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SUSTAINABILITY REPORT サステナビリティレポート 2019 SUSTAINABILITY REPORT サステナビリティレポート 2019
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Jul 05, 2020

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SUSTAINABILITY REPORT サステナビリティレポート 2019

SUSTAINABILITY REPORT サステナビリティレポート 2019

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オリックスのDNAとしてのサステナビリティ

 「サステナビリティ」という概念は、学問の世界や非営利団

体、政府機関等では一般的で、社会道徳的な文脈で使用され

ており、投資家の意思決定、企業の経営判断、社員の採用活

動の際には重要視されていませんでした。しかし、昨今、「サ

ステナビリティ」という考え方は、広く社会に認知され、すべ

てのステークホルダーの投資等の判断基準の基本となりつ

つあり、社会からの企業に対する期待と要請は、日増しに強

くなってきているものと認識しています。企業が、日々変化

する経済や社会、地球環境の中で、経済的発展や持続的成長

を実現する真のグローバル企業であり続けるためには、「サ

ステナビリティ」を形式的な取り組みとせずに、企業活動の絶

対的基本要件として認識すべきです。

 オリックスは、現在、世界37の国と地域で事業を展開して

います。オリックスは日本発祥の企業であり、本社機能も日

本に置いていますが、いわゆる日本企業の文化・基準だけに

とどまらない、高い世界基準を前提とするグローバル企業

たるべきと考えています。日本国内における「サステナビリ

ティ」を求める動きは、欧米を含む他の先進国ほど強くはあ

りませんが、オリックスは、「サステナビリティ」に対する考え

方を、会社方針や目標として具体的に設定することで、日常

の事業活動に落とし込むべく真摯に取り組んでいます。創

業以来、「サステナビリティ」の考え方は、常にオリックスの

DNAの一部として存在しており、事業活動を通じて、社会

のニーズに応えることを目指しています。

 オリックスは、歴史的にイノベーション、柔軟性、行動力を

大切にする企業文化を継続的に育成した結果、他の企業と

一線を画した、類を見ない企業グループに成長したと自負

しています。オリックス独自の企業文化を強みの源泉とし

て、多様な事業をグローバルに展開することを可能とする

企業に成長できたと考えています。

2つの側面を持つオリックスの「多様性」

 オリックスの特徴の一つである「多様性」には2つの側面

があります。1つは、日本だけでなくグローバルに展開する

事業ネットワーク、つまり地理的な多様性、もう1つは、極め

て多様な事業展開から生まれる多様な経験と実績の蓄積で

す。この「多様性」はオリックスの貴重な財産であり、「オリッ

クスらしさ」を如実に表現しています。幅広い事業展開か

ら蓄積した豊富な経験により、物事の本質を見極める力に

よって、社会のニーズを予測し、新たなビジネスチャンスを、

迅速かつ柔軟に取り込むことができています。

 しかしながら、グローバルにおける地理的な多様性と多

CEOメッセージ

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様な事業展開のために、「サステナビリティ」を単一の概念

として、グループ全体に適用することが困難な場合もあり

ます。異なる事業環境・地域で勤務する役職員は、それぞれ

異なるニーズや課題等を抱えており、グループ全体を一つ

の概念で管理することが適切だとは一概に言えないと理解

すべきです。グループ全体に適用する「サステナビリティ」

を単一の枠組みとして設定したとしても、そのまますべての

事業に当てはめることはできないでしょう。事業部門ごとの

特性、環境、課題を考慮した「サステナビリティ」への取組方

法を考える必要があるということです。この実現のために

は、グループCEO以下トップマネジメントが、「サステナビリ

ティ」に対するコミットメントを明確に示し、オリックスが目

指す方向性を示すことが必要です。

 各事業部門はグループ全体の「サステナビリティ」の枠組み

の中で、事業の特性に沿った独自の「サステナビリティ」目標を

設定し、実行する役割と責任を持つことになります。多くの労

力と時間を要することになりますが、さまざまな事柄を考慮し

ながら丁寧に取り組んでいくべきものと考えています。今後

も、サステナビリティを積極的に推進し、あわせてトップマネジ

メントとして、オリックスの「サステナビリティ」に関する取組

方針など情報開示をきめ細かく進めてまいります。

 多様な事業を展開するオリックスは、あらゆる社会の変化

にも柔軟に対応することが可能です。そして、継続的に、オ

リックス独自の価値をマーケットに提供しています。これが、

オリックスのビジネスモデルであると考えています。

多様性を原動力に持続的な成長を実現する

 「サステナビリティ」には、リスク管理という側面もありま

すが、その半面、新しい、また大きなビジネスチャンスの芽

が育つ可能性を秘めていることも認識すべきです。この視

点を忘れると、狭い視野と短期思考にとらわれた事業活動

に陥るリスクがあると考えます。ですから、「サステナビリ

ティ」を通して、広い視野を育て、複数の異なる視点で、長期

的に物事を考えることが必要です。そして、それによってあ

らゆる事業に取り組むことが可能になります。

 オリックスの持つ多様性は、変化し続ける世の中において

持続的な成長を実現する原動力になるものと確信していま

す。私たちは、社会に貢献する事業の拡大に努め、またすべ

てのステークホルダーとの対話をこれまで以上に深めてま

いります。

取締役 兼 代表執行役社長グループCEO

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経営方針1. オリックスは、お客さまの多様な要請に対し、たえず質の高いサービスを

提供し、強い信頼関係の確立を目指します。2. オリックスは、連結経営により、すべての経営資源を結集し、経営基盤の

強化と持続的な成長を目指します。 3. オリックスは、人材の育成と役職員の自己研鑽による資質の向上を通じ、

働く喜びと誇りを共感できる風土の醸成を目指します。 4. オリックスは、この経営方針の実践を通じて、中長期的な株主価値の増大

を目指します。

行動指針Creativity

先進性と柔軟性を持って、たえず創造力あふれる行動をとろう。

Integration

お互いの英知と情報を結合させ、人間的なふれあいを通じて、グループ力を高めよう。

企業理念オリックスは、たえず市場の要請を先取りし、先進的・国際的な金融サービス事業を通じて、新しい価値と環境の創造を目指し、社会に貢献してまいります。

企業理念オリックスは、たえず市場の要請を先取りし、先進的・国際的な金融サービス事業を通じて、新しい価値と環境の創造を目指し、社会に貢献してまいります。

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https://www.orix.co.jp/grp/company/about/philosophy/ec21/

オリックスでは、企業理念、経営方針、行動指針を土台として、「21世紀におけるExcellent Company」として“オリックスが目指す企業像”を明確化した「EC21」を定めています。

誇り市場に高く評価される新しい価値の創造によって経済的なインパクトを生み出し、「誇り」ある活動を行う企業。企業の社会的な機能は、経済にプラスとなるものを世の中に向かって作り出すことです。これが企業本来の役割であり使命です。この使命をより高い次元で果たし、社会の役に立つこと、このことにオリックスは企業としての「誇り」を持ちたいと考えています。

信頼株主・お客さま・従業員などを含め社会の多様な期待に応える高い能力と謙虚な姿勢を持ち、関係する人々から「信頼」される企業。企業の存在・発展を支え、かつ直接的に大きな関わりを持つのは、株主、お客さま、従業員をはじめとするステークホルダーです。オリックスでは、ステークホルダーの皆さまからの期待だけでなく、社会の期待にも応えて、国際基準を超える企業を目指します。おごらず謙虚な姿勢を保ち、さまざまな期待に応え、皆さまから「信頼」される企業になりたいと考えています。

尊敬社会的な規範を守り、公正かつ透明な活動を行う優れた社風を持ち、社会との調和を保って、広く世の中から「尊敬」される企業。企業行動の中に社会的な規範に反する問題が起きれば、その企業に対する評価はすぐに崩れ去ります。法律を守ること以上のより高い基準で行動し、その基準をオリックスの成長とともに高めていくことで、広く世の中から「尊敬」される優れた社風を作っていきたいと考えています。

EC21(Excellent Company 21)

オリックスは、以下の国際規範およびイニシアティブを支持します。● 国連グローバル・コンパクト● 世界人権宣言● 労働における基本的原則および権利に関する国際労働機関(ILO)宣言

● 環境と開発に関するリオ宣言● 腐敗の防止に関する国際連合条約

国際規範の支持

国連グローバル・コンパクト参加についてオリックスは、2014年7月、国連グローバル・コンパクトに参加しました。国連グローバル・コンパクトが提唱する「人権」「労働」「環境」「腐敗防止」の4分野・10原則を支持し、各分野の活動に取り組んでいます。

発行にあたってオリックスでは、事業活動を通じて社会に貢献するという考えのもと、社会の課題やニーズに積極的に取り組み、オリックスならではの価値を提供しています。このようなオリックスのサステナビリティへの取り組みについて掲載した報告書を「サステナビリティレポート2019」として発行しました。本レポートの発行目的は、ステークホルダーからの情報開示を求める声にお応えして、当社のサステナビリティについて適切にご説明することに加え、本レポートを通じたステークホルダーとのコミュニケ―ションを当社の経営改善につなげることです。サステナビリティへの取り組みを通じて、持続可能な社会の実現と、持続可能な成長の実現を目指すオリックスについて、本レポートを通じてより深くご理解、ご評価いただきたいと考えています。

<本レポートの対象範囲>オリックス株式会社および国内外のグループ会社を対象としています。本レポートでは「オリックス」はオリックスグループのことを示しています。

<サステナビリティに関する情報開示について>オリックスのサステナビリティに関する情報は、サステナビリティレポート以外に以下の媒体を通じて開示しています。

▶グループサイト サステナビリティページオリックスのサステナビリティへの取り組みについて幅広く情報を開示しています。https://www.orix.co.jp/grp/company/sustainability/

▶統合報告書財務情報に加え、サステナビリティに関する情報も掲載し、株主・投資家をはじめとする幅広いステークホルダーの皆さまに、オリックスの持続的な成長を多面的にご理解いただくことを主眼に編集しています。https://www.orix.co.jp/grp/company/ir/library/annual_report/index.html

CEOメッセージ ........................................... 1

発行にあたって ........................................... 4

オリックスのサステナビリティ .................... 5

E:環境 ........................................................ 11

S:社会 ........................................................ 23

G:ガバナンス ............................................ 39

Contents

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オリックスのサステナビリティ

 創業時よりオリックスは、事業活動を通じて新しい価値を提供し、社会に貢献することを基本としてきました。企業というのは利益を生むことが重要だと考えていますが、利益を生み出せば何でもよいわけではありません。社会に新しい価値を提供し、社会に必要とされる存在となることが重要であり、その結果として利益を生み出すことが企業の持続的な成長を可能にすると考えています。 オリックスでは、今後も事業活動を通じて社会に貢献することで持続的な成長を実現し、また、社会的な責任を果たしていきます。この「サステナビリティを推進する」という意思をより明確にするため、2019年9月に「オリックスグループ サステナビリティポリシー」を定めました。

サステナビリティポリシーの目的

サステナビリティポリシーの適用範囲 本ポリシーは、オリックスのグローバルなすべての事業活動とそれに関わる全従業員に適用されます。オリックスは多様な事業を行っていることから、各事業部門は自身の事業に固有のリスクや機会を考慮しながら本ポリシーを実践します。

 オリックスが、価値の創造による社会への貢献を実現していくためには、ステークホルダーと協働しながら、社会

の変化を捉え、それを成長の機会へと変えていくことが不可欠です。

 オリックスに成長の機会をもたらす社会の変化や、社会からの要請を理解する上で、私たちにとっての環境、社会、

ガバナンス(ESG)の課題をより深く認識することが必要です。また、オリックスが絶えず新たな価値を創出し、ステー

クホルダーから「信頼」され「尊敬」され続けるためには、事業の意思決定にサステナビリティを考慮することが極め

て重要です。

 本ポリシーは、サステナビリティをオリックス全体に結び付けていくための原則を定めています。本ポリシーの

実践により、オリックスが事業活動を通じて長期的に社会に貢献できると考えています。

 オリックスの事業は多様であり、各事業が社会に影響を与える、または各事業が社会から影響を受けるサステナ

ビリティ課題も多岐にわたります。そのため、後述の「サステナビリティの基本原則」は、多様なオリックスグループ

のすべての事業に適用できるように策定しています。この基本原則に加えて、各事業分野に固有のサステナビリティ

課題についてリスクと機会の分析と特定を行い、事業運営に取り入れていきます。私たちが現在優先すべきと考

えているサステナビリティ課題は後述の「各事業の優先課題」に記載しています。

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サステナビリティの基本原則 社会の期待に応え、新たな価値を創出する企業として長期的な成長を実現するためには、サステナビリティ課題を考慮することが必須要件であると考えます。オリックスではサステナビリティを事業運営のすべての意思決定に結び付けていくことを目指しています。 オリックスの強みは、多様な事業展開とそれら事業間のシナジーです。強みをさらに増すためには、サステナビリティ課題がそれぞれの事業、さらにはオリックス全体にどのように影響しているのかを網羅的に把握し、対応することが必要です。そのために次のことに取り組んでいきます。

優先すべきサステナビリティ課題の理解優先して取り組むべきサステナビリティ課題を特定し、その内容について理解します。

サステナビリティ課題から生じる機会の追求事業間の協働による社会課題解決への貢献など、サステナビリティ課題に対応し、解決することから生まれる新たな事業機会を追求します。

サステナビリティ課題から生じるリスクの管理グループ全体および個別事業の両面から、サステナビリティ課題をリスクの観点でも検討し、管理します。

ステークホルダーエンゲージメントすべてのステークホルダーとダイアログなどを通じてコミュニケーションを深め、企業活動における情報の透明性を高めるとともに、ステークホルダーからのフィードバックを企業活動に生かしていきます。また、オリックスのビジネスパートナーやサプライヤーに対しても本ポリシーの実践を奨励します。

従業員の意識の向上本ポリシーに対する従業員の理解を深めるとともに、事業の中で実践するためのガイダンスを適時適切に提供します。これによりサステナビリティの優先課題に関する従業員の意識と知識の向上を目指します。

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 オリックスが目指す企業像として「EC21」にも定められているように、企業としての誇り、ステークホルダーの皆さまからの信頼、および社会からの尊敬は、オリックスの成長の原動力です。これらに沿って事業活動を行い、今後も成長していくために、オリックスは日々の業務において次のことを実行します。

自然環境への配慮オリックスの環境ポリシーに定めるように、事業活動が環境へ及ぼす影響を把握し環境負荷低減に努めます。そして事業を通じて社会が直面する環境問題の解決に貢献します。オリックスでは、予防原則を用いたアプローチを環境問題に対して実践します。予防原則とは、「深刻な、あるいは取り返しのつかない被害のおそれがある場合には、十分な科学的確実性がないことを、環境悪化を防止するための費用対効果の高い対策を延期する理由にしてはならない」という内容で、「リオ宣言(環境と開発に関するリオ宣言)」で発表された27原則の一つです。

人権の尊重オリックスは、世界人権宣言や、労働における基本的原則および権利に関する国際労働機関(ILO)宣言など国際的基準で定義されている人権を支持します。これらには、結社の自由、団体交渉権、強制労働の排除および児童労働の廃止が含まれますが、これらに限定しません。

