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頑なまでに、自分たちのユニークな設計と哲学を貫き通したモーターサイクルを作り続けているレーシング・モーターサイクル・ カンパニーがイタリア・ヴァレーゼにある。それがH u s q va r n a —— ハスクバーナだ。スウェーデンで1903年に生まれた " V i ki n g "は、世界のモータースポーツで輝かしい栄光を獲得した後、1988年にイタリアに本拠地を移して第二世代へ。そ して2007年にはB MWグループの傘下へ迎え入れられた。その結果、充実した開発環境と高いクオリティコントロール能力 を手に入れ、飛躍となるであろう第三世代の歴史を刻み始めた。しかし、これらの変遷を経てもユニークかつエレガントなデ ザイン、設計思想は変わらない。屈強だがしなやかさに溢れたシャシー。ライダーの心を熱く燃やすエンジン。そしてその組 み合わせが生む、ライダーの心を揺さぶる確かなパフォーマンス。その源泉となる「情熱」について、ひもといていこう。 モデルカーズ8月号増刊・フリーライドマガジンVol.29 特別付録 イタリアの情熱を知る。ハスクバーナ・モーターサイクル FROM ITALY
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Husqvarna Magazine 01

Mar 26, 2016

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頑なまでに、自分たちのユニークな設計と哲学を貫き通したモーターサイクルを作り続けているレーシング・モーターサイクル・カンパニーがイタリア・ヴァレーゼにある。それがHusqvarna —— ハスクバーナだ。スウェーデンで1903年に生まれた"Viking"は、世界のモータースポーツで輝かしい栄光を獲得した後、1988年にイタリアに本拠地を移して第二世代へ。そして2007年にはBMWグループの傘下へ迎え入れられた。その結果、充実した開発環境と高いクオリティコントロール能力を手に入れ、飛躍となるであろう第三世代の歴史を刻み始めた。しかし、これらの変遷を経てもユニークかつエレガントなデザイン、設計思想は変わらない。屈強だがしなやかさに溢れたシャシー。ライダーの心を熱く燃やすエンジン。そしてその組み合わせが生む、ライダーの心を揺さぶる確かなパフォーマンス。その源泉となる「情熱」について、ひもといていこう。

モデルカーズ8月号増刊・フリーライドマガジンVol.29 特別付録

イタリアの情熱を知る。ハスクバーナ・モーターサイクルFROM ITALY

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PASSION

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PASSION

Antoine Meo

突き動かしているのは情熱。このエンジンは、イタリアーノの歓声だ!

常に勝つこと、勝ち続けること—勝利への情熱が生み、育んできたブランド、ハスクバーナ。オフロードにルーツをもつこのレーシングカンパニーはブランド生誕から100年以上たった今もその情熱の熱さを失っていない。それどころか、新たなX-Lightエンジンなどを得てさらに熱く燃えたぎっているのだ。エンジニア。デザイナー。プロダクトマネージャー。メカニック。ハスクバーナに関わる全ての人間に、ライダーに、その熱が伝わり熱狂の渦を作っていく。アクセルを開けた瞬間に体感する強烈なパッション。アントワン・メオに怒濤の6連勝を勝ち取らせ、エイドリアン・シャレイアに無敵の速さを与えたのは、パッションそのものだ。トップライダーだけじゃなく、アマチュア・エンスージアストにも十分体感できるその熱を、ぜひ感じ取っていただきたい。

アントワン・メオ2009年の世界選手権エンデューロで、後半6戦全勝という輝かしい戦績を残しタイトルを獲得したフレンチ・ライダー。2010年もすでに7戦中5戦で勝利する圧倒的な強さを見せている。彼の勝利に貢献するマシンこそ、ハスクバーナ・TE250だ

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Adrien Chareyre

ハカン・カルキビストも1979年に250ccクラスでハスクバーナにタイトルをもたらしている

ハスクバーナのルーツでもあるスウェーデン出身のエンデューロヒーロー、アンダース・エリクソン。400、500のビッグボアクラスで活躍。ハイパワーのTE610、TE570をねじ伏せるように操るライディングスタイルは、多くのファンを魅了した

ヘイキ・ミッコラは1974年と1976年にハスクバーナでモトクロス世界タイトルを獲得

Antoine Meo

History of Husqvarna=History of GLORY誕生〜初のタイトル獲得

 現在は北イタリアに本拠を置くハスクバーナだが、もともとはスウェーデン生まれのブランドだ。1689年(!)にスウェーデン国王によってハスクバーナ河畔に建設された工場は、後に銃器やミシンなどの精密機械を製造する大工場へと発展するが、ハスクバーナ製の初めてのモーターサイクルは1903年に誕生。1909年にはスイス製のVツインエンジンを搭載したスウェーデン軍採用モデルを完成させる。 1919年には初の自社製エンジン開発に成功。その後は、イギリス製のシングルエンジンを搭載したモデルを発売したり、あるいは他メーカーにOEM供給をするなど、高性能かつ信頼性の高いモーターサイクルとしての地位を確かなものにしていくが、軽量で高い運動性能を持つスポーツモーターサイクルとし

てのハスクバーナがスタートするのは第二次世界大戦が終結してからだ。 他メーカーがまだ4ストロークを主力とする中、開発の主軸を軽量でハイパワーの2ストロークへと切り替えたハスクバーナのマシンは、圧倒的なオフロード性能でシーンを席巻する。 1953年、旧チェコスロバキアで開催されたシックスデイズエンデューロでは、新しい2ストローク175㏄マシンを駆る9名のライダーが7つのゴールドメダルと2つのブロンズメダルを獲得し世界中のライダーから注目を集める。 1955年には、このトロフィモデルをブラッシュアップ、車重をわずか75㎏に抑えたSilverpil(シルバーピル)を発売した。 「銀と赤」の燃料タンクが特徴のこのモデルは、以後10年の間生産が続けられる大ヒット作となる。最終的には、排気量は175㏄か

ら245㏄まで拡大。出力は15PSに、ギアボックスも3段から4段に変更される。 1959年、このSilverpilは、ロルフ・ティブリンのライディングで、ハスクバーナにとって初のモトクロス世界チャンピオンを獲得する。

アメリカでの成功

 もしかするとアメリカのバイクメーカーだと思っていた人も少なくないかもしれない、Silverpilに代表されるクロームメッキと赤のタンクのハスクバーナは、アメリカでも大きなセールスを記録する。マルコム・スミスやスティーブ・マックイーンによるライディングの印象も鮮烈だ。 1966年、ハスクバーナの母国スウェーデンで開催されたISDTに、マルコム・スミスはア

