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Oracleホワイト・ペーパー 20139月更新 Oracle GoldenGate 12c for Oracle Databaseの使用
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Oracle GoldenGate 12c for Oracle Databaseの使用

Jan 11, 2017

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Page 1: Oracle GoldenGate 12c for Oracle Databaseの使用

Oracleホワイト・ペーパー

2013年9月更新

Oracle GoldenGate 12c for Oracle Databaseの使用

Page 2: Oracle GoldenGate 12c for Oracle Databaseの使用

Oracle GoldenGate 12c for Oracle Databaseの使用

概要 ............................................................................................................................................................... 2

はじめに ...................................................................................................................................................... 3

アーキテクチャの概要 .............................................................................................................................. 4

おもな処理ステップ ............................................................................................................................ 4

おもなコンポーネント ........................................................................................................................ 4

Oracle GoldenGate Capture .............................................................................................................. 5

Oracle GoldenGate Trailファイル ..................................................................................................... 6

Oracle GoldenGate Delivery .............................................................................................................. 7

Oracle GoldenGate Manager ............................................................................................................ 9

関連製品 ................................................................................................................................................ 9

1つのプラットフォームで多数のソリューションに対応 ................................................................ 11

停止時間ゼロの移行とアップグレード ......................................................................................... 12

問合せのオフロード ......................................................................................................................... 12

ディザスタ・リカバリとデータ保護 ............................................................................................. 13

アクティブ/アクティブ・データベース・レプリケーション................................................... 13

運用レポートとリアルタイム・データウェアハウジング ........................................................ 13

OLTPシステム向けのデータの分散と同期 ................................................................................... 14

Oracle GoldenGate for Oracle Database ............................................................................................ 15

取得(Extract) ................................................................................................................................. 15

ルーティング(Data Pump) ......................................................................................................... 16

配信(Replicat)............................................................................................................................... 17

変換 ..................................................................................................................................................... 19

監視と管理 ......................................................................................................................................... 19

Oracle Database向けの最適化 ....................................................................................................... 20

顧客事例 ................................................................................................................................................... 22

GoldenGate for Oracle Databaseを利用するおもな利点 ................................................................ 25

まとめ ....................................................................................................................................................... 26

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Oracle GoldenGate 12c for Oracle Databaseの使用

概要

ビジネス・アプリケーションは、トランザクション処理にとってますます不可欠な存在になっています。その結果、エンドユーザーはシステムの中断や停止に妨げられることなく、かつてないほど迅速に(ともするとリアルタイムで)トランザクション・データへのアクセス、分析、これに基づく行動、統合、保管、および検証を実行する必要に迫られています。トランザクション・データ量が急増し、企業のIT環境における異種混在が進んだことで、待機時間の短いデータに対する需要が複雑化したため、ビジネス・クリティカルなアプリケーションへの影響がほとんどなく、実装が簡単なデータの統合およびレプリケーション・ソリューションが求められるようになりました。

Oracle GoldenGateはFortune 500の主要企業やその他の世界各国の業界リーダーによって、ミッション・クリティカルなシステムを支えるリアルタイム・データベース同期のために使用され、異種混合環境において最大の可用性とリアルタイム統合を実現しています。ビジネス・プロジェクト・オーナー、重要な利害関係者、およびIT組織全体に向けたこのホワイト・ペーパーでは、Oracle GoldenGate 12cとその基盤となるテクノロジー・アーキテクチャ、およびOracle Databaseとの連携方法について詳しく説明します。

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Oracle GoldenGate 12c for Oracle Databaseの使用

はじめに

Oracle GoldenGate 12cは今日のトランザクション駆動型アプリケーションの要件を満たすため、ログ・ベースのリアルタイム・チェンジ・データ・キャプチャ(CDC)1およびレプリケーション・ソフトウェアに対するプラットフォームを提供します。このソフトウェアは、複数の異種データベース環境にわたるトランザクション・データの取得、ルーティング、変換、および配信をリアルタイムで実現します。このテクノロジーを使用すると、顧客は重要なシステムの継続的な可用性とリアルタイム・データ統合を実現できるため、最新かつ正確なデータへのアクセスが簡単に実行できます。表1を参照してください。

表1:Oracle GoldenGateのおもな機能と差別化要因

機能 詳細

リアルタイム・データ・

フィード

エンド・ツー・エンドで1秒未満の待機時間で、ソースから継続的にデータを取得し、ターゲットに配信します。

大量データの処理時にも高いパフォーマンスと低いオーバーヘッドを維持して動作します。

異種性 すべての主要プラットフォームで、さまざまなリレーショナル・オープン・システムまたはオープンソース、レガ

シー・データベース間のデータ取得および配信をサポートします。Java Messaging Service(JMS)ベースのメッ

セージング・システムによる取得および配信を行います。

トランザクション整合性 ACID特性と参照整合性を通じて、トランザクション・データがシステム間を移動する際の信頼性と正確さを維持

します。

1 Oracle GoldenGateのチェンジ・データ・キャプチャ機能はOracle DatabaseのOracleチェンジ・データ・キャプ

チャ(Oracle CDC)機能とは異なるため、混同しないでください。

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Oracle GoldenGate 12c for Oracle Databaseの使用

アーキテクチャの概要

Oracle GoldenGate 12cアーキテクチャは複数の分離モジュールで構成されており、企業全体でこれらを組み合わせることで、柔軟性、可用性、およびパフォーマンスを最大化できます。このアーキテクチャでは、シンプルでありながら強力な4つのステップを使用してトランザクション・データを移動します。

図1.Oracle GoldenGateのアーキテクチャ

おもな処理ステップ

• 取得:Oracle GoldenGateはオーバーヘッドを低く抑え、パフォーマンスに優れた非侵入型の方法で、データベース・トランザクション・ログにコミットされた変更データ処理を取得します。

• ルーティング:Oracle GoldenGateはさまざまな転送プロトコルを使用して、変更データをルーティングする前に圧縮および暗号化できます。

• 変換:ターゲット・システムにデータを適用する前の任意のポイントで、Oracle GoldenGateを使用してフィルタリングや変換などの多数の組込み関数を実行できます。

• 配信:Oracle GoldenGateは1秒未満の待機時間で、変更されたトランザクション・データを1つまたは複数のデータベース・ターゲットに適用し、トランザクション整合性を維持します。トランザクション・データはOpen Database Connectivityに準拠したデータベースや専用アダプタを介して、JMSメッセージ・キューまたはトピックに配信されます。

おもなコンポーネント

Oracle GoldenGateは次の4つの異なるモジュールおよびコンポーネントで構成されています。

• Oracle GoldenGate Capture

• Oracle GoldenGate Trailファイル

• Oracle GoldenGate Delivery

• Oracle GoldenGate Manager

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Oracle GoldenGate 12c for Oracle Databaseの使用

Oracle GoldenGate Capture

Captureモジュールは、データベースに対して実行された挿入、更新、削除処理や一部のDDL操作の結果としてコミットされたトランザクションを処理し、配信先にルーティングします。通常、Captureプロセスの実行可能ファイル名である“Extract”は、この製品のCaptureモジュールを指すものとしてドキュメント内で使用されます。

負荷の低い高速データ取得

Captureモジュールを使用するために、ソース・データベースやサポートされるアプリケーションに変更を加える必要はありません。最適なパフォーマンスを維持するため、Captureモジュールはソース・データベースに対してさまざまなチェンジ・キャプチャ技術を使用します。たとえば、トランザクション・ログを含むデータベース(Oracle Database(Oracle Exadataを含む)、Microsoft SQL Server、IBM DB2(LUW)/System z/System i、Sybase ASE、MySQL、およびHP NonStop/Enscribe、SQL/MP、SQL/MXで実行されるデータベースなど)内で、ネイティブ・データベース・トランザクション・ログ(該当する場合はREDOログ)に直接アクセスすることで変更が取得されます。ソースにTeradataを使用する場合は、同じ効率性でOracle GoldenGateからコミット後のトランザクションを取得するためのカスタムAPIが開発されています。

