©2015 PMI Japan Chapter. All rights reserved. ソーシャル・プロジェクトマネジメント のご提案 2015年2月28日 PMI日本支部 ソーシャル・プロジェクトマネジメント研究会 手法開発リーダー 中谷 英雄 1 ソーシャル・プロジェクトマネジメントのご提案
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ソーシャル・プロジェクトマネジメント のご提案
2015年2月28日
PMI日本支部 ソーシャル・プロジェクトマネジメント研究会
手法開発リーダー 中谷 英雄
1 ソーシャル・プロジェクトマネジメントのご提案
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目 次
はじめに
1.序論 ソーシャル・プロジェクトとデザイン思考 1.1 ソーシャル・プロジェクトの特徴
1.2 デザイン思考の導入
2.デザイン思考プロセスとレスキュー隊プロジェクト 2.1-2.7 デザイン思考モード(Mode1~Mode7)
3.ソーシャルPMの成功要因 3.1 仮説検証作業に「アジャイル・マネジメント」が有効
3.2 マネジメントは「奉仕型リーダーシップ」が効果的
3.3 投資最適化に「ポートフォリオマネジメント」が必要
ソーシャル・プロジェクトマネジメントのご提案 2
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◎はじめに(1)
本資料の取り扱いについて 情報支援レスキュー隊はまだ形成途上で、実際に災害現地で
活動できてはいません(活動しないこと=災害が起きないことを祈ります)が、その形成過程をマネジメントする手法を検討します。
また、本資料はPMI独自の分析・プレゼンで、情報支援レスキュー隊、情報支援プロボノ・プラットフォーム(iSPP)からは素材を提供・協力していただいております。
ソーシャル・プロジェクトマネジメントのご提案 3
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◎はじめに(2)
ソーシャルPM研究会・全体像
ソーシャル・プロジェクトマネジメントのご提案 4
ミッション
ビジョン
WG1 (事例調査)
WG2 (手法開発)
WG4 (実践)
WG3 (普及活動)
PMO
ソーシャル活動団体 - 復興プロジェクト
- ソーシャル・プロジェクト
ケーススタディ
要求事項
手法 評価 フィード バック
協業
教訓 フィード バック
協力/支援 手法の実地適用
パブリック サイト
ソーシャルPM コミュニティ
ソーシャル支援団体 - 自治体、NPO - 企業CSR、他
研修/支援 フィードバック
手法、事例 の公開
手法、事例 交流の場の提供
セミナー、フォーラム を通して啓蒙
直接参加
情報支援 レスキュー隊
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◎本日お伝えしたいこと(1)
これまでの情報支援レスキュー隊(IT DART)の形成過程を対象に考察し、「ソーシャル・プロジェクトマネジメント・フレームワーク」の提案内容をお伝えするものです。
提案するフレームワークは、以下をベースとして構築しています。 デザイン思考
Kumar, Vijay (2013), 101 Design Methods; A Structured Approach for Driving Innovation in Your Organization, Wiley. ヴィジェイ・クーマー(イリノイ工科大学デザイン大学院 教授)
PMIプロジェクトマネジメント標準(PPP)
ポートフォリオマネジメント標準 第3版
プログラムマネジメント標準 第3版
プロジェクトマネジメント知識体系 ガイド(PMBOK®ガイド ) 第5版
ソーシャル・プロジェクトマネジメントのご提案 5
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◎本日お伝えしたいこと(2)
その上で、ソーシャルな課題を解決するために、以下の3つの疑問について参加者の皆さんと一緒に考えます。
① ソーシャルな課題を解決する上で、 デザイン思考の有効性を確認する。
② デザイン思考の仮説・検証の繰り返しの中では、 マネジメントは、従来のマネジメントと何が異なるのかを確認する。
③その後の実行段階で、 PMIが提供するフレームワーク(PPP)との関連性を考察する。
ソーシャル・プロジェクトマネジメントのご提案 6
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1.序論 ソーシャル・プロジェクトとデザイン思考
7 ソーシャル・プロジェクトマネジメントのご提案
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1.1 ソーシャル・プロジェクトの特徴(1)
社会性・公共性・継続性の要素が不可欠な社会的課題への取組み
複数プロジェクトが関連し合えば相乗効果が期待できる
要求スキルに対するリソース不足、予算確保などで制約を受ける
ステークホルダーが多種多様で、合意形成が難しい
スコープ定義や完了基準の定義が困難、曖昧になりがち
マネジメントが手薄、ガバナンスが後追いになりがち
:
総じてプロジェクト運営の難易度は高い
ソーシャル・プロジェクトマネジメントのご提案 8
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ソーシャル問題の本質と解(アイデア)をどう結び付けるのか
解(アイデア)の集合 ソーシャル問題の集合
優先順位が高い問題
問題の本質
?
