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ミーちゃん、ケーちゃんとの101日間
~ヤギを利用した試験除草より得られたこと~
石川 宏
荒川上流河川事務所 越辺川出張所 (〒355-0047 埼玉県東松山市高坂973-3 ).
環境負荷の少ない除草方法の一つであるヤギ除草について、試験施工し考察する。また、ヤ
ギとの関わりやふれあいによって自然との共生の重要性を理解する。最近日本の各地でヤギを
使った除草が調査・実施されており、メリットやデメリットがまとめられている。実際ヤギを
飼育するということ、また本当に世間で言われているようなメリットがあり、我々が管理する
堤防の除草にどれだけ効果があるのかを確認するため、今回試験施工をおこなったものである。
1. ヤギと人と歴史
ヤギが人間に飼われはじめ、家畜化された時期は不明
です。牛や豚と同じ紀元前7000年頃ではないかと推
察され、中東や中央アジア辺りから家畜利用が始まった
のではないかとされています。最近、日本の食料自給率、
食の多様化、農業や畜産をする人の高齢化が進んできて
農地が荒れるなど、「食の問題」が心配されていますが、
ヤギを利用した除草などで見直しつつあります。
2. 家畜と除草(メリット)
(1) 除草コストの縮減
(2) CO2排出削減
(3) 騒音抑制
3. ヤギ除草の例
相俣ダム管理支所
4. 堤防上の外来種の繁茂状況
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5. 試験施工の目的(8月末~11月)
・維持工事の創意工夫として実施((株)ケージーエム)
(1) ヤギの飼い方の習得
(2) ヤギ除草の成果(実績)の確認
(3) ヤギの食性確認(外来種もたべるのか)
(4) その他得られたこと
a) 飼育場所
ヤギの家
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9. 結論
(1)ヤギによる堤防除草は不可能である。
(2)通常の除草に比較し、CO2排出量は低く、ヤギが食
べた草は糞となり堆肥になる。(刈草の処分が不要であ
る。)
(3)ヤギ除草は環境に優しくエコな除草方法であり、ア
ニマルセラピーとして、お年寄りや子供たちとふれあえ
る箇所で、特に外来種に悩まされている公園等の除草に
最適な方法であると言える。
10. ためになるヤギの話し
(1)ヤギの瞳は長方形です。それも、猫とは逆に横長で、
長方形というよりはまるで線です。でも暗くなると丸く
なります。ヤギが明るいところでは瞳が横長になるのは、
視野を広くして、外敵に気ずくためです。
(2)ヤギはウシ科ヤギ属の総称で、日本語の「ヤギ」の
語源は「野牛」(やぎゅう)が転訛したものという説も
あります。ヤギは牛と同じく胃が4つあります。いつも
大急ぎでガツガツと草を胃の中に押し込んで後でゆっく
り反芻します。
(3)羊は草しか食べません。ヤギは草も食べますが、草
より、木の葉や実、木の皮のほうが好きらしく、首をの
ばして食べています。
(4)ヤギは鹿と違ってとても人懐っこく、人を見るとす
ぐそばによってきます。そのくせ羊と違って野生をなく
してはいません。威嚇のポーズをとったり頭突きをした
りします。ヤギの角は鹿と違って骨で、中に髄液が入っ
ています。それで鹿は角を切られても痛くありませんが、
ヤギはとても痛がります。それはまさに拷問です。