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乳がんの放射線療法を受けた患者さんに続けてほしいスキンケア
乳がんの放射線療法を受けた患者さんに続けてほしいスキンケア
執筆・編集 : 淡河 恵津世 先生 久留米大学 放射線腫瘍センター 教授
分担執筆 : 岩平 佳子 先生 医療法人社団ブレストサージャリークリニック 院長
辻 千代子 先生 久留米大学 放射線腫瘍センター
山坂 和美 先生 久留米大学 認定看護教育センター がん放射線療法看護分野 専任教員
監 修 : 関口 建次 先生 苑田会放射線クリニック副院長 聖路加国際病院 放射線腫瘍科 診療教育アドバイザー
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はじめに
乳がん治療のなかで再発を予防するために放射
線療法を受けた患者さんは、多くの不安があったこと
でしょう。
放射線療法は、特に皮膚への負担が大きくなり
ます。汗が出にくくなり、皮脂分も少なくなるので、
ドライスキンになってきます。
放射線療法を受けた患者さんは、皮膚をできる
だけ元の健康な状態に近く維持できるように、スキン
ケアを生活の一部にして続けていきましょう。
この冊子では、日常生活のなかでよくある質問と、
その回答をまとめています。放射線療法を受けた患者
さんには、スキンケアを生活の一部にしていただけ
ればと思います。
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皮膚症状出現
照射開始日 日がたつと
イメージ図
皮膚症状悪化皮膚症状悪化
皮膚表面
◆放射線をあてる部位の皮膚には、程度の差はありますが、必ず皮膚炎が生じます。ですが、放射線療法の種類・回数・方法・受ける部位などから、生じる副作用を予測することは可能ですし、保湿を中心とした適切なケアを行うことで、症状の悪化を軽減することもできます。
◆医療スタッフ(医師、診療放射線技師、看護師、薬剤師など)とよくコミュニケーションをとって、副作用をできるだけ早期に発見し、適切なケアで症状を和らげ、最小限にくいとめることが大切です。
どんな症状がでるのか:赤み・カサカサ・かゆみ・ほてり・痛み・突っ張り・色素沈着、など。
どこに症状がでるのか:放射線をあてた部位です。放射線があたっている部分を確認しましょう。
いつ頃に症状がでるのか :放射線療法を開始してすぐに皮膚の症状がでることは少なく、開始後7~10日目くらいから早期の症状がではじめます。照射スケジュールの後半には何らかの症状がでて、照射終了から7~10日目頃が皮膚反応のピークになります。
皮膚の副作用は、適切なケアで症状を和らげ、最小限にくいとめることが大切です。不安や気になることがあれば、いつでも、何でも医療スタッフに質問しましょう。
放射線療法を受けることになったら、乳房のケアに関して、どのようなことに気をつけたらよいですか?Q1Q1
放射線放射線
放射線療法により生じる皮膚の副作用
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皮脂膜が皮膚の潤いを守っている 皮脂膜がこわれやすくなり外からの攻撃に弱くなる
水分
血管リンパ
イメージ図
皮下組織が伸びたり縮んだりすることを助けています。
水分が減ってバネが弱くなり硬くなりやすくなります。
放射線療法を受けた皮膚は、汗腺や皮脂腺がダメージを受けるので、正常な皮膚と比べると、水分が十分にない状態(ドライスキン)になります。
◆放射線療法後の皮膚の特徴として、次の3点があげられます。
放射線療法を受けると、皮膚にはどのようなことが起こりますか?Q2Q2
放射線療法放射線療法
❶ 汗や脂分を出す、汗腺、皮脂腺がダメージを受ける。それにより皮膚がカサカサしたり(乾燥)、皮膚の潤いがなくなる。
❷ 皮膚の柔らかさを保つ弾性線維*が硬くなったり、もろくなったりする。このため、皮膚は硬くなり、拘縮(縮こまって固まること)を起こしやすくなる。
❸ 血行(血のめぐり)が悪くなる。
放射線療法後の皮膚の特徴
