56 57 G2.1Nu 最大の注目は、30 種類の ドライヴ・エフェクトだ。往年の名機 から最近のヒット・モデルまで、アン プやエフェクターを多数シミュレートし ている。さらに、ZOOM ならではのド ライヴ・エフェクトなど、その音色は、 じつに多彩。ここでは、K-A-Zに、す べてのドライヴ・エフェクトを試奏して もらった! 〈FD Combo〉 フェンダーの通称ブ ラック・パネルと呼ば れる65 年製のツイン・リバーブをシ ミュレート。 K-A-Z :全体的に、かなりいい感じでシ ミュレートされていますね。ダイレクト・ モードでキャビネットの種類を選択でき るんだけど、これがおもしろいんです。 個人的には、ハムバッキングのギター を使っているからか、MATCHED(タ イプに応じて最適化されたキャビネット の設定)よりもTWEED のほうがシャリ シャリしてフェンダーっぽかった。ちな みに、STACKにすると、低域が出てく るので、ツイン・リバーブで低音が欲し いというなら、これを選ぶとおもしろい。 本物を使うことではありえないローが出 てきて、ツイン・リバーブに欲しいなと 思っていた部分を補ってくれます。 〈VX Combo〉 ヴォックスの名機 AC30TBXを モ デ リ ング。トップ・ブースト・ユニットと呼 ばれるゲインを稼ぐユニットが搭載さ れているモデルだ。 K-A-Z:ゲインをフルにして試してみた んだけど、振り幅が FD Comboより広 いですね。ゲインのかかり具合とかが、 アンプのタイプごとに違う設定がされて いるようで、そのあたりもおもしろい。 VX Comboの場合は、ゲインは上げす ぎないほうが、いい感じで、中域の出 方がヴォックスっぽくなりますね。なん DAW 対応のマルチ・エフェクターを次々と発表してくれる ZOOM から、最新のモデルが登場。デトロックスで活躍中の K-A-Z に協力 してもらい、注目のドライヴ・サウンドを、すべて試奏してもらった! ●エフェクト・モジュール:9 ●エフェクト・タイプ:83(COMP→Compressor、 Rack Comp、M Comp。WAH/EFX→Auto Wah、Resonance、Booster、Tremolo、 Phaser、Ring Mod、Slow Attack、Octave、Pedal Vox、Pedal Cry。ZNR→ZNR、 Noise Gate、Dirty Gate。DRIVE→本文参照。EQUALIZER→6 BAND EQUALIZER。 MODULATION→Chorus、Vintage CE、Stereo Chorus、Ensemble、Phase、 Flanger、Vibrato、Step、Dynamic Flanger、Cry、Detune、Pitch Shift、Mono Pitch、HPS、Pedal Pitch、Comb Filter、Air、Dynamic Delay、Tape Echo、Delay、 Modulation Delay。DELAY→Delay、Echo、Ping Pong Delay、Analog Delay、Reverse Delay。REVERB→Hall、Room、Spring、Arena、Tiled Room、Early Reflection、Multi Tap Delay。TOTAL→Patch Level、RTM ●パッチ・メモリ:ユーザー100+プリセット 100=合計200 ●サンプリング周波数:96kHz ●A/D変換:24ビット64倍オーバー・ サンプリング ●D/A変換:24ビット64倍オーバー・サンプリング ●信号処理:32ビッ ト ●周波数特性:20Hz~40kHz +1.0dB -3.0dB (10kΩ負荷時) ●ディスプレ イ:128×64ドット(バックライト付きグラフィックLCD) ●入力:標準フォン・ジャッ ク ●定格入力レベル:-20dBm ●入力インピーダンス:1MΩ ●出力:標準ステレオ・ フォン・ジャック (ライン/ヘッドフォン兼用) ●最大出力レベル:+5dBm(出力負荷イ ンピーダンス:10kΩ以上時) ●ヘッドフォン出力:20mW+20mW (32Ω負荷時) ● コントロール入力:エクスプレッション・ペダル、フット・スイッチ ●USBインターフェー ス:16bit、32kHz/44.1kHz/48kHz ●対応OS:Windows XP/Vista/7、Mac OS X v10.4/10.5/10.6 ●S/N:120dB ●ノイズフロア:-100dBm ●電源:単3電池× 4、ACアダプタ(AD-16:DC9V/センターマイナス/500mA)、USBバスパワー ●電池 寿命:6.5時間 (アルカリ電池使用時) ●外形寸法:169(縦)×260(横)×67(高 さ)mm ●重量(電池含まず):1,300g 的楽器試奏会 注目の歪み30種類をすべて弾き倒してしまいました! G2.1Nu ¥19,950 ■問い合わせ:㈱ズーム (http://www.zoom.co.jp) ZOOMの 最新エフェクター G2.1Nu を K - A - Zが試す!! ズーム ゼンスをドカンと上げたような高域の出 方がいいですね。ロー・チューニング のギターでも、高域がシャリっと出てく れているので、低音のコードに行っても 音が濁らずに出てくれてフレーズが見え やすい。これぐらいになってくると、か なりサウンドが近代的になってきます。 〈DZ Drive〉 今や、モダン・アン プの代表モデルと言っ ても過言ではないディーゼルのハー バーをモデリング。ダウン・チューニ ングにもピッタリの重低音が特徴だ。 K-A-Z :ディーゼルらしく、上品であり ながら押しの強い歪みが出せてます ね。元々ディーゼルって、歪みのトーン が、マーシャルなどの鋭角な感じでは なくマイルドなんだけど、音の固まり感 がすごくあって迫力もあるという感じな んです。その雰囲気が出せてる。やっ ぱりダウン・チューニングも、すごく合 います。 〈BG Drive〉 2000 年 前 後 の モ ダン・ヘヴィ系バンド が、愛用したことで知られるメサ・ブ ギーのデュアル・レクティファイアー のシミュレート。 K-A-Z :お~、DZ Drive からガラっと 変わった ! ニュー・メタルが出てきた 頃の音ですね。あの頃、誰しもが出し ていた音(笑)。これまでの試奏は、トー ンのツマミを12 時ぐらいの位置で弾い ていたんだけど、これは 3 時ぐらいにし て弾くといい感じです。12 時ぐらいだ と、レクチの特徴なんだけど、ちょっと G2.1Nu には、実戦的なものから、有名 ギタリストの音をシミュレートとしたプリセッ トが多数搭載されている。エディもあれば、 初期のイングヴェイにランディ・ローズ、ダイ ムバッグに、カート・コバーンなどなど、プ リセットを選んで弾いているだけでも、かな り楽しい。 さらに、あのスティーヴ・ヴァイ監修によ るプリセットも20 種 収 録。こちらの 感 想 は?? K-A-Z :ヴ ァ イ の プ リ セ ット の 中 で も、 「Dreamdrg」というがおもしろいですね。 ヴォリューム奏法的な音を作ってくれて、ピッ キングの最初のタッチの音を消してくれま す。逆回転みたいな効果にもなってくれる。 ピッキングした音は出てこないんですよ。あ と、「Wreckles」も、いかにもヴァイという か( 笑 )。このプリセットも、ピッキングの感 じでワウのかかりが変わるようで、とにかく 変わっていて、弾いている姿を見ないと、ど うやって弾いているかもわからないんじゃな いかな ? 全体的に、すごくエフェクティヴ で、曲中で、一瞬出てきたり、楽曲の中でア クセント的に使うと、すごくいいんじゃない ですかね。こういう飛び道具が最初から入っ ているというのは、うれしいです。 DAWなどのでのダイレクトなラ イン・レコーディングに最適なダイレ クト・モードを装備。ボタンひとつで モードに入れるので、セッティングの 切り替えが容易にできる! K-A-Z :音の締まり方が、オンとオ フではかなり違う。マイクでアンプ を拾ったような雰囲気を出してくれ てます。ライン直で録るような、ジャ リジャリした部分がカットされて、ラ インっぽさをなくしてくれますね。 (デトロックス) ◎ K-A-Z(カズ) 元シャム・シェイドの栄喜とともにデトロックスで 活動する重低音ギタリスト。ヘヴィなリフだけではなく、速弾きはもち ろんのこと、テクニカルで多彩なプレイにも定評があり、昨年、行な われた黒夢の武道館ライヴではサポート・ギタリストを担当。清春が 再始動させたサッズへの参加も決まり、その他でも、カイキゲッキョ クをはじめ多数のバンドで強力なプレイを披露している。最近、なん と8弦ギターを入手し、前代未聞のさらなる重低音リフが開発される ことは必至だ! 3月に発売されたデトロックスの最新作でも、強力 なギター・プレイを炸裂。くわしくは、39 ページを! となく軽いニュアンスというか、思わ ずニヤっとさせられます(笑)。