TenCate Advanced Composites Holding B.V. TCAC … · Business Confidential per NON-DISCLOSURE AGREEMENT executed on 15th Dec, 2014 1 1 TenCate Advanced Composites Holding B.V.（TCAC社）

Business Confidential per NON-DISCLOSURE AGREEMENT executed on 15th Dec, 20141 11

TenCate Advanced Composites Holding B.V.（TCAC社）

の買収について

2018年3月15日

東レ株式会社

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Business Confidential per NON-DISCLOSURE AGREEMENT executed on 15th Dec, 2014

目次

１．本件買収の概要

２．東レ中期経営計画での複材事業戦略

３．Ten Cate社及びTCAC社の概要

４．本件買収の背景と戦略的意義

５．航空機分野の熱硬化CFRP

６．航空機分野の熱可塑CFRP

７．産業用CFRP

８． TCAC社の事業計画

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１．本件買収の概要

3


本件買収の概要

対象企業TenCate Advanced Composites Holding B.V (以下、TCAC社)

オランダKoninklijke Ten Cate B.V.社の100%子会社炭素繊維複合材料事業（製造・販売）

取得価額

資金調達

スケジュール

９３０百万ユーロ約１，２３０億円（※１３２円／ユーロで換算）※なお、買収対価は、株式取得の対価に加えネット有利子負債の額を含み、

最終的には、株式譲渡契約に定める価格調整を実施した金額となる予定

ＥＢＩＴＤＡ倍率＝企業価値（取得価額）÷ＥＢＩＴＤＡ(2018年見通し) ＝９３０百万ユーロ／４７百万ユーロ＝１９．８倍

手元資金と借入金を充当

買収完了（クロージング）予定時期：２０１８年後半今後、「米国を含む各国の独占禁止法当局」及び「米国の対米外国投資委員会（ＣＦＩＵＳ）」の承認手続きを完了した後、買収完了の予定

4


２．東レ中期経営計画での複材事業戦略

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事業戦略

■航空宇宙用途・既存のパートナーシップを更に強化・新規プログラムの獲得を推進

■一般産業用途・レギュラートウ、ラージトウをラインナップした総

合力によりリーディングポジションの地位を強化・ラージトウのコスト競争力を背景に、大手顧客

との関係を強化し風力発電翼用途での地位を強化

・自動車用途の本格的需要拡大に備え、サプライチェーンの拡充と中間基材・成形技術の開発を推進

1,616

2,600

240

450

0

100

200

300

400

500

600

700

800

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

（億円）売上高（左軸）営業利益（右軸）

世界のリーディング炭素繊維メーカーとしてのさらなる事業拡大

16年度 19年度実績目標

基本方針

東レ中期経営計画での複材事業戦略

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３．Ten Cate社及びTCAC社の概要

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Ten Cate社及びTCAC社の概要

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（１）社名：Koninklijke Ten Cate B.V. (複材部門：TCAC社)（２）設立：1947年4月19日（３）本社：オランダオーファーアイセル州アルメロ（４）代表者：J.H.L Albers（CEO）（５）複材部門事業内容：炭素繊維補強熱可塑性樹脂テープ及び高耐熱熱硬化性

樹脂プリプレグ（６）複材部門沿革：

1972年プリプレグ生産開始1999年 Bryte Technologies（米国航空宇宙用途コンポジット）を買収2007年 Phoenixx TPC（米国熱可塑テープ）を買収2008年 YLA Inc.（米国宇宙衛星用途プリプレグ）を買収

CCS Composites（米国コンポジット）を買収2012年 PMC Baycomp（コンポジット）を買収2013年 Amber Composites（英国コンポジット）を買収2015年 Tennessee Acquisition B.V.（Gilde Buy Out Partnersを主体と

するコンソーシアム）による買収提案を受け入れ、2016年3月に上場廃止（７）複材部門従業員数：約750名（８）複材部門売上高： 210百万ユーロ（2018年見通し）


