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再創造 アクティブ運用の IQ Q1& 2 2017 アルファの先のバリュー投資 成果を引き上げる戦略的パートナーシップ アクティブなバリュー投資を 始める好機 リターン格差拡大がもたらす機会 ESGによるアクティブ運用 資金を使った変革の創造
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IQ Q1&2 2017 - SSGAQ1&2 2017 アルファの先のバリュー投資 成果を引き上げる戦略的パートナーシップ アクティブなバリュー投資を 始める好機

Aug 08, 2020

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再創造アクティブ運用の

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アルファの先のバリュー投資 成果を引き上げる戦略的パートナーシップ

アクティブなバリュー投資を 始める好機 リターン格差拡大がもたらす機会

ESGによるアクティブ運用 資金を使った変革の創造

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IQ 2017年第1-第2四半期 IQマガジンは、時流に合ったステート・ストリート・グローバル・ アドバイザーズのソートリーダーシップを掲載しています。

銘柄間のリターン格差が拡大し、資産クラス間の相関が低下しているため、アクティブを通じて付加価値を生み、アウトパフォームを実現する新たな方法を、投資にかかわるさまざまな次元において検討する。

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5 アクティブ運用の再創造 アクティブ運用は今でも盛んに行われているが、マネージャーはもっと様々な方法で付加価値を追求できる。

9 脚光を浴びる資産配分 複数の資産クラスにまたがるソリューションに移行することは、リスクとリターンの特性をカスタマイズする上で資産配分の専門知識が重要になることを意味する。

13 変貌するバリュー投資の実像 セクター間と地域間のリターン格差が拡大しているため、アクティブなバリュー投資が新たな機会を見出す時期に差し掛かっている。

19 ESGによるアクティブ運用 長期にわたる持続的な価値を創造するために、投資家はどのように資金を使うのが良いだろうか。

*本稿はState Street Global Advisors が作成したものをステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ株式会社が 抜粋および和訳したものです。内容については原文が優先されることをご了承下さい。

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State Street Global Advisors | IQ55

リック・ラカイエ グローバル・チーフ・インベストメント・オフィサー ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ

運用の再創造

アクティブ

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Q1&2 2017 | Reimagining Active 6

昨年は投資家の資金がアクティブ運用からパッシブ運用へと流出したとのニュースが話題となったが、このことはアクティブ運用の終焉を意味する訳ではなく、また、投資家に「農奴に向かう静かな道」が整備された訳でもない。1

我々にとって、アクティブ運用かパッシブ運用かが問題になったことは一度もない。資産運用の新しい現実は、リターンが低下した環境下で、投資家は長期目標を達成するためにアクティブ運用とパッシブ運用を慎重に組み合わせていく必要があるということを示している。2 また、最近の資金フローはともあれ、世界の運用資産額に占めるアクティブ運用資産の割合はいまだに4分の3もあって、パッシブ運用資産を圧倒している点も指摘できる(図表1)。事実、パッシブ戦略に資金が流れ込むほど、アクティブ・マネージャーにとっての収益機会である価格の歪みが生じる可能性が高まり、投資家をアクティブ運用に連れ戻すといった状況になる。しかも、これから金利上昇局面に向かう中で、株式市場のリターン格差が拡大するとともに、資産クラス間の相関がこの数年で最も低くなっていることから(図表2)、アクティブ・マネージャーがアウトパフォームする可能性は高まっていると言える。

アクティブ運用の早すぎる死を伝える報告書は大幅に誇張されていると考えられる。しかし、同時に資産運用業界が大きな転換点に差し掛かっていることも認識している。まず、システマティックな分析とファクターベースの運用手法が効果的に利用できるようになったため、世界がアクティブ運用の方向に変わりつつある点を指摘したい。また、今後の影響が見定められないものの、ビッグデータを活用できるようになった結果、個々の銘柄選択がテクノロジー主導になっている点も挙げられる。これらの展開は、伝統的なアクティブ・マネージャーがこれまで独占してきた領域に侵入するものであって、アクティブ・マネージャーの比較優位性を示す基準は引き上げられている。これは最終投資家にとって有利な展開であると我々は考えている。最終投資家は、システマティックな手法から得られるリターン源泉と、個別銘柄のリサ-チや分析からのみ得られるリターン源泉を、効率性の高い方法で活用することから恩恵を得られることになろう。

アクティブ運用の早すぎる死を伝える報告書は大幅に誇張されていると考えられる。しかし、同時に資産運用業界が大きな転換点に差し掛かっていることも認識している。

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State Street Global Advisors | IQ7

アクティブ運用の様々な形態

アクティブ運用の世界が進化するにつれて、そこにおける考え方も進化している。投資家は、従来の概念を超えたアクティブ運用を再想像することを高く評価するようになっている。今回のIQでは、アクティブ運用を通じて付加価値を追求する投資家を運用マネージャーが如何に手助けできるか、そして、トレーディングのようにそれほど自明でない分野も含め、投資にかかわるさまざまな次元におけるアウトパフォームの可能性を探求する。

まず、単一の投資戦略からより全体的で複雑な成果指向の複数資産クラスのソリューションに移行する上で、アセットオーナーと資産運用会社の間で進展している対話の新しいモデルを見ることにする。グリニッジ・アソシエイツの最新レポートでは、アセットオーナーと緊密で長期的な戦略的パートナーシップを築くこ

とができるマネージャーが将来成功するマネージャーである、と論じている。そうしたマネージャーは、投資行動に直結するようなリサーチ、資本市場に対する洞察、リスク管理のフレームワーク、商品のイノベーション、そして複雑な課題に立ち向かう効率的なソリューションといった、運用パフォーマンス以外における付加価値を提供できるであろう。新たなアルファ機会を議論する円卓会議においては、弊社のシニア投資リーダーたちが、グリニッジ・レポートの主幹執筆者、そして、オーストラリアにおいて最大規模を誇るスーパーアニュエーション退職年金基金の最高投資責任者とともに、アセットオーナーと資産運用会社の関係がどのように進化してきているのかを考察する。

30

4 34

43

72

87

2003 2008 2015 202037

6

56

16

64

23

図表1 世界の運用資産額(兆ドル)

出所: グリニッジ・アソシエイツ2016、 BCGグローバル・アセット・マネジメント2016

アクティブ運用とパッシブ運用

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Q1&2 2017 | Reimagining Active 8

資産配分のアルファ

複数の資産クラスにまたがるポートフォリオ・ソリューションにおいては、資産配分の専門性が前面に、そして中央に躍り出ることになる。投資目標を達成するには、ポートフォリオ全体に一定水準の透明性が求められ、基本的なリスク・エクスポージャーとそれら相互の相関関係を経時的に理解することが必要になる。戦略的な資産配分は、間違いなく長期的なリターンを生み出すための重要な手法である。しかし、リターンが低下した環境下では、アクティブな資産配分こそが、リターンを引き上げるとともに、ポートフォリオのボラティリティを管理するもう一つの手法になってきている。

運用報酬に対する関心が高まる中で、アセット・アロケータ-は、投資家が採用するアクティブ・マネージャーのラインナップの分析や改善を通じて、またファクターベースの手法を用いたベータ・エクスポージャーの再構成を通じて、より効率的なポートフォリオをつくり出すことができる。今号では、米国の大手公的年金基金のコア債券配分をマルチファクターのソリューションに置き換える上で、弊社のインベストメント・ソリューションズ・グループ(ISG)が果たした役割について述べる。そのソリューションは、債券セクター全体に及ぶバランスの取れたリスク・エクスポージャーを極めて報酬効率的に実現するものである。

今日の金利上昇局面にあって、バリュー投資の形態が変貌し、セクター間と地域間のリターン格差が拡大している。このため、アクティブなバリュー・マネージャーがアウトパフォームする可能性が生まれている。バリュー投資が転換点を過ぎ、2017年にはそれに有利な環境が出来上がっていく理由について論じる。

最後に、バリューに影響を与える環境・社会・ガバナンス(ESG)問題に対して投資家がアクティブな見方をとることに関

心を示すようになっている事例をご覧に入れる。弊社の株式ベータ・リサーチ責任者が、耐久性に富み持続可能なパフォーマンスを目指す望ましいファクター・プレミアムを薄め、重複させないようにしながら、ESG問題に対する投資家の見解をポートフォリオに表現する方法を論じる。資産運用業界は、ESGを資産運用に統合する上での初期段階にあるが、ESG問題はますます重要な分野になっていくものと考えている。ESG問題が長期のリターンに与える影響が顕著なため、世界最大級のインデックス運用会社の一社である弊社はESGをアクティブ・スチュワードシップ・プログラムの目玉に据えた。弊社のインデックス戦略の中で企業とどのように対話をして、持続可能なリターンを生み出すことに注力しているのかを述べる。n

1 イニゴ・フレーザー・ジェンキンス他、「農奴に向かう静かな道: パッシブ運用がマルクス主義よりも悪い理由はなぜか」、Sanford C. Bernstein & Co., LLC(2016年8月)

2 リック・ラカイエ、「資産運用の新しい現実」、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ(2016年3月)

3 アンドリュー・マコラム他、「アクティブ運用に未来はあるか? アクティブ・マネージャーが成熟産業を生き延びるにはどうしたらよいか」、グリニッジ・アソシエイツ(2016年11月)

図表 2 資産クラス間の相関がこの数年間で最低に

Mar2009

2010 2011 2012 Sep2016

201520142013

0.4

0.3

0.2

0.1

0.5

出所:SSGA、インベストメント・ソリューションズ・グループ

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State Street Global Advisors | IQ9