*弾性線維
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放射線療法後に起こる副作用は、治療から3ヵ月程度の間に起こる「急性期の症状」と、その後の長期にわたる「晩期の症状」に分けて考えることが必要です。
放射線療法放射線療法
およそ3ヵ月
数年数年
◆左記のような特徴が原因となって起こる皮膚の副作用は、その時期により急性期と晩期に分けて考えます。
急性期(放射線療法開始から終了後約3ヵ月以内)に起こること
●皮膚が赤くなって、カサカサしてくる
●皮下組織の中で、かゆみのもとになる物質が増えてくる
●皮膚のメラニン色素が反応して、黒ずみやシミなどの色素沈着が生じてくることもある
▶▶急性期の症状は、一過性で、軽快することがほとんど
晩期(放射線療法終了後、数ヵ月から数年)に起こること
●皮膚が乾燥し、萎縮(しなびて縮む)することもある
●乳管が細くなり、乳腺組織は女性ホルモンに反応しにくくなる
▶▶晩期の症状は、出現すると治ることが難しい
放射線の照射は、乳房の皮下の組織にも影響を与えます。放射線療法の後、晩期に生じる副作用の1つとして、乳管が細くなり、乳腺組織は女性ホルモンに反応しにくくなります。そのため、照射した乳房からの授乳は難しくなります。
Topics! 放射線療法による乳管・乳腺への影響
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◆放射線療法を受けたことによる皮膚炎の悪化を予防するためにポイントとなるのは、皮膚を保護するためのケアです。スキンケアは、日常生活のなかでの小さな積み重ねが大切であり、その基本は次の3点になります。
放射線療法中あるいは終了後のスキンケアと入浴はどのようにしたらよいですか?Q3Q3
刺激を避ける刺激を避ける清潔を保つ清潔を保つ 保湿する保湿する
放射線療法後のスキンケアの基本
放射線療法中は、治療のために体につけた印を消さないように生活しなければなりません。入浴時、運動時、衣服の着脱などでこすらないよう注意しましょう。施設によって印の付け方が違いますので、担当の医療スタッフに相談することをおすすめします。
アドバイス 「印」は消さないように!
放射線の照射により皮膚が汗をかきにくい状態になるため、ほてりや熱感を感じることがありますが、その場合には冷却しても大丈夫です。特に、入浴後や運動後、飲酒時に赤みや熱感が強くなることがありますので、冷たいタオルなどで冷やして熱をとってください。ただし、手術の後は皮膚の感覚が落ちているので、冷凍の保冷剤などで冷やしすぎないように気をつけてください。
アドバイス ほてりや熱感を感じる場合には
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◆放射線療法中は各施設の担当医療スタッフに必ず確認してください。(せっけんを使っていいのか? など)
●熱いお湯は使わず、ぬるめのお湯を使って洗いましょう。
●放射線療法終了後は刺激をしないように注意して洗ってください。せっけんを使うときには、泡立てネットなどを使ってよく泡立ててから洗ってください。
●目の粗いタオル(綿・ナイロンなど)やボディスポンジなどを使ってこすると皮膚を傷つけることとなり、赤み、ヒリヒリ感、色素沈着の原因となります。できるだけ手を使って、手のひらや指の腹にせっけんの泡をのせるようにして、なでるように優しく丁寧に洗いましょう。
HOTHOT
入浴時の洗い方
●入浴後、体を拭くときにも、タオルでゴシゴシ拭かないよう注意しましょう。タオルで体をポンポンと押さえて拭くことで、皮膚への刺激が少なくなります。
●タオルで水分を拭き取った後は、できるだけ早く保湿しましょう。早めに保湿することにより、皮膚の乾燥を軽減することができます。
●放射線療法後は汗腺の働きが低下しているので、1年程度は長湯をしないようにしましょう。
入浴中・入浴後の注意
入浴剤の使用は、放射線療法中~終了後1ヵ月程度は避けた方が安全です。その後、皮膚の状態が安定すれば問題ありません。
アドバイス 入浴剤を使ってもよい?