製品タイプ樹脂

熱可塑複合材料

・UDテープ・織物プリプレグ・ラミネート

・PEEK、PEKK・PPS、PEI・PC、PMMA・PET、PA・ABS、PP

熱硬化複合材料

・低温硬化成型用プリプレグ・脱オートクレーブ成型用プリプレグ・接着用フィルム・表面フィルム・Resin Transfer Molding樹脂

・エポキシ・シアネート

エステル・BMI・ポリイミド

圧縮成形部品

・複雑形状、高耐性コンポジット部品・金型デザイン

-

9

製品群


熱硬化プリプレグ熱可塑性プリプレグ（テープ）

特徴

・低温では液状、一度加熱すると固まり、再加熱しても戻らない特性を持つ樹脂。

・液状樹脂を炭素繊維に含浸させてシート状にしたものがプリプレグ。

・切り貼り・積層して、形状を作り、オートクレーブ（高温高圧釜）で焼き固めて部品にする。

・ガラス転移温度または融点まで加熱すると軟化し、冷やすと固くなる特性を持つ樹脂。

・引き揃えた炭素繊維に加熱溶融した樹脂を含浸し薄い板状にしたものがプリプレグ。

・そのシートを色々な方向に重ねて特定の形状にして加熱プレスで各種部品にする。

強み

・剛性が高く（変形しにくい）、寸法安定性に優れる。

・絶縁性、耐電圧、耐熱性があり、溶剤に対する耐性もある。

・靭性（壊れにくさ）が優れ、短時間で成形できるので生産性が優れる。

・加熱すれば何度でも成形できるのでリサイクルが比較的容易。

弱み

・成型に時間を要する。・靭性（壊れにくさ）は低く、衝撃に弱い。・オートクレーブ（高温高圧釜）が高額なため

部品メーカーの初期投資が大きい。

・成形温度が高いので取扱いが難しい。・比較的高価。・加熱しても粘度が高いので径の細い炭素繊維にし

み込ませることが難しい（ボイドが増えやすい）。

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熱硬化と熱可塑の違い


Spain

France

UK

Germany

Italy

Austria

Nether-lands

AMC

ACEEACC

プリプレグ

炭素繊維

青 : 東レグループオレンジ : TCAC社

コンポジット

CFE

主要事業拠点（欧州）

Hungary

ZOLTEK


Tacoma, WA

Decatur, AL Spartanburg, SC

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Morgan Hill, CA

Fairfield, CA

Camarillo, CA


プリプレグ

炭素繊維

コンポジット

主要事業拠点（北米）

St. Louis, MO

CMA

CMA

メキシコ

Jalisco, MX

PCCWalker, MI

ZOLTEK

ZOLTEK


プリプレグ

炭素繊維

コンポジット

広州

主要事業拠点（中国）


上海


４．本件買収の背景と戦略的意義

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事業環境変化: 低コスト+ハイサイクル熱可塑CFRP技術

航空機: 双通路機から単通路機へ生産機数増低コスト + ハイサイクル

宇宙・エンジン：金属耐高熱樹脂材料

サプライチェーン変化: 垂直統合の加速

欧州組織・基盤の強化

欧州サプライチェーンの強化

英国生産・技術・販売拠点の確保

本件買収の背景

1

2

3

15


本件買収の戦略的意義

補完的事業領域1

2

3

4

幅広い炭素繊維技術（東レ）とユニークな樹脂システム（TCAC社)

拠点拡大による顧客サービスの更なる充実

優秀人材の獲得、交流による相乗効果

顧客との強固な関係

地理的補完関係

人材


５．航空機分野の熱硬化CFRP

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航空・宇宙：軽量性の優先順位高い中、CFRPが基幹材料のひとつ

航空・宇宙

主要力学特性

耐熱性・常用で90℃（実質125℃）以上が目安・吸湿後の高温特性等厳しい環境での耐熱性・１次構造では、要実績・高い安全率

破壊靱性・衝撃付与後圧縮強度（CAI）、層間破壊靱性など特有の要求

生産性に関する要求

・軽量性、上述含む各種仕様を満たした上での低コスト要求・小型部品除き、生産数量はそれほど多くない

（オートクレーブ成形が許容されてきた）￬

小型機向けでは量産性が要求されてきた（プレス成形、複数形状部材の後融着）

使用樹脂

熱硬化・航空機構造材：高弾性率・耐熱・耐薬品性に優れるエポキシ樹脂

が広く使用・高耐熱用途（宇宙など）：BMI、Cyanate Ester

熱可塑・強固な骨格を有す、高靱性（高分子量）、耐熱ポリマー

→ PPS（2次構造材）、PEEK、PEKK（1次構造材）

航空宇宙用樹脂の特徴と分類

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50

100

150

200

250

300

350

400

450

使用

樹脂

のガ

ラス

転移

温度

（℃

）

運用時の実耐熱性

東レの航空機用プリプレグ（樹脂）ラインナップは一次構造材向け重視（エポキシ中心）TCAC社の得意な宇宙用途、防衛用途、高耐熱樹脂が加わる

PPS/PEEK/PEKKEpoxies

EngineeringPlastics

Polyimides

Bismaleimides

Cyanate Esters

航空機１次構造材

宇宙（衛星・ロケット）

超高耐熱（エンジン周りなど）

超高

耐熱

宇宙

A380,B787,A350,B777X

B777

2000年 2020年

全体市場の広がり

低高

航空宇宙用熱硬化プリプレグのラインナップ拡大

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６．航空機分野の熱可塑CFRP

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2010 2015 2020 2025 2030

Boeing 787

AirbusA350 XWB

MRJ （日本）

Boeing 777X

2020 MC-21(ロシア）

150

SSJ100（ロシア）

CS100/300（カナダ）

Airbus A320neo

43252019~C919(中国）

387

Boeing737MAX

4633

100

ARJ21（中国）

座席数

商業飛行開始年

200

300～

250

Boeing NMA

2026～C929（中国）

ERJ190ERJ195（ブラジル）

2021ERJ175（ブラジル）

今後の開発の中心は中・小型機

10561471

200

573

273

730179

383 407

200

＊丸枠内の数字は2017年9月時点の受注数

2017年大型機

民間航空機の開発動向

Airbus次世代機 (?)

