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TechnicalInformation 微少流量伝送器と
インテグラルフローオリフィス
TI 01C20K00-012002. 10. 1 初版(YG)2013. 3. 1 3 版(YK)
TI 01C20K00-01
目次1. 概要
......................................................................................................................................................
2
2. 標準仕様
.............................................................................................................................................
2
3. インテグラルフローオリフィスの形名およびコード一覧
........................................3
4. オリフィス口径の選択方法
......................................................................................................
3
5. レイノルズ数による差圧の補正
.............................................................................................
4
6. 圧力損失
.............................................................................................................................................
4
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TI 01C20K00-01
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Corporation
1. 概要
DPharp 微少流量伝送器は微少の流量(大略 0.016 ~
33 l/min 水換算液体流量,0.45 ~ 910 Nl/min 空気換算
気体流量)を測定し,それに応じた 4 ~ 20 mA DC の
電流信号を伝送するように設計された差圧伝送器です。
本器はオリフィス内蔵マニホールドと差圧伝送器か
ら構成されており,オリフィスはマニホールドを取り
はずすだけで簡単に取り換えることができます。
マニホールドは流量ライン(1/2B)に直接取りつけ
られます。したがって別個に検出器を設置したり接続
配管を行なう等の必要がありません。
オリフィス両端の差圧は,差圧伝送器の高圧側およ
び低圧側に直接導かれ,4 ~ 20 mA DC の電流信号に変
換されます。
オリフィスには,0.508 mm から 6.530 mm の穴径ま
で 6 種類あります。これらオリフィスの選択と差圧伝
送器の差圧測定スパンの組合わせにより,広範囲な微
少流量の測定が可能です。
オリフィス両端の差圧(P1 - P2)と流量 Q は次式の
関係にあります。したがって差圧伝送器は,流量 Q の
2 乗に比例した信号を伝送することになります。
Q = kd2 P1 - P2ρ
K:比例定数 P1-P2:差圧
ρ :流体の密度 d:絞り穴の直径
インテグラルオリフィスの使用に当っては流体はき
れいでオリフィスをつまらせる懸濁物の混入していな
いことが要求されます。また流体温度は 120℃以下であ
る必要があります。
2. 標準仕様
測定可能範囲:
空気換算流量 0.45 ~ 910 Nl/min.(0 ℃ . 1 atm)
水換算流量 0.016 ~ 33 l/min.(4℃ . 1 atm)
オリフィス穴径および部品番号:
穴径(mm∅)
部品番号*
EJ115 (S1, S2)EJ135 (S1, S2)EJA115 (S1, S2)EJB115 (S1, S2)
EJ115 (S3)EJ135 (S3)EJA115 (S3)EJB115 (S3)EJX115J (S1,
S2)EJX115A (S1)EJA115J (S1)
A 0.508 D0117BW F9340NLB 0.864 D0117BX F9340NMC 1.511 D0117BY
F9340NND 2.527 D0117BZ F9340NPE 4.039 D0117CA F9340NQF 6.350
D0117CB F9340NR
*: オリフィスの部品番号は組合わせ伝送器のスタイルコードにより異なります。表中の S
□は組合わせ伝送器のスタイルコードを示しています。
組合わせ伝送器:
EJ115,EJ135,EJA115,EJB115,EJX115J,
EJX115A,EJA115J
オリフィス材質:SUS316
マニホールド材質:SUSF316
スペーサー材質:SUS316
オリフィス用ガスケット材質:PTFE
伝送器周囲温度:
- 40 ~ 85℃(一般形)
- 30 ~ 80℃(内蔵指示計付)
- 20 ~ 60℃(TIIS 耐圧防爆形)
- 20 ~ 60℃(TIIS 本質安全防爆形)*
*:EJ シリーズは- 10 ~ 60℃
最大使用圧力(インテグラルフローオリフィス単体)
適用機種コード 最大使用圧力-V,-X 16 MPa-W,-Y 42 MPa
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伝送器差圧測定スパン:
EJ115
L カプセル 1 ~ 10 kPa
M カプセル 1.3 ~ 130 kPa
H カプセル 14 ~ 210 kPa
EJA115,EJB115
L カプセル 1 ~ 10 kPa
M カプセル 2 ~ 100 kPa
H カプセル 20 ~ 210 kPa
EJX115J,EJX115A,EJA115J
F カプセル 1 ~ 5 kPa
M カプセル 2 ~ 100 kPa
H カプセル 20 ~ 210 kPa
EJ135
M カプセル 3.3 ~ 130 kPa
H カプセル 18 ~ 210 kPa
プロセス接続口(伝送器と同じであること):
Rc1/2 めねじ
1/2NPT めねじ
精度:スパンの± 5%(伝送器を含む)
3. インテグラルフローオリフィスの形名およびコード一覧
形名 基本仕様コード 仕様
IFO . . . . . . . . . . . . . . . インテグラルフローオリフィス-S. . . . . . .