ダイバーシティの促進、および従業員の福祉への配慮オリックスは、従業員のダイバーシティを尊重し、それぞれの能力や専門性を最大限に生かせる機会と職場環境を提供します。さらに、オリックスは事業を行う国・地域において、その文化や慣習を尊重し、環境に配慮し、経済・社会の発展に貢献します。また、安全で安心な職場環境を確保するとともに、一切の差別を許容しません。

高い倫理観の支持オリックスの役職員は、すべての適用法令、規則を常に遵守し、公正な競争を行います。また賄賂の授受、反倫理的取引、反社会的勢力との取引を一切行いません。さらに、利益相反を生じさせる、またはその可能性のある一切の行為、関係または利害に関与しません。

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自動車事業

環境に配慮した車の利用の推進 移動手段としての自動車は、グローバル規模で温室効果ガスやその他物質の排出源としてかなりの部分を占めています。お客さまに対して燃費効率に優れた車両や運転方法を提供していくことで、オリックスはお客さまの環境への取り組みを促進し、低炭素社会への移行に貢献していきます。

安全なモビリティ社会の推進 オリックスの提供するリース、レンタカーおよびカーシェアリングサービスにおいて高い安全基準を設け、お客さまの車両運転時の安心・安全を確保することは重要な課題です。また、安全性能の高い車両を提供するだけでなく、お客さまの安全運転の実践促進にも取り組んでいきます。

不動産事業

不動産投資およびマネジメントにおける サステナビリティの統合 不動産投資においては環境や社会的な側面を考慮することがますます重要になっています。サステナビリティ推進を検討しているテナントによって、環境に配慮した建物や、快適な空間づくりに配慮した建物に対する需要の増加が見込まれます。また、そういった建物は運営コストが低下することも見込まれます。このような配慮は建物の市場価値に影響することから、環境や社会的価値だけでなく、経済的価値の創出にもつながります。 また、建物は、暖房・冷房、照明、電化製品、水道などの使用によって大量のエネルギーや水を消費します。オリックスでは建物の環境効率を改善していくことで、運営コストを最適化するだけでなく環境への負荷を減らしていきます。

特定のSDGs目標ではなく、すべての目標の実現に貢献できる可能性があります。

オリックスのサステナビリティ

各事業の優先課題 オリックスの事業は多様であり、各事業が社会に影響を与える、または各事業が社会から影響を受けるサステナビリティ課題も多岐にわたります。そのため、より意義のあるサステナビリティの取り組みや社会への貢献を推進していくためには、より社会に大きな影響を与える事業領域に焦点を当てていくことが重要であると考えています。 現在、サステナビリティにおいて優先課題として取り組むべき重要課題は下記のとおりです。また、これらの重要課題に取り組むことによって、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の達成にも貢献していきます。オリックスはサステナビリティ課題について継続して分析を行い、重要性を再評価して見直しを行います。このため、今後オリックスの事業の成長や新たな事業分野への進出に伴い、優先課題が変更になる可能性があります。

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* 食糧、木材、そのほかの原材料を提供してくれる供給サービスに加えて、動植物、菌類および微生物による作物の受粉、土壌浸食の防止および水質浄化などといった調整 サービス、レクリエーションや知的・精神的な刺激を提供してくれる文化的サービスなどがあります。

不動産事業

不動産マネジメントにおける社会への配慮 事業を行っている地域社会の発展やお客さまのより良い生活の実現のために、オリックスでは、不動産のアクセシビリティ(利用しやすさ)や安全性などの社会的な側面の考慮を重視しています。そういった取り組みは、ステークホルダーとのつながりを深めるだけでなく、社会から評価され、また社会から必要とされる不動産事業につながるものと考えています。

環境エネルギー事業

再生可能エネルギー事業への投資と運営 グローバル規模で気候変動への取り組みが進む中、再生可能エネルギーは急速に拡大、普及しています。太陽光、地熱など、再生可能エネルギー事業への投資と運営を推進していくことで、グローバルな課題である気候変動問題に貢献するとともに、長期的な事業の成長も実現していきます。

生物多様性の保全 土地の開発といった活動は、自然環境に負荷を与えます。問題を早期の段階で特定して、生態系を保護するため、新規のプロジェクトの計画と開発段階において生物多様性を考慮していきます。生物多様性とは、自然環境において生物や種が多様であることを指しています。これらの生態系によって、人間社会はさまざまな恩恵*を享受しています。

優先課題の特定プロセス オリックスでは各事業領域において、環境、社会およびガバナンスに関連する事業固有の課題の重要性を分析し、オリックスとステークホルダーにとって重要な課題を特定しています。分析は、サステナビリティに関する国際的なフレームワーク、格付、各事業に関連する業界の優れた事例を考慮した外部の視点と、オリックスの現在と将来の事業を考慮した内部の視点といった2つの視点で実施しています。 特定プロセスは大きく4つのステップに分かれています。 ステップ1~3は、オリックスを取り巻くサステナビリティの状況を確認するものです。企業が社会から求められるサステナビリティとは何か、そして、社会からの要請に対して企業はどのような回答を提示しているか、について確認しました。この、社会からの要請と、企業の回答を照らし合わせることで、一般的に考えられるサステナビリティにおける課題と、その重要性の度合いを特定しました。

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オリックスのサステナビリティ

 ステップ4では、一般的に考えられるサステナビリティにおける課題と、その重要性度合いを、オリックスの個別の事業活動の中でどのように捉えるべきかについて確認をしました。各課題とオリックスの事業活動との関連性を検証し、また課題の持つリスクおよび機会についても議論した上で、オリックスにとってのサステナビリティ課題とその重要性(優先度)を特定しました。 各プロセスの具体的な内容は次のとおりです。

ステップ1 格付・レポーティング基準策定機関の要求事項を分析しサステナビリティ課題を特定 • サステナビリティに関する格付機関およびレポーティング基準策定機関が要

求するサステナビリティ関連情報を分析 • 分析は、コーポレートレベルおよび各事業分野に関連する業界ごとに実施 • 分析により、コーポレートレベルおよび事業分野ごとにサステナビリティ課題

を特定

ステップ2 競合他社が認識しているサステナビリティ課題の分析 • ステップ1で特定したサステナビリティ課題について、各事業分野の競合他社

がどのように目標や優先順位を設定しているかを分析

ステップ3 サステナビリティ課題を重要性に応じて分類 • ステップ1およびステップ2で特定したサステナビリティ課題の相対的な重要

性に応じて、サステナビリティ課題を4つのカテゴリーに分類

ステップ4 各事業のサステナビリティ優先課題を特定 • コーポレートレベルおよび各事業分野にて、ステップ3で分類したサステナビ

リティ課題について、事業との関連性(リスクと機会の観点)および重要性の評価を実施

• サステナビリティにおいて優先課題として取り組むべき重要課題を特定

グループA最重要課題

グループB競合他社から見た重要課題

(潜在的な重要課題)

グループC格付・レポーティング基準

策定機関から見た重要課題(潜在的な重要課題)

グループD重要性の低い課題

低                                  高ステップ2 競合他社分析に基づく重要性

ステップ1

格付

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分析

に基

づく

重要

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Environment環境

環境マネジメント■ 環境方針と活動目標(2012年9月25日改訂)環境方針オリックスグループは、お客さまや社会のニーズを捉え、ビジネスを通じて環境・エネルギー問題の解決に貢献します。また、事業領域の拡大・成長による変化を踏まえ、これに適った対応を進めます。

■ 環境活動体制 オリックスの事業とより関連性を持たせた活動を推進するため、以下の体制をとっています。● ��環境活動の責任者を財経本部長とし、主管部門をオリックス経営計画部(方針・計画策定)とします。

● �主要対応部門はオリックス法務・渉外部、環境エネルギー本部、グループ広報部とします。

● ��活動範囲は、国内グループ会社を対象とし、特に環境への影響が大きな事業分野を中心にグループ各社と連携し、環境情報、法令対応状況などの把握と、必要な対応・推進を行います。

■ ISO14001取得状況 オリックスでは、現在以下の拠点で環境マネジメントシステムISO14001認証を取得しています。

社名 取得年月日

ユビテック株式会社 2004年10月

オリックス資源循環株式会社(寄居工場) 2009年� 1月

オリックス環境株式会社(船橋工場) 2014年� 6月

オリックス環境株式会社(春日部工場) 2017年� 2月

活動目標1.お客さまと社会の環境・エネルギー課題の解決に寄与する、新たなエコサービスのご提供に努めます。2.事業活動が環境へ及ぼす影響を把握し、環境関連法規の遵守と環境負荷低減に努めます。3.各事業の特性を踏まえた環境対応がなされるよう、社員の意識と知識の向上に努めます。4.法令等で要求される情報開示事項や環境への取組状況について、適切な情報提供に努めます。

オリックスグループ各社

グループ執行役員会

法務・渉外部 環境エネルギー本部 グループ広報部

責任者:財経本部長

主管部門:経営計画部

エグゼクティブ・コミッティ

執行機関

活動報告 承認

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環境エネルギー事業:エネルギー事業 オリックスの環境エネルギー事業は、1995年の風力発電事業への出資に遡ります。その後、省エネルギーサービス、電力小売、再生可能エネルギーによる発電など幅広く展開するようになりました。特に、2011年3月の東日本大震災を受けて、日本のエネルギー事業や電源構成が変化するとの予測のもとに、再生可能エネルギーの事業化に向けて布石を打っていました。2012年7月に電力の固定価格買取制度がスタートした際には、すでに再生可能エネルギー事業を加速する体制を整えており、日本全国での太陽光発電システムの販売体制の構築や、メガソーラー案件に適した用地の確保を進め、競合他社と比べて、早い段階で収益モデルを確立できました。現在は、太陽光、バイオマス、地熱、風力などの再生可能エネルギー事業を行っています。 再生可能エネルギー分野においては、発電単価の低下、RE100*宣言企業の増加などクリーンエネルギー、脱炭素化ニーズの高まりにより、グローバルな規模でマーケットポテンシャルが存在しています。特にアジアの再生可能エネルギー市場は、電力需要増加に見合った市場拡大が予想され、国内で培ったノウハウを生かした事業機会の獲得を進めています。*�国際環境NGOのThe�Climate�Group(クライメイト・グループ)が2014年に開始した国際的な企業の連合体のイニシアティブ。消費する電力の100%を再生可能エネルギーで調達することを目指す団体が加盟。2019年9月現在の加盟社数は203社。

■ 再生可能エネルギー事業(日本)メガソーラー発電事業 自治体や企業などが保有する国内各地の遊休地を賃借し、最大出力1,000kW(1MW)以上の大規模な太陽光発電所(メガソーラー)を建設し、運営しています。 建設から運転開始後20年間に及ぶ発電までプロジェクトは長期にわたり、その間多くのステークホルダーが関与します。オリックスは事業主としてそのすべてのマネジメントを行い、安全かつ安定した事業運営に努めています。 発電所を安定して運営していくためには、O&M(オペレーション&メンテナンス)が重要です。オリックスは太陽光発電所の保守・管理において高い信頼性を持つ事業者に業務を委託するとともに、遠隔監視システムなどを通じて各発電所の状況を常に把握し、高い品質と発電効率の維持に努めています。

屋根設置型太陽光発電事業 お客さまが保有する工場や倉庫など大型施設の屋根を賃借して太陽光発電システムを設置する、屋根借り方式の太陽光発電事業を行っています。地上設置型と異なり、屋根設置型の場合、造成や整地が不要で、屋根にパネルを容易に設置できることから、工期も短く早期に発電を開始できます。 お客さまのメリットは、本来収益を生まない屋根の有効活用や太陽光パネルの遮熱効果による施設内空調の効率改善、自家消費電源としての利用などがあります。 オリックスでは、施設の設計段階から屋根を活用した太陽光発電を提案したり、構造的に重いパネルを載せられない屋根には軽量パネルの使用を提案するなど、お客さまの施設の最大限の活用と効率的な発電を実現しています。 また、お客さまの保有施設にシステムを設置するため、施工会社の教育や監督をする専任担当者を設けて安全かつ確実な工事を行っています。発電システムの保守・管理については高い信頼性を持つO&M事業者を選定し、委託しています。 なお本取り組みは、オリックスで保有する商業施設などの屋根を活用した事業としても行っています。

電気利用者

電力会社

協力会社土地所有者 協力会社

オリックス(発電事業者)

送電

売電契約

借地契約

保守・管理

設計・施工

メガソーラー発電事業

Data

メガソーラー発電事業と屋根設置型太陽光発電事業の合計最大出力確保済みプロジェクト:約1GW 

うち稼働中:約840MW(2019年3月末)

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バイオマス発電事業 群馬県東吾妻町で国内材を燃料とした木質チップ専焼発電の「吾妻木質バイオマス発電所」を運営しています。木質チップ専焼発電は、木質チップ燃料をボイラーで燃焼させ、その蒸気熱でタービンを回転させて発電する方式です。化石燃料の代替としてバイオマス*1である木質チップを燃料にすることで、CO2排出量の低減につながるだけでなく、サーマルリサイクル*2技術の活用により、環境に配慮した発電事業を実現します。最大出力は13,600kW(13.6MW)、2019年3月期の年間送電量は8,600万kWhです。 安定して電力を供給するためには、品質の良い木質チップの安定確保が重要です。発電所では、建設廃木材や剪定枝に加え、従来活用が進んでいなかった間伐材*3の利用も、東吾妻町や地元の森林組合と共同して取り組み、地域の森林整備*4や木質チップのリサイクル率向上につなげています。 また、燃焼灰の適切な処理も重要です。発電所では、燃焼灰の有効利用のためにリサイクル会社に処理を委託しています。リサイクル会社では燃焼灰を活用して道路の路盤材や、太陽光パネル設置架台への製品化を行っています。*1� �化石資源を除く、再生可能な生物由来の有機性資源のことをいいます。これらのうち、木材由来のものは木質系

バイオマスと呼ばれ、環境に優しい燃料として注目を集めています。*2� �廃棄物を単に焼却処理するだけでなく、焼却の際に発生するエネルギーを回収・利用すること。*3� �密集化する立木を間引く間伐作業で発生する木材のことをいいます。建築用建材には不向きで、有効利用の難し

い木材とされています。*4� �森林の持つ、国土保全、水源涵養、地球温暖化防止、木材等の林産物供給といった機能を維持するために行う植

栽、保育、間伐などのこと。

株式会社吾妻バイオパワー��▶▶▶��https://agatsuma.orix-eco.jp/index.htm

風力発電事業 1995年に国内の陸上風力発電事業に出資して以降、蓄積してきた国内外での風力発電に関する知見を生かし、洋上風力を含めた風力発電事業の開発に向けて調査・検討を進めています。●秋田県秋田市の「秋田新屋ウィンドファーム」(最大出力8.7MW)への出資●千葉県銚子沖で、洋上風力発電の事業性検討中(海底地質調査等実施)

地熱発電事業 オリックスが運営している「別府温泉�杉乃井ホテル」(大分県別府市)では、自家用では国内最大規模となる最大出力1,900kW(1.9MW)の地熱発電所を保有・運営しています。こうした地熱発電事業と温泉旅館の運営ノウハウを生かして、全国数カ所で事業化を目指すとともに地域の発展にも貢献していきます。 現在推進している事業は以下のとおりです。● �北海道函館市南茅部地域において最大出力6,500kW(6.5MW)程度の地熱発電所の建設に着手し、2022年初春の竣工、商業運転の開始を目指しています。