トランザクション・ログにはデータベースに対して実行されたすべての変更が含まれており、Oracle GoldenGateとは関係なく、データベース・アプリケーションによって自動的に維持されます。その結果、Captureモジュールを実行するために表を追加する必要がないため、トリガー・ベースの取得技術に比べて大幅にオーバーヘッドが軽減されます。Captureモジュールは取得対象トランザクションのサイズと数に基づいてトランザクション・メモリを自動的に調整するため、メモリの使用量が最適化され、ソース・システム上のオーバーヘッドがさらに軽減されます。Oracle GoldenGate Application Adapters 11gとともに使用する場合には、JMSベースのメッセージング・システムからの取得機能も提供されています。

表、行、および列の選択

リアルタイム・レポートを目的とした場合など、ソースからターゲット・システムにすべての変更データをレプリケートする必要がない場合、Captureモジュールではユーザーが定義した基準に基づいて表や行をフィルタリングし、エンドユーザーの要件に合わないトランザクション・ログ・エントリは無視することができます。また、ユーザーはOracle GoldenGateの組込み関数、ユーザー提供コード、ストアド・プロシージャ、またはOracle Data Integrator Enterprise Editionを介して、特定の列を選択して任意で変換ルールを適用することもできます。

効率的なネットワーク使用と大量データ

CaptureモジュールはWAN、LAN、インターネット経由でトランザクションをルーティングしますが、さまざまな手段で必要なネットワーク帯域幅を削減します。転送されるデータ量は通常、データベースに生成されてトランザクション・ログに保管されているデータのごく一部です。これはコミットされたトランザクションのみが伝播され、中間アクティビティやロールバック処理は転送されないためです。Captureモジュールでは、個々のレコードを効率の高い大規模パケットにまとめ、潜在的なボトルネックを解消することで、データ送信が最適化されます。

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Oracle GoldenGate 12c for Oracle Databaseの使用

いくつかのデータ圧縮レベルが利用可能であり、転送に必要なネット帯域幅がさらに削減されます。データ型によっては、データを圧縮することでバイト転送が75%以上も削減される場合があります。

変更データ量が極めて大きくなるシナリオの場合、ソース・システムとターゲット・システム間の遅延を最小化するため、複数のCaptureモジュールをデプロイできます。さらに、Oracle DatabaseでCaptureを実行する場合は、Integrated Captureを利用することもできます。Integrated Captureは、データベース・ログ・マイニング・サーバーと直接やり取りしてデータの変更内容を受信することでパフォーマンスを改善するマルチスレッドの取得メカニズムです。Integrated Captureを使用することで、Captureプロセスをターゲットなどの別の場所にオフロードして、ソース・システムのオーバーヘッドを削減することもできます。

信頼性のあるデータ配信を実現するチェックポイント

Oracle GoldenGateはコミット境界があるたびに、最後に変更されたトランザクションの時点でのチェックポイントを作成します。これにより、再起動時やクラスタ・フェイルオーバー時にも、コミットされたすべてのレコードがターゲットに配信されます。チェックポイントには、CaptureモジュールとDeliveryモジュールの両方に処理された最新のポジションが保管されます。ネットワークやシステムが停止すると、Oracle GoldenGateは最新の正しいチェックポイントから再起動を実行します。Oracle GoldenGateはコミットされていない処理もディスクに保持するため、レプリケーション・プロセスが一時停止または中断した場合に、実行時間の長いトランザクションの迅速で簡単なデータ・リカバリを実行できます。

Oracle GoldenGate Trailファイル

Oracle GoldenGate独自のキューイング・メカニズムであるtrailファイルには、プラットフォームに依存しない転送可能な形式(Oracle GoldenGate Universal Data Formatと呼ばれる)で最新の変更データが格納されており、別のアプリケーションで使用できるようにXMLやその他の一般的な形式に変換できます。Captureモジュールは、それぞれのtrailファイルに一意のデータセットだけでなく重複するデータセットを作成できます。実装要件に基づいて、ユーザーはターゲット・システムかソース・システム、またはその両方にtrailファイルを保管できます。trailファイルは、別のキュー・タイプやアプリケーション・インタフェースに配信することもできます。

柔軟な分離アーキテクチャ

trailファイルにデータをステージングすることで、Oracle GoldenGateは異種サポート向けにデータソースとターゲットを分離します。プロセス間の密結合を実装するアーキテクチャとは異なり、この分離アーキテクチャでは各モジュールが独立してタスクを実行できます。計画外停止が発生した場合、分離アーキテクチャによって、影響を受けていないシステムの運用の継続が確保されます。

また、Oracle GoldenGateでは、ソースおよびターゲット用のデータベース、オペレーティング・システム、ハードウェアを柔軟に選択できます。柔軟性と使いやすさを最大化するため、1つの実装で異なるバージョンのCaptureモジュール、Deliveryモジュール、Trailファイルモジュールを使用できます。

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Oracle GoldenGate 12c for Oracle Databaseの使用

Data Pump

構成や環境によっては、ソース・システムにtrailファイルを作成し、Data Pump 2と呼ばれる別のOracle GoldenGate機能を使用して、ソース・システムからターゲット・システムに継続的にtrailファイルをプッシュ(または"ポンプ")することが一般的には望ましい方法です。この構成を使用すると、Oracle GoldenGate環境全体のフォルト・トレランスと信頼性が向上します。ネットワーク障害が

(ソース・システムとターゲット・システム間で)発生した場合も、データはソース・システム上のtrailファイルにローカルでキューイングされるため、Oracle GoldenGateはトランザクションの取得を継続できます。これにより、データベース障害時のリカバリ可能性も向上します。

1つのソースから複数のターゲットにデータを分散する必要がある場合(1対多)、Data Pump機能の使用を強く推奨します。Captureモジュールがトランザクションの取得のみに集中できる一方で、ターゲットにデータを分散するために個別のData Pumpを設定できるため、環境全体の効率が上がります。このような構成では、1つのターゲットで障害が発生してもソース取得やその他のターゲットへの配信に影響が及ばないため、フォルト・トレランスも大幅に向上します。いずれかのターゲットが停止している場合も、トランザクションの取得、ルーティング、残りのターゲットへの配信は継続されます。また、Data Pumpを使用すると、データベースがインストールされていないシステムであっても、データをルーティングするための中間システムとして使用できます。

アーカイブ機能と監査機能

trailファイルは、削除レコードと更新レコードを別の場所の挿入に変換することで、ソース・データベースから消去された情報のアーカイブを作成します。また、監査とコンプライアンスの目的から、Oracle GoldenGateは独立した履歴表を保持し、個別レコードが変更された際の更新を追跡できます。

Oracle GoldenGate Delivery

Deliveryモジュールはtrailファイルに配置された変更済みトランザクション・データを取得し、即座にターゲット・データベースに適用します。サポートされるターゲット・データベースには、Oracle Database(Oracle Exadataを含む)、Microsoft SQL Server、IBM DB2(LUW)/System z/System i、Sybase ASE、Teradata、およびHP NonStop/Enscribe、SQL/MP、SQL/MXで実行されるデータベース、IBM Netezza、Greenplum、MySQL、PostgreSQL、TimesTenなどがあります。Oracle GoldenGate Application Adaptersを使用すると、Oracle GoldenGateはXMLやその他の形式で変更データをメッセージング・システムにパブリッシュできます。また、ETLシステムなどのサード・パーティ製品向けにフラット・ファイルでデータを提供することもできます。通常、Deliveryプロセスの実行可能ファイル名である“Replicat”は、この製品のDeliveryモジュールを指すものとしてドキュメント内で使用されます。

2 Oracle GoldenGateのData Pumpコンポーネントは、Oracle DatabaseのOracle Data Pumpユーティリティとは

関係ありません。

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Oracle GoldenGate 12c for Oracle Databaseの使用

データ整合性とトランザクション一貫性

各Deliveryモジュールは、データ整合性と参照整合性を維持するため、ソース・データベースへのコミットと同じ順序でそれぞれのデータベース変更を適用します。さらに、ターゲット上での一貫性を維持するため、同じトランザクション・コンテキスト内の変更をソース・システムでの状態と同じように適用します。

