Integrative Medicine in Japan The Specialty Mind-Body Medicine

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JapaneseSociety ofPsychosomaticMedicine

Jpn J I]sychosoTn pt{ed 45 : 567-57･i, 2005

PanelDiscussion/Chmptementaryand AlternativeMedicinein Jttpan

Integrative Medicine in Japan

"Shinryo-naika",

Specialty as

Medicine

: The Roll ofMind-Body

NaokiTakebayashi, MD*

Yukio Arishiro,

Yuka Aihara,

BA YoshihideBANakai,

AkiyoMD, Kakiuchi,

PhD

BA

Abstract

Mind-body medicine focuses on the interactions between rnind and body, These techniques include self-

awareness, relaxation, meditation, exercise, diet, biofeedback, visual imagery, self-hypnosis and group

support. This is one of the major domains of the Complementary and Alternative Medicine (CA)O in the

US, These approaches are also included in the treatment of "Shinryo-naika",

which is one of the specialties

of physician in Japan. Integrative medicine in Japan is conducted by medical doctors (M.D.) , who use mind-

bedy interventions in the hospital.

The objective of this paper is to explore current efforts to integrate CAM modalities into conventional

western medicine in Kansai Medical University Hospital. Medical students at Kansai Medical University

receive some exposure to CAM during rotation for Dept. of Mind-Body Medicine. We have a 2 hour seminar

of the holistic and integrative medicine fer rnedical students. Dept. of Mind-Body Medicine has been

developing a program that incorporates CAM approaches to the treatment of psychosomatic diseases, such

as functional gastrointestinal disorder, chronic pain disorder and eating disorder. Practitioners involved in

this collaboration include physicians who were certified in mind-body medicine, aromatherapies, acupun-

cturists, qi--gong trainer, energy healers. Our results have been excellent, with satisfiecl patients, a number

of whom were able to avoid medication.

The Japanese health care system was westernized in the 20t' century. But there are many alternative

therapies in Japan, such as kampo medicine, acupuncture, moxibustion, shiatsu-amma, judo-seihuku, biwa-

onkyu and reiki. t`Shinryo-naika"

aims at integrative medicine, which mostly uses a mind-body approach,

We are trying to include other CAM modalities into "Shinryo-naika".

- Kbg ttvrzls: Complementary and Alternative

holistic health, medical modelMedicine,

Mind-BodyMedicine,Integrative Medicine,

' Department

Takebayashi,of

Psychosomatic Me

10-15 Fumizono-cho,dicine,

KansaiMoriguchi-shi,

Medical University (MdilingOsaka 570-8507, Japan)

AddTess : Naoki

,bfim ･ 2oos az s n･ rg 45U ng8t 567

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レ 1S“Ljル ディスカ ッ シ ョ ン／日本におげるκ替 ・ 祖補医療 く