メリカ代表チームの一員として出場した。マシンはハスクバーナ。マルコムとともにバハのレジェンドとして語られるバド・イーキンスもこの時初めてハスクバーナで出場している。 この時の活躍は、アメリカにおけるさらなるビッグセールスのきっかけとなり、以後、スポーツモーターサイクルといえばハスクバーナと言われるほどの確固たるポジションを確立。1974年10月に第一次オイルショックが始まるまで、アメリカのオフロードバイクブームを牽引する存在であり続けたのである。

イタリアへ。新世代4ストロークの誕生

 EU成立という大潮流の中で、ハスクバーナのモーターサイクル部門が、イタリアのカジバ社に移譲されたのは1986年。カジバは、

Anders Erikssonアンダース・エリクソン

Hakan Carlquistハカン・カルキビスト

Heikki Mikkolaヘイキ・ミッコラ

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1906年から続くモーターサイクルメーカーとしてのハスクバーナのブランドを絶やすことなく受け継ぐことになる。 1950~60年代に2ストロークマシンの先駆としてシーンを席巻したハスクバーナが、再びエポックメイキングな存在となるのは1992年。4ストローク500㏄マシン、TC570のデビューによってだ。これまで、軽量・コンパクトでパワーの出しやすい2ストロークが主流だったモトクロス界に、革新的なまでに軽くコンパクトな4ストロークエンジンを開発投入したのだ。65HPと高出力ながら2ストロークよりトラクションに優れ扱いやすいパワーカーブ、4段ギアボックスを持ちながら、車重はわずか115㎏と軽量。 翌1993年、このTC570は、ジャッキー・マルテンスのライディングで世界チャンピオンに輝くことになるのだが、モトクロス世界選手

権で4ストロークマシンが勝ったのは、実に28年ぶり、ジェフ・スミスのBSAが1965年にタイトルを獲得して以来のことだったのだ。 すでに、ハスクバーナから独立した技術者たちによって設立されたフサベルが4ストロークマシンを作っていたが、それらとともに、TC570の活躍は、現在につながるオフロードマシンの4ストローク化の流れを決定づけるものとなる。

2010年はエンデューロでもタイトルを狙う

 スーパーモタードレーシングへの取り組みも早く、1990年代前半から、イタリア、フランスのナショナル選手権に参戦。1998年には、メーカーとしていち早くスーパーモタードモデルのSM610、SM125も市販。2000年にはティエ

リー・ヴァンデンボッシュ、2003年にはやはりエディ・シールがスーパーモト世界選手権でチャンピオンに輝くなど、この新しいカテゴリーでも確固たるポジションを確立することになる。その後も2005年にジェラルド・デレピンがS1で、2007年もデレピンとアドリエン・シャレイアが両クラス制覇、シャレイアは、その後もタイトルを獲って現在3年連続タイトルの記録を更新中である。 モトクロスでは、1999年にキオッディのタイトルを獲得したのを最期に、ワールドチャンピオンシップの一線から退いた形になる。その後、スーパーモタードとエンデューロに注力しているが、2007年にBMWのグループ企業となってからは新体制のもとに、モトクロスにも本格的なカムバックをスタートさせている。 そして今、ハスクバーナが最も力を注いでいるのが、エンデューロ世界選手権だ。それ

も最小排気量のE1クラスでのタイトル獲得がターゲット。1990年代から、エンデューロでは、アンダース・エリクソンらのライディングによって、ハスクバーナのビッグボア4ストロークの実力が証明されてきたが、今度は、超軽量ユニット、X-Lightエンジンのポテンシャルをアピールする機会になる。同時に、BMWとのコラボレーションによるニュー450㏄マシンの開発も進められているということで、ますます期待が高まっているハスクバーナである。

フランス出身のアントワン・メオは2009年の圧倒的な速さを保ったまま2010シーズンに突入。すでに7戦中5戦を制している。この勢いは止まらない!

Antoine Meoアントワン・メオ

弱冠24歳ながら、07年はS1で、08、09年はS2クラスでタイトル獲得と前人未踏の記録を達成した天才スーパーモタードライダーがアドリエン・シャレイアだ。その成功を支えたマシンこそ、ハスクバーナSM450RRである

Adrien Chareyreアドリエン・シャレイア

Anders Erikssonアンダース・エリクソン

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勝利への情熱が革新を生む。ハスクバーナ・テクノロジー

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単体重量 22kg。その軽さはハンドリング性能まで向上させた。

 2005年にはすでにスタートしていたと言われるハスクバーナの新エンジンプロジェクトによって生まれたのが「X-LIGHT」(エックスライト)エンジン。2010年モデルのTE250/SM250Rに採用されているエンジンである。 2008年にはハスクバーナのファクトリーライダーであるバルトス・オブルッキのライディングによって世界エンデューロ選手権に登場。デビューシーズンにして、その軽さとパワーデリバリーには十分な戦闘力があることを実証。 翌2009年にはアントワン・メオの

ライディングによってフル参戦、強敵ミカ・アオラのCRF250Rを相手に後半6ラウンド全勝という素晴らしいパフォーマンスを見せた。 このエンジンの最大の特徴は、究極的なまでの軽さとコンパクトなパッケージングにある。エンジンの単体重量は22kg、前モデル比で13%減という大幅な軽量化を達成。並みいるライバルを凌ぐ軽さに仕上がっている。 しかし、これだけの小型化を果たしながらハスクバーナ・エンジンのアイデンティティでもあるシリンダーヘッドへのウオーターポンプ配置、ラ

ジアル(放射型)配置バルブの採用。ただ軽いだけではない、パワフルで耐久性の高いエンジンに仕上がった。バルブ素材もチタンとすることで、高回転域までストレスなく回る特性も獲得した。 また、2010年モデルではこれまで以上にショートストローク化したこともエンジンのコンパクト化に一役買って い る。2009年 モ デ ル ま で の76mm×55mmか ら 79.50mm×50.3mmへと変更されたことにより、シリンダー全体の高さを抑えることに成功したのだ。 日本ではまだまだ「外国車は壊れ