列のマッピングと変換

Captureモジュールと同様にDeliveryモジュールでも、ユーザー定義条件を介して、ターゲット表だけでなく個別の行や列を指定できます。ソース表の列とターゲット表の列の名前が同じ場合、Deliveryモジュールはデフォルトでターゲット表の列にデータを移入します。これは名前が同じ表に対しても当てはまります。ただし、Oracle GoldenGateでは、1つの表から複数のターゲット表に、またはその逆にデータを移動するように簡単に設定できます。これは、データウェアハウスやOLTP環境のデータを正規化または非正規化する際に使用できます。

また、単純な列割当てからより複雑な変換まで、ユーザーが明示的にマッピングや変換ルールを定義することもできます。変換が複雑になる場合、Oracle GoldenGateが提供する各種のデータ関数、数学関数、文字列関数、効用関数を使用できます。また、このモジュールではデータベース・ストアド・プロシージャおよびファンクションの使用がサポートされており、明示的なマッピングやルールと組み合わせて使用できます。その他の変換機能や、データ品質機能、集計機能などが必要である場合、Oracle GoldenGate 12cにOracle Data Integrator Enterprise Edition 12cを統合すると、エンド・ツー・エンドのデータ統合がサポートされます。

高速、大容量向けに最適化されたデータ配信

Deliveryモジュールは、ターゲット・データベースに対する変更トランザクションの書込みを最適化するためにさまざまな技術を提供します。Oracle GoldenGateの配信プロセスは、可能な限りターゲット・データベースに対してローカルで実行されるため、ネットワーク制約を回避することでスループットが最大化されます。また、Deliveryモジュールは元のトランザクション特性を維持しながら、ディスクI/Oを最小化します。さらに、更新はミドルウェア経由ではなく、可能な限りネイティブ・データベース・インタフェースを介して実行され、繰り返し文の実行を高速化するため内部キャッシュが使用されます。

Oracle Database 11.2.0.4以降のターゲット・データベースにトランザクションを適用する場合は、Integrated Deliveryを利用できます。Integrated Deliveryでは、パラレル適用サーバーを利用して、依存性の自動追跡とパラレル認識適用を行います。また、トランザクションをOracle以外のデータ・ストアに適用する場合には、複数のDeliveryモジュールのデプロイメントを簡素化するCoordinated Delivery機能がOracle GoldenGate 12cで導入されています。この機能によって、処理がピークに達する期間や定期的な大量データの遅延時間を最小化できます。これらの取得-ルーティング-変換-適用プロセスは絶え間なく実行されるため、ソースにコミットされた最新トランザクションは即座にターゲットに移動され、配信されます。

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Oracle GoldenGate 12c for Oracle Databaseの使用

適用の遅延

Deliveryモジュールでは柔軟性を最大化するため、データをすぐに適用することも、ユーザーが指定したタイミングで後から適用することもできます。いずれの場合も、トランザクションの整合性は維持されます。これにより、必要に応じてデータ保護レイヤーを追加できるとともに、プライマリ・システムの後方でセカンダリ・システムを一貫した状態に維持できます。この構成では、Oracle GoldenGateは変更データをターゲット・サーバー上のtrailファイルにルーティングしますが、取得されたすべての変更がターゲットのtrailファイルに配信されるまでターゲット・データベースには配信しません。その後、ユーザーが指定したタイミングで、ターゲットのtrailファイルに含まれるすべての変更データが即座にターゲット・データベースに適用され、ターゲット・データベースはソースに対する一貫性を持った状態になります。

Oracle GoldenGate Manager

ユーザーがOracle GoldenGateプロセスを制御できるようにするため、Managerモジュールは管理、メンテナンスメンテナンス、レポートの作成などの各種アクティビティを実行するためのコマンドライン・インタフェースを提供します。次にその例を挙げます。

• Oracle GoldenGateプロセスを設定および調整するためのパラメータ設定

• CaptureモジュールとDeliveryモジュールの開始、停止、および監視

• 重要な情報を提供するイベントやしきい値のレポート

• リソースの管理

• trailファイルの管理

Managerモジュールはオンデマンド、または人手を介さないでリクエストを実行します。たとえば、Oracle GoldenGateコンポーネントを再起動したり、待機時間を監視したりするためにManagerモジュールを使用できます。ユーザーはコマンドライン・インタフェースを使用して、さまざまな管理タスク、メンテナンス・タスク、レポート・タスクを実行できます。また、このモジュールによって不要になったtrailファイルが自動的に再利用されるため、不注意でディスクがいっぱいになる状況が防止されるとともに、エラーを招きやすい手動メンテナンス手順に代わる手段が提供されます。Oracle GoldenGateではトランザクション・トレースを柔軟に実行できることにより、簡単にボトルネックを特定して、Oracle GoldenGate実装を最適なパフォーマンスに調整できます。

Oracle GoldenGateプロセスおよびソリューションに対する高度な管理を実現したい場合、Oracle Management Pack for Oracle GoldenGateの追加を検討してください。

関連製品

リアルタイム情報プラットフォームを拡張するためのOracle GoldenGateの主要な補完製品は、次の2製品です。

• Management Pack for Oracle GoldenGate:Management Pack for Oracle GoldenGateは、全社的に導入されたOracle GoldenGateの中心的レプリケーション・プロセスの設計、構成、管理、監視を行うコンポーネントを提供します。

• Oracle GoldenGate Veridata:2つのオンライン・データベース間で素早くデータを比較し、相違点をレポートするデータ比較ユーティリティ(スタンドアロン製品として実行可能)。Oracle Database、HP NonStop、Teradataなどの異種データベースをサポートします。

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Oracle GoldenGate 12c for Oracle Databaseの使用

Oracle Management Pack for Oracle GoldenGate

Oracle Management Pack for Oracle GoldenGateはサーバー・ベースの集中型グラフィカル・エンタープライズ・アプリケーションであり、Oracle GoldenGateプロセスを直感的に定義、構成、管理、監視する手段を提供します。この製品はOracle GoldenGateのコア・プラットフォームの管理サービスを利用して、継続的な可用性とリアルタイム・データ統合を実現する構成のデプロイメント時間を短縮します。このパックには、2つの堅牢な補完製品が含まれます。Oracle GoldenGate実装を監視するためのOracle GoldenGate Monitorと、Oracle GoldenGateコンポーネントを管理するためのOracle GoldenGate Directorです。さらに、Oracle GoldenGate 11g Release 2以降では、Oracle GoldenGate MonitorをOracle Enterprise Managerと統合するためのプラグインも含まれます。

Oracle GoldenGate Monitorは、ユーザーのすべてのOracle GoldenGate実装に対するエンド・ツー・エンドのビューを提供します。GoldenGate Monitorは既存のアラート・インフラストラクチャに対して、SNMP、電子メール、コマンドライン統合(CLI)に基づく高度なアラート機能を組み込み、サード・パーティのコールアウトを可能にします。GoldenGate MonitorはOracle GoldenGateに付属する負荷の低いエージェントを活用するように設計されており、Oracle GoldenGateのリリース11.1.1.1.1以降をサポートしています。GoldenGateのインスタンスごとに1つのエージェントが監視ポイント(ステータス、遅延、挿入数、更新数、削除数など)を収集し、GoldenGate Monitor Serverに送信します。Oracle GoldenGate Monitorはこのデータを使用して、エンド・ツー・エンドのレプリケーション・ソリューションをグラフィカル表示するとともに、サーバー側の高度なアラート通知ロジックを提供します。

Oracle GoldenGate DirectorはOracle GoldenGateのプロセス設計を迅速化し、GoldenGateレプリケーション・コンポーネントの管理を簡素化するグラフィカル・ツールです。GUIベースの構成により人為的エラーを削減するとともに、中央ロケーションからの迅速なマルチサーバー・ソリューション配置を実現します。

Oracle GoldenGate Veridata

Oracle GoldenGate Veridataは負荷の少ない高速データ比較ソリューションであり、システムやビジネス・プロセスを中断することなく2つのデータベース間の相違を特定し、レポートします。Oracle GoldenGate Veridataはスタンドアロン製品であるため、Oracle GoldenGateのコア・コンポーネントがインストールされているかどうかに関係なく使用できます。

