1 テクニカル分析徹底マスター講座(第4回) ~ トレンドフォロー系指標を理解する(3) ~ インベストメントテクノロジーズ(株) 代表取締役 野川 徹 ■□■ TRADER WIZARD FOR FUTURES & FOREX ━━━━ トレードウィザード FOR フューチャーズ & フォレックス 運営会社:インベストメントテクノロジーズ 株式会社 ━━━━━━━━━━━━━ http://www.investechno.com/ ■□■
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テクニカル分析徹底マスター講座(第4回)
~ トレンドフォロー系指標を理解する(3) ~
インベストメントテクノロジーズ(株)
代表取締役 野川 徹
■□■ TRADER WIZARD FOR FUTURES & FOREX ━━━━トレードウィザード FOR フューチャーズ&フォレックス運営会社:インベストメントテクノロジーズ 株式会社
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<テクニカル分析入門>
1.テクニカル分析とは何か
必ず全体像を理解してから細部を理解する(逆は全く駄目)
ファンダメンタル(需給、業績)分析との違いテクニカル分析とは計器飛行見えない相場が見えてくるテクニカル分析以前(かつて情報は全てだった)開発者の考え方を理解する
2.テクニカル分析で使用する要素
①価格 9割以上がこれになる=損益は値動きで発生するから OHLCを加工したもの
②出来高
③時間・日柄
④取組高 先物市場のみ
⑤信用残高 株式のみ
⑥手口情報 外人買い、カテゴリー別取組高、COT
⑦売買内訳 新規売、新規買、転売、買戻=国内商品先物のみ
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3.テクニカル分析の目的別・種類別分類
<トレンドフォロー系> トレンドを定義するための指標移動平均ボリンジャーバンドエンベロープMACD(Moving Average Convergence Divergence)HLバンドスイングHLカギ足モメンタムORB(Opening Range Breakout)
<オシレータ系> 転換点を見出すための指標乖離率ROC(Rate of Change=変化率)ストキャスティックRSI(Relative Strength Index=相対力指数)ボラティリティー(標準偏差)ボラティリティー(ATR)
<内部エネルギー系> 値動き以外を用いた指標(過熱状態を見出すための指標)出来高移動平均出来高%
<パターン系、その他> 値動きや指標のパターンにより転換点やブレイクアウトポイントを見出そうとするもの酒田五法トムデマークの開発した指標エリオットウェーブ(フィボナッチ=38.2%、50%、61.8%=5:8) 1、1、2、3、5、8、13、21、34、55、89、144、233
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4.テクニカル分析の歴史
<国産テクニカル分析> ほとんどがトレンドフォロー系
①とめ足(星足)
②ローソク足
③パターン → 酒田五法(本間宗久=江戸時代後期の米相場で活躍)
④カギ足 → 柴田罫線(カギ足パターンの最適化)
⑤新値足
⑥練行足 → 日本版P&F
⑦コマ足 → 日本版移動平均
⑧一目均衡表
<外国産テクニカル分析>
テクニカル分析の西洋化
第一次 : 移動平均 → グランビルの法則 トレンドの概念
第二次 : RSI(相対力指数) ワイルダー オシレータの概念
第三次 : ボリンジャーバンド バンドの概念
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<トレンドフォロー系指標を理解する (3)>
1. モメンタム
① 開発者
不明
② 定義
本日終値から過去n日前の終値を引く
プラスがアップトレンド、マイナスはダウントレンド
③使用目的
転換ポイント=ゼロラインを上に抜いたら買い、下に抜いたら売り
トレンド認識=ゼロラインを上に抜いたらアップトレンド、ゼロラインを下に抜いたらダウントレンド
④ 何故機能するか
モメンタムはトレンドの傾きを示しているから
⑤ 何本が妥当か
今回の例では25日を用いた
⑥長所
シンプルなので複雑な計算を要しない
感応度が高い
⑦短所
ゼロラインを超えると転換するため、アソビが少なく、転換が頻発することが多い
単純な引き算なので他の銘柄との比較が難しい(標準化には、モメンタムをn日前の終値で割って%表示にすべき)
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< トレンドフォロー戦略の比較 > (トレンドフォロー戦略徹底マスター講座より)
■ポートフォリオ
通貨先物(対USドル) : 日本円、カナダドル、ユーロ、ポンド、フレンチフラン、オージードル、メキシコペソ
金利債券先物 : ユーロダラー金利、T-Bill(10年物)、 T-Bond(30年物)