やすい」とい誤った認識をもつライダーが多いが、その認識はハスクバーナには当てはまらない。日本でも多くのライダーがエンデューロに使用しているが、トップライダーであってもメンテナンス時にバルブクリアランスの調整が必要になることはほとんどなく、開けて戻して終了……となることが多い。 軽さ、コンパクトさ、そして扱いやすいトルクと胸のすく高回転域のパワー。それに加え、高い耐久性まで。エンデューロライダーの求める全てが凝縮されたエンジンが、このエックスライトエンジンなのである。

各写真の大きいパーツが旧TE250、右側が2010モデルから採用されたX-LIGHT(エックスライト)エンジンの各パーツ。驚くほど小型化されていることがわかる。とくにシリンダーヘッドとシリンダーのコンパクト化は驚異的と言っていいほど。これはバルブ駆動方式を、これまでのロッカーアームを介する構造から、カムシャフト直押しの構造としたため。コンパクト化、スリム化はセルモーターにまで及び、一般的なギアではなく、新規にウオームギアを採用。これによってセル始動というアドバンテージを維持したままエンジンの小型化に成功している。また、ハスクバーナ伝統のカムシャフト同軸ウオーターポンプもギア数の低減に寄与、エンジンの小型化・軽量化に一役買っている。エンジンの小型化は結果的にハンドリングの向上にも繋がり、より軽快なコーナリングを楽しめるモデルに仕上がった

IT'S RIGHT,X-LIGHT!その軽さ、小ささがすべてを変える。エックスライト・エンジンとは?

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TE250X-LIGHT MACHINEimpression

記念すべきハスクバーナ・X-LIGHT搭載マシンとしてデビューした2010 TE250。以前から定評のあったハンドリングのよさに磨きをかけ、戦闘力の高いリアル・エンデューロマシンに仕上がっている。

好みでポジション調整可能なバークランプを採用

新たにハロゲンH4バルブを採用、実用性をアップしたヘッドライト

音量を抑えながらスリムに仕上げたステンレス素材サイレンサー

多彩な機能を盛り込んだデジタルメーター

標準でラジエーターファンを装備。オーバーヒートに強い設計としている

LEDを採用、ハードなライディングでも耐久性の高いテールランプ

標準で樹脂製のアンダーガードを装備する

質感の高いアルミ製シフトペダル、ワイドステップを採用

マディなどマシンに厳しい状況でもコントロール性を保つリヤブレーキディスク

4T ED

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懐の深い乗り味。速さと快適性を両立したTE250 軽いが、乗り味がハードでピーキーなエンジンのマシン……コンペティションマシンに対してそんなイメージをもっているなら、このTEに関しては考えを改めたほうがいい。 フルモデルチェンジされたエックスライトエンジンは、極低速から粘りのあるトルクを発揮してくれる頼もしい特性だ。もちろん、その本領を発揮するのは高回転域まで引っ張り、

ピークパワーに至ったとき。だが、低・中回転域でも十分に実用的と言えるパワー、トルクをもっている。 特筆すべきはそのハンドリングのよさだ。2010年モデルからカヤバに変更されたフロントサスペンションと、剛性が最適化されたシャシーによって、ウッズなど狭いトレイルでもヒラヒラと向きを変えていける俊敏さをもつマシンに仕上がっている。

 この特性を実現したのは言うまでもなく、新設計のX-LIGHTエンジン。大幅に軽量小型化されたことによって、もともと優れていたコーナリング性能がさらに高まっている。 また、TE250はエンデューロマシンとしては珍しく、ツーリング的なライディングにも対応する懐の深い乗り味をもっていることも特徴の1つ。やや大柄な車体だが、そのおかげで

リラックスして走るツーリングでも快適に走れる乗り味を実現している。この快適な乗り味は、長時間にわたって走ることになるエンデューロのルートを、最小の疲労で走り抜けられる効果をもっている。 エキサイティングなエンジンに快適な車体。エンデューロからツーリングまで楽しみたいという欲張りな要求にも応えてくれるマシンだ。

2010 TE250 + TADAO IKEDA(ED RIDER)@O-LAND MOUNTAIN COURSEHUSQVARNA TE250 TESTRIDE

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SM250RX-LIGHT MACHINEimpression

軽い車体に軽く回り、なおかつパワフルなX-LIGHTエンジン。ライトウェイト・スーパーモタード、SM250Rの2010モデルは、さらに走りを楽しめるモデルに仕上がった!

4T SM

Yasushi Matsumoto松本 康4歳からモトクロスの英才教育を受け、13歳から本格的にレースの世界へ。1994年に国内B級から国際B級へ2階級昇格、1996年国際A級に昇格。2005年からMOTO1に参戦。参戦して早くも2年目にmoto1クラスシリーズチャンピオン。moto2クラスは同時に3位。2008年からSM450RRに乗る。2009年は世界選手権にも挑戦した。2010年は開幕から全戦勝利の3連勝と波に乗っており、タイトルへの期待が高まっている

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天井知らずに回るエンジンが興奮を加速する。new SM250R 比較的高めの着座位置となるシートに跨り、低い位置にセットされたハンドルを落とし込むようにバイクをネカせると、深いバンク角をピタっと保ったまま強烈に旋回していく——SM250Rならではの楽しみに、さらに大きな魅力が加わった。それが、より軽快になった切り返しと、強烈で胸のすく立ち上がり加速だ。 単体重量22kgと水冷4ストロー

クDOHC250ccエンジンとしては圧倒的な軽さに仕上がったX-LIGHTエンジンは、ハスクバーナらしいヒラヒラとしたコーナリング時のハンドリング感覚にさらに磨きをかけている。 そのフィーリングもかなり変貌を遂げた。09モデルよりもさらにショートストローク化されたエンジンは、まるで電気モーターのように敏感にスロットルに反応し吹け上がっていく。

スーパーモタードならではの装備であるブレンボ製ラジアルマウントブレーキが、繊細かつ強大なストッピングパワーを発揮するから峠道をガンガン飛ばしても不安感はない。 エンジンが09モデルに比べて2kg軽くなったことは、ワインディングでの切り返しの早さと気持ちよさを実現したが、同時にサスペンションの動きもよくしている。これまでな

らガン、ときたようなショックもしなやかに受け止めるものとなった。 新たに採用されたインモールドグラフィックは、耐久性に優れるだけでなくボディパーツに艶やかさも与えている。ストリートライド、スポーツライディング。もちろん、スーパーモタードモデルの利点を生かせば、オフロードまで……! まさに究極のライトウエイトスポーツと言えるマシンだ。