　　大学附属病院で の 補完 ・ 代替医療の 試み一 新 しい 医療シ ス テム と して の 「統合医療」の 提言

竹林 　直紀＊

　 相原　由花

有城 　幸男　　中井 　吉 英

垣 内　晶代

一 ．　 　　 　　　 　　 　　 　　 〔抄 　録〕

一 一一

　米国国立衛生研究所 （NIH）の 国 立補完代替医療セ ン ター （NCOAM ）に よ る 補完・代替医

療 （CAM ）分類 に，心身相関 ［こ基づく ア ブローチ と し て Mind −Body 　Mediclneとい う項

目が あ り，心 理 療法 （身体疾 患 も対 象 とす る ），催眠，瞑想，パイオ フィー

ドパッ ク，気功，ヨー

ガな ど 日 本に お け る心身医療 で用 い られ て い る さ まざまなア ブロー

チが含まれてい る．米国で

は こ れ ら の療 法 が そ れ ぞれ の専 門 家 によ り行 わ れ て い る の 1こ対 し て，日 本で は心療内科 の 医師

が 心 身医 学 療法 と し て行 っ て い る．米国 で も，近年医 師自 らが鐵治療など の CAM を行 っ た り

各 種 OAM 専門 冢と 連撓 した りす る 「統 合医療』と い う新 し い 概念が広 が りつ つ あ り，大 学 や

研 究施設 で の研究 も広 く 行わ れ て い る．

　こ の よ う な背景か ら，日本におい てもい すれ新しい 医療概念 と して の 「統合 医療」が 広がる

と考えられ，その中心としての心身医学や心療内科医の役割が重要に な っ て くる．

　本稿で は関西医科大学心療内科で 試み られ て い る 統合 医療ブロ ジ ェ ク トを紹 介 しな が ら 日本

における統合医療の可能性 につ いて 述べ る．

■ Key 　woizts ：補 完 （相 補 ）・代 替 医 療．マ イ ン ド ・ボデ ィ・メデ ィ ス ン，統合医療，全人的

　 　　 　　 　 医 療，医 療モ デ ル

はじめに

　近代西洋医学は， 感染症や 外傷 とい っ た 急

性疾患を主な 対象 と し， 薬物療法や 手術 を中

心 と した 「治療医学 」と して発展 し て きた ．

し か し， 食事や 運動な ど H常生活行動や ス ト

レ ス な どが その 発症や経過 に 影響を及 ぼ して

い る生活習慣病や心 身症 に 対し て は， 十分 な

対処が困難 と され て い る．高齢社会を迎 えて

い る欧米や 日本な ど で は ， 疾病構造が こ の よ

うな慢性疾患中心 へ と変化 して お り， 従来の

治療医学 と して の 近代西洋医学だ け で は膨大

な医療費が か か り ， 現在先進各国で 大 き な問

題 とな っ て い る． そ こ で一

般的な通常医療以

外 の ア プ ローチ として ， 補完 ・

代替医療 （Com −

plementary　 and 　 Alternative　 Medicine ；

CAM ）が注 目され る よ うに な っ て きた．

　世 界各国 に はその 国固有の伝 統医学 や民間

医療 な どが存在 して お り，い わ ゆる EBM と

し て の 科学的根拠は まだ な い もの の ， 経験医

学 と して長 い 歴史の 巾で 淘汰 され て残 っ て き

た さ ま ざま な CAM の 再評 価が ， 欧米先進諸

国 の 問で現在行わ れ て い る． ま た ， 臨床現場

で の 応 用 と し て の 「統合 医療 （lntegrative

Medicine）」 と い う新 し い 医療 シ ス テ ム の 模

索が 米国を 中心 と し て す で に 始 ま っ て い る．

　一

方 ， 冂本に お い て は ， CAM は依然 と して

「医業類似行為」と い う枠組み で 議論 され る こ

＊

関西医科大学心療内科学講座 （連絡先 ：竹林直紀 ，  570−8507 大阪府守 口 市文園町 10−15）

568 心 身 医 ・2005 年 8 月 ・第 45巻 第 8 号

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とが多 く， 漢方薬以外の CAM は保険診療の

対象外 とい うこ と もあ り医師の認知度 は低

い り．

　 こ の ように ， 日本 に お け る 医療 シ ス テ ム は

近代西洋 医学 を唯一

信頼で き る医療 と して 発

展 して きた が ， 心身医療 の 領域で 行われ て い

る 治療法 の 中に は 欧米 で は CAM に 分 類 さ

れ て い る各種療法が 含 まれ て お り， 今後 日本

