲間です。議論を楽しんで下さい。

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この時点でのポイントは、「やってみないとわからないから今は細かく考えなくていいや」をなくしておくことです。

たとえば、連携内容によっては、商品開発プロセス上の選択肢として、A案、B案、C案と複数の方向性が生じるかもしれません。この場合は、予想できる結果毎に次にどうアクションするかを決めておくべきです。

望ましいのは、上位方針である企業連携戦略に従って、一番ベストな案は何かを決めておくことでしょう。

またリスクについても、「顕在化してから考えればいいや」ではなく、リスク対応方針、方法についてもこのステップで考えます。

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ステップ⑪ 基本計画(実行計画)のまとめ

ステップ⑧では戦略レベルの合意、ステップ⑨⑩ではプロジェクトを推進していく上での詳細事項を確認しました。

これらを踏まえ、このステップでは、これまで検討してきた内容を、それぞれの担当者が迷わず実行できるレベルの計画書に落とし込んで、基本計画としてまとめます。

各企業内で別々で作成することになりますが、コア企業がベースを作成し、連携企業に提供してもよいでしょう。

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基本計画書に記載するべき内容は以下の通りです。

問題提起 事業の必要性・背景、市場のニーズ、現状分析・市場構造(データ、分析結果)

連携ビジネスビジョン 事業の目的・目標・展望、基本方針、スローガン

連携ビジネス(商品)コンセプト 商品・サービスのコンセプト、ポジショニング、差別化要素、提供価値

市場、ターゲット 顧客ターゲット(地域、業種、嗜好etc)、市場規模

各実行計画の内容 ①商品開発方法、②営業方法、③チャネル、④価格戦略、⑤ブランド戦略、⑥知財等、その他の具体的なアクション

事業リスク リスクおよび問題、課題と対応方法

収支計画 損益計画、投資、資金調達、助成金利用等

作業計画 WBS、体制、役割分担

撤退条件、他 チェックポイント、撤退条件、データ、関連資料他

連携の内容 連携内容、連携方法、契約内容、制約条件、プロジェクト推進ルール

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基本計画書の例です。

これを見れば行動に迷わないというレベルで作成します。

企業連携計画書の例

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ステップ⑫ 計画のレビューと承認

前ステップで作成した計画を各社必要な機関でレビューし、承認を得ます。

実担当者、プロジェクトマネージャーとして進めてきた人にとっては、この時点で大きな山場を越えたと感じると思います。

休息がとれれば一息ついてほしいものです。