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プログラム・抄録集 会期♢2012 年 3 月 3 日(土) 会場♢ホテル金沢 会長♢高比良雅之 金沢大学医学系研究科 眼科 〒920-8641 金沢市宝町 13-1 TEL 076-265-2403 FAX 076-222-9660
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Jul 04, 2020

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プログラム・抄録集

会期♢2012 年 3 月 3 日(土)

会場♢ホテル金沢

会長♢高比良雅之

金沢大学医学系研究科 眼科

〒920-8641 金沢市宝町 13-1

TEL 076-265-2403 FAX 076-222-9660

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第 6 回 IgG4 研究会

会期♢2012 年 3 月 3 日(土)

会場♢ホテル金沢

〒920-0849 石川県金沢市堀川新町 1 番 1 号

TEL:076-223-1111

会長♢高比良雅之

金沢大学医学系研究科 眼科

〒920-8641 石川県金沢市宝町 13-1

TEL 076-265-2403 Fax 076-222-9660

E-mail: [email protected]

事務局♢IgG4 研究会事務局

代表世話人:川野充弘

金沢大学 リウマチ膠原病内科

〒920-8641 金沢市宝町 13-1

TEL 076-265-2258 FAX 076-234-4251

(日本眼科学会専門医制度認定事業)

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ごあいさつ

「第 6回 IgG4研究会」の開催にあたりまして、一言ごあいさつを申し上げます。本研

究会は、元々「温泉にでもつかりながら IgG4の勉強をしましょう」との川野先生のお呼

びかけで始まり、石川県の山中温泉で第 1回目が開かれました。口演では浴衣を着

て、お酒も少し入って討論したことが懐かしく思い出されます。その後、年々参加され

る先生方も増え、さすがに温泉での開催が困難になったのは残念ですが、IgG4研究

会が大いに発展してきたことはとても嬉しく思います。今回、5年ぶりに再びこの石川

の地で開催させていただき、大変光栄に存じます。

自己免疫性膵炎で血清 IgG4が上昇しているという浜野先生らの2001年の報告

から10年が経ち、IgG4 関連疾患もいよいよ 2nd decade に入りました。昨年秋には、

ボストンで第1回目の国際シンポジウムも開かれ、改めて本疾患の欧米を含めた世

界への急速な広がりを認識しました。一方で、これまでの症例や研究の蓄積から、や

はりこの 2nd decade も日本がリードし育てるべきことを確認できた機会であったと思

います。本会では、そのホットな話題もシンポジウムとして企画いたしましたので、どう

ぞご期待ください。

昨年の第5回の札幌での会は、3.11震災の翌日であり、忘れられない会となりま

した。いくつかの演題のキャンセルも余儀なくされましたが、それでも議論が白熱して

時間が足りないほどの盛会でした。例年のように予定しながら参加できなかった先生

方には、2年分の討論を存分にしていただければと思います。IgG4つながりの親交を

深めるという本研究会の元々の主旨からは、懇親会も本研究会にはとても大切な時

間です。おいしいお酒をのみながら、金沢の夜をどうぞお楽しみください。

本会は、学会業者によらない手作りの会ですので、不手際などで御面倒をおかけ

することも多々あろうかとは存じますが、何卒ご容赦ください。会の運営にご協力いた

だきます金沢の先生方、秘書の皆様にはこの場を借りまして御礼申し上げます。

第6回 IgG4研究会 担当世話人 高比良雅之

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会場アクセス

会場:ホテル金沢

所在地:〒920-0849 石川県金沢市堀川新町 1番 1号

TEL:076-223-1111

アクセス

■JR金沢駅東広場から徒歩で約 1分

■小松空港から直通バスで 40分(金沢駅西広場ターミナルより発着)

■北陸自動車道 金沢東 ICから車で 10分

■北陸自動車道 金沢西 ICから車で 15分

会場案内図

研究会会場: ホテル金沢4Fエメラルドルーム

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参加者の皆様へ

当日、受付は午前 10時 00分から行います。

受付にて会費の 10,000 円(懇親会費を含みます)をお支払い下さい。

写真、動画の撮影は、研究会指定担当者以外ご遠慮下さい。

質疑・応答は座長の指示に従い、会の円滑な進行にご協力ください。

研究会終了後、隣の部屋にて懇親会を行います。ぜひご参加ください。

世話人会は、午前 10時 00分から研究会会場前、葵の間で行います。

講演規定

【発表時間・映像機材】

一般講演は、講演6分、討論4分とします

1 演題 10分で終了するようにご協力をお願いいたします。

PCのみでの講演となります。

PC受付に開始時刻の30分前までにお越しください

PowerPoint(MS 2003/2007/2010、Macintosh 2008/2011)で作成したご講演のデータ

を、USBフラッシュメモリーか、CD-Rに保存してお持ちください。PC受付にて、会場の

PC にコピーいたします。会場の PC は、Windows と Macintosh を準備いたします。試

写にて動作をご確認ください。講演後には、会場 PC講演データは消去いたします。

ただし、動画を含むご発表や、他の特殊なソフト環境の場合には、ご自身の PC 持参

での発表をお願いいたします。

PC音声は使用できません。

当日のトラブルに備えて必ずバックアップデータをご持参ください。

PC のトラブルがあった場合、発表順を変更させていただく場合がありますので、ご了

承ください。

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【個人情報の取り扱い】

個人情報保護法の施行により、学会・研究会の発表においては、個人のプライバシ

ー保護に配慮し、患者が特定されないよう留意する必要があります。発表に際し、以

下の点に留意していただきますようお願い申し上げます。

1)患者個人の特定可能な氏名、ID番号、イニシャルまたは「呼び名」は記載しない。

2)患者の住所は記載しない。但し、疾患の発生場所が病態の理解に不可欠な場合

には市町村までに限定して記載することを可とする。(石川県、金沢市など)

3)日付は、臨床経過を知る上で必要となることが多いので、個人が特定できないと判

断される場合は記載してよい。

4)他情報と診療科名を照合することにより患者が特定され得る場合、診療科名は記

載しない。

5)既に他院などで診断・治療を受けている場合、その施設名ならびに所在地を記載

しない。但し、病態を理解するうえで搬送元の記職が不可欠の場合はこの限りではな

い。

6)顔写真を提示する際には目を隠す。眼疾患の場合は、顔全体が分からないよう眼

球のみの拡大写真とする。

7)病理、画像情報において、症例を特定できるような文字は削除する。

8)以上の配慮をしても個人が特定される可能性のある場合は、発表に関する同意を

患者自身(または遺族か代理人、小児では保護者)から得る。

9)遺伝性疾患やヒトゲノム・遺伝子解析を伴う症例報告では「ヒトゲノム・遺伝子解析

研究に関する倫理指針」(文部科学省、厚生労働省及び経済産業省)による規定を遵

守する。

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IgG4 研究会世話人 (五十音順)

安積 淳 (神戸海星病院眼科)

川 茂幸 (信州大学健康安全センター)

川野 充弘 (金沢大学リウマチ・膠原病内科): 代表世話人

佐伯 敬子 (長岡赤十字病院内科)

佐藤 康晴 (岡山大学病理学分野)

菅井 進 (久藤総合病院): 特別顧問

全 陽 (Liver Studies, King's College Hospital, London)

高田 邦夫 (防衛医大膠原病アレルギー内科)

高橋 裕樹 (札幌医科大学内科学第一講座)

高比良 雅之 (金沢大学眼科)

中村 誠司 (九州大学歯科口腔外科)

西山 進 (倉敷成人病センター)

能登原 憲司 (倉敷中央病院病理検査科)

正木 康史 (金沢医科大学血液・リウマチ膠原病科)

松井 祥子 (富山大学保健管理センター)

山口 裕 (山口組織病理研究所)

山本 元久 (札幌医科大学内科学第一講座)

吉原 俊雄 (東京女子医科大学耳鼻咽喉科)

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IgG4研究会会則

第1条(名称)

本会は、IgG4研究会と称する。

第2条(目的)

本会は、IgG4 関連疾患に関する最新情報の交換と、会員相互の研鑽、交流

を目的とする。

第3条(会員)

本会の会員は、IgG4 関連疾患に興味を持つ医師、歯科医師、医療従事者を

もって構成する。

第4条(活動)

第2条に掲げる目的達成のため、研究発表を年 1回定期的に行う。

第5条(世話人)