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◆放射線療法の開始から終了後1ヵ月程度までは、皮膚炎の状態によって適切な薬(炎症を抑える薬や保湿剤)が処方されることが多くなります。皮膚炎が落ち着き、赤みがとれてきた後は、保湿剤の使用が中心になりますが、いずれの場合も自分で判断せずに主治医の指示に従ってください。
●清潔な手で、指の腹や手のひら全体を使って、優しく塗りましょう。
●乳頭・乳頭周囲や手術の傷の上、植皮した部分などは乾燥しやすいので、重ね塗りするとよいでしょう。
●入浴やシャワーの後、できるだけ早く塗ると、より効果的です。
保湿剤はどのように選んで使えばよいですか?Q4Q4
保湿剤の塗り方のポイント
●保湿剤を塗る量の目安として、「指先から最初の関節までの長さで、手のひら2枚分の広さ」といわれています。ローションであれば、1円玉大に出した量に相当します。フォームであれば、製品のキャップ大の大きさの泡(大体1g)相当で、手のひら4枚分の広さに塗る量になります。
保湿剤の使用量の目安
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使用感皮膚の保護効果
しっとり
さっぱり
高い
低い
放射線療法を受けてから最初の1~2年に頑張ってスキンケアを続けると、皮膚の状態が安定してきます。その後も、長期間のんびりとスキンケアを継続していくことが大切です。
◆保湿剤の種類として、油分が多く、被覆性の高い軟膏やクリーム、水分が多く、べとつきの少ないローションやフォームがあります。保湿剤の種類によって使用感が異なります。皮膚の状態だけではなく、長期に保湿を継続できように季節、気温・湿度の違いに応じて上手に使い分けすることも必要です。
保湿剤の特徴
季節や気候による使い分け
剤形の特徴による使い分け
皮膚の保護効果一般的に、被覆性が高い保湿剤の剤形は軟膏やクリームで、ローション、フォームになるに従い、被覆性は低下します。
使用感軟膏やクリームは、使用感がしっとりとしており、ローション、フォームは、さらりとした使用感が特徴です。
●使用している保湿剤がしっくりこないと感じたら、遠慮なく医師、薬剤師、看護師に相談しましょう。
軟 膏
クリーム
ローション
フォーム
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放射線療法中や放射線療法終了後の下着の選択については、放射線治療医や看護師など、担当の医療スタッフに、いつでも相談してください。
◆衣類との摩擦や締め付けによる皮膚への刺激を最小限にすることは、大切なスキンケアの一種です。そのために重要となるものの1つに、下着の選択があります。
◆手術や放射線療法後の経過・時期により、つけやすい下着は変わってきますので、体調に合わせて選択してください。
血液やリンパの流れを妨げないよう、全体に
締め付けやくい込みのないゆったりしたもの
肩のストラップの幅が広く、柔らかい素材でできたもの
ワイヤーやホックなど、肌に強くあたるものがない
バストの下を幅広い布で優しく支える
柔らかく、肌触りの良い素材
放射線療法中あるいは終了後の下着の選択は、どのようにすればよいですか?Q5Q5
皮膚に優しい下着の選び方
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●放射線療法中は、着脱が楽な柔らかい素材で、手術の傷あとやワキ、アンダーバスト、背中を締め付けないものがよいでしょう。
●腕が挙がりにくい方には、腕や肩を大きく動かさずに着脱できる前開きのものもあります。
●ワキや乳頭、傷は日常動作の摩擦によって放射線皮膚炎が悪化するので、状況に応じて、縫い目があたらないようなものにすると楽になります。
●下着を選択するときには、ご自身が何を大切にしているかも大事なポイントになります。社会に出て仕事をしている方には、外見上のシルエットなども外せない重要なポイントだと思います。
いくつかの下着メーカーが、独自に工夫した乳がん手術後の患者さん用の下着を販売しています。製品や、それを取り扱うお店などについての情報は、看護師などの医療スタッフに聞いてください。ただ、必ずしも専用の下着を用意しなくても、最近はワイヤーのないブラジャーや、カップつきのキャミソールなどが多く売られていますので、お店で自分に合うものを探してみるとよいでしょう。
アドバイス このような下着はどこで買えますか?
シームレスタイプなど内側に縫い目のないものが望ましい
柔らかい綿布、ガーゼ、ハンドタオルなど吸汗性のよいもの
締め付けが強くないものがよい
乳房全切除乳房部分切除
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◆温泉に入れる時期には個人差がありますので、必ず主治医に相談してください。
急性期(3ページ参照)
●天然温泉は成分が強いことがありますので、急性期は基本的には避けた方がよいでしょう。
晩期(3ページ参照)
●pHが中性の単純泉はほとんど問題ないでしょう。
●強酸性や強アルカリ性の温泉は避けた方がよいでしょう。
●放射線療法から2~3年が経過して皮膚が安定すれば、トラブルが起きることも少なくなると思います。
Q6Q6 温泉に入ってもよいですか?
