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JICA草の根技術協力事業(地域提案型) モンゴル国ウランバートル市 植林技術支援事業 平成25年度 事業実施報告書 平成26年度 事業計画書 平成26年2月 蒼いウランバートル技術支援実行委員会
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JICA草の根技術協力事業(地域提案型) モンゴル国 ...JICA草の根技術協力事業(地域提案型) モンゴル国ウランバートル市 植林技術支援事業

Aug 14, 2021

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JICA草の根技術協力事業(地域提案型)

モンゴル国ウランバートル市

植林技術支援事業

平成25年度 事業実施報告書

平成26年度 事 業 計 画 書

平成26年2月

蒼いウランバートル技術支援実行委員会

Page 2: JICA草の根技術協力事業(地域提案型) モンゴル国 ...JICA草の根技術協力事業(地域提案型) モンゴル国ウランバートル市 植林技術支援事業

Ⅰ 事業実施場所の概要 1

1 事業の実施場所 1 2 ウランバートル市の概要 1

Ⅱ 事業実施の背景 1

1 樹木と自然植生 1 2 森林の現状 1 3 全国植林デー 2 4 苗木増産の必要性、森林研究施設と苗木の生産状況 2 5 これまでの北海道とモンゴル国の植林を通じた関わり 2

Ⅲ 事業実施までの経緯及び事業実施状況 3

Ⅳ 実行委員会の概要 3

1 目的 3 2 構成団体 4 3 役員等 4

Ⅴ 事業の概要 4

1 事業実施団体 4 2 相手国協力対象機関 4 3 事業終了後5年程度経過時の目標 4 4 事業終了時の目標 4 5 成果 4 6 事業内容 5 7 実行委員会の役割 5 8 ウランバートル市の役割 5 9 3年間の事業スケジュール 6

Ⅵ 平成25年度第1回渡航の概要 6

1 目的 6 2 実施期間 6 3 派遣者 6 4 訪問・視察先 6 5 行程 7 6 主な面会者 7 7 主な内容 7

Ⅶ 第2回渡航・9月の現地研修の概要 10

1 研修概要 10 2 研修場所 10 3 受講者の内訳 10

Ⅷ 現地研修の実施状況 10

1 室内講義 10 2 ヤナギ類のさし木 12 3 苗畑造成と播種 13 4 種子の精選 14

Ⅸ 来年度の事業計画 14

Ⅹ 道内研修の概要 14

Ⅺ 研修実施の検討事項 15

1 現地研修 15 2 道内研修 15

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Ⅰ 事業実施場所の概要

1 事業の実施場所

モンゴル国 ウランバートル市

2 ウランバートル市の概要

・緯度 北緯 47 度 55 分 12 秒

(稚内市の 北は北緯 45 度

31 分 35 秒)

・標高 約 1,300m

・年平均気温 約0度

・平均年降水量 約 250mm

・人口 約 130 万人程度(モンゴル国の人口の約4割)

(そのうち約 60 万人が、電気・水道のないゲル地区(左の写真)

に居住)

Ⅱ 事業実施の背景

1 樹木と自然植生

北海道とウランバートルでは、街路樹

(上中の写真はポプラ)等の樹木と自然植生(右上の写真の花は、白

がウスユキソウ、黄色がホタルサイコ、紫がレブンソウの近似種)に

類似性が高い。

モンゴル国で一般的な樹種としては、高木性では、ポプラ類、カラ

マツ類、トウヒ類、ナラ類、ノニレ(左の写真)、ウワミズザクラ類、

アカマツ類、コリンゴ類、実のなる灌木類では、オオタカネバラ類、

サンザシ類、ジュースやジャムになるチャツラガン、クロスグリなどで、苗木も売られており、街

路樹も多く植えられている。

2 森林の現状

モンゴル国の森林率はわずか約8%(日本は約67%。北海道は約70%。)と低く、今後増大

を図る必要がある。

なお、ウランバートル市の降水量が少ないため、水がより蒸発しやすい南向き斜面(上中の写真)