1項 本会の運営を円滑に行うため、次の世話人を置く

代表世話人 1 名

世話人 若干名

2項 各世話人をもって世話人会を構成する

3項 代表世話人は世話人会を統括する

4項 代表世話人および各世話人は世話人会において選出する

5項 世話人および代表世話人の任期は 2年とし再任を妨げない

6項 年1回の研究発表会は、世話人の中から選出された会長の責任におい

て採り行われる

第6条(経費)

本会の経費として参加費を徴収する。また、必要に応じて賛助金をこれに充

てる。

第7条(事務局)

本会の事務局は代表世話人の勤務先に置く。

第8条(会則の変更)

この会則は世話人会の議決を経て変更することができる。

付則

1.本会則は平成 24年 3月 1日より施行する。

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第 6回 IgG4研究会

プログラム

開会挨拶 11:00 - 11:05

会長 高比良雅之 (金沢大学眼科)

一般演題セッション1 11:05 - 11:35

座長 山本元久 (札幌医科大学第一内科)

1-1 血清 IgG4 値が正常な IgG4 染色陽性涙腺炎の検討

○濱岡祥子、高比良雅之、小澤由明、杉山和久

金沢大学眼科

1-2 IgG4 関連疾患患者の眼所見

○柴田伸亮1、高橋依子1、柴田奈央子1、岩男悠2、正木康史2、

梅原久範2、佐々木洋1、北川和子1

1)金沢医科大学眼科 2)金沢医科大学血液免疫内科

1-3 IgG4 関連腎臓病の診断について

○佐伯敬子1、 川野充弘2、

日本腎臓学会、IgG4 関連腎臓病(RKD)ワーキンググループ

1)長岡赤十字病院 内科、2)金沢大学附属病院リウマチ・膠原病内科

一般演題セッション2 11:35 - 12:05

座長 早稲田優子 (金沢大学呼吸器内科)

2-1 経過観察中に多彩な病変を呈した IgG4 関連疾患の 1 例

○松井祥子1)、志田しのぶ2)、宮本真由美2)、鍵谷聡志2)、小池 勤2)、一松啓介3)、

野崎哲夫3)、藤内靖喜3)、石井陽子4)、笹原正清4)

富山大学 1)保健管理センター、2)第二内科、3)泌尿器科、4)病態・病理学

2-2 IgG4 関連疾患における耐糖能異常

○伊藤直子,八木邦公,川野充弘,松本裕幹,北本英子,森由紀子,藤本彩,大畠梓,岡崎

智子,窪田美幸,中野薫,武田仁勇,山岸正和

金沢大学大学院 臓器機能制御学

2-3 IgG4 関連疾患における 18F-FDG PET検査の有用性

○稲木杏吏1、 中嶋憲一1、 望月孝史2、絹谷清剛1、川野充弘3

1)金沢大学附属病院核医学診療科、2)金沢先進医学センター

3)金沢大学附属病院リウマチ・膠原病内科

昼 食 同じフロアーで「北陸膠原病セミナー」(ランチョン)が開催されます。

『シェーグレン症候群 VS IgG4 関連疾患』

講師: 筑波大学内科 住田孝之先生、 座長: 金沢大学 川野 充宏先生

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一般演題セッション3 13:30 - 14:00

座長 高橋裕樹 (札幌医科大第一内科)

3-1 IgG4 関連涙腺・唾液腺炎の再燃時における血清 IgG4 の推移と罹患臓器の解析

○山本元久1,田邉谷徹也1,苗代康可1,石上敬介1,清水悠以1,

松井美琴子1,鈴木知佐子1,高橋裕樹1,篠村恭久1,今井浩三2

1)札幌医科大学医学部 内科学第一講座、

2)東京大学医科学研究所 先端医療研究センター

3-2 IgG4 関連涙腺炎の治療経過の検討

○今野公士

杏林大眼科

3-3 表面抗原の解析による眼窩リンパ増殖性疾患の診断

○上田俊一郎1、臼井嘉彦1、木村圭介1、後藤浩1、永井毅2

1)東京医大眼科、2)東京医大病理

一般演題セッション 4 14:00 - 14:30

座長 西山進 (倉敷成人病センター)

4-1 自己免疫性膵炎の兄弟例

○渡邉貴之 1),丸山真弘 1),伊藤哲也 1),丸山雅史 1),村木崇 1),浜野英明 1),

新倉則和 2),川茂幸 3)

1)信州大学医学部・消化器内科、2)信州大学医学部・内視鏡センター

3)信州大学・健康安全センター

4-2 虫垂原発粘液性嚢胞腺癌の経過中に IgG4 関連疾患発症した 1 剖検例

○仙波雄一郎1,乳原善文1,住田圭一1,三瀬広記1,諏訪部達也1,早見典子1,

遠藤彰子1,今福礼1,川田真宏1,平松里佳子1,長谷川詠子1,星野純一1,

澤直樹1,高市憲明1,藤井丈士2

1)虎の門病院 腎リウマチ膠原病科,2)同病理部

4-3 当院における IgG4 関連疾患の肺病変に対する VATS 症例の検討

○早稲田優子、犬塚賀奈子、高戸葉月、藤村政樹

金沢大学附属病院 呼吸器内科

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シンポジウム 1 14:30 - 15:30

座長 安積淳(神戸海星病院眼科)、 高比良雅之(金沢大学眼科)

S1-1 IgG4 関連眼窩病変-鑑別疾患の点から

久保田敏信

国立病院機構名古屋医療センター眼科

S1-2 眼窩の IgG4 球状神経周囲腫瘤の症例

尾山徳秀

新潟大学医歯学総合病院 眼科

S1-3 涙腺炎以外の IgG4 関連眼窩炎症の病理組織

加瀬諭

北海道大学眼科

S1-4 眼窩および眼内に生じた IgG4 関連疾患

辻英貴

がん研有明病院眼科

S1-5 眼窩下神経腫大 infra-orbital nerve enlargement (IONE)

大島浩一

岡山医療センター眼科

一般演題セッション5 15:40 - 16:10

座長 森山雅文 (九州大学大歯科口腔外科)

5-1 眼科領域 IgG4 関連疾患における部位別病変頻度(多施設研究)

○曽我部由香1、中村哲也2、田尻展久2、安積 淳3、大島浩一4、高比良雅之5、

吉川洋6

1)三豊総合病院眼科、2)三豊総合病院放射線科、3)神戸海星病院眼科、

4)岡山医療センター眼科、5)金沢大学眼科、6)九州大学眼科

5-2 耳下腺 Warthin 腫瘍と IgG4 関連硬化性疾患の関連性について

○阿河光治1、近藤悟1、山田和徳2、北村星子3、中西清香1、川野充弘2、吉崎智一1

1)金沢大学附属病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科、2)同リウマチ・膠原病内科、

3)同病理部

5-3 IgG4 関連疾患と考えられる副鼻腔の形質細胞性肉芽腫の 2 例

○中里宣正 1,小島 勝 1,正和信英 1,中村直哉2.

1)獨協医科大学病理(形態)、 2)東海大学医学部

一般演題セッション6 16:10 - 16:40

座長 高田邦夫 (防衛医大膠原病アレルギー内科)

6-1 IgG4 関連皮膚疾患 5 例の臨床的・病理学的検討

○川野充弘 1)、濱口儒人 2)、佐伯敬子 3)、山田和徳 1)、八木邦公 4)、伊藤直子 4)、

覚知泰志 1)、山岸正和 4)、竹原和彦 2)、中沼安二 5)

1) 金沢大学リウマチ・膠原病内科、2) 金沢大学皮膚科、3) 長岡赤十字病院内科、4) 金沢

大学循環器内科、5) 金沢大学形態機能病理学

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6-2 膀胱癌罹患後に精巣上体炎を来たし精巣摘出術を施行され IgG4 関連疾患の一例

○水野綾 1),宮下賜一郎 1),西野文子 1),武岡敦之 1),和泉泰衛 1),伊東正博 2),

川上純 4),右田清志 3)

1)長崎医療センターリウマチ科・総合診療科、2) 同病理、3) 同臨床研究センター、4) 長崎

大学医歯薬学総合研究科医療科学専攻展開医療講座(第一内科)

6-3 高齢女性に発症した IgG4 関連疾患による尿道周囲腫瘤

○ 山本洋 1), 福嶋敏郎 1) , 横山仁 2) , 小口智彦 2) , 牛木淳人 1) , 横山俊樹 1) ,

安尾将法 1) , 漆畑一寿 1) , 花岡正幸 1) , 小泉知展 1) , 久保惠嗣 1) , 藤田幸恵 3) ,

川上聡 3) , 藤永康成 3) , 吉澤明彦 4) , 浜野英明 5) , 川茂幸 6)

