Top Banner
How2AppNote 016 eGaN eGaN® ®技術 技術 EPC:電力変換技術のリーダー | EPC-CO.COM/EPC/JP | ©2020 | | 1 動機 クラウド・コンピューティング、ウエアラブル、機械学習、自動運転、あら ゆるモノがネットにつながるIoTなどのアプリケーションの拡大が、デ ータ集約型の世界に向かう強い追い風になり、データセンターと消費 電力に対する需要が増加しています [1,2]。交流から直流へのスイッチ ング電源の効率、電力密度、コストの重要性は、eGaN FETが解決でき る革新的なソリューションを推進しており、超高効率力率補正(PFC) フロントエンドの整流器ソリューションを生み出しています。このハウ・ ツー・アプリケーション・ノートでは、ここに焦点を当てています。 4レベルのフライング・キャパシタ形マルチレベル (FCML)のトーテムポール・ブリッジレスPFCコンバータ 従来の2レベルのトーテムポール・ブリッジレスPFC構成は、定格 650 V のGaN FETを使って高効率化を実現するための一般的な 選択肢でしたが、主コイルの電力密度と損失制限に対応してい ません[3]~[5]。4レベルのフライング・キャパシタ形マルチレベル (FCML:flying capacitor multi-level)・トーテムポール・ブリッジ レスPFC構成は、200 VのeGaN FETを利用できる代替手段であり、 送電網の最大電圧274 V ACRMS で動作し、コイルのボルト秒の低減と 周波数逓倍によって、電力密度が大幅に向上し、高効率ソリューシ ョンが得られます。FCMLトーテムポール・ブリッジレスPFC整流器の 電源回路図を図1に示します。4レベルFCMLトーテムポール・ブリッ ジレスPFC整流器構成のさらなる利点は、低インダクタンスが必要 なため、入力電流の高調波歪みを最小限に抑えられることです。最 も高いピーク・ライン電圧でも、スイッチングを維持できます。 4レベルのFCMLトーテムポールPFCコンバータ向けの定 格200 VのEPC2215 マルチレベル構成を使う多くの利点の1つは、低電圧デバイスを使え ることです。この4レベル構成では、6個のカスケード接続された高周 波デバイス(Q 1 ~Q 6 )が図1に示す高周波レッグで使われています。出 力直流電圧は400 Vに設定されているため、各高周波デバイスへの印 加電圧はわずか133 Vで、マージンを加えて、200 Vデバイスがこの構 成に十分適していることが保証されます。図2に示すオン抵抗R DS(on) が8 mΩで定格200 VのeGaN FETであるEPC2215は、従来のシリコ ン・デバイスと比べて、低スイッチング損失、低駆動消費電力、および ゼロ逆回復が得られ、高効率ソリューションを実現できます。 図3は、EPC2215と、特性がこれに非常に近い同等のMOSFETとの大 きさの比較です。MOSFETは、15倍大きく、6.5倍以上のゲート電力を 消費します。加えて、MOSFETは、出力容量が大きいので、GaN FETと 比べてスイッチング損失も増加します。 200 VのeGaN ® FETを使った高効率、2.5 kW、 汎用入力電圧範囲、力率補正(PFC)付 きの400 Vの整流器設計方法 EFFICIENT POWER CONVERSION 図1. 4レベルのフライング・キャパシタ形マルチレベルeGaN FETトーテムポールPFC整流器の回路図。 図2. 定格200 V、オン抵抗8 mΩのEPC2215のバンプ側の写真。 Q 1 出力 GND Q 7 V IN L IN Q 2 C F2 Q 3 Q 4 Q 5 Q 6 Q 8 C F1 C DC 1.6 mm 4.6 mm ゲート ソース ドレイン ソース ソース ドレイン 図3. EPC2215とそれに近い特性の同等のMOSFETとのデバイス・ サイズの比較。いずれも定格200 V。 1.6 mm x 4.6 mm 9.9 mm x 11.7 mm EPC2215 IPT111N20NFD R DS(on) = 11.1 mΩ Q OSS = 162 nC Q G V G =10 Vのとき= 65 nC V Gmin = 7 V R DS(on) = 8 mΩ Q OSS = 69 nC Q G V G =5 Vのとき= 13.6 nC V Gnom = 5 V 謝辞:このアプリケーション・ノートおよび関連するハードウエアは、米テキサス大学オー スティン校の半導体パワー・エレクトロニクス・センター(SPEC)と共同で開発しました。
3