では、樹木がほとんどないが、北向き斜面では、カラマツなどが生えている場所もある(左上の写

真)。

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2

また、市内を流れるトール川周辺などでは、ヤナギ類などの河畔林が形成されている(前頁右の

写真)。

3 全国植林デー

モンゴル国では、エルベグドルジ大統領の「モンゴル人のためにモン

ゴルの自然のために緑化を行う」という意向を受けて、2010 年から春と

秋に「全国植林デー」を開催するなど、国をあげて緑化に取り組んでい

る。なお、植林デーでは、軍の兵士を植栽活動に多数参加させ、大量の

木を植えているが、枯れるケースがかなり多い(左の写真は、土壌凍結

で弱ったヨーロッパアカマツ類の苗を移植したもの)。

4 苗木増産の必要性、森林研究施設と苗木の生産状況

ウランバートル市にある国立庭園公園の全体計画は 960ha で

あるが、現在整備されているのは 55ha のみで、今後、苗木の増

産が必要である。

自然環境省には、全国に 36 の森林研究センターなどの森林に

関する研究機関がある。また、モンゴル国立大学にも森林の専門

家が研究を行っているほか、民間の苗木生産業者も存在する。

その中でも、ウランバートル市国立庭園公園事務所の職員の苗木生

産や植樹技術はモンゴル国内ではトップクラスである。

今後は、苗木の床替えなど、日本の技術を融合させることにより、

さらなる生産性の向上を図りたい。(上の写真は床替えのしていない

ポプラの苗畑)

