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10 II.企業における上乗せ寄附等の現状 1.企業における上乗せ寄附の導入状況 (1)狭義の上乗せ寄附の導入状況 日本において全企業を対象とした上乗せ寄附の導入状況の網羅的な調査は行われていな いが、日本経済団体連合会「2005 年度社会貢献活動実績調査結果」(2006 年 12 月)による と、日本経団連会員企業、1%クラブ法人会員の合計 1403 社のうち、69 社(4.9%)が上 乗せ寄附を導入していることが分かる。週刊東洋経済『CSR企業総覧 2008』(2007 年 12 月)からは、回答企業 982 社のうち 126 社(12.8%)が上乗せ寄附を導入していることが 把握できる。また、企業以外にも市民活動促進や芸術文化の推進等の目的で地方公共団体 が上乗せ寄附を導入している場合もみられる(詳細は91ページ参照)。 各企業の上乗せ寄附の概要を把握するため、文献調査で確認した 126 社及び 69 社の企業 に加えて、ホームページ検索、雑誌記事等により上乗せ寄附の導入を把握した企業に対し て、各社が採用する上乗せ寄附の概要について電話による問い合わせ、企業ホームページ 確認等を行い、「狭義の上乗せ寄附」を採用する企業延べ 32 社を確認した 5 。なお、調査の 過程で、「狭義の上乗せ寄附」に該当するが、スマトラ沖地震や中越沖地震などの震災時に 一時的に上乗せ寄附を導入したものであったことを把握したものは、これらの企業には含 めていない。 図表 10はこれら延べ32社の企業の上乗せ寄附を分類したものである。「狭義の上乗せ寄 附」を採用する 32 社のうち、4社は「直接型の上乗せ寄附」、2社は「準直接型の上乗せ 寄附」、26 社は「間接型の上乗せ寄附」を採用していることが分かった。各企業の上乗せ寄 附の詳細は 67 ページ以降に示す。 図表 10 狭義の上乗せ寄附の導入企業と上乗せ寄附の名称、寄附先の分野 企業名 上乗せ寄附の名称 寄附先の分野 直接型の上乗せ寄附(4社) ソニー株式会社 ソニー・マッチング・ギフト 特に限定なし 株式会社デンソー マッチングギフト制度 特に限定なし 日本ユニシス株式会社 ユニハート 特に限定なし、 但し情報化関連を優先 ファイザー株式会社 マッチングギフトプログラム 特に限定なし 準直接型の上乗せ寄附(2社) アジレント・テクノロジー 株式会社 夢ファンド(給与控除) 福祉、医療支援、青少年育成、 環境保護等 株式会社資生堂 社会貢献くらぶ-花椿基金- 女性支援、福祉、環境保護等 5 1社につき複数の上乗せ寄附をもつ企業があるため、企業数としては 31 社となる
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II.企業における上乗せ寄附等の現状 · 三菱電機株式会社 三菱電機socio-roots基金 . 13 (b)インタビュー調査...

Aug 13, 2020

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10

II.企業における上乗せ寄附等の現状 1.企業における上乗せ寄附の導入状況

(1)狭義の上乗せ寄附の導入状況

日本において全企業を対象とした上乗せ寄附の導入状況の網羅的な調査は行われていな

いが、日本経済団体連合会「2005 年度社会貢献活動実績調査結果」(2006 年 12 月)による

と、日本経団連会員企業、1%クラブ法人会員の合計 1403 社のうち、69 社(4.9%)が上

乗せ寄附を導入していることが分かる。週刊東洋経済『CSR企業総覧 2008』(2007 年 12

月)からは、回答企業 982 社のうち 126 社(12.8%)が上乗せ寄附を導入していることが

把握できる。また、企業以外にも市民活動促進や芸術文化の推進等の目的で地方公共団体

が上乗せ寄附を導入している場合もみられる(詳細は 91 ページ参照)。

各企業の上乗せ寄附の概要を把握するため、文献調査で確認した 126 社及び 69 社の企業

に加えて、ホームページ検索、雑誌記事等により上乗せ寄附の導入を把握した企業に対し

て、各社が採用する上乗せ寄附の概要について電話による問い合わせ、企業ホームページ

確認等を行い、「狭義の上乗せ寄附」を採用する企業延べ 32 社を確認した5。なお、調査の

過程で、「狭義の上乗せ寄附」に該当するが、スマトラ沖地震や中越沖地震などの震災時に

一時的に上乗せ寄附を導入したものであったことを把握したものは、これらの企業には含

めていない。

図表 10 はこれら延べ 32 社の企業の上乗せ寄附を分類したものである。「狭義の上乗せ寄

附」を採用する 32 社のうち、4社は「直接型の上乗せ寄附」、2社は「準直接型の上乗せ

寄附」、26 社は「間接型の上乗せ寄附」を採用していることが分かった。各企業の上乗せ寄

附の詳細は 67 ページ以降に示す。

図表 10 狭義の上乗せ寄附の導入企業と上乗せ寄附の名称、寄附先の分野

企業名 上乗せ寄附の名称 寄附先の分野

直接型の上乗せ寄附(4社)

ソニー株式会社 ソニー・マッチング・ギフト 特に限定なし

株式会社デンソー マッチングギフト制度 特に限定なし

日本ユニシス株式会社 ユニハート 特に限定なし、

但し情報化関連を優先

ファイザー株式会社 マッチングギフトプログラム 特に限定なし

準直接型の上乗せ寄附(2社)

アジレント・テクノロジー

株式会社 夢ファンド(給与控除)

福祉、医療支援、青少年育成、

環境保護等

株式会社資生堂 社会貢献くらぶ-花椿基金- 女性支援、福祉、環境保護等

5 1社につき複数の上乗せ寄附をもつ企業があるため、企業数としては 31 社となる

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企業名 上乗せ寄附の名称 寄附先の分野

間接型の上乗せ寄附(26 社)

アジレント・テクノロジー

株式会社 夢ファンド(現金募金)