サイレンサーのエンドコーンにエッチングされたハスクバーナ・ロゴ。イタリアンメイドならではのエスプリの効いたデザイン

軽くタッチに優れる油圧クラッチを採用 フロントブレーキは別体マスターシリンダーを装備したブレンボ製

ストッピングパワーだけでなく、繊細なコントロール性ももつブレンボラジアルマウントブレーキ

軽量・多機能なデジタルメーターを採用

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情熱という名のエンジンを、イタリアンアートの域に達したシャシーに積む。

THE CHASSISOF PASSION綿密なセッティングが施された車体が走りの質をさらに高める。

 ただ強いだけではなく、適度なしなりをもち、そのしなりでコーナーでのバンク時に加速するような特性を見せるフレーム……それが、イタリアならではの技術で設計されたハスクバーナのクロモリフレームである。 近年はアルミ化されることの多いスーパースポーツのフレームだが、ハスクバーナでは一貫してクロモリ素材のスチールフレームにこだわる。その理由は、高強度、高反発のアルミ素材ではなしえない、究極にしなやかな乗り味を求めてこそだ。

 クロームおよびモリブデンをスチールに配合したクロモリ素材は、パイプ厚を薄くしても十分な強度が得られるだけでなく、モーターサイクルライディングに適した適度なしなやかさを得られる伝統の素材だ。 ハスクバーナでは、このクロモリ素材を使用したパイプを使用、さらに部分部分によって最適な太さ・形状としたじつに手間のかかったフレームを製作しているのだ。しかも、毎年毎年、細かな調整や変更を加えて完成度を高めている。

 2008年にフルモデルチェンジした現在のペリメターデザインのフレームは、発表こそないもののガセット(補強パーツ)の追加やパイプ肉厚の変更などを行っている。外観からはまずわからないが、そのこだわりこそハスクバーナのテライスト(フレームのプロフェッショナル)としての仕事であり、結果的にコーナリングマシンと評される高い性能に繋がっているのだ。 その乗り味を実現する秘密はその製造工程にもある。BMWグループの傘下となったことで従業員がより

快適に働けるようになり、またより効率化されたヴァレーゼのファクトリーでは、1台1台、車体が丁寧に作り込まれていく。日本のトヨタがルーツである"カンバン方式"を取り入れたラインによって効率化されたラインでは、ハスクバーナを愛するイタリアの職人たちが丁寧に組み立て作業を行っている。 目には見えない部分だが、こうした効率的、かつゆとりのある製作工程が、精度が高く性能に優れるマシンの実現を果たしているのだ。

整然とラインに並ぶ製作途中のマシンたち ファクトリーライダーの巨大な写真がスタッフのやる気を鼓舞する工場

ファクトリーマシンを開発するチーム ファクトリーマシン開発室。次世代の技術が盛り込まれたマシンが並ぶ

ツールもコンピュータライズ。最終工程で全パーツが規定のトルクで締められているか全車チェックされる

BMW傘下になり導入されたカンバン方式。ロスのない生産で品質も向上した

部分ごとに最適な形状・素材が吟味されたフレームが優れた走りを生む

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綿密なセッティングが施された車体が走りの質をさらに高める。

現在採用されているフレームの大きな転換点は2008年。それまでのシングルクレードルフレームからペリメタータイプの新フレームに変更され、コーナリング性能がより高いものに進化した。極めて似た外観だが、スーパーモタードモデル、エンデューロモデル、各排気量ごとに最適なセッティングの実現のためにジオメトリー・構造も異なる。また、進化したエンジンに合わせてガセット(補強パーツ)の追加や位置変更なども適宜行われている。サスペンションは基本的にフロント:マルゾッキ、リア:ザックスの構成だが、2010年のエンデューロモデルからはより路面追従性に優れるカヤバ製フロントサスペンションをTE250/TC250に採用。とくにTC250にはツインチャンバーの最高峰モデルを採用することによって最高のコーナリングマシンに仕上がっている

ハスクバーナ本社の開発室ではより優れたハンドリングを追求するためのトライが繰り返されている。写真はnew TE310プロトタイプ

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ENDURO MODELSハスクバーナのルーツはオフロード・コンペティションモデル。1959年にロルフ・ティブリンによるモトクロス世界タイトル獲得以降、トレステン・ハルマン、ヘイキ・ミッコラ、ハカン・カルキビスト、アンダース・エリクソンらスターライダーを生み出している。その栄光の血統は今、アントワン・メオらの活躍を支える最新モデルに受け継がれている。ここではその最新モデルのインプレッションをお届けしよう。

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IMPRESSION

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待望のビッグ・デュアルスポーツ。ハスキーの熱さに汎用性、快適性をプラスしたブランニューモデル登場

TE630

DOHC化されたパワフル&スムーズなエンジン ②軽快な操作が可能な油圧式クラッチ ③クラウンロゴの形状とされたステンレス製ツインサイレンサー ④コックピットには大きく見やすい多機能デジタルメーターとハンドルロック一体型メインスイッチを配置

大柄ではあるがヒザまわりがスリムに設計されているため身長170cm程度あればラクに乗れる。シティライドからツーリングまで幅広く使えるハスキーだ

ED4T

1 2

34

価格◎ 85 万円

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強烈なパワーでライダーを挑発。希少な公道走行可能 2 ストロークモデル

最強のストリートED、TE630

 快適性と足つきの良さを考慮して設計された段付きシートは、これまでのハスクバーナ製モーターサイクルに比較してとても柔らかい。その前に位置するタンクのシート側は深く絞られており、対照的に前部はラジエーターを覆うように左右に大きく開いている。フューエルインジェクションらしくセル一発で目覚めたエンジンは、SM530RRをベースに開発されたDOHCユニットだ。 TE630は2005年に初登場したストリートモタードモデル、SM610をルーツにもつデュアルパーパスモデルだが、エンジンがSM610のシングルカムエンジンからDOHCになったことで、乗っての印象がガラっと変わった。旧モデルがどちらかと言えばトルク重視で上での回転上昇はつまりがちなパワーフィールだったのに対し、まるで2気筒エンジンになったかのような滑らかさを手に入れている。実際、トルク、パワーともにSM610に比して20%アップしているそうだが、それが十分に体感できる。 今回、試乗したのは、イタリアはミラノの北部、ヴァレーゼにあるハスクバーナ本社からスタートした、全長50〜60kmほどの公道ルートだ。前半は滑らかな舗装路、後半に数kmの林道を含むバリエーション溢れるルートである。 初めて乗る、しかも決して小さくはないバイクなのに緊張感がまるでない乗り味だ。いいなあ、と思えるのはハンドリングのナチュラルさ。タイヤは前後ともにメッツラー・カルーを履いていたが、オンロードでも気持ちよくコーナーを攻めていける。 そのままの勢いでダートへ。結構ガレていて、しかも水切りのミゾが道路を横切るかなりハードなコンディション。快適性を重視したマシンだけに、かなり苦労するのでは……という心配はしかし、一瞬で消え去った。 ライディングポジションがTE250、450などのコンペティションモデルに極めて近いエンデューロバイクそのものであるためか、じつに軽快にダートを走って行ける。車体中央部分がスリムであるせいか、ダートを走り始めて10分後にはアクセルターン、ブレーキターンが出来るほどにまで体になじんでいた。乗りやすく速いビッグオフ。ユーザー待望のハスキーが登場した!

