Title FRP材料の引張強さと引張試験片について Author(s) 真喜志, 康ニ; 兼城, 英夫; 宮城, 清宏 Citation 琉球大学理工学部紀要. 工学篇 = Bulletin of Science & Engineering Division, University of the Ryukyus. Engineering(5): 97-101 Issue Date 1972-03 URL http://hdl.handle.net/20.500.12000/24516 Rights
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Title FRP材料の引張強さと引張試験片について
Author(s) 真喜志, 康ニ; 兼城, 英夫; 宮城, 清宏
Citation琉球大学理工学部紀要. 工学篇 = Bulletin of Science &Engineering Division, University of the Ryukyus.Engineering(5): 97-101
Issue Date 1972-03
URL http://hdl.handle.net/20.500.12000/24516
Rights
FRP材料の引張強さと引張試験片についてT
真喜志康ニ*兼城英夫*宮城清宏*
The Fundamental aspect of the FRP tensile test
piece a.nd FRP tensile strength
Yasuji MAKISHI, Hideo KANESHIRO, Kiyohiro MIYAGI
The test material for experiment is made by combining with Fiber glass and
polyester resin which is molded by hand-Iay-up method, placing Fiber glass and
polyester resin in turn. We studied behavior of the deform and the starting point
of demolition aiming to break the test piece at the part of effective range which is
produced by the use of the primary test records and the refference books_
The results obtained are summarized as follows:
1. 1n the experiment the uniformed type and size of the test piec巴 tobe broken
at the effective range could not be found, however the result of the tests indicated
the possible width in the effective range of the test piece if the depth is known.
2. Normally there is not much defference in the strength of tensile if the width of
effective range is enlarged except in some unusual occations.
3. 1t seems to be better to decide an appropriate width of the test piece which
wi11 be easi1y broken in the effective range, considering the smal1 width described in
the report, rather than merely enlarging the width of the test piece in the effective
range.
4. There seems to no difference between the breaking and the spot failure in the
test piece will not cause the break, but the split direction to width wi11.
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1. まえがき
複合材料としてのFRPはポアソン比の異なる補強
材とマトリ ックス 材の組合わせであり,一般にガラ
ス繊維を補強材として用h これを樹脂で接着し,成
形している。このためにガラス繊維問には樹脂が浸入
し,よく接着することによって,引張荷重はガラス繊
維の長手方向に均等に伝達され, FRP材料は非常に
強くなる。このようなガラス繊維を樹脂で接着した
FRP は工業材料としてすぐれた性質を有しているの
で,金属や木材とともに広い分野において使用されて
きている。そしてその性質は 1) 樹脂及びガラス繊
維の種類と含有量 2) 成形法及び成形作業の熟練
度 3) ガラス繊維と樹脂の接着性 4) ガラス繊維
↑ 受付:1971年9月30日
ネ 琉球大学理工学部機械工学科
(1)(2) の形状及び寸法のむらめガラス繊維の配向 等
によって大きく左右される。
本稿において,著者等はガラス繊維によるFRPの
強度と破嬢状況について調べるとともに,引張試験片
の平行部巾の増大によって平行部から断面変化を起し
はじめる点で脆性破猿を起しやすくなる。従って板材
の引張試験片形状を板厚と試験片平行部巾より適切な
真喜志・兼城・宮城 :FRP材料の号l張強さと引張試後片について
研究した結試験片形状があるものと思われたので,
果,これを報告する。
98
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(丘一司MWOHUロ由民むい
width'mm)
引張試験片の形状を仮に慣用形にして実験すると,
そのほとんどがチャック部及びR部で破断を起してい
る。また,定まった引張試験片形状はないが, FRP (3)
引張試験片形状として,たんざく形が提案されて
いる。本実験に用いた試験片はハンドレイアッフ。法に
よって,樹脂(リゴラック158BQT)に触媒として(パ
ーメツクルN) 1%を混ぜ,室温170C,室内湿度目
%の条件下でローピングクロスを積層して板材にし,
この板材より作った,その形状寸法についてはFig.l
に示す。
試験片及び実験2.