福祉、医療支援、青少年育成、

環境保護等

株式会社大塚商会 大塚商会ハートフル基金制度 災害支援、福祉、環境保護

株式会社クラレ ふれあい募金 福祉中心

グンゼ株式会社 グンゼラブアース倶楽部 国際協力、環境、福祉、

災害支援

三和ホールディングス

株式会社 三和グループ社会貢献倶楽部

地球環境保全、地域の安全、

社会福祉

丸紅株式会社 丸紅基金「100 円クラブ」

マッチングギフト制度 社会福祉中心

株式会社リコー リ コ ー 社 会 貢 献 ク ラ ブ ・

FreeWill

国際協力、福祉、災害支援、

青少年育成、文化 等

あいおい損害保険

株式会社 ゆにぞん募金 福祉、環境保護等

愛知製鋼株式会社 愛知製鋼ボランティア基金 保健・医療又は福祉増進

子どもの健全育成

東芝テック株式会社 東芝テック社会貢献基金 保健・医療又は福祉増進、

子どもの健全育成

アフラック(アメリカンフ

ァミリー生命保険会社) ONE HUNDRED CLUB 福祉、環境

花王株式会社 ハートポケット倶楽部 社会福祉、自然環境、

国際協力、文化教育

鈴与株式会社 マッチングギフト 福祉

積水ハウス株式会社 積水ハウスマッチングプログラ

ム(こども基金・環境基金) 子どもの健全育成、環境等

東洋ゴム株式会社 東洋ゴムグループ環境保護基金 環境

日本興亜損害保険

株式会社 日本興亜おもいやり倶楽部 環境保護、社会福祉等

日本郵船株式会社 マッチングギフト制度 災害支援

東日本電信電話株式会社 NTT東日本マッチングギフト

プログラム

会社の社会貢献活動方針に

定める分野

富士ゼロックス株式会社 端数クラブ 自然環境、社会福祉

文化教育、国際支援

三井住友海上火災保険

株式会社

スマイルハートクラブへの

マッチングギフト 福祉、環境、国際協力等

三菱電機株式会社 三菱電機 SOCIO-ROOTS 基金 福祉、災害

パイオニア株式会社 マッチングギフト 災害支援

大和ハウス工業株式会社 ハート募金 災害支援

株式会社ジャパンエナジー - 災害支援

伊藤ハム株式会社 ユニセフ支援活動 福祉

日立ビルシステム 視覚障害者支援

「マッチング・ギフト制度」 福祉

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2.上乗せ寄附の実態 (1)調査目的及び調査手法

各企業の上乗せ寄附の詳細、運用の実態、実績等を明らかにするために、図表 10 で示し

た狭義の上乗せ寄附を導入している企業に対して企業アンケート調査を実施した。併せて、

ケーススタディーとして上乗せ寄附を実施する企業等6社に対してインタビュー調査を実

施し、個別企業の上乗せ寄附の仕組みの詳細、運用の実態及び制度的課題等について整理・

分析を行った。 (A)企業アンケート調査

「狭義の上乗せ寄附」を導入する企業 32 社のうち、協力を得られた企業 25 社に対して

企業アンケート調査を実施した。アンケート調査は 20 社から回答を得られたが(回答率

80.0%)、2つ以上の「上乗せ寄附」の制度をもつ企業があるため、合計 27 の上乗せ寄附が

調査対象となる。

図表 11 企業アンケート調査回答企業及び上乗せ寄附の名称

*50 音順

企業名 上乗せ寄附の名称

あいおい損害保険株式会社 ゆにぞん募金

愛知製鋼株式会社 愛知製鋼ボランティア基金

アジレント・テクノロジー株式会社

夢ファンド(給与控除)

夢ファンド(現金募金)

夢ファンド(災害救援)

花王株式会社 ハートポケット倶楽部

株式会社クラレ ふれあい募金

グンゼ株式会社 グンゼラブアース倶楽部

災害支援のマッチングギフトシステム

三和ホールディングス株式会社 三和グループ社会貢献倶楽部

鈴与株式会社 マッチングギフト

積水ハウス株式会社 積水ハウスマッチングプログラム

(こども基金・環境基金)

ソニー株式会社 ソニー・マッチング・ギフト

株式会社デンソー マッチングギフト制度

東洋ゴム工業株式会社 東洋ゴムグループ環境保護基金

日本興亜損害保険株式会社 日本興亜おもいやり倶楽部

日本郵船株式会社 マッチングギフト制度

日本ユニシス株式会社 ユニハート

災害義援金

東日本電信電話株式会社 NTT東日本マッチングギフトプログラム

ファイザー株式会社

マッチングギフトプログラム

ボランティア活動支援プログラム

災害支援マッチングギフトプログラム

丸紅株式会社 丸紅基金「100 円クラブ」マッチングギフト制度

三井住友海上火災保険株式会社 スマイルハートクラブへのマッチングギフト

災害時義援金マッチングギフト制度

三菱電機株式会社 三菱電機 SOCIO-ROOTS 基金

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(B)インタビュー調査

(A)で示した目的を更に詳細に把握し、また上乗せ寄附の全体像の把握、制度的課題の検

討のため、ケーススタディーとして狭義の上乗せ寄附と広義の上乗せ寄附を実施する企業

の取り組みについてインタビュー調査を実施した。調査対象は図表 12 の通りである。

イオングループの「幸せの黄色いレシートキャンペーン」(消費者が毎月イオン・デーの

日に買い物をしたレシートを、店舗に設置されているボランティア団体等の BOX の中から

応援をしたいと思う団体の BOX に入れると、イオンが各団体に対して集まったレシート金

額合計の 1%分の商品を団体に贈呈する仕組み)については、上乗せ寄附ではないが上乗せ

寄附の仕組みを応用した取り組み(寄附行為ではないが、消費者がレシートを応援したい

団体のBOXに投函し、イオンがその行為に見合う寄附行為(商品贈呈)を行うという点)

であるため調査対象とした。

図表 12 インタビュー調査対象の上乗せ寄附

企業名 上乗せ寄附名称 寄附実行者寄附行為の

形態

寄附先

決定方法

狭義の上乗せ寄附

ソニー株式会社 ソニー・マッチング・ギフト 社員 寄附金 直接型

株式会社デンソー マッチングギフト制度 社員 寄附金 直接型

三和ホールディング

ス株式会社 三和グループ社会貢献倶楽部 社員 寄附金 間接型

広義の上乗せ寄附

株式会社資生堂 商品マッチングギフト制度 社員 ボランティ

ア活動 直接型

東京電力株式会社 (財団法人広域関東圏

産業活性化センター) グリーン電力基金 一般消費者 寄附金 間接型

上乗せ寄附の応用

イオングループ

(14 社)

幸せの黄色い

レシートキャンペーン 一般消費者

寄附金 (レシート)

