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-2 0 2 4 6 8 10 12 14 0 2 4 6 8 10 Light scattering (mV) Time (min) クロマトグラフィにおける複数パラメータの同時モニタリングによる AAVサンプルのオルソゴナル特性解析 INTRODUCTION RESULTS CONCLUSIONS B. Goricar, S. Peljhan, P. Gagnon, A. Strancar BIA Separations d.o.o., Mirce 21, 5270 Ajdovscina, Slovenia © 2019 BIA Separations. All rights reserved. -10 0 10 20 30 40 50 60 0 2 4 6 8 10 UV absorbance (mAU) Time (min) 260 nm 280 nm -10 0 10 20 30 40 50 60 70 Fluorescence - tryptophan (mV) -2 0 2 4 6 8 10 12 Fluorescence - PicoGreen (mV) 細胞培養物や工程内サンプルの迅速、正確かつ有意義な特性解析は、プロセス開発、工程内管理の記録のいずれにも極めて重要です。 UV検出を用いたクロマトグラフィは長年にわたり重要なツールとなっていますが、その感度と、不純物群から目的物を識別する能力において 大きな制限があります。 本検討では、AAV8を含む濾過ライセートを用い、DNAやタンパク質不純物の相対的な分布を特定しつつ、AAVキャプシドを高感度に検 出することを可能にする、複数の検出法との組み合わせによる強カチオン交換モノリス(CIMac SO3-0.1)の有用性を示しました。このア プローチは、細胞培養方法・回収時期の影響、細胞溶解法、プロセス上での精製手法の有効性などの評価に用いることができます。 クロマトグラフィ条件: Loading buffer: 50 mM CH 3 COONa pH 4.0 Elution buffer: 50 mM CH 3 COONa + 3 M NaCl pH 4.0 検出器: UV吸収(260 nm and 280 nmトリプトファン蛍光(excitation 280 nm, emission 348 nmPicoGreen ® 蛍光(excitation 485 nm, emission 520 nm光散乱検出 90° 電気伝導度と pH UV検出は、DNARNAおよびタンパク質の検出に広く使用されます。また波長比(260/280)は、核酸 またはタンパク質の濃度の高い領域の特定にも有用です。精製タンパク質においては一般的に、260/280 比は0.3 から0.6 の範囲であり、 280が優越します。精製核酸では260/280比は2.0 に近く、260 が優越 します。図のように、これらの中間的な比率では、タンパク質・核酸の混合物であることが示唆されます。複 数ピークのいずれがAAVであるかの示唆を与えないことも、UV検出の難点です。 トリプトファンの蛍光(茶色のトレース)は専らタンパク質と相関し、核酸による影響を受けません。UVよりも 高感度ですが、複数ピークからどのピークが目的AAVかを判別できないのはUVと同様です。 クロマトグラフィ前にサンプルにPicoGreen ® を添加すると、DNAにインターカレートし、蛍光を発します。これ により、タンパク質に影響されないDNA の特異的な検出(緑のトレース)が可能になります。他の予備的 検討の結果によると、この方法は、キャプシドの外側に存在するDNAのみを検出します。 散乱光(ピンク色のトレース)は、対象を溶出成分のサイズにより識別します。AAVキャプシドは併存する 宿主由来タンパク質やDNAよりもはるかに大きいため、より効果的に光を散乱します。これにより、より小さな 不純物からは確実なAAVピークの識別が可能になります(4分直後の橙色のマーカー)。 このような複合的なプロファイリングは、便利なフィンガープリント情報としての域を超えて、貴重な示唆を与え ます。例えば、精製されたDNAはカチオン交換樹脂には結合しませんが、この事例でDNAの結合が認めら れるのは、不純物タンパク質やAAVと複合体を形成しているからにほかなりません。 宿主由来タンパク質、DNAAAVの存在は、それぞれ固有なアッセイ情報を提供する複数の検出器を用いた115分ほどの測定で特徴づけることができました。 光散乱は、他すべての不純物からAAVキャプシドピークをクリアに見分けることができ、クルードな材料中でのAAVの工程内管理に大きなポテンシャルを示しました。 加えて、ダウンストリームのステージ全体の進捗もモニタすることができ、精製工程の効果に関しても有用な示唆を与えます。 capsids DNA-FL protein-FL UV LS 110.6157-1.3 CIMac™ SO3-0.1 アナリティカルモノリス
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クロマトグラフィにおける複数パラメータの同時モニタリン …...-2 0 2 4 6 8 10 12 14 0 2 4 6 8 10 Light scattering (mV) Time (min)...