さらに、今後必要な苗木の量を考慮すると、技術者数についても大

幅に増やす必要がある。

一般に、ヤナギ類のさし木(左の写真はさし木によりポット苗を生産。国立庭園公園内。)によ

る植林は森林面積を増やす上で有効な手法であるが、モンゴル国では一般的ではなく、また、大苗

の植栽が好まれる傾向にあるが、小さな苗木による植栽の有効性も含め、普及を図る必要がある。

5 これまでの北海道とモンゴル国の植林を通じた関わり

(1)1992 年

モンゴル国の日本紹介雑誌編集長が道知事を表敬訪問し、モンゴル国に桜を植えたい旨の相談

があり、道立林業試験場(現在、北海道立総合研究機構林業試験場<以下略>)を紹介

(2)1992 年~93 年

道立林業試験場の研究職員が上記編集長やモンゴル国立植物研究所員などに桜の苗木・種子を

提供するとともに育成方法を指導

(3)1994 年

日本モンゴル文化交流協会がウランバートル市内に桜を植栽

(4)1995 年~2011 年

有志で構成された「蒼いウランバートル植樹使節団」により7回の桜の植栽を実施したほか、

関係者により約4千本の苗木と約 15 万粒の種子を提供

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Ⅲ 事業実施までの経緯及び事業実施状況

年 時期 内 容

2011 8月~10

植林推進を始めたモンゴル国の要請を受けた在大阪モンゴル国名誉領事館か

ら北海道立総合研究機構森林研究本部長宛専門家の派遣要請(8月)があり、

10 月にウランバートル市などに技術者を派遣し、状況調査、指導等を実施

2012 5月15日 ウランバートル市の国立庭園公園における大規模植林計画の実施に当たり、

ウランバートル市の要請を受けた日本モンゴル文化経済交流協会から北海道

に対し技術支援を要請

7月3日 日本モンゴル文化経済交流協会、一般社団法人 北海道造園緑化建設業協会、

北海道緑生会、公益社団法人 北海道森と緑の会、地方独立行政法人 北海

道立総合研究機構森林研究本部 林業試験場及び北海道(水産林務部)が、

モンゴル国ウランバートル市における植林技術支援事業を実施するため、

「蒼いウランバートル技術支援実行委員会」(以下「実行委員会」)を設立

7月30日

~8月4日

実行委員会がJICAの市民参加協力事業(海外プログラム)を活用し、緑

化技術協力実施体制確認調査を実施し、佐藤会長他、計3名をウランバート

ル市に派遣

9月27日 北海道がJICAの「草の根技術協力事業(地域提案型)=地方自治体が提

案・実施する事業」として、「ウランバートル市植林技術協力事業」を提案

12月21

JICAから北海道に「草の根技術協力事業(地域提案型)」の採択内定通

2013 4月8日~

11日

実行委員会が事業の事前調整のため、佐藤会長他、計2名をウランバートル

市に派遣

5月 ウランバートル市、JICA、実行委員会で会議議事録(ミニッツ)の締結

6月24日 JICAと実行委員会で委託契約の締結=事業開始

7月22日

~26日

実行委員会が平成25年度第1回渡航として、喜多名誉会長、佐藤会長他、

計6名をウランバートル市に派遣

9月2日 平成25年度第1回渡航帰国報告会を開催

9月15日

~22日

実行委員会が平成25年度第2回渡航として、佐藤会長他、計7名をウラン

バートル市に派遣し、現地研修を実施

2014 2月18日 平成25年度事業実施報告会を開催

Ⅳ 実行委員会(ノゴーン(ногоон=蒼い)・ウランバートル(Улаанбаатар))の

概要(右図がロゴマーク)

1 目的

モンゴル国において、北海道に有する寒冷地に適した苗木生産

や植林技術の定着に向けた支援事業を実施することにより、

北海道の森林・林業・木材産業に関する技術の一層の強化、

拡大、PR等を図ること

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4

2 構成団体

・日本モンゴル文化経済交流協会

・一般社団法人 北海道造園緑化建設業協会

・北海道緑生会

・公益社団法人 北海道森と緑の会

・地方独立行政法人 北海道立総合研究機構森林研究本部 林業試験場(以下「林業試験場」)

・北海道(水産林務部)

計6団体

3 役員等

・名誉会長:喜多 龍一(北海道議会議員、前北海道議会議長)

・会 長:佐藤 紀子(日本モンゴル文化経済交流協会会長)

・事務局長:嶌田 康之(北海道森と緑の会専務理事)

・監 事:堀野 史夫(北海道造園緑化建設業協会専務理事)

Ⅴ 事業の概要

1 事業実施団体 蒼いウランバー

トル技術支援実行委員会

2 相手国協力対象機関

ウランバートル市、国立庭園公園

事務所(右のウランバートル市の

図面の黄色の部分が公園の全体

区域(全体計画:960ha))

※国立庭園公園の整備に係る

予算は政府が拠出し、管理はウランバートル市が実施

3 事業終了後5年程度経過時の目標

ウランバートル市が自力で国立庭園公園の整備など森林や緑地の面積の増大を図ることができる

4 事業終了時の目標

ウランバートル市が自力で一定レベルの技術者を育成し、植林技術の確立された樹種を増やすこ

とができるようになる

5 成果

① 一定程度のレベルの技術者が一定程度育成され、後身の育成ができるようになる

② モンゴル国に適した苗木の生産技術及び植樹技術が向上する

③ さし木による植樹技術が備わる

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6 事業内容

① -1 緑化技術者等育成研修会の開催(2013~2015)

モンゴル国における緑化技術者及び指導者を育成するために、毎年春と秋に研修会を開催し、室

内講義と野外での実習を行う。併せて、そのうち優秀な人材を研修の講師の補助を通じて「技術者

の指導者」として育成する。

*苗畑の整備、苗木の生産、試験林の造成、それぞれの生育調査は、研修生が実習を兼ねて行う。 初級講座:1回 20 名程度。1回:春1日、秋1日のセット。年間4回行う。(2013 は秋に集約) 育成者数:20 名×4回×3年=240 名 中級講座:初級講座受講者を対象に、2014 年以降に研修を行う。 1回 20 名程度。1回:春1日、秋1日のセット。年間3~4回行う。 ① 2 北海道の林業試験場や苗木生産事業者での研修員の受入(2014~2015)

上記研修受講者の中から優秀な人材を年間4~6名を選抜し、林業試験場や苗木生産事業者で

6週間の研修を行い、「技術者の指導者」として育成する。

○ 林業試験場での研修(約1週間)

・本場の樹木見本園、施設、苗畑の見学など ・果実の採取 ・種子の精選

○ 苗木生産事業者での研修(約4週間)

・種子の精選、貯蔵方法 ・播種床作りと播種 ・苗木の掘り取り ・苗木の仮植 ・植栽

・除草 ・苗木の梱包

○ 公園緑地での研修(約1週間)

