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Jeff Goshawk, David Eatough, and Michelle Wood...Jeff Goshawk, David Eatough, and Michelle Wood ウォーターズのUNIFI ® 科学情報システムでは複雑なフルスキャン

Sep 13, 2020

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ウォーターズのUNIFI 科学情報システムにおける3Dピーク検出に続くコンポーネントと化合物の同定

Jeff Goshawk, David Eatough, and Michelle Wood

ウォーターズの UNIF I® 科学情報システムでは複雑なフルスキャン

データを、ターゲットおよびノンターゲット分析に用いられるコ

ンポーネント(単一のピークに由来する安定同位体、異なる付加イ

オン、価数の異なるイオンを一つにまとめたもの)に変換する独自

の強力なピーク検出アルゴリズムを採用しています。このホワイ

トペーパーでは、UNIF I トキシコロジースクリーニングソリュー

ション 1を使用した植物アルカロイドスコポラミンの分析に焦点を

当てて、コンポーネント化プロセスの詳細な説明とスクリーニン

グとディスカバリーにおけるメリットを紹介します。

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はじめに

幅広く包括的なスクリーニングを行うためには、すべてのデータ

をターゲットおよびノンターゲットの両方のデータ解析に利用で

きる、完全で制限のないデータセットの取得が必要です。低エネ

ルギーおよび高エネルギー条件下でのフルスキャンデータの収集

を行う新規のデータ取得モードである MSEの有用性は、すでに食

品、環境 2および毒性試験 3で実証されています。このタイプの

データは豊富な情報を提供します。例えば低エネルギーのデータ

はプリカーサーイオンと同位体クラスターの精密質量を提供し、

高エネルギーのデータは関連するフラグメントイオンの情報を提

供します。このデータは複雑ですが、UNIFI はデータをコンポー

ネントのセットに整理する独自のアルゴリズムを採用しています。

ピーク検出とコンポーネント化

図 2は、MSEベースのトキシコロジースクリーニング分析で取得

されたフルスキャンのコンティナムデータの一例です。分析の結

果、薬剤の混合物には植物アルカロイドスコポラミンが含まれて

いました。これらのデータには低エネルギーと高エネルギーの 2

種類のデータが含まれています。

UNIFI の 3Dピーク検出アルゴリズムは、指定された範囲のピー

クの頂点を検索します *。図 2のデータで検出されたピークの頂

点は図 3のデータに重ね描きされたドットに対応しています。そ

れぞれのドットはm/z 値と保持時間(RT)、ピークの体積に由来す

る強度によって特徴付けられる単一のイオンをあらわしています。

そのため、それぞれのイオンに固有のm/z‐保持時間ペアが割り

当てられます。

図 1. “Jimson weed”や ”Devil’s snare”(「悪魔の罠」)としても知られる Datura stramonium(チョウセンアサガオ)。植物アルカロイドスコポラミンを抽出可能なナス科の植物

図 2. 植物アルカロイドスコポラミンを含む試料の分析:フルスキャンコンティナムデータを 3次元で表示

図 3. 図 2に示したトキシコロジーデータで検出されたピーク

*ピークとして検出される強度は、UNIFI分析メソッドの 3Dピーク検出セクションのパラメーターによって制御されます。

Scopolamine

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図 4はスコポラミンのプロトン化イオンに対応する単一のピークプロファイルを示し、図 5は UNIFI におけ

る 3Dピーク検出アルゴリズムを使用したとき、単一のイオンがそのピークとして検出されたことを示してい

ます。これは図 6に示すように、クロマトグラフピークの溶出プロファイルにわたって繰り返し記録されて

いるイオンを、スキャンごとのデータとして考慮する場合とは対照的です。

UNIFI における個々のイオンの検出に続いて、これらは「候補コンポーネント」として分類されます。低エネ

ルギーのデータで検出されたすべてのイオンは、その他のイオンの同位体と識別されなければ **、候補コン

ポーネントとなることができます。それぞれの候補コンポーネントに関連付けられるのは、同じ保持時間に

ピーク頂点をもつイオンが含まれる低エネルギースペクトルです。MSE データにおいては高エネルギースペ

クトルも候補コンポーネントに関連付けられ、同じ保持時間に頂点をもつ高エネルギーイオンを含みます†。

**同位体の数および電荷は UNIFI分析メソッドの 3D同位体クラスタリングセクションのパラメーターによって制御されます。

†低エネルギーおよび高エネルギーイオンがコンポーネントに対応するスペクトルに割り当てられる保持時間の許容範囲は、

UNIFI分析メソッドの 3D同位体クラスタリングセクションのパラメーターによって制御されています。

図 4. スコポラミンのプロトン化モノアイソトピックイオンの単一のピーク 図 5. 単一のイオンが図 4で示されたスコポラミンのピークとして検出されました

図 6. イオンはスコポラミン(m/z 304.154)としてクロマトグラフピークにわたって複数回検出されました。それぞれの垂直の線は対応する保持時間で m/z 304.154として検出されたイオンを示します。