直接型

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(2)企業アンケート調査結果

ここでは企業アンケート調査結果を整理・分析し、上乗せ寄附の実態を把握する。特に、

上乗せ寄附を通じて寄附者がどのような仕組みで寄附行為を行うのかという点に着目をす

る。 (A)導入企業の属性

企業アンケート調査結果によると、上乗せ寄附を導入している企業は、「資本金 100 億円

以上」が 16 社(80.0%)、本社所在地が「東京都」が 14 社(70.0%)であり、東京に立地する

大企業が中心となっている(図表 13)。

ただし、本社が東京都に立地していても、東日本電信電話株式会社のように東京以外の

支社等で上乗せ寄附を実施している企業もあるため、本社の立地場所と上乗せ寄附が実施

される場所は必ずしも同じではない。

社員数は「3,000 人未満」「5,000 人~10,000 人未満」が6回答(30.0%)、「3,000 人~5,000

人未満」「10,000 人~50,000 人未満」が3回答(15.0%)、「100,000 人以上」が2回答(10.0%)

である(図表 14)。

図表 13 企業の資本金(N=20)企業アンケート調査 問 2

図表 14 企業の社員数(N=20)企業アンケート調査 問 3

東京に本社をもつ大企業中心に上乗せ寄附を導入している

5.0% 15.0% 80.0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

1,000万円未満 1,000~5,000万円未満

5,000万~1億円未満 1~5億円未満

5~10億円未満 10~30億円未満

30~100億円未満 100億円以上

無回答

30.0% 15.0% 30.0% 15.0% 10.0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

3,000人未満 3,000人~5,000人未満

5,000人~10,000人未満 10,000人~50,000人未満

50,000人~100,000人未満 100,000人以上

無回答

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(B)上乗せ寄附の導入時期・導入目的

a.上乗せ寄附の導入時期

企業アンケート調査結果によると(回答企業数は 20 社、合計 27 の上乗せ寄附について

の回答が得られた)、上乗せ寄附を導入した時期はいずれも 1991 年以降で、1991 年~1995

年にかけて 7つ(25.9%)、1996 年~2000 年に 6つ(22.2%)、2001 年以降に 13(48.1%)の

上乗せ寄附が導入された。

図表 15 上乗せ寄附の導入時期(N=27) 企業アンケート調査 問 7

0

1

2

3

4

5

6

1990年

1991年

1992年

1993年

1994年

1995年

1996年

1997年

1998年

1999年

2000年

2001年

2002年

2003年

2004年

2005年

2006年以降不明

(制度)

図表 16 は各上乗せ寄附の導入時期を示す。東洋ゴム工業株式会社の「東洋ゴムグループ

環境保護基金」(大阪コミュニティ財団内に設置した「TOYO 環境保護基金」に上乗せ寄附を

用いて寄附を行う仕組み、1991 年 10 月導入)が最も古く、次いで三菱電機株式会社の「三

菱電機 SOCIO-ROOTS 基金」(1992 年4月)、株式会社クラレの「ふれあい募金」(1992 年7

月)、ソニー株式会社の「ソニー・マッチング・ギフト」(1992 年)である。

対象企業の上乗せ寄附は 1991 年以降に導入されている。

27 の上乗せ寄附のうち 1991 年~2000 年にかけて 13 の上乗せ寄附が、2001 年以降に

13 の上乗せ寄附が導入されている

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図表 16 上乗せ寄附の導入時期 企業アンケート調査 問 7

導入年 企業名 上乗せ寄附の名称

1991年 東洋ゴム工業株式会社 東洋ゴムグループ環境保護基金

1992年 三菱電機株式会社 三菱電機SOCIO-ROOTS基金株式会社クラレ ふれあい募金ソニー株式会社 ソニー・マッチング・ギフト

1993年 三井住友海上火災保険株式会社 スマイルハートクラブへのマッチングギフト鈴与株式会社 マッチングギフト

1995年 丸紅株式会社丸紅基金「100円クラブ」マッチングギフト制度

1996年 日本興亜損害保険株式会社 日本興亜おもいやり倶楽部1998年 株式会社デンソー マッチングギフト制度1999年 アジレント・テクノロジー株式会社 夢ファンド(災害救援)

ファイザー株式会社 災害支援マッチングギフトプログラム東日本電信電話株式会社 NTT東日本マッチングギフトプログラム

2000年 ファイザー株式会社 マッチングギフトプログラム2001年 ファイザー株式会社 ボランティア活動支援プログラム2002年 アジレント・テクノロジー株式会社 夢ファンド(給与控除)

アジレント・テクノロジー株式会社 夢ファンド(現金募金)あいおい損害保険株式会社 ゆにぞん募金

2004年 花王株式会社 ハートポケット倶楽部三井住友海上火災保険株式会社 災害時義援金マッチングギフト制度グンゼ株式会社 災害支援のマッチングギフトシステム

2005年 日本郵船株式会社 マッチングギフト制度2006年 グンゼ株式会社 グンゼラブアース倶楽部

日本ユニシス株式会社 ユニハート愛知製鋼株式会社 愛知製鋼ボランティア基金

積水ハウス株式会社積水ハウスマッチングプログラム(こども基金・環境基金)

三和ホールディングス株式会社 三和グループ社会貢献倶楽部 b.上乗せ寄附の導入目的

企業アンケート調査結果からは、上乗せ寄附を導入した理由は、より効果的な支援がで

きるが 21 回答(77.8%)、次いで従来の寄附の仕組みよりも上乗せ寄附の方が社員の寄附活

動が活発になるが 14 回答(51.9%)、企業の社会貢献活動をPRできるが 9 回答(33.3%)、

寄附者の自発性、自主性を尊重できる制度が 8回答(29.6%)であった。

上乗せ寄附の導入目的は、寄附先に対してより効果的な支援ができるが約8割弱、

社員の寄附活動を活発化させるが約5割を占める

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図表 17 上乗せ寄附の導入目的(N=27) 企業アンケート調査 問 21

(C)上乗せ寄附の概要

a.寄附先の決定方法

社員等の寄附者が寄附先を決定する方法については、27 の上乗せ寄附のうち「間接型の

上乗せ寄附」が 19(70.4%)で、「直接型の上乗せ寄附」は 4(14.8%)に止まり、「間接型の上

乗せ寄附」が主流となっている。

図表 18 寄附先の決定方法(N=27)企業アンケート調査 問 8(1)

寄附者が寄附先の決定を会社に委ねている「間接型の上乗せ寄附」が7割を占める

14.8% 70.4% 7.4%7.4%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

寄附者が自由に寄附を行いたい団体を決定(直接型)

貴社或いは上乗せ寄附の運営部門が予め、寄附先団体を決定(間接型)

