Oct 05, 2020
今後のインドにおける水ビジネス活動方針(声明)
―日印グローバル・パートナーシップ・サミット2011「水セッション」を踏まえー
• IJGPS議長の鳩山元首相からの「水の安全保障戦略機構」丹保議長に対する本サミットの水セッショ
ンの実施に関する企画協力依頼を受け、水の安全保障戦略機構では、本サミットの水セッションに協
力していくこととなった。
• 水の安全保障戦略機構は、IJGPS2011水セッションの討議を踏まえ、水分野における日印の協力に
関して
平成23年9月5~7日、官民における日印両国の文化的、経済的関係の構築、ビジネスチャン
スを拡大するための日印両国の課題を共有するプラットフォームの構築を目的として、「日印グローバ
ル・パートナーシップ・サミット(IJGPS)2011」が東京にて開催された。
以下のような声明を発表する。
• IJGPS2011水セッションにおける討議において、インドの発展性(多くの人口と高い増加率、高い経
済発展率、大きな産業発展プロジェクト)と抱える課題(不十分な水インフラ等)および各州のその状況
と課題が表明された。インド側から表明された上下水道に関する課題の多くは、上下水道の施設整
備・処理技術、海水淡水化・処理水再利用等水源対策、無収水対策等非常に多様であった。
• 課題解決に資する具体策を今後インドの関係機関と協力して検討を進める。両国の良好な協力関
係が促進していくためには、両国間の合意形成のもと、中央政府間のみならず、地方政府間および民
間分野における水分野の協力構築・事業の推進を図ることが必要である。
• インドの直面する課題に対し、日本の各企業の有する先端技術を有効に活用するためには、インドの
事情に則した総合的な技術協力が必要であるため、個々の課題について更に現状把握、実態解明に
つとめる。そのため、水の安全保障戦略機構では、「チーム水・日本」の行動チームとして、関心の深い
企業・関連団体・水道事業者に「インドチーム」の設置を呼びかけ早期発足に努める。
• 今回のIJGPS2011水セッションで得られた成果を、国際パートナーシップのモデルとして、アジア及び
世界に広く示すことにより世界の水問題解決に貢献する。
平成23年9月7日水の安全保障戦略機構事務局
日印グローバル・パートナーシップ・サミット2011「水セッション」開催報告
日程
:
2011年9月5日(月)~7日(水)
会場
:
ザ・プリンス
パークタワー東京
主催
:
特定非営利活動法人インドセンター、
「日印グローバル・パートナーシップ・サミット2011」実行委員会
パートナー:
The Confederation of Indian Industry(CII)、Government of Haryana、Government of Delhi、Government of Nagaland、Government of Kerala、Government of Jharkhand、Government of Mizoram、Government of Manipur、Deloitte、USIBC、IAP、CMAI、Guruvantage、Tenjiku
Consulting Private Ltd.、Perfect Relations、Cybermedia、Merinews、共同通信社、ANI、Global Agrisystem、One Laptop Per Child(OLPC)、The
Energy and Resources Institute(TERI)、Indian Water Works Association、sanskara、INK Business Media、isha、新日本有限責任監査法人、新日本パブリック・アフェアーズ、国際協力銀行
後援
:
総務省、外務省、財務省、文部科学省、文化庁、厚生労働省、
農林水産省、経済産業省、国土交通省、観光庁、環境省、日本経済団体連合会、日本商工会議所、経済同友会、東京都、日本貿易振興機構(JETRO)、国際協力機構(JICA)
特別協賛
:
セガサミーグループ、TULIP、チームインディア、リライアンスインダストリーズ、スタンダードチャータード銀行、三井住友銀行
協賛
:
キョーリン製薬ホールディングス、第一三共、東芝、Cox
& Kings Japan Limited、SMBC日興証券、パナソニック、KDDI、CHANDRA Group、Religere
Enterprises Ltd.