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それぞれの候補コンポーネントに関連付けられたスペクトルは、候補コンポーネントと同じ保持時間にピー

ク頂点をもつイオンを含みます。そのため、候補コンポーネントに含まれるイオンは、その保持時間で測定

された生データのスペクトルに含まれるイオンよりもはるかに少なくなります。図 7ではスコポラミンのコ

ンティナムスペクトルとそのセントロイドスペクトルおよびコンポーネントに関連付けられたスペクトルを

比較しています。3つのスペクトルの低いm/z 範囲を拡大した図 8を見ると、より明らかに候補スペクトル

がシンプルになっています。

図 7.スコポラミンのコンティナムスペクトルとセントロイドスペクトルおよび候補スペクトルの比較

図 8. コンポーネント化によって提供されるスペクトルのクリーンアップを強調したスコポラミンのコンティナムスペクトルとセントロイドスペクトルおよび候補スペクトルの比較

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コンポーネントへのターゲットの関連付け

ターゲットは測定データから探索される化合物であり、いくつかの特性によって定義することができます。

非常に基本的なレベルにおける、ターゲットの特性は化合物の予想されるニュートラル質量またはニュート

ラル質量を計算可能な化学式です。続いて化合物の付加イオンの予想されるm/z 値がニュートラル質量から

決定されます。加えて、化合物の標準品を同一条件下で測定していた場合、化合物の同定を支援する保持時

間とフラグメントの情報を知ることができます。

UNIFI のコンポーネント化は固有のm/z‐保持時間ペアをそれぞれ有する候補コンポーネントのリストを生成

するので、UNIFI は任意のターゲットがm/z と必要に応じて保持時間の許容範囲内で候補コンポーネントの

いずれかと一致するかどうかを決定することができます。さらに、ターゲットがフラグメントと関連付けら

れている場合は、MSEデータに対して、予想されるフラグメントのm/z 値と高エネルギーデータ中のイオン

のm/z 値と比較し、それらが許容範囲内にあるかどうかを決定することでターゲットの関連付けを支援して

います。

候補コンポーネントのリストの作成を行わずにデータ内のターゲットを検索することは、偽陽性の割り当て

数が圧倒的な数になるため不可能です。

抽出イオンクロマトグラムとコンポーネント化

測定データ内のターゲット化合物を探す一般的な方法は、単純にターゲットの適切な付加イオンの精密質

量を用いてマスクロマトグラムを抽出し、予想される保持時間にピークが存在するかどうかを決定する方

法です。しかし、いくつかの例では、この方法によってターゲットが存在するかどうかの決定することは

偽陽性をもたらす可能性があります。クロマトグラム上のピークが 3次元ピークのm/z 値を表していない

可能性があるからです。これも同じデータセットから説明することができます。

別の植物アルカノイドブファリンを考えて見ましょう。この化合物は、化学式が C24H34O4であり、したがっ

て、プロトン化イオンのm/z は 387.2530になります。ブファリンのプロトン化イオンに対応した精密質

量のマスクロマトグラムを、同じ試料(図 9)から抽出した場合には、ブファリンが試料中に存在しない場

合でも、クロマトグラム上の明確なピークとなります。そのため、データがイオンクロマトグラムの抽出

に基づいたアプローチを使用して処理されていた場合、偽陽性のブファリンを試料中の汚染物質として報

告してしまいます。

図 9.植物アルカロイドブファリンのプロトン化付加イオンに対応する抽出マスクロマトグラム

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対照的に、図 10の同じピークの 3次元表示を図 9の精密質量のマスクロマトグラム表示と一緒に示し