脚光を 浴びる資産 配分

ジェフ・ケリー、CFA リサーチ グローバル責任者インベストメント・ソリューションズ・ グループ

リック・トーマス、CFA ストラテジー・アンド・リサーチ  グローバル責任者インベストメント・ソリューションズ・ グループ

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Q1&2 2017 | Reimagining Active 10

単独の商品ではなく、投資目標を踏まえたマルチアセット型ソリューションに投資家の関

心が移行したことを受けて、より一層掘り下げた資産配分の専門知識の必要性が高まってきている。資産配分は様々な形でアクティブ運用の新しいモデルになってきており、幅広い資産クラスのリスクの根源を理解することで、投資家はより安定的なポートフォリオを構築してリターンを高めることができる。さらに、ポートフォリオにファクターの視点を盛り込めば、投資家は包括的、動的かつ経済的な方法でリスクを低減することも可能となる。以下に紹介する事例は、当社が大手の公的年金基金との間で最近行った債券投資プログラムの再検討に関するもので、ここからファクターのノウハウや資産配分の専門性が非常に重要であることがわかる。

今日の債券指数には広く知られた欠陥があるが、ほとんどの機関投資家はブルームバーグ・バークレイズ・アグリゲート債券指数(「アグリゲート」)かグローバル・アグリゲート債券指数(「グローバル・アグリゲート」)をベンチマークとするアクティブ債券マネージャーを採用し続けている。その採用プロセスは、通常、RFPに続いて、マネージャーによるプレゼンテーションが行われ、投資哲学、運用プロセス、そしてパフォーマンスが説明され、彼らの運用商品が上述の指数を上回るのに最も適していることを投資 家に納得させようとするものである。

しかし、ここで、投資家は果たして伝統的な投資適格債券ベンチマークを出発点として債券投資をすべきなのかどうかという疑問が持ち上がる。現在の金利水準では、投資適格債の予想利回りはほとんどの公的年金プランの経費すら賄えないものと考えられる。さらに、これらの伝統的な投資適格債指数のデュレーションは過去最高水準に達していて、しかも金利が上昇する可能性があるため、公的年金は金利リスクと同等程度の信用リスクを持ったリスク的にバランスのとれた債券ポートフォリオの方を好むであろう。

こうして、より優れた成果に結びつく可能性を検討する上で、ファクターベースの資産配分手法を深く理解しているマネージャーがコンサルタント的な役割を果たすこととなる。このアプローチには柔軟な対応とカスタマイズが要求されるため、一部の資産運用会社にとってはコストの高いビジネスモデルになるだろう。それでも我々は、これが将来のアクティブ運用のあり方だと考えている。

公的年金顧客との対話は、グローバル債券市場がこの10-15年の間に顕著に変わり、標準的な指数が投資家にとって魅力

的でなくなったことを認識するところから始まった。図表1は、主要債券指数のデュレーションが大幅に長期化したことを示している。さらに、グローバル金融危機以降に続けられた巨額の国債発行により、債券指数内ではエージェンシー債やモーゲージ債の比率が減少するとともに、国債の比率が大幅に高まることとなった。そのため、金利が長期的にみて最低水準に達した時に、金利リスクが長期的にみて最高水準に達することになる。以前に誰かがコメントしていたように、米国債はリスクフリー・リターンの源泉からリターン・フリーのリスクの源泉に変わったのだ。

しかし、著名な指数に連動した債券のサブセクターを再構成することにより、より優れた債券ポートフォリオを構築する方法があり、戦略的債券ベンチマークを効率的に構築することができる。米国債、投資適格社債、ハイイールド債やバンクローンなどのサブセクターをファクター・パリティの手法を使って再配分を行う事で、影響力の強いリスク・ファクターのバランスを維持しながら、利回りの向上を図る債券投資が可能となる。

図表1 ブルームバーグ・バークレイズ・グローバルアグリゲート(除く米国)指数と同米国アグリゲート指数のデュレーションは拡大中

%

Dec1990

June1997

Dec2003

Jan2010

Dec2016

ブルームバーグ・バークレイズ・グローバル・アグリゲート債券指数

ブルームバーグ・バークレイズ米国アグリゲート債券指数

6

4

2

8

出所: SSGA ISG、ブルームバーグ・バークレイズのデータを使用。

ポートフォリオにファクターの視点を当てはめれば、投資家は包括的、動的かつ経済的な方法でリスクを低減することも可能になる。

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State Street Global Advisors | IQ11

最初のステップは、債券のリターンを左右する主要なリスク・ファクターを明らかにすることである。そうすれば、最も重要なファクターの間でリスクを均等に案分して分散を図ることができる。そして、これが長期的に高い潜在的なリターンを持つ分散を高めた配分をつくり出す。

債券市場を動かしているリスクプレミアムを理解するためには、まず投資ユニバース全体にまたがる資産クラスリターンを動かす支配的なファクターを特定する必要がある。これは、主成分分析(PCA)と呼ばれる技法を機関投資家が関心を持つ主要な資産クラスに適用することで、達成できる。PCAは相関関係を探して、サブセクターをグループ化して、資産リターンの主要な要因を特定してくれる。PCAは互いに相関を持たない複数の主要ファクターを特定するため、各ファクターははるかに明瞭な結果の解釈につながる独自の情報をもたらしてくれる。

図表2は、マルチアセットのユニバースに対する最初の2つの主成分と、様々な資産クラスの各ファクターに対するウェイトを示している。PCAファクターは、特定される順番に応じて対象資産の変動の説明力を有している。したがって、最初の2つの主成分は、この分析から得られる他のどのファクターよりも対象資産の変動をよく説明する。また、PCAファクターは事前に定義されず、データ分析の結果として得られる物であるため、各ファクターの背後に隠された洞察を明らかにするには、出力結果を解釈する必要がある。

最初のファクターが多くの資産クラスに対してプラスのウェイトを持っていて、これらのウェイトが株式ベースの資産クラスから債券ベースの資産クラスに向かって低下することにお気づきだろうか。我々はこのファクターを「成長性」と呼ぶことにする。

2番目のファクターポートフォリオは、多くの債券資産クラスに大きなプラスのウェイトを示し、その他の資産には最小限のウェイトしか持たないため、金利の強い影響を受けている。このファクターを「期間構造」と名付ける。図表2は、この資産クラスのリターンを動かす最も重要な2つのファクターが、株式の変化(成長性)と金利の変化(期間構造)であることを示している。

果たして、これら2つのリスク・ファクターは債券のリターンにどのように影響を与えるだろうか。次のステップは、グローバル・アグリゲートがこれら2つの主要ファクタ

ーポートフォリオの各々に対してどれだけのエクスポージャーを持っているのかを定量化することである。そのために、グローバル・アグリゲートの過去の月次リターンを、これら2つの主要ファクター・ドライバーの過去のリターン系列に回帰させる。具体的には、グローバル・アグリゲートの米ドル通貨ヘッジ付きのリターンについて分析を行った。こうすることで、リスク分析を惑わせるヘッジなしのグローバル債券リターンに伴うボラティリティを取り除くことが出来る。

図表3は、グローバル・アグリゲートには期間構造に対する大きなエクスポージャー(94.6%)があり、成長性(1.4%)や他の残差ファクターにほとんどエクスポージャーがないことを示している。換言すると、グローバル・アグリゲートは一つの籠にほぼすべての卵を入れているのである。同指数は、期間構造という一つのファクターに大きくエクスポージャーをとっているため、この点を切り離してみると分散されていないエクスポージャーになる。金利上昇を心配していて利回りの低さに不満を持つ投資家は、この指数よりもバランスのとれたリスク特性の方を好むかもしれない。

幸いにも、この同じフレームワークを使えば、グローバル・アグリゲートを他の「純粋な」クレジット資産クラスと組み合わせ、より分散されてリスクのバランスがとれたポートフォリオをつくり出すことが可能である。そのためには、成長性エクスポージャーを期間構造エクスポージャーのレベルまで引き上げることを目的として、株式に感応度を持つ債券資産クラスを

導入することが必要となる。図表4は、投資適格クレジットを20パーセント、多様な投機的クレジット戦略(新興国市場債券、ハイイールド債、バンクローン)の組合せを20パーセント弱追加した場合に、よりバランスのとれたリスク・エクスポージャーがつくり出せることを示している。このようにすると、ポートフォリオは成長性と期間構造の各々に38パーセントのエクスポージャーを持つことになり、レバレッジを利用しないでリスク・パリティ特性が得られる。

このリスク・バランス型のポートフォリオを見れば、いかにファクターベースのツールが資産クラスの再配分に役立ち、実際のリスクを望ましいリスクに合致させて戦略的資産配分を改善できるのかがわかる。この事例では、リスクのバランスをとることにより、金利上昇環境において期間構造リスクから受ける可能性のある損失を緩和できるかもしれない。また、投機的格付けのクレジット・セクターを追加してはいるがファクターベースで考えるとポートフォリオの分散が進んでいるため、これが長期的に計測可能なリスク低減効果を持つはずである。他のメリットとしては、このポートフォリオが利回り特性を高めようとしている点が挙げられる。