ライダーに挑戦するWR250

 低速から高速まで全域でパワーが出ている、まさにロケットマシン。とくに中回転域以上のパワーはエキサイティングのひとことで、回しきって走るには相当のスキルが要求される、リアルエンスージアストのためのマシンである。 もっとも、アクセルをあまり開けなくても難所を乗り越えていく強大なトルク、パワーを発揮するので、繊細なスロットルコントロールの出来る中級者であれば乗りこなすことは十分に可能だ。いずれにしろ、この特性はチャ

ンバー、サイレンサー、排気デバイスなどでセッティングすることが可能なので、自分に合った特性を走りながら見つけていく作業も楽しいだろう。 2010年モデルからはフロントサスをカヤバ製としたことで、フロントの動きがグンとよく、柔らかくなっていることも好印象。 現在では希少な公道走行可能2ストロークエンデューロマシンであり、2ストならではの乗り味を求めるユーザーには嬉しいマシン。乗りこなす楽しみを求める、まさにライダーに挑戦するマシンである。

WR250

チャンバー形状の見直しによってよりパワーバンドが広がった2010モデル。グラフィック類もインモールド化され、耐久性とルックスともに向上している

軽量かつ強靱なスイングアームに、高品質なアルミ製リアスプロケット。細部に至るまでハイエンドパーツが配され、実戦で即使用できるスペックとなっている

ED2T

価格◎93万4500円

2010 WR250 + TOMOYASU IKEDA(ED RIDER)

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BMWとのコラボレーションがついに実現BMW HUSQVARNA ENDURO"TC449"、EWCイタリアでついにデビュー

TE450TC250

2009年に登場しているが、一部の限られたライダーにのみ供給されていたX-LIGHTエンジン搭載4ストロークエンジンモトクロッサー、TC250。TEシリーズとは異なり、燃料供給にはケーヒン製FCR-MXΦ39mmキャブレターを採用。旧モデルに比べスイングアームを15mm短縮するなど熟成を進めての登場だ。

 2007年に始まったBMWによるEWCへのチャレンジは、今シーズンからハスクバーナとのコラボレーションによる「BMW Husqvarna Motor Sports」のプロジェクトに引き継がれた。前傾シリンダー、コアキシャルピボットなど、BMW G450Xの革新的なデザインはそのままに、シャーシ開発はハスクバーナが担当。BMWの技術力と、ハスキーのレーシングテクノロジーが融合したまったく新しいモデルになっている。BMW Husqvarna Motor Sportsは、この新しいファクトリーマシン"TC449"を、まずはEWCに投入。ユハ・サルミネンらのライディングでタイトルを狙う。EWCデビューとなった5月のイタリアGPでは、エースのサルミネンが怪我のために欠場してしまったが、マルコ・タルカラ(写真上)とピッチヒッターのアンドリアス・リッテンビッヘラーが上位で完走。ポテンシャルの高さを証明した。

世界選手権エンデューロをターゲットとした TE450も2010モデルに。フロントサスペンションはΦ48mmのカヤバ製となり、さらに信頼性と操縦性の向上を果たしている。また、ウオーターポンプとラジエーターホースも強化され、さらにハードなシチュエーションでも信頼性が高いものとしている。

coming up next

世界選手権を闘うフラッグシップマシンX-LIGHT エンジンを搭載したモトクロッサー価格◎120万7500円価格◎108万1500円

ミクニ製インジェクションを採用するDOHCエンジンは冷却系統をさらにタフなものへと変更している

EWCイタリアGPでデビューしたTC449

目立たない部分ではあるが、ハブやアクスルなども新設計のものとなり、ハンドリングに貢献。アルミ製の軽量なキックスタンドが装備される

ED4TMX4T

ステンレス素材のサイレンサーはTEシリーズに比べてスリムなデザイン。外装パーツ類は、直接プラスチックにプリントされるインモールドタイプ

タンクとシリンダーヘッドの間に腕が通りそうなほどコンパクトなX-Lightエンジン。単体重量22kgと世界最軽量を達成している

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WR125より戦闘力を増した 2011TEもスタンバイ

 125ccのオフロードバイク……と聞いて、初心者向けの廉価マシン、と想像するのは大きな間違い。このWR125は、2スト125ccというレギュレーションの枠内で最大の速さを実現すべく、隅々まで研ぎ澄まされたリアルコンペマシンなのである。 2010モデルでの嬉しい変更点は、これまでオプションだったビッグタンクが標準装備になったこと。これによってピットでの給油回数を抑えることができる。

 エンジンはハスクバーナらしいエキサイティングな特性だ。回せば回すほどパワーが出る性格で、中回転域以上をキープできるライダーであれば、どこでも気持ちのいい加速を味わえるだろう。また、低速トルクも扱いやすいので、アクセルを開けられない初心者にもお勧めできる。やや大柄な車体ではあるが、125ccゆえの軽さも魅力的。本格的なエンデューロに取り組みたいライダーに最適な、長く乗れるマシンである。