1)信州大学医学部 内科学第一講座 2)同 泌尿器科講座 3)同 画像医学講座

4)同 病態解析診断学講座 5)同 内科学第二講座 6)信州大学健康安全センター

一般演題セッション7 16:40 - 17:10

座長 佐伯敬子 (長岡赤十字病院内科)

7-1 新規 IgG4 関連疾患モデルマウスの確立

○山田和徳 1)、塚正彦 2)、覚知泰志 1)、鈴木康倫 1)、小野江為人 1)、藤井博 1)、

松村正巳 1)、川野充弘 1)

1) 金沢大学リウマチ・膠原病内科 2) 金沢大学医学系 法・社会環境医学

7-2 IgG4 関連ミクリッツ病の病態形成におけるサイトカインの関与

◯森山雅文、前原 隆、林田淳之將、田中昭彦、久保慶朗、中村誠司

九州大学大学院歯学研究院 口腔顎顔面病態学講座 顎顔面腫瘍制御学分野

7-3 IgG4 関連疾患の病態に関する一考察(3)-組織における線維化の機序―

○菅井進

久藤総合病院

シンポジウム 2 ボストン国際 IgG4-RD シンポジウムその後 17:10 - 18:10

座長 正木康史(金沢医科大学血液免疫制御学)、松井祥子(富山大学保健管理センター)

S2-1 「ボストンシンポジウムの意義」-世界の研究者と間近で交流することにより何が得られたか-

岡崎和一

関西医科大学内科学第三講座(消化器肝臓内科)

S2-2 「ボストンシンポジウムから世界に発信」

梅原久範

金沢医科大学血液免疫内科

S2-3 「ボストンで新たに判明した IgG4 関連疾患における病理上の問題点」

能登原憲司

倉敷中央病院病理検査科

閉会・次回会長挨拶 次回会長 西山進 (倉敷成人病センター) 18:10-18:15

懇親会 (隣室エメラルド B にて) 18:20-

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1-1 血清 IgG4値が正常な IgG4染色陽性涙腺炎の検討

○濱岡祥子、高比良雅之、小澤由明、杉山和久

金沢大眼科

【目的】血清 IgG4 値が正常な IgG4 関連涙腺炎の臨床像を検討する。【症例】金沢大学病院にて

2004年 11月から 2011年 12月の期間に、涙腺検体標本において IgG4染色が陽性で、IgG4関連

涙腺炎と診断された連続する症例 21 症例のうち、3 症例は血清 IgG4 が正常(<135 mg/dl)であ

った。そのうち1症例には外眼筋炎の併発もみられた。また、診断当時に血清 IgG4 値が 165

mg/dlであった別の IgG4関連Mikulicz病の1症例では、無治療で経過をみた 5年後に、血清 IgG4

値が 55 mg/dl と正常化した。【考察・結語】血清 IgG4値が正常であっても、病理では IgG4染色陽

性であり IgG4関連涙腺炎と診断される症例が存在する。また、さらに IgG4染色陽性細胞数も少な

いが、HE 像では IgG4 関連涙腺炎と同様の特徴を呈する症例も存在するようである。この現象が

単に病期によるものなのかは目下不明である。これら曖昧な症例は IgG4関連疾患の診断にかか

わる問題を提起し、今後の多数症例での検討が望まれる。

1-2 IgG4関連疾患患者の眼所見

○柴田伸亮1、高橋依子1、柴田奈央子1、岩男悠2、正木康史2、

梅原久範2、佐々木洋1、北川和子1

1)金沢医科大学眼科 2)金沢医科大学血液免疫内科

[目的]IgG4 関連疾患の概念は近年本邦から提唱されたものであるが、ドライアイなど眼表面所

見を含めた眼所見についての詳細な検討は少ない。今回、当院を受診し IgG4 関連疾患と診断さ

れた患者について乾性角結膜炎を含めた眼所見を検討した。

[対象および方法]症例は 14例(男性 8名、女性 6)、年齢は 40歳~87歳(平均 62歳)であった。

IgG4 関連疾患の診断は、血清 IgG4 値、生検組織での IgG4/IgG 陽性形質細胞浸潤比を基準と

し、身体所見、画像所見を併用した。眼科検査として眼部の視診、涙腺触診、細隙灯顕微鏡検査、

生体染色試験、シルマー試験を行った。

[結果]ミクリッツ病と診断された症例が 8 例あり、全例で腫大した涙腺が触知され、眼瞼腫脹、眼

球突出が認められた。IgG4関連顎下腺炎は 4例あり、涙腺腫大はなかったが 2例に眼瞼腫脹、う

ち 1例で結膜の浮腫・充血がみられた。残りの 2例は後腹膜線維症疑い例と肺門リンパ節腫脹例

であり、涙腺腫大はなかった。シルマー値は平均 13mm と良好であったが、涙液膜破壊時間

(BUT)は平均 4秒と短縮し、10例で染色試験陽性だった。

[結論]ミクリッツ病以外の IgG4 関連疾患においても、眼瞼腫脹、充血、眼乾燥症状が認められた。

IgG4 関連疾患は全身性疾患であり、画像診断上で明確な病巣が確認されなくても涙腺を含めた

眼窩部に炎症を生じている可能性が考えられた。

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1-3 IgG4関連腎臓病の診断について

○佐伯敬子1、 川野充弘2、

日本腎臓学会、IgG4関連腎臓病(RKD)ワーキンググループ

1)長岡赤十字病院 内科、2)金沢大学附属病院リウマチ・膠原病内科

2011年、日本腎臓学会と米国 Mayo Clinicからそれぞれ IgG4関連腎病変についての診断基

準が提案された。その内容について概説する。

【日本腎臓学会 IgG4-RKD 診療指針】

腎実質、腎盂病変を対象とする。IgG4-RKD41 例の検討より、①高 IgG、IgG4、IgE 血症、低補

体血症、②腎画像異常、③多数の IgG4 陽性形質細胞浸潤を伴う尿細管間質性腎炎(TIN)、

④腎外病変合併、が特徴的所見として抽出された。組織が得られない場合も考慮し、血清デ

ータ、腎外病変、腎画像、腎組織所見を組み合わせた診断アルゴリズム、診断基準となって

いる。また、付記として、鑑別すべき疾患や IgG4関連TINの診断に有用な光学顕微鏡所見が

記載されている。

【Mayo clinicの IgG4関連 TIN診断基準】

多数の IgG4 陽性形質細胞浸潤を認める TIN が必須項目であり、その他、腎画像異常、血清

IgG、IgG4高値、腎外病変のいずれかで診断される。尿細管基底膜の免疫複合体沈着も重要

視されている。

いずれの診断指針においても今後の検証が重要である。

2-1 経過観察中に多彩な病変を呈した IgG4関連疾患の 1例

○松井祥子1)、志田しのぶ2)、宮本真由美2)、鍵谷聡志2)、小池 勤2)、一松啓介3)、

野崎哲夫3)、藤内靖喜3)、石井陽子4)、笹原正清4)

富山大学 1)保健管理センター、2)第二内科、3)泌尿器科、4)病態・病理学

IgG4 関連疾患は、全身の諸臓器に炎症細胞浸潤と線維化が生じ、多彩な病態を呈することが知

られているが、その長期経過や予後はまだ十分に判明されていない。今回我々は、シェーグレン

症候群として 10年以上の経過観察中に多彩な病変を認め、IgG4関連疾患と診断した 1例を経験

したので、その経過や今後の課題を含めて報告する。

症例は 60 代女性。50 代の頃、シェーグレン症候群+ネフローゼ症候群(巣状糸球体腎炎)として

ステロイド治療を行った。その数年後にミクリッツ症状を認めたため、IgG4 関連疾患を疑われ経過

観察中であったが、腎周囲の腫瘤を指摘され精査の結果、IgG4 関連疾患と診断された。呼吸器

病変も認め、ステロイド治療を開始したが、反応が良好な病変とそうでない病変が混在して認めら

れた。

一般的に IgG4 関連疾患はステロイド反応性がよく予後良好とされるが、長期予後については今

後の症例の蓄積と検討が必要と考えられた。

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2-2 IgG4関連疾患における耐糖能異常

○伊藤直子,八木邦公,川野充弘,松本裕幹,北本英子,森由紀子,藤本彩,大畠梓,

岡崎智子,窪田美幸,中野薫,武田仁勇,山岸正和

金沢大学大学院 臓器機能制御学

【背景と目的】自己免疫性膵炎を合併しない IgG4 関連疾患(IgG4RD)の耐糖能に関する報告はな

い.そこで,IgG4RDの耐糖能異常の頻度と特徴について検討した.