How2AppNote 016 /¡ 200 VのeGaN FETを使った高効率、2.5 kW … · 2020. 8. 14. · レスpfc構成は、200 vのegan fetを利用できる代替手段であり、 送電網の最大電圧274

Sep 22, 2020

Download

Documents

dariahiddleston
Welcome message from author
This document is posted to help you gain knowledge. Please leave a comment to let me know what you think about it! Share it to your friends and learn new things together.
Transcript
Page 1: How2AppNote 016 /¡ 200 VのeGaN FETを使った高効率、2.5 kW … · 2020. 8. 14. · レスpfc構成は、200 vのegan fetを利用できる代替手段であり、 送電網の最大電圧274

How2AppNote 016 eGaNeGaN®®技術技術

EPC:電力変換技術のリーダー | EPC-CO.COM/EPC/JP | ©2020 | | 1

動機クラウド・コンピューティング、ウエアラブル、機械学習、自動運転、あらゆるモノがネットにつながるIoTなどのアプリケーションの拡大が、データ集約型の世界に向かう強い追い風になり、データセンターと消費電力に対する需要が増加しています [1,2]。交流から直流へのスイッチング電源の効率、電力密度、コストの重要性は、eGaN FETが解決できる革新的なソリューションを推進しており、超高効率力率補正(PFC)フロントエンドの整流器ソリューションを生み出しています。このハウ・ツー・アプリケーション・ノートでは、ここに焦点を当てています。

4レベルのフライング・キャパシタ形マルチレベル(FCML)のトーテムポール・ブリッジレスPFCコンバータ

従来の2レベルのトーテムポール・ブリッジレスPFC構成は、定格650 V のGaN FETを使って高効率化を実現するための一般的な選択 肢でしたが、主コイルの電力密度と損 失制限に対応していません[3]~[5]。4レベルのフライング・キャパシタ形マルチレベル(FCML:flying capacitor multi-level)・トーテムポール・ブリッジレスPFC構成は、200 VのeGaN FETを利用できる代替手段であり、送電網の最大電圧274 VACRMSで動作し、コイルのボルト秒の低減と周波数逓倍によって、電力密度が大幅に向上し、高効率ソリューションが得られます。FCMLトーテムポール・ブリッジレスPFC整流器の電源回路図を図1に示します。4レベルFCMLトーテムポール・ブリッジレスPFC整流器構成のさらなる利点は、低インダクタンスが必要なため、入力電流の高調波歪みを最小限に抑えられることです。最も高いピーク・ライン電圧でも、スイッチングを維持できます。

4レベルのFCMLトーテムポールPFCコンバータ向けの定格200 VのEPC2215 マルチレベル構成を使う多くの利点の1つは、低電圧デバイスを使えることです。この4レベル構成では、6個のカスケード接続された高周波デバイス(Q1~Q6)が図1に示す高周波レッグで使われています。出力直流電圧は400 Vに設定されているため、各高周波デバイスへの印加電圧はわずか133 Vで、マージンを加えて、200 Vデバイスがこの構成に十分適していることが保証されます。図2に示すオン抵抗RDS(on) が8 mΩで定格200 VのeGaN FETであるEPC2215は、従来のシリコン・デバイスと比べて、低スイッチング損失、低駆動消費電力、およびゼロ逆回復が得られ、高効率ソリューションを実現できます。 図3は、EPC2215と、特性がこれに非常に近い同等のMOSFETとの大きさの比較です。MOSFETは、15倍大きく、6.5倍以上のゲート電力を消費します。加えて、MOSFETは、出力容量が大きいので、GaN FETと比べてスイッチング損失も増加します。