その他

無回答

77.8%

51.9%

33.3%

29.6%

0.0%

40.7%

0.0%

0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0%

社員等の寄附行為に貴社が上乗せをして寄附するこ

とで、より効果的な支援を行うことができるため

従来の寄附の仕組みと比較して社員等の寄附行為の

効果が倍増し、寄附活動が活発になることを期待したため

貴社の社会貢献活動を対外的にPRできるため

個人が自由に寄附先を決められる場合、寄附者の自

発性や自主性を尊重できる制度であるため

社員が寄附先を決めることで、寄附先を決定する等の

企業側の負担を軽減できるため

その他

無回答

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b.寄附者の範囲

上乗せ寄附を利用できる資格をもつ寄附者について、27 の上乗せ寄附の制度のうち、正

規社員が利用できるものは 26(残りの1つは無回答)、契約社員・嘱託社員が利用できるも

のは 15(55.6%)、パートタイム、アルバイトは 11(40.7%)、派遣社員は 8(29.6%)であった。

正規社員以外にも対象を広げている上乗せ寄附がみられる。

なお、退職者を含めている上乗せ寄附は 6(22.2%)、正規社員の配偶者・家族は 2(7.4%)

に止まっている。図表 19 は企業アンケート調査から把握した退職者、配偶者・家族が利用

できる上乗せ寄附の名称を示す。

図表 19 寄附者の範囲(N=27) 企業アンケート調査 問 6

図表 20 退職者、正規社員の配偶者・家族が利用可能な上乗せ寄附 企業アンケート調査 問 6

• 愛知製鋼株式会社「愛知製鋼ボランティア基金」<退職者、正規社員の配偶者・家族> • 株式会社アジレント・テクノロジー「夢ファンド(現金募金)) <退職者> • グンゼ株式会社「グンゼラブアース倶楽部」<退職者> • 株式会社資生堂「商品マッチングギフト制度」<退職者> • 積水ハウス株式会社「積水ハウスマッチングプログラム(こども基金・環境基金)」<退職者>• 丸紅株式会社「丸紅基金『100円クラブ』マッチングギフト制度」<退職者> • 三菱電機株式会社「三菱電機SOCIO-ROOTS基金」 <退職者、正規社員の配偶者・家族>

正規社員以外にも、契約・嘱託社員が利用できる上乗せ寄附は約5割、パートタイム・

アルバイトが利用できるものは約4割、派遣社員は約3割である

退職者が利用できる上乗せ寄附は約2割、正規社員の配偶者・家族は1割弱に止まっ

ている

96.3%

55.6%

40.7%

29.6%

22.2%

7.4%

0.0%

22.2%

3.7%

0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0%

正規社員

契約・嘱託社員

パートタイム・アルバイト

派遣社員

退職者

正規社員の配偶者・家族

一般消費者

その他

無回答

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c.寄附先の選定・審査基準

「直接型の上乗せ寄附」では、社員が寄附を行った団体に企業が上乗せ寄附を行う際に、

企業の寄附先として相応しいかどうかの審査を行っている。その際の審査基準は図表 21 に

示すように公益性の観点に基づいている。 具体的な公益性判断の基準として、例えばソニー株式会社は、公益性判定の客観的な基

準として、特定公益増進法人、社会福祉法人、認定特定非営利活動法人など税控除の対象

に含まれることを判断基準として用いている。

図表 21 寄附先の審査基準(直接型の上乗せ寄附)

企業アンケート調査 問 8(2)

企業名 審査基準

ファイザー株式会社・純粋な慈善団体であること・特定の政治、宗教に関わる活動でないこと・寄附が利益供与にあたらないこと

日本ユニシス株式会社(ユニハート)

公平性、公正性(財務)、独自性、団体方針・会社方針との一致 など

株式会社デンソー

公益性(宗教や政治活動を主たる目的とする団体や選挙活動を目的とする団体は対象外、受益者が特定地域に限定されるものは原則除く)・信頼性(対象団体の説明義務を条件とする)のある団体

ソニー株式会社1.基準に定めている法人格(税控除の対象となる団体)を取得していること2.社員が役職員を兼ねていない団体

「間接型の上乗せ寄附」では、社員が寄附先を選択するのではなく、上乗せ寄附を運営

する企業内の社会貢献委員会等の組織が寄附先を選択する。寄附先団体を決定するにあた

っては公益性、公正性を重視するという点は各社に共通してみられるが、その他に、環境

保全、福祉等の社会貢献として企業が定めている分野を対象とする、企業の立地地域に限

定するなど一定の地域を対象とする、社員がボランティア活動を行うことができるなど社

員の社会貢献活動の活発化につながることを考慮する等、各企業の状況に応じて団体の選

定基準を設定している。

直接型の上乗せ寄附では、企業が社員の寄附に上乗せを行う際に公益性等の観点から

寄附先の審査を行う

間接型の上乗せ寄附では、団体の公益性、公正性、活動分野、活動地域、社員の社会

貢献活動への貢献可能性 等を考慮して企業が寄附先の団体を選択する

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20

図表 22 公益性、公共性を重視した寄附先の選定基準の例

(間接型の上乗せ寄附)企業アンケート調査 問 8(2)

図表 23 その他の寄附先の選定基準の例

(間接型採用企業)企業アンケート調査 問 8(2)

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d.寄附先の事業分野、団体資格

寄附先の事業分野は「保健・医療又は福祉増進」が 12 回答(44.4%)と最も多く、次い

で「災害救援活動」が 10 回答(37.0%)である。寄附先団体の事業分野を限定していない

上乗せ寄附も 8回答(29.6%)みられる。

寄附先団体の法人格としては、「特定非営利活動法人」が 13 回答(48.1%)と約半数を占

め、次いで「社会福祉法人」が 11 回答(40.7%)となっている。法人格を限定していない

上乗せ寄附も 11 回答(40.7%)みられる。

e.マッチング比率

マッチング比率は社員の寄附額と企業が同額を拠出する1:1が約9割を占めている(図

表略)。無回答を除く残りの1割はあいおい損害保険株式会社の「ゆにぞん基金」であるが、

同基金では企業は上乗せ寄附として社員の寄附人数×101 円×12(か月分)を支払うもので、

従来の上乗せ寄附と比べて変則型の仕組みを採用している。

48.1%

40.7%

40.7%

25.9%

25.9%

22.2%

18.5%

11.1%

11.1%

7.4%

29.6%

0.0%

0.0% 20.0% 40.0% 60.0%

特定非営利活動法人

社会福祉法人

特に限定なし

財団法人

地方公共団体

学校法人

社団法人

中間法人

営利法人

その他

無回答

図表 25 寄附対象組織の法人格(N=27)