. . . . . マニホールド材質:SUSF316
2 . . . . . . . . . . .4 . . . . . . . . . . .
プロセス接続口:Rc1/2 めねじプロセス接続口:1/2NPT めねじ
1 . . . . . . . .6 . . . . . . . .
オリフィス 1 枚付きオリフィス 6 枚付き
S . . . . . . オリフィス材質:SUS316-V . . .
-W . . .-X . . .
-Y . . .
E J115(S1, 2) , EJA115(S1, 2) , EJB115(S1, 2) 用EJ135(S1, 2)
用EJ115(S3), EJA115(S3), EJB115(S3), EJX115J(S1, 2) , EJX115A(S1),
EJA115J(S1) 用EJ135(S3) 用
例:IFO-S21S-X
EJ115, EJA115, EJB115, EJX115□, EJA115J用
EJ135用
1. プロセスコネクタ(2 個)
2. プロセスコネクタ用ガスケット(2 個)
3. プロセスコネクタ取付用ボルト(4 本)
4. 伝送器側ガスケット(2 個)
5. スペーサー(1 個)
6. オリフィス(1 個)
7. オリフィス用ガスケット(1 個)
8. マニホールド(1 個)
9. マニホールド取付用ボルト(4 本)
10. 銘板(1 枚)
4. オリフィス口径の選択方法
各種気体,および液体流量に対し,オリフィス穴径
の選択および差圧の決定にあたっては気体は 0℃,1
atm における空気換算流量,液体は 4℃,1 atm におけ
る水換算流量に換算する必要があります。これらは表 1,
表 2,表 3 の公式によって求めることができます。
なお,ガス(蒸気)の場合,設定差圧は次式に従っ
ている必要があります。
P2P1> 0.75 (P1, P2は絶対圧)
次に図 1,図 2 を使用して,換算流量─オリフィス穴
径─伝送器差圧の関係から最も適当なものを選定しま
す。その手順は例題を参考に行なってください。
また,流体のレイノルズ数 Red を求めて図 3 または
図 4 の流量係数比 Kaf/Ka が一定である範囲に入らない
場合は求められた差圧を補正する必要があります。
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例題1.
流体:N2 ガス流量:20 m3/h温度:30℃圧力:100 kPa湿度:0 %
1) 0℃,1 atm における N2 ガスの密度を求める。
N2 ガスの 0℃,1 atm における密度は
ρ Ng=1.251 kg/Nm3 か ら, 温 度 30 ℃, 圧 力 100
kPa における密度ρ fg を計算する。
101.325+100101.325
273.15273.15+30
ρfg=1.251× ×
=2.240 kg/m3
2) 表 1 の公式を用いて,0℃,1 atm における空気換
算流量値を計算する。
Q0a=0.8794Qfg ρfg
=0.8794×20× 2.240
=26.3 Nm3/h=438.7 Nl/min
3) 図 2 から,オリフィスを選択し差圧を求める。
オリフィス穴径:6.350 mm
差圧:45 kPa (注 1)
となります。
(注 1)実際の差圧設定は,当社の計算結果をご使用ください。
例題2.
