IGDA日本と SIG-Glocalizationの展開について 国際ゲーム開発者協会日本 (IGDA日本) 小野 憲史 2009/10/17
Jul 02, 2015
IGDA日本とSIG-Glocalizationの展開について
国際ゲーム開発者協会日本(IGDA日本)小野 憲史2009/10/17
そもそも、IGDAって何?
International Game Developers Association
国際ゲーム開発者協会
• ゲーム開発者“個人”を対象とした特定のプロフェッショナルの特定職種を対象とした国際NPO– 「ゲーム開発者」というアイデンティティ
– 「日本人」みたいなもの。ゲームを創っているというアイデンティティは国や企業を越える
NPOとは?
• Non Profit Organaizationの略
–政府などの公的機関や企業などの民間組織で対応できないニーズを埋めるために活動する非営利目的の組織
– IGDAは、アメリカのNPO法の元なので、厳密にはアメリカのNPO法人
• IGDA日本は、日本の法律上では、厳密には「任意団体」(サークルや学会組織と同じ)
• ただし、活動実体は、NPOという趣旨に添っていると理解。将来的な日本での法人格取得を検討中
IGDAのミッション
• ゲーム開発者をお互いに繋げて、互いが力を付けられるような状況を作り、ゲーム開発者コミュニティにとっての課題を議論して主張していくことで、開発者の職業を発達させ、人生や生活をよりよいものにしていくこと
– もっと端的に意訳すると、
• ゲーム開発者コミュニティとして人と人を繋げ、お互いが切磋琢磨できる環境を、楽しみながら行い、ゲームを発展させていくこと
「ゲーム開発者」って、どこまでの範囲?
• 自分が「ゲーム開発者」だと思っている人は、すべて範疇に入る緩やかな解釈– プロの開発者から、アマチュア開発者、教育者、学生など区別は一切ない
– IGDAというアイデンティティに共感を持つだけで、広義にIGDAに協力してくれているという理解
• 現在のIGDAの基本的な方針は、メンバーの活動を行いたいというリクエストに応じる形で、セミナーやSIG、飲み会を、企画・運営という形
誤解して頂きたくないこと
• IGDAは、ゲーム開発者のコミュニティの独占を目標とした組織ではない
–開発者のコミュニティが、様々なミッションを持ち多数存在していくことは、”極めて望ましい”
–むしろ、多くのコミュニティを支援したい
• IGDAは、ゲーム開発者のコミュニティの方向性を決めたいわけではない
–あくまで参加してくださる方や、アクティブに活動してくださる方を通じて決めていくこと
IGDAの活動状況
• 全世界に約15000名のメンバー– 日本の正式メンバーは278名(世界第4位)– アメリカは10000人を越える– ボランティアコミュニティ 給与を得ている常勤スタッフは2名
• 全世界に30以上の支部(チャプター)– 有力な支部サンフランシスコ、ボストン、ニュージャージー、シリコンバレー、モントリオール、フィンランド、デンマーク、シンガポールなど…
– パブミーティングから、セミナースタイル、産業イベントへの協力など、世界のどこかで毎週何らかの活動が行われている
• IGDA本体には、26のSpecial Interest Group(専門部会、SIG)– 活発なのが、Education、Education、Localization、Writingなど
• 白書や書籍を刊行しているSIGもある。
– インディゲームに関連• Casual Games、Flash、Mobile Game Development、Indies
IGDA モントリオール「リトルビックプラネット」についての講演09年2月
IGDA フィンランド パブミーティング 09年4月
IGDAの歴史
• 1988年にクリス・クロフォードの自宅でスタートしたGame Developers Conferenceが、ルーツ– 27人でスタート
• 1994年にアーネスト・アダムスにより、前身の組織が作られた– 1000人規模
• 2000年に現在の体制と名称になり、急激な規模拡大が進んだ– 国際組織になり、毎年人数が増加している
– GDCの成長と大きく関係している
IGDA日本の活動
• IGDA日本は、世界最大のチャプターの一つ– 活動規模の広範囲性から、チャプターの枠組みに収まらない規模に発展しており、「スーパーチャプター」と呼ばれることもある
• IGDA日本の設立は、2002年4月– 当初は、日本のゲーム会社の特徴であった秘密主義の壁で、活動への理解を得ることは難しかった
– 率直に言うと、ゲリラ活動だった
– ただ、多くの現場の方の協力により、活動はだんだんと認知されるようになり発達した。現在は、ゲーム会社の経営層にも理解を得られる状態になりつつある
IGDA日本の構成
IGDA日本事務局
IGDA関西SIG-Game
TechSIG-AI
SIG-Board Game
SIG-eSports
SIG-GlocSIG-Student
日本デジタルゲーム学会(Digra Japan)
ブロードバンド推進協議会(BBA)
コンピュータエンタテインメント協会
(CESA)
協力関係にある団体
IGDA日本内のSIG
代表: 新清士副代表: 高橋勝輝他4名
SIG-IndieSIG-APP
昨年度の活動
• IGDA日本主催イベント 8
• IGDA関西主催イベント 5
• IGDA日本が企画・運営協力したイベント 8– 東京ゲームショウ「センスオブワンダーナイト2008」 CESA主催