商品先物 : 金、銀、銅、原油、灯油、ガソリン、天然ガス、大豆、小麦、綿花、砂糖、コーヒー、ココア、
ライブキャトル、フィーダーキャトル、ポークベリー
■ 戦略一覧
(1)ダブル移動平均クロスオーバー
(2)ボリンジャーバンド ブレイクアウト
(3)ATRバンド ブレイクアウト
(4)モメンタム システム
(5)ドンシャン・トレンド・システム(オリジナル:中期)
(6)ドンシャン・トレンド・システム(長期)
(7)ドンシャン・トレンド・システム(タイムストップ:中期)
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(4) モメンタム システム(トレンドフィルタ付き)
■トレンドフィルタ(2本の移動平均で定義)
買いフィルタ : MA(25) > MA(350)
売りフィルタ : MA(25) < MA(350)
■エントリー(トレンドフィルタの方向にのみ、モメンタム転換でエントリー)
買い : 本日終値>25前終値 → 翌日寄り付きで成行き買い
売り : 本日終値<25前終値 → 翌日寄り付きで成行き売り
■エグジット
買い手仕舞い : 本日終値<25前終値 → 翌日寄り付きで成行き売り
売り手仕舞い : 本日終値>25前終値 → 翌日寄り付きで成行き買い
■ストップロス
エントリー価格 +- ATR(20)×2
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(4)モメンタム システム (長期トレンドフィルタ付き)
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最大ドローダウン(9万2千ドル)を20%にするには、
元本は約46万ドル必要
この場合の期間利益は206万ドル=約448%(単利)
約36年間で単利448%なので、年利12.4%計算(単利)
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モメンタムの例 : 金
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モメンタムの例 : ドル円
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モメンタムの例 : オージー・ドル
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モメンタムの例 : ユーロ・ドル
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モメンタムの例 : ダウ工業平均株価指数
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モメンタムの例 : ブラジル ボベスパ指数
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モメンタムの例 : 上海証券株価指数
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モメンタムの例 : 香港H株指数
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モメンタムの例 : Kospi200先物
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2. ORB(Opening Range Breakout)
① 開発者
複数(シェルダン・ナイト、ラリー・ウィリアムズ、トビー・クラベル、その他大勢)
② 定義
始値の上下に、レンジを加える(本来のORBは寄り付き後30分の高値安値レンジのブレイク)
詳細は「ORB解説を参照」
③使用目的・方法
デイトレード、短期オーバーナイト
オープニングレンジを上に抜いたら買い、下に抜いたら売り
④ 何故機能するか
最もエネルギーの集中している寄り付き直後のレンジをブレイクすることで、短期トレンドのスタートとなりやすい
⑤ どれくらいの時間が妥当か
寄り付き後、5~30分以内のエントリーが理想
⑥長所
シンプル
⑦短所
理論が知れ渡ったために、ダマシが増えた(デイトレードではなかなか利益が上がらなくなってきた)
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1.背景にある理論
①長大線=レンジ・デイ(80日HLレンジ平均の2倍以上)を捉える
②長大線の日は終値がその日の高値、または安値に近づくことが多い(一方通行になりやすい)③長大線の日の始値からの修正は、80日レンジの13~20%が大半(修正幅小&トレンド幅大)
④長大線の幅が小さくなるほど、修正幅が大きくなる⑤長大線(80日HLレンジ平均の2倍以上)の発生率は5%、80日平均以上の線の発生率は40%
2.優位性の捉え方
①問題は、発生率5%の長大線を捉えるためにいつ売買するか
②始値からの値動きが、レンジデイの修正幅よりも大きくなったら、その方向にトレンドが発生した可能性大
3.基本戦略