このアプリケーションを使用して、異なるビジネス・アプリケーションで共有される大量のデータを確実に監査して検証できます。Oracle GoldenGate Veridataを使用すると、データの比較に必要となる時間とリソース数が削減され、人為的エラーの影響が最小化され、潜在的な問題を迅速に検出してすぐに解決できるようになります。

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Oracle GoldenGate 12c for Oracle Databaseの使用

1つのプラットフォームで多数のソリューションに対応

Oracle GoldenGateは簡単に多様なトポロジに対応できます。一方向と双方向の両方の構成で、1対1、1対多、多対1、多対多といったトポロジがサポートされます。

無制限のスケーラビリティを実現するため、潜在的なボトルネックを排除するカスケード・トポロジを作成できます。特定のデータベース変更セットをソース・システムまたはターゲット・システム上にステージングすることで、データソースに対する1つのパスを介して異なる要件を満たすことができます。ステージングされたデータの各セットには、一意のデータまたは重複するデータが含まれます。

図2.Oracle GoldenGateは多数のデータ伝播ソリューションに対応しているため、企業全体でリアルタイムの可視性が提供されます。

Oracle GoldenGateはJMSベースのメッセージング・システムとも統合できるため、リアルタイム・データを分散する際の柔軟性が向上します。この機能やフラット・ファイルへの配信機能を通じて、Oracle GoldenGateは多様なアーキテクチャを提供することで、既存の投資を補完します。

この1つのリアルタイム・データ移行プラットフォームを使用することで、企業は各種ソリューションを簡単かつ円滑に実装できるため、可用性、アクセス可能性、パフォーマンス、そして企業全体で重要なデータの統合が強化されます。Oracle Database向けの一般的に実装されるユースケースは次のとおりです。

• 停止時間ゼロの移行とアップグレード

• 問合せのオフロード

• ディザスタ・リカバリとデータ保護

• アクティブ/アクティブ・データベース・レプリケーションによる継続的な可用性

• 運用レポートとリアルタイム・データウェアハウジング

• OLTPシステム向けのデータの分散と同期

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Oracle GoldenGate 12c for Oracle Databaseの使用

停止時間ゼロの移行とアップグレード

Oracle GoldenGateでは、リアルタイムの異種レプリケーション機能によって、停止時間ゼロのデータベース、ハードウェア、OSの移行が可能です。Oracle GoldenGateは、旧システムと新システム間のリアルタイムでの双方向データ移動と同期を通じて、新システムが使用可能になったタイミングで、アプリケーションへのアクセスを中断することなく、既存のシステムから新システムへのスイッチオーバーを実現します。このソリューションは異種環境をサポートしているため、Oracle以外のデータベースからOracleデータベース(Oracle Exadataを含む)へのデータベース移行やクロスプラットフォーム・アップグレードに対応しています。さらに、このソリューションは旧環境と新環境の同期をリアルタイムで維持することで、堅牢なフェイルバック・コンティンジェンシーを提供します。また、Oracle GoldenGate Veridataを同時に使用すると、ユーザーは本番環境に影響を与えることなく、スイッチオーバーの前にシステム間の相違を特定し、レポートを作成できます。

さらに、Oracle GoldenGateではオラクルのSiebel CRMアプリケーションとJD Edwardsアプリケーションについて、停止時間ゼロのアプリケーション・アップグレードが認定されています。Oracle GoldenGateは、Oracle Database 10gまたは11gからOracle Database 12cへの停止時間ゼロのローリング・アップグレードにも対応しています。

図3.Oracle GoldenGateを利用すると、ミッション・クリティカル・アプリケーションのアップグレードと移行を停止時間ゼロで実施できます。

問合せのオフロード

Oracle GoldenGateのリアルタイム・データ統合機能を使用すると、問合せや読取り専用アクティビティを本番データベースから専用のレポート・サーバーにオフロードできます。GoldenGateでは異種システムがサポートされるため、IBM DB2、HP NonStopなどのメインフレーム・システム上やMicrosoft SQL Server、Sybase ASEなどのオープン・システム上で稼働するOLTPシステムを、Oracle DatabaseやMySQLにオフロードすることが可能です。このソリューションによって本番システムのパフォーマンスを最大化し、所有コストを削減し、読取り専用アクティビティ用のセカンダリ・レポート・データベースを最適化できます。

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Page 14: Oracle GoldenGate 12c for Oracle Databaseの使用

Oracle GoldenGate 12c for Oracle Databaseの使用

ディザスタ・リカバリとデータ保護

Oracle GoldenGateは、スタンバイ・インスタンスに対して異なるOracle Databaseバージョン、および異なるデータベースまたはオペレーティング・システムを利用できる機能を提供することで、Oracle Active Data GuardのOracle Database向けの堅牢なディザスタ・リカバリおよび高可用性機能を補完します。また、Oracle GoldenGateはOracle Database Standard Editionをサポートし、Oracle DatabaseまたはOracle以外のデータベース間でマルチマスター同期を実行するための双方向データ・レプリケーション機能を提供することで、継続的な可用性を維持します。

ディザスタ・リカバリとデータ保護向けにOracle GoldenGateを設定すると、継続的な可用性を持つソリューションが実現されるため、ミッション・クリティカルなシステムのリカバリ時間を大幅に短縮できます。Oracle GoldenGateは、最新データをバックアップ・システムに配信し、障害が発生した場合に新システムへのスイッチオーバーをすみやかに実現します。また、プライマリ・システムがオンラインになり次第、スタンバイ・システムで処理された新規データでの更新が実行されるように、スタンバイ・データベースからのリアルタイム・データの取得を即座に開始します。

アクティブ/アクティブ・データベース・レプリケーション

Oracle GoldenGateでは、継続的なトランザクションに対応して2つ以上のアクティブ・データベースの同期状態を維持することで、重要なシステム上で最大限の可用性とパフォーマンスを実現できます。ループ検出機能と組込みの競合検出/解消機能があるため、複数のアクティブ・データベース間でリアルタイムにデータを移動できます。このソリューションにより、サポート対象データベースの継続的な可用性を維持し、既存のサーバー資産をより効果的に活用し、システムのパフォーマンスとスケーラビリティを改善できます。

運用レポートとリアルタイム・データウェアハウジング

多くの運用レポートの作成活動では最新の使用可能データを利用することが理想的ですが、ほとんどの場合は本番データベースに対してレポートを実行することになるため、パフォーマンスの低下につながります。Oracle GoldenGateを使用すると、費用効果に優れたセカンダリ・システムをデプロイして、リアルタイムの運用レポート作成向けに使用できます。これにより、重要なソース・システムのリソースが解放されます。Oracle GoldenGate 12cでは、Oracle E-Business Suite、JD Edwards、PeopleSoft、Siebel CRM、Oracle Business Intelligence、Oracle ATG Web Commerce、Oracle Coherenceなどの主要なOracleアプリケーション向けの運用レポート・ソリューションのサポートが認定されています。

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Page 15: Oracle GoldenGate 12c for Oracle Databaseの使用

Oracle GoldenGate 12c for Oracle Databaseの使用

図4.ソース・データを継続的にレポート・データベースへ移動することで、本番に影響を与えることなくリアルタイム情報にアクセスできます。

Oracle GoldenGateは、データウェアハウジング・ソリューションに適時データを送信するためにも使用できます。GoldenGateは、ログ・ベースのデータ取得機能を提供することで、Oracle Data Integratorを補完します。この統合されたソリューションを使用すれば、パフォーマンスに影響を及ぼさずにソース・システムからリアルタイム・データを取得し、データウェアハウス表に適時の情報をロードできます。Oracle Data Integratorにより、抽出、ロード、変換(ELT)アーキテクチャを確立して、中間層の変換サーバーを排除することで、パフォーマンスがさらに向上し、所有コストが削減されます。Oracle GoldenGate 12cはOracle Data Integrator 12cとさらに緊密に統合されています。たとえば、Oracle GoldenGate Gateのソース・システムとターゲット・システムは、このバージョンではOracle Data Integratorのトポロジ内のデータ・サーバーとして構成されます。JAgentテクノロジーによってOracle GoldenGateのパラメータ・ファイルをソースおよびターゲットのOracle GoldenGateインスタンスに自動的にデプロイでき、Oracle GoldenGateインスタンスの起動や停止をOracle Data Integratorから実行できます。Oracle GoldenGateとOracle Data Integratorはともに、Oracle ExadataやOracle Database Applianceと併用できます。