– CEDEC CESA主催
– OGC2009 (オンラインゲーム&コミュニティカンファレンス) BBA主催
• 日本デジタルゲーム学会「公開講座」等 9– IGDA日本の学術機能がスピンアウトするような形でスタート。相互補完関係にある。
• 後援イベント 6
SIG-Board Game 第4回ボードゲーム大会 09年2月
IGDA日本 GDC09 日本人飲み会 09年3月
IGDA日本ゲーム開発者セミナー GDC09報告会 09年4月
IGDA日本 SIG-GameTech 「続・ゲームにおけるスクリプト言語の現状」 09年4月
IGDA日本の運用
• IGDA日本の事務局活動はすべてネット上で行われる。– 各イベントの用意、連絡もメーリングリストを使う
– 運営活動に参加したいという希望者が出た場合、メーリングリストに参加してもらう
– それぞれのメーリングリストは、各世話人の運営に任せている。
• セミナー等の企画は、誰かがやりたいと言い出して、その時に手が空いている人が手を挙げる形でサポートする形で運営されている。– 全体の参加者は100名以上– 有名人:コーエーの松原健二社長、東大の馬場章教授等々…
• もちろん、全部ボランティア(志願制)
IGDA日本とIGDAとの関係について
• 日本の正式メンバーの少なさは、成長に国際ルールの整備の遅れのため– ドル建てで、年会費は年間48ドル
– 国際ルールができていないために積極的に加入を勧めていない
• Game Developers Conference参加者にはメリットが大きいために積極的に勧めます– IGDA日本独自のメンバーシップ制度を検討中
– 無理して正式メンバーになって頂かなくても構いません
• コミュニティとしての実を取っている
IGDA日本の現在
• IGDA日本も、(ボランティア活動なのに!!)巨大組織になりつつあり、
運営自体がとても大変なことになってきており、組織改編の時期に入っています。
–運営者は、皆本業を抱えているため、できることに限界がつきまといます。
ただ、何かやりたいって、わめいてくだされば、積極的に協力を求めまし、協力します。
やりたいという人が出れば、それを止めるということはやらず、支援をしたいと思います。
– SIG-Glocは、まさにそうやって誕生しました
– 特徴と経験則として忙しい人ほど、わざわざボランティアを名乗り出てくれる人が多く、参加くださる方も含めレベルが高い…そういう方の支えで、成長してきました…
IGDA日本の活動の中心
• できるだけ、
それぞれの人が抱えている問題意識や表現したいこと、情報として共有したいことを伝える場として、
IGDA日本を運営することを続けていきたいと思っています。
• ゲーム開発に携わる人が「人として成長できる場」を継続的に守り続けることが、活動の中心となります。
どうぞ、
はじめてIGDAの存在を知った方、
今後とも、
様々な形でのご協力
よろしくお願いします!
で、前置きはともかく、
SIG- SIG-Glocalizationの話
SIG-Glocについて
• 個人(小野)としての問題意識
–ゲーム批評という専門誌の編集(長)をやりながら、日本と海外のゲームの違いについて関心があった(ゲームデザイン、グラフィック、etc)
– E3やGDCの取材を通して、国内外のゲーム開発者、研究者とのネットワークが広がっていった
–サイトウアキヒロ氏「ゲームニクス」という概念
~ゲームUIで文化の差を超える~
ネットワークの広がり
• 2003年 GDC 長谷川亮一/鶴見六百氏
• 稲葉治彦氏
• トム・エドワード氏
• 2009年 GDC ローカリゼーションサミット
• 2009年 CEDEC ラウンドテーブル
→ローカライズに関するSIGの立ち上げ
日→海外か、海外→日か
• 欧米圏/米欧同時発売
英語で作って欧州多言語に対応
• 日本/日→米欧発売
日本語で作って英・欧多言語に対応
• 洋ゲーのスーパーニッチ化
求められるのは日→海外だろう
ビジネスモデルの拡大
• コンソールの配信モデル
Wiiウェア、Dsiウェア、Xbox Liveアーケード、
PSネットワーク
• スマートフォン市場
iPhone、Andoroido、NOKIA・・・
• SNSゲーム
Facebook、Myspace、Mixiアプリ・・・
ディベロッパーの復活
• 海外に販売拠点を持たない国内ディベロッパーでも、やり方次第で海外市場に向けて直接ゲームコンテンツを配信できる
• PS1時代に多くのディベロッパーがパブリッシャーになったのと、同じ現象が起きている
ただし、これはコンソールのパッケージモデルの再来ではない/デジタル配信時代における新しいゲームビジネスの確立
ローカライズ技術の洗練
• パブリッシャーにおいては、さらにローカライズ技術の洗練度が求められる
数十カ国語にもおよぶ多言語対応
開発ラインへの組み込み
文化・地理的問題の対応
• 海外担当者間のコミュニティの必要性
SIGの目的
• 海外配信時代/グローバリゼーション時代を見据えた知見の共有とコミュニティの育成
• 各社の機密事項に抵触しない範囲で
• 海外担当者/プロデューサーの人材育成・キャリア形成?
• 隔月ペースでテーマを変えながら開催
• グローカリゼーションハンドブック
世話人
• 稲葉治彦(ナニカ)
• エミリオ・ガジェコ(バースデーソング音楽出版Windward Japan ローカライズ事業部)
• 小野憲史(ゲームジャーナリスト)
• 長谷川亮一(セガ) 50音順
+
• 中村彰憲(立命館大学)
「ローカリゼーションよりグローカリゼーション」