ます。ピークの頂点のm/z 値は、ブファリンのプロトン化付加イオンで予想されるm/z よりも 36 ppm低い

387.239です。この例では、UNIF I のコンポーネント化を使用した際に、ブファリンが偽陽性として報告

されるには、m/z の許容値が 36 ppmより大きい必要があります。許容値がそのように非常に大きく設定さ

れている場合には、UNIF I で報告される質量誤差も同様に大きくなります。

図 10. 3次元ピーク表示と 3次元ピークの精密な m/z値から 36 ppm離れたブファリンの抽出マスクロマトグラム

コンポーネント化と in silicoフラグメンテーション

現代のトキシコロジーの研究室が直面する課題の一つは、分析

方法が最新であることを保証することです。これは、最近の新

規向精神物質(NPS)の継続的な増加のため、特に問題となって

います。

LC-MS/MSのノミナル質量による新規薬物のスクリーニングには、

標準品が必要となります。しかし、認定物質は常に利用可能で

はなく、カスタム合成が可能だとしても非常にコストがかかる

可能性があります。これとは対照的に精密質量による計測では、

予想される組成式のみに基づいて、標準品なしでも暫定的にス

クリーニングすることができます。

さらに標準品なしでも、in silicoフラグメント技術によって、物

質の構造からのフラグメントイオンのm /z 値の予測し、任意の

推定構造の同定に追加の支援情報として使用することができます。

購入が必要な化合物の数を減らすことにより、コストの削減が

期待できます。

UNIFI のフラグメントマッチツールは、molファイル形式でター

ゲット化合物の構造を取得し、体系的に共有結合して部分構造

を生成します。イオンが化合物のフラグメントかどうかを決定

するために、理論的な部分構造のm /z 値を、高エネルギーデー

タ中のイオンのm /z 値と比較します。

しかしこれを効果的に行うためには、コンポーネントに関連し

たスペクトルと同様に、任意のフラグメントイオンの頂点が、

プリカーサーイオンの頂点と同じ保持時間を有することが重要

となります。

夾雑が高エネルギーデータから除去されていない場合、フラグ

メントイオンの頂点がプリカーサーイオンの頂点と同じかを決

定するための唯一の方法は、それぞれの提案された部分構造に

対応するm /z 値の高エネルギーイオンのマスクロマトグラムを

抽出し、正しい保持時間にピークが存在するかを決定すること

です。これは計算コストの低いアプローチですが、すでに強調

したように、マスクロマトグラムを抽出し、2Dピーク検出を実

行する方法では偽陽性が生じてしまう可能性があります。

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コンポーネント化とディスカバリー

UNIFI のコンポーネント化は、試料中で予期しなかった化合物の

探索を容易にします。精密なm/z 値は、保持時間、強度と共に、

すべての候補コンポーネントに対して決定され、夾雑イオンが

除去されたスペクトルに関連付けられています。さらなる調査

のために潜在的に重要な未同定のコンポーネントから化合物を

同定するために使用可能な多くの機能を UNIFI はもっています。

コンポーネントは、それらが特定のフラグメントイオンを含む

か、または特定のニュートラルロスを生じているかどうかを決

定することができます。この機能は、それぞれのコンポーネン

トに関連付けられたスペクトルがコンポーネントの保持時間で

最大値をとるイオンのみを含むことに基づいています。夾雑イ

オンがスペクトルから除去されない場合、特定のフラグメント

イオンを含むか特定のニュートラルロスを生じているピークが

増加していることを誤って指定する可能性があります。

また、特定の理論的同位体分布、特に塩素および臭素特有のパ

ターンを含む、それぞれのコンポーネントに関連付けられた低

エネルギースペクトルを比較することも可能です。偽陽性をも

たらす可能性のある夾雑イオンを除去することで、このような

比較をより高い信頼性を持って行うことができます。

さらなる解析のために、所定の保持時間内で最も強度の強いコ

ンポーネントが必要な場合には、そのようなコンポーネントの

リストを UNIFI で適切なフィルターを設定することによって抽

出することができます。

さらなる解析を必要とする対象のコンポーネントを選択すると、

プリカーサーイオンのニュートラル質量に対応する元素組成を

決定することができます。それぞれの元素組成の理論的な同位

体パターンを、コンポーネントに関連付けられた低エネルギー

スペクトルのピークと比較することができます。夾雑がスペク

トルから除去されているので、理論値と測定データの比較がよ

り正確になります。さらに有望な元素組成をインターネットで

検索し、有望な候補コンポーネントの構造を取得することがで

きます。部分構造のm/z とそれぞれのコンポーネントに関連付

けられた高エネルギースペクトル中のイオンのm/z が一致する

かを決定するために、取得した構造の in silicoでのフラグメン

ト化を行うことができます。夾雑イオンが高エネルギースペク

トルから除去されていない場合には、このプロセスは偽陽性の

割り当てにつながります。

結論

UNIFI でトキシコロジースクリーニングソリューションを使用し

た薬物混合物の分析で、UNIFI の 3Dピーク検出の利点を紹介し

ました。データの複雑さは、続くターゲットおよびノンターゲッ

ト分析のために使用可能なコンポーネントにまで低減されます。

MSEデータの場合、コンポーネントには夾雑イオンが除去され

た低エネルギーおよび高エネルギースペクトルが関連付けられ

ています。このようにクリーンなスペクトルはフラグメントイオン

とニュートラルロスの確認と割り当ての両方を可能とし、理論的な

同位体パターンと測定データの正確な比較を可能にします。

これらは、解析者のデータの解釈の負担を軽減し、潜在的な偽

陽性の割り当てを低減し、結果を明確かつ簡潔に提示すること

を可能にします。

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Waters、UNIFI および The Science of What’s Possible は Waters Corporationの登録商標です。その他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します。

©2015 Waters Corporation. Produced in Japan. 2015年12月 720005480JA 12A(SU)

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参考文献

1. Forensic Toxicology Screening Application Solution with UNIFI. Waters Brochure (p/n 720004830EN).

2. López MG, Fussell RJ, Stead SL, Roberts D, McCullagh M, and Rao R. Evaluation and validation of an accurate mass screening method for the analysis of pesticides in fruits and vegetables using liquid chromatography–quadrupole-time of flight–mass spectrometry with automated detection. J Chromatogr A. 2014 Dec;1373:40–50.

3. Rosano TG, Wood M, Ihenetu K, and Swift TA. Drug screening in medical examiner casework by high resolution mass spectrometry (UPLC-MSE-TOF). J Anal Toxicol. 2013 Oct;37:580–93.