つながりがある
つながりがない?
1.1 ソーシャル・プロジェクトの特徴(2)
ソーシャル・プロジェクトマネジメントのご提案 9
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1.1 ソーシャル・プロジェクトの特徴(3)
ソーシャルPMフレームワーク
(参照)https://www.pmi-japan.org/newsletter/pdf/vol59_140625.pdf (13ページ)
ソーシャル・プロジェクトマネジメントのご提案 10
(ミッション)
(ビジョン)
ソーシャル・プログラムの実施
ソーシャル・プロジェクトの実行
組 織 資 源
(戦略計画)
ソーシャル・ ポートフォリオ計画
戦略計画レベル
戦略実行レベル
WHAT?
HOW?
WHY?
ソーシャルPM アプローチ
デザイン思考
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社会課題の解決に必要不可欠な思考法 = デザイン思考
デザイン思考は、 人間中心デザインに基づいた イノベーションを起こすための、 主として非デザイナーを対象とした 発想法である。
Wikipedia
1.2 デザイン思考の導入(1)
ソーシャル・プロジェクトマネジメントのご提案 11
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デザイン思考の適用領域
出所:ハーバードビジネスレビュー、「デザイン思考でマーケティングは変わるか?」2014.8、P84
デザインが対象する範囲は、広範囲
サービス・デザイン ソーシャル・デザイン
ビジネスモデル ・デザイン
等
狭義デザイン領域 広義デザイン領域
プロセス重視
アウトプット重視
複合目的
単一目的
単一目的
スキル向上領域 組織改革領域
プロダクト・デザイン 空間デザイン
インターフェース ・デザイン
等
調査技術向上 共創技術向上 発想法教育
等
組織文化醸成 企業風土改革
イノベーター教育 等
ソーシャルな問題の 解決にデザイン思考
を活用する
1.2 デザイン思考の導入(2)
ソーシャル・プロジェクトマネジメントのご提案 12
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デザイン思考で、引用している書籍と著者
Vijay Kumar Professor, IIT Institute of Design イリノイ工科大学デザイン大学院 ヴィジェイ・クーマー教授
Vijay Kumar is a professor at the IIT Institute of Design and leads the Strategic Design Planning and the Design Methods programs. He is also a consultant, coach, and advisor to global corporations and organizations. For more than 12 years he was the chief methodologist at Doblin Inc. (now a member of Deloitte) a global innovation firm
1.2 デザイン思考の導入(3)
ソーシャル・プロジェクトマネジメントのご提案 13
参考:101 design metthods,vijay Kumar
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1.2 デザイン思考の導入(4)
<ソーシャル・ポートフォリオ計画> ⇐ デザイン思考を導入
14
企画フェーズ 調査・分析
フェーズ 統合フェーズ 実現フェーズ 評価フェーズ
実体を把握して、課題解決の意図を形成する
現場の問題を理解し、解決策検討の方針を立てる
解決策のコンセプトを確立し、解決策を形成し仮説検証する
戦略を立案し、投資価値の最適化を図る。PJM・PGMを駆動する
解決策の効果と影響を分析し、評価をフィードバックする
Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ
目的
手法
・キーファクト ・トレンド マトリックス ・オポチュニティー マップ
・文献調査 ・SWOT分析 ・ステークホルダー マップ ・フィールドワーク
・マインドマップ ・ロールプレイ ・ベネフィットマップ ・ポートフォリオ定義 ・プロトタイピング
・戦略計画 ・戦略ロードマップ ・ポートフォリオ最適化 ・PFM・PGM・PJM
・ポートフォリオ監視 ・戦略変更
モ | ド
機会
を捉
える
コント
ラスト
を知る