● �青森県青森市、青森県下北郡風間浦村、岩手県八幡平市においても同様に地熱発電所の建設に向けた地表調査が完了しており、順次、掘削調査の準備を行っています。

● �東京都八丈町と町内における地熱発電利用事業に関する協定を締結し、2022年に最大出力4,400kW(4.4MW)の地熱発電所の運転開始を計画しています。

(仮称)南茅部地熱発電所(完成イメージ)

電気利用者

オリックスおよび電力会社

チップ業者(約60社)

灰処理業者(リサイクル製品の製造)

吾妻木質バイオマス発電所

送電

供給

燃料購入燃焼灰処理委託

バイオマス発電事業

吾妻木質バイオマス発電所

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Environment環境

お客さま

パネルメーカー

周辺機器メーカー

協力会社

協力会社

協力会社

スケールメリットを生かした設備・システムの調達

・設備導入のご提案・ファイナンス・設計・施工・メンテナンスのサポート

・設備・システムの販売・設計・施工・メンテナンス

専門工事

工事会社オリックス

設備・システムの卸売

太陽光発電システム導入サポート 太陽光発電システム価格は世界的に導入が加速的に進み、発電当たりのコストは低下していますが、日本においてはまだ建設コストなどが高止まりの状態にあるため、世界的に見れば高い水準にあります。その一方、固定価格買取制度の改正やESG投資を背景に、これまでの売電利用から自己消費利用への流れが加速しています。 オリックスはメーカーからの設備の直接仕入れや全国の工事会社とのネットワークによるスケールメリットを生かし、割安な価格でお客さまの設備投資をサポートしています。複数メーカーからの設備機器選定やリース、割賦などお客さまに合わせた調達手法、さらに固定価格買取制度の事業計画認定取得、自家消費型太陽光向けの補助金制度申請のアドバイスなど、設置から導入後のメンテナンスまでを提供し、お客さまの円滑な設備導入を支援しています。

■ 再生可能エネルギー事業(海外)インドの風力発電事業/分散型太陽光発電事業 インドの人口は2030年までに中国を抜くと言われています。この人口の増加に加え、高い経済成長、国民の生活レベルの向上も相まって、将来のエネルギー需要は急速に増加すると見込まれています。インド政府はこの急増するエネルギー需要に対応するため、官民からの発電所開発への投資を拡大しています。 また、インド政府は、増大する電力需要に対応した系統の整備や開発を進めています。しかし、系統における送電ロス等の問題もあり、一部の都市部においては高い需要を担保できず、ピーク時の停電が日常的に発生しています。加えて、地方ではまだ無電化地域が多く存在するという問題もあります。

●風力発電事業 インドのインフラ開発・投資会社INFRASTRUCTURE�LEASING�&�FINANCIAL�SERVICE� LIMITED(IL&FS)と共同で、風力発電事業に取り組んできましたが、2019年10月に、風力発電子会社の全株式を取得し、完全子会社化しました。 同事業では、インドの中でも風況が良い南西部の7州に風力発電所を開発し、2019年3月現在、合計23カ所(873.5MW)の発電所が稼働しています。発電した電力は、主に固定価格買取制度に基づいて州電力会社へ売電するとともに、一部は大口需要家へ売電します。�インドでは、COP21(気候変動枠組条約第21回締約国会議)において、2030年までに総発電量の40%を化石燃料以外の電源とすることを公約しています。その達成に向けて、2022年までに太陽光発電で合計出力100,000MW、風力発電で合計出力60,000MWを導入する目標を掲げています。

●分散型太陽光発電事業 インドで、地元の中堅財閥のSUN�Groupとともに分散型太陽光発電事業に取り組んでいます。 建物の屋根や小規模用地に太陽光発電設備を設置し、発電した電力を当該建物や用地で消費することが特長です。電力需要地の近くで発電することで送電ロスを抑えることができ、また、夜間や悪天候の日は電力会社からの電力を使用できます。 太陽光を活用した分散型電源は、小規模なスペースでも設置ができ、かつ多額な投資を要する送配電インフラの整備を必要としない地産地消型であるため、多くの無電化地域を抱えるインドでは、さらなる需要が見込まれています。

Data

販売パネル総容量:835MW(2019年3月末時点)

太陽光発電システム導入サポート

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ベトナムの水力発電事業 ベトナムでは、経済成長に合わせた電力需要が見込まれています。ベトナム政府は、その電源確保のため2016年に、2030年までのGDP成長率を7%とし、その電力需要に合わせた第7次国家電力マスタープランを策定し、新規の電源開発を進めています。その一方、この電源開発の内容には大型の石炭火力発電の案件も多く、環境への影響も懸念されています。そこで、ベトナム政府は太陽光、風力、バイオマスなどの再生可能エネルギーの電源開発を促進させるため、固定価格買取制度等の優遇策を導入しています。 オリックスは、ベトナムの水力発電事業会社Bitexco� Power� Corporation(BPC)に資本参加しています。BPCは、ベトナム全土で20カ所(2019年3月現在)の水力発電事業を運営、建設しています。最大出力895,000kW(895MW)で、民間最大手の水力発電事業会社です。ベトナムでは、電力需要が年平均8%以上伸びており、2030年には2015年の3倍以上になると予想されています。このような中、旺盛な電力需要に対応するために、ベトナム政府は電力市場を段階的に自由化する方針を掲げており、オリックスは再生可能エネルギー事業や電力小売事業のノウハウを生かし、ベトナムにおいても幅広く事業を推進していきます。

米国の太陽光発電事業 IGS�Solar社と提携して、商業施設や学校などの屋根および土地に太陽光パネルを設置し、発電した電気を当該施設などに販売する事業を行っています。パネルは、2019年3月現在、全米11州の48カ所の施設や土地に設置済みまたは建設中で、想定される合計最大出力は50,000kW(50MW)となります。ORIX�Corporation�USA��▶▶▶��https://www.orix.com/

海外での地熱発電事業 世界における地熱発電開発は、北米、欧州のみならずアジア・アフリカ・中南米など新興国においても、化石燃料のように枯渇することなく、長期間にわたり安定した電力供給ができる再生可能エネルギー発電の方法として注目されています。 オリックスは、地熱発電事業などを手掛けるOrmat�Technologies,�Inc.(Ormat社)に資本参加しています。� Ormat社は、地熱発電設備の設計・製造・販売・据付事業を行うとともに、自ら地熱資源開発および地熱発電事業を手掛ける、世界で唯一の地熱事業垂直統合企業体です。2019年5月現在、地熱発電設備は、全世界において最大出力約2,900,000kW(2,900MW)の累積導入実績を有し、バイナリー式の発電設備導入量においては世界トップとなる約82%のシェアを占めています。また、米国だけでなく中米やアフリカなどでも事業展開しており、2019年3月現在、947,000kW(947MW)の設備容量を保有しています。資本参加を通じてOrmat社と戦略的に提携し、主として日本およびアジア地域における地熱発電事業などを推進していきます。Ormat�Technologies,�Inc.��▶▶▶� https://www.ormat.com/

Ormat社が保有・運営するMcGinnessHillsComplex発電所

BPCが保有・運営するDakMi4発電所

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Environment環境

■ 省エネルギーサービス事業(ESCOサービス) 省エネルギーサービスは、お客さまの工場や建物内の生産設備等の更新・設置に際し、生産性を向上させることで省エネルギーおよび省CO2等を実現するサービスです。

*1� 共同申請者であるお客さま側の申請業務等や財産管理へのご協力が必要です。*2� �本サービスのご案内は、補助金の交付をお約束するものではありません。公募要領に反した場合は補助金の返

還を求められる事があります。� �補助金は公的資金を受け取る事になるため、財産処分の制限や報告義務があり、承認を得ない計画変更や効果

の未達は、補助金の返還を求められる事があります。� �共同申請において、オリックスが補助金返還を行った場合は、返還した補助金相当額をお客さまにお支払いいた

だきます(ただし、オリックスの責任により補助金返還した場合を除く)。 <提供サービス事例>

提供サービス サービス内容 具体事例

生産設備における省エネサービス

工場の主要設備である生産設備の更新を柱に生産性向上および省エネルギーサービスを提供

飲料、化学、工業炉、射出成形機など生産設備の更新による省エネルギーサービス

電・熱供給サービス 電力の安定調達・BCP対策・コスト削減を目的としたコジェネレーション設備を導入

高効率なボイラーの導入に加え、排熱の有効利用も実現

LNG燃料転換事業 CO2削減を目的として工場で使用する燃料を重油等から環境負荷の低いLNG(液化天然ガス)へ転換

CO2排出量を削減(転換前比で約10~25%の削減例)

工場ユーティリティにおける省エネサービス

エネルギー多消費型の工場向けのユーティリティの更新をメインとした省エネルギー設備の導入

エネルギー使用量の削減(導入前比で約10~35%の削減例)、高効率型ユーティリティ設備(空調設備、照明設備、ボイラー等)の導入

商業施設・オフィスビル向け省エネサービス

施設に応じた複合的な省エネルギー設備を導入 高効率型ユーティリティ設備(空調設備、照明設備、冷凍冷蔵設備、EMS設備等)の導入(導入前比で約5~35%の削減例)

自治体向け省エネサービス

自治体のESCO事業公募の代表事業者にオリックスが選定され、施設に応じた複合的な省エネルギー設備を導入

BEMS、空調のCO2濃度制御/ファン風量制御、高効率照明設備、ろ過システム制御等の導入でエネルギー使用量の削減(導入前比で約10~15%の削減例)

■ 太陽光パネル・蓄電システムなどの販売およびリース・レンタル事業 ONEエネルギーは、太陽光パネルと蓄電システムの卸売販売およびリース・レンタル等のサービスをご提供しています。太陽光パネルと蓄電システムを併用することで、太陽光で発電した電力を蓄電して自家消費したり、余剰電力の売電や停電時の備えとしても活用できます。また、今後の再エネ賦課金*増加による電気代上昇のリスクにも備えられます。

*再生可能エネルギー発電促進賦課金

ONEエネルギー株式会社��▶▶▶��https://oneenergy.co.jp

お客さま ・工事請負契約・業務委託契約

ゼネコン・サブコン

エンジニアリング会社

各種メーカー

メンテナンス会社

オリックス

・設置工事・保守管理

補助金交付団体

・設備投資・メンテナンス・補助金申請等・設備工事・効果検証

補助金共同申請*1 補助金交付*2

・工事請負代金・委託料

リース契約・ESCO契約

リース料・サービス料

Data

実績件数:約750件 (2019年3月末時点)

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■ 分散型ネットワーク実現への取り組み 再生可能エネルギー発電の導入拡大に伴い、エネルギー供給方法が、大規模な発電所から集中して電力を供給する「集中型」から、比較的小規模で地域に分散している電力を近接地で利用する「分散型」へとシフトする動きが世界的に広まっています。日本においても、東日本大震災を機にエネルギー供給における制約やこれまでの集中型エネルギー供給システムの脆弱性が顕在化し、分散型エネルギーへのシフトが期待されています。分散型の利点は、地域の特徴も踏まえた多様な供給力(再生可能エネルギー、コジェネレーション等)を組み合わせて最適に活用することで、エネルギー供給のリスク分散やCO2の排出削減に貢献することです。さらに、これまでエネルギーの利用主体でしかなかった需要家が、分散型エネルギーの活用を通じて自ら供給に参加できるようになることで、エネルギー需給構造に柔軟性を与えることにもつながります。 すでにオリックスは、太陽光(メガソーラー、屋根設置型)、風力、バイオマスなどの再生可能エネルギー発電所など、国内に約600カ所を超える分散型エネルギーネットワークに資する電力供給施設を所有しています。また、約1万台の家庭用定置型蓄電池や家庭用太陽光発電設備を提供しています。これらのオリックスが保有する電力供給施設と提供するサービスは、今後拡大する分散型エネルギーネットワークの安定性に寄与することが期待されます。加えて、新たな電源となりうる電気自動車や、中型から大型の定置型蓄電池などの展開も検討していきます。分散した電力供給源を保有し、効率的な電力消費や新たな需要供給源の安定的な利用を支援するオリックスは、今後も分散型エネルギー供給の主要プレーヤーを目指します。

環境エネルギー事業:環境事業 環境分野では、サーキュラーエコノミーやストック型社会への移行を受け、廃棄物処理・リサイクル業界の再編の動きが活発化すると見込まれます。そのため、収集運搬、中間処理から最終処分までの一貫したバリューチェーンの強化の一策として、最終処分場における処分場の増設を進め、搬入量の増加に対応していきます。さらに、廃棄物規制により参入障壁の高い一般廃棄物市場において、主に食品廃棄物、紙ごみなどの事業系一般廃棄物を対象としたバイオガス発電所の建設を新たに計画しており、運転開始は2022年3月期を予定しています。加えて、自治体不燃ごみの再資源化事業を検討し、市町村のリサイクルセンターの代替施設としての処理委託受注を目指します。これに関しては、災害発生時の大量廃棄物の受け入れ施設も兼ねるものとなります。 オリックスの廃棄物処理事業、リサイクル事業は以下のとおりです。

■ 廃棄物の再資源化および廃棄物処理支援事業 オリックス資源循環は、埼玉県寄居町にて、最先端の熱分解ガス化改質方式を採用したゼロエミッション施設*(寄居工場)を埼玉県のPFI事業として運営しています。廃棄物を約2,000°Cでガス化・溶融し、完全に再資源化できるのが最大の特長です。1日当たり450トンの廃棄物処理が可能で、民間の処理施設(焼却・溶融)としては、国内最大規模です。 廃棄物は、さまざまな工程を経て、アスファルト舗装の材料(スラグ)や道路の凍結防止剤(工業塩)などに再資源化されます。また、溶融時に発生する精製合成ガスは

Data

処理トン数:約120,000トン(2019年3月期実績)処理内容内訳:産業廃棄物約70%、 一般廃棄物約30%

(2019年3月期実績)

<再資源化物の種類>スラグ、メタル、金属水酸化物、工業塩、硫黄、精製合成ガス、電気

オリックス資源循環寄居工場

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Environment環境

敷地内の発電施設で高効率発電の燃料として利用し、余剰電力は電力会社に売電しています。 オリックス資源循環の子会社であるジークライトは国内で最大級の管理型最終処分場を運営しています。オリックス資源循環が持つ廃棄物の焼却・溶融機能に加えて、最終処分の機能も持つことで、廃棄物に関する企業や自治体からの幅広いニーズに対し、ワンストップで対応できる体制を整えています。*廃棄物を原材料などとしてすべて有効活用することで、不要な排出物を一切出さないこと。

オリックス資源循環株式会社��▶▶▶��https://www.orix.co.jp/resource/index.htm

■ 不用物リユース・リサイクル・適正処理サポート事業 (広域リサイクルシステム)

 オリックス環境は、不用物の回収やリユース、リサイクル、適正処理を、日本全国で複合的にサポートするネットワークを構築しています。処理会社の選定や配車手配、売却時の価格査定やコスト削減提案、適正処理に関する事務作業を一元管理し、全国均一のクオリティで回収、リサイクル、不適正処理の防止に努め、全国に拠点を構えるお客さまの不用物の処理をサポートしています。 収集運搬会社・中古品販売会社・中間処理会社・リサイクル会社などの適正処理ネットワークにてお客さまの多様なニーズに対応しています。

