1 計量ファイナンス ~計量ファイナンス分析の基本(2) ~ 第2回: 10月18日(土)3時限 慶應義塾大学 総合政策学部 小暮厚之 http://web.sfc.keio.ac.jp/~kogure/course/2008/fe/fe.html 今後はSFC-SFSの授業ページ
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計量ファイナンス~計量ファイナンス分析の基本(2) ~
第2回: 10月18日(土)3時限
慶應義塾大学 総合政策学部
小暮厚之
http://web.sfc.keio.ac.jp/~kogure/course/2008/fe/fe.html
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将来価値から現在価値へ
現在価値(市場価格)
将来価値
・収益率は,将来価値を現在価値に「割り引く」
・このプロセスが資産価格決定
収益率による割引
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「現在価値」への批判
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「現在価値」への批判
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現在価値と将来価値(預金の場合)
PV=現在価値(例えば預金)
FV1=1年後の価値
R=収益率(例えば利子率)
PV=現在価値(例えば預金)
FV2=2年後の価値
R=収益率R=収益率
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株式の現在価値と将来価値
S0=株式の現在価値
S1=株の将来価値
R株=株式収益率
S1もR株も現時点では不確実な確率変数!
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株式の現在価値と将来価値
S1の市場予想値は確定値だから,利子率で割り引けばよい
S
S1の市場予想値
R 預金=利子率
株式先物
PV=0
FV1=S1-K
先物は資金ゼロで行える!
株価が既知だから
先物と現物の「裁定関係」
K=先物価格
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日経平均先物,±1000円を超えると,サーキットブレーカー発動
日経新聞10月15日朝刊
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先物とオプション
PV=0
FV1=S1-K
PV=オプション・プレミアム
先物は資金ゼロで行える!
先物
コールオプション
コールオプションは下方リスクをカットする=保険?
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オプション評価
この市場予想値を定めるひとつの公式が式がブラック=ショールズ・モデル
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「現在価値革命」
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株価のモデル
対数収益率 {r1, r2, …, rn} の和の確率分布が分かれば株価の変動を記述できる
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実現収益率
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実現収益率の基本統計量
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実現収益率の分布(ヒストグラム)
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これを別の言い方で,「対数株価はブラウン運動に従う」という!
収益率の確率モデル
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正規分布
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正規分布
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収益率の確率分布
SP500収益率の平均と分散に対する正規分布
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リスクとリターン:ポートフォリオ理論の展開
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ポートフォリオ理論 :危険資産と安全資産
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ポートフォリオ理論 :危険資産と安全資産
流動性は?
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リスクとリターン:トレードオフ
リスク
リターン
預金
ベンチャー企業の株式
東京電力の株式
0
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リターン=期待リターン
リターン
実現リターン
期待リターン=(将来)収益率の期待される値
100万円投資
預金:年間利回り 1%⇒期待リターン=1%
株式 : 期待リターンは?
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期待リターン=収益率の期待値
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リスクとは?
リスク
期待リターンと実現リターンが外れること
100万円投資
安全資産:期待リターン=実現リターンリスクはゼロ
危険資産: リスクをどう測る?
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リスクの測定オプションのリスクは標準偏差で測れるか?
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投資機会
リスク
期待リターン
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投資機会の拡大:ポートフォリオ
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ポートフォリオの期待リターンとリスク
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ポートフォリオ収益率の期待リターンとリスク:例
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リスク=期待リターン曲線
2
2.5
3
3.5
4
4.5
5
5.5
6
6.5
0 0.5 1 1.5 2 2.5
σ P
μ P
(σ1, μ1)
(σ2, μ2)
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ポートフォリオ収益率の確率分布:例
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3つの資産に対する「リスク=期待リターン」マップ
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5
σ P
μ P
(空売りを許さない場合)
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σ P
μ P
効率的フロンティア
合理的な投資家は:リスクが同じならな,リターンが大きい資産を好むリターンが同一ならば,リスクが小さい資産を好む.
この結果,投資家のポートフォリオ選択は効率的フロンティアに集約される.
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効率的フロンティアの形
上に凸の曲線!
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危険資産と安全資産を組み合わせたら?
安全資産
危険資産
0
μp
σp
直線!w=1
w=0
w=危険資産への投資比率
0<w<1
w>1
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接点ポートフォリオと安全資産
σP
μP
RF
P*
リスク・フリー・レート
接点ポートフォリオ
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分離定理
σP
μP
RF
P*
μ*
σ*
接線は効率的フロンティアの左上にあるから,投資家は,この接線上のいずれかのポートフォリオを選択する.
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分離定理
42
マーケット・ポートフォリオ
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資本市場直線
σP
μP
RF
M=P*
すべての投資家はこの直線上のポートフォリオを選ぶ
μM
σM
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実際のマーケット・ポートフォリオ
マーケット・ポートフォリオとして,実際には何を用いたらよいか?
日経225?,TOPIX?,それ以外?
株式市場のベンチマークとして,どれが相応しいか
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問題!:宮川公男教授の質問
「日経平均は,現在(2002年3月29日)1万1024円94銭である.しかし225社中株価が1
万円を超えている企業はひとつもない.
なぜか?」
(東洋経済新報社「統計学でリスクに向きあう」)
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日経平均=株価の平均
ただし,額面が50円になるように調整
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TOPIX=株式の時価総額
問題点:流動性の低い株式も採用されている
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個別収益率
マーケットに依存しないリターン
マーケットに連動するリターン
マーケットに連動するリスクマーケットに依存しないリスク
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例:Russel/Nomura 日本株スタイルインデックス
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システマティック・リスク
εは消去可能なリスク
51
システマティック・リスク
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CAPM
ρiは相関係数
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証券市場直線(CAPM)
β
μ
RF
M
効率的な市場ではすべての資産はこの直線上
μM
1
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付録:危険資産と安全資産の組み合わせ