クレジットのオーバーウェイトは、実際にアクティブな債券マネージャーが一般的慣行として実践していることである。しかし、我々はシステマティックかつ戦略的に、透明性高く行っているのである。また、我々はこれをアルファと混同もしていない。但し、この種の分析はアクティブ運用の一形態であるとも考えている。新たなツールを用いて債券ベータに対する顧客のエクスポージャーを慎重に再構成することが、アクティブ運用の新たな方向性である点に疑いの余地はない。別のメリットとして、この種のアプローチはインフレ、ボラティリティや為替リスクなどのより狙いを定めたファクターなどに拡張ができる。ここで示した例は、投資家がファクターの視点を持つことにより、ポートフォリオに組み入れたいコアのベータ・エクスポージャーを安価に獲得できる方法へとつなげられる例でもある。各々の投資家は様々な選好とパラメーターを持つため、資産配分を中心とするソリューション・グループが助言、設計、それに実施という3つの重要分野すべてにコンサルテーション・アプローチをとる必要性が高まっている。我々はこれこそが、投資目標を達成すべく汎用のソリューションを超えたソリューションを必要とする機関投資家が今後進むべき道だと考えている。

このリスクをバランスさせたポートフォリオを見れば、いかにファクターベースのツールが資産クラスの再配分に役立ち、実際のリスクと望ましいリスクを合致させて戦略的資産配分を改善できるのかがわかる。

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Q1&2 2017 | Reimagining Active 12

資産クラス 構成比(%)

バークレイズ・グローバル・ アグリゲート

61.3

ユーロ圏社債 10.0

米国社債 10.0

ユーロ・ハイイールド債 2.3

米国ハイイールド債 2.3

米国短期ハイイールド債 4.7

新興国市場現地通貨建て ソブリン債

4.7

米国バンクローン 4.7

構成比は上記の日付時点のもので、変化することがあり、その後の時点では最新と見なしてはなりません。

80.46% 期間構造 4.75% インフレ

4.28% 通貨 1.29% 成長性 9.23% その他

37.69% 成長性 37.64% 期間構造 4.79% 通貨

11.00% インフレ

8.88% その他

図表3 グローバル・アグリゲート指数では 期間構造へのエクスポージャーが圧倒的

図表4 債券セクターでのリスクをバランスさせた配分

出所: SSGA、2016年12月31日時点 出所: SSGA、2016年12月31日時点

新興国市場株式

先進国市場大型株

ユーロ・ハイイールド債

米国転換社債

米国ハイイールド債

新興国市場現地通貨建てソブリン債

米国短期ハイイールド債

米国バンクローン

ユーロ投資適格社債

コモディティ

米国社債

グローバル・アグリゲート債券指数

グローバル・アグリゲート債券指数通貨

先進国市場ソブリン債

ドイツ国債

キャッシュ

米国債ユーロヘッジ

CBOEボラティリティ指数

図表2

新興国市場株式

先進国市場大型株

ユーロ・ハイイールド債

米国転換社債

米国ハイイールド債

新興国市場現地通貨建てソブリン債

米国短期ハイイールド債

米国バンクローン

ユーロ投資適格社債

コモディティ

米国社債

グローバル・アグリゲート債券指数

グローバル・アグリゲート債券指数通貨

先進国市場ソブリン債

ドイツ国債

キャッシュ

米国債ユーロヘッジ

CBOEボラティリティ指数

先進国市場ソブリン債スロープ変化

-1 -0.5 0 0.5 1 -1 -0.5 0 0.5 1

先進国市場ソブリン債スロープ変化

期間構造成長性

出所: 本表では、債券セクター全体の相対的ファクター・ エクスポージャーを反映するため、基準化した単位を使用。

出所: 本表では、債券セクター全体の相対的ファクター・ エクスポージャーを反映するため、基準化した単位を使用。

バークレイズ・グローバル・アグリゲート指数(ヘッジ付き)

より分散化した債券ポートフォリオ

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State Street Global Advisors | IQ13

変貌する バリュー投資の 実像 オリビエ・マクルール、CFA

ファンダメンタル株式、リサーチ・ アナリスト

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Q1&2 2017 | Reimagining Active 14

図表1 米国 - バリュープレミアムとグロースプレミアムの比較 1950年1月~2016年9月

図表1では、アンダーパフォーマンスの期間に水色の影を付けている。過去10年間が運用スタイルとしてのバリューにとって厳しい時期だったことは明白だ。それ以前にも、1940年代後半に始まった最も長いアンダーパフォーマンスの期間があった。その結果、機関投資家の間でバリューは以前ほど意識されていないようだ。そうした疑念も理解できないことはない。しかし、直近のアンダーパフォームした期間を含めても、広範なベンチマークに対して過去65年間に平均3.4%の

バリュープレミアムがあったことも指摘しておく。

よくあることだが、運用スタイルが期待通りの成果を上げなくなった場合、相当に激しい相対パフォーマンスの反発を生じることがある。過去12カ月間に我々が経験したことがまさにそれである。しかし、バリューを新鮮な目で眺めたいと考える人には魅力的な機会があると、我々は考えている。

過去10年間はバリュー投資家にとって試練の時だった。なぜなら運用スタイルとしてのバリューは2007年以降大幅にアンダーパフォームしてきたからだ。特に今回のアンダーパフォーマンスはかなり厳しかったため、オブザーバーの中には、バリュープレミアムは歴史の1ページに葬り去られたと結論づける者もいたほどだ。図表1は、65年間の過去データの中で、米国大型バリューが広範なベンチマークをアンダーパフォームした期間を示している。

出所: ケネス・フレンチ教授(タック・スクール・オブ・ビジネス、ダートマス大学)、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ(SSGA)。 過去のパフォーマンスは将来の運用成果を保証するものではありません。

3.4%

15 months29 8 44 44 74 38 11 81 15

1950 1957 1965 1973 1980 1989 1997 2005 2013

平均プレミアム

-10

-5

-5

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0

米国大型バリュー対米国市場 (5年間ローリング)

5年間相対パフォーマンス

バリューを新鮮な目で眺めたいと考える人には魅力的な機会があると、我々は考えている。

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State Street Global Advisors | IQ15

変化する機会バリュー戦略に投資すると決める際に、投資家はバリューを構成する銘柄の様相が変化していることを認識しておく必要がある。2000年にITバブルが崩壊してからというもの、市場で最も割安なセグメントを形作るセクターと地域は相当な変化を遂げた。MSCI欧州バリュー指数が好例である。図表2が示す通り、2001年まで遡ると、バリュー指数は時価総額で見てはるかに大きい割合を占め、その中心は生活必需品、ヘルスケア、公益事業や電気通信などのディフェンシブなセクターだった。2001年1月の時点では、これら4セクターを合わせて当指数の時価総額の33%を占めていた。ユーロ圏危機の最中だった2011年の終わり頃になると、これらのセクターはMSCI欧州バリュー指数の40%超を占めるようになっていた。しかし、劇的な再評価が起きた結果、今日これらのセクターはわずか18%を占めるに過ぎない。これは過去20年間で最も低い合計シェアに近い。ディフェンシブなセクターが近年バリュー投資の機会集合の中で代表性を失う一方で、素材、資本財・サービスや金融といった景気循環型セクターのシェアが上昇してきた。

セクター構成に変化が生じた理由は何だろうか。中央銀行が介入していた金融危機後の時期に、超低金利の影響も相まって、債券に似た着実なキャッシュフローを持つ企業がバリュエーションのプレミ

アムを得ることになったのである。その結果、一部のセクターでは劇的な再評価が起こり、グローバルなセクター間に極めて大きなバリュエーション格差が生じるとともに、地域のバリュエーションの格差が増大することになってしまった。我々は、この格差が積極的なバリュー投資家に大幅な投資機会を提示していると考えている。

セクターと地域のバリュエーションの格差株価純資産倍率について、今日の状況が過去10年間のレンジのどこに位置しているかを調べると、グローバルセクターのバリュエーションの格差が明白になる(図表3を参照)。情報技術、生活必需品、一般消費財・サービスおよび電気通信セクターのバリュエーションは、株価純資産倍率の10年レンジの上の方で評価されており割安性が薄れてきている。一方、金融やエネルギーなど景気に敏感なセクターの方がより魅力的なバリューを提示している。地域別のバリュエーション格差も同じくらいに大きくなっている。図表4は、北米株式が過去10年間で最も割高な倍率の近くで取引されていることを示している。一方で、ユーロ圏、アジアおよび新興

国市場の倍率は、全般的に魅力的なバリューを提示しているようだ。

積極的なバリュー投資を始める好機グローバルセクターと地域に見られるバリュエーションの格差は、積極的なバリュー投資家が成果を得る好機を生み出している。我々の見解では、セクターと地域のベンチマーク構成比に無頓着になれる投資家は、この環境を利用してベンチマーク相対のアプローチを超えたアルファを追加できるかもしれない。例えば、現在のMSCIワールド指数における北米地域の構成比は約62%だが、アジア太平洋地域は13%強に過ぎない。MSCIワールド・バリュー指数も同様な地域別構成比になっているが、バリュエーションに地域間格差があることは図表4に示した通りである。我 と々しては、地域とセクターの制約条件を付けずに、アクティブシェアを高めた集中化ポートフォリオに投資することが、こうした機会を捉える最も有効な方法であると考えている。

個別銘柄レベルでは、投資機会の集合が変化したということもバリュー投資をはるかに不愉快な経験にしてしまった。低金利の長期化というコンセンサスができるまで、典型的なバリュー投資の投資先は、強力なフランチャイズと安定したキャッシュフローを持つ先進国を本拠地と