・デザイン ・樹種の選定 ・苗木の選定 ・植栽

② 実行委員会で作成した既存の苗畑・試験林造成・調査マニュアルを活用し、育成環境別の苗畑

造成、立地環境別の植樹試験林の造成及び調査・測定実習を行う(2013~2015,試験林は 2015のみ)

③ マニュアルを活用し、立地環境別のさし木試験林の造成及び調査・生育実習を行う(2013 秋以

降毎春と秋)

7 実行委員会の役割 ① 短期専門家の派遣 ・毎年春と秋に苗畑及び試験林の造成並び調査のための指導者を1~2名 ・毎年春と秋に研修のための講師を1~2名 ・その他打合せや調整のために数名

② 研修員の受入 ・2年目と3年目の秋に研修員4~6名を6週間程度、北海道の林業試験場や北海道の苗木生産業

者で受け入れる。 ③ 研修・苗畑等管理用具等の供与 ・スコップ、剪定ばさみ等作業用品(研修や研修生を活用した調査に必要な数量のみ) ・育苗シート、育苗箱等管理用品(研修や研修生を活用した苗畑造成査に必要な数量のみ) ・苗木、種子(研修や研修生を活用した苗畑造成に必要な数量のみ)

8 ウランバートル市の役割 ① 研修や技術の確立に必要な苗畑や試験地等の用地の確保 ② 研修受講技術者の確保 ③ その他技術支援の実施に必要な事項

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6

9 3年間の事業スケジュール

実施内容実施場所

打合せ

現地研修

苗畑造成・調査

さし木試験林造成・調査

苗木試験林造成・調査

種子採取・播種(ノニレ)

種子採取・播種(ノニレ以外)

道内研修

北海道内

ウランバートル市植林技術支援事業のスケジュール・概要

平成25(2013)年度 平成26(2014)年度 平成27(2015)年度

2月5日間程度

ウランバー

トル市内

9月7日間程度

初・中級講座各1日×20名×4回

(春とセット)

4~5月7日間程度

初・中級講座各1日×20名×4回

(秋とセット)

9月7日間程度

初・中級講座各1日×20名×4回

(春とセット)

○ ○ ○ ○

○ ○ ○

9~10月6週間程度6名受入林業試験場苗木生産事業者

9~10月6週間程度6名受入林業試験場苗木生産事業者

7月下旬5日間派遣6名派遣

9月中旬8日間派遣7名派遣初級講座室内研修1日×80名×1回野外実習1日×40名×2回

6月7日間程度

5月7日間程度

初・中級講座各1日×20名×4回

(秋とセット)

○ ○

6月7日間程度

8月下旬7日間程度

8月下旬7日間程度

Ⅵ 平成25年度第1回渡航の概要

1 目的 平成25年度から3年間実施するウランバートル市植林技術支援事業を開始するにあたり、相手

国関係機関の実施体制や事業内容の確認を行うとともに、現地研修の実施場所となる国立庭園公園

等の現地状況やウランバートル市内の森林、街路樹の生育状況等を把握し、事業の円滑な開始と効

率的な展開を図る。 2 実施期間 平成25年7月22日~26日 3 派遣者 ・喜多 龍一:実行委員会名誉会長、北海道議会議員 ・佐藤 紀子:実行委員会会長、日本モンゴル文化経済交流会会長 ・嶌田 康之:実行委員会事務局長、北海道森と緑の会専務理事 ・森 正志:北海道造園緑化建設業協会会長 ・沓澤 敏:北海道水産林務部長 ・蔵中 直樹:北海道水産林務部森林活用課環境整備グループ主査

4 訪問・視察先 (1)ウランバートル市役所

ミニッツを締結した、相手国実施機関であるウランバートル市と、3年間の事業内容と双方の

役割についての確認 (2)ウランバートル市国立庭園公園・同事務所

相手国関係機関の中で研修実施の中心的役割を担う国立庭園公園事務所に、野外実習実施場所

の確保と、研修機材の適切な管理を依頼 (3)自然環境省

相手国の森林の整備・保全に係る中枢機関である自然環境省に、3年間の事業内容についての確

認と、円滑な事業の実施についての協力を依頼

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(4)自然環境省淡水資源自然保護センター 室内研修の会場である淡水資源自然保護センターに、研修室・機材の確保と、円滑な事業の実