で 「統合医療」 を進め て い くに あた り心療内

科医の 果 た す役割は大 きい と考 え られ る．

　こ の よ うな状況 を踏 まえて ， 関西 医科大学

心療内科で は ， 日本 にお ける統合医療の 可能

性 を検討す る た め ， 2001年か ら 「統合医療 プ

ロ ジ ェ ク ト」 と して ， 臨床 ・教育 ・研究 とい

う医科大学 の 特徴 を生か し なが ら， CAM を

も含 め た新 しい 医療 シ ス テ ム と して の 統合医

療 の構築 を模索 中で あ る2）．

　本稿 で は， 日本 に お け る心身医療 と米国に

お け る Mind −Body 　Medicine の 相違 に つ い

て概説 し， 日本 に お け る統合医療 の 可能性 と

心 身医学や心療内科の 役割 に つ い て述 べ て み

た い ．

Mind− Body 　Medicine

Table　1　Mind −Body 　Medicine

　米国国立衛生研究所 （NIH ）の 国立補完・

代替医療セ ン ター （NCCAM ）の 分類31に ， 心

身相関 に 基 づ くア プ ローチ と して 「Mind −

Body 　Medicine」 と い う項 目が あ り， 心 身相

関 を利用 した各種治療法が この分類 に含 まれ

る．こ の 領域の ア プ ローチ に は ， 通常医療で

す で に 行わ れ て い る心理療 法 や行 動 療法 が 含

まれて い る （Table　1）． しか し， 通常医療 （精

神科領域）で は心理 的行 動 的問題解決が 目的

で ある の に対 して ， Mind −Body　Medicine と

表現さ れ た場合 ， 身体疾患 を含む 医療全般 に

応用さ れ る とい う特徴が ある．す なわち ， 心

理的問題 に対 して 身体か らア プ ロ ーチ を行 っ

た り ， 身体的問題 に 対 して 心か らア プ ロ ーチ

を行 っ た りす る と い う点で ， 心 と身体 を別 々

a ．CAM 　 ヨ ーガ ・内 気功 ・太極拳 な ど

b．行動医学　心 理 療 法 ・催眠 ・瞑想 ・バ イ オ

　 　　 　 　　フ ィー

ドバ ッ ク・イ メージ療法 ・

　 　 　 　 　 　 サ ポート グ ル ープ な ど

c ．重複領域　芸術療法・音楽療法 ・ ダン ス療法・

　 　 　 　 　 　 口 記 ・ユー

モ ア ・ボ デ ィ サ イ コ セ

　 　 　 　 　 　 ラ ピーな ど

に扱 う近代西洋医学の 考 え方 とは異 な っ て お

り，CAM に 分類 され て い るの で あ る．また ，

日本で は 「心療内科」 と い う医 師 の 専 門診療

科の 一つ と し て ， 近代西洋医学の 枠組 み内に

組み 込 まれ て い る の に 対 して ， 米国で は ， 医

師以外の 各種代替医療専門家や臨床心理 士 な

どが 中心 とな っ て い る点 も異 なる． こ の よ う

に 心 身相 関 に 基 づ い た ア プ ロ ーチ が CAM

に 含 まれ て い る米国の 現状 を考慮す る と， 日

本 の 心身医学 は 米国の 精神科領域の psycho ・

somatic 　medicine だ け で な く， CAM と して

の mind−body 　medicine に も今後 注 目 し て

い く必要が ある と い え よ う．

　 こ の よ うに み て くる と ， 日本の 心療内科は

米 国 で は CAM に 分 類 さ れ て い る mind−

body 　medicine を ， 従来 の医療の 枠組み の 中

で行 う 『統合医療』を行 う専門科 とい う こ と

がで き， その中で 心療内科医の 果たす役割は

大 きい と考え られ る．

　 日本の 心療内科が ， 他 の診療各科に 理 解さ

れ るの が 困難で あ っ た 理 由の一

つ として ， 心

身二 元論 に基づ く近代西洋医学 と異な っ た考

え方 に 立脚 し た CAM に 近 い 医療モ デ ル を

基 本 に し て い る か ら と い う こ と が 考え られ

る．すなわ ち ， CAM が元 来心 身一

元論的視点

に立脚 して成立 して い る の に 対 して， 心身医

学 は近代西洋医学領域で理 解され るた め に ，

心身二 元論 に お ける心 と身体の 関係性を表現

す る 「心身相関」 と い う概念 を持 ち込 ん だの

で ある． そ の 結果， 日本 に お い て は心 療 内科