図表2 MSCI欧州バリュー指数 - セクター構成

出所: MSCI、ブルームバーグ、SSGA。セクター構成は上記の日付時点のもので、変化することがあり、その後の時点では最新と見なしてはなりません。

January

2001

September

2011

January

2017

nヘルスケア n公益事業 n電気通信 n生活必需品 n情報技術 n一般消費財・サービス  n素材 nエネルギー n資本財・サービス  n金融

100%

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Q1&2 2017 | Reimagining Active 16

図表3 グローバルセクターのバリュエーション格差

株価純資産倍率

金融 公益事業 エネルギー 素材 電気通信 資本財・サービス

一般消費財・サービス

ヘルスケア 情報技術 生活必需品

10年レンジ

現在の株価純資産倍率

0

1

2

3

4

5

MSCIワールドのP/B

出所: MSCI、ファクトセット、SSGA

図表4 地域毎のバリュエーション格差株価純資産倍率

先進国 新興国 北米 欧州 ユーロ圏 アジア太平洋(除く日本)

日本

MSCI ワールドのP/B

10年レンジ

現在の株価純資産倍率

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

出所: MSCI、ファクトセット、SSGA

する企業だった。これらの企業が比較的割安だっただけでなく、キャッシュフローが安定していたため、本源的価値を評価する上で間違う余地も少なかったのだ。

今日では市場内の最も割安なセグメントも景気循環的なキャッシュフローを持つ銘柄が占めており、本源的価値を評価する作業が難しくなっている。バリュー投資家の多くは、投資機会の変化に適応するよりも、彼らにとって気楽な領域の中でバリュエーションが割高な銘柄に目を閉ざすという選択をしてきた。

バリューの様相が変化してきていることから、構造的に毀損している企業と一時

的に収益力が悪化している企業を峻別するために十分なリサーチの人員を投入することが、投資プロセスの中できわめて重要である。システマティックなバリュー投資の手法では、どちらの企業も等しく割安と見なす傾向がある。一方、ファンダメンタル型のバリュー投資家は、良い企業と悪い企業を区別することで付加価値を付ける。景気循環型のセクターは循環的なドローダウンに見舞われるリスクを内包しつつ自らの価値を示す傾向があるため、注意深いファンダメンタルズ面でのデュー・デリジェンスを伴った投資フレームワークが必要となる。業績の悪化を吸収するキャッシュフローの持続性

やバランスシートの健全性は、リスク・リターンのトレードオフを評価するプロセスにおける極めて重要なインプットなのである。事実、企業の将来の収益力を見極めようとしないことが、バリューマネージャーの職業病になっているという点を指摘したい(以下のページの「バリュートラップの回避」を参照)。一言で言い表せば、大抵は割安なだけでは十分でないということだ。

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State Street Global Advisors | IQ17

図表5 MSCIワールド指数の株式バリュエーション格差とMSCIワールド・バリュー指数の相対パフォーマンス

格差: MSCIワールドのP/Bの第5・第1五分位比率 相対パフォーマンス: MSCIワールド・バリュー対MSCIワールド

1997 1999 2001 2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 20170

16

12

8

4

0.8

1.3

1.2

1.1

1.0

0.9MSCIワールドに対するMSCIワールド・バリューのパフォーマンス

格差: MSCIワールドのP/Bの第5・第1五分位比率

出所: SSGA、ファクトセット、MSCI2017年1月時点。過去のパフォーマンスは将来の運用成果を保証するものではありません。指数のリターンは実際に運用されていないため、いかなる報酬や費用も反映していません。指数リターンには、値上がり益と値下がり損、インカムと配当再投資が反映されています。セクターは提示されている日付時点のもので、変わることがあります。ここに示す情報を特定のセクターへの投資や提示する証券の売買の推奨と捉えてはなりません。示されたセクターまたは証券が将来利益を生むかどうかはわかりません。

これからどれだけ上昇余地があるか? 昨年がバリュー投資家にとって良い時期だったことに疑う余地はない。実際、この10年間で初めてMSCIワールド・バリュー指数がより広範なMSCIワールド指数を大幅にアウトパフォームしたのである。eVestmentデータベースによると、2016年にはアクティブ・バリュー・マネージャーの中央値が12カ月中10カ月でアウトパフォームした。我々の計算では、過去5年間でアクティブ・バリュー・マネージャーが示した最良のパフォーマンスでもあった。

当然、このアウトパフォーマンスが持続できるのかどうかが問題になってくる。その答えは、バリュエーション格差に対する歴史的な視点の中にあると我々は考える。セクターと地域のバリュエーション格差が以前に比べて広がっている点については既に見てきた通りである。図表5では、銘柄レベルのバリュエーション格差の分析を示している。ここでは、MSCIワールド指数の最も割高な五分位の株価純資産倍率中央値と最も割安な五分位のそれとを過去20年間にわたり比較している。

過去20年間にバリュエーション格差が極端に振れた時期が2度ある(金色の線)。1990年代終盤にあった1度目はテクノロジーや電気通信銘柄に対する大幅な再評価が牽引したものだった。市場はインターネットの到来によるインパクトへの期待感によって形成された新たなパラダイムに巻き込まれてしまったのだ。2016年6月に頂点に達した2度目も、低金利の長期化や低インフレ、そして基準に満たない経済成長率という新たなパラダイムの受入れがもたらしたものである。1990年代終盤と比べて、最近のバリュエーション格差拡大は、安定したキャッシュフローを持つ企業の再評価が主導した、より広範に及ぶものであった。

図表5に提示するデータから、極端な株価純資産倍率の格差が、逆向きではあるが密接にバリューの相対的パフォーマンスの転換点と関係していることがわかる。株価純資産倍率の格差を一致指標として用いると、この正常化プロセスにはまだ進む余地があることがわかる。バリューがここからアウトパフォームを続ける可能性は十分にある。図表1に戻って

ご覧いただくと、バリューがアンダーパフォームする時期は持続的だが、バリューがアウトパフォームする時期もそうなのである。

皮肉にも、景気循環が成熟しようとしている一方で金利は上昇する見込みとなっているため、循環的な業績悪化リスクが大きいと見られる銘柄はより大きな安全マージンが必要になるかもしれない。我々はこのようなバリュエーションの両極化が、積極的なバリュー投資の可能性を強く裏付けるものであると考えている。 n

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Q1&2 2017 | Reimagining Active 18

我々はバリュートラップ(バリューの罠)を、収益力の低下または資本集約度の増大により、市場が上向きに再評価する可能性が失われた銘柄として定義する。持続可能な収益力が低下すれば、市場評価もそれに伴って低下する公算が高いのである。

この点を図表6が図解している。純資産に対して1.2倍の市場評価を受けている銘柄について調べているとしよう。当初の評価では、その企業が12%の株主資本利益率(ROE)を持続できると考えている。図表6の銘柄Bだ。グラフが強調している通り、この銘柄は割安な領域に深く入り込んでいる。しかし、ファンダメンタル・リサーチを進めるにつれて、12%のROEが到底持続できないことが明らかになる。これは一時的な発展にすぎなかったのだ。実際には、3%のROEの方がより合理的な長期的収益力の評価のように見える(銘柄A)。このベースで考えると、この銘柄は割高に見える。

バリュートラップは、単にバリューマネージャーが陥る職業上の危険性に限らな

い。どのような運用スタイルでも投資に失敗するリスクがある。それでは、我々はどのようにして投資プロセスの中でこのリスクを低減しようとしているのだろうか。

我々は、バリュートラップに対する最大のプロテクションは、売上高や利益率を防衛する堀がどれだけあるかなど、投資先企業の長期的収益力に関する詳細なデュー・デリジェンスによって生み出されると考えている。事業フランチャイズの強さを評価して初めて、長期的収益力の評価が可能になるのである。

我々は、ポートフォリオ保有銘柄が図表6の線の下で右の方にくるようにすることで、バリュートラップのリスクを避けようとしているのである。

図表6 バリューの定義: 市場評価と収益力の間のトレードオフ

バリュートラップの回避

出所: ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ、ファクトセット、MSCI。 説明目的限定。

市場のバリュエーション(株価純資産倍率)

収益力(ROE)

割安銘柄A

3% ROE

銘柄Bバリュートラップ バリュー創造者

2 % ROE

割高 フェアバリュー線

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を併せるジェン・ベンダー博士 リサーチ・ディレクター グローバル・エクイティ・ベータ・ソリューションズ

シォール・スンバイスプレジデントグローバル・エクイティ・ベータ・ソリューションズ

ファクターとESG評価

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Q1&2 2017 | Reimagining Active 20

リスクとリターンを動かす根本要因の研究は、投資家が長期的に有効なファクタープレミアムを

発見するのを助けてきた。それと同様に、環境・社会・ガバナンス(ESG)問題が企業の財務パフォーマンスに与え得る影響の研究も盛んに行われるようになり、投資家がESGのリスクと機会を投資判断に取り入れる方法を理解する一助となっている。認識されているファクターティルトの長期的に有効なプレミアムを捉えるとともに、魅力的なESG特性を持つ企業に投資できるポートフォリオの構築を目指す投資家が増加している。弊社のグローバル・エクイティ・ベータ・ソリューションズのチームが行った最近のリサーチプロジェクトは、長期的に優れたリスク調整後リターンを実現するために長期ファクタープレミアムを捉えたいという願望に妥協することなく、プラスのESG特性を持つ企業に投資する方法を投資家に示した。