OLTPシステム向けのデータの分散と同期

Oracle GoldenGateの多方向のリアルタイム・データ移動機能により、分散システム向けのデータの分散と同期を実行できます。多方向レプリケーション構成では、エンタープライズ・システム全体にわたって正確なデータに適時アクセスできるように、データセンターの同期状態が維持されます。Oracle GoldenGateのレプリケーションには距離の制限がないため、ユーザーは通常、異なる地域や大陸に位置するデータセンター間のデータ分散のためにOracle GoldenGateを導入します。また、あるデータセンターが利用不可になった場合にも可用性が継続されます。Oracle GoldenGateは異種環境に対応しているため、これらの分散システムを異なるデータベースやOSプラットフォームとして構成できます。

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Page 16: Oracle GoldenGate 12c for Oracle Databaseの使用

Oracle GoldenGate 12c for Oracle Databaseの使用

Oracle GoldenGate for Oracle Database

Oracle Databaseに対して使用する場合、Oracle GoldenGateは、REDOログやアーカイブ・ログに書き込まれるコミット済みのデータベースDMLトランザクションの取得、変換、ルーティング、適用を、ほぼリアルタイムで実行できます。この製品の拡張オプションでは、Oracle間のDDL操作の取得、ルーティング、適用や、アーカイブ・ログからのみのDMLトランザクションの取得が可能です。

Oracle GoldenGateは、Oracle Real Application Clusters(Oracle RAC)、Oracle Exadata、Oracle Automatic Storage Management(Oracle ASM)で管理されるデータベースなど、あらゆるデータベース実行プラットフォームで効率的に稼働します。以降では、Oracle GoldenGate for Oracle Databaseの固有の機能に注目しながら、Oracle GoldenGateの機能について説明します。

取得(Extract)

Oracle GoldenGateのCaptureプロセスは、実行中にREDOログを継続的にスキャンして、要件を満たすトランザクションを検索します。GoldenGateはデータベース・ユーザーとして動作するため、REDOログおよびアーカイブ・ログにアクセスするための適切なデータベース権限を所有している必要があります。Oracle Recovery Manager(Oracle RMAN)はCaptureプロセスが必要とするアーカイブ・ログを自動的に保存します。アクティブ/アクティブOracle環境で使用するGoldenGateでは、DMLのレプリケーションのサポートに加え、ほぼすべてのデータベース・オブジェクト、PL/SQL、ユーザー権限に対するDDL変更(CREATE、ALTER、DROPの各操作を含む)の取得と適用も可能です。

要件を満たすトランザクションが開始されると、Captureプロセスによって、トランザクション詳細のメモリへのキューイングが始まります。割当て済みのプロセス・メモリよりも大きなサイズのトランザクション詳細については、ディスクの一時記憶域に書き込まれます。このCaptureメカニズムによって、GoldenGateで複数のトランザクションの追跡と取得を同時に実行できます。さらに、Captureモジュールでは複数のREDOログやアーカイブ・ログにまたがるトランザクションの追跡および取得も可能です。トランザクションがデータベースにコミットされると、Captureプロセスはトランザクション詳細をすべてTrailファイルにフラッシュします。このTrailファイルがターゲット・データベース・サーバーへのルーティングに使用されます。このTrailファイル内のデータは、コミット順に並んでいます。

Integrated Capture

Oracle GoldenGate 11g Release 2より、Oracle Databaseに対してCaptureを実行するユーザーは、Integrated Capture機能を利用することもできます。このマルチスレッドのCaptureメカニズムによって、データをOracle Databaseから抽出する際にさまざまな拡張機能を利用できます。Integrated Captureモードで運用する場合、CaptureプロセスがOracleログ・マイニング・サーバーと統合され、サーバーから論理変更レコード(LCR)形式で変更データを受信します。LCRは、変更されたデータの論理表現です。Integrated Captureメカニズムは、メモリ内のログ・バッファ、REDOログ、アーカイブ・ログを必要に応じて横断してシームレスに読み取ります。

Integrated Captureを使用すると、Captureメカニズムの設置場所を、ソース・データベースか代替ロケーション(ソースと同じ種類のプラットフォーム)から選択できます。

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Oracle GoldenGate 12c for Oracle Databaseの使用

ダウンストリームでの取得処理は、ソース・データベースのオーバーヘッドを最小化する必要がある場合に有効です。たとえば、ミッション・クリティカルなOLTPシステムからの変更をレポート環境やテスト環境にレプリケートする場合、Captureプロセスをターゲット・ロケーションにオフロードする方が良い場合があります。ダウンストリームでの取得処理は、リアルタイム・モードまたはアーカイブ・ログ・モードのいずれかで、データベースの以前のバージョンのマイニングを有効にするためにも使用できます。ダウンストリームでの取得処理を行うデータベースは、Oracle Database 11g Release 11.2.0.3以降である必要がありますが、ログはOracle Database 10g Release 2以降のデータベースのものでもかまいません。

データベースに完全に統合されるため、Oracle Real Application Clusters(Oracle RAC)、Oracle Automated Storage Management(Oracle ASM)、Oracle Transparent Data Encryption(Oracle TDE)をサポートするための追加のセットアップは必要ありません。Integrated Captureは、より効率的にポイント・イン・タイム・リカバリとOracle RAC統合に対処し、ノードの停止に自動的に対処します。

Classic Capture

Oracle GoldenGateでは、既存のCaptureモジュールのサポートも継続していますが、既存のモジュールはClassic Captureという名称に変更されました。Classic Captureは、データベースのREDOログに直接アクセスして、配信のために取得すべきDML変更を検索します。Oracle ASM内部に保管されたREDOログから取得を実行できます。読取りサイズを調整することで、Captureのパフォーマンスが向上します。このモードでは、CaptureをOracle RMANと統合してログ保存を管理できます。

ソース・データベースのオーバーヘッドを最小化するために、Oracle GoldenGate Archive Log Only(ALO)の取得を使用するように選択できます。ALOは、リモート・システム上のアーカイブ・ログ

の解析をサポートしています。このシステムは、ターゲットと同一である必要はありません。たとえば、Windows x86サーバー上でLinux x86のREDOログを解析することや、Solaris SPARCシステム上でHP-UX PA-RISCのREDOログを解析することなどが可能です。接続モードでALOを使用する場合、データ型や機能の制約はありません。非接続モードを使用する場合は、ソース・システムでのオーバーヘッドが発生しません。

ルーティング(Data Pump)

個別のCaptureプロセスが継続的にステージングtrailファイルをスキャンし、新しいデータの入力を待機します。ステージングTrailファイルで新しいデータが検出されたら、そのデータがパッケージ化され、特定のターゲット・ロケーションに向けてTCP/IP経由でルーティングされます。ターゲット・ロケーションとして、1台のサーバー・ディスク・ロケーション、複数のディスク・ロケーション、あるいは複数のサーバーとディスクのロケーションを指定できます。

Oracle GoldenGateでは、データの送信にIPV6を含むTCP/IPを使用します。そのため、ソース・システムとターゲット・システムの間の地理的な距離による制約は発生しません。拡張オプションでは、FIPSまたはBlowfishによる暗号化や、TCP/IPパケット内のデータ圧縮を利用できます。ターゲット・ロケーションで、通信プロセスがTCP/IPから入力されるデータを受信し、データ・パケットの復号化と圧縮解除を行い、トランザクション情報をローカルTrailファイルに書き込みます。その後、データの受信およびTrailファイルへの書込みに成功したことを示すACKがData Pumpに返されます。

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Oracle GoldenGate 12c for Oracle Databaseの使用

「Oracle GoldenGate 12cの新機能であるOracle Database向けのIntegrated Deliveryモードは、パラレル数を自動調整し、トランザクション間の依存性を自動計算するため、エンドユーザーは1つのDeliveryプロセスを使用するように製品を簡単に構成できます。この高度なレプリケーションは、CERN openlabとOracleとの共同作業の中で、LHCアプリケーション・ワークロードを使用してテストされています。そのテストの結果、以前のバージョンのGoldenGateと比較して実行速度が5倍になり、多層レプリケーション環境の管理が簡単になっています」