仕上げの美しいアルミ製バークランプとトップブリッジ。細部の造りは上位クラスとまったく同じだ

仕上げが美しくなった、ARROW製ステンレスサイレンサー

サイドスタンドは軽量でありながら頑丈なアルミ鍛造。ワイドステップ、チェーンガイドなどハイクオリティなパーツが随所に用いられる

ハスクバーナ全車に共通する、クイックファスナー脱着式シート。エアクリーナーのメンテナンスを工具不要で行える

ステアリングヘッドのリブ、ピボット部形状の変更など多数の変更が行われている2011モデルも開発の最終段階に入っている

2011 TE

クラスを超えたパワフルさ。上位クラスを脅かすスモールロケット

価格◎89万2500円

価格◎120万7500円価格◎108万1500円

ED2T

2010 WR125 + TOMOYASU IKEDA(ED RIDER)

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SUPERMOTARDMODELS

Adrien Chareyreアドリエン・シャレイアモトクロスライダーだったが、2001年にスーパーモタードに転向。07年にS1クラス、08、09年にS2クラス制覇と前人未踏の世界選手権3連覇を果たした24歳。ハスクバーナ・スーパーモタードチームを牽引する若きエースである

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SUPERMOTARDMODELS

IMPRESSION

ボリス・シャンボン、エディ・シール、そしてアドリエン・シャレイア。観客が歓声を上げるその視線の先にいるライダーは、いつもハスクバーナに乗っている。舗装路の上を、まるでダートを走るかのように豪快に滑りつつコーナーを切り落としていく彼らの走りは、モーターサイクルの歴史に新たな一章を書き加えた。そして、自由自在な彼らの走りを支えたハスクバーナ・モーターサイクルを、今我々はストリートマシンとして自分のものとすることが出来る。彼らの走りを実現した、その高いコントロール性能を、その熱いエンジンに触れることができる。そのラインアップを、ご紹介していこう。

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①マスターシリンダー別体式のブレンボ製ブレーキレバー。開き角を調整可能だ ②クラッチはマグラ製油圧クラッチを採用。頻繁にクラッチを操作する街中でも疲れにくい ③リバウンド側を調整可能なマルゾッキ製フロントサスペンション。TE630と共通だが、セッティングを施すことでロードにあったやや固めのセッティングとしている ④多機能液晶デジタルメーターを装備する ⑤LEDを採用したテールランプは明るく被視認性に優れるだけでなく、デザインにもよいアクセントとなっている ⑥右側ハンドルスイッチにはセルスターターが装備される。グリップはやや固めのコンパウンドをもつハスクバーナオリジナルだが、エンジンの振動がよく抑えられているので快適 ⑦ニューデザインを得てはるかに洗練された印象を醸し出すフロントフェイス。ヘッドライトの明るさも十分 ⑧スーパーモタードレーサー、SM530RRのシリンダーヘッドを移植したことでとくに高回転域での滑らかさが印象的に仕上がったエンジン。赤いヘッドカバー、アルマイトのバンジョーボルトなど細部のデザインもクールだ

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 リアルレーシングブランドであるハスクバーナだけにハードな乗り味を想像していたのだが、走り出してみてすぐに感じたのはその快適さだ。これまでのハスクバーナにはない、柔らかいシート、振動の少ないエンジン。 それでいてパワー、トルクは十分以上にある。アクセルをひとたび開ければ思うがままの加速。SM530RRのヘッドまわりが移植されて生まれ変わったエンジンは、一直線に回転を上げていく。その爽快感がいい。

 このSMS630は、2005年に登場したストリート・モタード、SM610をベースにはしているものの、まったくの別物と言っていい完成度の高いマシンに仕上がっていた。スーパーモタードとしてのスポーツ性をスポイルすることなく、毎日の足に使える汎用性、ツーリングも可能にする快適性を持たせることがコンセプトで、そのコンセプトは十分以上に実現されている。 特筆すべきは、飛ばしても流しても楽しめるシャシーの特性。とくに前後17イ

ンチのワイドなモタードタイヤと、よくセッティングされたサスペンションによる接地感の高さは素晴らしく、砂が浮いているようなタイトなワインディングでさえ、開け開けで攻めたくなる絶対的な安心感を与えてくれる。 それでいて、高速道路を一気に200 km以上走ってもさほどストレスを感じない快適性も実現している。 デザインもいい。とくにインモールドグラフィックが採用されたシュラウドは、プラスチック素材にありがちな安っぽさ

を見事に払拭した仕上がり。磨く楽しみもある、所有感を満たすモーターサイクルに仕上がった。 もちろん、スーパーモタードの名に恥じることなく、ダートライディングも高いレベルでこなしてくれる。林道ツーリングくらいであればタイヤがロード用であることを忘れてしまうほどの走りを味わえる。 街中での足として、ツーリングの友として、ガレージに飾るアートとして。すべてのライダーに満足を与えてくれる素晴らしい1台だ。

SMS630

ハスクバーナロゴのクラウン形状をもつサイレンサーエンド。サブフレームのリアフェンダー下にはキャリア取り付け用のしっかりしたダボを備えており、オプションでトップケースやパニアケースなどを装着することも可能だ

生まれ変わったエンジン。タフなシャシー。次世代のストリート・モタード、誕生!

価格◎89万円

SMS630 + KATSUHISA MIKAMI(FREERIDE Magazine)

SM4T

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 この450、バランスの良くなった足まわりは最高だ。とくにリアショックが良くなっていて、コーナーの立ち上がりでアクセルを開けてもしっかりとコシのあるフィール。 今回、中低速から極低速まで様 な々コーナーが多い峠をメインに走った。回りこむようなヘアピンコーナーの立ち上がりでアクセルを全開にしてもスイングアームが入り過ぎることなく、またそこそこスピードの乗る中速コーナーもしっかりと踏ん張る。 ちょっと路面が荒れている切り返しなどでは車体がふられる感じもあったが、それはすぐに収まるので、すぐ次のコーナーに対処できた。これは性能の高まったサスのおかげか。剛性バランスが見直され、さらに軽量化されたフレームを含む車体全体のバランスから来るものか。 くるくる曲がる足を持ったこのマシンに乗っていると、初めてハスクバーナSM570Rに乗って峠に行った時のことを思いだす。まだ慣らし中の状態だったが、スーパースポーツ乗りだった自分はヘルメットの中で笑いが止まらない楽しさだった。 そんな当時の楽しさ、興奮を思い出させるくらいこのSM450Rも楽しいマシンだった。

SM450R

SM510R

SM125

SM450RR

①アルミニウムツインサイレンサーにステンレスのエンドキャップ。抑えられながらも歯切れのいい排気音。クオリティの高さを感じる部分 ②ロゴが加工されたサイレンサーのエンドキャップ部分 ③コントロール性の高いブレンボ製ラジアルマウントブレーキキャリパー④作動性が非常によくなったと感じられるリアショック