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ボーイングエアバス

中小型機の特徴

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787 737MAX NMA A350 XWB A320neo 次世代中小型機

(New Mid-Market Airplane) (new engine option)

ローンチ 2004年4月 2011年8月未定 2006年12月 2010年12月未定

就航 2011年10月 2017年5月 2025年 2014年12月 2016年1月未定- 8 210-250席 - 7 138-172席 - 900 325-400席 A320neo 165-195席- 9　250-290席 - 8 162-200席 -1000 366-440席参考)-10　290-310席 - 9　178-220席 A319neo 140-160席

-10　188-230席 A321neo 206-240席

納入機数 644機 (2018年1月末時点) 80機 (2018年1月末時点) - 146機 (2018年1月末時点) 233機 (2018年1月末時点) -

受注残 650機 (同上)4,648機 (同上)

（７３７含む）- 708機 (同上)

6,135機　(同上)

(A320ﾌｧﾐﾘｰ全体)-

生産レート 12機/月 52機/月（７３７含む）

- 10機/月50機/月

(A320ﾌｧﾐﾘｰ全体)-

未定未定座席数

中小型機は今後生産レートが高まると予想される


主要各社の動向

ボーイング

2012年航空機向け熱可塑材の開発を目的に、Fokker社（現GKN Aerospace社）、Ten Cate社、Twente大学とともにオランダのThermoplastics Composites Research Center(TPRC)に参加。

2018年1月仏航空機部品メーカーDaher社が、 787向け熱可塑コンポジット構造部材の複数年供給契約締結を発表。これによりボーイングも熱可塑材の本格適用を開始。

エアバス

2002年 A340-600に熱可塑コンポジットを採用（キールビーム、エルロン）。2010年航空機向け熱可塑材の開発を目的に、エアバスとオランダ熱可塑クラスターが

Thermoplastic Affordable Primary Aircraft Structure Consortium(TAPAS)に参加。

2014年末既に1,500の熱可塑コンポジット部品を採用(A350 XWBを除く *)。

その他航空機・ヘリコプターメーカーGulfsteam(米)G500/G600/G650/G650ERのラダー（方向舵）等Leonard(伊) AW169ヘリコプターの水平尾翼

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航空機向けに熱可塑コンポジット適用の拡大が期待される


TCAC社の航空機認定材料

採用部品例

CF/PEI 航空機内装材エンジン・インテーク・ライナー

CF/PPS リブ、スティフナーなど小部品（Airbus機、B787）A350胴体クリップ小型機翼構造（Gulfstream機他）

CF/PEKK 航空機一次構造材の置き換え（複雑・小型部品）

他、ガラス繊維系など認定多数あり

A380主翼前縁部（リーディングエッジ）

（将来）CF/PEEK系CF/PEKK系

（将来）統合・熱可塑・一体融着パネル構造（ファスナー無しの大型部材）

広がる航空用熱可塑材

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胴体クリップ（スキン／ストリンガー／フレーム間

のフィッティング部材）

・A350胴体に約8,000個の熱可塑クリップを使用。

・スタンピング・プレスで高速成形可。

（小物複雑形状、高速成形が熱可塑の第一の強み）


民間航空機向け熱可塑プリプレグ販売見通し

50 60 70100

250

2017 2018 2019 2021 2025近傍

単位：百万€


７．産業用CFRP

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産業用熱可塑CFRP戦略

１

・PC筐体、医療

熱硬化CFRPの置き換え拡大

２熱可塑CFRPの特長を活かした用途拡大

・スポーツ、シューズ

・自動車用途（2020年以降）


PC筐体用途

＜熱硬化CF筐体＞

Lenovo社X1 Carbon

（液晶側カバー）

製品例

筐体全需要

使用基材

3.5百万個/年

熱硬化性プリプレグ

製造プロセス

熱可塑性プリプレグ

2.5百万個/年

＜熱可塑CF筐体＞

HP社Spectre（底面側カバー）

熱硬化CF筐体（3.5百万個/年）

ウルトラモバイル（軽量・薄型ノートPC）における材料別内訳

合計50百万個/年

熱可塑CF筐体（2.5百万個/年）

金属筐体（アルミ削り出し、Mg）など

（46百万個/年）

Apple社MacBook等（アルミ削出し）


靴底

TCAC社の事例（消費材）

29

１

２医療

３スポーツ


８． TCAC社の事業計画

30


TCAC社の事業計画

45%

31%

24%

航空機宇宙・通信高機能産業

売上高210百万ユーロ

(2018年見通し)

58%

27%

16%

売上高560百万ユーロ

(2025年近傍見通し)

EBITDA 47百万ユーロ※

※買収に伴う一時的な費用は考慮しておりません。


１

・次世代中小型機用途

東レグループとしての熱可塑大型案件の拡大

・自動車用途

２ TCAC社向け東レCFの開発推進

・熱可塑向け新規炭素繊維の開発とデファクト化

・東レCFの活用拡大

シナジー創出


Thank You

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