と い う専門診療科が， 従来の 心身二 元 論的医

療 シ ス テ ム で あ る近代西洋医学中心 の 医療現

心 身医 ・2005年 8 月 ・第 45巻 第 8 号 569

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Fig．1 ヨ ーガ ＆瞑想教室

場で も矛盾す る こ とな く機能可能 とな っ た と

思われ る．

　 こ の よ うに考 え て み る と ， 現在世界的潮流

と な っ て い る 厂統合医療」 は ， 日本 に お い て

は心療内科を中心 に今後展開 して い くこ とが

最 も 自然 で は な い か と 思わ れ る．

統合医療プロジェ ク ト

　日本 に お ける心 身医学 とい う概念を ， 理 念

的に は患者中心の 全人 的 （ホ リス テ ィ ッ ク）

医療 に， 治療技法的 に は CAM とい う新し い

枠組 み に 置 き換 え て 考え る こ と に よ り， 従来

の心身医療 を 「統合医療」と い う別の 視点か

ら検討 して い くこ とを目標 と して い る．医科

大学の 役割 で あ る臨床 ・教育 ・研究の 3 領域

に分 けて， 統合医療プ ロ ジ ェ ク トの概要に つ

い て 次に 紹介す る．

　国 臨 床

　現在の 日本 に お い て は ， 保険診療 と自由診

療の 両者 を同時に 行 う混 合診療 は認 め られ て

い な い ．大学附属病院は 基本的に は保険診療

が 中心 とな っ て い るた め ， 統合医療 を実践す

る際 に もそ の 点 に つ い て 注 意 す る必 要 が あ

る． そ の場合 ， 医師が 行 う治療行為は従来の

保険診療の 枠内で 行 うよ うに し， 心療 内科医

に よ る心身医学的療法が 中心 とな る．心療内

科の 特殊外来 と して ホ リス テ ィ ッ ク外来 ・東

洋医 学外来 ・サ イ コ オ ン コ ロ ジー外来 ・食養

外来 ・バ イオ フ ィー ドバ ッ ク外来 な どが これ

まで に試 み られ て い る．そ して ， 医師以外の

CAM 専門家が行 う場合 は ，ヘ ル ス プ ロ モ ー

シ ョ ン と い う健康 の 維持 ・増進 とい う枠組み

で 各種健康教室 （瞑想 ・ヨ ガ ・気功な ど） を

実施 し ， セ ル フ ケ ア の 指 導 を試 み て い る．

（Fig．　1） また ， 鍼灸 ・び わ 温灸 ・ア ロ マ セ ラ

ピー ・ リフ レ ク ソ ロ ジーな どの 各種 CAM を

実費 で 受 け た い とい う希望 に対応 す る た め

に ， 病院外に各セ ラ ピス トの個人運営に よ る

ケア ル ーム を確保 して い る．

　院 内の 他科 との 連携 と して は ，コ ン サ ル

テーシ ョ ン ・ リエ ゾン 統合医療 とい う形で ，

が ん 患者の症 状緩和に ア ロ マ セ ラ ピ ス トな ど

CAM 専門家 と と もに ホ リス テ ィ ッ ク チーム

医療 を行 っ て い る．

　厘］教　育

　 医学部 4年生対 象の 心 療 内科学全 17 時限

の講義の うち ， 「ホ リス テ ィ ッ ク医療 と心 身医

学」「東洋医学 と心身医学」 「サ イ コ オ ン コ ロ

ジー」「精神神経免疫学」の 各テ ーマ で

， 合計

4 時限の 授業が行われ て い る． また 5年 ・6年

で は， 全人 的医療 と コ ミ ュ ニ ケ

ー シ ョ ン ス キ

ル に つ い て の 臨床実習で ，ホ リス テ ィ ッ ク な

統合医療 に つ い て の ミ ニ レ ク チ ャー とア ロ マ

セ ラ ピーな ど の CAM 体 験 実 習 を 2 時 間

行 っ て い る （Fig ．2）．そ の 他， 医学生以 外に も

医療従事者 や CAM 専 門家 を対 象 と した セ

ミナーな ど も開催 し て い る （Fig ．3）．

　圈 研 究

　次に 研究面 と して は ， まず各種 CAM の 情

報収集 を行い ，統合医療 に お ける CAM の 適

応な どに つ い て 検討 を進め て い る．具体的に

は ， 心身医学的観点か らの評価 を も とに しな

が ら， 量的研究 として は応用精神生理 学な ど

従来の線形科学的アプ ロ ーチ に加 えて ， カ オ

570 心 身医 ・2005年 8 月 ・第 45 巻 第 8 号

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Fig．3 看護師対象ア ロ マ セ ラ ピーセ ミナー