プログラム:
基調講演、
ビジネスフォーラム、政策フォーラム、学術研究フォーラム、青少年・文化・NGOフォーラム、ラウンドテーブル、B
to Bミーティング、展示会、ネットワークパーティー
来場者数
:
約3,000名
(3日間)
日印グローバル・パートナーシップ・サミット2011開催概要
水セッションに関し、IJGPS議長の鳩山元首相から「水の安全保障戦略機構」丹保議長に対し、水セッションの
企画協力の依頼があり、同機構の第8回基本戦略委員会で協力していくことが承認され、日本水フォーラムが
事務局機能を担っていくこととなりました。
●調査目的:昨今、世界中で水ビジネスが叫ばれ、日本もナショナルフラッグを掲げてインフラ輸出しようとしています。市場としては、インドは中国と並んで有望な市場とみられていますが、日本の上下水道関連メーカーは国内市場
での、高規格商品を生産しており、その海外輸出では、価格的に合わず、出せるものがない状態です。また、海外に工場進出をするも、上下水道に関する纏まった知見があまりなく、まずユーザーである、インドの上
下水道事情を公的な調査隊を送り、情報収集することで、インドのニーズがどういうものなのかを見定める必要
があると考えます。*他方上記サミットはインド側の中央政府・州政府・経済界を日本に呼び交渉を行うものです。直接首脳と交渉
ができますが、真のニーズをある程度詰めておいた上で、交渉に臨んだほうがよいという考えのもと、インドの上
下水道事業の視察を、国土交通省、厚生労働省のご指導のもと、水の安全保障戦略機構、水道技術研究セン
ター、日本サニテーションコンソーシアムのご協力をいただき、行うものです。
●調査内容:○上下水道技術協力の可能性○統合水管理システム・ソリューションの可能性○水処理技術のニーズ○海水淡水化ニーズ○インド自治体のニーズ・協働の可能性○セッションでの討議内容
水セッションの推進体制
事前調査について(プレ調査、本調査)
●プレ調査訪問先:6/1:インド水資源省中央地下水委員会、インド森林環境省中央汚染防止委員会6/2:SPML infra Ltd. 、Degremont
ltd. 、インド工業連盟
、インド水資源省中央水資源委員会6/3:インド水資源省、デリー州Jal
Board、Aquanomics
Systems Ltd.6/4:JETROムンバイ、ムンバイ市公営企業局6/6::グジャラート州政府6/7:インド水道協会・チェンナイ市役所(上下水道局)、タミルナドゥ州上下水道会社
●プレ調査団員藤原正弘(水道技術研究センター理事長)浜田宗治(日本サニテーションコンソーシアム下水道専門官)蓼沼
彰(水と環境の未来研究所参与)田中英士(IJGPS実行委員会事務局・博報堂ソーシャルアカウント局部長)
●本調査訪問先:7/11:ハリヤナ州、ハリヤナ州開発公社、下水処理場の視察7/12:デリー、Delhi JAL Board、インドセンター7/13グジャラート州、グジャラート州政府へ訪問7/14:マハラシュトラ州、ムンバイ市公営企業局7/15:タミルナドゥ州、タミルナドゥ州水道局
●本調査団員藤原正弘(水道技術研究センター理事長)入江登志男(日本水フォーラム参与・水の安全保障戦略機構事務局)田中文彦(北九州市建設局海外水ビジネス担当部長)浜田宗治(日本サニテーションコンソーシアム専門官)蓼沼彰(水と環境の未来研究所参与)大川尚範(日本水フォーラムマネージャー・水の安全保障戦略機構事務局)田中英士(IJGPS実行委員会事務局・博報堂ソーシャルアカウント局部長)民間企業4社
インド側ニーズ
ムンバイ市公営公社 タミルナドゥ州政府 グジャラート州政府 導水管・水路
の遠隔制御 ① 導水管・水路の遠隔制御(データ収集、ゲ
ートの遠隔監視・制御) 無収水 低減
① 物理的損失と事業上の損失(メータ不備・
不感、盗水等)の算定 ② DMA の形態、DMA 毎の水理解析、漏水