--CERN、IT、Eva Dafonte Perez

配信(Replicat)

ターゲット・データベース・ロケーションでも、Oracle GoldenGateはデータベース・ユーザーとして実行されます。データベースの権限では、指定したスキーマと表に対してDMLとDDLを実行するDeliveryプロセスが許可されます。Deliveryプロセスは継続的にtrailファイルをスキャンし、受信データを検索します。新しいデータが検出されると、ソース・データベース・トランザクションのDML文またはDDL文が再作成され、実行されます。

アクティブ/アクティブ構成では、Oracle GoldenGateの組込み競合検出メカニズムにより、競合する更新を検出できます。検出された競合は、標準搭載の競合解消方法を1つ以上使用するか、ビジネスの要件に応じてカスタマイズされた方法を用いて、自動的に解消できます。

Integrated Delivery

Oracle Database 11g Release 11.2.0.4またはOracle Database 12c Release 12.1.0.1以降のデータベースにデータを配信する場合は、Integrated Deliveryを使用することで、パフォーマンスを改善し、スケーラビリティとロードバランシングを強化できます。この新しいプロセスにより構成が簡素化され、パフォーマンスが2倍以上向上します。この変更を実装するために必要となる変更作業は最小限であり、データベースのパラレル適用サーバーを利用して、依存性の自動認識によるパラレル適用を実行できます。Integrated Delivery機能により、ユーザーが手動で配信プロセスを複数のスレッドに分割することや、複数のパラメータ・ファイルを管理することが不要になります。

Oracle GoldenGate Deliveryプロセスは以前のバージョンと同様に現バージョンでもtrailファイルを読み取りますが、Integrated Delivery機能を使用する場合に、Deliveryプロセスは論理変更レコード

(LCR)を作成します。LCRは、変更されたデータを表すために使用されるレコードです。次に、Deliveryプロセスは軽量ストリームAPIを使用して、Oracle Databaseのインバウンド・サーバー(Inbound Server)にLCRを送信します。

インバウンド・サーバーは、このLCRを読み取るレシーバ(Receiver)の他、プリペアラ(Preparer)、コーディネータ(Coordinator)、および1つ以上のアプライア(Applier)から構成されます。プリペアラはトランザクション間の依存性を計算し、トランザクションをグループ化して、依存性の順序に沿ってソートします。次に、コーディネータが、トランザクション・グループ間の順序を維持しながら、トランザクション・グループを複数のアプライアに渡します。データベースのApplyプロセスが、割り当てられたトランザクションに関して、競合検知やエラー処理を含む必要となるすべての変更処理を実行します。

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Oracle GoldenGate 12c for Oracle Databaseの使用

図5.Oracle Database向けのOracle GoldenGate 12cのIntegrated Delivery機能

ターゲットでの依存性認識型の適用処理をサポートするには、スケジュール関連列(主キー、一意索引、外部キー)のサプリメンタル・ロギングが必要になります。Integrated Delivery機能は、Oracle以外のデータベースのtrailファイルを処理することもできます。ただしこれは、Oracle以外のデータベースによってスケジュール関連列のすべてがロギングされ、trailファイルに記録されている場合に限ります。Integrated Delivery機能は、プラガブル・データベース・レベルでのOracleマルチテナント・データベース機能もサポートしています。前項で説明したように、複数のIntegrated Deliveryプロセスから同じtrailファイルを読み取り、ターゲットにある複数のPDBに変更を適用することが可能です。

11.2.0.4より前のバージョンのOracle Databaseを実行中の場合、Oracle GoldenGate環境でClassic Deliveryプロセスを使い続けることもできます。ただし、Oracle GoldenGateでは、Oracle Database 11.2.0.4以降にアップグレードし、新しいIntegrated Deliveryプロセスを利用することを推奨しています。

Coordinated Delivery

Oracle以外のデータ・ストア(または11.2.0.4より前のバージョンのOracle Database)にデータを配信しており、配信プロセスを複数のスレッドに分割する必要がある場合には、Oracle GoldenGate 12cで導入されたCoordinated Delivery機能を使用することで、複数のパラメータ・ファイルの管理が不要になります。Coordinated Delivery機能では複数のDeliveryプロセスに対して必要となるパラメータ・ファイルが1つのみになります。さらに順序付けが必要となる選択したイベント(DDL、主キーの更新、イベント・マーカー・インタフェース(EMI)、SQLEXECなど)の間での自動調整も行われます。Coordinated Delivery機能は、Oracleデータ・ストアにもOracle以外のデータ・ストアにも使用できます。

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Oracle GoldenGate 12c for Oracle Databaseの使用

図6.Oracle GoldenGate 12c Coordinated Delivery

変換

データ変換は、取得、ルーティング、配信の各プロセスのあらゆる段階で実行できますが、通常はデータ配信フェーズで実行されます。Oracle GoldenGateの変換機能では、異なるデータベース間、名前が異なるスキーマや表の間、名前またはデータ型が異なるソース列とターゲット列の間での取得と配信がサポートされます。さらに、データをユーザー要件に応じて修正できる行レベル変換もサポートされます。

監視と管理

オラクルは、Oracle GoldenGateの監視と管理のためのさまざまなツールを提供しています。Oracle GoldenGate 11g Release 2以降のOracle Management Pack for Oracle GoldenGateには、Oracle GoldenGate MonitorをOracle Enterprise Managerと統合するためのプラグインも含まれます。Oracle Enterprise Manager Cloud Control向けのプラグインを使用すると、Oracle GoldenGateインスタンスの構成データを収集し、構成変更を追跡することが可能です。また、監視対象のターゲットと構成データに対して設定されたしきい値に基づいて、アラートや違反を通知する機能もあります。

Oracle Database 12cの自動ワークロード・リポジトリ(AWR)には、Oracle GoldenGate向けのレプリケーション統計機能が搭載されています。自動ワークロード・リポジトリは、システム・リソース使用率、取得速度、適用コーディネータ速度などのパフォーマンス履歴データのリポジトリであり、これらの情報はレプリケーション環境についてパフォーマンス・チューニングに関する判断を行う際に役に立ちます。

また、新しいdbms_goldengate_auth.grant_admin_privilegeパッケージを使用することで、レプリケーション環境の管理に必要となるすべての権限を1回のストアド・プロシージャ・コールによって付与できることから、権限管理が大幅に容易になります。

レプリケートされたデータベースの管理をさらに簡素化する新しいビューも利用できます。

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Oracle GoldenGate 12c for Oracle Databaseの使用

Oracle Database向けの最適化

Oracle GoldenGate 12cは、Oracle Database 12cで導入されたさまざまな新機能をサポートするように最適化されています。

Oracle Data Guardとの統合

Integrated Captureを搭載したOracle GoldenGateは、Oracle Data Guardとの相互運用性を確保するように設計されており、最高レベルのデータベースのスケーラビリティおよび可用性を達成します。プライマリ・サイトが利用不可になった場合でも、物理スタンバイ・データベースまたはActive Data Guardスタンバイ・データベースをプライマリ・サイトとして使用するように切り替えることができます。ユーザーは新しいプライマリ・サイトでOracle GoldenGate環境を再開できます。

Oracle Data Guard FSFOとの統合によって、Oracle GoldenGateコンポーネントの透過的な自動フェイルオーバーが可能になります。この機能では、プライマリ・データベースのフェイルオーバー/スイッチオーバーによって、手動の介入なしにレプリケーションを継続できます。フェイルオーバー/スイッチオーバーのインスタンスでは、ロールの移行中にOracle GoldenGateプロセスがスタンバイ・システムで起動され、フェイルオーバー/スイッチオーバーの実行中にはデータが一切消失しません。

GoldenGateのダウンストリーム取得機能により、Data GuardのREDOログ転送メカニズムを利用してトランザクションをソース外部で処理できます。Data GuardのREDOログ転送メカニズムを使用して、GoldenGate Captureプロセスがインストールされたダウンストリーム/リモート・マシンにREDOログを送信する場合には、データが消失することはありません。

