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WACKER HDK® 高分散シリカ
HDK の製造方法
WACKER HDK®は日本で 30 年以上の実績があり、塗料、インキ、不飽和ポリエ
ステル、ゲルコート、接着剤、シーリング剤等の幅広い用途で使用されております。
WACKER HDK®は、乾式製法の微粉末シリカで、表面処理をしていない親水性シ
リカと、アルキルシラン等で表面処理をした疎水性シリカがあります。この微粉末
シリカを液中に静置させることで、粒子が網目構造状につながり、強力な増粘効果
を示します。 また、攪拌することで、この網目構造は容易に壊れ、粘度が急激に
下がります。 この性質は、塗料や接着剤のたれ防止に利用されます。WACKER
HDK®は、一次粒子の立体構造を工夫することで、より少量で増粘効果が発現する
ことを特長としております。
右図は WACKER HDK®の製造プロセスの模式図で、
四塩化ケイ素(SiCl4)を水素(H2)火炎中で燃焼させ
ることにより二酸化珪素が生成され、一次粒子を形成し
ます。 一次粒子は火炎中で他の粒子と融着し、複雑な
形状の一次凝集物が形成されます。
この一次凝集物が粒子としての最小単位となります。
この一次凝集物が冷えて、他の凝集物と物理的に結合す
ることで、二次凝集物が形成されます(上の写真)。 こ
の二次凝集物は、強いシェアをかけて分散することによ
り、粉砕され、1次凝集物となります。
特徴
《 反応 》 SiCl 4
+ 4 H 2
+ O 2
SiO 2
+ 4 HCl
バーナー
SiCl 4
H 2
反応
核生成
衝突 衝突
火炎
衝突
一次粒子 (5~30 nm)
一次凝集物 ( 100 ~ 40 0 nm)
二次凝集物 (約 10 μ m)
冷却
1600 ℃ 1200 ℃ 室温
《 反応 》 SiCl 4
+ 4 H 2
+ O 2
SiO 2
+ 4 HCl 《 反応 》 SiCl 4 + 2H 2 + O 2 SiO + 4 HCl 《 》 + O 2
バーナー
SiCl 4
H 2 空気
反応
核生成 核生成
衝突 衝突
火炎
衝突
一次粒子 (5~30 nm)
一次凝集物 ( 100 ~ 400 nm)
二次凝集物 (約 10 μ m)
冷却
1600 ℃ 1200 ℃ 室温
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疎水性 WACKER HDK® 親水性 WACKER HDK®
WACKER HDK® の表面
状態
WACKER HDK®の電子顕微鏡写真 写真左:一次凝集物
一次粒子が融着し、複雑な立体構造の凝集物を形成しています。
この凝集物は強固に融着しているため、粉砕することはできず、
粒子としての最小単位となります。
写真左の凝集物の長径: 375.2 nm
写真右:二次凝集物
一次凝集物が物理的に凝集し2次凝集物を形成しています。こ
の凝集物は、シェアをかけて分散することにより、1次凝集物
まで粉砕することができます。
写真右の凝集物の長径: 8.51μm
親水性シリカ(右図)は、粒子表面が水酸基
(Si-OH)で覆われているため、親水性を示し
ます。 親水性シリカ表面の水酸基をメチルシ
ラン等で置換することにより疎水化され、疎水
性シリカが得られます。
疎水化のための表面処理剤としては、ポリジメ
チルシロキサン、メチルクロロシラン、ヘキサ
メチルジシラザンなどが挙げられます。
例えば、HDK® H18 は、シリカ表面をポリジ
メチルシロキサンでほぼ完全に表面の水酸基
を疎水化し、シロキサンの両末端とシリカ表面
を化学結合させることで、シロキサンの溶出を
防いでいます。
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WACKER HDK®のグレードと基本物性
S13 V15 N20 N20P T30 T40
単位
比表面積(BET 法)
(DIN 66131) m2/g 125±15 150±20 200±30 200±30 300±30 400±40
SiO2含有量
