Top Banner
新たな価値観を吹き込む 開発の現地化 海外ルポ 30 Challenge 2017 Vol. 02 30 Challenge 2017 Vol. 02 2017年5月24日。アメリカ南東部テキサス州ヒュー ストン郊外で、巨大なハイテク工場「ダイキン・テキサ ス・テクノロジーパーク」(D T T P)の開業式典が行わ れた。敷地面積は200万平方メートル、東京ドーム43 個分。工場の延床面積は37万平方メートル。全米では ボーイングの工場に次ぐ広さを誇る。 2012年にダイキンが傘下に収めた米随一の家庭用空 調メーカー「グッドマン・グローバル」の生産拠点とな る。ヒューストンは同社の発祥の地でもあり、全米に分 散した4つの工場・物流拠点を集約。すべてのものが ネットにつながる「IoT」技術も採用され、作業工程 の管理などがスマートフォンでも監視できる。この工場 と車の両輪となって差別化商品の開発・生産を進めてい くのが、併設される「北米R&Dセンター」だ。 ここでは、グッドマンが得意とする住宅ユニタリー空 調機、付加価値を高めた高機能商品の開発を担うだけで はない。全米で主流の「ダクト方式エアコン」の新たな 商品開発と、ダイキンが得意とする「ダクトレス方式」 の普及拡大。双方を見据えた世界初のイノベーション拠 点となる。ダイキンのコア技術である「インバータ」を 搭載し、アメリカ人のニーズ、好みに合わせながらも長 期的には「ダイキン」ブランドを浸透させていく。 ダクト方式は、室外機と室内機が一体となった設備が 地下などに設置され、太い送風管(ダクト)で各部屋に 世界に90か所以上の生産拠点を抱え、150か国以上で事業展開するダイキン。今や海外販売 比率は75%を超える。さらなるグローバル展開を進める上で力を入れるのが、「設計・開発の現 地化」だ。空調設備に対するニーズは地域によって異なり、文化や価値観に適応した商品開発 が生き残りには不可欠だからだ。そうした商品開発を進める開発拠点が欧州、アジアなど各地 で広がるが、中でも空調設備の最大市場である北米では、R&Dの一大拠点が胎動し始めた。 米国シェアNO.1達成に向け、牽引役と期待される拠点の一端を紹介する。 IroP 7eFKQoloJ\ DQG ,QQoYDtioQ &eQter to tKe :orlG 'aLNLnV EXUoSean 'eYeloSPenW CenWUe ダイキン ヨーロッパ・デベロップメントセンター 'aLNLn InGXVWULeV C]eFh 5eSXElLF V.U.o. チェコ インダストリー チェコ共和国社 'aLNLn $LUFonGLWLonLng InGLa 3YW. /WG. ダイキン エアコンディショニング インディア社
1

roeolootioetertoteorl ( ) 海外ルポ'aLNLn eeah eeloen alaLa n. h. ダイキン R&D マレーシア社 32ページへ ersesreort...

May 23, 2020

Download

Documents

dariahiddleston
Welcome message from author
This document is posted to help you gain knowledge. Please leave a comment to let me know what you think about it! Share it to your friends and learn new things together.
Transcript
Page 1: roeolootioetertoteorl ( ) 海外ルポ'aLNLn eeah eeloen alaLa n. h. ダイキン R&D マレーシア社 32ページへ ersesreort 2017年5月24日。アメリカ南東部テキサス州ヒュー

PICK UP !

