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Date 愛知県豊橋市立 つつじが丘小学校 つつじふれ愛の日自治体 地域 保護者と 連携した防災教育 豊橋市立 つつじが丘小学校 440-0853 愛知県豊橋市佐藤5-16-1 1995年開校 校長:金子徹 全校児童数:620(201653日現在) case 1
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Dec 15, 2018

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Date

愛知県豊橋市立つつじが丘小学校「つつじふれ愛の日」

自治体・地域・保護者と連携した防災教育

豊橋市立つつじが丘小学校〒440-0853愛知県豊橋市佐藤5-16-11995年開校校長:金子徹全校児童数:620名(2016年5月3日現在)

case 1

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愛知県豊橋市立つつじが丘

小学校(校長・金子徹)は、

2015年度から、「つつじ

ふれ愛の日」(校区合同防災訓

練並びに児童引取訓練)と銘

打った大規模な防災関連行事

を実施している。

 

実施にあたっては学校に加

え、保護者や地域住民、自治会、

NPO団体、医療関係者など

様々な人・組織が連携。

 

行事当日は愛知県防災局災

害対策課をはじめ外部の専門

家講師が集まり、地震の揺れ

を体験することのできる起震

車が校内に登場するなど本格

的で、防災教育の先進的な取

り組みとして、近年、注目を

集めている。

 

豊橋市は、東海地震、東南

海地震、南海トラフ大地震の

発生時に大規模災害が起こる

可能性が指摘されている。そ

の中にあって、つつじが丘小

学校は1995年開校。JR

豊橋駅から車で15分ほどの住

宅街に位置する、市内で最も

新しい小学校だ。

 

敷地内には、校区の自治会

館も入っており、日頃から地

域との連携を重視している姿

勢がうかがえる。

 

地域を挙げての行事のため、

各所への依頼や調整などのた

め、行事実施日は前年度の秋

口に決定。

 

その後、学校は子どもたち

の発達に合わせて、各学年の

カリキュラムを組むために、

学年主任者会議を重ね検討す

るのだという。

 

全校生徒と保護者、教職員、

地域住人など、約2000人

が参加した2016年度の

「つつじふれ愛の日」の様子を

紹介する。

学校公開日を兼ね、

地域参加のスタイル

 

2016年6月26日(日)、

8時20分、朝の会で一日がス

タート。

 

金子校長が「今日は、校区

全体が減災の能力を高める大

切な日です。防災の基本は

『自助』ですが、自分でできる

ことにはどうしても限界があ

ります。共に助け合う『共助』

が命を守る手段になります。

今日はその『共助』を学びま

しょう」と主旨説明のあいさ

つ。

 

学校公開日を兼ね、午前中

は各学年・各学級で防災に関

する授業を展開。

 

保護者や地域住民も自由に

授業を参観できるようになっ

ており、教室での座学から、

ゲームを通じたアクティブ・

ラーニングまで、様々な角度

から「災害・防災」について

学ぶことのできる構成になっ

ていた(表)。

4年生の場合

非常時の備えを学ぶ

 

4年生は家にいる時に地震

が起きたらどうするかの学び。

社会性が強まる年齢でもあり、

地域の人とのつながりのなか

で防災を考える内容になって

いる。1〜3組、各クラスで

「学級活動『非常時の備え』」

の授業を実施。

 

3組は『防災手帳』を活用

した担任の先生と子どもたち

の話し合い。

「地震が起きたとき、どうす

るのがいいですか?」という

先生の問いかけに、「机の下に

もぐる」など、子どもたちの

元気よく答える声が教室の外

にまで響いていた。

 

2組では、先生の「みなさ

んの家で地震が起こったと

きの備えを何かしています

か?」との呼びかけに、「して

いません!」と子どもたち。

先生は、すかさず「では、備

えとして、どんなものがあれ

ばいいかな?」

 

子どもたちから、非常食、

水、乾電池、懐中電灯、ラジ

オ、時計など、次々と声が上

がった。

 

黒板に「防災とあいさつ」

という文字が書かれた1組で

は、担任と子どもたちのやり

とりが続く。

「みなさんあいさつ、毎日し

ていますか?」

「はい。友だちと」

「近所の人とはどうかな?