【方法】臨床的に自己免疫性膵炎の合併がない IgG4RD 30例(男 15例、女 15例)を対象とし,ス

テロイド治療前に糖負荷試験とアルギニン負荷試験を施行した.

【結果】年齢 61.9±9.8 歳,BMI 23.9±4.1kg/m2,IgG4 590±434mg/dL,HbA1c 6.1%(JDS 値).

IgG4RD診断時にすでに糖尿病を合併していたのは 4例.糖負荷試験を施行した24例中,糖尿病

型(DM)13 例,境界型(IGT)4 例,正常型(NGT)7 例.HOMA-IR 2.14±1.71,HOMA-β 72.9±

38.5,Insulinogenic Index 0.48±0.40.アルギニン負荷を施行した 19例(DM 10例,IGT 3例,NGT

6例)中 9例でグルカゴンの過大反応が認められた.

【考察】自己免疫性膵炎を合併しない IgG4RD においても耐糖能異常を高頻度に合併している可

能性が示唆された.また,インスリン分泌能が比較的保持されている一方,グルカゴン過大反応

がみられることが特徴的であった.

2-3 IgG4関連疾患における 18F-FDG PET検査の有用性

○稲木杏吏1、 中嶋憲一1、 望月孝史2、絹谷清剛1、川野充弘3

1)金沢大学附属病院核医学診療科、2)金沢先進医学センター

3)金沢大学附属病院リウマチ・膠原病内科

当院リウマチ膠原病内科にて IgG4 関連疾患と診断され、FDG-PET 検査が施行された 14 症例を

対象とした。14例中 10例(71.4%)において IgG4関連疾患の標的と成り得る臓器に異常集積が認

められた。最も頻度の高い臓器は唾液腺 6例(42.9%)であり、以下膵 4例(28.6%)、後腹膜軟部影

2例(14.3%)、涙腺・肺・腎各 1例(7.1%)であった。顎下腺生検にて陽性所見が得られた 2症例

はいずれも顎下腺への集積が認められたが、小唾液腺生検で陽性であった 4 症例のうち、大唾

液腺の異常集積が認められたものは 1例のみであった。大唾液腺への集積はいずれも顎下腺優

位の集積であり、Sjögren 症候群とは明らかに異なる集積分布であった。膵の異常集積が認めら

れた症例はいずれも唾液腺もしくは後腹膜病変を伴っていた。FDG 検査は全身検索で各病変の

活動性を反映する所見が得られる点で有用性が期待できる。

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3-1 IgG4関連涙腺・唾液腺炎の再燃時における血清 IgG4の推移と罹患臓器の解析

○山本元久1,田邉谷徹也1,苗代康可1,石上敬介1,清水悠以1,

松井美琴子1,鈴木知佐子1,高橋裕樹1,篠村恭久1,今井浩三2

1)札幌医科大学医学部 内科学第一講座、

2)東京大学医科学研究所 先端医療研究センター

【目的】IgG4 関連疾患の寛解導入におけるステロイド療法の有効性は示されているが,減量

とともに再燃しやすいことも知られている.しかし再燃時の IgG・IgG4の変動パターンや罹患臓

器については十分解析されていない.そこで今回,私たちは再燃をきたした当科 IgG4 関連涙

腺・唾液腺炎症例において,これらを解析した.

【方法】当科に通院中の IgG4 関連涙腺・唾液腺炎症例から再燃を示した症例を抽出し,再燃

直前の血清学的マーカー(IgG,IgG4)の推移を検討した.また初診時と再燃時の罹患臓器を

比較した.なお「再燃」は,原則として理学的・画像的に臓器腫大,または機能障害を認めた

状態と定義した.

【結果】IgG4 関連涙腺・唾液腺炎 111 例中 24 名(21.6%)に再燃を認めた.ほとんどの再燃例

で直前の血清 IgG4 値の上昇傾向を認めた.また再燃を呈した半数の症例で,初診時とは異

なる臓器に病変を形成した.

【結論】再燃時には血清 IgG4 値の上昇が認められた.しかし寛解症例においても血清 IgG4

値の上昇がみられることがあり,血清 IgG4値上昇の評価は慎重に行う必要があると考えられ

た.さらに IgG4 関連涙腺・唾液腺炎では初発部位とは異なる臓器の再燃も念頭にフォローし

ていく必要がある.

3-2 IgG4関連涙腺炎の治療経過の検討

○今野公士

杏林大 眼科

【緒言】 IgG4関連涙腺炎の臨床像と治療経過を検討したので報告する。

【対象と方法】 2010 年 6 月から 2012 年1月までに杏林アイセンターにて、血清 IgG4 値

135mg/dl 以上、かつ画像診断にて涙腺腫脹を認め、11 症例である。性差、年齢、CT あるい

は MRI 画像における涙腺の直径、血清 IgG4値、病理所見、全身併発症 およびステロイド内

服治療の経時的変化と再発の有無について検討した。 【結果】 男性 6 例、女性 5 例、平均

年齢 56.4歳、平均 IgG4値 590.5mg/dl、平均涙腺直径 13.7mm、病理所見は全例 IgG4/IgG>

50% 陽性であった。全身併発症はミクリッツ病1例、シェーグレン症候群1例であった。ステロ

イド内服開始後、全例治療初期は良好に反応したが、再発例が6例認め、再増量が必要で

あった。また、追加療法として腫脹した涙腺を半分以上摘出した例が2例あり、術後 IgG4値が

劇的に改善した。 【考察】 IgG4 関連涙腺炎は一度罹患すると、ステロイド漸減中止が困難

な疾患である。今後の追加加療が課題である。

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3-3 表面抗原の解析による眼窩リンパ増殖性疾患の診断

○上田俊一郎1、臼井嘉彦1、木村圭介1、後藤 浩1、永井毅2

1)東京医大眼科、2)東京医大病理

目的:眼窩に発生するリンパ増殖性疾患は、組織学的検索のみでは低悪性度リンパ腫と良

性増殖性疾患との鑑別が困難である。これらの疾患の免疫学的表現型の発現パターンにつ

いてフローサイトメトリーを用いて比較検討した。

方法:最終的に診断の確定に至った眼窩 IgG4関連リンパ増殖性疾患 10例、反応性リンパ組

織過形成 5 例および MALT リンパ腫 17 例を対象に、フローサイトメトリーで表面抗原の発現

を解析した。

結果:IgG4 関連リンパ増殖性疾患と反応性リンパ組織過形成では表面抗原の発現に有意な

差はみられなかったが、MALT リンパ腫ではこれらの疾患と異なり免疫グロブリン軽鎖の偏り

が確認されたほか、CD3、CD4、CD23 の発現率が有意に低く、CD25 の発現率が有意に高か

った。

結論:フローサイトメトリーで IgEレセプターの CD23 と IL-2レセプターの CD25の発現を検索

することは眼窩リンパ増殖性疾患の鑑別に有用である。

4-1 自己免疫性膵炎の兄弟例

○渡邉貴之 1),丸山真弘 1),伊藤哲也 1),丸山雅史 1),村木崇 1),浜野英明 1),

新倉則和 2),川茂幸 3)

1)信州大学医学部・消化器内科、2)信州大学医学部・内視鏡センター

3)信州大学・健康安全センター

【症例 1:兄】59 歳、男性。2003 年 11 月閉塞性黄疸発症し、CT にてびまん性膵腫大、縦隔リ

ンパ節腫大を認めた。IgG4 206 mg/dl、ERP では膵管はびまん性不整狭細像を呈しており、

AIP と診断した。ステロイド治療にて膵腫大、膵管狭細像の改善を認めた。

【症例 2:弟】61歳、男性。2011年 3月健康診断にて -GTP高値を指摘された。CTにて膵は

びまん性腫大と被膜様構造を呈し、後腹膜線維症、Mikulicz 病も合併していた。IgG4 33

mg/dl、ERP では膵管はびまん性不整狭細像を呈しており、AIP と診断した。現在無治療にて

経過観察中である。

これまでに AIPにおける兄弟例の報告はなく、若干の免疫学的検討を加え報告する。

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4-2 虫垂原発粘液性嚢胞腺癌の経過中に IgG4関連疾患発症した 1剖検例