企業アンケート調査 問 9

カテゴリー 回答数 %保健・医療又は福祉増進 12 44.4%災害救援活動 10 37.0%特に限定なし 8 29.6%環境保全 8 29.6%子どもの健全育成 8 29.6%社会教育推進 4 14.8%まちづくり推進 4 14.8%学術・文化、芸術またはスポーツ振興

414.8%

人権擁護又は平和増進 4 14.8%国際協力 4 14.8%地域安全活動 3 11.1%情報化社会の発展 2 7.4%男女共同参画社会形成促 2 7.4%職業能力の開発又は雇用期間の拡充を支援する活

13.7%

上記の活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言、援助

13.7%

科学技術の振興 0 0.0%経済社会の活性化 0 0.0%消費者保護 0 0.0%その他 2 7.4%無回答 0 0.0%

図表 24 寄附先団体の事業分野

(N=27)企業アンケート調査 問 17

企業 調査 問 17

寄附対象は保健・医療・福祉が約4割、災害支援分野が4割弱を占める

約9割の上乗せ寄附でマッチング比率は社員:企業=1:1となっている

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22

f.寄附金の支払い方法

寄附金の支払い方は、回答対象の上乗せ寄附のうち「給与口座からの天引き」が 16(59.3%)

で最も多い。これらの 16 の給与控除型の上乗せ寄附のうち1つは直接型の上乗せ寄附で、

無回答を除くと残りの 14 は全て間接型の上乗せ寄附である。また、19 の「間接型の上乗せ

寄附」のうち、13 は給与控除型となっている。

図表 26 寄附金の支払い方法(N=27) 企業アンケート調査 問 16

g.寄附金の上限額、下限額

■寄附者1人当りの年間寄附上限額と下限額

寄附者1人が毎年最高いくらまで寄附ができるという寄附者1人当りの年間寄附上限額

や、事務手続きの煩雑さを避ける等の理由で企業側が上乗せ寄附を受け付ける寄附者1人

当りの年間寄附下限額を設定している企業がみられる。

1人当りの上限額については 27 の上乗せ寄附のうち、上限額を設定していないものが

8(29.6%)で最も多く、次いで 10,000 円~100,000 円以下/年が 5(18.5%)、100,000 円~

500,000 円以下/年が 4(14.8%)、10,000 円以下/年、500,000 円以上/年がそれぞれ 2(7.4%)

であった。

1人当りの下限額については 27 の上乗せ寄附のうち、下限額を設定していないものが

9(33.3%)、100 円~3,000 円以下/年の範囲で設定しているものが 7(25.9%)であった。

寄附金の支払い方法は毎月給与からの控除する方式が約6割を占める

給与控除方式の8割以上は間接型の上乗せ寄附が占める

59.3%

25.9%

22.2%

14.8%

3.7%

0.0%

3.7%

0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0%

給与口座から予め定められた金額の天引き

その他

募金箱等への支払

寄附先が指定する口座への振込み

ワンクリック募金等インターネットを利用した支払

指定する口座・クレジットカード等からの自動引き落とし

無回答

1人の寄附者が上乗せ寄附によって寄附できる年間の寄附金上限は、27 の上乗せ寄附

のうち、上限額を設定していないものが 8(約3割)、10,000 円~100,000 円以下/年が

5(2割弱)、100,000 円~500,000 円以下/年が 2(1.5 割)であった。

1人の寄附者が上乗せ寄附によって寄附できる年間の寄附金下限額は、27 の上乗せ寄

附のうち、下限額を設定していないものが 9(約3割)、3,000 円以下が 7(2.6 割)であっ

た。

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23

図表 27 寄附者1人当りの年間寄附金上限額の内訳(N=27) 企業アンケート調査 問 19(1)

図表 28 寄附者1人当りの年間寄附金下限額の内訳(N=27) 企業アンケート調査 問 19(1)

■企業が拠出する上乗せ寄附の上限額

企業が1年間で上乗せ寄附に拠出できる金額の総額は、上限を設定していない企業が

14(51.9%)、500 万円~1,000 万円以下が 2(7.4%)、100 万円以下、100 万円~500 万円以下

はそれぞれ 1(3.7%)であった。このほかに、企業が拠出する総額は定めずに、寄附者一人当

たりについての寄附金上限額のみを定めている場合もみられる。

図表 29 企業としての上乗せ寄附上限額(N=27) 企業アンケート調査 問 19(1)