新たな価値観を吹き込む 開発の現地化( )海外ルポ

30 Challenge 2017 Vol. 0230 Challenge 2017 Vol. 02 3131

ヨーロッパ

アジア・オセアニア

中国

日本

テクノロジー・イノベーションセンター

アメリカ

:研究・開発部門のある拠点

拠点で生産

拠点で開発

世界

70

10

送り込む仕組み。米国の住宅用はユニット化された「ユニタリーエアコン」とも呼ばれる。一方で、日本は、部屋ごとに室外機と室内機を備える「ルームエアコン(個別空調方式)」。ダクトがないのでダクトレスと呼ばれる。

北米も省エネルギー性を追求する新しい潮流3つの研究拠点で、差別化商品の開発を推進

現地拠点戦略を進める背景には、大量消費社会のアメリカにも省エネルギー性や快適性を重視する意識が広がるという、新たな潮流がある。省エネ性が高く、静穏なダクトレスは20%以上のペースで成長し、ダイキンのVRV(ビル用マルチエアコン)、日本式のルームエア

コンの需要も伸びる。インバータ搭載のダクトレスは、ダクトに比べ30%近く省エネ効果が高いことが実証されている。長年、ダイキンが追求してきた技術が、北米でも評価されつつあることの証左でもある。ただ、既存のコア技術だけにあぐらをかいているわけにはいかない。新たな機能を持った差別化商品なしには生き残れないからだ。それには、社会、人間の働き方などを大きく変化させるAI(人工知能)や、「IoT」などの先端技術に基づく商品開発が不可欠だ。そのAIやIoTを担うのが米カリフォルニア州サンノゼにある「シリコンバレー・テクノロジーオフィス」(STO)。2015年にオープンした「テクノロジー・イ

a n on on ng ( hangha) Co. .大金空調(上海)有限公司

I IN IN T IE (T I N ) T .ダイキン インダストリー タイランド社

a n e ea h e elo en ala a n. h .ダイキン R&D マレーシア社

32ページへ

erse s re ort

2017年5月24日。アメリカ南東部テキサス州ヒューストン郊外で、巨大なハイテク工場「ダイキン・テキサス・テクノロジーパーク」(DTTP)の開業式典が行われた。敷地面積は200万平方メートル、東京ドーム43個分。工場の延床面積は37万平方メートル。全米ではボーイングの工場に次ぐ広さを誇る。2012年にダイキンが傘下に収めた米随一の家庭用空調メーカー「グッドマン・グローバル」の生産拠点となる。ヒューストンは同社の発祥の地でもあり、全米に分散した4つの工場・物流拠点を集約。すべてのものがネットにつながる「IoT」技術も採用され、作業工程の管理などがスマートフォンでも監視できる。この工場

と車の両輪となって差別化商品の開発・生産を進めていくのが、併設される「北米R&Dセンター」だ。ここでは、グッドマンが得意とする住宅ユニタリー空調機、付加価値を高めた高機能商品の開発を担うだけではない。全米で主流の「ダクト方式エアコン」の新たな商品開発と、ダイキンが得意とする「ダクトレス方式」の普及拡大。双方を見据えた世界初のイノベーション拠点となる。ダイキンのコア技術である「インバータ」を搭載し、アメリカ人のニーズ、好みに合わせながらも長期的には「ダイキン」ブランドを浸透させていく。ダクト方式は、室外機と室内機が一体となった設備が地下などに設置され、太い送風管(ダクト)で各部屋に

世界に90か所以上の生産拠点を抱え、150か国以上で事業展開するダイキン。今や海外販売比率は75%を超える。さらなるグローバル展開を進める上で力を入れるのが、「設計・開発の現地化」だ。空調設備に対するニーズは地域によって異なり、文化や価値観に適応した商品開発が生き残りには不可欠だからだ。そうした商品開発を進める開発拠点が欧州、アジアなど各地で広がるが、中でも空調設備の最大市場である北米では、R&Dの一大拠点が胎動し始めた。米国シェアNO.1達成に向け、牽引役と期待される拠点の一端を紹介する。

ro e olo o tio e ter to t e orl

a n E o ean e elo en Cen eダイキン ヨーロッパ・デベロップメントセンター

a n In e C e h e l . .o.チェコ インダストリー チェコ共和国社

a n on on ng In a . .ダイキン エアコンディショニング インディア社