○仙波雄一郎1,乳原善文1,住田圭一1,三瀬広記1,諏訪部達也1,早見典子1,

遠藤彰子1,今福礼1,川田真宏1,平松里佳子1,長谷川詠子1,星野純一1,

澤直樹1,高市憲明1,藤井丈士2

1)虎の門病院 腎リウマチ膠原病科,2)同病理部

【症例】79 歳、男性。1996 年虫垂腫瘍に対し回盲部切除術施行、虫垂原発粘液性嚢胞腺癌

と診断されたが腹膜播種がみられ化学療法施行。2000 年 5 月腹部 CT で膵腫大を指摘、同

年 8 月から 11 月にかけて肝胆道系酵素上昇、腹部超音波検査にて膵腫大・胆管拡張・胆管

壁肥厚を認めた。膵生検と口唇生検より自己免疫性膵炎とシェーグレン症候群が診断された。

PSL 30mg より内服開始。採血・画像所見ともに著明に改善を認め 2001 年 6 月 PSL 中止。

2001年 9月頃より CEA上昇傾向となり、2002年 1月のMRIにて肝右葉表面・横隔膜下に多

発結節影を認め癌の再発と診断され化学療法(アイソボリン 100mg + 5-FU 500mg)開始。以

後外来にて化学療法継続されたが徐々に腹腔内腫瘤増大傾向となり、2006 年 11 月死亡。

2004年時に血清 IgG2240, IgG4 1490mg/dLであった。剖検では虫垂癌の腹腔内への進展に

加え膵臓・大唾液腺・前立腺・腎臓には IgG4 陽性形質細胞の浸潤が認められた。【考察】虫

垂原発粘液性嚢胞腺癌の経過中に IgG4 関連疾患が発症したことから傍腫瘍症候群の一つ

としての IgG4関連疾患の可能性が示唆された。

4-3 当院における IgG4関連疾患の肺病変に対する VATS症例の検討

○早稲田優子、犬塚賀奈子、高戸葉月、藤村政樹

金沢大学附属病院 呼吸器内科

【目的】IgG4 関連疾患(IgG4-RD)において肺生検施行例を検討する.【方法】当科にて病理学的に

IgG4-RD と診断され肺病変に対して VATS 肺生検を行った 6 例に対して ,血清

IgG,IgG4,IgE,KL-6,SP-D,SP-A値,胸部HRCT,呼吸機能検査,病理学的所見を後方視的に検討した.

【結果】IgG4 関連肺疾患が疑われて VATS をした 6 例において,胸部 CT 上,間質性肺炎を認めた

ものは 2例(NSIP 2例),気管支壁肥厚を認めたものは 3例,小葉中心性粒状影が目立ったものは 4

例,気管支周囲の濃度上昇が主体のものは 2例だった.病理学的には,IgG4関連疾患に特徴的だと

される閉塞性静脈炎を伴うもの 2例,リンパ濾胞を伴うもの 3例(気管支周囲濃度上昇 2例,NSIP 1

例)であった.肺気量分画上は特に傾向はなかったが,気管支肺胞洗浄の結果も合わせると,5 例に

好酸球性気道疾患の所見(気管支喘息3例,咳喘息1例,アトピー咳嗽1例)が得られた.【結論】IgG4

関連疾患における肺および気道病変に関しては表現型が様々であり,今後,さらなる臨床的,画像

学的,病理学的,生理学的に統一した検討が必要と考える.

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シンポジウム 1 眼領域の様々な IgG4関連病変と鑑別疾患

座長の言葉

安積淳(神戸海星病院眼科)、 高比良雅之(金沢大学眼科)

