22 2019.11 秋 あき から冬 ふゆ にかけて、赤 あか や黄 き 色 いろ の葉 は が目 め だ 立つよう になるよね。寿 じゅ 命 みょう をむかえた葉 は は枝 えだ から枯 か れ落 お ち るけど、その前 まえ に葉 は が色 いろ づくことを紅 こうよう 葉と呼 よ ぶ。 葉 は が赤 あか くなるのを紅 こうよう 葉、黄 き 色 いろ くなるのを黄 おう 葉 よう 、茶 ちゃ 褐 かっ 色 しょく になるのを褐 かつ 葉 よう と表 ひょう 現 げん することもあるけれ ど、厳 げん 密 みつ に区 く 別 べつ できない場 ば 合 あい も多 おお い。そこで、そ れらをまとめて紅 こうよう 葉と表 ひょう 現 げん することもある。この 記 き じ 事でも、まとめて紅 こうよう 葉と表 ひょう 現 げん しているよ。葉 は が 色 いろ づくメカニズムを紹 しょう 介 かい する前 まえ に、まずは紅 こう 葉 よう す る樹 じゅ 木 もく の特 とく 徴 ちょう を見 み てみよう。 樹 じゅもく 木は常 じょう 緑 りょく 樹 じゅ と落 らく 葉 よう 樹 じゅ に分 わ けることができる。 1年 ねん のうち葉 は のついていない時 じ き 期があるなら落 らく 葉 よう 樹 じゅ 、緑 みどり の葉 は が常 つね にあるなら常 じょう 緑 りょく 樹 じゅ 。 落 らくようじゅ 葉樹の葉 は の寿 じゅ 命 みょう は、普 ふ 通 つう は数 すう か月 げつ ほど。日 に 本 ほん では落 らくようじゅ 葉樹の 多 おお くが、春 はる に冬 とう 芽 が から葉 は を開 ひら きはじめ、夏 なつ の間 あいだ に 生 お い茂 しげ る。そして、秋 あき から冬 ふゆ にかけて、すべての 葉 は が落 お ちる。樹 じゅしゅ 種によっては、落 らくよう 葉する前 まえ に葉 は が 常緑樹だが落葉前に紅葉するホルトノキ。 (写真/保谷彰彦) 落葉する木と しない木の違いは? 落 ち 葉 を 拾 っ て 観 察 し よ う ! 身近な 紅葉 集合 秋といえば紅葉だね! 家族で紅葉の名所に行った経験がある読者も 多いんじゃないかな? きれいな紅葉を見にいくのも楽しいけれど、 身近で紅葉する木もよく観察すると、とってもおもしろいんだ。 今回はそんな身近な紅葉する葉っぱを集めて大紹介。 今年の秋は、身の回りにある落ち葉で紅葉を楽しもう! 文/保谷彰彦 写真提供(23 〜 27 ページ)/林将之 イラスト/新保基恵 2019.11 23 図1●色素の量と 比率で色が 変わる 緑色 クロロフィルが多い 赤色 糖が結合してできた アントシアニンが多い 黄色 クロロフィルが減り、 分解が遅いカロテノイドが多く残る 茶褐色 他の色素が 分解されて タンニンが残る 一 いっせい 斉に色 いろ づき、樹 じゅもくぜんたい 木全体が赤 あか や黄 き 色 いろ になる。 一 いっぽう 方、常 じょうりょくじゅ 緑樹は 1 年 ねん を通 つう じて緑 みどり 色 いろ の葉 は をつける。 ただし、1 枚 まい の葉 は の寿 じゅ 命 みょう が1年 ねん よりも短 みじか く、数 すう か 月 げつ という樹 じゅ 種 しゅ もあるんだ。このような樹 じゅもく 木は、熱 ねっ 帯 たい 多 た 雨 う 林 りん の常 じょう 緑 りょく 樹 じゅ に多 おお い。日 に 本 ほん に生 せいいく 育する常 じょう 緑 りょく 樹 じゅ の場 ば 合 あい 、葉 は の寿 じゅ 命 みょう は1年 ねん 以 い 上 じょう のものが多 おお い。常 じょう 緑 りょく 樹 じゅ は一 いっせい 斉に葉 は を落 お とさないため、樹 じゅ 木 もく 全 ぜん 体 たい が色 いろ づ くことはないんだ。ただし、常 じょう 緑 りょく 樹 じゅ でもクスノキ やホルトノキ(左 ひだり 下 した 写 しゃ 真 しん )のような、葉 は ごとに、 落 らく 葉 よう 前 まえ に紅 こうよう 葉するものもあるよ。 このように、樹 じゅ 木 もく 全 ぜん 体 たい が色 いろ づくのは、落 らく 葉 よう 樹 じゅ で 見 み られる現 げん 象 しょう というわけだ。