繊維積層数の増加によって,引張強さの増加が現わ
れるので,繊維の増加による繊維積層一層のもつ引張
強さを調べた。即ち,引張強さを繊維績層数で割った
値と,巾の関係からFig.3のようになって一直線状態
で示される。これから,巾が一定であれば繊維積層数
が多くなっても,また,樹脂の量の増加による断面積
の増加があっても,繊維積層一層のもつ引張強さは一
定である。
Effect of tests on width of effecti ve range and depth
Fig.2
③
a
叩岡山戸川 ・1例川町山
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•
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Type of standard tension test Specimen
ガラス繊維積層数4層及びB層からなる板厚が各々
3問, 5 mmの4種を準備し,これより試験片平行部の
巾を板厚の n倍になるようにした。即ち,平行部の引
張応力を基準に考えて,その他の試験片各部分の形
状,寸法を決定し,引張試験片を製作して実験を行っ
た。
Fig.1
Effect of strength on a layer affected by width
Fig.2及びFig.3から,引張強さは樹脂の引張強
さの影響がみられず,繊維積層数の影響によるところ
が大きいが,その理由としては
り.樹脂の引張強さは繊維のそれに比べて非常に
3.1 引張試験
板厚3mm及び5mmにガラス繊維積層数4層及び8層
された板材について引張試験を行った結果,試験片平
行部巾の変化と引張強さ及びガラス繊維積層数の増加
と引張強さの関係がFig.2で示される。これによると
試験片厚さが 3mm及び5mmの場合における同一巾の引
張強さはほとんど変っていないが,ガラス繊維積層数
が増加すると引張強さは極めて増加している。従っ
て,引張強さはガラス繊維の積層数によって影響さ
れ,板厚つまり樹脂量による影響は小さい。(ガラス
繊維積層を以後繊維積層とする〉
実験結果及び考案3.
width(mm)
Fig.3
99
。。。
琉球大学理工学部紀要(工学篇〉
3 5 n 9一一面一 直 面 if-
width of effective range(閥)
Effect of percentage for breken at effecive range and dほpth.
試験片巾を増大していくと,平行部より断面変化し
た起点で破断し,平行部巾の小さい場合は,平行鶴
で破断しているが, Fig.5より引張強さは低下してい
る。また,この低下している理由として,工作時また
は仕上時における欠陥等が挙げられるが,また,次の
ことが考えられる。 工〉試験片には縦繊維方向と荷重
方向が完全に一致しないために起る強度低下があり,
2)断面変化部の応力集中によって局部的変位が起
り,樹脂に亀裂が発生して強度低下する。試験片平行
部巾が小さいと前者の影響が相対的に大きく現われ,
従って平行部からの破断割合が大きい。一方巾が糟大
すると,前者より後者の影響が大きく左右してくるも
のと思われる。従って,著者等は前者に基づく試験片
巾の小さい平行部破断割合の大きいものから,後者に
基づく平行部破断割合の小さい,即ち,断面変化起点
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f、、浜岡、、J
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小さい。
2) .樹脂の量が少ないため。
であり,後者は前者に比べて試験片厚さ及び樹脂の
量が増大してくるので,樹脂の貢献による引張強さへ
影響は現われる。しかし,樹脂の脆性破壊による引張
強さのパラツキはあるものと考える。
とこでいま繊維と樹脂がよく接着されていですべる
ことなく,同じ伸び,歪を生ずるものと,弾性限度
内での繊維方向の引張荷重Pの作用によって,そのカ
のつりあいから,
Fig.4
p=Aσ=A1 0"1 +A2σ2
で与えられる。
試験片平行部断面積A,応力σ,試験片平行部繊維及