流体:液体流量:0.3 m3/h(40℃において)温度:40℃圧力:300 kPa使用状態での密度:980 kg/m3
1) 表 3 の公式を用いて,4℃,1 atm における水換算
流量値を計算する。
Q4w=0.03162Qfg ρft
=0.03162×0.3× 980
=0.297 m3/h
=4.95 l/min
2) 図 1 から,オリフィスを選択し差圧を求める
オリフィス穴径:4.039 mm
差圧:28 kPa
または
オリフィス穴径:6.350 mm
差圧:4.7 kPa
5. レイノルズ数による差圧の補正
一般のオリフィスと同じようにレイノルズ数が一定
限界内にあるかどうかを判断し,そうでなければ差圧
を補正します。
Red=354 Wμ×d
W:常用重量流量[kg/h]
d:オリフィス口径[mm]
μ:粘度[mPa・s]
図 3 または図 4 より流量係数比 Kaf/Ka を求めます。
この値が一定値でない場合には,伝送器の差圧を補
正する必要があります。
ΔP= 1Kaf/Ka ×ΔP0( )
2
Ka:各オリフィス固有の一定流量係数
Kaf:使用状態における流量係数
ΔP0:図より求めた差圧
ΔP:補正後の差圧
上記式より得られた補正後の差圧Δ P を伝送器に設
定します。
6. 圧力損失
流体がオリフィスを通過すると流れは噴流と管壁の
間に多数の渦ができます。この渦は噴流がオリフィス
下流まで延び管内径と同じになるまで広がっていきま
す。この渦に消費されるエネルギーが流体の永久圧力
損失となります。
水のように比較的低粘度の液体や気体の圧力損失は
次の実験式を用いて計算することができます。
Δ P = ( P1 - P2 ) ( 1 -β 2 )
但し Δ P:永久圧力損失
P1 - P2:差圧
β:絞り径比(穴径÷ 14.3 mm)
この圧力損失は,設定差圧の約 80 ~ 100%となりま
す。
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表1. 空気換算流量の公式(乾燥気体の場合)
条件 0℃,1 atmにおける空気換算流量 単位
目盛基準が使用状態(t℃,p kPa)で与えられた場合
目盛基準が標準状態(0℃,1 atm)で与えられた場合
Q0a : 空気0℃,1 atmの容積流量Qfg : 使用状態(t℃,p kPa) における気体の容積流量QNg :
標準状態(0℃,1 atm) における気体の容積流量ρfg : 使用状態(t℃,p kPa) における気体の密度ρNg :
標準状態(0℃,1 atm) における気体の密度ZNg : 0℃,1 atmにおける気体の 圧縮係数Zfg : 使用状態(t℃,p
kPa) における気体の圧縮係数
Nm3/h
m3/h
Nm3/h
kg/m3
kg/Nm3
Q0a = 0.8794Qfg ρfg
ρfg = ρNg× × ×273.15273.15+t
101.325+p101.325
ZNgZfg
Q0a = 0.5356QNg ρNg× ×273.15+t101.325+p
ZfgZNg
T01.ai
表2. 空気換算流量の公式(湿り気体の場合)
条件 0℃,1 atmにおける空気換算流量 単位
目盛基準が使用状態(t℃,p kPa)で与えられた場合
目盛基準が標準状態(0℃,1 atm)で与えられた場合
Q0a : 空気0℃,1 atmの容積流量Qfg : 使用状態(t℃,1 atm) における気体の容積流量QNg :
標準状態(0℃,1 atm) における気体の容積流量ρfg : 使用状態(t℃,p kPa) における気体の密度ρNg :
標準状態(0℃,1 atm) における乾燥気体の密度φ : 相対湿度ρfs : 使用状態(t℃,p kPa)
における飽和水蒸気の密度Pfs : 使用状態(t℃,p kPa) における飽和水蒸気圧ZNg : 0℃,1 atmにおける気体の
圧縮係数Zfg : 使用状態(t℃,p kPa) における気体の圧縮係数
Nm3/h
m3/h
Nm3/h
kg/m3
kg/Nm3
kg/m3
kPa abs
Q0a = 0.8794Qfg ρfg
ρfg = ρNg× ×
× +φρfs
273.15273.15+t
(101.325+p)-φPfs101.325ZNgZfg
Q0a = 0.3262QNg×
× ρfg
(273.15+t)(101.325+p)-φPfs
ZfgZNg
ρfg = ρNg× ×
× +φρfs
273.15273.15+t
(101.325+p)-φPfs101.325ZNgZfg