次 つぎ に葉 は について詳 くわ し く見 み ていこう。 そもそもなぜ葉 は は緑 みどり 色 いろ なのか? それは葉 は にク ロロフィルという緑 みどり 色 いろ の色 しき 素 そ が含 ふく まれているか ら。クロロフィルには、太 たいよう 陽の光 ひかり からエネルギー を集 あつ める働 はたら きがある。集 あつ められたエネルギーは、 ショ糖 とう やデンプンをつくる光 こう 合 ごう 成 せい の経 けい 路 ろ に使 つか われ る。つまりクロロフィルは葉 は が自 みずか らの栄 えいよう 養をつく りだすのに欠 か かせない、とても重 じゅう 要 よう な色 しき 素 そ 。だから、 葉 は が落 お ちる前 まえ には、クロロフィルはいったん分 ぶんかい 解 されて、根 ね や幹 みき などに回 かい 収 しゅう される。そして、翌 よくねん 年 の春 はる に再 ふたた び、葉 は でクロロフィルが合 ごうせい 成される。い わばクロロフィルのリサイクルといえそうだね。 では、図 ず 1 を参 さん こう 考に紅 こう よう 葉のしくみを見 み ていこう。 クロロフィルの回 かい 収 しゅう が進 すす むと、葉 は の付 つ け根 ね には離 り 緑の葉からクロロフィルが回収さ れたのち、最終的にはすべての色 素が分解され、茶褐色になる。 カラフルに色づいた ハウチワカエデの葉。 紅葉のしくみは? 層 そう という、シャッターのような働 はたら きの構 こう 造 ぞう 物 ぶつ がつ くられる。離 り 層 そう ができると、葉 は と枝 えだ との物 ぶっ 質 しつ の移 い 動 どう はストップしてしまうんだ。このとき、葉 は に残 のこ された糖 とう を使 つか って、アントシアニンという赤 あか 色 いろ の 色 しき 素 そ がつくられる。これが落 らくよう 葉する前 まえ に葉 は が赤 あか く なるしくみだよ。 紅 こうようまえ 葉前に、赤 あか い葉 は がやや黒 くろ ずんで見 み えることが ある。実 じつ は、まだ葉 は にクロロフィルが残 のこ っている 段 だんかい 階でも、わずかながらアントシアニンがつくら れることがあるんだ。このとき、葉 は にはクロロフィ ルの緑 みどり 色 いろ とアントシアニンの赤 あかいろ 色の色 しき 素 そ が同 どうきょ 居し ている状 じょう 態 たい になるので、葉 は が黒 くろ ずんで見 み えるとい うわけだ。しばらくしてクロロフィルが分 ぶん 解 かい され れば、鮮 あざ やかな赤 あか い葉 は になるよ。アントシアニン の合 ごうせい 成に影 えい 響 きょう するのが太 たいようこう 陽光の当 あ たり方 かた 。例 たと えば、 アルミホイルで葉 は の一 いち 部 ぶ を覆 おお い、日 にっこう 光を遮 さえぎ ると、 その部 ぶ 分 ぶん ではアントシアニンの合 ごうせい 成が遅 おそ くなるこ とが知 し られている。つまり光 ひかり の当 あ たり方 かた によって、 葉 は の色 いろ づき方 かた は変 へん 化 か するんだね。 イチョウやポプラなどでは葉 は が黄 き 色 いろ に変 へん 化 か す る。これはカロテノイドという色 しき 素 そ によるもの。 カロテノイドは、春 はる から夏 なつ にかけての緑 みどり 色 いろ をした 葉 は にも含 ふく まれている。しかし、葉 は に含 ふく まれるカロ テノイドの量 りょう は、クロロフィルの量 りょう よりも少 すく ない ので、カロテノイドの黄 き 色 いろ は、クロロフィルの緑 みどり 色 いろ に隠 かく れてしまっているんだ。このため、葉 は に含 ふく まれるクロロフィルの量 りょう が減 げん 少 しょう し始 はじ めると、カロ テノイドの黄 き 色 いろ が目 め だ 立つようになる。 葉 は は赤 あかいろ 色や黄 き 色 いろ に色 いろ づいた後 あと 、次 し 第 だい に茶 ちゃ 褐 かっ 色 しょく に アント シアニン クロロフィル カロテノイド タンニン