7.4% 18.5% 14.8% 7.4% 18.5%29.6%

3.7%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

10,000円以下 10,000円~100,000円以下

100,000円~500,000円以下 500,000円以上上限無し その他

無回答

企業が年間で上乗せ寄附のために拠出できる金額総額について、上限を設定していな

い企業は約5割、500 万円~1,000 万円以下は1割弱であった。

7.4% 51.9% 22.2%3.7%

3.7%

11.1%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

100万円以下 100万円~500万円以下

500万円~1,000万円以下 上限無し

その他 無回答

33.3%33.3% 25.9%

3.7% 3.7%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

下限無し 100円~3,000円以下3,000円~5,000円以下 その他無回答

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24

(D)上乗せ寄附の実績・効果

a.上乗せ寄附による1年間の寄附総額

企業アンケート調査結果から、非公表を除いた回答企業 19 社(25 の上乗せ寄附)の直近

1年間の寄附総額は、社員等からの寄附総額が 103,385,098 円、企業による上乗せ寄附総

額が 97,531,703 円であり、合計 201,916,801 円が上乗せ寄附を活用して寄附されているこ

とが分かる6。

1社で複数の上乗せ寄附を設置している企業もあることから、一つの上乗せ寄附につい

ての平均寄附額は、社員等からの寄附総額が 4,495,004 円、企業による上乗せ寄附総額が

4,063,821 円、合計寄附総額が 8,076,672 円である。中央値では、社員等からの寄附総額が

2,360,000 円、企業による上乗せ寄附総額が 2,132,786 円、合計寄附総額が 4,131,142 円で

ある。

b.上乗せ寄附による寄附団体数

上乗せ寄附による1年間の寄附先団体数は、0~10 団体が回答数 11(40.7%)、11~20 団

体が 6(22.2%)である。丸紅株式会社の「丸紅基金『100 円クラブ』マッチングギフト制度」、

三井住友海上火災保険株式会社「スマイルハートクラブへのマッチングギフト」、東洋ゴム

工業株式会社「東洋ゴムグループ環境保護基金」は 50 以上の団体に寄附を行っている。

なお、「直接型の上乗せ寄附」の平均支援団体数は 28.0 団体、「間接型の上乗せ寄附」(「準

直接型の上乗せ寄附」を含む)の平均支援団体数は 23.6 団体で、「直接型の上乗せ寄附」

の方が若干、寄附先の団体数が多い。

6 寄附者一人当たりの寄附額や企業の上乗せ寄附額に上限があるため、社員等からの寄附総額と企業によ

る上乗せ寄附総額は一致していない

上乗せ寄附を利用して企業 19 社から1年間で約2億 200 万円の寄附が行われている

1年間の寄附団体数は 10 団体以下が約4割を占める

図表 30 昨年1年間の寄附総額合計

企業アンケート調査 問 22 より作成

カテゴリー

社員等からの寄附金総額

企業による上乗せ寄附総額

寄附金総額(19社合計)

金額合計

\103,385,098

\97,531,703

\201,916,801

図表 31 昨年1年間の寄附総額平均値

(一つの上乗せ寄附当り)、中央値

企業アンケート調査 問 22 より作成

カテゴリー 平均寄附額 中央値

社員等からの寄附金総額 \4,495,004 \2,360,000

企業側による上乗せ寄附総額

\4,063,821 \2,132,786

寄附金総額 \8,076,672 \4,131,142

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25

図表 32 上乗せ寄附による昨年1年間の寄附先団体数(N=27)

企業アンケート調査 問 13

c.上乗せ寄附導入による効果

上乗せ寄附の運営側からみると、上乗せ寄附の導入はどのような効果をもたらしたと考

えられているのか。企業アンケート調査結果では、支援対象団体の活動や事業の遂行が充

実するという回答が 22 回答(81.5%)、寄附者の社会参加意欲を満たすが 21 回答(77.8%)、

自社の社会貢献活動への認知度が高まるが 21 回答(77.8%)、寄附を通じた団体の活動によ

り地域全体がよくなるという回答が 20 回答(74.1%)、寄附者自身や自社において支援対象

となる分野(環境保全、社会福祉等)への関心が高まるが 16 回答(59.3%)、企業ブランド

が向上するが 16 回答(59.3%)であった。寄附者自身の社内での評価を高める、寄附者自

身の社会での評価を高めるはそれぞれ2回答(7.4%)であった。

6

2 21 1 1

11

0

2

4

6

8

10

12

0~10団体

11~20団体

21~30団体

31~40団体

41~50団体

51~60団体

61~70団体

71~80団体

81~90団体

91~100団体

101団体以上

(制度)