び樹脂の横断面積の給不日をA1,A2応力 σ1,σ2 ,
弾性率E1,E2とすると,繊維及び樹腐には同じ伸
び,歪Eを生じているから
p = (A1 E1 + A2 E2) e
E2 I土E1に比べて非常に小さいから省略できるので応
カは
σP 1 =王子
となり,従って応力は61=6として繊維断面積の
総和A1によって算出されることになる。しかし,強
さは,繊維含有率50%程度までは直線的に増加してい(4)(5)
るが,これ以上ではゆるやかな曲線 となって,
繊維含有率の増加によって,それ程強くならない。
~可
width(17U/l) Effect of stress of fiber glass contain and width
Fig.5
(制尾臣、夫目的由主的言
gzgkrgu
Fig.4は板厚を一定にした試験片における
行部巾の変化による平行部分からの破断割合と,
平行部巾の変化による引張強さを示したものである。
この結果から平行部巾が小さいと平行部分から破断す
る割合が大きいのに比べ,巾が増大すると平行部から
両支持端への断面変化する起点において破断し,平行
部での破断割合が減少している。しかし,巾が増大し
て平行部から断面変化する起点で破断した場合も平行
部で破断した場合の引張強さとほとんど変っていなか
1)平
2)
試験片巾と破断位置との関係3.2
った。
100 真喜志 ・兼城 ・宮城 :FRP材料の引張強さと引張試験片について
での破断割合の大きい試験片巾の問に適切な形状,寸
法があると恩われたので,その巾をいろいろ変えて実
験した。 Fig.4に示されるように繊維積層数4層(繊
維含有率54%),長さ 3mmの試験片については,平
行部巾12mm付近がその境界寸法であることがわかっ
た。
3.3 白化現象
白化はFRPの破壊に至るまでの変位進行過程中に
みられ,その現象を解明することは重要である。破壊
機構について,引張荷重による縦織糸の伸びと樹脂の
局部的大きな変位,従って,樹脂に大きな引張歪及び
mJ断歪を生ずる結果,脆性破猿を起すものと考えられ
ている。また,これについて吸水率等の実験的検討(6)
カ2ある。
試験片に引張荷重を作用していくと試験片が変位し
はじめると同時に,試験片平行部中央あたりから両支
持端へかけて不連続的に縦,横ストランドの交点が白
くなって鱗状になるのが観察された。また,白化点の
数も縦ストランドの変位量の増加とともに増加してい
た。Photo1はこれを示す。
(a)
Photo 1 Apearance effective range of test piece, and failed part under lording.
、町』ノ
-hu ft
、(c)
白化の進行過程における初期の状態は,縦及び横ス
トラ ンドの交点のうち,縦ス hランドが横ストラ ンド
に隠れている部分,即ち,試験片厚さ方向にみて,表
面側の繊維積層、面,Fig.6のO印で示す部分ではじま
る。また,引張荷重の増加とともに応力集中部におい
て局部的変位を生じ,白化状態は縦ストランドが横ス
トラ ンドに隠れていない部分,表面倒lにな っている
交点でもみられた。 Photo2は試験片の切断状況で
ある。
白 faillingsection {己部分
Fig.6 Appearance of failling section for the begining variation.
Photo 2 Apearacne of broken test specimen
3.4繊維の縦及び横ストランドの交点の白化状況
白化は繊維と樹脂の分離現象である。自化の理由と
して, 1)引張荷重の作用によ って起る縦ストランド
の直線化, 2)縦ストラ ンドの直線化による横ストラ
ンドのだ行が考えられる。
Fig.7に示すように引張荷重Pを作用すると,縦及び
機ストランドは互いに波状になって織られているの
で,縦ストランドは直線になろうとして, Po, Piを
生ずる。このためFig.8に示すように横ストラ ンドを
琉球大学理工学部紀要(工学業〉 101
P;
Fig.7 View of the Rouving cloths
Fig.8 Appearance of failling section and variation of strand.