施についての協力を依頼 (5)日本大使館・JICA事務所

円滑な事業の実施についての協力を依頼 (6)ウランバートル市内・テレルジ国立公園

ウランバートル市周辺の緑化樹の生育状況や自然環境を把握 5 行程

月 日 訪問・視察先 実 施 内 容 7月22日 →ウランバートル市 移動 7月23日 国立庭園公園事務所 3年間の事業内容の確認。研修の詳細内容確認。

国立庭園公園 現地研修実施場所の確認 自然環境省 3年間の事業内容の説明。メッセージ伝達。 日本大使館 3年間の事業内容の説明 JICA事務所 3年間の事業内容の説明 夕食会 各関係者との意見交換・懇談

7月24日 国立庭園公園 研修用機材の説明。現地研修実施場所の詳細確認。

淡水資源自然保護センター 室内研修実施場所の確認 ウランバートル市 3年間の事業内容の確認。取材対応。

7月25日 テレルジ国立公園 ウランバートル市郊外の森林・河畔林の状況確認 ウランバートル市内 ウランバートル市内の街路樹等の生育状況の確認 ウランバートル市→ 移動

7月26日 移動 6 主な面会者

所属 氏・役職 ウランバートル市 バットエルディネ副市長

サランチメグ国立庭園公園事務所長(市会議員) 自然環境省 ガントルガ森林研究センター所長

エンヘタイワン淡水資源自然保護センター所長 政府 ゾリグト大統領環境顧問 日本大使館 清水大使 JICA 加藤モンゴル事務所長

7 主な内容 ○ 自然環境省 ・喜多名誉会長からモンゴル国政府(右の写真は左がガントルガ

所長)に対するメッセージの伝達 【メッセージ文】 我々「蒼いウランバートル技術支援実行委員会」は

ウランバートル市への植林に対する技術支援を通し モンゴル国の経済及び社会の発展に貢献するとともに モンゴル国と日本両国間の友好と信頼関係の醸成に 寄与するものである

・3年間の事業内容の説明と活発な意見交換 自然環境省から、本事業に協力したい旨申し出があり、今後、

職員の研修への参加や、室内研修施設(淡水資源自然保護セン

ター)の提供、実行委員会と自然環境省双方の技術的な協力な

どが実施される予定

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※自然環境省の概要 ・正式名称は、自然環境・緑開発省 ・以前は環境観光省であったが、現在は環境政策が重要となり、独立した省となった

○ 淡水資源自然保護センター ・室内研修の実施に関する打合せ ・3年間の事業内容の説明と活発な意見交換

※ 淡水資源自然保護センターの概要 ・JICAの事業により建設 ・2012 年10月、自然環境省の施設として設立 ・環境研究と環境教育が主な事業 ・研修施設は、1度に170名聴講できる研修室などが複数

ある(右上の写真) ・環境展示施設もある(右下の写真) ・近くの河川や郊外の山での教育プログラムもある ・FMラジオやカフェなど市民に親しまれる工夫をしている ・設立後現在までに1万2千人が教育を受けた

○ ウランバートル市役所

・3年間の事業内容の確認 (左の写真の左奥が副市長)

・テレビ局6社、新聞2社の

取材対応(右の写真の中央

が佐藤会長)

○ 国立庭園公園事務所 ・3年間の事業内容の確認 ・研修の詳細内容確認

※ 国立庭園公園事務所の概要 ・ウランバートル市が提案した国立庭園公園の建設が国に認め

られたために、国の予算で市が管理・運営を実施することにな

ったことで設立された市の機関 ・従業員は、約 70 名 ・サランチメグ所長著作の環境教育の教科書が発行された(右の写真)

○ 国立庭園公園 ・研修用機材の説明 (左の写真)

・現地研修実施場所の詳細確認 (右の写真が国立庭園公園

中核部にある苗畑、さし木

試験林予定地)

※ 国立庭園公園の概要 ・2009 年の整備開始から現在までに、中核部の 55ha に約 10 万本、22 種の樹木を植栽

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(左の図が国立庭園公園のロゴ

マークにもなっている中核部。 右の写真が中核部)