上乗せ寄附の導入の効果として挙げられたのは、支援対象団体の活動・事業遂行に対

する効果が約8割、次いで寄附者の社会に対する参加意欲を満たすという効果、企業の

社会貢献活動への認知が高まるという効果がそれぞれ8割弱、支援団体の地域全体がよ

くなるという効果が約7割であった。

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26

図表 33 上乗せ寄附実施によるプラス効果(N=27) 企業アンケート調査 問 24

■寄附者の寄附行為に対する効果

企業アンケート調査では 10 回答(37.0%)が上乗せ寄附の導入前と比較して、社員の寄

附行為は高まったと回答している。寄附行為が減少したという回答は 0 であった。分から

ないという回答は 12 回答(44.4%)であった。

図表 34 上乗せ寄附導入が社員の寄附行為に与える影響(N=27) 企業アンケート調査 問 23

37.0% 44.4% 11.1%7.4%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

寄附行為が増加した 変わらない 寄附行為が減少した

分からない その他 無回答

上乗せ寄附の導入によって社員の寄附行為が増加したという回答は4割弱である

81.5%

77.8%

77.8%

74.1%

59.3%

59.3%

7.4%

7.4%

14.8%

0.0%

0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0%

寄附によって、支援対象団体の活動や事業の遂行が

充実するという効果

寄附者の社会に対する

参加意欲を満たすことが

できるという効果

貴社の社会貢献活動に対して、

社会の認知が高まるという効果

寄附を通じた支援団体の活動によって、

地域全体がよくなるという効果

支援対象とする事業分野(例:環境保全、福祉、まちづ

くり等)に対する関心が、寄附者自身や貴社により

高まるという効果

貴社の企業ブランドが向上するという効果

寄附者の社内における評価を

高めることができるという効果

寄附者の社会における評価を

高めることができるという効果

その他

無回答

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27

(E)上乗せ寄附の課題

現行の各社の上乗せ寄附の課題としては、企業アンケート調査における回答の上位は、

1.ボランティア活動に対する社員の関心が低いが 10 回答(37.0%)、2.寄附に対する社

内の評価が十分でないが 6 回答(22.2%)、3.寄附金の回収に手間がかかる、4.支援先

団体の決定が難しいがそれぞれ 5 回答(18.5%)、5.寄附に対する社会の評価が十分では

ないが 3回答(11.1%)であった。

上乗せ寄附を実施するにあたっての課題として多くの企業で認識されているのは寄附行

為に対する社員の関心や周囲の寄附に対する評価の低さ(「1.」、「2.」、「5.」)であり、

次いで寄附金の回収や寄附先の選定等の寄附を実施するにあたっての手続き面・運用面に

関すること(「3.」及び「4.」)となっている。

図表 35 上乗せ寄附の課題(N=27) 企業アンケート調査 問 26

37.0%

22.2%

18.5%

18.5%

11.1%

7.4%

7.4%

3.7%

0.0%

0.0%

14.8%

18.5%

0.0% 20.0% 40.0% 60.0%

ボランティア活動に対する社員又は一般消費者の関心が低い

寄附に対する社内の評価が十分ではない

寄附金の回収に手間がかかる

支援先団体を決定することが難しい

寄附に対する社会の評価が十分ではない

寄附金を募集する際に、寄附実行者に知らせる方法に問題がある

支援を行う分野を決定することが難しい

マッチング比率を柔軟に設定できない

寄附金が十分に集まらない

寄附金額が十分ではない

その他

無回答

上乗せ寄附の課題としては、社員の関心が低いが4割弱、寄附に対する社内の評価が

十分ではないが約2割、寄附金の回収に手間がかかる、支援先の団体を決定することが

難しいがそれぞれ2割弱挙げられた。

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28

(3)インタビュー調査結果

ここでは、ケーススタディーとして6つの上乗せ寄附について行ったインタビュー調査結果を総括する。 1 上乗せ寄附の概要

企業名・上乗せ寄附名称 概要 対象者 申請方法・限度額等 主な実績

株式会社デンソー

「マッチングギフト制度」

役員・社員が個人又はグループで

社外の公益団体に寄附をした際

に、寄附先が会社の支援対象と認

められた場合、会社から同額を上

乗せして寄附をする制度

役員、正規社員、契約社

員・嘱託であれば誰でも

申請が可能。ただし期間

従業員、退職者、家族は

対象に含まれていない

・ 社員が寄附をした際の領

収書を会社に提示してマ

ッチング申請を行う

・ 年間 10万円までの申請が

可能

・ 会社のマッチングギフト

の予算枠は 1,000 万円

・ 2006 年度は社員からの寄附は

469 件(11,205 千円)、会社か

らのマッチングギフト 9,957

千円

・ 特に児童養護施設に対する寄

附が多く集まった

ソニー株式会社

「ソニー・マッチング・

ギフト」

ソニー株式会社の社員(正規社員、

契約社員、嘱託社員)が公益性の

高い団体(税制上の優遇が受けら

れるような団体)に寄附をした場

合、会社が同額を上乗せしてその

団体に対して寄附をする制度

ソニー株式会社の正規

社員、契約社員、嘱託社

員。退職者、家族、グル

ープ会社社員は含まれ

ていない

・ 社員が寄附をした際に受

け取る領収書を会社に提

示してマッチング申請を

行う

・ 2006年は社員から約500万円、

会社のマッチング額約 500 万

円で合計約 1,000 万円の寄附

を行った。

・ 寄附者数は延べ200人程度/年

三和ホールディングス

株式会社「三和グループ

社会貢献倶楽部」

社員が毎月 100 円を1口とした任

意の金額を給与天引きにより拠出

し、会社も同額を寄附金として拠

出する制度

社員のみが対象者で、家

族やOBは含まれてい

ない

・ 「社会貢献倶楽部」に入

会申し込みを行い、1口

100 円を単位として一ヶ

月最大5口(500 円)、年

間最大 6,000 円の寄附が

可能

2007 年の寄附実績は社員分

857,500 円 、企業上乗せ分

857,500 円、合計 1,715,000 円

現時点で約 850 名が参加してい

る(約3割程度)

株式会社資生堂

「商品マッチングギフト

制度」

社員などがボランティアをした団

体に対して資生堂の商品を企業の

マッチングギフトをして贈る制度

社員のみならず、家族、

OBも対象

・ ボランティア先に提供し

たい商品がある場合、商

品の寄贈先、希望する商

品名、数量を記して会社

に申請を行う。

・ 提供目安は 1 回当り小売

価格 3万円が上限

商品マッチングギフト制度の実

績は 2006 年度 25 件、2007 年

度 18 件(見込)

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29

企業名・上乗せ寄附名称 概要 対象者 申請方法・限度額等 主な実績

東京電力株式会社

(財団法人広域関東圏産

業活性化センター)「グリ

ーン電力基金」

東京電力サービス区域内の電力消

費者が自然エネルギー普及のため

の「グリーン電力基金」に寄附(1

口月 500 円)を行うと、消費者か

らの寄附総額と原則同額を東京電

力が「グリーン電力基金」に寄附

を行う制度。基金は太陽光発電や

風力発電等の自然エネルギー発電

設備への助成金に利用される

東京電力サービス区域

内で電気を使用してい

る消費者

1 口当たり月額 500 円とし

て(何口でも可能)東京電

力に申し込みを行う

2008 年3月には 15,859 名

(18,445 口)が参加。2007 年度

の消費者からの寄附金額は

114,370 千円、東京電力からの

寄附金額は 123,000 千円、寄附

総額は 237,370 千円

イオングループ(14社)「幸

せの黄色いレシートキャ

ンペーン」

毎月 11 日のイオン・デーに消費者

が商品を購入する際に黄色いレシ

ートを受け取り、応援したい地域

団体等(登録団体)の投函BOX

にレシートを投函すると、レシー

ト金額の1%分の商品が後日、イ

オンから団体等に贈呈される

イオンの各店舗で商品

を購入する一般消費者

消費者がイオンからレシー

トを受け取り、応援したい

団体のBOXに投函。店舗

で、団体別にレシート金額

を集計し、その1%を贈呈

金額として算出。贈呈金額

内の希望商品を用意し、半

年又は1年毎に開く贈呈式

に登録団体を招いて贈呈す

2006 年度は投函レシート金額

約 110 億 1,699 万円、贈呈金額

は約 1 億 1,142 万円(レシート

金額の約1%に該当)

登録団体数 13,421

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30

2 上乗せ寄附の導入理由

上乗せ寄附を導入した理由としては、社員が最も簡単に行うことができる社会貢献が寄

附であるということが共通してみられる。

多くの寄附の仕組みの中でも社員と企業一体で寄附を行う「上乗せ寄附」の形式を導入

した理由は、「寄附行為を倍にすることで寄附先に更に喜んでもらう」(株式会社デンソー、

株式会社資生堂)、「社員と同じところに寄附を行うことで社員の社会貢献に対する気持ち

を支える」(株式会社デンソー、株式会社資生堂)という寄附先への効果的な支援、寄附者

である社員の社会貢献に対する意思を支え、後押しをするという理由が挙げられる。

企業戦略、CSR戦略の観点から上乗せ寄附を導入する意義については明確な回答は得

られていないが、「社員が寄附をしたところに企業も寄附をすることが企業としての社会貢

献の主体性を示すことにつながる」(株式会社デンソー)、「自然エネルギー発電の普及をす

る際に一般人を巻き込むために、上乗せ寄附により一般消費者からの寄附を募った」(財団

法人広域関東圏産業活性化センター)という意見が聞かれた。

3 上乗せ寄附の利用者

「直接型の上乗せ寄附」であるデンソー「マッチングギフト制度」や資生堂「商品マッ

チングギフト」は比較的に寄附やボランティア活動に対して関心の高い人を中心に活用さ

れている。その一方で、「間接型の上乗せ寄附」である「三和グループ社会貢献倶楽部」は

仕事等で多忙であるが社会貢献の意識を持つ人が大半を占めている。

また、デンソーは上乗せ寄附を導入する際に、社員の中の寄附に対する関心の高低を考

慮して、具体的な寄附先が分からない人を想定した間接型の上乗せ寄附(マッチングファ

ンド制度)、既に寄附したい団体を持つ人を想定した直接型の上乗せ寄附(マッチングギフ

ト制度)をほぼ同時期に創設している。

一般的に「直接型の上乗せ寄附」は寄附に対する関心が高い人中心、「間接型の上乗せ寄

附」は寄附に対する関心はもつが具体的な寄附先が分からない人中心に活用されている傾

向がみられる。また、制度の利用件数・利用者数を比較しても、直接型と比較して間接型

の上乗せ寄附のほうが利用者数が多い。

• 社員が最も簡単に行うことのできる社会貢献手段の一つとして導入 • 「寄附先への効果的な支援」、「社員の社会貢献に対する意思を支え、後押しする」、「企業としての社会貢献の主体性を示す」等が「上乗せ寄附」の選択理由として挙げ