■ 金属リサイクル処理事業(自社処理施設) オリックス環境は、千葉県船橋市と埼玉県春日部市で、機械類・OA機器などの金属系廃棄物を中心に取り扱う中間処理施設を運営しています。 機械類などの金属混合物は、回収、保管、一次加工、再生品(素材)化までを一貫して行い、品質の高い金属素材を選別しています。OA・IT機器などの希少金属が含まれている機器類は手解体、データ消去、素材化までを一貫して行い、素材ごとに分別しリサイクルしています。オリックス環境株式会社��▶▶▶��https://www.orix.co.jp/eco/

環境性能の高い商品・サービスの提供■ レンタカー事業/カーシェアリング事業のEV・HV導入 オリックス自動車では、レンタカー事業およびカーシェアリング事業を全国約2,800カ所の拠点を通じて展開することでシェアリングエコノミーを推進しています。また、管理車両数約71,000台のうち、EV(電気自動車)、HV(ハイブリッド車)を合わせて約10,500台導入し(2019年3月末時点)、環境性能に優れた車両をお客さまに提供しています。

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■ テレマティクスサービス オリックス自動車が提供するテレマティクスサービス「e‐テレマ」は、お客さまの車両に通信とGPS機能を備えた車載機を搭載し、車両の運行状況を可視化します。運転速度や急加速・急減速などのドライバーの挙動、燃費、CO2排出量などの情報をリアルタイムに取得し、これらの運行データを分析して車両利用における環境負荷の低減を実現しています。 具体的には、危険挙動(速度超過、急加速、急減速)発生時に設定先のアドレスへメールが配信されるため、危険挙動メールが送付されない運転を心がけることが、「安全運転」=「エコ運転」=「燃料費削減・燃費向上・CO2削減」につながります。

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■ 不動産開発事業 オリックスの不動産事業部門では環境性能の高い不動産開発を行っています。開発したビルや物流施設は、環境性能認証であるLEED*1やCASBEE*2で高い評価を取得しています。 2016年9月に竣工したオリックス上野1丁目ビルは、徒歩6分圏内で6路線6駅を利用できる利便性の高い立地にあります。働きやすさに加え、環境性能とBCPにこだわり、LEEDとCASBEE両方の環境性能認証を取得しています。豊かな緑と眺望を楽しむことのできる屋上庭園や、自転車通勤者のための駐輪場やシャワールームを設けるなど、働く人の知的生産性向上につながるオフィス空間を実現しています。*1� �米国グリーンビルディング協会が所管する環境性能評価指標であり、エネルギー効率に優れ、持続可能な建築物

の世界的な普及を目的としています。「LEED-CS」は合計5つの評価カテゴリーと2つのボーナスカテゴリーに属する50余りの評価指標があり、各指標の合計値で評価が行われています。

*2� �CASBEE(建築環境総合性能評価システム):建築物の環境性能で評価し格付けする評価システムです。省エネルギーや環境負荷の少ない資機材の使用といった環境配慮はもとより、室内の快適性や景観への配慮なども含めた建物の品質を総合的に評価し、「S」「A」「B+」「B-」「C」の5段階で格付けしています。

開発実績については、以下のウェブサイトの一覧をご参照ください。https://www.orix.co.jp/grp/company/sustainability/three_r/オリックス不動産株式会社��▶▶▶��https://www.orix-realestate.co.jp

Data

テレマティクスサービス「e-テレマ」「e-テレマPRO」提供車両台数:161,000台

(2019年3月末時点)

GPS衛星危険挙動

お知らせメール配信

通信回線を利用した「車両運行データ」送信

データを活用した効果検証

「運行管理情報」の提供

コンサルティング

車載機の装着

システムサーバー

テレマティクスウェブサイト

オリックス自動車

導入時 1年目 2年目

  1台当たりCO2排出量(kg-CO2)  平均燃費(km/l)

10.8

387.7

11.4

384.5

12.1

367.1

12.0%向上

5.3%削減

e-テレマの環境効果例

オリックス上野1丁目ビル(東京都台東区)

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Environment環境

大京および穴吹工務店の取り組み 大京および穴吹工務店は、地球環境に優しい住まいづくりを積極的に推進し、快適で健康な暮らしの実現と低炭素社会の実現を目指しています。 日本では、「エネルギー基本計画」において「2020年までにハウスメーカー等が新築する注文戸建て住宅の半数以上をZEH(ゼッチ)とし、2030年までに建売戸建や集合住宅を含む新築住宅の平均でZEHの実現を目指す」とする政策目標を設定しています。ZEHとは、“Net�Zero�Energy�House”の略です。高い断熱性能や電力を効率良く使う機器の導入による「省エネルギー」と、太陽光発電などにより電力を創り出す「創エネルギー」で、年間エネルギー消費量の収支をゼロ以下にすることを目指した住宅を意味します。 大京は、集合住宅のZEH化に先駆けライオンズ芦屋グランフォートにて日本初の「Nearly�ZEH-M(ニアリーゼッチマンション)*1」を取得、2019年5月に竣工しました。本物件は、断熱性能の向上による省エネと、「次世代エネファーム」による高効率な発電により、一次エネルギー消費量*2を32%削減します。また、太陽光発電で一次エネルギー消費量を48%創エネすることにより、「省エネ」と「創エネ」で一次エネルギー消費量の80%以上を削減します。 また、大京および穴吹工務店は、集合住宅のZEH化を促進するための実証事業として初公募が行われた、経済産業省の「平成30年度高層ZEH-M(ゼッチ・マンション)実証事業」に応募し、2018年9月に10事業が採択、翌年の環境省「平成31年度高層ZEH-M(ゼッチ・マンション)支援事業」にて、11物件が採択されています。採択事業のすべての物件は、「ZEH-M�Oriented(ゼッチ・マンション・オリエンテッド)」を基準とし、断熱性能を大幅に高め、さらに高効率設備・システムを導入することで快適な室内環境を保ちつつ、共用部を含む住棟全体の年間の一次エネルギー消費量を20%以上削減したマンションとなります。*1� �Nearly�Zero�Energy�Mansion。Nearly�ZEH-Mの規定に準拠し、省エネルギーと創エネルギーにより基準一次エネルギー消費量を75%以上削減した集合住宅*2� �建築や住宅で用いる冷暖房をはじめ、換気、給湯、照明などの設備機器のエネルギーを熱量換算した合計値

ZEHへの取り組み(ライオンズマンションサイト)��▶▶▶��https://lions-mansion.jp/areaspecial/zeh_m/大京コーポレートサイト��▶▶▶��https://www.daikyo.co.jp/index.html

事業プロセスでの環境負荷低減 オリックスでは、自社の事業プロセスにおいても環境負荷の低減を意識しています。具体的な事例については以下のウェブサイトをご参照ください。

https://www.orix.co.jp/grp/company/sustainability/environment/business_processes.html

ライオンズ芦屋グランフォート(兵庫県芦屋市)

<ZEH-M>の概念図ZEH-M(ゼッチ・マンション)とは、断熱性の向上、高効率設備・システムの導入、再生可能エネルギー設備の導入でエネルギー収支ゼロを目指した住まいです。

出典:経済産業省�資源エネルギー庁(集合住宅におけるZEHロードマップ検討委員会)

エネルギーを「極力必要としない」 エネルギーを「上手に使う」

高効率な設備・システムの導入エネルギーを「創る」

再生可能エネルギー設備の導入

高断熱化

断熱性の向上

給湯

照明

換気冷房

暖房

給湯

照明換気冷房暖房 ≦0

エネルギー収支エネルギー

消費量20%以上削減!

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環境パフォーマンスデータ

■ オリックスグループCO2排出削減貢献量

2019年3月期

合計 2,602,400

太陽光発電 503,900

風力発電 739,900

地熱発電 1,055,300

自動車事業 155,700

バイオマス発電43,000

省エネルギーサービス(ESCO)

93,500

その他環境エネルギー事業

800

その他事業10,300

2016年3月期 2018年3月期2017年3月期

■ 自動車事業を通じた排出削減貢献量  ■ その他事業を通じた排出削減貢献量

■ 環境エネルギー事業を通じた排出削減貢献量  ・地熱発電

地熱発電所の売電量から算定した削減量・電力供給

海外や他社で削減されたCO2排出量の権利を取得し、自らの排出量に組み込むことにより、CO2排出の影響度を低減しています

・省エネルギーサービス(ESCO)ESCOサービスの提供によるお客さまのエネルギー使用量の減少に伴う削減量

・太陽光発電メガソーラー、屋根設置型太陽光発電所の売電量から算定した削減量

・バイオマス発電木質チップを専焼とした発電所の売電量から算定した削減量

・風力発電風力発電所の売電量から算定した削減量

(単位:t-CO2)

その他事業10,300

合計 1,836,800

合計 1,393,500

合計 969,600

太陽光発電 428,700

風力発電 573,100

地熱発電 544,700

自動車事業 142,200

太陽光発電 346,900

太陽光発電 177,600

電力供給 565,400

自動車事業 114,800 自動車事業 130,300

風力発電 600,900

電力供給 190,000

バイオマス発電46,000

省エネルギーサービス(ESCO)

93,700

その他環境エネルギー事業

700

その他事業7,700

バイオマス発電47,800

省エネルギーサービス(ESCO)

67,000

その他環境エネルギー事業

300

省エネルギーサービス

(ESCO)49,500

バイオマス発電

48,800

その他事業10,100

その他環境エネルギー

事業3,400

<算定範囲・方法>算定対象期間:各年度4月1日~3月31日算 定 範 囲:オリックスグループ国内外グループ会社(持分法適用会社を含む)基本的な考え方:�● �オリックスグループの事業活動により、お客さまおよび社会全体において削減された活動量にCO2排出係数を乗じて算定。� ● �日本の事業における削減貢献量算定にあたっては、「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度(地球温暖化対策の推進に関する法律)」

で「代替値」として公表されている排出係数(2016年3月期は0.000579t-CO2/kWh、2017年3月期は0.000587t-CO2/kWh、2018年3月期は0.000512t-CO2/kWh、2019年3月期は0.000500t-CO2/kWh)を基本的に使用。

� ● �海外の事業における削減貢献量算定にあたっては、それぞれの事業実施国における排出係数を基本的に使用。� ● �オリックスグループで取得後、対象期間中に償却されたCO2削減クレジット量も加えて算定。� ● �持分法適用会社における削減貢献量は、持分に応じて算定。

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■ オリックスグループCO2排出量

2016年3月期 2018年3月期2017年3月期

■ スコープ2(エネルギー起源間接排出量)電気、蒸気、熱(温水・冷水)の使用

■ スコープ3(その他の間接排出量)輸送・配送(下流)

■ スコープ1(直接排出量)重油、軽油、ガソリン、都市ガス、石炭、バイオマス、廃棄物などの燃料燃焼

(単位:t-CO2)

2,800

157,463168,441

235,780

158,652

225,599

2,900 3,0003,000

  第三者保証の該当箇所です (オリックス・レンテックのレンタル機器の輸送に関わる部分)

235,249

2019年3月期

146,469

907,345

スコ―プ1・2の合計1,053,814

*スコ―プ1のうち石炭・バイオマス混焼発電所689,232

スコ―プ1・2の合計392,711

スコ―プ1・2の合計384,251

スコ―プ1・2の合計404,220

第三者保証直接排出量およびエネルギー起源間接排出量の数値は、PwCサステナビリティ合同会社の第三者保証を受けています。詳細は以下のウェブサイトをご覧ください。https://www.orix.co.jp/grp/company/sustainability/environment/data.html

<算定範囲・方法>算定対象期間:各年度4月1日~3月31日算 定 範 囲:オリックスグループ国内連結会社(ただし、プリンシパル・インベストメント事業の投資先会社は除く)算 定 方 法:�● �CO2排出量は、「特定排出者の事業活動に伴う温室効果ガスの排出量の算定に関する省令」に基づいて算定。� ● �環境情報管理に関する社内規定に基づいて算定。� ● �CO2排出量には、非エネルギー起源CO2、メタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)を含む。� ● �電気の使用に伴う排出係数は、温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度による電気事業者別の実排出係数を使用。*スコ―プ1のうち石炭・バイオマス混焼発電所689,232t-CO2についてオリックスでは、福島県相馬市の相馬石炭・バイオマス発電所(相馬)、福岡県北九州市のひびき灘石炭・バイオマス発電所(ひびき灘)の2カ所で石炭・バイオマス混焼発電所を運営しています。相馬は2018年3月に、ひびき灘は2018年12月に稼働開始しました。各発電所の発電容量は112MWで、安定した発電と電力供給を行っています。両発電所は、環境への配慮としてバイオマス燃料を約30%混焼させることにより、同等クラスの石炭火力発電所と比べCO2排出量の低減をはかっています。

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多様な人材(ダイバーシティ) 価値ある職場づくり

「知の融合」から新しい価値の創造へ

Keep Mixed 「個」を生かすマネジメント

ワークライフバランス 自己実現

国籍

年齢 性別 キャリア

学歴

■ 目指すべき人材像Creativity ~絶えず新たなビジネスを自ら創り出す人材~ オリックスは、事業を通じて社会に貢献していきたいと考え、世の中のニーズを察知し、常に新しいビジネスを追求するため、さまざまな個性を持った人材が知恵を出し合いながら、先進的な商品・サービスを提供してきました。これからも、社会に必要とされる企業であるために、固定観念にとらわれることなく、柔軟性を持ち、絶えず新たなビジネスを自ら創り出す人材を求めています。

Challenge ~「高い専門性」を身に付け、「チャレンジ」し続けられる人材~  新しいビジネスを創り出すためには、社員一人一人が失敗を恐れず、新しいことに

「チャレンジ」しようと思う前向きな気持ちが大切だと考えています。また、私たちの舞台には、さまざまな専門性が必要とされているため、それぞれのキャリアの中で高い専門性を身に付けながら、常に新しいことにチャレンジし続けられる人材を求めています。

Team Play ~多様な価値観を認め、周囲を巻き込みながら主体的に行動できる人材~ オリックスは、幅広い専門性を持つ事業部門同士で知恵を出し合い、チームプレーを駆使することで事業を広げてきました。そのため、多様な価値観を認め、周囲を巻き込みながら主体的に行動し、チームプレーを発揮できる人材を求めています。

社員との関わり■ オリックスの人材戦略

「Keep Mixed」という考えのもと、社員それぞれの能力・専門性を最大限に生かすオリックスにとって、最も大切な財産は「人」です。国籍、年齢、性別、職歴問わず、多様な人材を受け入れることで多様な価値観や専門性による「知の融合」を図り、新たな価値を生み出す「Keep Mixed」という考えのもと、社員それぞれの能力、専門性を最大限に生かせる職場づくりを目指しています。具体的には、働きがいのある職場づくりの一環として、多様な働き方を尊重し、社会情勢に先駆けた形で職場環境の整備、人事制度の改革を行っています。また、チャレンジする人にチャンスを与え、グローバルで活躍できる人材の育成を強化しています。

Social社会

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Social社会

「Keep Mixed」実現に向けた取り組み オリックスでは、「Keep Mixed」を実現するために、ダイバーシティ&インクルージョンの推進とすべての社員にとって価値ある職場づくりに取り組んでいます。

■ ダイバーシティ&インクルージョンの推進 オリックスのさらなる成長のためには、社員一人一人が培った経験や知識をさらに高め、継続的に発揮し伝承していくことが不可欠だと考えています。一方で、定年延長や夫婦共働き世帯の増加、女性活躍推進法の施行など、世の中の環境変化に伴い、働き方の多様な選択肢へのニーズがますます高まっています。社員それぞれの能力や専門性を最大限に生かせる職場づくりを目指し、社員のライフイベントなどに応じた働き方の多様性や自由度を高め、ダイバーシティ&インクルージョンのさらなる推進を図っています。