・過去3年間の整備費は 40 億トゥ

グルク(1トゥグルクは約 15 円) ・韓国や中国、国連環境計画

(UNEP)などの資金提供等によ

る整備も実施されている (右の写真は、韓国の支援により整

備された箇所で、ヨーロッパアカ

マツ類を植栽) ・苗畑もある(左下の写真) (国立庭園公園の状況確認の様子

は、翌日の地元紙に掲載された

(右下の写真))

○ 大使館・JICA ・事業の開始に向けて、協力いただいたことに対するお礼 ・3年間の事業内容の説明と活発な意見交換

※ 主な意見 ・モンゴル国は今、地下資源などで急速に経済が発展しているが、

それに伴い環境問題が大きくなりつつあり、インフラ整備や食料

・農業分野(地下資源を掘り尽くした後にも対応できるよう農産物

等を輸出産業に発展させる)に加え、環境分野での技術支援が今後

ますます重要 ・モンゴル国は、日本の中では一番、北海道と自然環境や人口規模

などが似ているので、技術支援には北海道の役割が非常に重要 ○ 夕食会(左下。右下の写真は、モンゴル国の高名な声楽者と馬頭

琴など民族楽器奏者。) ・大統領環境顧問、ウランバートル市、自然環境省、JICAの各

関係者と懇談

国立庭園公園にて、国立庭園

公園の職員等とともに

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Ⅶ 第2回渡航・9月の現地研修の概要

本来は、春と秋の2回に分けて行う研修を、2013 年は事業開始年のため、秋にまとめて実施。

1 研修概要

・実施期間:9月15日~9月22日

・派遣者 佐藤 紀子:実行委員会会長、日本モンゴル文化経済交流協会会長

佐藤 孝夫、脇田 陽一:林業試験場

伊藤 武義:北海道緑生会会長(札幌農林(株))

松村 幹了:北海道緑生会((有)大坂林業)

山口 展正:北海道緑生会((株)サンガーデン)

蔵中 直樹:北海道水産林務部森林活用課環境整備グループ主査

・行程

15日(日) 日本→(韓国)→ウランバートル着

16日(月) ウランバートル市役所、国立庭園公園事務所及び淡水資源自然保護センターとの

打合せ、研修会場・機材の確認

17日(火) 研修(室内講義、80名)、野外実習の準備

18日(水) 第1回目の研修(野外実習、20名×2組)

19日(木) 第2回目の研修(野外実習、20名×2組)

20日(金) JICAへの研修実施状況の報告、ウランバートル市郊外森林状況調査

20日(土) ウランバートル市郊外森林状況調査、ウランバートル出発

21日(日) (韓国)→日本

・室内講義 午前2講、午後3講を、パワーポイントにより実施

・野外実習 ヤナギさし穂の採取を合同で実施し、その後「苗畑」と「さし木+種子精選」の2組

に分け、途中で組を入れ替えて実施

※国外からモンゴル国内への苗木・種子の持込は禁止されていることから、モンゴル国内

の樹種を使用して実施

2 研修場所

・室内講義会場:淡水資源自然保護センター

・ヤナギ類さし穂採取場所:国立庭園公園中核部付近の河畔林

・苗畑実習地(播種床)及びヤナギ類さし木試験:国立庭園公園の中核部の1ha の区域内

3 受講者の内訳

・ウランバートル市役所 :50名 ・国立庭園公園事務所:15名

・淡水資源自然保護センター:10名 ・民間苗木生産業者 : 5名

Ⅷ 現地研修の実施状況

1 室内講義

講師:佐藤(林業試験場)

淡水資源自然保護センター研修室において午前中2講、午後3講の計5講を行った。

各講義は約1時間。以下その内容を示す。

なお講義は佐藤講師は日本語で行い、現地通訳がモンゴル語に通訳して行った。

(講義の様子は次ページの写真)

・1講目:みどりはなぜ必要か?

①ウランバートル市植樹技術支援事業の概要説明

②東京と北海道の気候の紹介

③北海道の森林、街路樹、公園、河畔林、庭とそれぞれの効用

④モンゴルになぜ植樹が必要か?

⑤モンゴルの景色に木を植えた場合の写真を紹介

(樹木の画像データを貼り付けたものを使用)

計80名

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・2講目:樹木の基礎知識

①樹木の:モンゴル名、学名など

②草と木の違い、光合成とは?