問題の核心は、一つの企業においてESGとファクターの評価が必ずしも一致しないことにある。すなわち、ESG格付けの高い企業が、時に望ましからざるファクター特性を持つことがあるのである。同様に、望ましいファクター特性を持つ企業が、投資家が望む適切なESG特性を持たないこともある。幸いなことに、現代のポートフォリオ構築ツールキットがこの問題を解決する有効な方法を与えてくれる。平均・分散オプティマイザーなどのポートフォリオ構築アルゴリズムを使えば、相反する目的を容易にバランスさせ、望みのファクター特性とESG特性を持つポートフォリオを組むことができるのである。

ファクターの定義

バリュー5つの株価対ファンダメンタルズ(収益、キャッシュフロー、売上高、配当、簿価)の正規化スコアの平均値

低ボラティリティトータルリターンの60カ月間分散に負号を付けた値

小型 浮動株調整後時価総額に負号を付けた値

モメンタム直近1カ月を除く過去12カ月間のリターン

クオリティ総資産利益率(ROA)、EPS変動性、長期債務/株主資本の正規化スコアの平均値

ファクターとESGの関係まず、ファクター特性とESG特性とがどのように関連しているのかを理解することが重要だ。SSGAでは、数十年間も研究され長期的に有効なプレミアムを示してきた5つのファクター、すなわちバリュー、低ボラティリティ、小型、モメンタム、クオリティに重点を置いている。右にこれら5つのファクターの定義を示した。まずMSCI ESG格付け(図表1を参照)を用いて、企業の環境、社会およびコーポレート・ガバナンスの達成度を反映させ、その格付け区分ごとにファクターエクスポージャーを分析する。ファクターエクスポージャーはユニバース全体(この場合はMSCIワールドのユニバース)で単純に正規化している。

ファクターエクスポージャーを経時的に比較すると、ESG格付けの高い銘柄のファクター特性がどのように変わるのかがわかる(5個すべてのファクターの2011年と2016年の比較は次ページを参照)。例えば、2016年12月31日時点では、高いESG格付けを得た企業はプラスのバリューエクスポージャーを持つ。格付けの高いAAAとAA区分を保有すれば、投資家は相対的に割安な銘柄へのエクスポージャーを得ることになる。格付けの低いCCC区分も非常に割安だが、投資家がMSCIワールド指数構成銘柄すべてを保有するように強いられない限り、同じポートフォリオにバリューとESGのテーマを共に捉える投資家の能力には影響を与えない。

実際にCCC評価の企業は、2011年には非常に割高だった。それに対して、AAAとAAに評価された企業はその時点から現在に至るまで割安である。

続いて、この見方を2011年と2016年の12月末時点における他のファクター(モメンタム、クオリティ、低ボラティリティ、小型)に広げる。この分析からわかることは、高いESG格付けを得た銘柄は、過去においても現在もマイナスのモメンタム、高クオリティ、低ボラティリティ、そして大型の特性を持ってきたということだ。

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State Street Global Advisors | IQ21

バリュー* モメンタム*

2011†2016^^

図表 1 MSCI ESG格付け

MSCIはESGの判断基準を用いてAAAからCCCまでの範囲で銘柄にスコアを付ける。企業または発行体のピアグループの中で得られる最高の格付けがAAAで、最低がCCCである。株式では、MSCI ESG格付けは6,000銘柄以上をカバーしている。債券では、11,000の発行体をカバーしている。

* ESG格付けごとの平均エクスポージャー

† 出所: SSGA、MSCI。格付けは2011年12月31日時点。

^ 出所: SSGA、MSCI。格付けは2016年12月31日時点。 -0.17

-0.15CCC CCC

B B

BB BB

BBB BBB

A A

AA AA

AAA AAA

0.23

0.05

-0.10

-0.09

-0.04

0.03

-0.09

0.01

0.05

-0.05

-0.04

0.03

0.00

0.13

-0.04

-0.06

0.10

0.00

0.14

-0.12

0.11

-0.290.06

-0.04

0.23

-0.08

ESGの関係ファクターと

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Q1&2 2017 | Reimagining Active 22

ファクターエクスポージャーを経時的に比較すると、ESG格付けの高い銘柄のファクター特性がどのように変化し、調整されるかがわかる。

小型*

-0.23CCC

B

BB

BBB

A

AA

AAA

0.05

0.18

0.09

-0.07

-0.10

0.06

0.04

0.00

-0.04

-0.01

-0.27

-0.18

-0.07

低ボラティリティ*

-0.07CCC

B

BB

BBB

A

AA

AAA

-0.34

-0.26

-0.01

0.01

0.18

-0.11

-0.28

-0.03

0.04

0.20

0.34

0.19

0.23

クオリティ*

-0.13CCC

B

BB

BBB

A

AA

AAA

-0.03

0.04

-0.06

0.07

-0.04

-0.06

-0.06

0.05

0.01

0.04

0.34

0.15

0.04

2011†2016^^

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State Street Global Advisors | IQ23

オプティマイザーを使用すれば、希望のESGとファクターエクスポージャーを効果的にバランスさせることができる。

ファクターとESGを共に満たすポートフォリオの構築前掲のグラフは、高いESG格付けを持ちながら投資家が望むファクターエクスポージャーを持つポートフォリオを構築するのに必要な洞察を与えている。例えば、我々が構築するマルチファクター・スマートベータ・ポートフォリオは、高モメンタム、高クオリティ、低ボラティリティ、小型、そして高バリュー(割安)の企業へのエクスポージャーを追求する。それは、これらのファクターに伴うプレミアムが過去20年超にわたりプラスだったからだ。

前のセクションで見たように、高いESG格付けを持つ銘柄は、これまで高バリュー、マイナスのモメンタム、高クオリティ、低ボラティリティ、それに大型の銘柄だった。

望まれる5つのプレミアムを目標とするマルチファクター・ポートフォリオにとって課題になってくるのが、プラスのモメンタムと小型株バイアス(ESG格付けの高い企業が本来的に持たないエクスポージャー)を維持しながら、高いESG格付けを持つ企業をポートフォリオに組み入れる点にある。

オプティマイザーを使用すれば、希望のESGとファクターエクスポージャーを効果的にバランスさせることができる。それがどのようにして実現されるのかを示すため、説明目的に限定して両方の目的を満たそうとするモデルポートフォリオを作成するとしよう(2016年12月31日のデータを用いる)。まず、MSCIワールド指数から最低のESG格付けであるCCCの銘柄を除外する。次に、ファクターエクスポージャーを最大化しながら、このユニバースに平均・分散最適化を適用する。ここで、通常のリターン入力はファクタースコアで置き換える。この演習の主眼はパフォーマンス計測ではなく、投資家が目標とするESG特性とファクター特性の両方を揃えることにある。(各銘柄のファクタースコアは、5つの個別ファクターエクスポージャー、例えば、バリュー、小型、低ボラティリティ、モメンタムとクオリティの正規化スコアの均等加重合成値である。)図表2に示した複数の制約条件も適用する。

このポートフォリオ構築演習の結果を図表5に示す。まず、このポートフォリオを、全ユニバースから出発したポートフォリオと比較すると、第1列と第2列の間で落ちるエクスポージャーはわずかである(全ユニバースから出発したポートフォリオからCCC区分を除外したものに移行)。し

かし、CCC格の企業が51社しかないので、次にESG格付けの低い方から2区分、CCC格とB格の企業を除外する。この場合の開始ユニバースには1,341銘柄があり、結果として得られる最適化ポートフォリオは強力なファクターエクスポージャーを維持し続ける。ただし、モメンタム、小型とバリューに対するエクスポージャーがすべて制約条件による一定の値となっている。それらのファクターすべてが制約を受けている(0.50は強いシグナルで、オプティマイザーがとることを許される最低のエクスポージャー)という事実は、ユニバースの中の企業(BB格以上)が、既に触れたように、低いモメンタムを持つ大型株に偏る傾向があることを反映している。最後の列では、CCC、B、BBとBBB格を除外し、最高のESG格付けを持つA、AAとAAA格だけを組み入れている。すると、すべてのファクターに制約条件が適用されるが、0.50のファクターエクスポージャーは依然として非常に高い。こうして、望まれる重要なファクターエクスポージャーを維持すると同時に、高いESG格付けを持つ銘柄を積極的に組み入れることができるのである。

セクターMSCIワールド指数に対して+/- 5%

国+/- 5%

ファクターエクスポージャー 最小: 0.5 最大: 1.0

流動性最小購入金額 5bp 最大購入金額 20日間1日平均出来高 (ADV)の20%

図表 2 ポートフォリオ最適化設定の制約条件

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Q1&2 2017 | Reimagining Active 24

最適化前の開始ユニバースの銘柄数2 1560 1509 1341 690PORTFOLIO CHARACTERISTICS

事前予想TE(%) 2.84 2.83 2.80 3.60

事前予想ベータ 0.89 0.90 0.90 0.90

予想リターン 3 0.65 0.63 0.59 0.50

銘柄数 151 158 151 100

EXPOSURES

低ボラティリティ 0.81 0.74 0.66 0.50

モメンタム 0.52 0.50 0.5 0.50

クオリティ 0.92 0.89 0.81 0.50

小型 0.50 0.50 0.5 0.50

バリュー 0.52 0.50 0.5 0.50

全ユニバース CCを除外 CCCとBを除外 CCC、B、BBとBBBを除外

1 事前予想特性、MSCIワールドのユニバース、2016年12月31日時点。2 最適化プロセスを経た結果、銘柄数が減少する。3 この演習では通常のリターン入力をファクタースコアで置き換えているため、予想リターンは加重平均ファクタースコアです。