評価と漏水探知技術 ③ 家庭での使用水量の計測(適切なメータの
選定、メータの検査(試験室および現地)
① コンピュータ管理システムを用いた既存の配水システムの改
修 ② 無収水低減による、水の有効利用の促進と、水道事業体の財
務状態の改善 ③ 無収水の構成要素の明確化、要素毎の低減戦略と方法に関す
る議論 ④ 管路管理システムと顧客管理システムの導入
管路システ
ムの更新・改
良
① 管路の健全性評価 ② 管路の更生技術と適正な更生技術の選定 ③ 更生工事施工業者
① 老朽管の更新及び省エネルギー・高効率な配水システムの導
入 ② 給水サービスの改善 ③ バルブの自動化システムへの変更
① 電力消費の削減が可能なポンプシステム
水道システ
ムの流量測
定
① 以下における流量測定 水源地、処理場、配水池、送水管、 配水池出口
① 水使用料の自動監視システム
浄水場 関連
① 水製造コストの算定および製造コストの
削減に向けて削減項目と方法の把握 ① 最新の技術について ① オンサイト浄化システム(紫外線利用、UF
膜、NF 膜、RO 膜)
水
道
関
連
水の有効利
用 ① 水収支監査
② 水使用量自動監視システム ③ 節水機器 ④ 小規模灌漑技術 ⑤ 省水量トイレ
下水処理 ① 小規模排水処理施設におけるユーザフレ
ンドリーな技術 ① 効果的・効率的な下水道システムの整備促進 ② 下水処理場で用いられる最新の機器 ③ パッケージ型オンサイト処理(浄化槽)
① 処理量に応じた低コスト処理技術(戸建レ
ベル、コミュニティレベル、大規模自治体
レベル) 下水処理水
再利用 ① 産業排水の処理と再利用 ② 一般下水の処理と再利用
① 処理水の再利用とリサイクル ② 処理水の使用と管理に適したエリアの設定と運用 ③ 処理水再利用の為の新技術
① 処理水の再利用促進
汚泥処理 ① 汚泥(下水汚泥)の管理
① バイオガスの生成による、下水汚泥と廃棄物の有効利用 ② 実用に向けた新技術および汚泥管理の重要性と可能性に関す
る調査・研究
下
水
道
関
連
雨水貯留 ① 一般住宅、公共用水域及び行政施設における雨水貯留システ
ムと雨水再利用
海
淡 海水淡水化 ① ローコストな海水淡水化プラント
(ムンバイでの家庭用料金は、3.50 イン
ドルピー/KL)(約 6 円/m3)
① 海水淡水化プラント
① 海水淡水化プラント(PPP 活用) ② 太陽光エネルギーを活用した海水淡水化
システム
日印の水ビジネスプラットフォームの構築
・水インフラにおける問題・課題の共有・議論
・水ビジネス情報の共有・議論
官民各レベルでの交流・協業の推進
・インドの水インフラにおける問題解決の促進
・水ビジネス市場の開拓(そのためのスキーム形成)
※日本の水戦略の浸透
日印グローバルパートナーシップ・サミット2011「水セッション」概要
開催目的
開催概要
開催日時
主催者
企画協力
開催場所
狙い
参加者数
:2011年9月6日~7日
:日印グローバル・パートナーシップ・サミット2011実行委員会、NPO法人インドセンター
:水の安全保障戦略機構(事務局:日本水フォーラム)
:ザ・プリンスパークタワー東京(芝/東京)
:インドから上下水道インフラ関係者を招き、インドにおける水インフラの課題について説明を
受け、それに対し、国・自治体の海外支援実績や内容、現在の取り組みを紹介し、議論を深
めることで、今後の日印の水分野における協力関係を構築し、水ビジネスを促進していくこと
が狙い。
:約300人(6日)、約50人(7日)
プログラム:水セッション(1日目:9/6)
セッション1:インド水事情・水における日印の協力関係(基調講演)東京都
猪瀬直樹
副知事デリー州
デリー上下水道公社
R.ネギCEO国際協力機構JICA
中原正孝
南アジア部長水の安全保障戦略機構
竹村公太郎
事務局長India Infrastructure & Urban Development Co. Pvt. Ltd