人々
を知
る
イン
サイト
を形
づくる
アイデ
アを探
索す
る
ソリュー
ションを
形づく
る
提案
を現
実化
する
1 2 3 4 5 6 7
<デザイン思考> 101 Design
Method
ソーシャル・プロジェクトマネジメントのご提案 参考:101 design metthods,vijay Kumar
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創造的問題解決
抽 象
困っている 人々の隠れた パターンを 獲得する
人々の活動を 理解する
社会を変える 新しい枠組み
を定義
カテゴリーの 枠を超える 経験の提供
理解する
現 実
作る
分析 統合
調査 実現
インサイト アイデア
問題 テスト
1.2 デザイン思考の導入(5)
ソーシャル・プロジェクトマネジメントのご提案 15 参考:101 design metthods,vijay Kumar
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1.2 デザイン思考の導入(6)
デザイン思考と、その他必要となる思考(手法)との関係性
16
抽 象
理解する
現 実
作る
分析 統合
調査 実現
ロジカルシンキング
デザイン思考 クリティカルシンキング
クリエイティブシンキング
メタフォリカルシンキング
プロトタイプ 演繹法
帰納法
アブダクション
問題 アイデア
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2.デザイン思考プロセスと レスキュー隊プロジェクト
17 ソーシャル・プロジェクトマネジメントのご提案
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◎デザイン思考プロセスとモード(Mode1~7)
ソーシャル・プロジェクトマネジメントのご提案 18
抽象
理解する 作る
現実
分析
調査
統合
実現
5
出所:101 Design Methods, VIJAY KUMARを加筆
6
7
4
3
2
1 機会を捉える Sense INTENT
コンテクスト を知る
Know CONTEXT
人々を知る Know PEOPLE
インサイト を形づくる
Frame INSIGTS
アイデア を探索する
Explore CONCEPTS
ソリューション を形づくる
Frame SOLUTIONS
提案を実現する Realize
OFFERINGS
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抽象
理解する 作る
現実
分析
調査
統合
実現
1
• 自分の意図を感じる • 自分のゴールを感じる • 最初の質問 Q1:私は、何に貢献するのか? Q2:何処を見れば良いのか? Q3:どの方向に向かって行けば良いのか? • 先人から学ぶ • 自分達がどこに行きたい
のかがよく分かって、初めて人々を知り、困っている人を中心に据えるモードに入れる
• ソーシャル問題を大きく つかむ
2.1 Mode1:機会を捉える(Sense INTENT)(1)
ソーシャル・プロジェクトマネジメントのご提案 19 出所:101 Design Methods, VIJAY KUMARを参考
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自分の意図とゴールを感じる
2.1 Mode1:機会を捉える(Sense INTENT)(2)
Mindsets
問題を リフレーム
する
変化する状況を 感知する
全体像を 見る
意図を 形成する
出所:101 Design Methods, VIJAY KUMARを参考
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Q1:我々は、何に貢献するのか? Q2:何処を見れば良いのか? Q3:どの方向に向かって行けば良いのか?
2.1 Mode1:機会を捉える(Sense INTENT)(3)
2011.3.11
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2.1 Mode1:機会を捉える(Sense INTENT)(4)
22
ラジオ以外は、限定的役割
携帯、不満が集中、但し安否確認に役
割も
時間の経過とともに既存メディア(ラジオ、TV、新聞)が
役立つ
発生直後、 岩手、宮城沿岸部は「情報鎖国」状態
岩手県全体、パソコンと固定電話ゼロ
岩手沿岸部、壊滅的、役
立ったのは、ラジオのみ「ブラックホール」
どうも、震災直後、使えるものは少なかった様だ 発生直後、「情報鎖国」状態の地域があった様だ
ITで貢献が可能???