過去のパフォーマンスは将来の運用成果を保証するものではありません。

図表5 ESGマルチファクター・ポートフォリオ1

リターンが低下した環境下でリターンを高めようとする投資家が、長期的に有効なファクタープレミアムに向けたポートフォリオのティルトを追求すると同時に、一層持続可能なポートフォリオ・パフォーマンスを目指してESGのリスクと機会に関する見方も取り入れられることを、本リサーチは示している。

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State Street Global Advisors | IQ25

積極的スチュワー ドシップ持続可能 な価値 ラキ・クマー

ESG投資および 資産スチュワードシップ責任者

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Q1&2 2017 | Reimagining Active 26

投資先企業の経営陣に同意できない場合に売却することができるアクティブマネージャーと異なり、パッシブマネージャーは投資するかしないかの意思表示ができないため、恒久的資本に近い存在になる。企業が指数に組み込まれている限り、ポートフォリオに保有し続けるのである。この長期保有こそが、当社の規模とグローバルな展開と相まって、当社の企業評価の能力とポートフォリオ企業に対する影響力を高めている。グローバル投資家として当社は、長期的価値に影響を及ぼすことがある環境・社会・ガバナンス(ESG)のリスクと機会に関して、産業と国にまたがって、他にはないトップダウンの優れた視野を持っている。効果的で独立性のある取締役会のリーダーシップを確保することが当社の主なフォーカスである。アクションを起こさない受け身の姿勢や敵対的対応ではなく、積極的なエンゲージメントこそが、当社のアプローチにある顕著な特徴である。この忍耐強く一貫したエンゲージメントを通じ、対話を通じた意見表明と議決権の両方を用いて、資本を長期にフォーカスさせ、当社の顧客と経済全般に前向きの変化を起こそうとするのである。

当社はインデックス戦略により数千社の企業に投資を行うため、当社の影響力を最大化すべく焦点を当てる問題点と企業を判断するフレームワークを開発した。当社ポートフォリオにおける保有の規模、セクター内で比較したときの長期財務パフォーマンスの貧弱性、市場や業界の基準への対応の遅れ、そしてESGに関わるリスクに結びついた問題の発生といった数々のファクターに優先順位を付けることで、当社のエンゲージメントの効果を高めるのである。

例えば、石油・ガス会社に焦点を当てたセクタープロジェクトの場合、原油価格の下落、ロシア、アフリカや中東の地政学的リスクとともに、気候変動、座礁資産や炭素排出量削減を巡る議論の継続に企業がどのように対処しているのかを探求した。台湾のパッケージ食品企業との対話では、サプライチェーンの中での食品安全性の監視が議論の中心だった。衣料品セクター企業との会合では、労働のサプライチェーンと防火安全性基準を改善する方法を提起した。環境基準について様々な企業と多年にわたる対話を続けた後には、水圧破砕や水と廃棄物管理の慣行を巡る報告の質と透明性に大幅な改善が見られた。

世界中の取締役との数百回もの面談に加えて、当社では毎年特定のESG問題を巡る詳細なガイダンスを発行し、当社のエンゲージメントと議決権行使に関する四半期報告を発行している。エンゲージメントは双方向の対話であるため、当社の見解、期待や投票判断について、ポートフォリオに組み入れてある企業に最大限の透明性を提供するよう努めている。また、当社は他の資産運用会社やアセットオーナーと共に、良好なガバナンスを推進し、長期投資家の株主利益を保護することを目指す原則を作成している。最近、当社はアセットオーナーと運用会社の多年にわたる共同作業の陣頭指揮をとり、インベスター・スチュワードシップ・グループの一員として、一連の包括的なスチュワードシップとガバナンスの原則に結実させた。1

SSGAが積極的に取り組んでいる最重要分野の一つが、インデックス戦略に投資する顧客向けに当社が開発した資産スチュワードシップ・プログラムである。この積極的な形態をとるスチュワードシップは、顧客の求める魅力的な長期リターンを生み出す能力に影響を与えかねない問題について指数採用企業に働きかけ、顧客の目的を達成する支援を行うことを目指している。

この忍耐強く一貫したエンゲージメントを通じ、対話を通じた意見表明と議決権の両方を用いて、資本を長期にフォーカスさせ、当社の顧客と経済全般に前向きの変化を起こそうとするのである。

長期にフォーカス 影響力の最大化 ESG問題に関するガイダンス

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あらゆるESG問題について企業との対話を行う一方で、当社としての包括的なガバナンスのフォーカスは、長期的価値創出の最小限の要件としての効果的で独立した取締役会のリーダーシップに置かれている。これはすなわち、経営陣が長期的戦略を明瞭に語り執行するのを助け、経営陣に説明責任を果たさせる独立性を持つために、取締役会が正しい技能と考え方の多様性を持つことを意味する。当社は最近、幅広い視点を得る一つの方法として、取締役会に性別の多様性を強化するように呼びかけた。

当社の見解では、長期間にわたって経営にコミットし、かつ経営陣からの独立性を保った強固で効果的な取締役会は、顧客のための魅力的な成果につながる可能性が高い。また、それは恐らく市場やその他の勢力が企業の経営陣に与える沢山の短期的圧力に対する最も効果的な対抗勢力になるものである。過去2-3年の間に、当社は取締役会のガバナンス問題に関する豊富なガイダンスを発行してきた。2

今年、当社では企業に環境と社会の持続可能性に関わるリスクと機会に着目するよう要請している。3 これらには、思いつくだけでも、気候変動、水と廃棄物の管理、サプライチェーン・マネジメント、安全性問題、職場の多様性と人材育成といった分野が含まれる。こうした問題の多くは、本来的に長期の性格を持つため、今年になって当社は、これらがどのように事業に影響を及ぼすのかを検討するよう呼びかけた。

当社がこれらの課題に対する明確な答えを持っている訳ではなく、業界ごとに様々な問題に直面していることも認識しているが、取締役会が他の事業リスクを考慮しているように、これらの潜在的な影響を考慮すべきだと考えている。

2014年以降、気候変動が当社のエンゲージメントの優先的な論点になってきた。昨年は、特定セクターにおける気候変動に伴う様々な種類の物理的、規制上、そして経済的なリスクを取締役会が捕捉して評価できるようにするフレームワークをつくり上げた。また、企業による気候変動リスクの評価とそれに対処する準備を効果的に監督するために取締役会がすべきことのガイダンスを提供した。4 さらに、当社の議決権行使を、ポートフォリオ組入れ企業に対して当社が伝えてきた原則と一致させるよう努めてきた。当社は議決権行使においてケース・バイ・ケースの判断を行うが、企業の情報開示、慣行および取締役会のガバナンス構造が不十分と考えれば、気候変動に対処する株主提案の決議を支持する。それが、業界の中で当社が他と異なる行動をとった、2016年における当社の気候変動に関する決議投票の背景にある論拠だった(図表1を参照)。

効果的で独立した 取締役会のリーダ ーシップ

環境と社会の 持続可能性

11%

39%

気候変動 温室効果ガス(GHG)排出

66%

17%

17%

サステナビリティ報告

72%

14%

14%

50%

25%

図表1 主要な環境関連提案へのSSGAの議決権行使記録

賛成票

棄権

反対票

水圧破砕

28件 18件 14件 14件

50%

出所: SSGAコーポレートガバナンス・チーム、2016年12月21日時点。 25%

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Q1&2 2017 | Reimagining Active 28

当社はこれらの問題について過去2-3年間にわたり企業と対話を持ってきた中で、企業がESGの影響を考慮する様々な方法を見てきた。多くの場合、新製品、新規事業や能力に投資することで将来に向けた成長とイノベーションを牽引するため、企業が率先して持続可能性問題に取り組んでいる素晴らしい事例であった。しかし、一方でESG問題を完全に無視している企業の例も見てきた。当社がこれらの問題について文書や対話を通じて発信を行ってきたことで、特に2016年に当社が気候変動に対する取り組みに関する株主提案を支持する投票を行ってからは、取締役会から当社に対し、どうしたら持続可能性の観点を長期戦略に取り入れることができるのか、助言を求められることもでてきた。

その回答として、当社が提案したのが、取締役会が持続可能性の観点を長期戦略に取り入れる手始めに利用できる一連の質問である(図表2)。

当社の側では、持続可能性に対する企業のアプローチを評価するため、3つの主

要分野における進捗に従って企業を分類する作業に着手した。

• その企業は、自社の事業に関係する重大な環境および社会の持続可能性問題を特定したか?

• その企業は、これらについて徹底的に評価する作業を行い、必要に応じて、その影響を長期戦略に取り入れたか?

• その企業は、持続可能性問題に対するアプローチとそれが戦略に与える影響について、十分な報告を行ってきたか?

より多くの企業と取締役会が、これら3つの分野に着目し取り組む事が、ESG問題を事業の視点から考慮する方法の劇的な改善につながると考えられる。そのことは、ESG投資の発展に伴い、投資マネージャーがESGを投資プロセスの中の意味のある要素にするために必要となる企業データを生み出す上でも役に立つだろう。

SSGAの積極的スチュワードシップの実践は、当社のESGプログラム全体の中で中心的な部分を占める。その実践は、今

後もESGのリスクと機会を当社の運用戦略に取り込むためのリサーチ活動ならびに継続中のESG商品開発へのインプットとなり続けるだろう。顧客資産を守る長期のスチュワードとして、様々なESG問題に対する当社の積極的エンゲージメントは、多くの企業が長期的な視点に立ち、顧客が投資を望むような将来の繁栄をつくり出すのに役立っていくと考えている。 n

1 詳しくは、www.isgframework.org まで2 「効果的な独立性のある取締役会のリーダーシッ

プのガイドラインと特性」、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ(2016年2月)

3 「持続可能性を長期戦略に取り入れる」、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ(2017年1月26日)

4 ラキ・クマーおよびマイケル・ユーニス、「取締役のための気候変動リスク監視のフレームワーク」、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ(2016年6月6日)

その企業は、持続可能性問題を分析して、該当すれば自社の長期戦略に組み入れ

たか?