③樹木の構造と樹木の成長部位、樹木の幹の成長

④萌芽、樹木の幹の寿命

⑤樹木の雌雄(両生花、雌雄異花、雌雄異株)、受精(風媒花、虫媒花など)

⑥樹木と花粉症

⑦花の咲く時期と実の成る時期

⑧種の主な散布様式(風散布、動物散布、鳥散布)

⑨針葉樹の葉と広葉樹の葉

・3講目:モンゴルの樹木

①モンゴルに自生する樹木の一覧(モンゴルの植物図鑑より抜粋)

②モンゴルの木をまず14種覚えよう!(写真と特徴)

Pinus sylvestris(ヨーロッパアカマツ) Picea obovata(トウヒの仲間)

Larix gmelini(カラマツの仲間) Populus(ポプラ・ドロノキ類)

Salix(ヤナギ類) Betula platyphylla (シラカンバ)

Ulmus pumilla(ノニレ) Bibes nigrum(クロスグリ)

Malus baccata(エゾノコリンゴ) Crataegus(サンザシ類)

Rosa(バラ類) Padus asiatiza(エゾノウワミズザクラの仲間)

Caragana(カラガナ属) Hippophae Rhamnoides(ヒッポファエ)

③樹種名に関する小テスト

*上記の種類から10種を画面に映し、種名(学名)を書く

・4講目:樹木の増殖方法と播種

①樹木の増殖方法の種類

②タネによる増殖の長所と短所

③いろいろなタネ(大きなタネ、翼のあるタネ、小さなタネなど)

④タネは毎年成るか? とタネの発芽率

⑤モンゴル産樹木14種の増殖方法

⑥屋外実習の播種の仕方

(実際の作業の仕方を写真で説明)

・5講目:樹木のさし木

①さし木による増殖の長所と短所

②さし木をする目的

③さし木ができる樹種と難しい樹種

④さし木を行う時期

⑤さし木の仕方

⑥ヤナギ類のさし木

⑦屋外実習で行うヤナギ類のさし木の作業内容

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2 ヤナギ類のさし木

講師:脇田、佐藤(林業試験場)、藏中(北海道水産林務部)

①本来春と秋に行う予定であったが、今年度は春の実習が行えなかったので、秋に行った。

②環境省の許可を得て、まずトール川の河畔から全員が1人2~3本の太さ3cm 程のヤナギの

幹を採取した。(左下の写真)

③それを実習地に持ち帰って、1人3~5本のさし穂を作成した。(右下の写真)

④さし木予定地に鉄製の杭を打ち込んで、その穴にさし穂を入れる予定であったが、土が硬く、

鉄杭が入らなかったので方法を変更した。

⑤2人1組となって、1人がスコップを斜めにできるだけ深くさし込み土を持ち上げ、もう一

人がスコップと土との隙間にさし穂をさし込む方法に変更した。(左下の写真)

⑥土が硬い所を避け、柔らかそうな場所を選び、約 50cm 間隔で線状にさし付けた。(右下の写

真)

⑦さし穂を採らなかった枝は、そのまま埋枝を行った。(下の写真)

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3 苗畑造成と播種

講師:伊藤、松村、山口(北海道緑生会)

①各班(20名)で播種床を作り、そこにモンゴル国産樹木のタネを播くことを目標とした

②機械のない場所でもできるように、人力で床作りを行った(下記左上の写真)

③播種床は長さ20m、幅1mで、雨水が溜まりやすくするために、地面から約10cm 掘

り下げた

④そこに播種を行い(下記右上の写真)、その上に土をかけ、固めた(覆土)(下記左下の写

真)

⑤その上に発芽シートをかけて、シートのふちに土を載せた(下記右下の写真)

⑥播種した樹種名とその配置図は以下のとおり

← 長さ 20m → ← 長さ 20m →

8 7 5 4 6 2 3 1

1 2 3 4 5 6 7

8 7 5 4 6 2 3 1 1 2 3 4 5 6 7 8

1.5m1.5m 3m 3m 3m 3m 3m 2m 2m 3m 3m 3m 3m 3m 2m 1m

作業1日目(9月 19 日) 作業2日目(9月 20 日)

床幅1m,歩道幅 0.5m

播種床の配置図

播種した樹種名と播種量

番号 和 名 学 名 モンゴル名 播種量(kg)

アンズ

アカシア

ヨーロッパアカマツ

シベリアカラマツ

ザ ク

Prunus armeniaca

Acacia sp.