眼窩腫瘍およびその類縁疾患のうち最も頻度が多いのはリンパ増殖疾患であり、最近の

統計からその約 4 分の 1 が IgG4 関連であると推察されます。つまり、眼科領域では IgG4 関

連疾患は決して稀な病態ではありません。各施設で症例が蓄積されるなか、その病変は、涙

腺以外の眼付属器にもかなり高頻度でみられることが明らかになってきました。そこで今回は

特に涙腺以外の眼窩病変に着目し、それらの症例を普段から IgG4 関連疾患によく携わって

おられる眼科の先生方にご提示いただきます。涙腺に次いで多い病態と思われる外眼筋炎

や眼窩下神経周囲病変をはじめ、筋円錐内の病変や眼球病変などの稀な病態についても討

論したく思います。また、これら眼領域 IgG4 関連病変との鑑別や併発症の観点から、自己免

疫疾患や悪性リンパ腫などとの関連についても言及したいと思います。本シンポジウムが、

眼領域 IgG4関連病変についての見識を高める一助となることを期待いたします。

S1-1 IgG4関連眼窩病変-鑑別疾患の点から

久保田敏信

国立病院機構名古屋医療センター眼科

眼付属器 IgG4 関連疾患は涙腺だけでなく、外眼筋、眼窩下神経などに腫脹性病変を示すこ

とを特徴とする。この点で、眼付属器 IgG4関連疾患は他の疾患との鑑別が必要である。例え

ば、外眼筋の肥厚を示す疾患として特発性外眼筋炎、甲状腺眼症がある。これらの疾患は生

検を施行しないためにまず臨床的に鑑別をしなければならない。

次に眼付属器にはリンパ球増殖病変(非腫瘍性炎症性病変とMALTリンパ腫)の発生頻度が

高い。これらの疾患は臨床的に類似しているだけでなく、組織学的にリンパ濾胞や硬化性病

変がオーバーラップする。したがって、リンパ球のクローナリティ、IgG4 形質細胞の浸潤の有

無、血清生化学検査所見から鑑別診断が必要である。しかし一方で、ポリクローナルな高γ

グロブリン血症を伴う MALT リンパ腫や血清 IgG4 の上昇と IgG4 形質細胞浸潤を伴う MALT

リンパ腫もあることがわかった。

私は眼部の IgG4 関連疾患と類似疾患は臨床組織学的にオーバーラップしていることが多い

ことを紹介する。

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S1-2 眼窩の IgG4球状神経周囲腫瘤の症例

尾山 徳秀

新潟大学医歯学総合病院 眼科

症例:70歳男性。既往歴:なし。現病歴;2008年 2月頃より徐々に右眼視力低下を自覚し、右

眼球突出指摘され、5月初旬近医受診し、右眼窩内腫瘍の診断で当科を紹介受診した。右眼

視力は光覚(-)、視神経乳頭は軽度蒼白であった。MRIで、T1およびT2強調画像にて眼窩

筋円錐内に存在する球状の脳実質と同輝度、Gd造影T1強調画像で造影効果を認める腫瘤

性病変を認め、dynamic MRI で腫瘤全体は均一に造影された。画像上は、海綿状血管腫や

神経鞘腫、solitary fibrous tumor (hemangioperycytoma)は否定的であった。頬骨切除後、眼

窩内腫瘍摘出術を施行したが、視力は改善しなかった。病理所見は、眼窩内末梢神経を取り

巻くように存在する多彩なリンパ球浸潤があり、血管の閉塞も認めた。末梢神経に炎症所見

は認めず、周囲には硬化性変化を認めた。FACSでは、κ鎖にやや優位な傾向が認められ

たが、B・Tcellの monoclonarityおよび、IgH gene rearrangementや、MALT1も認めなかった。

血清IgG4:440mg/dlで、IgG4,IgG陽性細胞数に関してIgG4/IgG:80%であった。

考察:IgG4RDの診断基準を満たしうるまれな眼窩球状腫瘍であり、圧迫性視神経を呈する

ほどの腫瘍とは考えにくく、血管閉塞所見が認められたことから視力喪失の機序は虚血性視

神経症の可能性がある。

S1-3 涙腺炎以外の IgG4関連眼窩炎症の病理組織

加瀬 諭

北海道大学眼科

IgG4関連疾患は血清 IgG4値の上昇を伴う全身の炎症性疾患であり、眼部では主としてミクリ

ッツ病に関連した慢性涙腺炎を来す。眼所見は無痛性眼瞼腫脹、眼瞼下垂、軽度の涙液分

泌機能低下を示す。診断は血液検査を行い、血清 IgG4 値が 135mg/dl 以上を呈す。病変部

の生検組織ではリンパ形質細胞浸潤、線維化、IgG4陽性形質細胞浸潤がみられる。平成17

年〜平成23年の間に当院を初診した症例について後ろ向き調査を行い、15例の IgG4 関連

眼窩疾患が確認された。この中で涙腺炎以外の眼窩炎症を主体とした症例は2例であった。

涙腺炎以外の眼窩炎症を主体とする IgG4関連疾患は稀であり、炎症が筋円錐内、視神経周

囲にみられることがあった。このため、生検が困難な症例があること、視力低下を伴っている

ため生検の結果を待たずに治療を開始せざるを得ないことが特徴と考えられた。従って、後

者は臨床的に通常の慢性涙腺炎を示す症例とは異なる疾患群の可能性がある。加えて近年

我々は、両側眼瞼皮下から眼窩内に著明な炎症病巣を呈した IgG4 関連疾患を経験した。本

報告では、涙腺炎以外の IgG4関連眼窩炎症を呈した症例の臨床病理組織学的所見を示し、

この疾患群の特徴を考察したい。

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S1-4 眼窩および眼内に生じた IgG4関連疾患

辻 英貴

がん研有明病院眼科

IgG4 関連疾患は眼科領域では涙腺が主座であることが多いが、眼内に病変を生じた例を経

験したので報告する。症例は 57歳男性で、左)眼内腫瘍の精査目的にて紹介受診された。眼

痛が激しく後部強膜炎と診断されステロイド内服を行った眼部既往と、後腹膜腫瘍に対して

生検にて特発性後腹膜線維症と診断された全身既往があった。もともと視力が出ない眼にさ

らなる視力低下を生じ、かつ絶えがたい疼痛のために眼球を含めた腫瘍摘出術を施行した。

病理では眼球の内外に腫瘍が存在し、かつ IgG4陽性細胞を多数認め、摘出後ではあったが

血清 IgG4は 145mg/dlと高値で、IgG4関連疾患に妥当な結果であった。後腹膜腫瘍も同様の

病理であった。眼内に IgG4 関連疾患を生じた報告は今までになく、他の腫瘍との鑑別などを

含めて検討した内容を報告する。

S1-5 眼窩下神経腫大 infra-orbital nerve enlargement (IONE)

大島浩一

岡山医療センター眼科

目的:眼窩 IgG4関連病変における眼窩下神経腫大(IONE)の臨床的意義、病理所見および臨

床像を示す。

対象と方法:岡山医療センターと三豊総合病院で、2004年 4月から 2011年 3月までに眼窩リ

ンパ増殖性疾患と診断された 71 例を対象とした。男女比は 39:32 で、年齢は 27 歳から 87

歳、平均 64.1 歳であった。MRI 所見および病理診断に基づき眼窩リンパ増殖性疾患と診断し

た。MRI前額断で眼窩下神経が視神経よりも太い場合に、IONEと診断した。一例のみで眼窩

下神経を含む病変を病理検査できた。眼窩 MRI を経時的に撮影し、重症度と治療効果を検

討した。

結果:眼窩リンパ増殖性疾患 71 例の内訳は、非ホジキンリンパ腫 42 例(このうち MALT リン

パ腫 35 例)、MALT リンパ腫+IgG4 関連眼窩病変 5 例、IgG4 関連眼窩病変 14 例、反応性リ

ンパ球増生症 5 例、特発性眼窩炎症 5 例であった。このうち IONE を認めた症例は 9 例で、

内訳は IgG4関連眼窩病変 8例、MALT リンパ腫+IgG4関連眼窩病変 1例であった。

病理所見では、炎症性病変の中に大小さまざまの有髄神経線維束の断面がみられた。神経

上膜を確認できなかったが、神経周膜は正常に保たれ、神経線維束内部に炎症細胞浸潤は

なかった。

初診時 MRIで、重症度はさまざまであった。治療に伴い IONE病変は縮小した。

結論:1)画像所見で眼窩リンパ増殖性疾患が疑われる症例に IONE を認めた場合、IgG4 関

連眼窩病変である可能性が高い。2)IONEの本態は、IgG4関連病変が眼窩下神経周囲に浸

潤したものであった。

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5-1 眼科領域 IgG4関連疾患における部位別病変頻度(多施設研究)

○曽我部由香1、中村哲也2、田尻展久2、安積 淳3、大島浩一4、高比良雅之5、

吉川 洋6

1)三豊総合病院眼科、2)三豊総合病院放射線科、3)神戸海星病院眼科、

4)岡山医療センター眼科、5)金沢大学眼科、6)九州大学眼科

目的: IgG4関連眼疾患における、病変の部位ごとの頻度を明らかにする。

対象と方法:2006 年 1月から 2011年 12 月までの 5 年間に、岡山医療センター、金沢大学、

九州大学、神戸海星病院、三豊総合病院眼科において、治療前の眼窩 CT または眼窩 MRI

画像の解析が可能であった、眼病変の病理診断により IgG4 関連病変と確定した 40 例、およ

び眼領域以外の病変の病理診断により IgG4 関連疾患と診断され、眼病変を有する 2 例、計

42例について、病変部位とその頻度を求めた。

結果:対象患者の年齢は 27才から 76才、平均は 57.4才で、男女比は 22対 20であった。涙

腺に病変が認められたものは 39例であった。涙腺のみに病変を認めたのは 18例で、涙腺外

病変のみは 3例であった。涙腺以外の病変が認められたのは 24例で、その内訳は外眼筋肥

大 16 例、眼窩腫瘤性病変 6 例、眼窩脂肪びまん性病変 5 例、眼窩下神経腫大 17 例、眼窩

上神経腫大 6例、その他 2例(重複あり)であった。

結論: IgG4 関連眼疾患は、主として涙腺に病変をきたす疾患であることが確認されたが、全

体の半数以上に眼領域の複数の部位に病変を認め、眼領域全体をターゲットとする疾患で

あると言える。

5-2 耳下腺 Warthin腫瘍と IgG4関連硬化性疾患の関連性について

○阿河 光治1、近藤 悟1、山田 和徳2、北村 星子3、中西 清香1、川野 充弘2、

吉崎 智一1

1)金沢大学附属病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科、2)同リウマチ・膠原病内科、

3)同病理部

最近、我々は自己免疫性膵炎ならびに腹部大動脈瘤の既往を持ち、高 IgG4血症と IgG4陽

性形質細胞浸潤を伴う耳下腺 Warthin腫瘍の症例を経験した。

Warthin腫瘍は耳下腺良性腫瘍の中では 2番目に多く、両側多発性に発生することもある。

組織学的には間質に胚中心を有するリンパ組織の増殖が特徴であり上皮細胞には好酸性に

よく染まる細胞質に富む形態を示す。しかしながら、典型的な IgG4関連硬化性疾患の特徴で

ある線維化、閉塞性静脈炎などがなく組織学的には IgG4関連疾患とは異なっている。

今回我々はWarthin腫瘍と IgG4関連疾患との関連性について検討した。①Warthin腫瘍 17

例、多型腺腫 16例と耳下腺癌 14例における血清 IgG, IgG4 と IgE値、②Warthin腫瘍組織に

おける IgG4陽性形質細胞の組織浸潤と③Warthin腫瘍、多型腺腫と IgG4関連疾患の唾液腺

における class switch recombinationに関わる因子のmRNA levelでの発現、の 3項目を検討

し、ワルチン腫瘍と IgG4関連疾患との関係についての考察も加え報告する。

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5-3 IgG4関連疾患と考えられる副鼻腔の形質細胞性肉芽腫の 2例

○中里 宣正 1,小島 勝 1,正和 信英 1,中村 直哉2.

1)獨協医科大学病理(形態)、 2)東海大学医学部

鼻腔・副鼻腔の形質細胞性肉芽腫は比較的まれな疾患として知られているが,私たちは

IgG4関連疾患と考えられる副鼻腔の形質細胞肉芽腫の 2例を経験したので報告する.

症例 1.数年前より気管支喘息の既往があり,右眼瞼周囲の腫脹を主訴に来院した.精査の

結果右慢性副鼻腔炎と診断された.肺病変もあるためステロイドで加療中. IgG4は未検で

ある.症例 2.鼻閉を主訴に来院し,両側副鼻腔炎と診断された.IgG4=243mg/dl であった.

他部位に病変がないため経過観察中である.副鼻腔の生検組織所見は 2 例とも類似してお

り,硬化を伴い,多数のリンパ球,形質細胞に加え,好酸球が散見された.免疫染色でも,

ISH法でも形質細胞は多クローン性であり,IgG4陽性陽性細胞は IgG陽性細胞の 40%以上を

占めていた.症例 2では PCR法により免疫グロブリン重鎖遺伝子の再構成が見出された.

アレルーギー性病変を伴う,鼻腔・副鼻腔の形質細胞肉芽腫は IgG4 関連疾患の可能性があ

る.さらに演者らは IgG4 関連疾患と考えられる後腹膜繊維症の 2 例で B 細胞の単クローン

性性格を確認しており,IgG4関連疾患の少なくとも一部は B細胞の単クローン性増殖疾患の

可能性があることも示唆された.