アルカリ性泉(pH7.5~10以上)●皮膚の角質が溶けて分解され、自分の皮脂でせっけんをつくるような状態になるため、入浴後も肌がスベスベになる
●強アルカリ性の温泉は長湯をすると肌の脂分が奪われる
●角質が溶けるのでさらに乾燥が強くなり、放射線療法後の皮膚に負担がかかる
酸性泉(pH2~6未満)●角質で化学反応が起こり、“かさぶた“に似た状態になる。古い皮膚を剥がし、新しい皮膚に刺激を与え、自然治癒力を高める効果が期待される
●強酸性の温泉は数分で肌がピリピリと痛みを感じるほど強力な刺激がある
●皮膚を剥がす刺激になるのでさらに乾燥が強くなり、放射線療法後の皮膚に負担がかかる
温泉の効果
アルカリ泉アルカリ泉
弱アルカリ泉弱アルカリ泉
強アルカリ泉強アルカリ泉
中性泉
10以上
8.5以上
7.5~8.5未満
6~7.5未満
3~6未満
2~3未満
2未満
酸性泉酸性泉
弱酸性泉弱酸性泉
強酸性泉強酸性泉
pH値
腰湯や足湯など、放射線療法を受けていない部分については、温泉に浸かっても問題はありません。
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放射線療法から3年くらいは、短時間で無理に汗をかくことは控えた方がよいでしょう。(ただし、個人差があります。)
◆放射線療法後の皮膚は、汗をかきにくい状態になっているため、短時間で無理に汗をかくことは避けた方がよいでしょう。
◆皮膚がある程度柔らかくなり、赤みがとれてきたら、サウナや岩盤浴を楽しむこともできますが、その時期には個人差がありますので、主治医に相談してください。
◆一般的には、放射線療法から3年が経過したくらいが可能な目安になります。
サウナ、岩盤浴をしてもよいですか?Q7Q7
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◆放射線療法中であっても、疲れない程度に身体を動かすことには制限はありません。
◆ただし、プールの水には消毒のための塩素が入っており、皮膚への刺激になりますので、放射線療法中は避けた方がよいでしょう。放射線療法からしばらく時間が経過して皮膚の赤みがとれてきたらプールに入っても大丈夫ですが、その時期には個人差がありますので、主治医に相談してください。
スポーツジムやプールに行ってもよいですか?Q8Q8
放射線療法中の運動は、疲れない程度にとどめましょう。水泳は、皮膚の赤みがとれて落ち着くまで避けましょう。
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◆放射線療法を受けることで生じる皮膚炎は、制汗剤やデオドラント製品に含まれる化学物質、香料などの刺激により悪化することがありますので、注意して使用してください。
急性期放射線療法の開始から終了後3ヵ月程度までの急性期には、皮膚の状態に合わせた方がよいでしょう。
晩期皮膚炎の状態にもよりますが、急性期を過ぎてしまえば、含まれる成分が放射線療法後の反応に関係することは少なく、特に日常的に使用していたものであれば、使用を再開することに問題はないと考えます。ただ、放射線療法後の皮膚は汗腺に障害が生じていますので、使用前に必ず主治医に相談し、異常を感じたらすぐに使用を中止してください。
◆放射線を照射した範囲内は、ほぼ永久脱毛の状態になりますので、脇毛は半永久的に生えてきません。
急性期皮膚への刺激になりますので、脱毛やカミソリ刃を使っての毛剃りは控えましょう。
晩期照射された部位以外に電気シェーバー等を使用することをおすすめします。◆いずれの場合も、主治医に相談してから行ってください。
制汗剤やデオドラント製品の使用、脱毛など、ワキのお手入れはどのようにしたらよいですか?Q9Q9
ワキの脱毛
制汗剤やデオドラント製品の使用
ワキのどこに放射線があたるかは、放射線療法の方法により異なります。照射の範囲については主治医に確認してください。
アドバイス ワキのお手入れで注意 !
照射外の部分の毛は抜けません照射内の部分の毛は抜けます
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◆2014年に保険適用となって以降、乳房再建術を受ける方が多くなりました。ですが、手術後に放射線療法を受けた場合には、シリコンインプラントなどの人工物を使った再建は難しいといわれ、そのために再建をあきらめる方もいます。再建後に放射線療法を受けることが一般的ですが、放射線療法を受けると本当に人工物による再建はできないのでしょうか?