Pinus sylvestris

Larix sibirica

Haloxylon ammodendron

Гуйлс

Харгана

Нарс

Шинзс

Заг

0. 5

1. 5

0. 75

0. 5

1. 5

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サジー(ヒッポファエ)

ヤマモミジ

エゾヤマザクラ

Hippophae rhamnoides

Acer palmatum var.

matsumurae

Cerasus(Prunus) sargentii

Чацаргана

0. 45

500 粒

不明*

* エゾヤマザクラは現地での精選した種子、数量不明

4 種子の精選

講師:脇田・佐藤(林業試験場)

果肉付きの果実からタネを精選する方法を実施した。(実施の様子は次ページの写真)

材料:エゾヤマザクラの果実

参加人員:当初は代表者1名だけの予定であったが、果実の数も多かったことから、可能な限り

多くの人に参加してもらった。

方法:①果実を用意した布袋に入れる

②ていねいに果実をつぶす

③つぶした果実をビーカーの水の中に入れる

④水に浮いた殻やタネを捨てる

⑤きれいなタネにならない場合は、残った物を再び袋の中に入れ、②から繰り返す

⑥タネがきれいなったら終了

Ⅸ 来年度の事業計画

4 月中旬 第 1回実行委員会

5 月中旬 現地研修(初・中級講座) 20 名×4回 1 週間

6 月中旬 モンゴル国内現地で採種

8 月中旬 モンゴル国内現地で採種

9~10 月 道内研修 6 名 6 週間

9 月中旬 現地研修(初・中級講座) 20 名×4回 1 週間

2 月中旬 第 2回実行委員会

平成 26 年度事業報告会

Ⅹ 道内研修の概要

・受入人数 6名程度

・受入期間 9月~10月の6週間

・研修項目

○ 林業試験場での研修(約1週間)

・本場の樹木見本園、施設、苗畑の見学など ・果実の採取 ・種子の精選

○苗木生産事業者での研修(約4週間)

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・種子の精選、貯蔵方法 ・播種床作りと播種 ・苗木の掘り取り ・苗木の仮植 ・植栽

・除草 ・苗木の梱包

○公園緑地での研修(約1週間)

・デザイン ・樹種の選定 ・苗木の選定 ・植栽

・研修方法

○林業試験場での研修

・見学及び実習

○苗木生産事業者での研修

・事業者の実施する作業を体験

・気象条件、研修員の受入実績、モンゴル国での実績等を考慮し、北海道緑生会の構成員の中

から3社を選定し、研修生が3社全てにおいて、それぞれ1週間から2週間程度受講

○公園緑地での研修(約1週間)

・札幌市内の公園緑地の見学及び実習を実施

○研修成果報告会

・ 終日に、研修生による研修成果の報告会を実施

Ⅺ 研修実施の検討事項

1 現地研修

・種子及び苗木の準備

現地研修の野外実習に使用する種子の必要数量の確保については、専門家の渡航による採取や、

苗木生産事業者からの購入のほか、現地研修生に、研修の一環として採取を体験し種子を確保する

ことを検討する。

なお、苗木については、全量を苗木生産事業者から購入することで必要数量を確保する。

・種子の採取場所

採種場所については、来年度の第1回渡航時に、ある程度確定させておく必要がある。

2 道内研修

・研修生の選定

将来、技術者の指導者としての活動が見込まれる人材を選定することが必要であり、今年度及び

来年度春の現地研修受講者から優秀な者を選抜する方法の検討を要する。

なお、日本に6週間滞在することを考慮し、受講予定者には日本語の習得を推奨する必要がある。

・通訳の選定

6週間の研修期間北海道に滞在する通訳をモンゴル国から招聘することは、経費の面や入国手続

きから困難であることから、北海道内の大学等に留学しているモンゴル国の学生に依頼するなどの

方法を検討する必要がある。

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