ハスクバーナ・コンペティション・スーパーモタードモデルのラインナップにおける最大排気量モデル。強烈なパワーとトルクはまさにジャジャ馬的で、それだけに手強く乗りこなす楽しみが味わえる。乗り手は選ぶが、乗りこなせれば大きな喜びを感じられるマシンだ。

FIMスーパーモト選手権でのアドリアン・シャレイアのタイトル獲得を受けて発売されたレーシングモデル。わずか112kgに仕上がった車体は、ブレンボ製モノブロックキャリパーやSTMスリッパークラッチ、ARROW製チタンサイレンサーなどまさにファクトリーチーム同様の仕上がり。200万円近い価格だが、自分で仕上げることを考えればむしろリーズナブルとも言える。

ハスクバーナ2ストロークエンジンならではの弾けるような乗り味を手軽に楽しめる125ccモデル。デイリーユースも考えられた車体にはタンデムステップも装備、ストリートライディングをスポーツライドに変えてくれるエキサイティングな1台だ。

コンペシリーズ最高峰乗りこなす楽しみの濃さに感激

スーパーモタードの楽しさを知る最初の 1 台に最適なストリートモデル

世界選手権タイトル獲得を受けプライベーター向けに発売された純レーサー

笑いが止まらない楽しさのコーナリングマシン価格◎118万円

価格◎130万2000円

価格◎72万4500円

1 2 3 4

SM4T

SM4T

SM4TSM2T

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ENDURO

MASAMI ISHIIwith TC250石井正美

今年 58 歳と現役最年長ながら、JNCC 第2戦シンラでは 2 位に入る活躍を見せた生粋のスプリンター。2007 年には全日本エンデューロ選手権も制している IA モトクロスライダーだ。今季からハスクバーナ TC250 にスイッチ、速さにより一層磨きをかけている。

HUSQVARNA ENDURO RIDERS小菅浩司 WR250内山泰臣 TE250博田 巌 TE250原田健司 TE250高橋政人 TC250松本 康 TE250

MASAMI IHSII

with TC250

MASAHIROYAMASHITAwith SM250RMASAHIRO

YAMASHITAwith SM250R山下政弘

小学 3 年生からミニバイクレースを本格的に始め、5 年生で YAMAHA Y.E.S.S CUP つま恋シリーズ、筑波東コースシリーズで早くもチャンピオンを獲得。現在の MOTO1では珍しいロード出身ライダー。スーパーモタードには 2004 年から参戦、自ら HUSQVARNAを選び、2005 年には弊社初のスカラシップライダーに。08、09 年 moto2 クラスで連続ランキング 2 位。'10 年第 3 戦伊那では激しいバトルの末優勝し、今年最もチャンピオンに近いライダーとして注目を集める。

HUSQVARNA SUPERMOTARD RIDERS金児伸二 moto-1 PRO増田浩志 moto-1 OPEN松本和資 moto-1 OPEN山下政弘 moto-2

HUSQVARNA EVENTSハスクバーナの乗り方を、楽しみ方を知る。

MV アグスタジャパンでは、ハスクバーナオーナーに愛車での楽しみ方を提案するイベントを各種開催している。その1つがトライモタード。ホリデーレース的な雰囲気を大事にしつつ、その実カリキュラムの中身は理論的で非常にわかりやすく、すべてのプログラムが終了した頃には自分自身が驚くほどに上達している……という楽しいスクールだ。また、これからオフロードライディングの楽しさを知りたいというオフロードライダーに向けた「トライエンデューロ」も開催。さらに、せっかくだからレースを楽しみたい、本気で走りたい! というライダー向けのレース「ハスクバーナカップ」も開催している。それぞれ年に数回開催しているので、日程、詳細はハスクバーナディーラー、または MV アグスタジャパンホームページ(www.mv-agusta.co.jp)で最新情報の確認を。

RACING&SUPPORT

ED

SM

生粋のレーシングブランドであるハスクバーナにとって、レース活動へのサポートは当然ながら切っても切れない関係だ。そのため、日本におけるハスクバーナ輸入発売元であるMVアグスタジャパンでも、多くのレース活動をサポートしている。しかし、それは単にトップライダーと契約し走らせるだけのものではない。ハスクバーナで闘うプライベーターに対しても手をさしのべるホスピタリティテントの設置、スクールや入門イベントの開催など、レースそのものを盛り上げようという活動を行っている。

SUPERMOTARD

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8000-A9946 ENGINE HOUR METER22,470円エンジンのメンテナンスサイクル管理に最適

hmgrtc250 デカールキット(TC/TE250) 2万4780円自分のマシンをファクトリーライクに仕上げることが可能なグラフィックキット。ボディパーツのプロテクションにも

8000-H1415 TITAN FULL EX. FOR SM450R 308,700円軽量なチタン素材を使用したフルエキゾースト

8000h2450ワイドステップ25,410円確実なフットワークを実現するピン付きワイドフットペグ

8000H1424 アンダーガード( TC/TE 08-09 )20,685円頑丈なジュラルミンを使用した大型アンダーガード

8000h2699トリプルクランプ(TE/WR250)102,480円CNC加工の高精度トリプルクランプ

8000-B1968 ステップシート

(TC/TE/SMR/WR125)30,345円足つき、ライディング時の安定性を向上

8000H2201 WR/CR125用ビッグタンク59,640円9Lの大容量で航続距離を拡大。低重心化にも

8000h2995144ccキットWR/CR125用のボアアップキット。中・低速トルクの強化に。レース専用品

8000H1103PROTAPER用クランプキット

(TC/TE/SMR/WR)13,230円プロテーパーバーを装着する際に必要になるクランプキット

8000-H2443HOT STARTER FOR CARB.MODELS 19845円ヒート時の再始動性を向上

HMSTAND 20,895円ハスクバーナ各モデルによく似合う軽量なアルミ製レーシングスタンド

8000H1282カラーチェーン25,515円足もとをビビッドにまとめるカラーチェーン

8000H244ウオーターポンプインペラー8,900円

HMABP7AU0ハンドルバーパッド3,570円思わぬケガから身を守るプロテーパー用バーパッド

from Factoryオーナーの好みに合わせ、ハスクバーナをよりスペシャルに仕上げるためのパーツ。そして、ハスクバーナをより楽しむためのアパレルもハスクバーナでは多数用意している。ファクトリーでデザイン&テストされたパーツ類は、どれも魅力的なものばかりだ。

