- 1 - PD1-1 PD1-3 PD1-2 PD1-4 90歳以上の超高齢者における鼠径ヘルニア手術の経験 朴 秀吉、貝塚 博行、杉 朋幸、田野井 智倫、東 和明、 高久 秀哉、鈴木 俊繁 水戸済生会総合病院 外科 【はじめに】近年、高齢化社会に伴い80歳以上での開腹手術での 経験も増加してきている。今回われわれは当院で経験した90歳 以上の超高齢者における鼠径ヘルニア手術について報告する。 【方法】2011年から2015年までに当院で手術された90歳以上の 7症例について検討する。検討項目は性別、年齢、ヘルニア発生 部位、ヘルニア学会分類、手術時間、修復方法、麻酔方法、在 院日数、合併症、再発の有無について検討する。 【結果】7例全例が男性であり、Performane Status(PS)は1か ら2、平均年齢は93.1歳。ヘルニア発生部位は右側が4例、左 側が3例であった。ヘルニア学会分類ではI型が6例と多く、II型 は1例のみであった。平均手術時間は69.1分、7例全例におい てMesh plug法での修復となっていた。麻酔方法は全例で局所 麻酔が選択された。全在院日数は3日、術後合併症の発生はなく 術後1日目に退院となった。外来での経過観察中に再発所見は認 めておらず。PSの低下も認めていない。 【まとめ】90歳以上の超高齢者に対して局所麻酔下でのMesh plug法を用いた鼠径ヘルニア手術はPSの低下を来すことなく、 安全に施行可能であった。 超高齢者(80歳以上)に対する鼠径部ヘルニア修復術の治療 成績 戸崎 武、飯田 智憲、小山 能徹、百瀬 匡亨、平本 悠樹、 船水 尚武、中林 幸夫 川口市立医療センター 消化器外科 【目的】超高齢者患者(80歳以上)に対する鼠径部ヘルニア修復術 の治療成績について検討。 【対象】2011年1月から2015年12月の5年間で鼠径部ヘルニア 修復術を予定手術で施行した80歳以上の超高齢者患者77例(A 群)と80歳未満の患者531例(B群)。 【検討項目】患者背景、麻酔方法、術式、手術時間、術中出血量、 術後在院期間、術後合併症について検討を行った。 【結果】A群:B群、男/女;66/11:492/39。年齢(歳);83.5±3.08: 63.2±13.3。ASA(American Society of Anesthesiologists) ( 例 )1/2/3/4;47/29/1/0:399/122/9/1。 麻 酔 方 法( 例 ) 局 所 麻 酔/硬 膜 外 麻 酔/腰 椎 麻 酔/全 身 麻 酔;28/46/3/0: 80/417/28/6。 術 式( 例 )Lichtenstein法/ direct Kugel法/ Mesh plug法/LPEC法;47/14/16/0:291/103/136/1。 手 術 時間(分);65.1±22.0:71.3±22.2、出血量(ml);5.14±6.94: 7.23±18.7。術後在院期間(日);1.31±1.03:1.30±1.83。 術後合併症;術後出血4、創感染0:術後出血4、創感染1、全 評価項目において2群間に統計学的有意差を認めなかった。 【結論】超高齢者患者においても鼠径部ヘルニア修復術は安全に 施行可能である。 超高齢者鼠径ヘルニアに対する日帰り手術 森 和弘 もりクリニック 【はじめに】鼠径ヘルニア患者の高齢化に伴い、80歳以上の超高 齢者に対しても手術を行う機会も増えてきています。年齢によ らず手術適応を判断すべきだと思われますが、一方、超高齢者 では術前合併症を有していることが多く、治療方法や麻酔法、 日帰りか入院治療かの選択など判断に迷うこともあるかと思い ます。今回当院で経験した超高齢者鼠径ヘルニア日帰り手術症 例について検討したので報告します。 【対象および方法】過去5年間に、当院で手術を施行した手術時年 齢80歳以上の初発鼠径ヘルニア日帰り手術症例21例について 検討しました。 【結果】男女比は18:5、平均年齢は83.7(80-90)歳でした。 基礎疾患は、高血圧12 例、糖尿病1例で心疾患、脳血管障害及 び悪性腫瘍の既往を有する者はそれぞれ2、2、2例でした。抗 血小板・抗凝固薬の服用は4 例でした。手術は麻酔科管理で手 術を施行した1例を除いて全例、膨潤麻酔と静脈麻酔の併用下に 基本的に鼠径部切開法を施行しました。手術時間は、平均52.7 (35-123)分、麻酔時間は、平均76.0(55-160)分でした。 術後合併症は、重篤なものは認めませんでした。 【考察】超高齢者においても術前の全身状態を十分に評価し、慎 重に手術適応を診断することにより安全に鼠径ヘルニア日帰り 手術を行うことは可能と考えます。 80歳以上のヘルニア手術における局所麻酔下Standard Kugel法の有用性 藤井 仁志 1,2,3 、岩谷 岳 2,3 、冨澤 勇貴 3 、高橋 正統 1,2 、 皆川 幸洋 1 、遠野 千尋 1 、秋山 有史 2 、大塚 幸喜 2 、 新田 浩幸 2 、肥田 圭介 2 、吉田 徹 1 、佐々木 章 2 1 岩手県立久慈病院 外科、 2 岩手医科大学、 3 久仁会 内丸病院 【目的】高齢化社会に伴い高齢者に対してヘルニア手術を行うこ とが多くなったが、高齢者は基礎疾患や心肺機能の低下を認め、 麻酔管理や周術期管理が煩雑になる傾向がある。今回超高齢者 群[80歳以上]と非高齢者群[80歳未満]を比較検討し、超高齢者 のヘルニア手術における局所麻酔下Standard Kugel法の有用性 について検討した。 【対象と方法】2007年4月から2013年6月まで行った静脈麻酔 併用膨潤局所麻酔法によるStandard Kugel法を施行した361例 のうち、超高齢者群[80歳以上]80例、非高齢者群[80歳未満] 281例について比較検討した。 【結果】それぞれの手術成績の比較では、平均手術時間;超高齢 者群:非高齢者= 56 : 60(min)[p<0.05]、平均出血量;6.4: 9.1(ml)[NS]、平均在院日数;2.2: 2.0(day)[NS]であった。 手術合併症に差を認めなかった。 【結語】80歳以上の高齢者に対する局所麻酔下Standard Kugel 法によるヘルニア手術は、80歳未満の手術成績と比較しても良 好であり、基礎疾患や心肺機能の低下の影響が少なく、有用で あると考えられた。