女性活躍推進 オリックスでは、男女雇用機会均等法の施行(1986年)以前の1982年から、大卒の女性を総合職として採用し始めるなど、いち早く女性の活躍推進に取り組んできました。それに合わせて人事制度も拡張してきましたが、制度の拡充だけでなく、戦略的に社員の意識改革を促す取り組みも積極的に行っています。そこで、社員の約4割を占める女性のさらなる活躍推進を図り、経営幹部を担う女性の増加、ワークライフバランスを保ちながら活躍できる環境の充実などを目標として、次のように女性活躍推進の行動計画を策定しています。

オリックス㈱の「女性活躍推進の行動計画」

目標女性管理職比率を2020年までに18%(2014年3月31日時点)から5%引き上げる

(2019年3月末時点で23.8%となり、目標を達成しました)

主な取り組み

女性採用数の一定の確保(2019年3月期実績:32名、全採用人数の42.6%)*1

女性管理職候補者の育成を目的としたキャリアプランの策定と、若手社員向けセミナーやワークショップの実施次世代を担う女性幹部候補者の育成を目的とした、プログラムや研修の実施

実績*2

管理職に占める女性管理職比率23.8%(418名)女性社員に占めるワーキングマザー比率39.9%(634名)2018年3月期に出産した女性社員に占める育休取得者比率*3100%(77名)女性社員に占める短時間勤務利用者比率13.0%(206名)

*1 女性採用実績は新卒採用の数値で、2018年4月1日~2019年3月末時点の実績。*2 実績は、2019年3月末時点。*3 2018年3月期に出産した女性社員が2019年3月期に育休を取得した比率

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シニア社員の活躍推進 健康寿命の伸長や、年金の支給開始年齢の引き上げなどに伴う経済的な理由により、シニア社員の就労意欲は高まっています。また、企業にとってもシニア社員がこれまでの業務で培った知識やスキルは、貴重な財産です。オリックスではシニア社員が安心して働ける環境を整えたいと考え、2014年4月に定年を60歳から65歳に引き上げました。多くの経験や専門性を持つシニア社員がチャレンジを続け活躍してもらうことが、企業の組織力や活力を高めることにつながると考えています。

障がい者雇用促進 オリックスでは、障がい者雇用を促進するため、2007年4月に「オリックス業務支援株式会社(特例子会社)」を設立しました。現在、東京(立川)と大阪の2カ所に事業所があり、グループ各社より定型業務を受託することにより、オリックスグループの業務効率の推進に寄与しています。2019年4月1日現在、59名の障がい者と8名の指導員が勤務しており、契約書製本、保管文書のPDF化、DM封入、データ入力などの事務代行業務、およびカーシェアリング車両の洗車・点検、事務所内などの清掃業務に従事しています。

キャリア採用・外国人採用 事業の変化に応じた多様な人材を確保するために、キャリア採用や外国人の新卒採用にも注力しています。オリックスは、会社設立時より積極的にキャリア採用を進めており、その前歴は金融だけではなく、製造業、コンサル、商社、不動産、サービスなどさまざまです。2019年3月期に入社した社員の67%がキャリア採用で、これまでの経験やさまざまな視点を通して新たな価値を生み出しています。オリックスでは、2016年から日本国内の留学生だけではなく、中国、台湾、韓国の海外大学の新卒採用を実施して、多様な価値観を持つ学生の採用に力を入れています。毎年、新卒入社の約10%が海外からの採用です。

■ 価値ある職場づくり 多様な価値観を持った社員が健康的に安心して生き生きと働き、それぞれの能力が最大限に発揮できる働きがいのある職場環境の実現に向けて、これまでも多様な人事施策に取り組んできました。2016年からは、CEO直轄の「職場改革推進プロジェクト」が始動しており、働き方支援施策の拡充、改善と社員の意識啓発に取り組んでいます。

職場改革推進プロジェクトのメンバー

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Social社会

職場改革推進プロジェクト 2016年10月、CEO直轄の「職場改革推進プロジェクト」が発足しました。生産性高く働くことを目指し、多様な働き方を認め合う文化を醸成していくことをプロジェクトの目的として活動を推進しています。

職場改革推進プロジェクトの立ち上げ、 社員ニーズの把握 主要グループ会社10社、200人以上の現場で働く社員で委員会を立ち上げ、約半年の期間をかけて課題・施策を検討し、約120の施策をCEOに提言しました。

職場改革 推進の一年 プロジェクトで発案された社員からの提言をもとに、多様で柔軟な働き方につながる人事諸制度を中心に80施策を実行しました。働く時間の柔軟性を高めるため、既存のフレックスタイム制度のコアタイムを廃止したスーパーフレックスタイム制度の新設や、1時間単位で取得できる年次有給休暇制度の新設、リフレッシュ休暇取得奨励金制度の拡充を行いました。また、多様なキャリア観を支援するため、社内インターン制度を開始しました。

生産性向上へ 投資の一年 働く場所の柔軟性を高め、多様な働き方の後押しとなるよう、IT設備の充実化、外部サテライトオフィスの拡充を進め、自席以外でも働けるインフラ整備に取り組みました。同時に、職場改革を推進することで生まれた時間を社員が有効活用できるよう会社が金銭面で支援する制度(自分磨き制度)を開始しました。

従業員満足度調査 オリックスでは、社員とのコミュニケーションを大切にするため、さまざまな取り組みを実施しています。社員が仕事に対して日ごろどのように感じているのかを調査し、今後のさまざまな人事施策等に生かすために、2004年以降、従業員満足度調査

(モラルサーベイ)を導入し、2016年以降の年次調査では、主要グループ10社(オリックス、オリックス・レンテック、オリックス自動車、オリックス・クレジット、オリックス不動産、オリックス・システム、オリックス銀行、オリックス生命保険、オリックス環境、オリックス債権回収)の社員を対象に実施し、調査結果を社内に公開しています。 調査結果から得られた社員個人の意見は、すべて匿名で扱われた上で、オリックスグループ各社、オリックス株式会社各本部の満足度等がどのようなトレンドになっているのか把握するため、年に1回グループ執行役員会へ報告されます。また、従業員満足度調査の結果は、オリックスグループの人事施策決定の参考として、あるいは現在実施している人事施策の効果の検証に利用されています。

2017年3月期

2018年3月期

2019年3月期

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人事制度 オリックスは、男女雇用機会均等法の施行(1986年)以前から女性を積極的に採用するなど、法律で定められた制度よりも進んだ人事制度を早くから充実させてきました。 社員一人一人のライフステージやキャリアをサポートする人事制度を充実させることで、それぞれの専門性や能力を最大限に発揮し、生き生きと働ける環境づくりを推進しています。

■ 人事制度一覧

人事制度に関する詳細情報は以下のウェブサイトをご参照ください。人事制度 ▶▶▶ https://www.orix.co.jp/grp/company/sustainability/employee/management_systems.html

ライフステージやキャリアに合わせた人事制度

入社 結婚 出産 育児 復帰

出産・育児

• 育児休職制度(満3歳に達するまで)• 育児特別休暇制度

• 育児時間の取得(1日2時間)• 育児短時間勤務制度 (1日2時間 小学校卒業まで)• 子の看護休暇(有給)• ベビーシッター助成制度

柔軟な働き方の支援• フレックスタイム制度• スーパーフレックスタイム制度• キャリアセレクト制度• 配偶者転勤エリア変更制度• 配偶者転勤休職制度• カムバック再雇用制度• リフレッシュ休暇取得奨励金制度

介護• 介護休職制度• 介護休暇制度(有給)• 介護短時間勤務制度 (1日2時間)

キャリア形成支援 キャリアチャレンジ制度/社内公募制度/社内インターン制度/職種転換制度/自己申告制度/45歳からのキャリアチャレンジ制度/シニア社員向け社内公募制度

多くの社員が制度を活用し、自身のライフステージやキャリアに合わせた柔軟な働き方を実現しています。

• 時間単位の年次有給休暇制度• ボランティア休暇制度• ノー残業デー

• 産前時差勤務制度

• 妊娠期の 短時間勤務制度

• 産前通院時間制度

• 産後通院時間制度

■ キャリア形成を支援する制度● 自己のキャリア開発に活用できる制度

社内インターン制度/自己申告制度● キャリアアップにチャレンジできる制度

キャリアチャレンジ制度/社内公募制度/職種転換制度● シニア社員が活躍できる機会を提供するための制度

45歳からのキャリアチャレンジ制度/シニア社員向け社内公募制度

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Social社会

■ 柔軟な働き方を支援する制度● 勤務時間に関する制度

フレックスタイム制度/スーパーフレックスタイム制度● 休暇取得に関する制度

時間単位の年次有給休暇制度/リフレッシュ休暇取得奨励金制度ボランティア休暇制度

● キャリアの継続を支援する制度キャリアセレクト制度/配偶者転勤エリア変更制度配偶者転勤休職制度/カムバック再雇用制度

■ 両立支援(出産・育児・介護)の制度妊娠・出産支援● 勤務時間に関する制度

妊娠期の短時間勤務制度/産前時差勤務制度● 通院時間に関する制度

産前通院時間制度/産後通院時間制度

育児支援下表のように法定以上の制度を整備しています。

制度名称 法定 オリックス

育児休職制度*1 2歳に達するまで 3歳に達するまで

育児時間の取得*2 1日当たり1時間(無給) 1日当たり2時間(有給)

育児短時間勤務制度 3歳未満まで 小学校卒業まで

子の看護休暇 年5日(無給) 年5日、2人以上年10日(有給)

その他 ―小学校卒業までベビーシッター助成制度あり育児特別休暇制度

*1 育児休職の取得期間は、通算5年を限度とする。5年を超える育児休職を取得する場合は、該当子の育児休職期間は法定どおり。

*2 育児時間の取得は、子が1歳に達する前に復職する社員が対象。

介護支援下表のように法定以上の制度を整備しています。

制度名称 法定 オリックス

介護休職制度 93日 6カ月

介護休暇制度 ― 年5日、2人以上年10日(有給)

介護短時間勤務制度 ― 1日最大2時間*、対象家族1人当たり3年間(分割取得可)

*育児時間と同時に取得する場合は、1日1時間を限度とする。

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人材育成 大きく変化する事業環境の中で、オリックスグループの社員一人一人が個々の能力を最大限に発揮できるよう、さまざまな研修制度を設けています。

■ 研修体系(オリックス㈱の場合、2019年9月末現在)

人材育成に関する詳細情報は以下のウェブサイトをご参照ください。人材育成 ▶▶▶ https://www.orix.co.jp/grp/company/sustainability/employee/development.html

経営力・人材強化

人材マネジメント・組織開発力

階層別 組織別

 グローバル研修・次世代研修

選抜型

自己研鑽支援

選択型研修

公募型

キャリア支援

両立支援

ライフセミナー シニア活躍推進

ダイバーシティ推進

女性活躍推進

管理職以上

主任(6年目~)

中堅(4~5年目)

若手(1~3年目)

育成ステージ

〈新任課長対象〉・新任評価者研修

↓・マネジメント力強化研修

↓・フォローアップ研修

主幹前研修

キャリア面談

女性マネージャー

異業種勉強会

メンタリング

プログラム

若手社員向け女性フォーラム

選抜型キャリアデザイン

研修新任主任研修 グローバル人材育成プログラム

若手グローバル人材育成プログラム

管理職向け選抜研修

語学力アッププログラム

3年目海外現地法人派遣プログラム

内定者向け入社前研修

3年次研修

新入社員フォローアップ研修

新入社員研修

キャリア採用向け研修(入社時研修)

部門別研修

コンプライアンス研修

理念・ブランド プログラム

TOEIC受験

基礎知識強化研修(会計・税務・法務研修)

介護セミナー

選択型研修プログラム

(グローバル対応力・新規ビジネス創出・対人関係能力・業務遂行能力)

海外トレーニー制度

夫婦参加型育児セミナー

産休前・育休中社員向け懇親会

研修目的

入社前

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Social社会

■ 経営力・人材強化人材マネジメント・組織開発力研修 若手の育成として、新入社員研修に始まり、新入社員フォローアップ研修、3年次研修、新任主任研修などの階層別研修を行っています。それぞれの時点での経験を振り返るとともに、今後のビジョンを描いてもらうことを目的としています。また、マネジメント層の役職別には、「人材マネジメント」や「組織開発」を目的とした研修を実施しています。

グローバル研修・次世代研修 2012年3月期より、グローバルに活躍できる人材を戦略的に育成することを目的に、グローバル人材育成体系を構築しました。若手から中堅社員を対象に、海外現地法人への派遣、グローバルコミュニケーションスキル取得を目的とした育成プログラムなどを実施しています。

■ キャリア支援 社会情勢の変化やライフイベントによって、個人がキャリアに関わる選択を求められることが増える中、制度面の充実とともに、一人一人が自立的に考え、行動できるようサポートを行っています。

両立支援(出産・育児・介護)セミナー 制度面での支援に加え、育児や介護での離職を防ぎ、働き続けるために必要な知識や、先輩社員のノウハウ、心構えなどを習得することを目的に、両立に向けたキャリアデザインセミナーを実施しています。

ダイバーシティ推進● 女性社員向け

女性が個々の力を存分に発揮できるよう、自らが主体的にキャリアを築くことを支援する研修を用意し、女性社員のさらなる活躍を推進しています。

● シニア社員向け年齢に関係なく、多くの経験や専門性を持つシニア社員の活躍が企業の組織力・活力を高めることにつながると考え、オリックスでは50歳の社員とキャリア面談を実施し、シニア社員の活躍推進も積極的に行っています。

■ 自己研鑽支援 自分自身の業務に必要なスキル・知識の習得に向けて、主体的に努力する社員を支援するため、大学院への通学費の補助や、会社が認めた資格を取得した場合の一時金支給を行っています。また、外部講師を招いて「論理的思考」「金融知識」「マーケティング/戦略立案」など、幅広いプログラムを実施しています。

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労働安全衛生 オリックスでは、大切な財産である社員一人一人が能力を最大限に発揮し、心身ともに健康で生き生きと長く働き続けることができるよう、事業主と健康保険組合が一体となって社員の安全・健康の向上を目指した取り組みを推進しています。具体的には、グループ各社ごとの特性を踏まえた健康増進対策として、「早期発見による早期治療」「重症化予防」「若年層に対する生活習慣病予防」をテーマに、さまざまな取り組みを実施しています。安全面においては「安全運転管理」「災害発生時対応マニュアルの制作」などにより、多様な人材の活躍を支援しています。

■ 社員の健康管理● 産業医、保健師、管理栄養士が事業所内に常駐しており、社員が気軽に健康に関す

る不安や疑問を相談できる体制を整えています。● 24時間・年中無休で、健康・医療・看護・介護に関して、外部専門スタッフによる電

話相談(フリーダイヤル)を受け付けています。● 35歳未満の社員に対しては、年に一度、定期健康診断を実施し、各種がん検診や

脳ドックなど自費検診費用の補助制度も設けています。● 35歳以上の社員に対しては、年に一度の人間ドックまたは定期健康診断の受診を

義務付けています。人間ドックは、費用の大半を補助し、社員の負担額を抑えることで誰もが受診しやすい態勢を整え、疾病の早期発見と重症化予防につなげています。受診時には、子宮頸がん検診、乳がん検診、脳ドックなどオプション検診費用の補助も実施しています。