P.S.ラナ会長
セッション2:インド大都市における上下水道を考える(講演)趣旨説明
グローバルウォータ・ジャパン
吉村和就
代表デリー州
デリー上下水道公社
R.ネギCEOタミルナドゥ州
R.ラグナサンIndian Water Works Association会長India Infrastructure & Urban Development Co. Pvt. Ltd
P.Sラナ会長Former Union Minister of Environment and Forest
サフディーン議員
セッション3:日本における上下水道の海外支援事例紹介(講演)日本水道協会
御園良彦
専務理事東京都水道局
酒井
晃
浄水部長横浜市水道局担当理事
林
秀樹
給水部長北九州市水道局総務経営部
久保田和也
海外事業担当課長中部フォーラム
山田雅雄
顧問
(総括)
グローバルウォーター・ジャパン
吉村和就
代表
Business Forum: Infrastructure “India-Japan cooperation to address India's water challenge”
Official Program Title
猪瀬直樹
東京都副知事
□概要
・世界最高水準の東京都の水道事業
・1300万人の急激な水需要変化に対応
・世界最先端の「水システム」を各国・現地の実情に応じて展開し、
ビジネスおよび貢献を推進したい
デリー州
デリー上下水道公社
R.ネギCEO
□概要
・インドの水に対する考え方、社会的・政治的基盤の違いによる
効率的な整備の困難さ
・無収水対策の重要性
・デリー州へのJICAの協力(マスプラ作成)
・資金配分スキームの確立の必要性
(政府レベルの協力から各州へ)
・PPPの推進要件。日本からの参画への期待
国際協力機構JICA
中原正孝
南アジア部長
□概要
・インドは2004年以降JICA最大のパートナー。水関連は過去10年間で1
8件3440円の円借款を承諾
・水セクターに対する3つの支援戦略(コンセプト:Populated Area
Approach、Water Quality Conservation、Replicability)
・日本の自治体が持つ無収水対策などの技術がJICA支援によりインドに展
開されることを期待
・都市開発省に対する技術協力事例として、サービスレベルのベンチマーキ
ングと、下水道運営維持管理マニュアル作成がある
・デリー州ではマスタープラン作成、優先プロジェクトのFSの実施を支援
・モデル地区として、新規の水源開発なしに、インフラのリハビリで24時間
連続給水実現を目指す(高い漏水率の原因である給水管や水道メーター
の更新も支援対象に)
・PPPの推進。長期オペレーションを既存の建設計画に盛り込んでいくことな
どを選択しとして考えている
水の安全保障戦略機構
竹村公太郎
事務局長
□概要
・21世紀の様々な問題(気候変動、資源枯渇等)は、「水の姿」となって現れ
る
・人口増加以上に水需要が増えていく中で、水をどう配分していくかは技術・
インフラが解決していく
・日本も過去、水に苦しんできたが、技術やインフラ整備で対応してきた。そ
の経験の技術がある
・水道のコストをだれがどう負担していくか、適切な料金設定が必要になる
・現在我々は、3つのカテゴリーを設け、最低限の水使用量(35リットル/
日)以下の貧しい層には補助金をつけ、100リットル/日以上を使うような
層からはオーバーチャージを得るようなポリシーを、資金供給の条件にして
いる
・そのようなメカニズムを導入するには、100%の水道メーター設置が必要
であり、都市人口が増えれば、それが巨大市場となり、質・量の担保、運営
管理とあわせ、日本との協力が行えるのではないか
Indian Water Works Association R.ラグナサン会長