200 VのeGaN® FETを使った高効率、2.5 kW、汎用入力電圧範囲、力率補正(PFC)付 きの400 Vの整流器設計方法 EFFICIENT POWER CONVERSION

図1. 4レベルのフライング・キャパシタ形マルチレベルeGaN FETトーテムポールPFC整流器の回路図。

図2. 定格200 V、オン抵抗8 mΩのEPC2215のバンプ側の写真。

Q1

出力

GND

Q7

VIN LIN

Q2

CF2

Q3

Q4

Q5

Q6

Q8

CF1 CDC

1.6 m

m

4.6 mm

ゲート

ソース

ドレイン

ソース ソース

ドレイン

図3. EPC2215とそれに近い特性の同等のMOSFETとのデバイス・サイズの比較。いずれも定格200 V。

1.6 mm x 4.6 mm

9.9 mm x 11.7 mm

EPC2215IPT111N20NFDRDS(on) = 11.1 mΩQOSS = 162 nCQG(VG =10 Vのとき)= 65 nCVGmin = 7 V

RDS(on) = 8 mΩQOSS = 69 nCQG(VG =5 Vのとき)= 13.6 nCVGnom = 5 V

謝辞:このアプリケーション・ノートおよび関連するハードウエアは、米テキサス大学オースティン校の半導体パワー・エレクトロニクス・センター(SPEC)と共同で開発しました。

Page 2: How2AppNote 016 /¡ 200 VのeGaN FETを使った高効率、2.5 kW … · 2020. 8. 14. · レスpfc構成は、200 vのegan fetを利用できる代替手段であり、 送電網の最大電圧274

How2AppNote 016 eGaNeGaN®®技術技術

EPC:電力変換技術のリーダー | EPC-CO.COM/EPC/JP | ©2020 | | 2

図4. (a)完全なPFC整流器と(b)FCMLブリッジレス・トーテムポール・コンバータ基板の写真。

図5. 2400 Wを400 VDCの負荷に供給したときのコイル電流(IL)、交流入力電圧(VAC)、およびスイッチ・ノード電圧(VSW)の測定波形。

図6. 4レベルのFCMLトーテムポールGaN FET PFCコンバータの電力効率。

CF1CF2 CDCメイン・ボード

HF EPC2215

コンバータ基板

LF MOSFET制御基板

42 m

m

78 mm

45 m

m

(b)(a)

73 mm

120 mm

効率(%)

出力電力(W)

95.0

95.5

96.0

96.5

97.0

97.5

98.0

98.5

99.0

99.5100.0

0 500 1000 1500 2000 2500

99.25%

VIN = 240 VACRMS

VOUT = 400 VDC

強制空冷

実験による検証2.5 kW、4レベルのフライング・キャパシタ形マルチレベル(FCML)GaN FETトーテムポールPFCコンバータを構成しました(図4)[7]。実験ユニットは、複数の基板で構成されています。すなわち、1)EMI(電磁干渉)フィルタ、ハウスキーピング電源、バルク出力容量を備えたメイン・ボード、2)制御基板、3)GaN FETのフライング・キャパシタ形マルチレベル・コンバータ基板です。 図5は、このコンバータが入力電圧240 VACRMSで動作し、400 VDCの負荷に2.5 kWを供給しているときの、測定された入力交流電圧、適切に制御されたコイル電流、およびマルチレベルのスイッチ・ノード波形です。4レベルのFCMLトーテムポールGaN FET PFCの最大2.5 kWまでの全体の電力効率を図6に示します。ピーク効率は1.4 kWで99.25%、 900 W以上では99%を超えています。