■ メンタルヘルス● 産業医、保健師、精神科医、カウンセラーとの相談日を設け、メンタル疾患の相談

およびクリニックの紹介、また、休職・復職に関する相談を受けられる体制を整えています。

● 改正労働安全衛生法の施行に伴い、ストレスチェックを実施し、活気ある働きやすい価値ある職場づくりに積極的に取り組んでいます。

■ 健康増進への取り組み● 健康に関するメールニュースの配信のほか、「禁煙セミナー」「体力測定会」「女性

のための健康応援セミナー」「乳がんセルフチェック教室」などテーマごとの啓発活動を行っています。

● 心身のリフレッシュを目的に、社員とその家族などが利用できる直営の保養所と契約型の保養所を用意しています。直営の保養所は、全国3カ所(軽井沢、京都嵐山、賢島)で運営しています。

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Social社会

■ 営業車両に関する安全確保 オリックスでは、営業車両の事故削減のため、衝突防止機能付きの営業車両の導入を推進しています。営業車両には、オリックス自動車が提供しているテレマティクスサービス*を導入しており、急加速、急減速、長時間アイドリング等の履歴をチェックし、規定値を超えた社員や安全運転管理者に対して月次で個別指導を行っています。 さらに、事故を起こした社員に加え、新入社員、業務上運転が必要となった社員には、自動車教習所での講習受講を義務付けています。* 通信やGPS機能を備えた車載機を搭載し、車両の運行状況を容易に取得できるサービス。取得データは、運行管理

における「コンプライアンス」「環境」「安全」の目標設定や、重要課題の改善・解決に活用することができます。

■ 災害対策 オリックスでは、災害リスクマネジメント基本規則を制定し、災害発生時対応マニュアルを作成しています。原則、勤務・居住する都道府県で震度5強以上の地震が発生した場合に安否確認を行うこととしており、そのための訓練(安否確認訓練)を年に複数回実施しています。安否確認は専用システムを使ってグループ全社員を対象に実施し、有事に備えています。首都圏が被災し、東京本社が機能不全になった場合に備え、大阪本社に災害対策本部を設置し各種情報収集を行う訓練もあわせて実施しています。 また、各拠点に従業員1人当たり3日分の食料及び飲料水を備蓄しています。

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20.6%(707名)

23.8%(418名)

15.5%(187名)

11.6%(295名)

2017 20192018

304

67%

842

138137

263

2009 2019

291

733

248

(3月期)

710

248

12391

282

6892

■ 新卒男性  ■ 新卒女性  ■ キャリア採用男性  ■ キャリア採用女性  キャリア採用比率

78%

  女性採用比率  オリックス(株)   オリックスグループ*3

70%

(3月期)

52%52%49%

■ 社員構成 社員数32,411名(2019年3月末)

人事関連データ

■ 女性管理職推移

■ 役職員構成(2019年3月期) 

平均年齢 平均勤続年数 年次有給休暇取得

全体 42.9歳 全体 15.5年 有給取得日数 14.0日

男性 44.6歳 男性 15.8年 取得率 83.3%

女性 40.7歳 女性 15.0年

*「平均年齢」「平均勤続年数」「年次有給休暇取得」はオリックス単体(本籍ベース)。役員を除く。

法人金融サービス 7% メンテナンスリース 9%

男性63%

日本24,635名76%

女性37%日本以外7,776名24%

うち日本以外8%

うち日本29%

うち日本以外16%

うち日本47%

不動産31%

海外24%

事業投資12%

リテール10%

コーポレート部門 6%

*1 管理職とは、同一事業所において、課長のほかに、呼称、構成員に関係なく、その職務の内容および責任の程度が「課長級」に相当する者(ただし、一番下の職階ではない)。*2 %は管理職に占める女性管理職の割合。*3 オリックス、オリックス・レンテック、オリックス自動車、オリックス・クレジット、オリックス不動産、オリックス・システム、オリックス銀行、オリックス生命保険、オリックス環境、オリックス債権

回収の国内10社合計。2019年3月末の国内10社合計人数は10,216名、全社員数の32%。

セグメント別

採用人数(名)とキャリア採用比率および女性採用比率(オリックスグループ*3)

地域別

女性管理職*1の推移*2

男女別

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■ 出産・育児関連制度の利用状況

■ 外部からの評価経済産業省「健康経営優良法人2019」認定 2019年2月21日、オリックスは「健康経営優良法人2019」の「大規模法人部門(ホワイト500)」に選ばれました。「健康経営優良法人」は、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる企業が認定を受けます。2017年に初めて実施され、オリックスは3年連続で「大規模法人部門(ホワイト500)」に認定されました。 経済産業省・東京証券取引所「準なでしこ銘柄」選定 2019年3月22日、オリックスは「準なでしこ銘柄」に選ばれました。「準なでしこ銘柄」は、全上場企業約3,600社の中から、中長期の企業価値向上を実現するための女性活躍推進を積極的に勧める企業を選ぶ、「なでしこ銘柄」に準ずる企業が選定されます。 厚生労働省「えるぼし」認定 最高位取得 2019年5月27日、オリックスは女性活躍推進法に基づく認定「えるぼし」の最高位である3つ星(3段階目)を取得しました。「えるぼし」は女性の活躍推進に関する取り組みの実施状況が優良な企業が認定され、3つ星は「採用」「継続就業」「労働時間」「管理職比率」「多様なキャリアコース」の5つの基準をすべて満たしている企業が選ばれます。

■ ワーキングマザー数  女性社員に占めるワーキングマザー比率

2009/3/31 2019/3/31

■ 育休取得者数  女性社員に占める育休取得者比率

2009/3/31 2019/3/31

■ 短時間勤務利用者数  女性社員に占める短時間勤務利用者比率

2009/3/31 2019/3/31

597名

1,492名

15.3%

33.4%

281名4.3%

6.3%

168名

494名

3.7%

11.1%

145名約2.5倍増 約1.7倍増 約3.4倍増

* 対象は、オリックスグループ10社(オリックス、オリックス・レンテック、オリックス自動車、オリックス・クレジット、オリックス不動産、オリックス・システム、オリックス銀行、オリックス生命保険、オリックス環境、オリックス債権回収)の女性正社員。

最小サイズヨコ 12.8 ミリまで

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オリックスと人権■ 人権に対する考え方 オリックスは、事業活動において企業として果たすべき社会的責任があること、その責任の一環として人権への配慮が必須であることを認識しています。そして、さまざまな事業分野において潜在的リスクとなり得る奴隷労働にも対処しています。 オリックスでは、腐敗行為防止ポリシーやマネー・ローンダリング防止ポリシーなど、事業やサプライチェーンにおける奴隷労働のリスクを軽減する対策をとっています。また、人権への配慮についてコミットした「オリックスグループ 人権ポリシー」を策定しました。当ポリシーは、オリックス従業員の人権に対する取り組みの推進と、人権に対してネガティブなことを行ったサプライヤーへの対応を定めています。 さらに、オリックスの事業活動に関わるリスク全般を把握する目的で、外部の専門家と協働し、事業分野別のリスクプロファイル分析を行いました。オリックスグループ 人権ポリシー ▶▶▶ https://www.orix.co.jp/grp/company/sustainability/rights/policy.html

■ 英国現代奴隷法への取り組み 2015年英国現代奴隷法(MSA)は、奴隷労働と人身取引の防止を目的とする英国の法律です。 MSAでは、英国内で事業(または事業の一部)を営む年間売上高3,600万ポンド以上の企業に対し、年次のステートメント提出が義務付けられています。ステートメントには、企業が自社の事業活動およびサプライチェーンにおいて奴隷労働と人身取引をなくすために実施した対策を記載(または、いかなる対策も行っていない場合は、その旨を記載)します。オリックス株式会社は英国内で、連結子会社のORIX Corporation UK Limitedを通じて事業活動をしていることからMSAの対象となっています。英国現代奴隷法に関するステートメント(2019年3月期) ▶▶▶ https://www.orix.co.jp/grp/company/sustainability/rights/msa.html

事業活動を通じた社会課題への貢献■ 高齢化社会対策/安心で健康な暮らしの実現 高齢者が安心して暮らすことのできる社会の形成に向けた対策は、高齢化の進む社会における重要な課題となっています。オリックスでは、自動車事業、リテール向け金融サービスなどを通じて、高齢化の進む社会が抱えるさまざまな課題の解決に貢献しています。また、少子高齢化の進展で今後の社会保障制度の維持が不安視されています。オリックスでは、生命保険事業や予防医療サポート事業を通じて、お金や健康に関する不安への備えとなる商品やサービスを提供し、安心で健康な暮らしの実現に貢献しています。

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Social社会

テレマティクスサービス(高齢ドライバーの運転見守りサービス) オリックス自動車は、高齢ドライバーのご家族向けに、テレマティクス技術を活用した事故リスクを低減するあんしん運転見守りサービス「Ever Drive」の提供を2017年2月より開始しました。死亡事故件数に占める高齢者比率は年々増えており、本サービスにより運転を「見える化」することで、危険運転の兆候を早期に把握することを目指しています。本サービスは、見守りたいドライバーの車に専用車載機を搭載し、速度超過や急加速・急減速などの運転挙動をリアルタイムで家族に共有します。将来的には、蓄積されたさまざまなデータを分析し、より一層高齢ドライバーの事故防止につながるサービスの開発を目指します。さらに、法人向けテレマティクスサービス「e-テレマ」や「Ever Drive」で蓄積したビッグデータを自治体や警察、大学や研究機関、病院や介護施設と連携し、事故のない車社会の実現に貢献していきます。

認知症などに備える「家族信託サポートサービス」 長寿化に伴い、日本の個人資産に占める高齢者の割合が高くなる「金融資産の高齢化」が進んでいます。一方で、2025年には65歳以上の5人に1人が認知症を発症すると示されており*、認知機能の低下による財産の維持管理対策が大きな課題になっています。オリックス銀行が取り扱う「家族信託サポートサービス」は、認知症などで判断能力が低下し、意思決定ができなくなることへの備えとして、家族信託等の組成をサポートするサービスです。お客さまの財産管理や資産承継に関するお悩みを対面で伺いながら、お客さまのニーズに沿ったプランをご提案します。*出典:内閣府「平成29年版高齢社会白書」

多様なニーズに対応する生命保険事業 オリックス生命は、お客さまのニーズに応じた最適な保険を提供できるよう、新商品の研究および開発に努め、豊富な商品ラインアップを取り揃えています。オリックス生命の商品は、外部の「保険のプロ」から高い評価を得ており、シンプルでわかりやすいという評価だけではなく、「お手頃な保険料で充実した保障内容」といった評価もいただいています。

予防医療サポート事業 フリールは、日本初のメディカルモバイルサービス会社として、MRI装置やCT装置をはじめとした高度画像診断装置搭載車のレンタルサービスを提供することにより、広範囲な地域医療サービスに貢献しています。必要な場所・時間・期間に応じて、必要な技術支援(技師による撮影・放射線専門医による読影)とともに最短2時間からレンタルで提供しています。企業や自治体においては、指定の場所で巡回型での「脳ドック」「肺ドック」などの検診が可能となり、受診率の向上のみならず、巡回型への人数集約というスケールメリットによって検診費用の削減にもつながります。医療費削減を目的に、「治療」から「予防」への意識が高まる中、企業や健康保険組合向けの検診機能のモバイルサービスは、企業の健康経営ニーズに対応するものとしてご利用いただいています。

MRI搭載車

GPS衛星

運転挙動をメールで受信

家族による見守り

高齢ドライバー

運転データを確認

システムサーバー

専用デバイスから運転データを送信

高齢ドライバーの運転見守りサービス

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■ 地域活性化 コンセッション事業、旅館運営事業などを通じて、地域の活性化に貢献しています。コンセッション事業のうち空港運営では、地域の企業や自治体と連携してビジネスや観光需要の増加に取り組んでいます。旅館運営事業、特に各地の老舗旅館の再生事業においては、地元従業員の雇用継続を重視して取り組むとともに、観光客増加に寄与する魅力的な施設づくりに取り組んでいます。

コンセッション事業 コンセッションとは、空港や道路・上下水道などの公共施設について、施設の所有権を公的機関に残したまま、運営を民間事業者が担う事業形態です。日本政府は経済活性化と財政健全化に向けてコンセッションを推進しており、インフラ老朽化、人口減という社会全体の課題への対応として、オリックスも積極的に取り組んでいる分野です。 オリックスでは、2016年4月より、関西国際空港および大阪国際空港(伊丹空港)の運営を国内初の民間による本格的な空港運営事業として開始し、2018年4月からは神戸空港の運営にも携わっています。航空路線や利用客の増加には、空港だけではなく、空港周辺の魅力を高めることも必要です。空港施設の充実に向けた取り組みを継続的に行うとともに、地域の企業や自治体とも連携してビジネスや観光の需要を高めることにも取り組んでいます。

旅館運営事業 オリックス不動産では、2002年の旅館事業開始以降、これまでに9施設*の温泉旅館運営に携わっています。各地の老舗旅館の再生事業においては、地元従業員の雇用継続を重視して取り組んでいます。また、新規設備投資の実施やサービスレベルの改善による来館者の増加は、観光客増加といった地域経済の活性化にもつながっています。*9施設のうち、2019年3月末時点で運営に携わっているのは7施設

<別府温泉 杉乃井ホテル オリックス投資後の変化>

稼働率 宿泊者数 施策

2003年 52% 251千人 大展望風呂「棚湯」

2008年 68% 345千人 バイキングレストラン

2015年 100% 628千人 直接集客

2016年 100% 670千人 劇場型バイキングレストラン

2017年* 91% 641千人 屋外バイキングレストラン

2018年 97% 699千人 トレーニングジム「ゴールドジム」

*2016年4月の熊本地震の影響で前期比減少

■ スマートでレジリエントな社会の実現 自動車事業の商品・サービスを通じて、スマートでレジリエントな社会の実現に貢献しています。自動車事業では、テレマティクスサービスが企業の適切な労務管理や事故の未然防止などに活用されています。また、災害対応や業務効率化といったお客さまのニーズに対応する特殊車両の開発にも取り組んでいます。

関西国際空港

別府温泉 杉乃井ホテル

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Social社会

テレマティクスサービス オリックス自動車が提供するテレマティクスサービス「e-テレマ」は、車両運行の実態把握に向けて、お客さまの車両に通信とGPS機能を備えた車載機を搭載し、速度超過や急加速・急減速などの挙動や燃費などの情報をリアルタイムに取得します。それら運行データの分析により、企業の車両運行管理における「コンプライアンス」「安全」

「環境」面での課題を可視化し、ドライバーの適切な労務管理、事故の未然防止などについてコンサルティングサービスによりサポートします。2018年8月より、自動車分野における人工知能(AI)技術を持つNauto社(米国)が開発したAI搭載・通信型ドライブレコーダー「ナウト」の販売を開始し、ドライバーの「わき見運転」「居眠り運転」