これは、 キャビはMATCHEDで充分にそれっ ぽいサウンドが出ます。不思議なこと に、こちらはSTACKを選んでも、そ れほど低域が出てこないんですよ。 〈US Bluse〉 59 年 製 の フ ェ ン ダー・ベースマンのブ ライト・チャンネルをモデリングした エフェクト。 K-A-Z :けっこう歪みますね。音的に は、ブルージーなテイストがたっぷりの トーンで、ギターのヴォリュームを絞っ て弾いたりすると、いかにもブルースが 合いそうなサウンドになる。デジタル系 のエフェクトって、ギター側のヴォリュー ムを絞ったりすると、音が途切れたりし ちゃうんだけど、この G2.1Nuは、しっ かりとヴォリュームに付いてきますね。 歪ませていても、ギター側のヴォリュー ムを絞るとクリーンっ ぽい音になる。 〈BG Crunch〉 メサ・ブギーの3 号機であり、グラ フィック・イコライザーに 3チャンネル を装備したマークIIIをシミュレート。 K-A-Z :トーンのかかりが、めちゃめちゃ いいですね ! これまでの機種とは段違 いに効きます。トーンを上げていくと、 グワァ~とハイが出てくる。音的には、 80 年代のアメリカン・ハード・ロックの ニオイがします。 〈HW Stack〉 ブリティッシュ系 ならではの湿ったトーンが特徴のハイ ワット・カスタム100 をシミュレート。 K-A-Z:これは歪みまくるという感じで はなく、軽い方向のトーンが特徴です。 ロー・ミッドあたりの出方が、これまで 試奏してきたタイプとは違ってギラギラ しているのではなく、ホントに湿った感 じというかね。コードの分離がすごくい いサウンドをしていますね。 〈MS Crunch〉 プレキシの愛称 でも知られるヴィン テージ・マーシャルの代表的モデル、 1959スーパーリード100 だ。 K-A-Z:オールドのマーシャルというと 歪まないわ音は暴れるわで大変だった イメージがあるんだけど、これはすごく まとまって弾きやすい音になってます。 ヴィンテージのマーシャルにオーバード ライブをカマしてあるぐらいな感じ。音 的には、中音域にすごく特徴があって 厚みがある。ホントに心地よく歪んでく れるので、もし昔のマーシャルっぽく弾 くなら、ゲインを下げ目にして弾くと雰 囲気が出るんじゃないかな。こちらは キャビをMATCHEDで鳴らすとモダン な感じになって、STACKを選ぶと暴 れた感じになって、ヴィンテージ・マー シャルっぽい。 〈MS Drive〉 マーシャルの定番モ デ ル JCM2000 の シ ミュレート。モデルとなっているのは、 2000のDSL-100でリード・チャン 中低域が出過ぎてしま う感じになる。ゲイン は、60 以 降、 ほ と ん ど変わりません。それ も、レクチらしいとい うか(笑)。でも、ソロ を弾くなら、ゲインを 上げると伸びやかで弾 きやすい。本物のレク チって、重低音のイメージが強くてソロ が弾きにくい印象があるんだけど、こ れはゲインの調整しだいでソロもいけま すね。 ここからは、エフェクターのモデリ ングなので、アンプに接続して試奏を 行なった。 〈OverDrive〉 絶版となった今でも多くの ギタリストに愛されているボ スのOD-1だ。 K-A-Z:アンプのほうで軽く歪ませて、 G2.1Nuをブースター的に使って弾いて みたんだけど、デジタル臭さがないの に驚かされました。これ、ぜんぜんエ フェクターとして使えるじゃないです か。すごい OD-1 っぽ い ! セッション とかあの時にOD-1だけ持っていって弾 くのね。そのいつもの音がしてくれる。 ふつうにエフェクターとして使えるし、 G2.1Nu って知らなかったらOD-1だと 思うぐらい、かなり、いい線いってます よ。G2.1Nuはノイズ・ゲートが入ってい るから、OD-1 使ってるのにノイズがな いっていうのもおもしろい。 〈T Scream〉 アイバニーズから発売された オーバードライブの名機チュー ブ・スクリーマーの初代ヴァージョン をモデリング。 K-A-Z:ミッドにすごい特徴が出てきま すね。チューブ・スクリーマーっぽいと いうか、チューブ・スクリーマーのキャ ラクターが、いちばん出ているところに 焦点を合わせた感じ。チューブ・スク リーマーの中域が好きな人にはたまら ないんじゃないでしょうか。 〈Governor〉 88 年に発売されると同時 に、多くのギタリストが飛び ついたマーシャルのディストーション・ エフェクター、ガヴァナー。