取締役会は、主要な持続可能性ドライバーを業績評価と報酬のプログラムに取り入れているか?

その企業は、長期的持続可能性のトレンドを資本配分の判断に際して考慮しているか?

取締役会は、その企業の長期戦略の持続可能性の側面を十分に評価して監督する用意があ

るか?

企業の報告では、持続可能性問題が戦略に与える影響を明確に述べているか?

図表2 持続可能性問題への対処

出所: SSGAコーポレート ガバナンス・チーム、 2016年12月21日時点。

その企業は、自社の事業に重大な影響を与える持続可能性問題を特定し

たか?

取締役会 への質問

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State Street Global Advisors | IQ29

ESGを アクティブ・ グローバル 株式運用に 取り込む

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Q1&2 2017 | Reimagining Active 30

Case Study

アセットオーナー 地域 運用資産残高スーパーアニュエーション退職貯蓄ファンド

オーストラリア

4億5,000万豪ドル

数十年もの間、オーストラリアは退職プランにおけるイノベーションに関して最先端に位置してきた。1990年代初に全員参加型のスーパーアニュエーション制度を採用したオーストラリアは、従業員の拠出を義務づけ、給与所得を繰り延べる機会も与えた。スーパーアニュエーション・ファンドは、ESGを投資オプションに統合することにも関心を示すようになった。以下のケーススタディでは、SSGAがオーストラリアのスーパーアニュエーション・ファンドと共同で、ESGの視点を取り入れたグローバル株式運用を開発し、運用した実績を紹介する。

取り組むべき課題スーパーアニュエーション・ファンドは、加入者に自身の価値観を反映した投資の選択肢を提供する。グローバル・コア株式運用のベンチマークは、MSCIワールド除くオーストラリア指数からタバコ産業を除外したものである。このベンチマークが、当ファンドにおけるグローバル株式部分にESG戦略を統合する出発点となる。

スーパーアニュエーション・ファンドは、2001年から加入者に持続可能な投資オプションを提供してきた。2013年に、同ファンドはグローバル・コア株式の運用方法を新たな観点で見直し、同運用にESGの判断基準を取り入れる革新的でアクティブなアプローチをSSGAに依頼した。高いESG格付けを持つ銘柄が持つ上値余地の獲得に関心を抱いた顧客は、同時にMSCIワールド除くオーストラリア指数からの年間リターンの乖離を±1-2%に抑えることも望んだ。

ESGを活用して持続可能なリターンを追求ケーススタディ

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State Street Global Advisors | IQ31

顧客との対話SSGAは同ファンドの運用チームと共に、その優先事項やガイドラインを理解すべく緊密に連携した。我々は、バリュー、クオリティ、それにモメンタムといった伝統的なファクタープレミアムとともに、総合的銘柄ランキングシステムの一部としてESG基準の使用を含めることを推奨した。我々の推奨は、ESGシグナルの強度に従って、アルファモデルにおけるESG基準のウェイトが経時的に若干変動するものだった。このアプローチによって、静的ウェイトやESGを根拠に銘柄を除外する場合に比べてESGのペイオフを動的に捉えることが出来ると、我々は考えた。

当社からの提案2014年に、我々は、ESG基準による株式ランキングを取り入れたグローバル・コア株式の運用を開始した。同運用の際立った特徴は、ESGのテーマ自体を純粋に財務上の利点と見なす点にある。高いESGスコアを得る銘柄は、従来型のバランスシート分析における高クオリティ銘柄になることが多い。株式市場が神経質になると、しばしば高クオリティ銘柄の需要が高まる。その結果、相場の変動増や下落を受けて、投資家がクオリティを求めている時期には、ESG格付けの高い銘柄(およびその他の高クオリティ銘柄)の需要が一層高まることになる。反対に、上昇相場において投資家が高リスク資産を求めている時期には、クオリティ銘柄の需要がしばしば低下する。そのため、我々は強気相場ではESGランキングを余り重視しない。相場の状況に基づきESGシグナルを加減する柔軟性を持つことで、相場サイクルの様々な局面を利用することができる。

第一になんと言っても、当戦略はESG格付けをパフォーマンス強化のために使お

うとしている。同時に、我々の総合的銘柄選択モデルにESG格付けを取り入れることにより、一定程度のリスク管理も提供できる。グローバル・コア株式戦略は、市場全体に対してかなり精密に連動するように設計されているため、ESG基準をアクティブ・クオンツモデルに組み入れても市場全体の下落に対する緩衝材にはならない。しかし、ESGリスクに特に弱い個別企業へのエクスポージャーを削減する上で役立つ可能性がある。

データ主導による我々のシステマティックなアプローチは、グローバル・コア株式運用において良好な結果をもたらした。2016年末までの3年間において、当運用戦略はベンチマークを一貫してアウトパフォームした。ESG基準をアクティブ・クオンツモデルの中で他の財務指標と組み合わせることで、引き続き長期的にアウトパフォームする可能性がもたらされる。ESGを投資戦略に取り入れることでパフォーマンスが向上するとともに、リスク管理にも役立つという実証結果が増えるに従って、幅広い機関投資家と個人投資家の間で関心の高まりが見られることに期待している。

ESG基準を他の財務指標と組み合わせることで、引き続き長期的にアウトパフォームする可能性がもたらされる。

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Q1&2 2017 | Reimagining Active 32

State Street Global Advisors Worldwide Entities

Australia: State Street Global Advisors, Australia, Limited (ABN 42 003 914 225) is the holder of an Australian Financial Services Licence (AFSL Number 238276). Registered office: Level 17, 420 George Street, Sydney, NSW 2000, Australia. T: +612 9240 7600. F: +612 9240 7611. Belgium: State Street Global Advisors Belgium, Chaussée de La Hulpe 120, 1000 Brussels, Belgium. T: 32 2 663 2036. F: 32 2 672 2077. SSGA Belgium is a branch office of State Street Global Advisors Limited. State Street Global Advisors Limited is authorised and regulated by the Financial Conduct Authority in the United Kingdom. Canada: State Street Global Advisors, Ltd., 770 Sherbrooke Street West, Suite 1200 Montreal, Quebec, H3A 1G1, T: +514 282 2400 and 30 Adelaide Street East Suite 500, Toronto, Ontario M5C 3G6. T: +647 775 5900. Dubai: State Street Bank and Trust Company (Representative Office), Boulevard Plaza 1, 17th Floor, Office 1703 Near Dubai Mall & Burj Khalifa, P.O Box 26838, Dubai, United Arab Emirates. T: +971 (0)4 4372800. F: +971 (0)4 4372818. France: State Street Global Advisors France. Authorised and regulated by the Autorité des Marchés Financiers. Registered with the Register of Commerce and Companies of Nanterre under the number 412 052 680. Registered office: Immeuble Défense Plaza, 23-25 rue Delarivière-Lefoullon, 92064 Paris La Défense Cedex, France. T: (+33) 1 44 45 40 00. F: (+33) 1 44 45 41 92. Germany: State Street Global Advisors GmbH, Brienner Strasse 59, D-80333 Munich. Authorised and regulated by the Bundesanstalt für Finanzdienstleistungsaufsicht (“BaFin”). Registered with the Register of Commerce Munich HRB 121381. T: +49 (0)89 55878 400. F: +49 (0)89 55878 440. Hong Kong: State Street Global Advisors Asia Limited, 68/F, Two International Finance Centre, 8 Finance Street, Central, Hong Kong. T: +852 2103 0288. F: +852 2103 0200. Ireland: State Street Global Advisors Ireland Limited is regulated by the Central Bank of Ireland. Incorporated and registered in Ireland at Two Park Place, Upper Hatch Street, Dublin 2. Registered Number: 145221. Member of the Irish Association of Investment Managers. T: +353 (0)1 776 3000. F: +353 (0)1 776 3300. Italy: State Street Global Advisors Limited, Milan Branch (Sede Secondaria di Milano) is a branch of State Street Global Advisors Limited, a company registered in the UK, authorised and regulated by the Financial Conduct Authority (FCA ), with a capital of GBP 71’650’000.00, and whose registered office is at 20 Churchill Place, London E14 5HJ. State Street Global Advisors Limited, Milan Branch (Sede Secondaria di Milano), is registered in Italy with company number 06353340968 - R.E.A.