①前日までのデータで求めたレンジを、その日の始値の上下に加減する。②このレンジを上に抜ければ買い、下に抜ければ売り③エントリーは寄付きから5~30分以内が理想的④修正幅が80日HLレンジ平均の25%を超えたら損切り
⑤その日の大引けに手仕舞い(デイトレード)⑥反対方向のシグナル発生で手仕舞い(短期オーバーナイト)
*通常のORBは、寄り付き後30分の高値安値を抜いたらエントリーする方式
今回紹介しているのは、ボラティリティーブレイクアウトと呼んだ方が良いかもしれない。
ORB(Opening Range Breakout)解説(「システムデイトレード」より)
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1. シェルダン・ナイト(1986~87年、5万ドルを120万ドル以上にした)
①OR=3日HLレンジ(3日間の最高値-3日間の最安値)×n%
<フィルタを加えて機能するシステムに修正>②前日が陽線なら売り、陰線なら買い③損切りは無し④手仕舞い1=エントリー翌日終値⑤手仕舞い2=反対方向のシグナルでドテン:平均保有日数は3~4日⑥手仕舞い1の場合、n%=20%で最大利益が期待できる⑦手仕舞い2の場合、n%=40%で最大利益が期待できる
2. ラリー・ウィリアムズ(1986~87年、1万ドルを214万ドル以上にした)
①OR=3日ATR(Average True Range)×n%
<フィルタを加えて機能するシステムに修正>②前日が陽線なら売り、陰線なら買い③損切りは無し④手仕舞い1=エントリー翌日終値⑤手仕舞い2=反対方向のシグナルでドテン:平均保有日数は3~4日⑥手仕舞い1の場合、n%=30%で最大利益が期待できる⑦手仕舞い2の場合、n%=40%で最大利益が期待できる
OR(Opening Range )の定義方法の例 (「システムデイトレード」より)
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3. トビー・クラベル(数々の短期売買戦略の開発者。現役のファンド運用者)
①OR=(高値-寄付、寄付-安値のいずれか小さいほう)の10日平均×1.1倍
*この数式は修正幅の10日平均を求めようとしている
<フィルタを加えて機能するシステムに修正>②前日が陽線なら売り、陰線なら買い③損切りは無し(反対方向のシグナルでドテン):平均保有日数は3~4日
<当日がレンジデイとなることを見分けるためのトビー・クラベルのフィルタ>
①終値を切り上げて続伸、終値を切り下げて続落した時のORB戦略②WS4(前3本よりも広いレンジの日足が出現したとき)のORB戦略③NR7(過去7本で最も狭いレンジの日足が出現したとき)のORB戦略④ID/NR4(過去4本で最も狭いレンジの日足であり、且つハラミ足)のORB戦略
*この例を参考にすれば、自分でも有効なフィルタを考えることが可能大切なのは、偶然の発見ではなく、ロジックに基づいて考えること何故そうなるかを考えた上で、推論に入る必要がある
*仕掛けた当日の大引けで手仕舞いするデイトレードの利益が落ちている以前は市場がオープンする前に重大な発表があったので寄り付き後のイベントドリブンで取れた今は市場がオープンしている間に発表するのと、情報の伝播スピードが速くなって効果が薄れた
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3. 条件定義の仕方
□ が □ に対し(どのように)(%、円)
<例>
■ 本日終値が移動平均に対し3%以上■ 本日始値が本日終値より上■ 終値が20日Hバンドを上抜く
上記のように複数の条件定義をANDとORで組み合わせていくことで、売買システムが完成する
上抜く
より上
以上
同じ
以下
より下
下抜く
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『先物市場のテクニカル分析』 ジョン J.マーフィー 著 (きんざい)*テクニカル分析を理解するためのバイブルですので、購入して何度も熟読することを勧めます。
当セミナーは、基本的にこの書籍の内容に沿って進みます。
『マーケットの魔術師』 『新マーケットの魔術師』 ジャック・シュワッガー著(パンローリング)*相場の本質を理解するためのバイブルです。偉大なトレーダー達の思考が理解できます。必読!
『伝説のトレーダー集団 タートル流投資の魔術』 カーティス・フェイス著(徳間書店)*トレンドフォローを理解するには最適の書籍。
マネーマネジメント、ポートフォリオ管理は非常に参考になる。
『システムデイトレード』 マレー・ルジェーロ著(パンローリング)*ORB(Opening Range Breakout)を理解するには最適の書籍。
『ロジカルトレーダー』 マーク・B・フィッシャー著(パンローリング)*ORB (Opening Range Breakout)を理解するには最適の書籍。
その他お勧めの書籍は下記を参照下さい。http://www.investechno.com/html/sp_c/menu_book.htm
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