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52 教セミPICK UP 東京都足立区立西新井小学校5年生の子供たちが, 明海大学(千葉県浦安市)主催の「あけみ英語村」 (2017年11月2日開催) に参加した。 学校外での異文化体験は子供たちにとっても初めて。 同大留学生との交流を通じて,外国語を話す楽しさを体感した。 特集1でも取り上げた新指導要領。 その目玉の一つでもある英語教育の特別ルポをお届けします。 明海大学は2017年1月に東京都足立区 と英語・外国語活動の充実に関する連 携協定を締結した。東京オリンピック・ パラリンピックの開催や小学校英語の 必修化への対応を見据え,足立区の児 童生徒の英語基礎力の定着と英語・外 国語活動に関する施策や事業の充実を 図るため,外国語学部を有する同大の 教育資源を生かした,多彩な取り組み が期待されている。今回の「明海大学あ けみ英語村~小学生異文化交流プロジ ェクト」もこの取り組みの一環だ。 ■子供たち+留学生+教職志望の大学生 「あけみ英語村」は,西新井小学校5年生(87名3 クラス)の子供たちに,明海大学の留学生(16ヵ国80 名),と日本人学生(3 9 名)が加わり,小グループに分 かれて「英語」を共通語に,1日行動を共にするもの。 プログラムは,芝生での自由遊び・昼食,教室での外 国人の先生による授業体験,体育館での各国のゲー ム体験,図書館での英語と留学生の母語による絵本 の読み聞かせと盛りだくさん。各グループは,午前 10時半の開村式から,およそ4時間にわたって異文 化交流を体験した。 小学校英語教育を考える 小学生が留学生と交流  「明海大学あけみ英語村」で 異文化体験 SPECIAL REPORTAGE 特別ルポ
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SPECIAL REPORTAGE...REPORTAGE ‒特別ルポ ‒ 「What ʼs your name ? My name is …」「What do you lik e ? I like …」キャンパス内にある芝生の...

Oct 06, 2020

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Page 1: SPECIAL REPORTAGE...REPORTAGE ‒特別ルポ ‒ 「What ʼs your name ? My name is …」「What do you lik e ? I like …」キャンパス内にある芝生の 広場では,子供たちと留学生,日本人学生が4,5人

52 | 教セミPICK UP

東京都足立区立西新井小学校5年生の子供たちが,

明海大学(千葉県浦安市)主催の「あけみ英語村」(2017年11月2日開催)に参加した。

学校外での異文化体験は子供たちにとっても初めて。

同大留学生との交流を通じて,外国語を話す楽しさを体感した。

特集1でも取り上げた新指導要領。その目玉の一つでもある英語教育の特別ルポをお届けします。

明海大学は2017年1月に東京都足立区

と英語・外国語活動の充実に関する連

携協定を締結した。東京オリンピック・

パラリンピックの開催や小学校英語の

必修化への対応を見据え,足立区の児

童生徒の英語基礎力の定着と英語・外

国語活動に関する施策や事業の充実を

図るため,外国語学部を有する同大の

教育資源を生かした,多彩な取り組み

が期待されている。今回の「明海大学あ

けみ英語村~小学生異文化交流プロジ

ェクト」もこの取り組みの一環だ。

■子供たち+留学生+教職志望の大学生 「あけみ英語村」は,西新井小学校5年生(87名3クラス)の子供たちに,明海大学の留学生(16 ヵ国80名),と日本人学生(39名)が加わり,小グループに分かれて「英語」を共通語に,1日行動を共にするもの。プログラムは,芝生での自由遊び・昼食,教室での外国人の先生による授業体験,体育館での各国のゲーム体験,図書館での英語と留学生の母語による絵本の読み聞かせと盛りだくさん。各グループは,午前10時半の開村式から,およそ4時間にわたって異文化交流を体験した。

小学校英語教育を考える小学生が留学生と交流 「明海大学あけみ英語村」で異文化体験

SPEC IALREPORTAGE

‒ 特 別ルポ ‒

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 「What ’ s your name ? My name is …」「What do you l i ke ? I l ike …」キャンパス内にある芝生の広場では,子供たちと留学生,日本人学生が4, 5人ずつのグループに分かれて,お弁当を食べながら,自己紹介。好きなスポーツや食べ物について,英語とジェスチャーを交えて会話を楽しんでいた。 西新井小学校5年2組の担当の轟木陽子先生によれば,「子供たちには,自分の好きなことなどは英語で言えるように,学校で練習をしてきた」という。このイベントに参加するための事前学習は15時間ほど。明海大学の留学生の母国(ネパール,中国,韓国,

ウクライナ,ギリシャなど)に関する国調べ,自分の名前,好きな食べ物やスポーツ,将来の夢などを英語で話す練習をするなど,総合学習と外国語活動の時間を組み合わせて取り組んできた。今回,「子供たちには『明海大学へ遠足に行く』と言って連れて来ました。子供たちは明海大学に行くのを,前からとても

。)生先木轟(」たしまいてしにみし楽

■はじめは緊張 パトリツィア・ハヤシ先生(明海大学 複言語・複文化教育センター教授)が担当する「授業体験」の教室では,アメリカとカナダの感謝祭に登場する七面

ネパールの民族衣装をまとった留学生による「3匹の子豚」の絵本の読み聞かせ。

特別ルポ 英語教育

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鳥の顔を色紙で作る授業が行われた。パトリツィア先生はすべて英語で授業をし,分からない点は留学生や日本人学生がフォローしていく。子供たちはまず「円,楕円,四角,長方形,三角」などの図形の呼び方を英語で学び,先生の呼びかけに従って,台紙に楕円や長方形の色紙を貼り付けながら,思い思いの七面鳥の顔を作っていく。 はじめは緊張していた子供たちも,パトリツィア先生が一人一人と自己紹介をし,「Crazy tu rkey」と言いながら,目を回している七面鳥の顔を作る動作をすると,教室の雰囲気も和らぎ,自然と笑い声が。パトリツィア先生は「子供たちに英語を使う楽しさを知ってもらいたい。そのためには体験を積み重ねることが大事」と語る。また,チーム・ティーチングとして一緒に活動をしていた同大の内山葉月さん

師教語英の校高はのす指目「,は)生年3部学語国外(だけど,小学生との交流も楽しい。小学生の話す英語というのも実感できた」という。

■ぼくも留学生になりたい。 「英語をもっと勉強したい。英語をたくさん話したい」「外国に行ってみたいと思った」と西新井小学校の子供たちは口々に話す。これまで教室の中で勉強してきた英語が,実際に留学生や外国人の先生に通じた喜びを味わったようだ。西新井小学校の柴 良之校長は,「体験学習は素晴らしい。子供たちが将

来,英語を話す仕事に就くきっかけになるかもしれない」と閉村式で語っていた。 大学内では,「英語村」で活動する子供たちとすれ違うと,必ず「Hello」と声を掛けてくれる。英語で話すことに抵抗がなく,日常生活の中で外国人と自然に交流ができる環境が,これから国内でも広がりそうだ。

(取材 荒井篤子)

体育館でマレーシアのゲームを教わる。

パトリツィア先生の授業で七面鳥の顔を作る。