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日本は先進国の中では、最も胃がんの多い国として
知られています。これには様々な原因が考えられます
が、ピロリ菌の感染者が多いことと食事中の塩分量が
多いことが最も大きな要因であろうと推測されていま
す。この胃がんを撲滅するために、多くの努力がなさ
れてきました。住民健診や職場健診として行なわれて
いる、無症状者に対する胃がん検診は、世界に例を見
ないユニークなもので、大きな成果を挙げてきました。
以前はバリウムを飲むX線検査が胃がん検診の主流で
したが、最近では採血の際に血清ペプシノゲン値やピ
ロリ菌に対する抗体価を測ることにより胃がんができ
やすいハイリスク群を絞り込み、その方々に集中的に
内視鏡精密検査を行なうという、より効率の良い方法
が広まりつつあります。この新しい検診方法では、よ
り早期の胃がんを拾い上げることができるという特徴
があります。仮に胃がんと診断されても、早い段階で
見つかれば、お腹を切らずに内視鏡を使って癌の部分
のみを切り取る方法で治せる可能性が高くなります。
胃がんは、胃壁の最
も内側にある粘膜から
発生して、徐々に拡が
って行きます。癌にな
っても粘膜の中に留ま
っている限りは、たち
の悪い癌(未分化型癌)
でなければリンパ節転
移することはほとんど
ないため、その部分の
みを内視鏡で切除すれ
ば治すことができま
す。以前は、大きな病変を内視鏡で切除するのは技術
的に難しかったため、2cm以内の小さな癌のみが内視
鏡治療の対象となっていました。しかし、最近では内
視鏡の機器や技術が進歩したため、10cmを超える大
きな癌や潰瘍により硬くなった癌でも内視鏡で切除で
きるようになりました。これにより、内視鏡治療の対
象が大きくひろがり、以前では考えられなかったよう
な病変まで治療できるようになりました。もちろん、
リンパ節転移をおこす可能性のある病変は対象外です
ので、進行癌は従来通り外科的な治療が必要になりま
す。
03-3752-3391
慶應義塾大学医学部 腫瘍センター低侵襲療法研究開発部門
矢 作 直 久
内視鏡で病変を切除する際には、専用の細い電気メ
スを使います。まずメスの先端で、病変の周囲に目印
になるマークを付けます。その後に、病変のある粘膜
と筋肉の層の間(粘膜下層)に液体を注入して切る部
分を持ち上げます。こうすることにより、病変の下に
厚みができ、電気メスで粘膜と粘膜下層のみを切れる
ようになります。マークの外側の十分に隆起した部分
にメスを当て、粘膜を切開した後に、胃壁に孔を開け
ないように注意しながらメスで粘膜下層を剥離してい
きます。丹念に剥離を繰り返すことにより、大きな病
変でも根こそぎ切除することが可能です。もちろん病
変を切除した後には、大きな人工の潰瘍ができますが、
そのほとんどは2ヶ月程度で完全に治りますので、そ
れ以降は以前とまったく同じ日常生活に戻ることがで
きます。この方法はESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)
と呼ばれていますが、ESDは2006年に早期胃がんの内
視鏡的治療法として認可されましたので、現在では全
国の主要な病院でこの治療を受けられるようになって
います。
ESDは、大型の病変でもほぼ確実切除できる画期的な
方法です。現在、年間3万人を超える早期胃がんの患
者さんが、この治療を受けておられます。しかしこの
方法で治療が可能なのは、あくまでもリンパ節転移す
る危険性のない早期の胃がんに限られます。したがっ
て、きちんと胃がん検診を受けより早い段階で胃がん
を発見することが重要です。
胃がん検診の内視鏡検査にて、食道・胃接合部から胃角にかけ
て拡がる大型の表在癌が指摘された。
11cmを超える大型の早期胃がんであったが、ESDにより完全
切除が可能であった。
胃がんリスク検診に、Hp 除菌療法を受けた受診者が増えている現状に対し、リスク分類における「除菌後表記法」ついて、事前アンケートの結果をふまえ、第1回会議として以下の合意を得ました。① 原則除菌既往例はE群と表記する。② E群に対し「胃がん検診」「内視鏡検査」を勧奨する。③ E
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