友だちにするあいさつと、近

所の人にするあいさつはどこ

か違うよね」

「違う……」

「普段、あいさつをしていれ

ば、地震が起きたときに〝あ

の人がいる〞〝いない〞がわか

ります。声を掛け合っている

人とは一緒に逃げることもで

きるはずです。普段から声を

かけ合うことが大切ですね」

 

そのほか、新聞紙を使った

座布団やスリッパ作り、避難

した際を想定して、ゴミ袋や

ラップフィルムを活用した減

災方法を学ぶ。(『防災手帳』

P11)

1年生の場合

避難の方法を学ぶ

 

1年生の授業では、災害が

発生したときの安全な避難の

方法を学ぶのが大きな目的だ。

 

3組の黒板には「災害時の

こころえ」と書かれている。

子どもたちは『防災手帳』の

引取訓練でクラスごとに校庭に出る子どもたち。

学級活動「非常時の備え」。各クラス担任が受け持ちクラスに合わせて内容を構成していた。

防災教育は保護者・地域との連携が大切とは言うものの、それを実現するのはなかなか難しい。

そこで、防災をテーマに一日学習する「防災デー」を実施している

豊橋市立つつじが丘小学校に伺って、地域連携のヒントを探った。

『防災手帳』(2016年3月、社会応援ネットワーク発行)は、地域で起きやすい災害についての調べ学習のポイントや災害時の心得を掲載。全国の小学校に配布された。

防ぼ

災さ

手て

帳ち

目次災害危険度チェックシート地域と災害 調べ学習災害時の心得 1(地震・津波)災害時の心得2(風水害)災害時の心得3(火山・雪害)ワンポイントアドバイス防災マップ連絡手段メモ

災さい

害がい

時じ

の心こころ

得え

(地じ

震しん

・津つ

波なみ

) 教きょう

室しつ

や体たい

育いく

館かん

にいたら

避ひ

難なん

のキーワード

津つ

波なみ

 海かい

底てい

で地じ

震しん

が起お

きると、津つ

波なみ

が発はっ

生せい

することがあります。津

波なみ

は力ちから

が強つよ

く、速そく

度ど

も速はや

いので、見み

えてから避ひ

難なん

するのでは間

に合あ

いません。海うみ

や川かわ

の近ちか

くなど津つ

波なみ

が想そう

定てい

される地ち

域いき

で地じ

震しん

が起お

こったら、できるだけ早

はや

く高たか

いところに避ひ

難なん

しましょう。高

たか

いところがない地ち

域いき

では、できるだけ海

うみ

や川かわ

から遠とお

くに避ひ

難なん

しましょう。

その他た

の場ば

面めん

も考かんが

えてみましょう

学がっ

校こう

の行い

き帰かえ

りだったら

自じ

分ぶん

の家いえ

にいたら

地じ

震しん

の時とき

、周まわ

りに大お

人とな

がいなかったら、どうしますか?