「あおり運転」による事故を未然に防ぎたい法人企業のニーズにお応えしています。

特殊車両の開発・販売事業 オリックス自動車では、トラックや特殊車両のリースで培ったノウハウを生かし、お客さまのご要望に応じた装備を搭載した「移動金融車(移動店舗車)」や「移動事務所車」を企画・開発しています。「移動金融車」は東日本大震災で店舗が被災した地方銀行からの要請をきっかけに開発したもので、金融機関の店舗を開設することなく金融サービスを提供できる車両です。BCP(業務継続計画)対策として導入し、自然災害に備える金融機関に加え、現在では経営効率化のために店舗統廃合を行った地域で活用する金融機関が増加しています。 「移動事務所車」は、労働時間削減など業務効率化を図りたいというお客さまのご要望をきっかけに開発した車両です。簡易的事務所機能として、営業用バンを改造し、作業机・収納機能付き椅子・インバーター・エアコン・LEDルームランプなどを装備しており、空き時間に事務作業を行うことができます。労務効率の向上や従業員の疲労の削減、また事務所を借りるために発生するコスト削減も可能になり、仮設事務所の設置が難しい建設現場などで活用されています。さらに、蓄電機能も備えており、被災地での利用も想定しています。

社会貢献活動 オリックスでは、事業を通じた社会課題への貢献に加え、事業活動だけではカバーしきれない社会課題、環境課題に対して、さまざまな取り組みを行っています。 大きく、以下3つの観点で取り組みを行っています。取り組みの詳細については以下のウェブサイトをご参照ください。

■ 環境保全活動https://www.orix.co.jp/grp/company/sustainability/contribution/conservation_activities.html

■ 次世代育成https://www.orix.co.jp/grp/company/sustainability/contribution/fostering.html

■ 地域社会とのコミュニケーションhttps://www.orix.co.jp/grp/company/sustainability/contribution/communication.html

Data

移動金融車:販売台数 100台 移動事務所車: レンタル台数(在庫数)

全国で214台(2019年3月末時点)

小学校への出張授業(京都水族館)

e-テレマの安全運転効果*

2 8 14 20 26 32 38 44 50 56(カ月目)

  速度超過回数  急減速回数  急加速回数

(回)16

14

12

10

8

6

4

2

0

*e-テレマ導入1年以上かつ1社100台以上契約先のデータより (2018年11月調べ)

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Governanceガバナンス

コーポレート・ガバナンス

■ コーポレート・ガバナンスの考え方● �オリックスは、経営の基本方針に沿った事業活動を適切に実行し、経営の公正性を確保するため、コーポレート・ガバナンス体制の強化を経営の重要事項の一つと考え、健全かつ透明性の高いコーポレート・ガバナンス体制を構築しています。

● �コーポレート・ガバナンスは、経営者に目標を与え、業績を分析・評価し、経営者が優れた結果を出すように監督する「経営者に対する監視制度」です。これにより、経営者は適切な緊張感のもとで、目標達成に向かってイノベーションを促進します。その結果として、継続的に高いROEを実現できると考えています。

● �コーポレート・ガバナンスでは、社外取締役が果たす役割が重要です。多様なバックグラウンドを持った人材が、業界の常識や企業独特のやり方にとらわれない違った視点で、経営の成果を客観的に判断することができます。また、外部の目線で「リスクを取らないことのリスク」を監督することも可能になると考えています。

■ コーポレート・ガバナンス体制

*業務執行体制についてはP.40をご参照ください。

 オリックスのコーポレート・ガバナンス体制の特徴は、下記の4点です。● �指名委員会等設置会社制度を採用(執行と監督の分離)● �監査委員会と報酬委員会の全委員、指名委員会の委員の過半数を社外取締役で構成し、各委員会の議長は社外取締

役から選任● �すべての社外取締役が当社の「独立性を有する取締役の要件」を充足

● �すべての社外取締役が各分野において高い専門性を保有

業務執行体制*

監督

経営・監督

人査監計会

取締役候補者を決定

取締役・執行役の報酬内容を決定

取締役・執行役の職務執行を監査

取締役の選任・解任

報告

会計監査

株主総会

社外取締役6名

社内取締役6名

取締役会 指名委員会

報酬委員会

監査委員会

コーポレート・ガバナンス体制図�(2019年7月1日現在)

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40

Governanceガバナンス

■ 業務執行体制

コーポレート・ガバナンスに関する詳細情報は以下のウェブサイトをご参照ください。有価証券報告書/�Form�20-F(米国証券取引委員会向け年次報告書)��▶▶▶� https://www.orix.co.jp/grp/company/ir/library/コーポレート・ガバナンスに関する報告書��▶▶▶��https://www.orix.co.jp/grp/company/ir/governance/

 オリックスは、事業環境の変化に迅速かつ柔軟に対応する効率的な業務執行、ならびにリスク管理、コンプライアンス、グループ会社管理、監査体制などのオリックスグループの適正な業務の執行の確保の観点から、以下のとおり内部統制

システムを構築・運用しています。さらに事業環境の変化や事業の拡大、多様化に合わせて、内部統制システムの継続的な改善と向上に積極的に取り組んでいます。�

業務執行体制図�(2019年7月1日現在)

報告報告

執行権限の委任

監査

協力

執行

指名委員会

ディスクロージャー・コミッティ

月例戦略会議

グループ執行役員会

エグゼクティブ・コミッティ

投・融資委員会

経営情報化委員会

内部統制関連部門(グループ管理部門)

事業部門(子会社を含む)

報酬委員会

監査委員会

モニタリング

内部通報窓口

監査委員会事務局

経営・監督

業務執行

内部監査部門

(執行責任機関)

CEO、COO、CFO

執行役

取締役会事務局

取締役会

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サステナビリティ推進体制

■ 推進体制整備までの動き 事業活動を通じて社会の課題やニーズに取り組むということが創業以来のオリックスの考え方であり、サステナビリティは常にオリックスのDNAの一部として存在していました。しかし、この考え方をサステナビリティのポリシーとして明文化した上で、社内に根づかせるための体制を作り、役職員へ浸透させて意識付けを図るようなことはこれまでできていませんでした。そのため、当社のサステナビリティをステークホルダーの皆さまと共有することも十分にできていませんでした。

 サステナビリティに関するオリックスの推進体制および取り組みへの透明性をさらに高める目的で、2018年秋、CEOの指示に基づき、経営計画、IR、法務の各部門のメンバーで編成されたサステナビリティ担当事務局が設置されました。事務局は外部専門家と協働し、サステナビリティの明文化、サステナビリティ推進体制の整備、社内浸透策の検討を進めました。2019年7月に事務局はサステナビリティ推進チームという正式な組織として発足しました。�

■ サステナビリティ推進チームについて サステナビリティ推進チームは、財経本部経営計画部に所属しています。同チームはCEO、CEO補佐兼財経本部統括役員、財経本部長に加え、グローバルジェネラルカウンセルなどのトップマネジメントと密接に連携しています。サステナビリティ推進チームは、エグゼクティブ・コミッティに活動状況を報告し、サステナビリティの進め方について判断を仰いでいます。また取締役会の内部機関の一つである監査委員会にも、適宜報告を行っています。このようにしてサステナビリティに関する議論や意思決定を推進するための材料を、取締役や執行役に提供しています。

 サステナビリティ推進チームは、企業のサステナビリティに関するアドバイザリー、エネルギー管理、ESG投融資、IR、経営計画、環境関連法および企業法務に関する経験と知識を持つメンバーで構成されています。チームには、オリックスでキャリアを積み、多様な事業展開についてよく理解しているメンバーもいれば、外部からオリックスに加わり、チームに新しくグローバルな視点を持ち込んだメンバーもいます。このように異なる経歴と専門分野を持つチームがサステナビリティ課題に取り組んでいます。

サステナビリティ推進体制図�(2019年7月1日現在)

報告 指示

CEO

エグゼクティブ・コミッティ(決裁)

CEO補佐兼財経本部統括役員

財経本部長

グローバルジェネラルカウンセル財経本部 経営計画部

サステナビリティ推進チーム

報告

必要に応じて

指示

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Governanceガバナンス

■ サステナビリティ推進チームの役割 サステナビリティ推進チームの役割は次の3点です。

1. グループ全体におけるサステナビリティを推進する グループとしてのサステナビリティの考え方を整え、グループ全体のサステナビリティに関する企業風土の醸成と、浸透を進めます。� グループ役職員全員に適用されるサステナビリティの基準(グループ共通のベースとなる考え方)を整えます。また各事業部門とともに事業特性に合わせたサステナビリティへの取り組み方を検討します。 公的なコミットメントへの参加など、グループとしてのサステナビリティ取り組みへの対外的な関与について検討します。

2. 各事業部門の事業特性に合ったサステナビリティ目標の設定を推進する オリックスは多様な事業を行うグローバル企業であることから、事業分野や地域の抱えるさまざまなサステナビリ

ティ課題の影響を受けることになります。そのため、事業部門ごとにその特性に合ったサステナビリティへの取り組みを推進します。 各事業部門のサステナビリティ取り組みの設定を支援し、またそれらがグループ全体のサステナビリティ目標と合致しているかどうかをモニタリングします。

3. サステナビリティ推進状況をステークホルダーに報告する  年次でサステナビリティに関する報告書を発行します。 オリックスグループサイトのサステナビリティページを管理し、データを含め、サステナビリティに対するすべてのオリックスの取り組みを開示します。� イントラネットでの情報発信、全社員参加型のセミナーの主催、経営陣へのプレゼンテーションなど、さまざまな方法を使って、メッセージや情報の発信、啓蒙、啓発活動を推進し、オリックスらしいサステナビリティの企業風土を創造していきます。

<サステナビリティアプローチ>

コーポレートレベル 事業部門レベル

対象となる課題の範囲 グループ全体 事業部門単位

課題の責任者 エグゼクティブ・コミッティ エグゼクティブ・コミッティおよび事業部門長

課題の担当者 オリックス(株)経営計画部�サステナビリティ推進チーム

オリックス(株)経営計画部�サステナビリティ推進チームおよび事業部門担当者

課題へのアプローチ方法 グループを一元的に見る、ミニマムスタンダードを�満たす、例外は設けない、高い透明性を確保する

事業特性に合わせた対応をとる、各部門で自発的に取り組む

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サステナブルな投融資の推進

■ サステナブル投融資ポリシーの策定 オリックスは、ESG(環境・社会・ガバナンス)に関わるサステナビリティ課題が長期的なリスクと機会に重要な影響を与える可能性があり、意思決定にサステナビリティを考慮することが事業を行う上で極めて重要な必須要件であると認識しています。また、投融資取り組みの検討においてサステナビリティの要件を組み込むことは、その事業や取り組みに関するリスク

と機会をより良く理解し、結果としてお客さまや株主に利益をもたらすものであると考えています。 オリックスは、以上の考え方および「オリックスグループ�サステナビリティポリシー」を踏まえ、2019年9月に、グループの投融資取組を対象とする「オリックスグループ�サステナブル投融資ポリシー」を定めました。

■ サステナブル投融資ポリシーの適用範囲について

■ サステナブル投融資ポリシーの運用について

 オリックスの投・融資委員会へ付議する案件に原則として適用します。投・融資委員会は、執行機関の一つで、トップマネジ

メントおよび投融資担当の執行役が出席して、一定額以上の投融資案件を審議します。

各部門の役割● �案件を担当する営業部門は、サステナビリティに関するリスクを把握した上で、投・融資委員会に案件を申請します。

● �投融資管理本部は、投・融資委員会に申請される案件のとりまとめ部門として、申請案件のサステナビリティに関する情報を営業部門から収集し、経営計画部サステナビリティ推進チームに連携します。

● �経営計画部サステナビリティ推進チームは、サステナビリティやESG要素の観点でリスクが大きいと判断した場合、専門的知見を有する外部の専門家を起用した追加的調査などを行って、必要なリスク低減策を検討し、投・融資委員会に提言します。

案件の審査方法 投融資案件を審査する際には、下記のスクリーニング、インテグレーション、ナレッジなどの基準を用いて、案件の事業内容や取組内容のサステナビリティに関するリスクと機会の分析およびその特定を行い、判断します。

スクリーニング 対象案件がもたらす環境、社会面への影響を十分に考慮した上で判断します。環境、社会面において、経営上の問題があ

ると判断した事業に対しては投融資を行わないことがあります。

インテグレーション 案件を多角的な側面から総合的に審議するため、経済的側面だけでなく、コーポレート・ガバナンス、環境負荷、人権などサステナビリティやESGの観点から案件のリスク評価を実施します。

ナレッジ サステナビリティに関連する国際的なガイドラインに基づいて作成した、オリックス独自のサステナブル投融資チェックリストを活用してサステナビリティやESGの観点から案件評価を行います。 サステナブル投融資チェックリストは、投融資案件申請時に営業部門が記入し、投融資管理本部を通じて、経営計画部サステナビリティ推進チームに連携されます。同チームは、チェックリストの記載項目に該当する案件については営業部門と協議を行います。サステナビリティやESG要素の観点でリスクが大きいと判断した場合、専門的知見を有する外部の専門家を起用して追加的な調査を実施することもあります。

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Governanceガバナンス

 投融資実行後の案件についても、サステナビリティやESGの観点から積極的にエンゲージメントを実施します。必要に応

じて、案件審査の際に特定した重要なESGリスクについては継続的にモニタリングを実施します。

投融資実行後の対応

報告

協議・報告

報告付議

エグゼクティブ・コミッティ 監査委員会 グループ執行役員会

ERM本部長

グループコンプライアンス部

本社

コンプライアンス責任者

各部門

各社・各本部

コンプライアンス

■ コンプライアンスに関する基本方針

■ コンプライアンス体制

■ コンプライアンス年間計画

 オリックスは、コンプライアンスを経営上の最重要課題の一つと位置づけており、適切なコンプライアンス体制を構築し、高

い倫理観をもってコンプライアンスを実践する企業文化の醸成に努め、誠実かつ公正で透明性の高い企業活動を遂行します。

 オリックスでは、コンプライアンスに関する重要事項について、各委員会(エグゼクティブ・コミッティ、監査委員会、グループ執行役員会)に付議、報告する体制としています。ERM本部

長のもと、グループコンプライアンス部は、各社・各本部に設置されたコンプライアンス責任者と連携し、オリックスのコンプライアンス活動を推進しています。

 オリックスでは、コンプライアンスリスクの顕在化を予防・抑制するために、毎期、グループ全体のコンプライアンスに関する活動方針(コンプライアンス年度方針)を定めています。 この方針に従い、オリックスグループ各社・各本部がリスク評価を実施し、リスク評価に応じた自部門のコンプライアンス年間計画を策定します。策定されたコンプライアンス年間計

画については、グループコンプライアンス部がその妥当性や有効性を確認する仕組みとしています。 その後、グループ各社・各本部でコンプライアンス年間計画を実践し、終了後に報告を行い、グループコンプライアンス部でその内容につき確認を行います。

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■ コンプライアンスの啓発活動

■ コンプライアンス教育

■ 調査・モニタリング

■ コンプライアンス関連規程(2019年10月末現在)

 オリックスでは、トップマネジメント(CEO)やコンプライアンスを担当する役員から、グループ全役職員に対してコンプライアンス意識向上に向けたメッセージを発信しているほか、グループコンプライアンス部から定期的に注意喚起や啓発のための情報を発信しています。 また、コンプライアンスの重要性を役職員が十分に理解し、その実践を確実なものにするため、コンプライアンス研修を継続的に実施しています。具体的には、eラーニングの活用や

集合研修あるいはオンサイト(拠点)での研修を実施し、また新入社員向け、役職者向けおよび全社員向けといった階層別研修を実施しています。 これらの研修に加えて、ハラスメントや働き方等の問題について意識調査のアンケートや職場環境ヒアリングを実施するなど、グループの役職員一人一人の気づきや意識改革につながるような取り組みも行っています。