◆まずは、人工物を使った乳房再建術がどのようなものかをみてみましょう。
放射線療法を受けたら乳房再建はできませんか?Q10Q10
乳房再建術では、エキスパンダーで皮膚を伸ばした後、インプラントに入れ替えて乳房を形作る
人工物を使った乳房再建術
❶ 大胸筋の下にティッシュエキスパンダー(組織拡張器)を埋め込む
❷ 1~2ヵ月ごとに外からエキスパンダーに生理食塩水を注入し、求める大きさまで拡張する
❸ 6ヵ月~1年後にエキスパンダーをシリコンインプラントに入れ替える
生理食塩水を注入
シリコンインプラント
乳腺
筋膜
ティッシュエキスパンダー
大胸筋
シリコンインプラント
▶ ▶
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放射線療法後であっても、スキンケアを継続することにより、人工物による乳房再建をしやすくなります。
◆ここで、放射線を照射された皮膚の特徴を考えてみましょう。Q2(2ページ)で説明したように、放射線療法後の皮膚は、汗や脂分による潤いがなくなって乾燥してきます。このような状態で人工物による乳房再建を行うと、さまざまなトラブルが生じます。
健側(手術していない方)と同じ大きさまで
膨らまないことがある20%くらいの方では再建途中に皮膚が裂けることがある
被膜拘縮*により乳房が硬くなる、位置や形が健側と揃わない
放射線療法後の皮膚は、通常より弾性線維が硬くなり、また、乾燥しやすく、血のめぐりが悪くなる
皮膚が柔らかく保たれていれば、トラブルは起きづらい !
*異物であるインプラントの周囲に、体の自己防衛反応として 形成される「被膜」が、ギュッと硬くカプセルのようになる
トラブルトラブル
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放射線療法後に皮膚の柔らかさを保つためには、皮膚がつまめるか、動くか、を目安に、保湿マッサージを続けることが肝要です。
◆乳房再建に重要となる皮膚の柔らかさを得て維持するためには、保湿マッサージが必要です。自分では出せなくなっている汗や脂分を外から補給し、皮膚が硬くならないように、ていねいに、優しくマッサージします。
乳房再建を受けるために、あるいは再建後のスキンケアはどのようにしたらよいですか?Q 11Q 11
保湿マッサージ
❷ 弾性線維(Q2:2ページ)が硬くならないよう、ゆっくり優しくマッサージします
❸ 指で皮膚がつまめるような状態が望ましい状態です
❶ 自分では出せない汗や脂分を外から補給するために、保湿剤を塗る
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再建した乳房には、長期間が過ぎても、トラブルのリスクが残ります。長く、キレイに保つため、生涯、スキンケアを継続しましょう。
◆手術で乳房を切除した方、温存した方、すでにエキスパンダーやインプラントが入っている方、いずれの場合でも放射線療法後の皮膚には変化が起きていますので、保湿マッサージを心がけてください。
◆保湿マッサージとは?
●保湿とマッサージを一緒に行うことです。保湿剤を塗りながらマッサージを続けましょう。
●保湿マッサージは、朝、夕に行ってください。1~2分でも続けることが大切です。何十分もする必要はありません。
●マッサージは、入浴中に湯船の中でも行えます。保湿とマッサージを上手に組み合わせましょう。
保湿マッサージのポイント
おわりに
乳がんになっても長生きする時代になりました。ですが、治療が
うまくいっても、その後の生活が大変になるようではいけません。
皮膚は目に見える部分であり、スキンケアは誰でもすぐにはじ
めることができます。服を着るから、見えないからいいや、ではなく、
がん治療を頑張ってくれている大切な体の一部として、優しく
いたわってあげてください。
おわりに
乳がんになっても長生きする時代になりました。ですが、治療が
うまくいっても、その後の生活が大変になるようではいけません。
皮膚は目に見える部分であり、スキンケアは誰でもすぐにはじ
めることができます。服を着るから、見えないからいいや、ではなく、
がん治療を頑張ってくれている大切な体の一部として、優しく
いたわってあげてください。
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乳がんの放射線療法を受けた患者さんに続けてほしいスキンケア
乳がんの放射線療法を受けた患者さんに続けてほしいスキンケア
50506282020年9月作成A0920BY-MCA
医療機関名