□概要
・水資源開発が過去行われ、全体としては増加したが、河川や地下水
の汚染、人口増加、気候変動などの要因で1人あたりの賦存量が低
下していくことが予想されている
・対して、都市では政府のプログラムやファンドがあり、インフラ整備や汚
染対策が実施されている。国全体としても高い無収水率の改善が必
要
・水質、汚染対策、水利用に関する紛争、帯水層から水が失われている
ことも問題として大きい
・機会としては、無収水対策、海水淡水化、排水処理、自然再生があげ
られる
・技術協力だけではなく、具体的な資金供給のメカニズムがあるため、
活用すべき
・緊急的なアクションプランを持つべきであり、日印の協力推進を望む
India Infrastructure & Urban Development Co. Pvt. Ltd
P.Sラナ会長
□概要
・事業機会の理解のためには、水資源に関する基礎的な要素を理解
しておく必要がある
・今後、人口の都市への集中が言われているが、実態としては小規模
都市が多い。したがって、市場もそこが中心になる
・そこで、ローカルレベルでの分散型の水管理の導入が必要だと考え
ている。ここでPPPを活用すべき。それが大きな機会と言える
日本水道協会
御園良彦
専務理事
□概要
・日本水道協会とインド水道協会は従来から友好的な関係を構築しており、その
連携のもと、プロジェクト提案を行う
・ムンバイ、周辺都市は人口急増に伴う水需要が増加しているが、給水時間は短
く無収水率も高い(20~25%)
・このような事情に対して、新たな計画づくり、財源確保、水源確保、技術的ノウハ
ウ取得、市民の意識向上、事業運営能力の取得など、種々の課題がある
・浄水場の視察を行ったところ、経過年数の割には老朽化が激しい。現地職員が
さらに技術レベルを向上させる必要があり、日本の水道施設を見てもらう必要が
ある
・今回、水道利用者の生活環境向上や公衆衛生向上を目的に、4つのプロジェク
トから構成される「配水供給システム強化プロジェクト」の提案を行う
・中長期の目的を設定し、
24時間給水の実現に寄与し、マハラシュトラ州から、
将来的にはインド全土への展開をはかりたい
東京都水道局
酒井
晃
浄水部長
□概要
・従来からJICA等の要請に基づき、海外への技術協力を行ってきた。各国各地域か
ら述べ2000人以上の研修生を受け入れている。デリーからも研修生を受け入れ、
JALボードからも10名の幹部職員が研修のため来日し、漏水防止技術、管路維
持管理をはじめとした水道技術を学んだ。これまでは長くても2~3年間の事業で
あったが、相手国からの要望として長期間にわたり積極的に事業運営に関与して
ほしいというものもあり、積極的な取り組みが求められている
・そこで、東京水道サービス(TSS)を活用した国際展開スキームを構築し、海外に職
員を派遣することとした。2010年からは東京水道国際展開ミッション団を組織し、
すでに5か国を訪問した。マレーシア大都市圏上下水道PPP事業予備調査、インド
ネシア・ウンブラン湧水配水システム整備事業準備調査などにもTSSが参加してお
り、インドではハリヤナ州マネサール団地でのプロジェクトをサポートしている。また、
都市開発省などと意見交換を行い、工業用水における配水処理・再利用が重要で
あることも伺った
・戦後80%だった漏水率を2.7%まで低下させて技術、あらゆる原水に対応できる
浄水技術や水質管理技術、100以上の浄水場を一元管理するセンター、料金徴
収など長年培ってきたノウハウを世界の水需要に活かしていく
横浜市水道局担当理事
林
秀樹
給水部長
□概要
・横浜市は、インドとの関係では、同じ港湾都市としてムンバイ市と1965年から姉妹
都市として交流がある。DMIC開発公社からも、総裁を西谷浄水場に迎え、紹介を
行った。1973年以降、JICA専門家等として、アジアを中心として27ヶ国に183人