Oracleマルチテナント・コンテナ・データベース機能のサポート

Oracle GoldenGate 12cでは、新機能のOracleマルチテナント・コンテナ・データベースもサポートしています。コンテナ・データベース(CDB)を使用すれば、共通のリソース・プールによって複数のデータベース(コンテナ)を処理できます。ユーザー・データを格納したコンテナは、プラガブル・データベース(PDB)と呼ばれます。PDBは、あるCDBから取り外して別のCDBに取り付けることができます。

Oracle GoldenGateのユーザーは1つのIntegrated Captureプロセスを使用して複数のPDBをマイニングでき、また複数のPDBの変更内容を1つのtrailファイルに書き込むことができます。変更されたデータを個々のデータベースではなくコンテナ・レベルで取得することで、オーバーヘッドを削減します。また、メモリやプロセスはCDBレベルでのみ必要になります。Oracle Database 12cでは、CDB内にあるすべてのPDBに、同じ属性(キャラクタ・セット、ロケール、大文字小文字など)を設定する必要があります。また、ログ・マイニング・サーバーとやり取りするためには、Integrated Captureプロセスが共通ユーザーとしてルート・コンテナ・レベルで実行されるように構成する必要があります。

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Oracle GoldenGate 12c for Oracle Databaseの使用

Deliveryプロセスは、1つのプラガブル・データベースに接続して変更を適用できます。複数のソース・プラガブル・データベースから複数のターゲット・プラガブル・データベースへのレプリケーションを構成する場合は、パラレルのIntegrated Capture/Integrated Deliveryストリームを構成して、各ストリームが1つのプラガブル・データベースのデータを処理するように設定できます。または、複数のソース・プラガブル・データベースから取得し、1つのtrailファイルに書き込む1つのIntegrated Captureを構成して、そのtrailファイルを複数のDeliveryプロセスから読み取ることも可能です。この際、各Deliveryプロセスをそれぞれ異なるターゲット・プラガブル・データベースに割り当てます。また別の方法として、次のように1つのIntegrated Captureを使用して複数のtrailファイルに書き込み、個々のターゲット・プラガブル・データベースに割り当てたDeliveryプロセスにより各trailファイルを読み取るという方法もあります。

図7.Oracleマルチテナント・コンテナ・データベース向けのOracle GoldenGate 12cのIntegrated Capture機能とIntegrated Delivery機能

クラウド環境のサポート

企業や各部門がクラウド・アプリケーションを採用する際に、多くの場合、定評のある統合原則を無視したPoint-to-Point接続を生成しています。一元的な監視/管理機能がないため、特にクラウドのデータと機能をオンプレミスの情報システムと共有するときに、システム管理者の余分な作業が発生します。データ統合ソリューションは、データを容易に、効率的に、かつ確実にクラウドへと移行するための重要な役割を担います。また、データ統合ソリューションはクラウドのデプロイメントに加え、オンプレミス環境とクラウド環境とのデータ層アプリケーション統合もサポートするため、Platform-as-a-Service(PaaS)の実装にも不可欠です。

プライベート・クラウドへの統合

Oracle Data IntegratorおよびOracle GoldenGateでは、データを地域にまたがってバルク処理またはリアルタイム・トランザクションによって移動することで、オンプレミスのエンタープライズ・システムをプライベート・クラウドに接続できます。

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Oracle GoldenGate 12c for Oracle Databaseの使用

GoldenGateの異種システム間におけるリアルタイム双方向データ・レプリケーション機能により、企業は業務を中断せずにデータを統合できます。新しいOracle Database 12cリリースでは新機能のマルチテナント・アーキテクチャが導入されました。このアーキテクチャにより、データベースのクラウドへの統合プロセスが簡素化され、アプリケーションを変更せずに多数のデータベースを1個のものとして管理できるようになります。Oracle GoldenGate 12cはOracle Database 12c向けに最適化され、この新しいマルチテナント・アーキテクチャがサポートされるため、業務に影響を及ぼさずに統合を行うための最適なソリューションです。ITチームはフェイルバック・オプションを使用して、必要な期間だけターゲット環境をテストできるため、リスクを最小限に抑えることができます。

パブリック・クラウド環境とオンプレミス・システムとの統合

企業がクラウドベースのシステムとオンプレミスのシステムの両方を利用してデータベース・インスタンスをホストする傾向が高まっています。このような傾向があるため、クラウド環境とオンプレミス環境にわたって信頼性の高いリアルタイム・レプリケーションを実装することで、データの最新性と業務との関連性を確実に維持することが重要です。ハイブリッド環境でデータの最新性を維持するための重要な要件の一部に、最小限の待機時間、信頼性、セキュリティがあります。常に最新のデータを保持する必要があります。データが古くなると妥当性と価値が低下します。競争の激しい現在の環境では、1日前のデータでは不十分であることも少なくありません。クラウドとオンプレミスのインスタンス間でシステムや接続性の問題が発生する可能性があっても、信頼性を保証する必要があります。

Oracle GoldenGateは、オンプレミスのデータベースとパブリック・クラウド環境でホストされたデータベースとのリアルタイム・データ・レプリケーションを行うことで、信頼性とセキュリティに優れた適時のデータ統合を実現します。詳細については、ナレッジベースの記事『Replicating between Cloud and On-Premises using Oracle GoldenGate』(ID - 1588484.1)を参照してください。

その他のOracle Database機能のサポート

CDBのサポートに加えて、Integrated Captureを搭載したOracle GoldenGateでは、基本圧縮、OLTP圧縮、Exadata Hybrid Columnar Compression(EHCC)などの圧縮機能がサポートされます。また、Oracle RACでのXAトランザクションやPDMLトランザクションのための分散トランザクションもサポートされます。XMLオブジェクト・リレーショナル(OR)およびXMLバイナリの各データ型のサポートも、REDOログからのLOB完全読取り、部分読取り(選択更新)とともに追加されます。また、Integrated Captureでは、サポートされるVARCHAR2、RAW、NVARCHAR2の上限が4000から32764に拡張されます。

顧客事例

前述のとおり、Oracle GoldenGateを使用したレプリケーション・ソリューションではさまざまな構成方法を選択できます。ここでは、既存の顧客がどのような構成でOracle Database環境にOracle GoldenGateを導入してパフォーマンスと可用性を向上させることができたのか、多くの実例のうちの一部を紹介します。

1) Credishop:データベース・レプリケーションによってクレジット・カードのトランザクション時間を80%削減

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Oracle GoldenGate 12c for Oracle Databaseの使用

独自ブランドおよびほかの企業やパートナーのクレジット・カードの管理企業であるCredishopは、急成長を維持するために、Oracle GoldenGateを導入してITインフラストラクチャを強化することを決定しました。同社はデータベースのレプリケーションにこのソリューションを使用して、各データベースが異なるビジネス・ニーズに対応できるよう同一のデータベースを作成しました。1つのデータベースをクレジット・カード・トランザクション(同社のもっとも重要な業務)の処理専用にして、それ以外のデータベースでコールセンター・サービスや請求などの日常業務に対処するようにしました。

Credishopは両方の環境で高可用性と優れた処理速度を確保することで、クレジット・カード・トランザクションの処理に必要な時間を80%削減しました。これは、顧客サービスの迅速化と生産性の向上につながりました。CredishopのOracle Database環境では900を超える同時ユーザーに対応し、1か月に約800,000件のトランザクションを中断や遅延なしに処理しています。

「Oracle GoldenGateによってOracle Database Enterprise Edition内にある非常に重要でクリティカルなデータのすべてをレプリケートすることができました。このデータベースでは、クレジット・カード・トランザクションを含めて、Credishopが処理する全データの95%が処理されています。この組み合わせによって、非常に優れたパフォーマンス改善効果が得られ、現在ではわずか3秒で売上オーソリを実行できます」と、CredishopのDatabase Administratorである

Edgar Galan Rodriguesは言います。

「Credishopは1999年の設立時にOracle製品を使用し始め、現在ではオラクルのソリューションを完全に信頼しています。Oracle GoldenGate 11gを採用したことで、Credishopのビジネスに次々と良い結果が生み出されています。実行速度と俊敏性が高まったことで、顧客サービスの品質が大幅に向上しました」