Fig ．2 医学生 （5 年生）対象ア ロ マ セ ラ ピー実

　　 　習 （ハ ン ドマ ッ サ ージ ）

ス 解析 な どの複雑系科学 に よ る代替療法の 研

究 も行 っ てい く予定で ある．

　質的研 究に つ い て も， 個別性 を重視 した 医

療 と して研究 して い くうえ に お い て 重要 な研

究手法で あ り， ナ ラ テ ィ ブな視点か らの検討

を現在進 め て い る． また ， 統合医療の 基本 と

なる医療モ デル の搆築も重要な課題で あ り，

各種 CAM 専門家 との 全人 的 医療 モ デル を

中心に した 『ホ リス テ ィ ッ ク チーム 医療』の

方法論を研究 して い る．

　区］リソー

スセ ンター

　CAM や統合医療 に 関連す る研 究資料 ・文

献 の収集や データベ ース 構築 の ほ か，

ホ ーム

ペ ージ の 作成な ど の イ ン フ ォ メ ーシ ョ ン セ ン

ター的役割 を もっ た 「リ ソース セ ン タ ー」 も

将来的に は 整備 して い く予定 で ある．

　以上 ， 現在関西医科大学心 療内科学講座 で

進め られ て い る 『統合医療 プ ロ ジ ェ ク ト』の

概要 に っ い て 述 べ て み た ．次 に ， そ の 中で用

い られ て い る い くつ か の CAM の 実際 に つ

い て 紹介す る．

大学附属病院で の統合医療の実際

　国 ア ロマセ ラ ビー

　ア ロ マ セ ラ ピー は芳香療法 と訳 さ れ ，1928

年 よ り ヨ ー ロ ッ パ を中心 に広が っ た代替医療

の一

つ で あ る．日本に は 20 年ほ ど前か ら取 り

入れ られ る よ うに な り， 現在は主 に感染症 や

外傷な どの 急性疾患に 対 して， 内服や 坐薬や

塗布な どの方法 で 精油の 薬理作用 を治療 に 使

用す る 「メ ディ カ ル ア ロ マ セ ラ ピー」と， 香

りが もつ 心理効果 ，精油の 薬理作用 ， ス ウ ェー

ディ ッ シ ュ オイル マ ッ サ ージ （Fig．4）に よる

タ ッ チの 効用 を期待 し ， 患者の 心 （mind ）・身

体 （body ）・霊性 （spirit ）の 各側面 に 全人的

なア プ ロ ーチ を行 う 「ホ リス テ ィ ッ ク ア ロ マ

セ ラ ピー」（Fig ．5）に 大別 され る．心療 内科領

域で は ， 慢性疾患や 心身症 な ど心身両面へ の

配慮が必要な患者が中心で あ り，

セ ラ ピ ス ト

に よ る全人的ケ ア と して の ホ リス テ ィ ッ ク ア

ロ マ セ ラ ピーの 併用が有用 と考 え られ る．

　 こ れ まで ア ロ マ セ ラ ピー を併 用 した症例

は ， 慢性疼痛 ，パ ニ ッ ク障害 ， 摂食障害 ， 過

敏 性腸症候群 ， が んな どが あ るが ，い ずれ も

リラ ク セ ー シ ョ ン の 促進 とそれ に 伴 う心身の

症 状改善が認 め られ て い る．また ，Fig．6 は大

学附属病院の 看護師を対象 と した ア ロ マ セ ラ

ピ ー前後 の POMS 結果で ， す べ て の 尺 度 で

有意 に改善して い る．

　 こ の よ うに， 芳香だ けで な く専門の セ ラ ピ

ス トに よ る ア ロ マ セ ラ ピーマ ッ サ ージの 有用

性が期 待 され る．現在 ， 日本ア ロ マ セ ラ ピー

学会 な ど の 医師， 看護師中心の 学術団体 も設

心 身 医 ・200J「 年 8月 ・第 45巻 第 8 号 571

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Fig．4 ア ロ マ セ ラ ピーマ ッ サージFig．5 ホ リス テ ィ ッ クア ロ マ セ ラ ピー