2011.8.27
情報支援プロボノ・プラットフォーム
ソーシャル・プロジェクトマネジメントのご提案
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抽象
理解する 作る
現実
分析
調査
統合
実現
2
• 共感、観察、傾聴という全てのスキルが発生
• 本当に困っている人々の行動やニーズを理解しようとする
• 困っている人々の立場になって、彼らの問題を理解したいと強く思う。
• どうしたら、彼らの問題を解決できるだとうと考える
• ソーシャル問題を「自分ごと」にする
2.2 Mode2:コンテクストを知る(Know CONTEXT)(1)
ソーシャル・プロジェクトマネジメントのご提案 23 出所:101 Design Methods, VIJAY KUMARを加筆
©2015 PMI Japan Chapter. All rights reserved. 24
共感、観察、傾聴
2.2 Mode2:コンテクストを知る(Know CONTEXT)(2)
Mindsets
システムの 全体像を 見る
ステーク ホルダー を理解する
コンテクストの 歴史を振り返る
文脈の背景を 理解する
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2.2 Mode2:コンテクストを知る(Know CONTEXT)(3)
25
一刻も早く公開するための品質面での見切り発車や割り切りがあった(43.1%)
政府/自治体による活用しやすい形式の情報公開を望
む(48.6%)
情報を効率的に収集・共有できるシステム・ノウハウの充実が望まれる(39.3%)
特定分野のエンジニア(ヒト)が不足していた(38.9%)
情報(ノウハウ)が不足していた(34.7%)
一刻も早く公開しなければというタイムプレッシャーがあった(43.1%)
今回の震災では、IT利活用の活動の数とサービスの多様性が、過去の事例を大きく上回るものであったことが分かった。そして、
迅速・円滑な支援活動の施策の必要性が明確になった。
2012.9.12 ソーシャル・プロジェクトマネジメントのご提案
©2015 PMI Japan Chapter. All rights reserved.
抽象
理解する 作る
現実
分析
調査
統合
実現
3
• 困っている人々の周りに
あることを全てを理解するモードに入る
• 聞く • 困っている人々の声
を聞く • NPOの声を聞く • 活動家の声を聞く • 声を記録・編集・共
有する
• 背景事情には、規制、環境、その他の背景を定義する要因が関わってくる
• 背景の前後関係を知る
2.3 Mode3:人々を知る(Know PEOPLE)(1)
ソーシャル・プロジェクトマネジメントのご提案 26 出所:101 Design Methods, VIJAY KUMARを参考
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感情移入する
2.3 Mode3:人々を知る(Know PEOPLE)(2)
Mindsets
すべてを 観察する
問題や ニーズを 探す
オープンに 聞く
毎日の生活 に浸る
出所:101 Design Methods, VIJAY KUMARを参考
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2.3 Mode3:人々を知る(Know PEOPLE)(3)
沿岸被災地復興支援活動 検証調査実施
28
事実に基づき、客観性を確保した検証に徹しようとした
組織・個人への責任追及は行わない
今後想定される災害に対して、実践的な教訓を導く
遠野まごごろネットがISPP
に依頼、 、賛同する個人が協力
岩手県大槌町および陸前高田市対象
被災者・住民の立場・視点を第一とする
様々な利害・人間関係があり、「客観]調査は不可能であった
2012.9.18
何ができて、何ができなかったのか? 事実を収集し、可能な範囲で検討・分析を行いたい!!