6-1 IgG4関連皮膚疾患 5例の臨床的・病理学的検討

○川野充弘 1)、濱口儒人 2)、佐伯敬子 3)、山田和徳 1)、八木 邦公 4)、伊藤直子 4)、

覚知泰志 1)、山岸正和 4)、竹原和彦 2)、中沼安二 5)

1) 金沢大学リウマチ・膠原病内科、2) 金沢大学皮膚科、3) 長岡赤十字病院内科、

4) 金沢大学循環器内科、5) 金沢大学形態機能病理学

【背景】IgG4 関連疾患(IgG4-RD)の皮膚病変についてはよく知られていない。そこで、我々は

IgG4-RDの皮膚病変について、臨床的、病理学的検討を行った。

【対象と方法】対象は IgG4-RD 患者で皮膚病変を認めた 5 例。平均年齢は 66 歳。皮疹出現

の時期、部位および種類、病理学的特徴、罹患臓器、免疫生化学的検査、浸潤 IgG4 陽性細

胞数について検討した。

【結果】皮疹の出現時期は、2 例で IgG4-RD の診断前であった。皮疹の種類は、結節性紅斑、

紅斑性丘疹、痒疹であり、顔面、頭頚部に多い傾向であった。皮膚以外の罹患臓器は、全例

で涙腺炎や唾液腺炎を認めた。平均血清 IgG4値は 665.6±410.0 mg/dlであった。病理学的

には炎症細胞浸潤は真皮から皮下組織に認められ、IgG4陽性形質細胞浸潤を認めた。線維

化は 4 例で軽度に認めた。浸潤 IgG4 陽性細胞は、平均 67.3 個/hpf(23.0-128.6)と症例によ

りばらつきが大きかった。

【考察】IgG4 関連皮膚疾患 5 例の解析では、皮疹は顔面、頭頚部に多く、紅斑性皮疹の形態

を示す傾向にあった。今後、症例を集積し、さらなる検討が必要と考えられた。

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6-2 膀胱癌罹患後に精巣上体炎を来たし精巣摘出術を施行され IgG4関連疾患の一例

○水野綾 1),宮下賜一郎 1),西野文子 1),武岡敦之 1),和泉泰衛 1),伊東正博 2),

川上純 4),右田清志 3)

1) 独立行政法人国立病院機構長崎医療センターリウマチ科・総合診療科、2) 同病

理、3) 同臨床研究センター、4) 長崎大学医歯薬学総合研究科医療科学専攻展開

医療講座(第一内科)

症例は 65 歳男性。数年来持続している両側顎下腺腫脹を主訴に当院を紹介受診。血清

IgG4は 501mg/dlと上昇しており、Kuttner腫瘍の可能性が考えられた。本症例では泌尿器領

域の加療歴として、4 年前に膀胱癌に対する TUR-Bt、3 年前には原因不明の睾丸腫脹に対

し左精巣・精巣上体摘出術が施行され、さらに 2 年前には膀胱癌再発に対し膀胱尿道・前立

腺全摘術が施行されていた。今回の病理学的再検討では、膀胱癌の背景像に形質細胞浸

潤は明らかでなかったものの、精巣上体・前立腺には広範なリンパ・形質細胞浸潤、線維化

像がみられ IgG4/IgG は 90%であった。入院後 PSL 40mg内服を開始し、両側顎下腺は著明

に縮小し血清 IgG4値は低下傾向を示した。IgG4関連疾患と膀胱癌発症との因果関係は明ら

かでないものの、精巣上体は精嚢・精管を通じて前立腺と交通しており、前立腺炎が解剖学

的連絡路を通じて精巣上体へ波及した可能性が考えられた。IgG4関連泌尿器疾患の病態進

展を考える上で貴重な症例と考えられ、報告する。

6-3 高齢女性に発症した IgG4関連疾患による尿道周囲腫瘤

○ 山本 洋 1), 福嶋敏郎 1) , 横山 仁 2) , 小口智彦 2) , 牛木淳人 1) , 横山俊樹 1) ,

安尾将法 1) , 漆畑一寿 1) , 花岡正幸 1) , 小泉知展 1) , 久保惠嗣 1) , 藤田幸恵 3) ,

川上 聡 3) , 藤永康成 3) , 吉澤明彦 4) , 浜野英明 5) , 川 茂幸 6)

1)信州大学医学部 内科学第一講座 2)同 泌尿器科講座 3)同 画像医学講座

4)同 病態解析診断学講座 5)同 内科学第二講座 6)信州大学健康安全センター

症例は 79歳、女性。顎下腺腫脹の既往がある。2010年 3月に気管支喘息として A病院に入

院した際に胸部 CTで肺門~縦隔リンパ節腫張を指摘されたが、経過観察されていた。

2011 年 4 月頃から排尿困難が出現したため、同院泌尿器科を受診した。水腎症と尿道周囲

腫瘤に伴う尿閉と診断され、尿道カテーテルが留置された。FDG-PETで肺門~縦隔リンパ節、

唾液腺、涙腺、後腹膜、尿道周囲腫瘤に集積があり、血清 IgG4が高値であったため、IgG4関

連疾患を疑われて当院へ紹介入院となった。

MRI で前立腺様の尿道周囲腫瘤が確認され、同部位より経腟的針生検を行った。病理組織

学的にリンパ球、形質細胞、好酸球の浸潤が認められ、IgG4>30/HPF、IgG4/IgG>40%であ

り、IgG4関連疾患の尿道周囲病変と診断した。

ステロイド治療(PSL:40mg/日より漸減)により排尿障害は消失し、画像所見も著明に改善し

た。

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7-1 新規 IgG4関連疾患モデルマウスの確立

○山田和徳 1)、塚正彦 2)、覚知泰志 1)、鈴木康倫 1)、小野江為人 1)、藤井博 1)、

松村正巳 1)、川野充弘 1)

1) 金沢大学附属病院 リウマチ・膠原病内科

2) 金沢大学医薬保健研究学域医学系 法・社会環境医学

【背景】Lat Y136F 変異マウス(Latマウス)は、Th2優位の免疫応答およびリンパ増殖性疾患

を来し、IgG1(ヒト IgG4 に対応)の増加を認める変異マウスである。我々は、Lat マウスがヒト

の IgG4関連疾患のモデルマウスとなり得るかどうかを、免疫組織化学的に検討した。

【対象と方法】野生型マウス 58 匹、Lat マウス 47 匹を対象とした。6 から 20 週齢において膵

臓、唾液腺、腎臓の各組織について病理学的に検討し、炎症および線維化の評価を行った。

4-5週齢および 7-8週齢のマウスに、20 mg/kgのプレドニゾロンを計 6回(週 3回)腹腔内投

与し、ステロイド反応性について評価した。

【結果】Lat マウスは,膵臓、唾液腺、腎臓の各組織において、区域性の炎症細胞浸潤およ

び線維化を認めた。浸潤細胞は主として、IgG、IgG1 陽性細胞であった。ステロイド投与群は

生食投与群と比較して、病変は軽度であり、ステロイド反応性を認めた。

【考察】Latマウスは、Th2有意の免疫反応、血清 IgG1高値、局所への IgG1陽性細胞浸潤お

よび線維化形成、ステロイド反応性の特徴を備えており、IgG4 関連疾患のモデルマウスであ

ると考えられた。

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7-2 IgG4関連ミクリッツ病の病態形成におけるサイトカインの関与