1887090 and VAT number 06353340968 and whose office is at Via dei Bossi, 4 - 20121 Milano, Italy. T: 39 02 32066 100. F: 39 02 32066 155. Japan: State Street Global Advisors (Japan) Co., Ltd., Toranomon Hills Mori Tower 25F 1-23-1 Toranomon, Minato-ku, Tokyo 105-6325 Japan. T: +81 3 4530 7380. Financial Instruments Business Operator, Kanto Local Financial Bureau (Kinsho #345), Membership: Japan Investment Advisers Association, The Investment Trust Association, Japan, Japan Securities Dealers’ Association. Netherlands: State Street Global Advisors Netherlands, Apollo Building, 7th floor Herikerbergweg 29 1101 CN Amsterdam, Netherlands. T: 31 20 7181701. SSGA Netherlands is a branch office of State Street Global Advisors Limited. State Street Global Advisors Limited is authorised and regulated by the Financial Conduct Authority in the United Kingdom. Singapore: State Street Global Advisors Singapore Limited, 168, Robinson Road, #33-01 Capital Tower, Singapore 068912 (Company Reg. No: 200002719D, regulated by the Monetary Authority of Singapore). T: +65 6826 7555. F: +65 6826 7501. Switzerland: State Street Global Advisors AG, Beethovenstr. 19, CH-8027 Zurich. Authorised and regulated by the Eidgenössische Finanzmarktaufsicht (“FINMA”). Registered with the Register of Commerce Zurich CHE-105.078.458. T: +41 (0)44 245 70 00. F: +41 (0)44 245 70 16. United Kingdom: State Street Global Advisors Limited. Authorised and regulated by the Financial Conduct Authority. Registered in England. Registered No. 2509928. VAT No. 5776591 81. Registered office: 20 Churchill Place, Canary Wharf, London, E14 5HJ. T: 020 3395 6000. F: 020 3395 6350. United States: State Street Global Advisors, One Lincoln Street, Boston, MA 02111-2900. T: +1 617 786 3000.

投資には、元本を損なうなどのリスクがあります。本資料の全体あるいは一部を、SSGAからの明示的な書面による同意なしに、複製、複写、または発信、あるいはそのいかなる内容も第三者に開示することを禁じます。本資料に含まれている情報は投資助言ではなく、そのような取り扱いにおいて信頼できるものではありません。また、これらを、特定の証券を購入する勧誘とも売却する提案ともみなすべきではありません。これらはいかなる特定の投資家の投資目的、投資戦略、課税状況や投資期間も考慮していません。本件につきましては、税理士および財務アドバイザーにご相談ください。すべての資料は信頼できると考えられる情報源から入手しております。但し、本資料は情報の正確性に関するいかなる表明又は保証もしておらず、ステート・ストリートはこれら

の情報に基づく投資判断に関していかなる責任も負いません。本資料に示されている内容は2017年3月15日現在の各執筆者の見解であり、市場及び他の条件によって変更される場合があります。本資料には将来予測とみなされる一定の情報が含まれていますが、そうした見解は将来の運用成果を保証するものではなく、実際の結果や展開はそうした予想とは大きく異なる可能性があります。株式は価格変動が大きく、広範囲に及ぶ市場環境と経済状況に応じて大きく下落することがあります。分散投資により利益を確保したり損失に対する保証が得られたりする訳ではありません。本資料で参照している商標やサービスロゴは、それぞれの所有者の知的財産です。第三者のデータ提供者は、データの正確性、完全性や適時性に関するいかなる種類の保証を表明しておらず、そうしたデータの利用に関連して発生したいかなる種類の損害についても責任を負いません。時価総額が大きい企業では、市場環境や経済状況によって、評価が異なります。大企業の方が時価総額が小さい企業に比べて、株価の変動が小さくなる傾向があります。こうした潜在的なリスクの低さと引き換えに、大企業の株価は小さな時価総額を持つ企業ほどには上昇しない場合があります。中小型企業への投資には、大型で知名度の高い企業への投資よりも大きなリスクがあります。外国籍の証券に投資した場合、為替の不利な変動による投資資金の喪失、源泉税、一般に公正妥当と認められている会計原則の相違、あるいは他の国における経済的もしくは政治的不安定性に起因するリスクが伴う可能性があります。新興国もしくは発展途上国市場への投資は、先進国市場への投資に比べて変動が大きく、流動性が低い場合があり、また一般的に多様性や成熟性に欠ける経済構造や先進国よりも不安定な政治体制に対するリスクが含まれます。参照されているすべての指数パフォーマンス結果は、相対比較を目的に限定して提示されていますが、特定の投資の代表パフォーマンスと想定すべきではありません。

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State Street Global Advisors | IQ33

CONTACTSAUSTRALIAState Street Global Advisors, Australia Ltd. Level 17, 420 George Street Sydney, NSW 2000

T +612 9240 7600 F +612 9240 7611(ABN 42 003 914 225) is the holder of an Australian Financial Services Licence (AFSL Number 238276).

BELGIUMState Street Global Advisors Belgium Chausse de la Hulpe 120 1000 Brussels, Belgium

T +32 (0)2 633 2036 F +32 (0)2 672 2077State Street Global Advisors Belgium is a branch office of State Street Global Advisors Limited. State Street Global Advisors Limited is authorized and regulated by the Financial Conduct Authority in the United Kingdom.

CANADAState Street Global Advisors Ltd. 770 Sherbrooke Street West, Suite 1200 Montréal, Quebec, H3A 1G1

T +1 514 282 2400 F +1 514 282 3048

State Street Global Advisors Ltd. 30 Adelaide Street East, Suite 500 Toronto, Ontario M5C 3G6

T +647 775 5900 F +647 775 6800

FRANCEState Street Global Advisors France Immeuble Défense Plaza 23–25 rue Delarivière-Lefoullon 92064 Paris La Défense Cedex

T (+33) (0) (1) 1 44 45 40 00 F (+33) (0) (1) 1 44 45 41 92Authorized and regulated by the Autorité des Marchés Financiers. Registered with the Register of Commerce and Companies of Nanterre under the number 412 052 680.

GERMANYState Street Global Advisors GmbH Brienner Strasse 59 D-80333 Munich

T +49 (0)89 55878 100 F +49 (0)89 55878 440

HONG KONGState Street Global Advisors Asia Ltd. 68th Floor Two International Finance Centre 8 Finance Street Central, Hong Kong

T +852 2103 0288 F +852 2103 0200

IRELANDState Street Global Advisors Ireland Ltd. Two Park Place, Upper Hatch Street Dublin 2

T +353 1 776 3000 F +353 1 776 3300State Street Global Advisors Ireland Limited is regulated by the Central Bank of Ireland.

ITALYState Street Global Advisors Ltd. Sede Secondaria di Milano Via dei Bossi, 4 20121 Milan

T +39 02 32066 100 F +39 02 32066 155

JAPANState Street Global Advisors (Japan) Co. Ltd. Toranomon Hills Mori Tower 25F1–23–1 Toranomon, Minato-ku Tokyo 105–6325 Japan

T +813 4530 7380 F +813 4530 7364

NETHERLANDSState Street Global Advisors Netherlands Ltd. Apollo Building, 7th floor Herikerbergweg 29 1101 CN Amsterdam

T +31 (0) 20 7181701 F +31 (0) 20 7087329A branch office of State Street Global Advisors Limited; authorized and regulated by the Financial Conduct Authority in the United Kingdom.

SINGAPOREState Street Global Advisors Singapore Ltd. 168 Robinson Road, #33–01 Capital Tower Singapore 068912

T +65 6826 7500 F +65 6826 7501 Company Reg. No: 200002719D

SWITZERLANDState Street Global Advisors AG Beethovenstrasse 19 Postfach, CH–8027 Zurich

T +41 (0)44 245 70 00 F +41 (0)44 245 70 16

UNITED ARAB EMIRATES State Street Bank and Trust Company (Representative Office) Boulevard Plaza 1, 17th Floor Office 1703, PO Box 26838 Dubai, United Arab Emirates

T +971 (0)4 437 2800 F +971 (0)4 437 2818

UNITED KINGDOMState Street Global Advisors Ltd. 20 Churchill Place Canary Wharf, London, E14 5HJ

T +020 3395 6000 F +020 3395 6350Authorized and regulated by the Financial Conduct Authority. Registered in England, Number 2509928; VAT No. 5776591 81.

UNITED STATESState Street Global Advisors State Street Financial Center One Lincoln Street Boston, MA 02111–2900

T +1 617 664 7727 F +1 617 664 4024

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当社についてほぼ40年近くにわたり、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズは、弊社のお客様と、お客様を拠り所とする人々の資産運用管理に携わって参りました。弊社は、世界最大級で、豊富な投資知識と経験を持つ数多くの投資家および金融機関と提携し、インデックス運用からアクティブ運用まで、厳密なリサーチをベースとした投資プロセスを通じて、その運用目標達成のお手伝いを行っています。数兆ドル*に及ぶ運用資産額を有する弊社のスケールとグローバルな事業展開により、お客様には様々な市場、地域および資産クラスへのアクセスをご提供するとともに、深慮に満ちた見識と革新的なソリューションをお届けしております。

ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズは、State Street Corporationの資産運用部門です。

* 2016年12月31日現在の運用資産額は2兆4,700億ドルです。運用資産額には、State Street Global Markets, LLC(SSGM)が販売代理店を務める約306億2,000万ドル(2016年12月31日時点)が反映されています。SSGMとステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズは関連会社です。

本稿はState Street Global Advisors が作成したものをステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ株式会社が抜粋および和訳したものです。内容については原文が優先されることをご了承下さい。 ・ 本資料は、情報提供を目的として作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。 ・ 本資料は、信頼しうると考えられる情報源から得たものですが、正確性・完全性は保証するものではありません。また、将来の投資成果を保証するものではありません。 ・ 本資料に表示している各種シミュレーション・データは、過去のデータに基づき当社モデルを利用したバックテスト結果であり、将来の運用収益を保証するものではありません。実際の運用収益はバックテスト結果から大きく異なる可能性があります。 ・ 本資料に記載の各インデックスの著作権・知的所有権その他一切の権利は各インデックスを算出・公表している機関・会社に帰属します。