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技術資料 法規 測量関連機器 騒音・振動・ 粉塵測定器 有害ガス 検知器 水質測定器 土質・木材・ コンクリート 非破壊検査 気象観測機器 その他測定器 通信関連機器 映像情報機器 安全管理機器 168 ■タンク・マンホール 終末処理場の原水タンク・雨水ピット・マンホールは、内部の 水の腐敗や酸素を消費する好気性菌の増殖により、酸欠及び 硫化水素中毒の好発生場所になっています。高濃度の硫化水素 及び酸欠空気を一呼吸することで失神し、その際、水の中に うつ伏せに倒れると溺死する危険“大”です。 ■下水道 下水道の沈殿物には動物性タンパク質、各種処理工場や実験室 からの硫酸塩や硫化ナトリウム、食品工場からのアミノ酸等、 実に様々な成分が含まれています。硫酸塩や硫化ナトリウムは 容易に硫化水素を発生し、更に空気中の酸素を呼吸する作用も あるため、元々密閉されて換気の悪い下水道内は硫化水素中毒 と酸素欠乏のダブルパンチになってしまいます。 ■バラストタンク船倉 船の重心を調節するために、水を出したり入れたりするバラスト タンク。内壁の鉄板の酸化は驚くべきスピードで進行します。 また、積荷の果実、穀物類の呼吸作用、冷凍に使用される ドライアイスの気化等で、酸素は大量に消費されています。 タンク船倉内の空気は、常に酸欠状態と思うべきでしょう。 ■ゴミ処理施設 残灰ピットの中の灰には、ゴミに含まれている各種の硫黄物が 燃焼する際に生じた硫化物が含まれています。この硫化物が 硫化水素発生の源となり、同時に酸欠状態が進行します。 ガス検知器について 酸素は空気中に約 21%含まれており、その酸素を使って人は生命を維持しています。 ところが換気不良なところ、酸素を消費した場合、酸素をうすめたり、追い出したりする物質があれば酸欠が起こります。 O2 症 状 O2 症 状 21% 18% 6% 以下 10% 6% 16% 12% 14% 9% 意識不明、昏睡、 呼吸停止、心臓停止、 6分間で死亡 安全限界 連続換気が必要です 自然酸素濃度 呼吸、脈拍数の増加、 精神集中力の低下、 頭痛、耳鳴り、吐き気 意識もうろう、 頭痛、吐き気、 顔面蒼白(チアノーゼ)、 全身脱力 昏倒、意識消失、 全身の筋けいれん ※ 18%が労働安全衛生規則・酸素欠乏症防止規則による最低酸素量です。 ■可燃性・毒性ガス、酸欠の発生場所と人間の反応 ■酸素欠乏に対する人間の反応
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ガス検知器について - AKTIO技術資料 法規 測量関連機器 騒音・振動・ 粉塵測定器 有害ガス 検知器 水質測定器 土質・木材・ コンクリート

Feb 16, 2020

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コンクリート

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168

技術資料 ガス検知器について

■タンク・マンホール終末処理場の原水タンク・雨水ピット・マンホールは、内部の水の腐敗や酸素を消費する好気性菌の増殖により、酸欠及び�硫化水素中毒の好発生場所になっています。高濃度の硫化水素及び酸欠空気を一呼吸することで失神し、その際、水の中に�うつ伏せに倒れると溺死する危険“大”です。

■下水道下水道の沈殿物には動物性タンパク質、各種処理工場や実験室からの硫酸塩や硫化ナトリウム、食品工場からのアミノ酸等、実に様々な成分が含まれています。硫酸塩や硫化ナトリウムは容易に硫化水素を発生し、更に空気中の酸素を呼吸する作用もあるため、元々密閉されて換気の悪い下水道内は硫化水素中毒と酸素欠乏のダブルパンチになってしまいます。

■バラストタンク船倉船の重心を調節するために、水を出したり入れたりするバラスト�タンク。内壁の鉄板の酸化は驚くべきスピードで進行します。また、積荷の果実、穀物類の呼吸作用、冷凍に使用される�ドライアイスの気化等で、酸素は大量に消費されています。�タンク船倉内の空気は、常に酸欠状態と思うべきでしょう。

■ゴミ処理施設残灰ピットの中の灰には、ゴミに含まれている各種の硫黄物が燃焼する際に生じた硫化物が含まれています。この硫化物が�硫化水素発生の源となり、同時に酸欠状態が進行します。

ガス検知器について

酸素は空気中に約21%含まれており、その酸素を使って人は生命を維持しています。ところが換気不良なところ、酸素を消費した場合、酸素をうすめたり、追い出したりする物質があれば酸欠が起こります。