(DIN 55921) wt% > 99.8 > 99.8 > 99.8 > 99.8 > 99.8 > 99.8
かさ密度
(DIN ISO 787/11) g/ℓ 約 50 約 50 約 40 約 110 約 40 約 40
含水率(105℃/2h)
(DIN ISO 787/2) wt% < 1.0 < 1.0 < 1.5 < 1.5 < 1.5 < 1.5
加熱減量(1000℃/2h)
(DIN 55921) wt% < 1.5 < 1.5 < 1.5 < 1.5 < 2.0 < 2.5
pH値 (DIN ISO 787/9) - 3.6~4.3 3.6~4.3 3.6~4.3 3.6~4.3 3.6~4.3 3.6~4.3
ふるい残分(>40μm)
(DIN ISO 787/18) wt% < 0.03 < 0.03 < 0.04 < 0.04 < 0.04 < 0.04
HCl 含有量 wt% < 0.02 < 0.02 < 0.02 < 0.02 < 0.02 < 0.02
Al2O3含有量 wt% < 0.05 < 0.05 < 0.05 < 0.05 < 0.05 < 0.05
Fe2O3含有量 wt% < 0.005 < 0.005 < 0.005 < 0.005 < 0.005 < 0.005
TiO2含有量 wt% < 0.003 < 0.003 < 0.003 < 0.003 < 0.003 < 0.003
親水グレード
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H15 H18 H20 H30
単位
表面処理剤 ---------- メチルクロロシラン ポリジメチルシロキサン メチルクロロシラン メチルクロロシラン
比表面積(BET 法)
(DIN 66131) m2/g 120±20 200±30 170±30 250±30
SiO2含有量
(DIN 55921) wt% > 99.8 > 99.8 > 99.8 > 99.8
かさ密度
(DIN ISO 787/11) g/ℓ 約 40 約 40 約 40 約 40
含水率(105℃/2h)
(DIN ISO 787/2) wt% < 0.6 < 0.6 < 0.6 < 0.6
加熱減量(1000℃/2h)
(DIN 55921) wt% < 2.0 < 4.5 < 2.0 < 2.0
pH値
(DIN ISO 787/9) - 3.8~4.5 3.8~4.5 3.8~4.5 3.8~4.5
ふるい残分(> 40μm)
(DIN ISO 787/18) wt% < 0.05 < 0.05 < 0.05 < 0.05
HCl 含有量 wt% < 0.02 < 0.02 < 0.02 < 0.05
Al2O3含有量 wt% < 0.05 < 0.05 < 0.05 < 0.05
Fe2O3含有量 wt% < 0.005 < 0.005 < 0.005 < 0.005
TiO2含有量 wt% < 0.003 < 0.003 < 0.003 < 0.003
炭素含有量 wt% < 1.5 < 1.5 < 1.8 < 2.0
疎水グレード
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WACKER HDK®の用途
用途 グレード 添加量 (wt%) 分散装置 効果
接着剤
・ウレタン系
・クロロプレン系
・エポキシ系
・エマルジョン系
・ H18, H20
・ N20, H20
・ N20, H18, H20
・ N20, H20
0.8~1.2
ディゾルバー
ロールミル
攪拌機
増粘、チクソ性付与、
充填剤の沈降防止、
作業性向上
インクジェット用紙(写真画質) ・ T30 20%(塗工液原体として) ディゾルバー
攪拌機
インクの高速吸着、
外観が平滑で高光沢
高吸水性ポリマー ・ N20, T30 5.0~10.0
ディゾルバー
ニーダー
ロールミル
吸水性ポリマーの吸水性向上
バッテリー
・蓄電池
・リチウムイオンポリマー電池
・ N20, N20P
・ H18, H30RM
5.0~6.0
10~20
ディゾルバー
ニーダー
バッテリー破損時の液状硫酸溶液の漏
出防止。
液状リチウムイオンポリマーの固形化