緊 張一不安

抑 うつ一落 胆

怒 り一敵意

活 カー積極性

疲労一無気力

混乱一当惑

圈ρ≡0．01

　 　 　 25　　　30　　　35　　　40　　　45　　　50　　　55　　　60　　　65

　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 T 得点（n ＝41）

Fig．6 看護師を対象と した ア ロ マ セ ラ ピー施術前後で の POMS 結果

立 さ れ て お り， 今後 臨床 現場 で の 応用 が広

が っ て い くと思わ れ る ．

　圄 びわ温灸

　びわ温灸 は ， 奈良時代に 鑑真和上が 中国 よ

り伝えた民間療法で ， 皮膚の 上 に 「びわ の葉」

を置き 「も ぐさ」を乗せ て お 灸す る方法が よ

く知られ て い る．現在は ，エ タ ノ ール で 抽出

した びわ の 葉 エ キ ス と， 遠赤外線の 出 る近代

化 され た 電気式温熱器具 （Fig ．7a ，　 b）を使用

した びわ 温灸器 が医療器具 と し て認可を 受 け

て お り， 疲労 回復 ， 血行促進 ， 筋肉の こ りや

痛み の 改善 ， 消化管運動機能改 善な どの効能

が 認 め られ て い る．効果 と して は ， 遠赤外線

の 温熱効果 と ， 経皮吸収 さ れ るエ キス の 薬理

効果 と ， ツ ボ を暖め る温圧効果 などが挙げ ら

れ る． また ， びわ の葉 は さまざまな成分 を含

ん で お り，温熱 に よ り蒸散 した エ キス 成分 を

経皮吸収 さ せ た 際に ， 鎮痛 ， 抗炎症 ， 抗菌 ，

抗が ん作用が ある と い わ れ て い る．

　心 療内科に紹介 され て くる難治性慢性疼痛

患者やが ん患者へ の治療に 併用 して い るが，

疼痛緩和や QOL （quality　of 　life）の 改善が

認め られ て い る （Fig．8）．

　圍 気功 （内気功）

　当院心 療 内科外来 に 通 院 中の 患者に 対 し

て， 集団療法の

一つ と し て 気功教室 （Fig ．9）

を開催 し て い る．心療内科医が コ ーディ ネー

ターと して参加 し ， 内気功指導士 に よる 1 回

90 分間の 内気功教室 を ， 隔週 で全 6 回施行 し

た．気功教室 の前後で 記入 した POMS で は ，

緊張 ・不安 （T −A ） と抑う つ （D ）の 尺度で 最

も改善が み られた ．気感や リラ ッ クス 感 は ，

回数を重ね る に したが っ て増加す る傾向が認

め られ た．中国伝統医学の 中で も予 防医学的

572 心 身医 ・2005年 8月 ・第 45巻 第 8号

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Fig．7 電気式温熱器具 に よる びわ温灸

　　 　施術

100

90

理80

盡・・

　 60

50

40

改善群 （n − 7）

治療前

100

90

80

70

60

50

　 　 　 　 　 408 回 終了 後

　 　 　 施術回 数

非 改善群（n ＝ 7）

rerm・一 一tt「一一t…tt ・…ec × 5

　 伽一＿嚇噸

一

治療 前 8 回終 了 後

Eg ．8 びわ温灸に よる慢性疼痛患者へ の 効果

に 広 く行われ て い る健康法 として の 気功 は ，

リラ クセ ーシ ョ ン 技法 として も有用 で あ る と

思われ る．

　以上 ， 関西医科大学 で 現在 試 み て い る 3種

類 の CAM に つ い て の 現状 を述べ て みた．現

時点で は まだ まだ研究的側面が 強 く， 医療経