T02.ai
表3. 水換算流量の公式(液体の場合)
条件 4℃,1 atmにおける水換算流量 単位
目盛基準が使用状態(t℃,p kPa)で与えられた場合
目盛基準が(0℃,1 atm)で与えられた場合
Q4w : 4℃,1 atmにおける水の 容積流量Qft : 使用状態(t℃,p kPa) における液体の容積流量ρft :
使用状態(t℃,p kPa) における液体の密度QNt : 0℃,1 atmにおける液体 の容積流量ρNt : 0℃,1
atmにおける液体 の密度
m3/h
m3/h
kg/m3
Nm3/h
kg/Nm3
Q4w = 0.03162Qft ρft
Q4w = 0.03162QNt×ρNt 1ρft
T03.ai
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図1
. 流
量ー
差圧
換算
グラ
フ(
液体
用)
水換算流量 l/min
差 圧(ΔP)kPa
10.02
0.04
0.060.080.1
0.2
0.4
0.60.81
1020
408
64
2
234568102030405060100 80200
A: Ø0.508
B: Ø0.864
C: Ø1.511
D: Ø2.527
E: Ø4.039
F: Ø6.350
F04.ai
図2
. 流
量ー
差圧
換算
グラ
フ(
気体
用)
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図2
. 流
量ー
差圧
換算
グラ
フ(
気体
用)
空気換算流量 Nl/min
差 圧(ΔP)kPa
10.2
0.4
0.60.81
1020
408
64
200
400
600
1000
100
8060
2
234568102030405060100 80200
A: Ø0.508
B: Ø0.864
C: Ø1.511
D:Ø2.527
E: Ø4.039
F: Ø6.350
F05.ai
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図3
. レ
イノ
ルズ
数ー
流量
係数
補正
グラ
フ
適用
形名
:EJ
115
(S1,
S2)
,EJ
135
(S1,
S2)
,EJ
A115
(S1,
S2)
,EJ
B115
(S1,
S2)
」
レイノルズ数 Red
流 量 係 数 比Kaf/Ka
0.75
0.80
0.85
0.90
0.95
1.00
44
5102
103
104
86
58
62
34
58
62
34
23
A: D0117BW (Ø0.508)
B: D0117BX (Ø0.864)
C: D0117BY (Ø1.511)
D: D0117BZ (Ø2.527)
E: D0117CA (Ø4.039)
F: D0117CB (Ø6.350)
AB
C
D
E
F
F06.ai
図4
. レ
イノ
ルズ
数ー
流量
係数
補正
グラ
フ
適用
形名
:EJ
115
(S3)
,EJ
135
(S3)
,EJ
A115
(S3)
,EJ
B115
(S3)
,EJ
X115
J (S1
, S2)
,EJ
X115
A (S
1),
EJA1
15J (
S1)
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図4
. レ
イノ
ルズ
数ー
流量
係数
補正
グラ
フ
適用
形名
:EJ
115
(S3)
,EJ
135
(S3)
,EJ
A115
(S3)
,EJ
B115
(S3)
,EJ
X115
J (S1
, S2)
,EJ
X115
A (S
1),
EJA1
15J (
S1)
レイノルズ数 Red
流 量 係 数 比Kaf/Ka
0.75
0.80
0.85
0.90
0.95
1.00
44
5102
103
104
86
58
62
34
58
62
34
23
A: F9340NL (Ø0.508)
B: F9340NM (Ø0.864)
C: F9340NN (Ø1.511)
D: F9340NP (Ø2.527)
E: F9340NQ (Ø4.039)
F: F9340NR (Ø6.350)
A
B
CD
E
F
5105
86
F07.ai
記載内容はお断りなく変更することがありますのでご了承ください。
目次1. 概要2. 標準仕様3. インテグラルフローオリフィスの形名およびコード一覧4. オリフィス口径の選択方法5.
レイノルズ数による差圧の補正6. 圧力損失