による容器の軽量化。
PVC
・塩ビゾル
・軟質塩ビコンパウンド
・ケーブルコンパウンド
・ドライブレンドコンパウンド
・フィルム
・ N20, T30, T40
・ N20, T30
・ T30, T40
・ H20
・ N20, T30, H20
0.3~2.5
0.1~0.8
1.0~2.0
0.05~0.5
0.1~1.0
ディゾバー
ロールミル
フルイドミキサー
増粘、チクソ性付与、
充填剤の沈降防止、
接着性の向上、
流動性の改良、
誘電特性の向上
ポリエステル
・ラミネート
・ゲルコート
・パテ類
・ N20
・ N20, T30
・ N20
0.8~1.2
2.0~3.0
0.5~1.0
ディゾルバー
ニーダー
ロールミル
超音波分散機
増粘、チクソ性付与、
充填剤の沈降防止
印刷用インク
・スクリーン印刷
・グラビア印刷
・フレキソ印刷
・オフセット印刷
・ N20, T40
・ N20
・ N20, T30, H15, H20, H30
・ N20P, H15, H20
1.0~10
0.5~2.0
0.5~2.5
0.5~2.5
ディゾルバー
ロールミル
増粘、チクソ性付与、
充填剤の沈降防止、
水分量の調整、
印刷特性(コントラスト
明るさ)の改良
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WACKER HDK®の用途
用途 グレード 添加量 (wt%) 分散装置 効果
医薬用部外品、化粧品
・歯磨き
・錠剤類
・糖衣錠
・精製粉末
・粉末
・エアゾール
・懸濁液、混合物
・軟膏、クリーム
・ N20, N20P
・ N20
・ N20
・ N20
・ N20, H20
・ N20
・ V15, N20
・ V15, N20
1.5~5.0
1.5~10
3.0~12
2.0~5.0
0.1~1.0
0.1~3.0
0.2~3.0
2.0~10
ディゾルバー
ロールミル
機械式ミキサー
ヘンシェルミキサー
増粘、チクソ性付与、
充填剤の沈降防止、
流動性の改良、
賦形効果
天然・合成ゴム ・ N20, H18,
・ H15, H20 5.0~35
インテンシブミキサー
ロールミル 補強・強化
熱硬化型シリコーンゴム
・ S13, V15, N20,
・ T30, T40,
・ H15, H20
15~35 ロールミル、
ニーダー
補強・強化、
誘電特性の向上
室温硬化型シリコーンエラストマー
RTV-1、RTV-2 シリコーンゴム
・ S13, V15, H15, H20 3.0~30
プラネタリーミキサー
ディゾルバー
押出し成形機
補強・強化、
チクソ性の付与
室温硬化型エラストマー
ポリウレタン
ポリサルファイド(チオコール)
アクリル
・ V15, H20
・ V15, H15, H20, N20
・ V15, H20
3.0~25
0.7~3.0
0.5~1.5
プラネタリーミキサー
ディゾルバー
押出し成形機
補強・強化、
チクソ性の付与
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親水性 WACKER HDK®の増粘効果
WACKER HDK® N20 と他社同等品の粘度比較
---不飽和ポリエステル樹脂中にフュームドシリカ 1.2%添加---
このグラフは、粘度計の回転数が小さい状態(静置した状態)から回転数が大きい状態(より強いシェアをかけた状態)
での粘度の変化を表しております。 つまり、せん断力がかかっている場合には、粘性が下がり、せん断力がかかって
いない場合には、高い粘度を示します。
WACKER HDK® H18 の増粘性、チクソ性の保存安定性
右のグラフは、シリカを 1.2%ポリウレタン樹脂に添加した際の粘度と、壁面にたれずに塗ることができる塗膜の厚みの経時変
化を測定したものです。シリカ表面を両末端反応型のポリジメチルシロキサンで処理し、ほぼ完全に疎水化した WACKER
HDK® H18 は、他の部分的に疎水化されたシリカや親水性シリカに比べ、高い増粘性やたれ防止性、経時変化が小さいことが
特長です。この特性は、特に極性の高い樹脂(ポリウレタン、エポキシなど)で顕著に発現します。WACKER HDK® H18