その初期 イギリス製モデルをシミュレート。 K-A-Z:ガヴァナーならではというか、 高域の歪みのツブが、すごく細かいサ ウンドですね。とくにマーシャルのアン プで鳴らすと、いかにもガヴァナーとい う音が再現されます。中域から高域の ファットさは、いかにもですよ。 〈Dist +〉 ランディ・ローズが使用し ていたということで知られる MXRのディストーション+ のモデリン グだ。 K-A-Z:高域のヌケがよくて、ギラギラ したディストーションなので、そのキャ ラクターが好きな人にはたまらないサウ ンドです。最近のドギツイというか下品 な歪みというのではなく、クリアで整理 されたパリっとした歪みですね。 〈Dist 1〉 これまた、ディストーション の代名詞的存在として君臨し、 現在も発売されているボスのDS-1の シミュレート。 K-A-Z:これは、太いトーンを出してく れるディストーションですね。すごくサ スティンも効いて伸びやかになる。高校 生の時に使っていたんだけど、すごく懐 かしい音。これ、1個あれば、どんな に歪まないアンプでも弾きやすく歪んで くれるという。とにかく、高域のかかり がいいのでソロも弾きやすいです。 〈Squeak〉 LAメタル全盛時、多くの ギタリストが愛用したプロコ のラットをシミュレート。 K-A-Z :懐かしい ! アンプをクリーン にして弾くとキラびやかでパリっとした ディストーション・サウンドが得られて、 ネルのサウンドだ。 K-A-Z:基本的には、MS Crunchに近 いトーンを持っていると思います。そこ に、ゲインと倍音を現代的にしたサウン ドですね。ゲイン・ツマミの幅がマー シャルらしくて、50ぐらいからあまり変 わらなくなってる(笑)。ソロとかでサス ティンが欲しいのであれば80ぐらいに して、バッキングでは 50 ~ 60ぐらいが いいと思います。トーンのツマミは、上 げていくとすごくハイが抜けてきます ね。これも、ギター側のヴォリューム調 整で歪みの量を変えられるのがいいで す。キャビネットは、特に俺みたいにダ ウン・チューニングしているギタリスト にはSTACKのほうがローの出方が抜 群にいいです。 〈PV Drive〉 エ デ ィ・ ヴ ァン・ ヘイレンのシグネイ チャー・モデルとして世界に広まった ピーヴィーの5150。その初代モデル をシミュレートしている。 K-A-Z :お! 5150だ(笑)。このドンシャ リ感は、思わずsus4とかを弾きたくな る。これもキメが細かい歪みで、プレ アンプをやや歪ませて使うと、一気に ものすごく太い音のディストーション・ サウンドになる。アンプのセッティング で、ぜんぜんキャラクターが違うエフェ クターになりますね~。基本的には太 い音が特徴なので、使い道によって、 おもしろいですよ。 〈FuzzSmile〉 円形のシェイプが印象的 なダラス・アービタのファズ・ フェイスのシミュレート。ジミ・ヘンド リックスが愛用していたことでも知ら れる60 年代のモデルだ。 K-A-Z :イッキに 60 ~ 70 年代の音にな ります(笑)。ファズって、高い音域のフ レーズを弾いても太い音を出してくれる んですよね。ハイ・ポジションでチョー キングすると、このコンプ感がたまらな い。それと、ファズって弾くのが難しい イメージがあったんだけど、これはファ ズなのにソロもついてきて弾きやすい です。 〈GreatMuff〉 多くのギタリストに愛され 続けているエレクトロ・ハー モニックスのビッグ・マフ。これは、 70 年代前半の通称ラムズ・ヘッドと呼 ばれるモデルのシミュレートだ。 K-A-Z:ミッドからローの音域をグンと 上げて、わざとコモったトーンにしてい るようなサウンドが特徴ですね。サス ティンの伸び具合がすごい。アンプに つないで弾けば、サスティナーがいら ないぐらい永遠に伸びてくれます。歪 み的には、ディストーションとファズの 中間で、コードを弾くとツブの荒い歪み が得られます。 〈MetalWRLD〉 ボスの歪み系エフェクターの 中でも最強の部類に入る歪み を出してくれた MT-2、メタル・ゾーン をシミュレート。 K-A-Z:もろドンシャリの音になりま す。昔は、ふつうのアンプでここまでド ンシャリにできなかったから、発売さ ➡ ボタンひとつで、 キャビネット・ シミュ レータが作動 スティーヴ・ヴァイ監修プリセットを 含む100プリセットを装備 ライン録音に最適な ダイレクト・モードを搭載