結論データセンターの用途に適した高効率、高電力密度、2.5 kWのeGaN FETベースの4レベル・フライング・キャパシタ形マルチレベル・ブリッジレス・トーテムポール整流器を紹介しました。定格200 V 、8 m ΩのEPC2215を高周波レッグで使うと、900 W から2.5 kWで効率99%を超え、1.4 kWでピーク効率99.25%が得られるコンバータを実現できました。完全なコンバータ・ソリューションの電力密度は、わずか 125 W / 立方インチです。これには、EMIフィルタ、バルク出力コンデンサ、制御基板、ハウスキーピング電源が含まれています。eGaN FET [6] の 優れた特性によって、このコンバータは、高電力密度、超高効率、低高調波歪みを実現しています。

IL

Vac

Vdc

VSW

Page 3: How2AppNote 016 /¡ 200 VのeGaN FETを使った高効率、2.5 kW … · 2020. 8. 14. · レスpfc構成は、200 vのegan fetを利用できる代替手段であり、 送電網の最大電圧274

How2AppNote 016 eGaNeGaN®®技術技術

EPC:電力変換技術のリーダー | EPC-CO.COM/EPC/JP | ©2020 | | 3

参考文献[1] A. Marashi, “Power Hungry: The Growing Energy Demands of Data Centers,” VXchange, June 28th, 2019, [On-line available, accessed Oct. 24, 2019] https://www.vxchnge.com/blog/power-hungry-the-growing-energy-demands-of-data-centers

[2] F. C. Lee, Q. Li, Z. Liu, Y. Yang, C. Fei and M. Mu, “Application of GaN devices for 1 kW server power supply with integrated magnetics,” in CPSS Transactions on Power Electronics and Applications, vol. 1, no. 1, pp. 3-12, Dec. 2016.

[3] Z. Liu, F. C. Lee, Q. Li and Y. Yang, “Design of GaN-Based MHz Totem-pole PFC Rectifier,” in IEEE Journal of Emerging and Selected Topics in Power Electronics, vol. 4, no. 3, pp. 799-807, Sept. 2016.

[4] L. Zhou, Y. Wu, J. Honea and Z. Wang, “High-efficiency True Bridgeless Totem Pole PFC based on GaN HEMT: Design Challenges and Cost-effective Solution,” Proceedings of PCIM Europe 2015; International Exhibition and Conference for Power Electronics, Intelligent Motion, Renewable Energy and Energy Management, Nuremberg, Germany, 2015, pp. 1-8.

[5] Z. Liu, Z. Huang, F. C. Lee and Q. Li, “Digital-Based Interleaving Control for GaN-Based MHz CRM Totem-pole PFC,” in IEEE Journal of Emerging and Selected Topics in Power Electronics, vol. 4, no. 3, pp. 808-814, Sept. 2016.

[6] A. Lidow, M. de Rooij, J. Strydom, D. Reusch, J. Glaser, “GaN Transistors for Efficient Power Conversion,” 3rd Edition, J. Wiley 2020, ISBN 978-1-119-59414-7. Available from https://epc-co.com/epc/Products/Publications/GaNTransistorsForEfficientPowerConversion.aspx

[7] Q. Huang, Q. Ma, P. Liu, A.Q. Huang, and M. Rooij, “3kW Four-Level Flying Capacitor Totem-Pole Bridgeless PFC Rectifier with 200V GaN Devices,” in ECCE 2019.

EFFICIENT POWER CONVERSION

詳細については、詳細については、[email protected]に電子メールで、またはお近く

の販売代理店にお尋ねください

EPCのウエブサイト:epc-co.com/epc/jp/

bit.ly/EPCupdates に登録、または22828に「EPC」とテ

キスティングすれば、EPCの最新情報を受信できます eGaNは、Efficient Power Conversion Corporation, Inc.の登録商標です