感情移入して、人々を知ることができた ソーシャル・プロジェクトマネジメントのご提案
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2.3 Mode3:人々を知る(Know PEOPLE)(4)
大槌/陸前高田調査(まごごろネット)
29 2012.9.18
岩手県内 22人自殺。人口の1割が亡くなった。仮設住宅 48ケ所
燃やしても、トータル量は変わらない
高濃度の灰ができる(1000ベクレルのものが1万ベクレルになる)
怖かった、どこまで津波が
襲ってくるかわからなかった
まず自分達の家族、親族を探した。なかなか会うことができなかった。電話で探すが見つからない。次に探すのが遺体
安置所
津波で一度に 40人亡くなった
ソーシャル・プロジェクトマネジメントのご提案
©2015 PMI Japan Chapter. All rights reserved.
抽象
理解する 作る
現実
分析
調査
統合
実現
4 • 現場から学んだ事全てを見て、抽象的な世界で先を見通す力を得ようとする
• 観察したことのパターンを見つけ、リサーチの中で出てくるかも知れない多くの答えを見つけようとする
• 洞察力を構成する抽象的なモードでなされる
2.4 Mode4:インサイトを形づくる(Frame INSIGHTS)(1)
ソーシャル・プロジェクトマネジメントのご提案 30 出所:101 Design Methods, VIJAY KUMARを参考
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困っている人々との根本的なズレが認識できた
2.4 Mode4:インサイトを形づくる(Frame INSIGHTS)(2)
Mindsets
パターン を探す
全体像を 組み立てる
ガイドとなる 原則を開発する
機会を 特定する
出所:101 Design Methods VIJAY KUMARを参考
©2015 PMI Japan Chapter. All rights reserved.
2.4 Mode4:インサイトを形づくる(Frame INSIGHTS)(3)
情報支援レスキュー隊 要件収集
32
被災地は 情報収集・発信機能喪失
ボランティアセンター運営
困難
レスキュー隊の訓練
被災状況把握不能
避難者把握困難(とくに民間避難所、在宅
避難者)
大規模災害が発生し、現地からの連絡が途絶え、「だるま状態」になった場合にどう備えるか?
2013.6.22
ネットワーク確保・電源確保
ソーシャル・プロジェクトマネジメントのご提案
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ペルソナを作成し、3つのゴールを設定する
物語
ライフゴール どんな自分でありたいか
エモーショナルゴール どんな気持ちになりたいか
エンドゴール どんな結果を得たいか
「避難用の電池を買う」(手段)
今回の被災で情報が大事だということを痛切に感じた。当時は見える範囲のことしか分からなかなかった。町の中心部を津波が襲っていくのは見えていたが、雪が降っていたので、詳しくはわからなかった。しかし、その後に着の身着のままで避難してくる住民の様子を見て、ことの重大さと深刻さが徐々に分かってきた。南三陸町は80%が被災して、駅も病院もスーパーも失い、橋は流され、道路は瓦礫で覆われた。この状況では電池を買いに行くこともできなかった。ホテルは完全に孤立してしまったので、あるものでしか生き延びられない状況だった。皆が安否確認できなかったことは深刻な問題だった。
■「正しい情報」 (エンドゴール)
■「安心感」 (エモーショナルゴール)
■「災害後も安全が確保される生活」 (ライフゴール)
南三陸ホテル観洋 阿部憲子さん
顔と名前
2.4 Mode4:インサイトを形づくる(Frame INSIGHTS)(4)
ゴール
ソーシャル・プロジェクトマネジメントのご提案 33
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2.4 Mode4:インサイトを形づくる(Frame INSIGHTS)(5)
ペルソナの意義
34
1)ソーシャル・ソリューション開発のための創造的手法 ■より効果的な困っている人々の描写のために ■創造力のプロフェッショナルになる ■困っている人々のために製品・サービスを作るということ 2)困っている人々の理解 ■「困っている人々を中心にすること」が難しい ■「困っている人々」という言葉は役に立たない ■困っている人々の理解だけでは優れた設計はできない
ソーシャル・プロジェクトマネジメントのご提案
©2015 PMI Japan Chapter. All rights reserved.