は疎水化率が高いため、水分の影響を受けやすい樹脂(ポリウレタンなど)の増粘に最適です。
0
500
1000
1500
2000
2500
3000
3500
4000
4500
5000
5 10 20 50 100
粘度計の回転数(回転/分)
ブルックフィールド粘度計による粘度
[m
Pa
s]
HDK N20
他社品 D
他社品 C
他社品 T
添加せず
親水性 WACKER HDK®を樹脂等に分散させた場合、一般的に比表面積が大きいものほど、増粘効果が
大きくなると考えられます。右のグラフで示すように比表面積(BET 法)が約 200 ㎡/g(WACKER
HDK® N20)が最も大きな増粘効果を示しております。 WACKER HDK® T30 や T40 は、粉砕によ
り容易に一次凝集物にならないため、WACKER HDK® N20 と比べ比表面積に準じた増粘効果が得られ
ません。したがって、WACKER HDK® N20 は、一般的な攪拌装置で最も増粘効果の得られるため幅広
い用途で使用されております。
経時後の 粘度(60℃、14日)
初期膜厚 経時 後の膜厚(60℃、14日)
初期粘度
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樹脂の種類によるWacker HDK の応用
極性 中程度の極性 非極性
アクリル樹脂
長鎖アルキッド樹脂 中程度の鎖長のアルキッド樹脂 短鎖アルキッド樹脂
エポキシ樹脂 エポキシエステル樹脂
不飽和ビニルエステル樹脂 不飽和ポリエステル樹脂
メラミン樹脂
ニトロセルロース樹脂
ウレタン樹脂
親水性シリカ
Wacker HDK N20
完全に疎水化(シリル化)したシリカ
Wacker HDK H18
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チクソトロピー効果
貯蔵の場合 硬化時の場合 使用時の場合
粘度の回復
チクソトロピーを持つ
不飽和ポリエステル ノンサグ状態
時間
粘度
せん断応力がかかっ
ている状態
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PDMS処理したシリカの粘度緩和(24時間後と4週間後の室温での貯蔵)
2液型エポキシ接着剤、2% シリカ配合、 (無溶剤)
Step1 D=0.5 s-1
Step2 D= 500 s-1
Step3 D= 0.5 s-1
粘度の緩和
(S
tep
3)
at
D=
0.5
s-1
[P
as]
Wacker HDK H18 Wacker HDK H19
0
5
0
10
0
15
0
20
0
25
0
30
0
Silica D Silica B Silica C
24時間後
4週間後
粘度の測定条件:
低い シリカの極性 高い
シリカの配合 容易
高い レオロジーの改善能力と安定性
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製品荷姿
200g ポリ容器(サンプル用) 10kg ポリエチレン内装紙袋 150Kg ビッグバッグ
紙袋サイズ: 110 x 68 x 28 cm
パレットサイズ: 2 袋/段 x 8 段 = 計 16 袋
(130 x 130 x 220 cm)
バッグサイズ: 110 x 110 x 200 cm
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150kg 入りビッグバッグの取扱い
150kg 入りのビッグバッグから WACKER HDK®を取り出すには専用の取り出し装置を用いるのが便利です。
WACKER HDK®は少量で増粘効果が得られるよう1次凝集物が複雑な立体構造を有しているため、ソフトケーキ
になりやすく、下の取り出し口を開けただけでは、中のシリカを取り出すことが困難です。専用の取り出し機は写真
のような装置で、バッグ内に圧縮空気を破裂させた衝撃でソフトな固まりを破砕し、ダイアフラムポンプで吸引して
取り出す方式となっております。
取り出し装置本体 取り出し機本体にビッグバッグ下部の
取り出し口を固定したところ
ダイアフラムポンプ