Apr 01, 2021

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クロマトグラフィにおける複数パラメータの同時モニタリングによるAAVサンプルのオルソゴナル特性解析

INTRODUCTION

RESULTS

CONCLUSIONS

B. Goricar, S. Peljhan, P. Gagnon, A. StrancarBIA Separations d.o.o., Mirce 21, 5270 Ajdovscina, Slovenia

© 2019 BIA Separations. All rights reserved.

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細胞培養物や工程内サンプルの迅速、正確かつ有意義な特性解析は、プロセス開発、工程内管理の記録のいずれにも極めて重要です。UV検出を用いたクロマトグラフィは長年にわたり重要なツールとなっていますが、その感度と、不純物群から目的物を識別する能力において大きな制限があります。

本検討では、AAV8を含む濾過ライセートを用い、DNAやタンパク質不純物の相対的な分布を特定しつつ、AAVキャプシドを高感度に検出することを可能にする、複数の検出法との組み合わせによる強カチオン交換モノリス(CIMac SO3-0.1)の有用性を示しました。このアプローチは、細胞培養方法・回収時期の影響、細胞溶解法、プロセス上での精製手法の有効性などの評価に用いることができます。

クロマトグラフィ条件:• Loading buffer: 50 mM CH3COONa pH 4.0• Elution buffer: 50 mM CH3COONa + 3 M NaCl pH 4.0

検出器:• UV吸収(260 nm and 280 nm)• トリプトファン蛍光(excitation 280 nm, emission 348 nm)• PicoGreen®蛍光(excitation 485 nm, emission 520 nm)• 光散乱検出 90°• 電気伝導度と pH

UV検出は、DNA、RNAおよびタンパク質の検出に広く使用されます。また波長比(260/280)は、核酸またはタンパク質の濃度の高い領域の特定にも有用です。精製タンパク質においては一般的に、260/280比は0.3から0.6の範囲であり、280が優越します。精製核酸では260/280比は2.0に近く、260が優越します。図のように、これらの中間的な比率では、タンパク質・核酸の混合物であることが示唆されます。複数ピークのいずれがAAVであるかの示唆を与えないことも、UV検出の難点です。

トリプトファンの蛍光(茶色のトレース)は専らタンパク質と相関し、核酸による影響を受けません。UVよりも高感度ですが、複数ピークからどのピークが目的AAVかを判別できないのはUVと同様です。

クロマトグラフィ前にサンプルにPicoGreen®を添加すると、DNAにインターカレートし、蛍光を発します。これにより、タンパク質に影響されないDNAの特異的な検出(緑のトレース)が可能になります。他の予備的検討の結果によると、この方法は、キャプシドの外側に存在するDNAのみを検出します。

散乱光(ピンク色のトレース)は、対象を溶出成分のサイズにより識別します。AAVキャプシドは併存する宿主由来タンパク質やDNAよりもはるかに大きいため、より効果的に光を散乱します。これにより、より小さな不純物からは確実なAAVピークの識別が可能になります(4分直後の橙色のマーカー)。

このような複合的なプロファイリングは、便利なフィンガープリント情報としての域を超えて、貴重な示唆を与えます。例えば、精製されたDNAはカチオン交換樹脂には結合しませんが、この事例でDNAの結合が認められるのは、不純物タンパク質やAAVと複合体を形成しているからにほかなりません。

宿主由来タンパク質、DNA、AAVの存在は、それぞれ固有なアッセイ情報を提供する複数の検出器を用いた1回15分ほどの測定で特徴づけることができました。

光散乱は、他すべての不純物からAAVキャプシドピークをクリアに見分けることができ、クルードな材料中でのAAVの工程内管理に大きなポテンシャルを示しました。

加えて、ダウンストリームのステージ全体の進捗もモニタすることができ、精製工程の効果に関しても有用な示唆を与えます。

capsids

DNA-FL

protein-FL

UV

LS

110.6157-1.3 CIMac™ SO3-0.1 アナリティカルモノリス