の職員を派遣。インドにも3名派遣している。一方、1987年以降、110ヶ国以上か
ら2000人以上の研修生を受け入れている
・高度経済成長期を迎えて人口が急増していくのにあわせ、急ピッチで施設拡張、配水
敷設を進め、需要に対応してきた経験がある。また、事業・経営の効率化に人材育成
や人事管理面からも取り組んでいる。技術協力の良い事例として、フエ(HueWACO)
への協力がある。専門家派遣、研修受け入れを実施し、機材供与も行ったHueWACO
の水質浄水管理、配水管理、人材育成、人事管理制度、顧客サービスなどの面で研
修を行い、フエ以外からも広く参加を得た。結果、「安全な水宣言」をHueWACOが出
すに至り、市民が公園で蛇口から直接水を飲めるような、画期的な成果となった
・横浜市水道局は、国内外の水道に関する共通課題を解決し、特に国外では施設の適
切な維持管理、漏水対策などをすすめるため、横浜ウォーター株式会社を2010年7
月に設立した。水道施設の維持管理、研修事業、国際関連事業を柱とし、海外の水
道事業体や企業、国際援助機関をターゲットとして、コンサルティングなどを公民連携
で進め、公民連携を通じた国際貢献を今後進める
北九州市水道局総務経営部久保田和也
海外事業担当課長
□概要
・北九州市水道局は、主な国際協力として、これまで7か国述べ82名の職員をJICA
専門家として派遣。世界120ヶ国から1192名の研修員を受け入れ
・成功事例として、プノンペン市の劇的な無収水率低下があげられ、1999年以来
協力関係が続いている。現在、水ビジネス案件として2件の受注を得ている(1件
は政府より直接の受注)
・カンボジアで内戦が終結した1991年以降、プノンペン市では水道復興事業を開
始し、施設全てを更新する事業を行ったが、その後、違法分岐接続などによる盗
水・漏水が懸念されていた
・そこで、JICAと北九州市はプノンペン市の無収水対策支援のため、技術者派遣と
機材供与を実施。配水系統のブロック化を行い、41のブロック化が完成
・同時に、テレメトリによる中央監視システムを構築し、このデータ解析により効率的
な漏水/盗水調査が可能となり、2002年、施設の全面更新が終了した時点で
の無収水率は約20%であったが、その後、支援期間が終了するまでに8%まで低
下。劇的な効果を得るに至った
・これには、水道施設整備、人材育成、ガバナンスの三位一体での計画的実施・徹
底が成功要因と考えている
中部フォーラム
山田雅雄
顧問
□概要
・中部フォーラムは中部地方で活動する企業、大学、地方自治体などからなる団体。
各セクター・機関の経験を生かして、世界の水問題解決や水ビジネスに取り組む
・会員数は100社以上、水源開発から上下水道、給排水設備、浸水対策や情報管
理システムまで、水の総合管理の面で幅広い提案ができる体制にある
・今年度から、JICAの調査費を活用した、水のサービスをBOPビジネスとして展開し
ていくためのFSをスリランカで行っている
・基本的には、水源から蛇口、下水道まで含めた総合的な事業を、農村部で展開す
るものを提案。生物を活用するアイディアもある
・BOPビジネスとしてのキーワードは、ローコスト、ローテクが上げられるが、名古屋市
は100年以上の歴史を持つ「緩速ろ過」の技術があり、活用していくことを考えて
いる
・ビジネススキームとして、JICAの支援を得て、現地にSPCを形成し、現地政府、地元
企業、日本企業などからの投資、銀行からの融資を受けながら、水をコミュニティー
に提供していくことを想定している
グローバルウォーター・ジャパン
吉村和就
代表
□まとめ
・インドの水ビジネス。一番難しいのは、国民の半分以上が水に対して料金を払う習
慣がないこと。これからは一日35リットルを使った人はお金を支払うべきだと言っ
ていたが、そういうところでどうやってビジネスを作っていくのか?