— Credishop、Edgar Galan Rodrigues

2) Avea İletişim Hizmetleri A.Ş.:データベースの圧縮、レポート、キャンペーン分析を最適化

トルコ唯一のGSM 1800携帯電話事業者であるAvea İletişim Hizmetleri A.Ş.は、トルコの人口の97%に対して次世代ネットワーク経由でサービスを提供しています。Aveaは199か国にわたるローミング契約によって急成長を遂げており、現在の加入者数は1億2,800万人に上ります。

Aveaのおもな課題の1つは、携帯電話番号ポータビリティや3Gネットワーク・サービスなどの新しいサービスを統合できるオープンな電気通信プラットフォームを構築することでした。同社は、効率的で柔軟なデータウェアハウスを確立することで、企業全体にわたってレポートを迅速に生成し、ビジネス・データにすぐにアクセスできる状況を望んでいました。最終的な目標は、より具体的なターゲット層を作り出し、より詳細なキャンペーン後分析を実行して、マーケティング・キャンペーンを改善することでした。

AveaはOracle GoldenGateを使用して個別システムのデータを移行し、Oracle Database上に中央リポジトリを作成しました。その結果、データ・アクセスのパフォーマンスが5倍に向上しました。また、Oracle Exadata Database MachineとOracle Databaseの高度なデータ圧縮機能を使用することで、40テラバイトのデータをわずか10テラバイトにまで削減しました。

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Oracle GoldenGate 12c for Oracle Databaseの使用

AveaはOracle Data Integratorを利用して、抽出-変換-ロード(ETL)プロセスを最適化し、ETLバッチ実行時間を30%以上削減しました。オラクルのソリューションによってプラットフォーム、ソース・システム、運用データ・ストアがOracle GoldenGateと統合されたことで、レポート機能のパフォーマンスが3~10倍に向上しています。

AveaはOracle Business Intelligence Enterprise Editionの高度な視覚化/分析機能も利用して、社内の通信業務全体にわたって、より効率的で詳細なデータ分析を実現しました。Aveaはオラクルのソリューションを使用することで、ほとんどのデータウェアハウス保守プロセスを自動化し、保守作業を約半分にまで削減しました。

3) Aria Systems:セキュリティに優れた堅牢なデータ・インフラストラクチャを使用することで、クラウド・サブスクリプション/請求システムの高可用性とパフォーマンスを確保

Aria Systemsは、Global 2000企業向けのクラウド請求/サブスクリプション管理ソリューションを手がける大手プロバイダです。Aria Subscription Billing Platformは、企業が成長し事業を拡大する中で何度も発生する収益モデルのすべてに関して、サブスクライバのライフ・サイクル全体を管理します。Pitney Bowes、Ingersoll Rand、DreamWorks、EMC、Internap、VMware、Hootsなどの企業が、迅速な市販化、低い運用コスト、運用の柔軟性を実現するためにAria Systemsに頼っています。

Aria Systemsは、迅速な導入が可能なエンド・ツー・エンドのクラウド請求/サブスクリプション管理ソリューションを良心的な価格で提供することを目指していました。さらに、サブスクリプション請求プラットフォームにおいては、100%の可用性を確保する必要がありました。顧客はこのプラットフォームを利用して、自分たちが提供するオンライン・サービスの収益を得ています。そのため、ソリューションの基盤として、Oracle Database Enterprise Edition、Oracle GoldenGate、Oracle Real Application Clustersを選択しました。Aria SystemsはOracle製品を利用することで、顧客が期待する優れたパフォーマンスと可用性、さらには通常時の10倍にも膨れあがる休日のトランザクション件数への対応など、ボリュームの急増をサポートするスケーラビリティを提供してきました。また、Aria SystemsはOracle Databaseのライブリリース機能を利用して、計画保守での停止時間ゼロも保証しました。

「Oracle Database 11g Enterprise Edition、Oracle GoldenGate、Oracle Real Application Clustersを利用することで、弊社のエンド・ツー・エンドのクラウド請求/サブスクリプション管理ソリューションを支える、セキュリティと安定性に非常に優れた環境を構築できました。オラクルのソリューションは、弊社のインフラストラクチャの中でもっとも重要なコンポーネントの一部を占め、24時間365日の信頼性と可用性、そして非常に優れたフォルト・トレランスを実現しています」

— Aria Systems、Oleg Ganopolskiy

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Oracle GoldenGate 12c for Oracle Databaseの使用

GoldenGate for Oracle Databaseを利用するおもな利点

顧客事例の証言にあるとおり、Oracle GoldenGateはOracle Databaseユーザーに対してITおよび業務上のさまざまな利点をもたらしています。おもな利点は次のとおりです。

• コスト削減と効率化:Oracle GoldenGateの高パフォーマンスの双方向データ・レプリケーション機能により、非常にコストのかかる計画停止や計画外停止の時間が不要になります。このソリューションではオーバーヘッドを低く抑えられるという特徴があるため、顧客は既存のハードウェアやネットワークへの投資をさらに活用できます。加えて、リソース消費量の多い操作を低コストのソース・システム・レプリカへとオフロードして、既存のシステムの寿命を延ばすことができます。

• リスクの軽減、ビジネス継続性の確保:Oracle GoldenGateは、古い環境に対してフェイルバック・オプションを提供することで、移行、アップグレード、保守作業中のデータ消失と停止時間発生のリスクを最小限に抑えます。さらに、非常に優れた信頼性とトランザクション整合性を維持しながらデータを移動します。GoldenGateにより計画停止と計画外停止の両方で停止時間がなくなるため、特に医療や金融サービスなどの高リスクの業務において、ビジネス継続性を達成できます。

• 業務の品質向上:Oracle GoldenGateの停止時間ゼロのシステム移行ソリューションによって、より優れたインフラストラクチャに、時間をかけることなく短時間で移行できます。GoldenGateでは、業務を中断せずに移行プロジェクトを実施できるからです。ビジネスでサービス・レベルの向上とコストの削減を実現し、その他の生産性の効果もより早く得ることができます。エンドユーザーが24時間365日の可用性を要求する世界において、一般的に可用性に関するSLAを維持することが顧客満足や競争優位性の確保につながります。さらに、GoldenGateはBIやレポート・アクティビティに対して適時の情報を配信します。企業は最新データを利用することで、ビジネスの状況をより正確に把握して、カスタマー・エクスペリエンスを向上させ、運用効率を高めることができます。

Oracle GoldenGateは、総所有コストを削減し、優れたパフォーマンスや柔軟性、信頼できるデータ統合とレプリケーションを異種システム間で実現する非常に使いやすいプラットフォームを提供することで、業務およびIT上のこうした利点をもたらします。

Oracle GoldenGateは、オラクルのテクノロジー・スタック、特にOracle Databaseと緊密に統合されます。サード・パーティ・ベンダーと比較して、GoldenGateはOracle Databaseユーザーに対して、最大の可用性とリアルタイム・データ統合を可能にするもっとも最適化された柔軟なソリューションを提供します。

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Oracle GoldenGate 12c for Oracle Databaseの使用

まとめ

Oracle GoldenGateの異種データベースのリアルタイム同期機能を使用することで、Oracle DatabaseユーザーはDML操作とDDL操作の両方をレプリケートできます。Oracle GoldenGateでは、サポート対象のOracle Databaseバージョンの場合は同じデータベース間でも異なるデータベース間でもデータの移動、フィルタリング、変換が可能です。また、Oracle DatabaseとOracle以外のベンダーのデータベース間でも、データの移動、フィルタリング、変換を実行できます。

Oracle GoldenGateを使用することで、世界有数の大企業が、ミッション・クリティカルなビジネス・プロセスを駆動するトランザクション・データの可用性、パフォーマンス、アクセス可能性を向上させています。Oracle GoldenGateの多様なユースケースには、リアルタイム・ビジネス・インテリジェンス、問合せのオフロード、停止時間なしのアップグレードおよび移行、アクティブ/アクティブ・データベース・レプリケーションを使用したデータ分散、および継続的な可用性が含まれます。

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Oracle GoldenGate for Oracle Databaseの使用

2013年9月

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