2.4 Mode4:インサイトを形づくる(Frame INSIGHTS)(6)
インサイトが見えた状態とは??
□シンプルなのに深い □モヤモヤしていたことがすっきりした □本当の動機・ゴールが何か核心を突いている □困っている人々のことが明確に想像できるよう になった □次に何をすればいいかが考える土台ができた □困っている人々との根本的なズレが認識できた
見えてなかったものが見える。 ソーシャル・プロジェクトマネジメントのご提案 35
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抽象
理解する 作る
現実
分析
調査
統合
実現
5 • 何かを作らなればならな
い • 何かをクリエイトし、生み
出すための行動をとらなければならない
• 常にアイデアを探索する考え方を示す
• 人々や背景、ブレーンストーミングから得た洞察力に、現地でどんな新しいことからできるか、常に良いアイデア、賢いアイデアを追いアイデアを追い求める
2.5 Mode5:アイデアを探索する(Explore CONCEPTS)(1)
ソーシャル・プロジェクトマネジメントのご提案 36 出所:101 Design Methods, VIJAY KUMARを参考
©2015 PMI Japan Chapter. All rights reserved. 37
2.5 Mode5:アイデアを探索する(Explore CONCEPTS)(2)
Mindsets
未来に立つ
明快な価値 を求める
前提を疑う
未来の
ストーリーを 語る
良いアイデア 賢いアイデア
出所:101 Design Methods, VIJAY KUMARを参考
©2015 PMI Japan Chapter. All rights reserved.
2.5 Mode5:アイデアを探索する(Explore CONCEPTS)(3)
ソーシャル問題の本質と解(アイデア)をどう、結び付けるのか
検証 検証
<解(アイデア)の集合> <ソーシャル問題の集合>
手順3:意外な問題と解(アイデア)のつながりをみつける (アブダクション)
手順1:問題を揃える 手順2:解(アイデア)を揃える
優先順位が高い問題
問題の本質
?
実験・拡大 拡大
問題の本質につながる解決すべきアイデアのソリューション
問題の本質につながらない解決すべきと判断されたアイデアのリューション
ペルソナ3
ペルソナ2
ペルソナ1 ソーシャル・プロジェクトマネジメントのご提案 38
©2015 PMI Japan Chapter. All rights reserved. 2013.10.06
機材ネットワーク
情報支援ネットワーク(国、NPO、ITベンダー、etc)
直後対策: ・・・・・
復旧・復興対策:
・・・・・・・
自発的な志願者を事前
登録
情報支援レスキュー隊を備
える
人材ネットワーク
2.5 Mode5:アイデアを探索する(Explore CONCEPTS)(4)
情報支援レスキュー隊構想
ソーシャル・プロジェクトマネジメントのご提案 39
©2015 PMI Japan Chapter. All rights reserved.
抽象
理解する
現実
分析
調査
統合
実現
6
出所:101 Design Methods,VIJAY KUMARを加筆
• 社会に役立つ体系的なソリユーションを出そうとする
• いろいろアイデアを一緒にして、アイデアのコンビネーションを創る
• 現実可能なアイデアのシステムを作り、判断と評価をし、どのアイデアが、どこで貢献するのか、実現可能性を比較する
• 評価、システム、判断を行う
2.6 Mode6:ソリューションを形づくる(Frame SOLUTIONS)(1)
ソーシャル・プロジェクトマネジメントのご提案 40 出所:101 Design Methods, VIJAY KUMARを参考
©2015 PMI Japan Chapter. All rights reserved.
2.6 Mode6:ソリューションを形づくる(Frame SOLUTIONS)(2)
ホリステックなソリューション
41
Mindsets
価値を判断する
ソリューション を構築する
選択肢を 考える
シナリオを 思い描く
ソーシャル・プロジェクトマネジメントのご提案 出所:101 Design Methods, VIJAY KUMARを参考
©2015 PMI Japan Chapter. All rights reserved.