られる

• 「直接型の上乗せ寄附」は寄附に対する関心が高い少数の人中心 • 「間接型の上乗せ寄附」は寄附に対する関心はもつが具体的な寄附先が分からない多数の人中心に活用される傾向がみられる

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31

4 上乗せ寄附を活用して寄附行為を高めるための取り組み

上乗せ寄附を活用した社員の寄附行為を高めるために各企業の取り組みをまとめると図

表 36 のようになる。例えば、株式会社デンソーは寄附者の関心の高さ、関心対象に応じて

多様な社会貢献支援制度を用意することで、社員のニーズに応え寄附行為を高めるよう取

り組んでいる。三和ホールディングス株式会社は上乗せ寄附を通じた寄附が社員のボラン

ティア活動へとつながるように、社員がボランティア活動に参加しやすい組織を寄附先に

選定している。

図表 36 上乗せ寄附を活用した寄附行為を高めるための取り組み

寄附者の関心の程度、関心

対象に応じて多様な社会

貢献支援制度を用意

• 社員の寄附に対する関心に応じて、「間接型の上乗せ寄附」「直接型の上乗せ寄附」の二つを設置(創設当時)

• 現在では、社員の興味関心に応じて、ボランティア活動支援として「デンソーハートフルクラブ」、寄附支援として「マ

ッチングギフト制度」と「デンソーはあとふる基金制度」(給

与天引きにより積み立てを行う寄附支援制度。上乗せは行わ

ない。)の3つの制度を用意(株式会社デンソー「マッチン

グギフト制度」)

寄附行為がボランティア

活動へのつながるように

寄附先を選定

• 社員の寄附行為がボランティア活動へと繋がり社員の寄附行為全体が高まっていくことを期待して、社員がボランティ

ア活動に参加しやすい組織を寄附先に選定(三和ホールディ

ングス 株式会社「三和グループ社会貢献倶楽部」)

ボランティアキーパーソ

ンの仕組みの導入により

社員のボランティア活動

の活発化

• 「ソーシャルスタディーズデー」(社員の社会貢献活動について年間 3 日を上限に有給休暇を取得可能)を設置。「商品

マッチングギフト制度」は「ソーシャルスタディーズデー」

を活用したボランティア活動にも利用可能

• 社員のボランティア活動を高めるために、地域でのボランティア情報を提供し、ボランティアをとりまとめるボランティ

アキーパーソン制度を 2008 年から導入(株式会社資生堂「商

品マッチングギフト制度」)

• 社員の寄附に対する関心の程度、対象に応じた多様な社会貢献支援の仕組みの用意や上乗せ寄附がボランティア活動につながる寄附先の選定等の取り組みがみられる

Page 23: II.企業における上乗せ寄附等の現状 · 三菱電機株式会社 三菱電機socio-roots基金 . 13 (b)インタビュー調査 (a)で示した目的を更に詳細に把握し、また上乗せ寄附の全体像の把握、制度的課題の検

32

5 上乗せ寄附の効果

上乗せ寄附の実績をみると、例えば株式会社デンソーでは社員からの寄附額 1,120 万円

(469 件のマッチング申請)企業上乗せ額 995 万円、合計 2,116 万円の寄附、ソニー株式会

社では社員からの寄附額 500 万円、企業上乗せ額 500 万円、合計 1,000 万円の寄附、東京

電力株式会社のグリーン電力基金では一般消費者からの寄附金1億 2,221 万円、東京電力

の上乗せ額1億 2,800 万円の寄附(いずれも 2006 年度実績)が行われている。

特に、株式会社デンソーでは社員のボランティア活動と上乗せ寄附が結びつき、多くの

社員を巻き込んで寄附が行われたという事例がみられた(図表 37)。デンソーの事例は、

ボランティア活動が上乗せ寄附を通じた金銭の寄附へと結びつくのみならず、周囲の社員

を巻き込むことでより大きな効果を産んだ事例と言うことができる。

図表 37 株式会社デンソーにおける上乗せ寄附と社員ボランティアの結びつきの事例

株式会社デンソーでは「マッチングギフト制度」の他に、社員のボランティア活動支援と

して社員有志の自主運営組織「デンソーハートフルクラブ」を設置している。同クラブはボ

ランティア活動の自主企画等を行い、社員のボランティア活動を支援するものであるが、同

クラブを通じて社員がある福祉施設で活動をしたところ、ボランティア先の施設の建物が老

朽化し、早急に建て替えが必要とされているものの、建設資金が調達できない状況であるこ

とを知った。そこで、その社員が「ハートフルクラブ」を通じて施設に対する寄附を呼びか

けたところ、「マッチングギフト制度」を通じて多くの寄附(同年の全寄附件数の約半数を

占める)を全社から集めることができた。

6 今後に向けての課題

上乗せ寄附を実施するうえでの今後の課題としては、社員の上乗せ寄附を通じた寄附行

為を高めること以外に、上乗せ寄附を通じた社員の寄附行為が金銭の寄附に止まらずにボ

ランティア活動と結びつき、ボランティア活動と上乗せ寄附が結びつくなど両者が相互に

つながりあって社員の寄附行為全体が高まっていくこと(株式会社デンソー、三和ホール

ディングス株式会社)、社員の寄附行為が地域貢献へと結びついていくこと(株式会社デン

ソー)等が今後の課題として挙げられた。

• 株式会社デンソーでは社員のボランティア活動と上乗せ寄附が結びつき、多くの社員を巻き込んで効果的な寄附を実施

上乗せ寄附を通じた寄附行為がボランティア活動につながり、ボランティア活動が寄

附行為へとつながっていくこと、寄附行為が地域と結びついていくこと 等が課題とし

て挙げられた