 オリックスでは、コンプライアンス責任者(グループ各社・各本部に設置したコンプライアンスの推進責任者)を対象として「コンプライアンス責任者連絡会」を定期的に開催し、コンプライアンス推進策の理解促進やコンプライアンス関連知識の

レベルアップを図っています。 また、グループコンプライアンス部の職員は、外部機関との連携や外部講習の受講等を通じて、コンプライアンスに関する最新の知識・情報の収集や対応スキルの習得に努めています。

 グループコンプライアンス部では、職場環境やコンプライアンス意識の調査を行い、その結果をコンプライアンス施策に反映させています。

 また、コンプライアンス違反に関する疑義が生じた場合、調査を行い、違反行為の是正指示および人事部門に対する違反者の処分勧告を行っています。

コンプライアンスポリシー オリックスでは、グループ共通のコンプライアンスにかかる規程を制定し、グループの役職員が法令、社内規程を遵守した行動をとるための規範や行動基準を定め、その推進を図っています。 オリックスの「コンプライアンスに関する基本方針」およびコンプライアンス体制に関する基本的事項については、「オリックスグループ�コンプライアンスポリシー」に定め、コンプライアンスリスクを管理し、コンプライアンスの徹底を図っています。「コンプライアンス・マニュアル」では、「オリックスグループ�コンプライアンスポリシー」および「役職員倫理規程」についてわかりやすく解説し、役職員一人一人の理解を深めるとともにコンプライアンス意識の向上を図っています。

腐敗行為の防止 オリックスでは、最も高い倫理基準を維持し、すべての適用法令を遵守し、すべての事業において役職員や代理人などが不適切と見られるような行為を行わないよう努めています。「オリックスグループ腐敗行為防止ポリシー」を定め、取引の相手方が政府職員であるか、民間あるいは個人であるかを問わず、いかなる状況であれ、腐敗行為にかかる支払いの授受を禁止しています。

接待・贈答等の授受 オリックスでは、「接待・贈答等の授受に関する規則」において、取引先等または公務員等との間で接待・贈答の授受を行うに際しての基本的事項を定め、オリックスが不正な利益を得るための手段としての接待・贈答を行うことを防止し、取引先等または公務員等との間で公正で透明な取引を行うよう努めています。

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Governanceガバナンス

マネー・ローンダリングの防止 オリックスでは、「オリックスグループマネー・ローンダリング防止ポリシー」において、すべての営業取引において、違法行為から生じた収益に関わる取引、テロリストに資金を供与する取引、各国政府等が取引を禁じた者等との取引に関与しないこと、および各国のマネー・ローンダリング規制法令等を遵守するよう定め、マネー・ローンダリング(資金洗浄)行為のリスクを検知し、対処するよう努めています。日本の法令である「犯罪による収益の移転防止に関する法律」が適用される事業を行うグループ各社は、同法に基づき、取引開始時に本人確認を厳格に行い、また、疑わしい取引については届出を徹底しています。

反社会的勢力の排除 オリックスでは、「オリックスグループマネー・ローンダリング防止ポリシー」に従い、「反社会的勢力による被害防止等に関する細則」において、「反社会的勢力に対する基本方針」をはじめとしたオリックスグループにおける反社会的勢力による被害の防止および国際テロリストの財産凍結に係る法令等の遵守ならびにマネー・ローンダリングの防止に必要な事項を定め、企業としての社会的責任を果たすとともに、オリックスの経営への損害・損失の影響の最小化を図っています。

利益相反の防止 オリックスでは、「オリックスグループ利益相反防止ポリシー」において、利益相反を回避するためのグループとしての基準を定め、オリックスグループの役職員が、事実上あるいは潜在的な利益相反や利益相反とみなされるおそれのある事案に直面した場合に、適切に対処することができるよう努めています。

インサイダー取引の防止 オリックスでは、「インサイダー取引等防止規則」において、グループ役職員等がその業務に関して取得するインサイダー情報等の管理、株式等売買規制、役職員等の遵守事項等について必要な基本的事項を定め、インサイダー取引、その他不公正な売買取引を未然に防止するよう努めています。

不公正な取引等の防止 オリックスでは、「不公正な取引等の防止に関する法令遵守規則」において、不当な取引制限または不公正な取引方法を用いて取引先等と営業取引を行うことを防止するための遵守事項を定め、公正かつ自由な競争を行うよう努めています。

 オリックスでは、不正・法令違反に関する通報・相談窓口(外部法律事務所)や、会計・会計の内部統制・監査に関する通報相談窓口(オリックス監査委員会事務局)、不適切な業務執行・ハラスメント等に関する通報窓口(社内窓口・社外窓口いずれも利用可能)を設置し、役職員、派遣社員、アルバイト、パート、退職者や家族からの相談を受け付けています(手紙、直接訪問、電話、メールで連絡可。メールの場合は24時間・365日受付可能)。また、このような相談窓口を設置していることを、ポスターや社内イントラネットにより、役職員へ積極的に周知しています。これにより、法令違反、社内規程違反、社会通念に反する行為等を早期に発見し、不祥事を未然に防ぐとともに必要な改善を図り、グループ経営の健全性を高めることを目指しています。

 通報窓口は、社内・社外の両方に設置し、社外弁護士・外部専門業者を利用した外部窓口、経営幹部から独立した監査委員会への通報窓口を設け、匿名での通報や組織的な問題に関する通報を行いやすくすることで、制度が適切に機能するよう努めています。なお、本窓口では倫理的行為、合法行為、組織の誠実性に関して判断に迷った時に相談できる機能もあります。 また、制度の体制・運用について定めた「コンプライアンス・ホットラインに関する規則」において、内部通報者および調査協力者への不利益扱いを禁止するとともに、全役職員(派遣社員を含みます。)に対して、法令違反、社内規程違反、社会通念に反する行為等が行われていることを知った、あるいは疑問を抱くに至った場合、まず自らの上司に報告することを原則とし、上司への報告に支障がある場合等には、速やかにコンプ

■ 内部通報制度

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リスク管理体制

■ リスク管理体制の整備の状況 オリックスでは、効果的なリスク管理が事業継続に不可欠という方針に基づき、グループの事業に関するさまざまなリスクの特性をグローバルレベルで適切に把握し、管理するための体制を整備しています。グループ全体のリスクコントロールのためにERM本部を設立し、関連法令による規制を含むリスクの集中管理を促しています。リスクの分析、管理については、

主に個別案件のモニタリングを行う審査部門など、内部統制関連部門が連携しながら実施しています。モニタリング結果は、エグゼクティブ・コミッティ、投・融資委員会、監査委員会、取締役会へ定期的に報告されます。各機関はこの報告を受けてリスクを評価し、それを受けて執行機関は適切な施策を講じています。

■ リスクのコントロールについて オリックスでは、経営戦略に基づいた全社的なリスクの選好および各事業部門の事業戦略を勘案して、経営資源の配賦を行っています。取締役会や執行機関は、事業部門のパフォーマンスと収益性を評価し、必要な施策を実行しています。このプロセスを通して、バランスシートのコントロールと、成長性のある事業部門により多くの経営資源を配賦することの両方を可能としています。 事業のモニタリングは、事業部門ごとのほかに、個別案件ごと、およびポートフォリオ全体でも行っています。 営業取引にかかる個別案件については、審査部門が、事前の審査において事業環境、戦略、リスクと収益性の評価などを行い、投・融資委員会で案件をレビューしています。案件実行

後も、事業環境の変化、キャッシュ・フローなどをモニタリングし、重大な状況変化や事業戦略の変更があった場合などには適宜執行機関に報告しています。また、事業部門では、関連する業界動向と合わせてリスク分析を行い、個別案件のリスクのコントロールを行っています。 ポートフォリオ分析については、審査部門が、グループ全体の観点から顧客の業種別、地域別、取り組みタイプ別、リスクタイプ別、アセットクオリティの状況別、大口与信先の集中度合いなどについてモニタリングしています。また、経営計画部門では、財務部門および審査部門と協働し、市場リスクや流動性リスク(資金調達に関するリスク)についてコーポレートレベルでリスクのモニタリングを行っています。

 オリックスでは、コンプライアンス推進の一環として、お取引先等からの通報窓口を設置しています。グループ役職員によるコンプライアンスに反する行為やそのおそれのある行為

について、オリックス株式会社グループコンプライアンス部が通報を受け付けています。

■ 外部通報制度

ライアンス・ホットラインに通報する義務を課しています。 通報受付後は、ホットライン責任者(コンプライアンス担当

の役員)の管理のもと、関係者を限定し、通報情報を厳重に管理の上、調査・是正対応等を行っています。

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Governanceガバナンス

■ 主なリスクの管理について

*1 情報セキュリティリスクマネジメント

 オリックスでは、グループの事業に関するさまざまなリスクの特性を適切に把握し、管理するための体制を整備してい

ます。特に以下8つのリスクを主なリスクと認識し、それぞれの特性に応じたリスク管理を行っています。

 オリックスでは、情報資産リスクに対応するためのグループ基本方針として、「情報セキュリティポリシー」を定めています。同ポリシーでは、情報の重要度を明らかにした上で、重要度に応じて適切に取り扱うこと、重要な情報に対する脅威や情報システムの脆弱性には継続的に注意して対応すること、リスクが顕在化した際の対応体制や役割を定めています。 情報セキュリティリスクマネジメントの主な取り組み内容は

以下のとおりです。●情報の重要度基準の設定 �グループ共通の情報の重要度基準を社内規程として定め、重要情報を把握。

●複数の安全管理措置 �特定の手段や技術を過信せず、物理的、人的、組織的、技術的な牽制を組み合わせた安全管理を実施。

<主なリスクと管理方法の例>

主なリスク リスクの定義 管理方法の例

信用リスク 与信先、投資先のキャッシュ・フローの変動から生じ得る将来の投資回収の不確実性

•�十分な担保や保証の取得•�債権の流動化•�与信先や業種の分散

ビジネスリスク 新たに参入する事業の不確実性や、提供する商品・サービスの品質の陳腐化や、商品市況の価格変動性

•�シナリオ分析やストレステスト•��事業計画やオペレーションのモニタリング

市場リスク 金利、為替、株価などの市況の変動によって保有する資産と負債の公正価値が変動するリスク

•��資産、負債の統合管理(ALM)に関してグループ共通の規程を制定•�市場リスクを包括的に把握・検証

流動性リスク(資金調達に関するリスク)

市場の混乱やオリックスの財務内容の悪化などにより必要な資金を確保できない、または資金調達にあたり、著しく高い金利でしか調達できなくなるリスク

•�調達手法の多様化•�手元流動性の管理•�ストレス時を想定した流動性リスク分析

コンプライアンスリスク

オリックスの事業活動や業務執行において、適用となる関係法令を遵守しないことやオリックスグループの社内方針、社内規程および社会通念等に違反することから生じる損害、損失、不利益または風評被害を被るリスク

•��コンプライアンス年間計画の策定・実施•��コンプライアンスの企業文化を支えるプログラムの実践•��各種規程の制定・周知活動による、役職員の意識向上

法的リスク

オリックスの事業や企業経営に適用される法令およびそれらの法令の制定や改正、ならびに規制当局の監督により、オリックスグループの事業活動への制限や法的責任、法的不利益が発生するリスク

•��審査・法務・コンプライアンス各部門の関与による、リスクの回避・低減・予防策の実施•�社内弁護士や外部の弁護士の利用

情報資産リスク 情報資産の滅失・毀損・漏洩や情報システム障害により損失を被るリスク

•�情報管理体制について定めたポリシーの制定*1

•��社内システムの保守・運用管理、情報セキュリティインシデント発生時の対応体制の構築

オペレーショナルリスク

業務執行にかかる内部プロセスの不備や、人が適切に機能しないこと、または災害などの外生的事象によりオペレーションが適正に機能しなくなることから生じる損害、損失、不利益、風評被害を被るリスク

•�災害リスクの管理に関する社内規程の制定*2

•�年度内部監査計画に基づくモニタリング

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*2 災害リスクマネジメント オリックスでは、災害や事故などの予期せぬ出来事が発生した場合における基本的な考え方、活動内容、リスクマネジメントを組織的に実行していくための枠組み等を定めた「災害リスクマネジメント基本規則」を制定しています。あわせて「災害リスクマネジメント基本方針」を定め、平時には災害に伴い予想される経営資源の損失低減や、復旧方法の確立を図り、緊

急事態には組織機能の維持と、迅速な復旧を通じて被害を最小限に抑えることを目指しています。また、行動指針として、役職員およびその家族の安全確保を最優先すること、経営資源の保全および適切かつ迅速な復旧を図ること、災害に関連する社会的要請に応えることを掲げています。

●役職員個人を特定した上での情報システムの使用 �役職員一人一人が責任を持って業務にあたるとの考えから、情報システムは役職員個人を特定した上で使用。

●継続的な役職員教育 �役職員に対し、eラーニングをはじめとする情報セキュリティ

に関する教育を継続的に実施。●情報セキュリティインシデント発生への備え �情報セキュリティインシデントが発生した場合の対応をグループ共通の社内規程として定め、対応組織や責任を明確化。

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■ コーポレート・ガバナンスの進化

■ 取締役構成

ガバナンス関連データ

オリックスは1964年の設立以来、米国会計基準による連結決算を採用し、国内外の投資家に業績や事業内容を正しく理解していただくことに努めてきました。

設立6年後の1970年に、大阪証券取引所市場第二部に上場。これは、「企業はパブリックであるべき、つまり社会の一員として責任を果たすべきだ」という考えで実施しました。

1999年には、社外取締役制度を導入。2003年に委員会等設置会社*へ移行し、現在では社外取締役の全員が、東京証券取引所が定める独立役員として届け出ています。*�2015年の改正会社法施行に伴い、指名委員会等設置会社へ名称変更

1998年のニューヨーク証券取引所への上場は、増加する外国人株主の利便性向上を図る必要が生じたこと、またSEC(米国証券取引委員会)から厳しい情報開示を求められることがコーポレート・ガバナンスの強化につながるとの考えで実施しました。

1997年に諮問委員会を設置。1998年には執行役員制度を導入するなど、コーポレート・ガバナンスの強化につながる取り組みを他社に先駆けて行ってきました。

1964 米国会計基準を採用

1970 大阪証券取引所市場第二部に上場

2003 委員会等設置会社(現在の指名委員会等設置会社)へ移行

このようにオリックスでは、経営者を監督する機能を積極的に強化してきました。経営者にとっては厳しい仕組みですが、同時に、経営者にとっても企業経営にとっても最も安全な仕組みであると考えています。

1998 執行役員制度を導入ニューヨーク証券取引所に上場

1997 諮問委員会を設置

2015 2016 2017 2018 2019

取締役人数 13 13 12 12 12

 うち社外取締役人数 6 6 6 6 6

 社外取締役比率 46% 46% 50% 50% 50%

 うち女性取締役人数 1 1 1 1 2

 女性取締役比率 8% 8% 8% 8% 17%

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オリックス株式会社 財経本部 経営計画部〒105-6135 東京都港区浜松町2丁目4番1号 世界貿易センタービルTEL : 03–3435–3121 FAX : 03–3435–3154 URL : https://www.orix.co.jp/grpサステナビリティレポートの内容についてのお問い合わせは、上記までご連絡ください。