済 的要 因 に つ い て の 検証 まで は行 っ て い な

い ．心身医学療法が 依然 として低い 点数の ま

まで正 当な評価が な され て い な い 日本の 状況

か ら考 えて も，こ の よ うな新 し い 試み が直ち

に認 可 され保険医療制度の 中に 取 り込 ま れ る

とは考 えに くい ．今後 この よ うな統合医療が

広が っ て い くた め に は ， CAM の 有効 性 と安

全性 の研究だ けで な く， 医療経済的視点か ら

の検討 も重要 な課題 とな る で あろ う．

おわ りに

　欧 米諸 国に お い て ， CAM と そ れ を医療現

場 で行 う統合医療 が広が りつ つ ある背景 と し

て ， 次 の ような こ とが挙 げ られ て い る4）．

　 1）近代西洋医学の 限界

　 2 ）セ ル フ メ デ ィ ケ ーシ ョ ン の 意識 向上

　 3 ）有効 な CAM を積極 的 に 利 用 した い

　　　医療機関や行政 の意向

　 4 ）医療費の 削減

　 5 ）費 用対効 果 の 高い 治 療法 の 導入

心 身 医 ・2005年 8 月 ・第 45 巻 第 8号 573

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Fig．9 気功教室

　 6）科学的有効性や 安全性 の確認

　 7）混乱す る CAM 領域 の把握 と整理

　 8 ）悪徳療法の 排除

　 これ らの 事柄 に対 して ， 今後 それ ぞれ検証

し な が ら現在の 日本 にお ける 医療 シ ス テ ム に

取 り入れ て い く必要が あ る．その た めに は医

療の 定義か ら再検討 し ， 患者 中心 の 全人 的視

点 を踏 ま えた新 しい 医療モ デル を構築 してい

か な くて はな らない ．

　国民皆保 険制 度 の もと ， 日本 の 医療制度 は

世界的 に も評価 さ れ て い る と い わ れ て い る

が ， CAM を含め た 統合医療が そ の シス テ ム

内に取 り入れ られ て い くた め に は ， 現在の 薬

物療法中心の 医療概念 を根本的に改変す る必

要が ある． これ は 日本の 心身医療が 抱えて い

る問題点 と も一

致 し て い る の だが ， 医師 に よ

る薬物 ， 手術 ， 放射線の 三 大療法や精神療法

な どが 医療で あ る と い う現在 の保険医療の 枠

組 を再考す る時期 に き て い る の で はな い だ ろ

うか．

　大学 で の 臨床研究 は学問的側面 が重 視 され

が ち で あ り， 臨床現場 で の 費用対 効果 も含 め

た検討 は 日本で は まだ一般 的 で はない ． しか

し ， 医療経済学的観点か らの研究が な けれ ば ，

どれ だ け優れ た理念や治療 効果 が あ っ た と し

て も ，

一般開業医 も含 めた臨床現場の 専門家

に とっ て は 「絵 に描 い た餅」 とな っ て し ま い

か ね ない ． 日本の 心 身医療が 抱 え て い る問題

点 と同じ状況 が ， 統合医療 に お い て も存在 し

て い る の で あ る．今後， 医学 ・心理学領域 だ

けで な く， 医療人類学 ， 医療経済学な ど も含

めた 学際的研究体制の 確立 が望 まれ る．

文　献

1）竹林 直紀 ：代 替補完医療．久保千春， 中井吉英 ，

　 野添新一

（編）：現代心療内科学．永井書店 ，

　 20032）竹林直紀 ， 吉岡 りか 子，垣 内晶代，他 ：関西医

　 科大学統合医療プ ロ ジ ェ ク ト 2001．凵本統合

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