O2 濃度 症 状 O2 濃度 症 状

21%

18%

6%以下

10%〜

6%

16%〜

12%

14%〜

9%

意識不明、昏睡、呼吸停止、心臓停止、6分間で死亡

安全限界連続換気が必要です

自然酸素濃度

呼吸、脈拍数の増加、精神集中力の低下、頭痛、耳鳴り、吐き気

意識もうろう、頭痛、吐き気、顔面蒼白(チアノーゼ)、全身脱力

昏倒、意識消失、全身の筋けいれん

※18%が労働安全衛生規則・酸素欠乏症防止規則による最低酸素量です。

■可燃性・毒性ガス、酸欠の発生場所と人間の反応

■酸素欠乏に対する人間の反応

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技術資料

法規

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騒音・振動・

粉塵測定器

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検知器

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土質・木材・

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技術資料 ガス検知器について

■可燃性ガス(メタン:CH4/イソブタン:i−C4H10)の性質及び危険性(メタン:CH4) (イソブタン:i − C4H10)

主な性質 無色気体、無臭 特長的な臭気のある、無色圧縮液化ガス水、エタノール、エーテルに可溶 水への溶解性:溶けない比 重:0.6 比 重:0.6融 点:− 182.5℃ 融 点:− 160℃沸 点:− 161.5℃ 沸 点:− 12℃発火点:537℃ 発火点:460℃

危険・有毒性 発火性・爆発性:空気と爆発性混合ガスを作る。 発火性・爆発性:空気と爆発性混合ガスを作る。        爆発範囲= 5.0 〜 15.0%         爆発範囲= 1.8 〜 8.4%

人 体 へ の 影 響:メタン自体は無害であるが、空気中の        酸素濃度を低下させ酸素欠乏を起こす。

人 体 へ の 影 響: 窒素性ガスで催眠作用がある。含有の空気を        30 分間吸入すると意気消沈し、抑うつ状態になる。

ガス検知器について

■二酸化硫黄(SO2)の人間に対する作用と毒性濃度 (ppm) 作    用0.1 〜 1 臭気を感ずる。2 〜 3 刺激臭となり不快臭を覚える。5 〜 10 鼻やのどに刺激がありせきが出る。20 目に刺激を感じ、せきがひどくなる。30 〜 40 呼吸が困難になる。50 〜 100 短時間(0.5 〜 1.0 時間)耐えうる限界。400 〜 500 短時間で生命危険。

■一酸化炭素(CO)の人間に対する作用と毒性■硫化水素(H2S)の人間に対する作用と毒性濃度 (ppm) 作用又は毒性

100 数時間の呼吸でも目立った作用はない。

200 1.5 時間前後に軽度の頭痛を引き起こす。

400 〜 500 1時間前後で頭痛、吐き気、耳鳴り等を起こす。

600 〜 1,000 1〜 1.5 時間前後で気を失う。

1,500 〜 2,000 30 分〜1時間前後で頭痛、めまい、吐き気が激しくなり、

意識を失う。

3,000 〜 6,000 数分で頭痛、めまい、吐き気等が起こり、10 〜 30 分

の暴露で死亡。

10,000 直ちに意識喪失、死亡。

濃度 (ppm) 作用又は毒性0.025 嗅覚で確認できる限界。但し個人差大。0.3 はっきり臭う。3〜5 中等度の強さの不快臭。10 眼の粘膜が刺激される下限。許容濃度。20 〜 40 強烈に臭うが、耐えられぬことはない。肺粘膜刺激の下限。100 2〜 15 分で臭覚が鈍る。1時間で眼、気道の刺激。

8〜 48 時間の連続暴露で死亡することあり。170 〜 300 1時間暴露で重大な健康障害を起こさぬ限界。400 〜 700 30 分〜1時間の暴露で生命の危険あり。800 〜 900 速やかに意識喪失、呼吸停止、死亡。1,000 直ちに意識喪失、死亡。

※許容濃度10ppm ※許容濃度25ppm

■可燃性ガスの爆発濃度燃焼(爆発)する濃度の範囲は、ガスの種類によってさまざまです。爆発下限界(LEL)と、爆発上限界(UEL)の範囲で、�ガスは燃焼(爆発)します。可燃性ガスの爆発危険濃度管理には、特に爆発下限界(LEL)が重要です。

比重は空気比重=1との対比*印は空気比重=1に対する蒸気比重

●例えばメタン(CH4)の場合

■可燃性ガス下限界一覧

ガ ス 名 比 重 爆 発 下 限 界

都 市 ガ ス 0.57 〜 0.64     約 4.5(vol%)

メ タ ン 0.55 5.0

プ ロ パ ン 1.56 2.0

イ ソ ブ タ ン 2.01 1.8

水 素 0.069 4.0

ア セ チ レ ン 0.90 1.5

一 酸 化 炭 素 0.967 12.5

エ チ レ ン 0.975 2.7

ガ ソ リ ン 3 〜 4 * 1.0

メチルアルコール 1.11 * 5.5

ト ル エ ン 3.14 * 1.2

ベ ン ゼ ン 2.77 * 1.2

ア セ ト ン 2.00 * 2.15・LEL(爆発下限界)

メタン100(Vol%)

15%

5%0%

}・UEL(爆発上限界)

燃焼(爆発)範囲

Vol%:ボリューム%    ガス濃度(体積比)そのものです。

UEL(爆発上限界)   :Upper Explosive Limit    可燃性ガスが空気と混合して、    着火によって爆発を起こす最高濃度。

LEL(爆発下限界)   :Lower Explosive Limit    可燃性ガスが空気と混合して、    着火によって爆発を起こす最低濃度。