2.6 Mode6:ソリューションを形づくる(Frame SOLUTIONS)(3)
IT DARTのソリューション
42 2014.01-09
<ミッション> <ビジョン> <活動内容>
<具体的活動内容>
アイデアのコンビネーションを創り、実現可能なアイデアの システムを作り、判断と評価を行う
ソーシャル・プロジェクトマネジメントのご提案
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抽象
理解する 作る
現実
分析
調査
統合
実現
7
• ソリューションのテスト・実験はどの様に行うか?
• 実験から学びを得る
• 実社会でどの様に現実するか?
• 実現する価値はあるのか?
• スケーラブル可能か?
• 前のモードに戻る必要があるのではないか?
2.7 Mode7:提案を実現する(Realize OFFRINGS)(1)
ソーシャル・プロジェクトマネジメントのご提案 43 出所:101 Design Methods, VIJAY KUMARを参考
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実験する
ソーシャル・ ポートフォリオ の実行
構築する
7
1~6
プログラムの 実行
プロジェクトの
実行
実現する価値あり? スケーラブル可能?
Y:先へ進む
N:前のモードに戻る
測定する
学びを得る
2.7 Mode7:提案を実現する(Realize OFFRINGS)(2)
ソーシャル・プロジェクトマネジメントのご提案 44
©2015 PMI Japan Chapter. All rights reserved.
実験を何度も繰り返す。学びを得る。
Mindsets
現実の中で 実行する
現実の中で 評価する
戦略を定義 する
ビジョンを コミュニケート
する
2.7 Mode7:提案を実現する(Realize OFFRINGS)(3)
ソーシャル・プロジェクトマネジメントのご提案 45
©2015 PMI Japan Chapter. All rights reserved.
2.7 Mode7:提案を実現する(Realize OFFRINGS)(4)
石巻稼働検証フレームワーク
46 2014.12 ソーシャル・プロジェクトマネジメントのご提案
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2.7 Mode7:提案を実現する(Realize OFFRINGS)(5)
47
稼働検証(実験する) Q1:何を学んだのか? Q2:実現する価値を振り返る? Q3:スケーラブル可能か?
2014.12
石巻稼働検証
ソーシャル・プロジェクトマネジメントのご提案
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2.7 Mode7:提案を実現する(Realize OFFRINGS)(6)
国連防災世界会議 仙台で 2015年3月15日(日)9:15〜11:45 情報支援レスキュー隊(IT DART) アクションワークショップ開催!
48 2015.3.15 ソーシャル・プロジェクトマネジメントのご提案
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◎情報支援レスキュー隊(IT DART)プロジェクト>
ソーシャル・プロジェクトマネジメントのご提案 49
抽象
理解する 作る
現実
分析
調査
統合
実現
5
出所:101 Design Methods, VIJAY KUMARを加筆
6
7
4
3
2
1 2011/8
情報行動調査
2012/9 IT利活用 課題調査
2012/12 復興支援 検証調査
2013/6 レスキュー隊 要件収集
2013/10-11 レスキュー隊構想
2014/9-12 IT DART マニュアル
2015/3 国連防災 世界会議
2014/6 支援実態 アンケート
2014/12 石巻シミュレーション
2014/1 IT DART 企画提言
出所:101 Design Methods, VIJAY KUMARを参考
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3.ソーシャルPMの成功要因
50 ソーシャル・プロジェクトマネジメントのご提案
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◎ソーシャル・プロジェクト実行マネジメント(1)
ソーシャルPMフレームワーク
(参照)https://www.pmi-japan.org/newsletter/pdf/vol59_140625.pdf (13ページ)
ソーシャル・プロジェクトマネジメントのご提案 51
(ミッション)
(ビジョン)
ソーシャル・プログラムの実施
ソーシャル・プロジェクトの実行
組 織 資 源
(戦略計画)
ソーシャル・ ポートフォリオ計画
戦略計画レベル
戦略実行レベル
WHAT?
HOW?
WHY?