これは我々の問
題ではなく、インド政府、地方政府の仕事。文化を変える、これは大変なこと。やる
気のある地域、工業団地など、我々が手伝いにいって翌年には芽が出てくるような
ところにアプローチできればよいと思っている。
・もう一つ難しい点として、事前調査団のレポートを見たが、海水淡水化、MBRなど、
ハイテクなものがほしい。しかし、コストは最小限のもの、ということ。さらには、クラ
ウドコンピューティングで配管管理もしたい、という話もあるが、漏水率50%以上も
あるところがある。先端技術の前に、現地で実施すべきことがあるのではないか、
と感じている。
・やはりインドの水の関係者に対するエデュケーションが必要になる。インド、州といっ
ても広く、判断を間違うので、地域を具体的に特定し、その分類の中で水ビジネス
のターゲットを決めなくてはならない。インド、中国、といっても意味がない。やる気
のある地方政府、首長をターゲットに、いろいろと提案していく、そういうことが必
要だと思う。
プログラム:水セッション(2日目:9/7)
テーマ1:
前日レビュー・協力構築に向けた課題提起(趣旨説明)
グローバルウォーター・ジャパン
吉村和就
代表
テーマ2:
インド側補足説明デリー上下水道公社
R.ネギCEOR.ラグナサンIndian Water Works Association会長
テーマ3:
インド調査及びインドのニーズから見た課題提起/意見日本水道協会
御園良彦
専務理事東京都水道局
酒井
晃
浄水部長横浜市水道局担当理事
林
秀樹
給水部長北九州市水道局総務経営部
久保田和也
海外事業担当課長中部フォーラム
山田雅雄
顧問
水道技術研究センター
藤原正弘
理事長下水道グローバルセンター
堀江信之
運営委員長(国交省)日本サニテーションコンソーシアム
河井竹彦
事務局長日本水道工業団体連合会
坂本弘道
専務理事(総括)
テーマ4:
ファシリティー・技術レベルでの意見/課題提起クボタ海外プロジェクト管理部
田中直也
グループ長神鋼環境ソリューション水処理事業部
石丸
豊
部長日立製作所
社会・産業システム社
社会システム事業部
舘
隆広
主
管技師
ディスカッション・総括(総括)
グローバルウォーター・ジャパン
吉村和就
代表
日印の水パートナーシップ地域間交流
Workshop Title
水セッション成果(まとめ)
IJGPS2011水セッションにおける討議において、インドの発展性(多くの人口と高い増
加率、高い経済発展率、大きな産業発展プロジェクト)と抱える課題(不十分な水イン
フラ等)および各州ごとのその状況と課題が表明された。インド側から表明された上下
水道に関する課題の多くは、上下水道の施設整備・処理技術、海水淡水化・処理水
再利用等水源対策、無収水対策等非常に多様であった。
課題解決に資する具体策を今後インドの関係機関と協力して検討を進める。両国の
良好な協力関係が促進していくためには、両国間の合意形成のもと、中央政府間の
みならず、地方政府間および民間分野における水分野の協力構築・事業の推進を図
ることが必要である。
インドの直面する課題に対し、日本の各企業の有する先端技術を有効に活用するため
には、インドの事情に則した総合的な技術協力が必要であるため、個々の課題につい
て更に現状把握、実態解明につとめる。
今回のIJGPS2011水セッションで得られた成果を、国際パートナーシップのモデルとし
て、アジア及び世界に広く示すことにより世界の水問題解決に貢献する。
今後のインドにおける水ビジネス活動方針(声明)
―日印グローバル・パートナーシップ・サミット2011「水セッション」を踏まえー
• IJGPS2011水セッションにおける討議において、インドの発展性(多くの人口と高い増加率、高い経