場ば

所しょ

落おちてこない倒たおれてこない移い動どうしてこない

 緊きん急きゅう地じ震しん速そく報ほう

 地じ

震しん

発はっ

生せい

後ご

、強つよ

い揺ゆ

れが来く

る数すう

秒びょう

から数すう

十じゅう

秒びょう

前まえ

に気き

象しょう

庁ちょう

から出だ

される情じょう

報ほう

。テレビ、ラジオ、携

けい

帯たい

電でん

話わ

などから情じょう

報ほう

が流なが

れます。震しん

源げん

が近ちか

い場ば

合あい

、緊きん

急きゅう

地じ

震しん

速そく

報ほう

より揺ゆ

れの方が早

はや

い場ば

合あい

があります。

 地じ

震しん

が起お

きると、周まわ

りの物もの

が落お

ちたり、倒たお

れたり、家か

具ぐ

などが動

うご

いたりして、ケガをすることがあります。緊きん

急きゅう

地じ

震しん

速そく

報ほう

が鳴な

ったり、揺ゆ

れを感かん

じたりしたら、すぐに安あん

全ぜん

な場ば

所しょ

に移い

動どう

して、身み

を守まも

るようにしましょう。

地じ

震しん

1災さい

害がい

時じ

の心得

えこころ

65

  自じ

宅たく

をかこう  道

どう

路ろ

や川かわ

、大おお

きな建たて

物もの

など目め

印じるし

になるものをかこう  避

難なん

場ば

所しょ

をかこう  危

険け ん

なところ、災さ い

害が い

が起お

こった時とき

に役や く

立だ

つところをかこう  避

難なん

経けい

路ろ

をかこう  できあがったら、保

護ご

者しゃ

や友とも

達だち

に見み

てもらおう

いざという時とき

に 自じ

分ぶん

用よう

防ぼう

災さい

マップをかこう!

ワンポイントアドバイス 防

ぼう

災さい

マップ

家いえ

にあるもので、災さい

害がい

時じ

に役やく

立だ

つものを紹しょう

介かい

します。ほかにも使

つか

えそうなものを考かんが

えてみましょう。

底そこ

と左さ

右ゆう

に穴あな

をあけてかぶると、防

ぼう

寒かん

・防ぼう

水すい

具ぐ

になります。

かぶせて使つか

えば食しょっ

器き

を洗あら

わなくてすみます。

段だん

ボール箱ばこ

などの容よう

器き

に袋ふくろ

をかぶせて水

みず

を運はこ

べます。

新しん

聞ぶん

紙し

を体からだ

に巻ま

いた上うえ

にラップを巻

くと、保ほ

温おん

できます。

ラップフィルム

水すい

道どう

が出で

ない時とき

寒さむ

い時とき

寒さむ

い時とき

水みず

を運はこ

ぶ時とき

手て

順じゅん

を参さん

考こう

にかいてみよう

マップ見み

本ほん

ひとりの時とき

に災さい

害がい

が発はっ

生せい

しても、自じ

分ぶん

で判はん

断だん

して行こう

動どう

できるよう、自

分ぶん

用よう

防ぼう

災さい

マップをかいてみよう。

ページをめくって、あなた専

せん

用よう

の「防

ぼう

災さい

マップ」をかいてみよう!

2

3

4

5

6

1

ごみ袋ぶくろ

使つか

い方かた

1

使つか

い方かた

1使つか

い方かた

2

使つか

い方かた

2

1211

地域と共に行う防災教育

学校が主体となって連携

事例1

Page 3: q - shakai-ouen.comshakai-ouen.com/bousai/files/jireisyu/P3-8.pdf · 5Ö Ó´ V Ï CBÌt Ï Zt Ï ç` ôU çètMh èqw ðMT Ý `o oM Ðf\tM D ó QwK Ô t y ¼ ï° rOTs ç . tM qVi

5ページを開き、発災時に、

そこにいる可能性のある場所

を想定してみている。

「教室にいたら」との問いか

けに、「しゃがむ! 

ダンゴ

ムシのかっこう(頭をかばう)

をする!」

「体育館にいるときだったら、

どうかな? 

どこでダンゴム

シのかっこうをすればいいか

な? 

ステージの上がいいと

思う人、手を挙げて」

 

担任が順番に場所をあげて、

手を挙げさせると、子どもた

ちは思い思いに体育館をイメ

ージしながら集中していく。

そこで、先生が説明。

「端っこは窓ガラスが割れて

落ちてきたり、バスケットボ

ールのゴールが倒れてきたり

するかもしれないよ。先生は

真ん中がいいと思うな。ガラ

スもないし。そこで揺れがお

さまるのを待ちましょう」

3年生の場合

家族との防災を学ぶ

 

3年生は、避難の方法や消

火器の使い方を学んだ後、学

年全体のプログラムとして、

防災での「家族の大切さ」に

ついて考える。

「家族がバラバラにならない

ことが大事。でも、一人でい

る時にも災害は起こります。

家族と災害のときの連絡の取

り方を話し合っておきましょ

う。そのうえで、大切なのは

家族を信じること、自分を信

じることです」

 

子どもたちは、災害時の確

実な情報伝達を目的に活動を

するNPO愛知ネットのスタ

ッフの話を真剣なまなざしで

聞いていた。

2年生の場合

ゲームで防災を学ぶ

 