ソーシャルPM 実行
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◎ソーシャル・プロジェクト実行マネジメント(2)
<ソーシャル・ポートフォリオ計画>
52
企画フェーズ 調査・分析
フェーズ 統合フェーズ 実現フェーズ 評価フェーズ
実体を把握して、課題解決の意図を形成する
現場の問題を理解し、解決策検討の方針を立てる
解決策のコンセプトを確立し、解決策を形成し仮説検証する
戦略を立案し、投資価値の最適化を図る。PJM・PGMを駆動する
解決策の効果と影響を分析し、評価をフィードバックする
Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ
目的
手法
・キーファクト ・トレンド マトリックス ・オポチュニティー マップ
・文献調査 ・SWOT分析 ・ステークホルダー マップ ・フィールドワーク
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プログラムマネジメント プロジェクトマネジメント
<ソーシャル・プロジェクト 実行マネジメント>
ソーシャル・プロジェクトマネジメントのご提案
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◎ソーシャル・プロジェクト実行マネジメント(3)
ソーシャル・プロジェクトマネジメントの成功要因
仮説・検証の作業は、「アジャイル・マネジメント」が有効である。
マネジメントは、現場専門家に「奉仕型リーダーシップ」が効果的である。
投資価値を最適化する上で、「ポートフォリオマネジメント」が必要である。
ソーシャル・プロジェクトマネジメントのご提案 53
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3.1 仮説検証作業に「アジャイル・マネジメント」が有効
ソーシャル・プロジェクトマネジメントのご提案 54
やらされてる WF
決めた計画の実行力より・・
Agile 共感・共創
想定外の変化への対応力が必要
リーン思考 ①1発勝負で終わらせない ⇒フィードバックで学びを得る ②完璧はいらない ⇒まずは、必要最低限から始める ③困っている人々が欲しいというものを作る ⇒実験を繰り返す
アジャイルの価値 • プロセスやツールよりも,個人と対話を • 契約交渉よりも,顧客との協調を • 計画に従うことよりも,変化への対応を
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3.2 マネジメントは「奉仕型リーダーシップ」が効果的
ソーシャル・プロジェクトマネジメントのご提案
<従来型のスタイル> <今回要求されたスタイル>
困っている人々
マネジメント
SME1
SME2
SME3
SME3
SME2
SME1
マネジメント
困っている人々に接点に 正解のヒント
正しい情報がなければ、正しい意思決定はでき
ない
君臨!
奉仕&リーダーシップ!
一方的指示 ・命令 ・管理
服従 ・忠誠心 ・依存
情報 ・提案 ・成果
ビジョン ・共有 ・権限移譲
•SME( Subject Matter Expert):内容領域専門家
55 出所:「サーバント・リーダーシップ実践講座、真田茂人を参考
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3.3 投資最適化に「ポートフォリオマネジメント」が必要
優先順位付け(例:スコアリング・モデル法)
ソーシャル・プロジェクトマネジメントのご提案 56
出所「PMI ポートフォリオマネジメント標準(第2版)」を加筆
基準例 基準1:「社会的影響度」 基準2:「脅威」 基準3:「納入時期」 ・・・・etc
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◎まとめ
社会課題の本質的問題の理解、仮説(解)の設定、仮説検証では「デザイン思考」が有効である。
仮説検証段階(企画フェーズ~統合フェーズ)のマネジメントには
①「アジャイル・マネジメント」が有効である。
②「奉仕型リーダーシップ」となる中核人材が必要である。
ソーシャル・ポートフォリオ計画の実行マネジメントでは 投資価値の最適化を実現する上で、「ポートフォリオマネジメント」
戦略目標を達成する上で、「プログラムマネジメント」
が不可欠である。
ソーシャル・プロジェクトマネジメントのご提案 57
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<お問い合わせは>
PMI日本支部 ソーシャルPM研究会 中谷 英雄 [email protected]
西岡 亮 [email protected]
高橋正憲 [email protected]
川崎 晶司 [email protected]