済発展率、大きな産業発展プロジェクト)と抱える課題(不十分な水インフラ等)および各州のその状況
と課題が表明された。インド側から表明された上下水道に関する課題の多くは、上下水道の施設整
備・処理技術、海水淡水化・処理水再利用等水源対策、無収水対策等非常に多様であった。
• 課題解決に資する具体策を今後インドの関係機関と協力して検討を進める。両国の良好な協力関
係が促進していくためには、両国間の合意形成のもと、中央政府間のみならず、地方政府間および民
間分野における水分野の協力構築・事業の推進を図ることが必要である。
• インドの直面する課題に対し、日本の各企業の有する先端技術を有効に活用するためには、インドの
事情に則した総合的な技術協力が必要であるため、個々の課題について更に現状把握、実態解明に
つとめる。そのため、水の安全保障戦略機構では、「チーム水・日本」の行動チームとして、関心の深い
企業・関連団体・水道事業者に「インドチーム」の設置を呼びかけ早期発足に努める。
• 今回のIJGPS2011水セッションで得られた成果を、国際パートナーシップのモデルとして、アジア及び
世界に広く示すことにより世界の水問題解決に貢献する。
平成23年9月7日水の安全保障戦略機構事務局
マハラシュトラ州 グジャラート州 デリー州 ハリヤナ州 タミルナドゥ州
インド政府
自治体
企業A
企業B
企業C
企業D
自治体
企業A
企業B
企業C
企業D
自治体
企業A
企業B
企業C
企業D
インドチーム
PPP
BOP
ODA
F/S調査、O&M
JICAプロジェクト
支援・情報発信
地域間交流
交流、現地調査
チーム水・日本
官民連携型
インドチームの発足
ムンバイ市 チェンナイ市DMIC構想
海外展開 国際貢献
作成:水の安全保障戦略機構事務局http://www.waterforum.jp/twj/
インド水ビジネス事務局
インドセンター
水の安全保障戦略機構事務局
インドチーム事務局
下水道グローバルセンター(GCUS)
日本サニテーションコンソーシアム(JSC)
日本水道工業団体連合会
日本水道協会
水道技術研究センター
上下水関連団体
情報交換
インドチームでは自治体・企業が対象地域
毎にグループを作り、当該地域が持つ課題
やそれに対する解決策を検討し、関係団体
等との情報交換を通じ国際貢献・水ビジネ
スの促進を図る。
水道分野の協力構築・事業推進(テーマ図)(大
) A. 大都市におけるインフラ全体整備
B. 産業集積・経済成長エリアにおける事業
C. 大都市周縁・コミュニティーにおける事業
・水源開発・水資源シミュレーション・マスタープラン作成・原水輸送ポンプ場、浄水場、下水処理場整備・下水処理水再利用、汚泥処理、バイオガス利用・モニタリング、遠隔管理・管路整備、更新・無収水対策、各啓発(漏水対策、節水機器の導入)※先端技術導入、省エネ、省コスト化
・海水淡水化事業・工業廃水処理(先端技術導入)・下水処理水再利用(工業団地内循環利用)・下水汚泥処理、バイオガス利用※先端技術導入、省エネ、省コスト化
・オンサイト浄化システム導入(膜処理等)・浄化槽導入・雨水利用促進・未給水地域における給排水・貧困層に対する水供給
投資
規模
(小
)
□政府間・自治体間協力・ODA等開発投資・日印自治体間の技術協力、研修等
□地域間協力(官官・官民連携)・日本の自治体・企業連携による協力・PPP案件組成による施設整備
□民間連携・日印企業間の事業・技術提携・JV形成等による事業開拓
□インド進出企業による事業・一般市場向け事業(オンサイトシステム・浄水器等)
・現地工場地域の水供給事業(BOP)・現地工場地域の水環境保全事業
協力・事業形態(想定)
http://www.waterforum.jp/twj/