◯森山 雅文、前原 隆、林田淳之將、田中 昭彦、久保慶朗、中村 誠司

九州大学大学院歯学研究院 口腔顎顔面病態学講座 顎顔面腫瘍制御学分野

【目的】ミクリッツ病 (MD) は、病理組織学的類似性から SS の一亜型とされてきたが、近年

確立された疾患概念である「IgG4 関連疾患」の1つとして認識されるようになった。われわれ

の過去の研究では、MDの病態形成や IgG4 産生には、Th2やTregが産生する IL-4と IL-10

が関与していることを明らかにしてきた。またMDは、唾液腺に胚中心 (GC) を高頻度に形成

するという特徴を有する。最近の研究では、異所性の GC 形成や IgG4 産生には主に濾胞性

Th細胞 (Tfh) が産生する IL-21が重要であることが報告されている。そこで本研究では、MD

における IL-21 と GC形成および IgG4産生との関連について検討を行った。

【材料と方法】1993年 4月から 2011年 10月までに当科を受診した MD患者 12例、SS患者

14 例および健常者 14 例を対象とした。これらの患者の口唇腺 (LSG) を用いて、IL-21 の産

生細胞である Tfh、Th2、および Th17 に関連するサイトカインおよび転写因子について、免疫

組織化学染色および real-time PCR によりその発現を解析した。

【結果】MDの LSG では、健常者ならびに SS と比較して IL-21、Bcl-6の mRNA発現が亢進

していた。また、免疫組織化学染色にてそれらの局在をみたところ、SSでは IL-21および Tfh

関連分子は GCに強く発現していた。一方、MDでは Tfh関連分子は SS と同様に GCに強く

発現していたが、IL-21 は LSG 全体に強い発現を認めた。つまり、MD における IL-21 産

生細胞は Tfh だけではなく、Th2 および Th17 の可能性も考えられた。そこで、MD におけるこ

れらの関連分子の局在をみたところ、Th17 関連分子はほとんど発現を認めなかったが、Th2

関連分子は IL-21 と同様に LSG 全体に強い発現を認めた。Th17関連分子は、MDではほと

んど発現を認めなかった。また、MD の IgG4 産生と IL-21 との相関をみたところ、IL-21 の

mRNA発現量は、IgG4の mRNA発現量および IgG4陽性細胞率と正の相関を認めた。

【結論】これらの結果より、MD の唾液腺病変では Th2 を主体とする IL-21 の過剰産生により

GCの形成を促進し、さらに IgG4へのクラススイッチが誘導されることが示唆された。

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7-3 IgG4関連疾患の病態に関する一考察(3)-組織における線維化の機序―

○菅井 進

久藤総合病院

IgG4関連疾患(IgG4RD)における病変組織の特徴の一つとして storiform fibrosisや唾液腺の

線維化、縦隔線維症、後腹膜線維症などの線維化がある。線維化は炎症の最終修復機構と

見なされ、局所に存在する線維芽細胞の活性化や、骨髄から動員される前駆細胞からの線

維芽細胞による炎症局所の修復過程と見なされてきたが、近年第 3 の機序として上皮細胞、

又は内皮細胞からの線維芽細胞への移行(epithelial-mesenchymal transition (EMT))、

(endothelial-mesenchymal transition (EndMT))

が判明した。また線維芽細胞から上皮細胞や内

皮細胞への移行(MET)も示され、線維化は一方

向だけではなく、全体として動的な動きであること

が分かってきた。EMT、EndMT は本来胎生期の

臓器形成に際して働く正常機能であるが、これが

慢性炎症や酸素欠乏状態では成人の臓器(腎臓、

肺臓、心臓、膵臓など)の線維化でも働いている

ことが分かり、閉塞性腎症の線維症では線維芽

細胞の 30-40%が上皮細胞由来であることが示

されている。この現象は線維芽細胞の培養や組

織の免疫染色により示され、TGF-βが EMT を

促進するマスター因子として働くというエビデンス

も蓄積されてきた。

IgG4RD の病変の首座は mucosa-associated

lymphoid tissue (MALT)にあると考えられるが、

縦隔線維症、後腹膜線維症が MALT との関連でどのように位置づけるか疑問があったが、こ

の機構により説明が可能と考えられ、この観点から組織の検討が望まれる。Sjögren 症候群

に見られるリンパ上皮性病変(LEL)もこの観点からの再検討が必要と考える。

Iwano M. Evidence that fibroblasts derive from epithelium. J Clin Invest 110: 341, 2001.

TGF-β

EGF

TGF-β

BMF

HGF

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シンポジウム 2 ボストン国際 IgG4-RDシンポジウムその後

座長の言葉

正木康史(金沢医科大学血液免疫制御学)、

松井祥子(富山大学保健管理センター)

2001年の Hamano らによる N Engl J Medの報告を IgG4関連疾患の元年と捉えると、2011

年は丁度 10年目の節目にあたる。IgG4関連疾患は、当初は日本で盛り上がり論文も殆どが

本邦発であり、欧米からは無視されていた。しかし、近年になり欧米からも急に注目を集め、

それに伴い欧米からの論文も増えてきている。

奇しくもその節目の年に、IgG4 関連疾患に関する初の国際学会「Internal Symposium on

IgG4-related disease in Boston」が、ボストンのマサチューセッツ総合病院(MGH)の

J.H.Stone 博士の主催で開催され、参加者は計 16 ヶ国から 135 名(うち日本人 30 名)であっ

た。MGHの真向かいにある Holiday Inn at Beacon Hillを会場として、2011年 10月 4日から 7

日までの 4日間にわたり、朝 7時 15分の朝食から夕方 5時近くまで、熱い discussionが続い

た。

本シンポジウムでは、国際学会のホットトピックスをまとめて聞けるすばらしい企画である。日

本の代表である岡崎先生・梅原先生・能登原先生に、IgG4 関連疾患の「現状」をお話しいた

だき、オールジャパンとして「今後」はどうしていくべきかを考えるシンポジウムにしたい。

S2-1 「ボストンシンポジウムの意義」

~世界の研究者と間近で交流することにより何が得られたか~

岡崎 和一

関西医科大学内科学第三講座(消化器肝臓内科)

わが国から発信された IgG4 の関連する新規疾患概念は、国際的にも注目を浴びつつあり、

平成23年10月に世界各国(日本、アメリカ、韓国 、中国(香港)、カナダ、イギリス、イタリア、

ドイツ、フランス、ベルギー ほか)から 100人余りの研究者(臨床系:消化器、リウマチ膠原病、

血液、腎臓、眼科、呼吸器、 基礎系:免疫、病理)が集い、ボストンにおいて国際シンポジウ

ム(「International IgG4-RD symposium」が開催された。異領域では殆ど初対面の方が大半あ

ったが、各領域での権威が多数参加しており、本疾患に対する興味の高さが再認識された。

研究者間の各臓器病変に対する認識に大きな差異はなく、厚生労働省研究班(岡崎班・梅原

班)の取組みによるわが国での疾患概念・統一診断名、包括診断基準と臓器診断基準によ

る診断法は、比較的好意的に受け入れられた。一方、診断における病理学的所見について

は、研究者による考え方の相違が、また治療については、ステロイド中心の日本と免疫調節

薬やリツキシマブを積極的に使用する欧米の考え方との違いが明らかになった。これらを交

え、本シンポに参加した印象などについてお話しする。

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S2-2 「ボストンシンポジウムから世界に発信」

梅原 久範

金沢医科大学血液免疫内科

平成 23 年 10 月にボストンで開催された IgG4 国際シンポジウムには、岡崎班・梅原班のメン

バーを中心に26名の日本人が出席し、世界各国(日本、アメリカ、韓国 、中国(香港)、カナ

ダ、イギリス、イタリア、ドイツ、フランス、ベルギー ほか)のメンバーとグローバルな話し合い

が行われた。その成果として、MGHの Stone博士を中心とした Organizing Committeeの名前

で、1) IgG4-Related Disease: Recommendations for the Nomenclature of this Condition and

its Individual Organ System Manifestations(Arthritis Rheumatism 誌)と 2) Consensus

Statement on the Pathology of IgG4-related diseaseの2報の論文が発表予定である。本講

演では、その内容を紹介し皆さんと討論したい。

S2-3 「ボストンで新たに判明した IgG4関連疾患における病理上の問題点」

能登原憲司

倉敷中央病院病理検査科

ボストンで開催された International Symposium on IgG4-Related Diseaseは各方面の専門家

100 名余りが参加して開催された。中でも病理医の参加が 32 名と非常に多く、病理学的な議

論が充実していた点はこのシンポジウムの特色であったと思われ、一人の病理医として大変

嬉しく思う。病理診断に関しては、“Consensus Statement on the Pathology of IgG4-related

Disease”が事前に配布され、最終日に議論が行われた。結果、IgG4 陽性形質細胞数につい

ての議論が紛糾し、事前に用意された案は撤回されることになり、臓器ごとに文献に基づい

た基準を列挙する形になった。IgG4のカウントについてはすでに多くの論文でいろいろな基準

が採用され、また診断基準が提唱されている臓器もあり、全臓器的な合意を形成するのはす

でに困難な状況にあると感じられた。Storiform fibrosis や obliterative phlebitis といった組織

所見を重視する点は概して受け入れられたが、storiform fibrosisの定義に疑問を呈する意見

もあり、臓器間で温度差を感じた。病理学的診断基準を形成していく上での問題点や私見に

ついても、あわせて紹介したいと思う。