8000-B0053 TC/TE/WR 06-10142,800円ファクトリパーツクオリティのコントロール性を発揮する小型高精度ブレンボ製ハイエンドブレーキキャリパー

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SUNGLASSES価格:9,450 円

SUPERMOTO GLOVEサイズ:M/L/XL価格:8,925 円

CAPサイズ:フリーサイズ価格:3,990 円

RED MAG価格:1,260円

DAY BAG価格:11,550 円

SOFT SHELL JACKETサイズ:M/L/XL価格:19,950 円

RACING GOGGLES価格:11,500 円

BEANIE REVERSEサイズ:フリーサイズ価格:3,990 円

NYLON VESTサイズ:M/L/XL価格:16,800 円

HOODIE JACKETサイズ:S/M/L/XL価格:13,650 円

REPLICA LONG SLEEVEサイズ:M/L/XL価格:12,600 円

POLO-SHIRTSLEEVEサイズ:S/M/L/XL価格:10,500 円

T-SHIRT WHITESIZE:S/M/L/XL価格 :5,250 円

HOODIE JACKETSIZE:M/L/XL価格:13,650 円

SANDALS価格:3150 円

POLO-SHORT SLEEVE サイズ:S/M/L/XL価格:7,875 円

BERMUDA CARGO PANTSSIZE:M/L/XL価格:8,925円

T-SHIRT BLACKSIZE:S/M/L/XL価格 :5,250 円

FASHION BELT価格:4,200円

KIDDIMOTO HUSQVARNA価格:28,350円

TECHNICAL RACING PANTSサイズ:28、30、32、34、36、38 価格:30,450 円

APRON 価格:7,875 円

STEAK POT価格:5,250円

KEY RING価格:840円

apparelハスクバーナに乗るなら、イタリアンエッセンスの詰まった純正アパレル&アクセサリーで。

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FREEDOMハスクバーナの故郷イタリアで、SMS630 に乗る。イタリアの郊外、そしてワインディングをこれでもか、と思うほど走ってわかったのだ。最高のスポーツカーがこの国で生まれる理由を。そして、世界の人々 が驚嘆するアートがこの国から生まれることを。世界のファッションをリードするミラノ。その30kmほど北に位置するヴァレーゼに位置するハスクバーナ本社からSMS630を借り出し、トスカーナ・ピサまでの往復1100kmあまりを2日間で走ってきた。それは、イタリアのエスプリを体感する旅であり、自由を謳歌する旅だったのである。

story by Katsuhisa Mikami

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FREEDOM

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trip with SMS630FREEDOM

ピサの街中で

デザイン、パフォーマンス、そしてエスプリ。そのすべてをもつ SMS との旅。

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 折しも季節は春。美しくグレーに輝くワインディングを取り囲むのは生命力を感じさせる麦畑。乾いた風と、透明な 太 陽 が 降 り 注ぐ 田 園 地 帯 を、SMS630は軽快に泳いでいく。 ミラノ郊外の都市部周辺こそ交通量が多かったが、地中海の港町であるジェノバとの中間あたりまで来れば、道の流れはグっとスムーズになる。さらに幹線道路を外れ、山を目指し始めたら交通量はほとんど皆無になった。 真っ白な線で区切られたワインディングは、緩やかなアップダウンを繰り返す。徐々にアクセルも大きく開いていく。コーナー進入でGを感じながら一気にブレーキングし、肩からコーナーに入っていく。極低速のコーナーや交差点では違和感を感じるほど接地感が強いSMSのハンドリングが、こういうシーンでは安心感となって返ってくる。そう、アクセルを開けて初めて、このマシンは軽快なハンドリングを味合わせてくれるのだ。強烈な接地感は残したまま。 1、2時間も走っただろうか。その間、信号機というものが一度もなかったことに気がついた。道ばたにバイクをとめ、道を確認していた僕の横をフェラーリが乾いた音を残して走り去っていった。そりゃそうだよなあ。こんな道ばかりなんだから、つまらないクルマやバイクになんか乗りたいくないよね! トスカーナの宿で一泊し、翌日は斜塔で有名なピサに立ち寄った。中世の面影を残す城壁都市を縫うように走る細い石畳の道を行く。すると、この国がデザインというものをいかに大切にしているかが見えてくる。石造りの古めかしい建物の1階に設けられたギャラリー。テーブルを道に並べたレストラン。そして人々 がエスプレッソを片手に語り合っているバール。スーツをビシっと着こなした老人が、古いがよく磨かれた

自転車でゆっくりと走っていく。 イタリアでは、午前10時を過ぎたらミルク入りのコーヒー——カプチーノは朝だけの飲み物で、午後に飲むことはない。理由を聞くと「それがイタリアのスタイルだから」。ただそれだけだ。 だが、そうしたこだわりがこの国をこの国らしくしているのだろうと、走っているうちにわかってきたのだ。そして、SMS630の魅力も見えてきた。 グラマラスなボリュームをもったシュラウド。そこから女性のウエストのように絞られたタンク後端。なめらかなエクゾーストカバーに覆われ、ハスクバーナのクラウンロゴをデザインした形状をもつツインサイレンサー。ブラッシュアップされたフロントマスクも含め、すべてが美しい。ハスクバーナがレーシングカンパニーであることを考えるとシック過ぎるとも言えるデザイン。 しかし、これこそがハスクバーナの考える粋——エスプリなのだろう。パフォーマンスとデザイン、どちらかが欠けていても、イタリアではきっと午後のカプチーノのように滑稽なのだ。 帰り道は高速道路をひたすら全開で帰った。SMSは新たに得たツインカムヘッドならではの滑らかな振 動で250kmを一気に走らせてくれた。 それでいて、ゴツゴツした石畳の道も、望めばハードな林道ですら走らせてくれる懐の深さもある。この万能さはなんだ! デザインだけじゃない。パワーだけでもない。それでいて、ホテルの前に横付けしても恥ずかしくないシックさまである。 SMSと過ごした2日間は、人生で最も自由な日々だった。どこでも行ける。どこでも楽しめる。しかも、粋にね。バイクってそういうモノだったよなあ……そんなことを思いながら僕はミラノを目指し、アクセルを開けていった。

trip with SMS630

ジェノバ郊外

ジェノバ郊外

太陽の道、A-1のパーキングにて

ミラノからジェノバへと向かう道にて

フィレンツェ郊外。アウトストラーダを快適に走る

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