1、2年生は、安全な避難

の方法を、動物の絵が描かれ

たカード(A3程度)を使っ

て学習する。

 

NPO愛知ネットと子ども

のお母さんたちが先生役だ。

お母さん先生が、ダックのカ

ードを見せながら「地震のと

きはあわてずに頭を守りまし

ょう。アヒルのようなカッコ

をして、丈夫な机の下にもぐ

りましょう。〝ダック〞とい

う掛け声と一緒にやってみま

しょう」と呼びかけると、子

どもたちは声を出しながら楽

しそうにポーズをとっている。

 

動物の姿をイメージさせ、

身体で覚え、災害が起こった

ときにとっさにとるべき行動

をとれるようにするのが狙い

だ。他にも、津波のときには

「ヒューン」と速く逃げる「チ

ーター」。「タヌキ」のポーズ

で火事の煙を吸い込まない

よう口を押さえる。「ウサギ」

になって台風の警報や注意報

などに耳をすます、などがあ

る。

 

牛乳パックを利用した緊急

のときに吹く笛作りなども体

験。

5、6年生の場合

人を助けることを学ぶ

 

上級生である5、6

年生には緊急時対応に

加え、避難所の円滑な

運営のために自らがど

んな役割を果たせるか

を考えさせる内容も盛

り込まれた。

 

心臓血管病専門病院

である豊橋ハートセン

ターのスタッフの指導

を受けながら、「AED

(救命救急)」も体験し

た。

 

12時20分からの「お

弁当タイム」では災害

時を想定しておにぎり

だけだった。

 

午後は4〜6年生は体育館

で記念講演会に参加。石原一

彦氏(岐阜聖徳学園大学教授)

の講演のテーマは「スマホの

危険と家庭のルール」。

 

石原氏は、小学生を取り巻

くインターネットやスマホの

環境の危うさを指摘し、防災

にもつながる家庭内の日ごろ

からのコミュニケーションの

大切さを説いた。

 

1〜3年生は各教室で「い

のちの授業」。睡眠や排せつ

など、健康面を通して、命に

ついて学んだ。

全校参加

引き取り訓練で終了

 

カリキュラムの最後は、引

き取り訓練だ。運動場に各学

年のクラスごとに並んだ子ど

ものもとに、保護者が迎えに

来て、担任に子どもの名前を

告げて「引き取り」、ともに

下校して終了。

 

この行事を積極的に推進し

てきた大塚教頭(当時/現・

豊橋市立嵩山小学校教頭)は

「保護者の方々、校区の方々

の協力がなければ、防災訓練

は成り立ちません。訓練の日

を学校公開日にすることで、

多くの保護者の方に参加いた

だくことができました。こう

した積み重ねが、災害時に地

域と学校が連携し、子どもた

ちを守ることにつながればと

思います」

「つつじふれ愛の日」、2

0

17年は7月2日、日曜日に

行われる予定だ。

1年生 2年生 3年生 4年生 5年生 6年生 わ8:20 朝の会(健康観察)・予定の確認8:30 開会の言葉:テレビ放送にて(自治会、校長)8:40 防災学習1「ウルトラマンに学ぶ防火防災教室」テレビ放送にて9:00

9:40

学級活動「非常時の備え」

「みんなで学防災」熊本地震のようすと学習ごみ袋で

かっぱを作ろう

学級活動「非常時の備え」 AED(救命救急)体験

豊橋ハートセンター出前授業

HUGゲーム(避難所運営学習)愛知県災害対策出前授業 各

学年の学習に入る

9:50

10:30

煙体験図工室自治会

起震車配膳室前 市災害対策課

10:50

11:30

防災学習「ぼうさいダック」カードゲーム

※各クラスで行います。ぜひお手伝いください。

NPO愛知ネット

水消火体験東ピロティ前地元消防団

「みんなで学防災」熊本地震のようすと学習新聞紙で座布団、スリッパなどを作ろう

HUGゲーム(避難所運営学習)愛知県災害対策出前授業

AED(救命救急)体験豊橋ハートセンター

出前授業11:40

12:20

防災学習「命を守る笛作り」牛乳パックで笛を作ろう

NPO愛知ネット

学級活動「非常時の備え」

12:20 お弁当タイム(有事を想定しておにぎりだけ)休み時間13:00 命の授業(各教室) 健全育成会総会・記念講演会(体育館にて)14:00 帰りのしたく14:20

15:00

避難訓練・引き取り訓練(放送、メール配信)・親子下校・片付け運動場にて(雨天は教室の入り口で引き取り)

豊橋市青少年センターによる出前授業。この他にも様々な外部講師が招かれていた。

AED体験中!

