私達 日本人 は、声 楽家 を除 くとまず初 め に ドイッか ら西洋音楽 を学 んで きた ように思 い ます。 しか しなが ら私の場合、ある年代になった頃か らイタリア音楽 へ の憧憬が 自然 に生 まれて きま した。かのゲ ー テは幼少 の頃か ら妹の イタリア語 を聴 きなが ら南 国の地 へ の憧れを持ち、成人 して「イタリア紀行」を執筆するまで イタリア ヘ の強 い 思 い を抱 いてい ま した し、 また イタリアの地 を踏 まなか った ドイツ語 圏の作 曲家、小説家 でさえ、音楽や作品の中に南国のエ ッセ ンス を織 り交ぜ ま した。私 は、イタリアの魅力 を考 えた時、古代 ロー マの歴史や現代のモー ド、 また地 中海 の気候 もあ る とは思 い ますが、や は リイタ リア語 の持 ってい る響 きの 美 しさとリズ ム感で はないか と思 えてな りませ ん。私 は上手 くイタ リア語 を話せ ませ んが、 この言語 は明瞭 な響 きも相 まって皆 を明 る くさせ、生 きる喜 び を表現 させ る力 を含 んでい るように思い ます。 だか らこそ音 楽 に最 も合 った言語 と言 われる所 以 なのではないで しょうか。 今回、ヴェルディ「運命の力」序曲を演奏 しますが、楽譜 を正確に演奏することも大切ですが (ア マチュ アの 場合はまずそこからですね)、 それ以上にイタリア語のも つ リズ ム 感 と美 しさに少 しでも近 づいた表現に なれば と思い ます。さらにラテ ン 語圏の言葉 は、ドイッ語 とは異 な り前 へ 進 もうとする推進力 を秘めています。 そ してオ ペ ラの内容 をコンパ ク トにまとめた序曲には、魅力的な歌の数 々と劇的表現、 エ キサイティングな ア ンサ ンブルが凝縮 されてい ますので、ライブならではの 表現 をお楽 しみ頂 ければ幸 いです。 二 曲 目の ピアノ 協奏由についてですが、まず西洋音楽史でい うところの古典派か らロマ ン 派になると、様 式美や調和の中で表現 されてきたものが、プライ ベー トなテ ーマ と自由な発想 に よって、 よ り大胆 に演奏 さ れ る もの へ と移行 してい った ように思 い ます。今 回の協奏 曲をみ ます と、 自由奔放 な作風 の中で次か ら次 ヘ と新たな楽想が生 まれ、 時 には思考が脈絡 もな く飛翔 し、気分 が覚醒 したか と思 えば鬱 に転 じて しまう。 と ころが第 二 楽章 になる と、今 までの事が まるで嘘 に思 えるほ ど、 クララ との 幸せな家庭 を表すかのような音 楽で満たされている。そ して三楽章の高揚感はワー グナ ー を彿彿 とさせ ます。 この ような感情 の起伏 をみ ま す と、 シユーマ ンはまさにロマ ン 派作曲家の典型だったのではな いで しょうか。 次に、皆さんの中にはご 存知 の方 もあ るか と思 い ますが、「 田園Jの 第 一 楽章のテ ーマは、 バル トー クの 論 文 に依 ります と、 ベー トーベ ンが活躍 した当時の、 西オ ース トリアに移住 したク ロ アチア人の演奏する 民族音楽であったことが分かってい ます。手元には その楽譜 もあ りますが、原曲はセルビアとク ロ アチ アの旋律 か ら取 られてい ます。 ちなみ に、この よ う な転用は現代であれば盗作騒 ぎになるか もしれませ 藤 薔轟 = 攣 `鵡 隕 鰻, 鐵 ‐ 辮 攣 … 鰺 ―菫 |「 卜言 [i:曹 』 `[ilill[:]F]][ 颯 菫琲曇冬匁仄心※ン、【霧贔仄評絣 猾 群 にテ 轟轟 轟 肇壁 ‐ 警 、 攣 = 襲 鑢 ` 娠 蜘 懸 『 が出来ます。では、クロ アチァ人が移住する村 々を 散歩 しなが ら楽 曲の構 想 を練 った ベー トーベ ンには、 村人の姿 と景色 、そ して彼 らの音楽が どの ように映 っ たことで しょう。ただ作曲者 も断っているように、 これ は決 して情 景描写 で は な く、 自然 と接 した時 の 感情の音楽であるとしている。 ところで、 ベー トーベ ンと同時代の哲学者 ヘー ゲルの美学講義 を以前読んで、冒頭か ら戸惑 った ところが あ りました。私は哲学や美学 を専門に勉強 してはお りませんが、 ヘー ゲルは美学 を論ずるにあた り、「美Jを 自然美 と芸術美の二つ に分け、自然美 には美の価値は無 い と考察か ら除外 し、 もっぱら芸術美に ついて細分 化 し論 じ始めました。私は登山が好 きなので「えっ、自然 は美 しくないの ?Jと 本 を手に しなが ら大声で叫 びたかった。 しか しなが らよく読むと、「美」 とは我 々の心の姿であ り、思考、感情、精神の表れが美に至る、 とかな り端折 って記 しますが論 じられています。 ベー ト ーベ ンの「田園Jは 確かに自然 を謳 い あげてい ますが、実は ′ 心の中に生 まれた「美Jを 音 として記 し たのではないか と思います。さらにシ ョーペ ンハ ウアー による「音楽は意志 自体 を表 し、それ以外の芸術 (絵 画、 建築、彫刻、詩など )の ように模倣 によって表現はされない 」 とする芸術観 を、僣越なが らここにご 紹介す るのをお許 し頂 きたいのですが、この事が作品をより深 く楽 しむためのささやかな助けとなれば幸 いです。 最後にな りますが、本 日お越 しの皆様方には、我 々の演奏中に多少のお耳汚 しの所 もあるか もしれませんが、 半年間練習を重ねて きた成果 をお楽 しみ頂ければ幸 いに存 じます。 また、アンケー トも団員の皆 さんは楽 し みに してお りますので、是非 ご 記入下 さいます ようお願い 申し上げます。 鋼 ‐ 羹 1諄 ‐ 蒔。 蓼■ ‐鐵 鑢 】畿 `攣 響 ‐藤