各学年の学習予定表

豊橋ハートセンターによるAED体験。子どもたちは模型を使って実際のAEDを操作した。

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――2016年6月の「つつじ

ふれ愛の日」への反響はいかが

でしたか?

●大塚啓美教頭(取材当時) 

どもたちは大いに楽しんだよう

です。一日をかけて、いろいろ

なプログラムを経験できたのが

大きかったと思います。

――小学校と地域が一体になっ

た一日でした。

●金子徹校長 

校区では、自治

会が中心になって防災訓練をす

でに行っていました。14年に赴

任した大塚先生から「学校も防

災教育を行いましょう」という

声が上がり、地域と一緒にぜひ

やってみようということになり

ました。その年は引き取り訓練

だけでしたが。15年、16年と内

容を充実させてきました。

●大塚 

自治会の防災教育、防

災訓練の構想に学校が合流した

形です。いざという時に、学校

だけでは最善の対応はできませ

ん。日頃から地域との関係を築

いていくことがとても重要です。

自治会長さんもとても防災に熱

心な方で、学校と自治会の合同

防災訓練が実施できる環境にあ

るのがとてもありがたいです。

――お母さんが先生を務める授

業もありました(6ページ参照)。

 

大塚 

プログラムの多くは、

外部から招いた防災の専門家や

保護者のボランティアに担当し

てもらいました。ボランティア

の募集には約50人の保護者が応

じてくれました。訓練の前に

「指導者養成講義」を行い、お

母さんによる授業が可能になっ

たのです。自分や友だちのお母

さんによる授業は、子どもたち

にとって新鮮で親しみやすく、

より集中して取り組むことがで

きたようです。

 

金子 

地域と学校が一緒に防

災教育に取り組むことで多方面

に良い影響が波及するのを実感

しています。このあたりは新興

住宅地で、近所のつながりが希

薄なのが自治会としても悩みの

タネだったようですが、イベン

ト準備をともに進めることでコ

ミュニケーションの機会も格段

に増えているようです。

 

大塚 

子どもたちが媒介にな

ってネットワークができていっ

ていますし、保護者にとっても

自分が授業を行うことで、主体

的に防災について考えるきっか

けになります。地域と学校の協

働は、1+1=2ではなく、1

+1=3以上の効果を起こせる

と感じています。

――地域の人たちとのあいさつ

の重要性について話し合う4年

生の授業もありました(5ペー

ジ参照)。

 

大塚 

災害が起きたときには

地域のネットワークが重要です。

自分も助けられますし、「あの

おばあちゃん、大丈夫かな?」

などと、まわりを気にかけるこ

ともできるようになります。そ

のためには、地域と学校による

取り組みを地道に続けていかな

ければならないと考えています。

 

金子 

防災教育は、どんどん

新しい要素が加わるものではあ

りません。「つつじふれ愛の日」

で子どもたちが学んだような基

本中の基本が何よりも大切です。

そのことをできるだけ多くの地

域の人、子どもたちに伝えてい

くことが、地域の防災・減災力

の強化につながるはずです。

2014年に着任し防災教育実施に声を上げる。現在、豊橋市立崇山小学校教頭。

大塚啓美教頭

地域と学校をつなぐ役割を担う。ほぼ毎日、学校ブログ「丘の上の夢」を更新。

金子 徹学校長

「つつじふれ愛の日」を

振り返って

全校挙げての行事「つつじふれ愛の日」として、

防災教育に取り組めた背景や実施に至るまでの過程を、

金子徹校長と実施を主導した大塚啓美教頭に伺った。